JP7382046B1 - 釉薬組成物 - Google Patents

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信幸 黒岩
祐資 立山
吉川 友次
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【課題】本発明は、光沢度が抑制されており窯業製品に落ち着いた色調を付与可能な釉薬層を形成することができる釉薬組成物、及び、当該釉薬組成物を用いる窯業製品の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る釉薬組成物は、結晶性アルミナと結晶性ジルコンを含有し、釉薬組成物は、前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンとの合計に対する前記結晶性ジルコンの割合が50質量%以上、70質量%以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、光沢度が抑制されており窯業製品に落ち着いた色調を付与可能な釉薬層を形成することができる釉薬組成物、及び、当該釉薬組成物を用いる窯業製品の製造方法に関するものである。
釉薬層は、窯業製品の表面を覆うガラス質の膜のことであり、窯業製品に様々な色調や質感などを与える他、素地に水や汚れが染み込むことを防ぎ、強度を高めて丈夫で扱いやすくするといった役割を担う。釉薬組成物は、一般的に、釉薬成分の溶解性を高めるアルカリ成分、ガラス成分を含む長石や珪石、素地への接着性を高める粘土などを含む。その他、成分構成の工夫により、釉薬層の色調や質感などを調整することができる。
例えば特許文献1には、Alおよび/またはZrとガラス質成分を含む第一釉薬層と、珪酸ジルコニウム粒子と白色無機酸化物粒子とガラス質成分を含む第二釉薬層を有し、高拡散反射性に優れた釉薬層が開示されている。特許文献2には、ジルコニウム元素を含有するフリットと、珪酸ジルコニウム粒子とを含んでなり、高拡散反射性に優れ、さらに耐汚染性を備えた釉薬層が実現できる釉薬組成物が開示されている。
特許文献3には、素地層の裏面に配置された第1の釉薬層と、素地層の表面に配置された第2の釉薬層とを備え、第1の釉薬層を構成する釉薬が、α-アルミナ、ジルコン、スポジューメン、ペタライト、コージライトからなる群から選択される1または2以上の材料を含み、曲げ破壊強度が大きく、質量の小さい粘土瓦が開示されている。
特許文献4には、基礎釉薬、硼酸と珪酸とを主成分とするフリットである硼珪酸フリット、及び燐酸アルミニウム及び/又は燐酸アルミニウムの化合物とを含有し、素地層から分離し難い釉薬層を形成できる釉薬が開示されている。
特許文献5には、リチウム元素含有材料に加えて、ジルコン等を含んでいてもよい釉薬が開示されている。
特開2014-193803号公報 特開2014-166925号公報 特開2017-190645号公報 特開2004-210612号公報 特開2003-238238号公報
上述したように、従来、様々な特性を有する釉薬層を形成する技術は種々開発されている。例えば特許文献1,2には、高拡散反射性に優れた釉薬層を形成するための釉薬組成物が開示されている。
確かに、洗面所などに用いられるタイルや便器の素材としては、爽やかさを感じさせる青色系統のものや、光沢度の高いものが好まれる。一方、外構や外壁などには、落ち着いた赤色系統で光沢度の低い窯業製品が好まれる。釉薬層を形成しなければ光沢度の低い窯業製品が得られるが、美観や、雨や温度変化などに対する耐久性などの観点からは、釉薬
層を設けることが好ましい。
そこで本発明は、光沢度が抑制されており窯業製品に落ち着いた色調を付与可能な釉薬層を形成することができる釉薬組成物、及び、当該釉薬組成物を用いる窯業製品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、結晶性アルミナと結晶性ジルコンを特定割合で含む釉薬組成物であれば、光沢度が抑制された赤色系統の色調を付与可能な釉薬層を形成できることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 結晶性アルミナと結晶性ジルコンを含有し、
前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンとの合計に対する前記結晶性ジルコンの割合が50質量%以上、70質量%以下であることを特徴とする釉薬組成物。
[2] 釉薬層形成成分における前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンとの合計の割合が2質量%以上、25質量%以下である前記[1]に記載の釉薬組成物。
[3] 前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンの混合物の体積基準の平均粒子径が0.5μm以上、2μm以下である前記[1]に記載の釉薬組成物。
[4] 更に水を含有する前記[1]に記載の釉薬組成物。
[5] 更に長石および/または珪石を含有する前記[1]に記載の釉薬組成物。
[6] 更に増粘剤を含有する前記[1]に記載の釉薬組成物。
[7] 更に粘土を含有する前記[1]に記載の釉薬組成物。
[8] 更にアルカリ成分を含有する前記[1]に記載の釉薬組成物。
[9] 前記[1]~[8]のいずれかに記載の釉薬組成物を素地に塗工する工程、及び、
前記素地を焼成する工程を含むことを特徴とする窯業製品の製造方法。
本発明に係る釉薬組成物により素地上に形成される釉薬層は、赤色系統のものであり、且つ光沢度の低い落ち着いた色調のものである。よって、本発明に係る釉薬組成物により形成された釉薬層を有する窯業製品は、外構材や外壁材など、落ち着いた色調が求められる建材などとして、産業上、非常に有用である。
本発明に係る釉薬組成物は、結晶性アルミナ(Al23)と結晶性ジルコン(ZrSiO4)を含有する。
結晶性アルミナは、結晶構造を有するアルミナの粒子であり、更に他の金属酸化物と共に結晶構造を形成する複合酸化物とは異なる。また、他の成分との混合により形成される不定形で非晶質のガラスやフリットとも異なる。即ち、一般的なガラスはシリカ(SiO2)を含み、シリカは単独でもガラス化するのに対して、アルミナは単独ではガラス化しないが、シリカ等と混合することにより、不定形で非晶質のガラスとなる。フリットは、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等の水溶性成分への素地への吸収を抑制するため等に使われるものであり、水溶性成分とシリカやアルミナ等を事前に混合して加熱することにより製造されるガラス質粒子である。なお、アルミナの融点は2000℃を超えているが、他成分と混合した上で加熱することにより1000℃未満でも溶融し、不定形で非晶質のガラス質になる。ガラスやフリットは、一般的に透明であり、白色の結晶性アルミナとは区別される。
結晶性ジルコンは、ジルコニア(ZrO2)とシリカ(SiO2)との単なる混合物ではなく、ジルコニアとシリカとの複合酸化物であり、結晶性アルミナと同様に白色顔料として用いられる。なお、結晶性ジルコンは、結晶性アルミナと同様に、ジルコニウムおよびケイ素以外の金属酸化物と共に結晶を構成する複合酸化物ではないものとする。
本発明に係る釉薬組成物においては、結晶性アルミナと結晶性ジルコンとの合計に対する結晶性ジルコンの割合を50質量%以上、70質量%以下に調整する。当該割合を当該範囲内に調整することにより、本発明に係る釉薬組成物から形成される釉薬層の色調が暖色系に、即ちL*a*b*表色系におけるa*の値が正の値となり、光沢度が十分に低くなる。当該割合としては、65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
結晶性アルミナと結晶性ジルコンとの合計に対する結晶性ジルコンの割合は、本発明に係る釉薬組成物の作製時における結晶性アルミナと結晶性ジルコンの配合量から求めればよいが、作製後であって各配合量が不明である場合には、後記の試験例1に基づいて蛍光X線分析法とジルコニアの定量との組み合わせにより求めることが可能である。蛍光X線分析法では、試料に含まれる元素の種類と相対割合を特定することができるが、複合酸化物であるジルコンに含まれる酸化ジルコニウム成分および酸化ケイ素成分と、単独で存在するジルコニアおよびシリカとを区別することができない。そこで、橋場稔,三浦英二,塗師幸夫,日比野泰三,「ジルコニアとシリカよりジルコンを生成する反応における未反応ジルコニアの定量」,分析化学,第27巻,第362-365頁(1978年)を参照し、試料中のジルコニアを定量することにより、蛍光X線分析法で測定された酸化ジルコニウムにおけるジルコンに含まれる酸化ジルコニウム成分と単独で存在するジルコニアとの割合を求めることができ、ひいては試料におけるアルミナとジルコンとの割合を求めることができる。具体的には、蛍光X線分析法で求められた試料中のジルコニアに対して、10倍量の硫酸アンモニウムを融剤として添加し、400~450℃で1~2時間加熱した後、単独で存在するジルコニアを4N硫酸へ選択的に溶解抽出し、濾過し、固形分を温水で洗浄する。濾液と洗浄水を合わせ、ゲル状沈殿物が生じるまでアンモニア水を徐々に加え、濾別し、2%温硝酸アンモニウム水溶液で十分に洗浄する。得られた固形分を1000℃に加熱し、秤量することにより、単独で存在するジルコニアを計量することができ、更に試料中のジルコンと単独で存在するジルコニアとの割合を算出することができる。
本発明に係る結晶性アルミナおよび結晶性ジルコンには、例えばフリットに含まれる非晶性でガラス質のアルミナ等は含まれない。白色の結晶性アルミナおよび結晶性ジルコンとガラス質のフリット等は顕微鏡観察で区別できるため、例えば所定量の試料中のフリットを顕微鏡観察下で除去し、残りの試料中、前記方法により結晶性アルミナと結晶性ジルコンとの合計に対する結晶性ジルコンの割合を求めればよい。
本発明に係る釉薬組成物において、結晶性アルミナと結晶性ジルコンの量は、釉薬層の色調を整えられる範囲で適宜調整することが好ましい。例えば、釉薬層形成成分における結晶性アルミナと結晶性ジルコンとの合計の割合を2質量%以上、25質量%以下とすることが好ましい。当該割合が2質量%以上であれば、釉薬層の色調をより確実に調整することが可能になる。当該割合が25質量%以下であれば、釉薬組成物の一般的成分の配合がより確実に可能になる。当該割合としては、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、また、22質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。なお、釉薬層形成成分とは、釉薬層を形成する成分であり、溶媒や増粘剤など、焼成により分解されて釉薬層から実質的に除去される以外の固形成分をいい、主に金属酸化物をいう。
溶媒などを含めた本発明に係る釉薬組成物全体に対する結晶性アルミナと結晶性ジルコンの合計量は、適宜調整すればよいが、例えば、1質量%以上、20質量%以下とすることが好ましい。
本発明に係る釉薬組成物は、溶媒を含むことが好ましい。溶媒を含む釉薬組成物は、素地に塗工し易いという利点がある。溶媒としては、例えば、水、グリセリン、ポリエチレングリコール、モノエチレングリコール、及びこれら2以上の混合溶媒が挙げられる。水以外の有機溶媒は、各成分の溶解や分散の他、粘度調整のためにも用いられる。
釉薬組成物における溶媒の量は、適宜調整すればよいが、例えば、釉薬組成物全体に対して5質量%以上、60質量%以下とすることができる。当該割合としては、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下が好ましい。
釉薬組成物には、一般的に、各成分の溶解性や分解性を改善するアルカリ成分、釉薬層と素地の密着性を改善する成分、焼成により溶融して透明な釉薬層を形成する成分が含まれる。
一般的な釉薬組成物は、長石、珪石、粘土を含む。長石とは、一般的に(K,Na,Ca,Ba)(Al,Si)48の化学式を有し、SiO4中のSi4+の一部がAl3+によって置換され、それによる荷電の変化を中和するように、SiO4四面体の隙間にK+,Na+,Ca2+,Ba2+等が入っている結晶構造を有する。天然に産する長石は、主に、KAlSi38(カリウム長石)、NaAlSi38(ナトリウム長石)、CaAl2Si28(カルシウム長石)を端成分とする3成分系に分類され、KAlSi38-NaAlSi38およびNaAlSi38-CaAl2Si28は連続固溶体を形成し、それぞれの系列をアルカリ長石および斜長石と総称する。このように、長石にはAlが含まれるが、複合酸化物を形成しており、結晶性アルミナが単独で含まれる訳ではないので、本開示においては、結晶性アルミナと、長石に含まれるAl3+やアルミニウム複合酸化物は区別されるものとする。
珪石は、主にシリカからなり、焼成により溶融して透明な釉薬層を形成する。なお、ジルコンには珪素(Si)が含まれるが、ジルコニウムとの複合酸化物であるため、本開示においては、珪石やシリカと結晶性ジルコンとは区別されるものとする。
本発明に係る釉薬組成物における長石および/または珪石の割合は、素地との密着性が高く且つ美観に優れる釉薬層が得られる範囲で適宜調整すればよい。例えば、10質量%以上、50質量%以下とすることが好ましい。また、釉薬層形成成分における長石および/または珪石の割合としては、20質量%以上、95質量%以下が好ましい。
粘土は、国際法的には2μm以下の鉱物粒子であり、主に珪酸アルミニウム結晶からなる。釉薬に粘土を配合することにより、素地と釉薬層との密着性が向上する。
本発明に係る釉薬組成物における粘土の割合は、素地との高い密着性が得られる範囲で適宜調整すればよい。例えば、1質量%以上、30質量%以下とすることが好ましい。また、釉薬層形成成分における粘土の割合としては、2質量%以上、60質量%以下が好ましい。
釉薬組成物には、増粘剤を配合してもよい。増粘剤は釉薬組成物の粘土を高め、素地に厚塗りする場合にも、液垂れを抑制することができる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デキストリン、アラビアゴム、釉薬ボンド等が挙げられる。
本発明に係る釉薬組成物における増粘剤の割合は、釉薬組成物の粘度が適切な範囲に含まれるよう適宜調整すればよい。例えば、0.01質量%以上、5質量%以下とすることが好ましい。
釉薬組成物には、アルカリ成分を配合してもよい。アルカリ成分は、溶媒に対する不溶成分や難溶成分の溶解性や分解性を高める効果を示す。また、アルカリ成分自体が酸化物として残留して釉薬層を形成する。アルカリ成分としては、例えば、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、石灰石、大理石、灰類、珪灰石、リン酸カルシウム等のカルシウム化合物;炭酸ストロンチウム;炭酸バリウム、硫酸バリウム等のバリウム化合物;炭酸リチウム;酸化亜鉛などが挙げられる。なお、カリウムやナトリウムは長石にも含まれ、リチウムはペタライト(葉長石)やスポジュメン(リシア輝石)に含まれ、マグネシウムはタルク(滑石)やドロマイト等に含まれるが、これらは一般的に複合酸化物として含まれているため、本開示においては、アルカリ成分と区別されるものとする。また、カリウム、ナトリウム、リチウム等を含むフリットもアルカリ成分と区別されるものとする。
本発明に係る釉薬組成物におけるアルカリ成分の割合は、溶媒に対する不溶成分や難溶成分の溶解性や分解性が改善する範囲で適宜調整すればよい。例えば、アルカリ成分を配合しなくてもよい。アルカリ成分を配合する場合、アルカリ成分の割合は、0質量%超、15質量%以下とすることが好ましい。また、釉薬層形成成分におけるアルカリ成分の割合としては、0質量%以上、30質量%以下が好ましい。
釉薬組成物においては、粒子を微細に粉砕することが好ましい。例えば、釉薬組成物の平均粒子径としては、1μm以上、50μm以下が好ましい。当該平均粒子径が50μm以下であれば、十分に滑らかな質感の釉薬層を形成することができ得る。また、1μm以上であれば、粉砕のために過剰なエネルギーが必要無い。当該平均粒子径としては、5μm以上がより好ましく、10μm以上がより更に好ましく、また、30μm以下がより好ましく、20μm以下がより更に好ましい。なお、本開示において平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定するものとし、平均粒子径の基準としては、体積基準、重量基準、数基準などがあるが、体積基準が好ましい。
釉薬組成物における前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンの混合物の体積基準の平均粒子径としては、0.5μm以上、2μm以下が好ましい。当該平均粒子径が0.5μm以上であれば、粒子の粉砕に過剰なエネルギーが必要でなく、生産性を過剰に低下させる可能性が比較的低く、2μm以下であれば、釉薬層の明度を十分に高くすることができる。
本発明に係る釉薬組成物は、単層の釉薬層を形成するために用いることが好ましい。釉薬層を2層以上に積層する場合があるが、その場合には素地への釉薬組成物の塗工と乾燥を繰り返さなければならず、製造効率が低下する。それに対して、本発明に係る釉薬組成物は、単層でも光沢度の低い落ち着いた色調の釉薬層を形成することができる。
以下、本発明に係る釉薬組成物を使って素地上に釉薬層を形成し、窯業製品を製造する方法につき説明する。
1.塗工工程
本工程においては、本発明に係る釉薬組成物を素地に塗工する。なお、本開示において素地とは、窯業において、釉薬を塗工する前の段階のものをいう。例えば、粘度などを成形して焼成したものをいう。素地の焼成条件は、素地を完全に焼成するものであってもよいし、或いは釉薬組成物の焼成温度よりも焼成温度を低くしてもよい。
釉薬組成物の塗工量は、所望の釉薬層に応じて適宜調整すればよい。例えば、素地の単位面積あたり0.02g/cm2以上、0.2g/cm2以下とすることができる。
2.焼成工程
本工程においては、釉薬組成物を塗工した素地を焼成することにより、素地上に釉薬層を形成する。焼成温度は、素地の組成などに応じて適宜調整すればよいが、例えば、最終的には800℃以上、1300℃以下程度で焼成することが好ましい。また、溶媒の留去や増粘剤の分解などを考慮して、焼成温度を100℃程度から段階的または連続的に高めていくことも好ましい。
本発明に係る釉薬組成物により形成される釉薬層は、素地表面の色調にも依存はするが、色度a*の値が正である赤色系統のものであり、且つ光沢度の低い落ち着いた色調のものであることから、当該釉薬層を有する窯業製品は、外構材や外壁材など、落ち着いた色調が求められる建材などとして有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1,2
(1)施釉試料の調製
表1に示す組成物と、10mmのアルミナボール(400g)をボールミル(丸窯製陶所社製,内容積:400mL)に入れ、1時間粉砕混合した。
Figure 0007382046000001
別途、坏土(「G-99」サブリ社製)を5cm×5cm×0.5cmの方形に成形し、室温から1000℃まで3時間、1000℃から1215℃まで4時間かけて昇温し、1215℃で4時間維持することにより焼成して素地を得た。リファサーモの温度は1240℃であった。
スプレーガンを用い、上記釉薬組成物(2.5g)を素地上に吹き付け、室温から200℃まで1時間、200℃から400℃まで1時間、400℃から600℃まで1時間、600℃から800℃まで1時間、800℃から1000℃まで1時間、1000℃から1160℃まで1時間かけてそれぞれ昇温し、更に1160℃で4時間維持して焼成することにより、施釉試料を得た。リファサーモの温度は1187℃であった。
(2)色差の測定
分光測色計(「CM-5」コニカミノルタ社製)を用い、上記で得られた施釉試料の明度L*、色度a*およびb*を測定した。光源としてはD65光源を用い、視野は10℃、測定径は8mmに設定した。1試料に対して5点で各項目の測定を行い、平均値を算出した。結果を表2に示す。
(3)光沢度の測定
グロスチェッカ(「IG-320」堀場製作所社製)を用い、上記で得られた施釉試料の光沢度を測定した。照射光の入射角を60°に設定した。1試料に対して2点で測定し、平均値を算出した。結果を表2に示す。表2中、アルミナとジルコンはそれぞれ結晶性のものである。
Figure 0007382046000002
表2に示される結果の通り、本発明に係る釉薬組成物により施釉した試料の明度は高く、明るい一方で、色度a*は正の値であってマゼンダ寄りであり、特に光沢度が低いことから、落ち着いた色調であることが実証された。
試験例1: アルミナ/ジルコン比率の測定
(1)蛍光X線分析法による検量線の作成
酸化ジルコニウム(キシダ化学社製,純度99.9%)、酸化ケイ素(高純度化学研究所製、純度99.9%)、アルミナ(キシダ化学社製,特級,純度99.0%)を表3に示す組成で、乳鉢を使ってよく混合し、検量線用試料を調製した。なお、以下の「%」は「質量%」を示す。
Figure 0007382046000003
各検量線用試料0.4gと蛍光X線分析用の無水四ほう酸リチウム(キシダ化学社製,純度98.0%)4gを秤量して混合し、卓上型高周波ビードサンプラーでガラスビードを作製した。
得られたガラスビード5点を用いて、蛍光X線分析装置で酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、アルミナの蛍光X線強度と各試料中濃度との関係を示す検量線を作成した。
(2)分析用試料の測定
アルミナ:ジルコン=45:55(質量比)の参考試料を蛍光X線分析し、検量線を用いて酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、アルミナの参考試料中濃度を求めた。結果を表4に示す。
Figure 0007382046000004
(3)ジルコニアの定量
蛍光X線分析法では、複合酸化物であるジルコンに含まれる酸化ジルコニウム成分およ
び酸化ケイ素成分と、単独で存在するジルコニアおよびシリカとを区別することができない。そこで、橋場稔,三浦英二,塗師幸夫,日比野泰三,「ジルコニアとシリカよりジルコンを生成する反応における未反応ジルコニアの定量」,分析化学,第27巻,第362-365頁(1978年)を参照し、参考試料中のジルコニアを定量した。
参考試料0.2gと融剤として硫酸アンモニウム(キシダ化学社製,特級,純度99.5%)2gを秤量し、乳鉢でよく混合した。混合試料を450℃で2時間維持して焼成した後、4N硫酸を加えて濾過し、濾液と残渣に分離し、残渣を温水で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせ、アンモニア水を加え、白濁物が出ないか確認したところ、検出されなかった。このことから、参考試料にはジルコニアは含まれず、蛍光X線分析で検出された酸化ジルコニウムは、全てジルコンに含まれる成分であることを確認できた。
酸化ケイ素の分子量は60.09、酸化ジルコニウムの分子量は123.22であることから、参考試料中の酸化ケイ素:酸化ジルコニウムのモル比は17.74/60.09:36.21/123.22=29.5:29.4と計算でき、参考試料中にはシリカが僅かに混入していると考えられた。蛍光X線分析結果の酸化ケイ素から遊離シリカ分を除くと、17.74-60.09×0.001=17.68%と計算された。
よって、参考試料におけるアルミナとジルコンの合計に対するジルコンの割合は、[(36.21+17.68)/(36.21+17.68+45.52)]×100=54.21%と計算でき、参考試料におけるアルミナ:ジルコンは45.79:54.21と求められた。かかる結果と参考試料の混合割合である45:55とはほぼ同一であるといえ、その差は実験誤差であるといえる。

Claims (7)

  1. 結晶性アルミナと結晶性ジルコンを含有し、
    前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンとの合計に対する前記結晶性ジルコンの割合が50質量%以上、70質量%以下であり、
    釉薬層形成成分における前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンとの合計の割合が2質量%以上、25質量%以下であり、
    前記結晶性アルミナと前記結晶性ジルコンの混合物の体積基準の平均粒子径が0.5μm以上、2μm以下であることを特徴とする釉薬組成物(但し、パーライト、凝灰岩、及び炭化ケイ素を含むものを除く。)
  2. 更に水を含有する請求項1に記載の釉薬組成物。
  3. 更に長石および/または珪石を含有する請求項1に記載の釉薬組成物。
  4. 更に増粘剤を含有する請求項1に記載の釉薬組成物。
  5. 更に粘土を含有する請求項1に記載の釉薬組成物。
  6. 更にアルカリ成分を含有する請求項1に記載の釉薬組成物。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の釉薬組成物を素地に塗工する工程、及び、
    前記素地を焼成する工程を含むことを特徴とする窯業製品の製造方法。
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