JP7381623B2 - 超高強度鉄筋コンクリートセグメント及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超高強度鉄筋コンクリートセグメント及びその製造方法に関する。
近年、道路トンネルや鉄道トンネルには、大断面シールドトンネル工事の採用が増加している。このようなトンネルでは、長距離で大深度のトンネルの建設が多くなっているが、都市部等における用地確保の難しさから、大深度地下使用法の適用、区分地上権の設定により、民地下を通過させる事例が増えてきている。このような場合、商業地域下通過部には、将来の荷重として高層ビルを念頭においた大きな建物荷重を考慮する必要があるばかりでなく、併設トンネルの影響を受ける条件下にある場合もある。そのため、基盤面が浅い場合は、従来強度(60N/mm以下)のコンクリートセグメント(コンクリート製セグメント)では厚さが70cm程度以上になり工事費が増大する。また、大深度の基盤面が深い場合は、上載荷重の影響が大きくなるため、従来強度コンクリートセグメントでは厚さが1m以上になり、設計が成立せず高価な合成セグメントが採用されている。これらの課題に対して、超高強度コンクリートセグメントを採用すれば、セグメント厚さがt/D(t:セグメント厚さ、D:セグメント外径)が通常の4%程度で、セグメント厚さが50~55cmになることから合理的な設計となる。
ところで、高強度のセグメントや桁に関する技術には、主にコンクリートの配合について記載されている特許文献1及び特許文献2、非特許文献1がある。
特開2005-194743号公報 特開2019-48742号公報
高強度・高流動コンクリートセグメントの開発(1) 平成11年9月 土木学会第54回年次学術講演会
高強度のセグメントや桁における鉄筋コンクリートについては、非特許文献1において高強度鉄筋SD390,SD490がコンクリートの余剰強度を有効に活用するために併用されることの記載があるのみで、特許文献1及び特許文献2については全く記載なく示唆もない。
非特許文献1では、上記鉄筋をどのように配置するか等、詳しく言及されておらず、示唆もされていない。高強度鉄筋コンクリートセグメントは、コンクリートの配合を変えるのみで鉄筋コンクリートの性能を確保することはできない。
高強度コンクリートとそれに外力に対応するに足る十分な鉄筋量が配置されなければ、高強度鉄筋コンクリートセグメントとしてその機能は果たすことができない。高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、コンクリートと鉄筋とが一体になって外力(土圧や地下水圧)、シールド掘進機の掘進時にセグメントリングに作用する力や、その他の掘進時やセグメント組立時の施工時に発生する一時的な外力に対応することも必要である。
土木学会トンネル標準示方書シールド編では「従来のコンクリートセグメントの設計基準強度は42N/mm~60N/mm」としているため、道路トンネルのような大深度、大断面シールドトンネルでは、以下の問題点がある。
すなわち、従来コンクリートセグメントの設計基準強度は、42N/mm~60N/mmであるため、N値50以上の硬質地盤や軟岩層における道路トンネルのような大深度、大断面シールドトンネルに対して試設計すると、セグメントの厚さが0.7m以上、セグメント幅1.5m以下になり(通常、セグメント厚さと外径との比はt/D=4%であり、その厚さは50cm~55cm程度であり、セグメント幅は、1.8m以上になる。)、セグメントの製作、輸送、組立てが困難であるばかりでなく、掘削土量も多くなり、極めて不経済で実現が不可能である。
現行では、この問題に対して、高価な合成セグメントが採用されていることから、シールド工事のコストが嵩むという問題が新たに発生する。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、超高強度コンクリートを適用することで、従来強度コンクリートセグメント及び合成セグメントよりも経済的で、耐久性に富み、高速施工に適した超高強度鉄筋コンクリートセグメント及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、トンネル覆工体を形成するとともに、鉄筋コンクリートからなる超高強度鉄筋コンクリートセグメントにおいて、前記鉄筋コンクリートは、水セメント比が20~30%であって、前記セメントは、シリカヒュームが前記セメントの重量に対して少なくとも10%を超えて配合されたシリカヒュームセメントであって、細骨材、粗骨材、早強性膨張剤が配合されるとともに、高性能減水剤及び消泡剤が混和され、前記鉄筋コンクリートには、少なくとも主鉄筋に超高強度鉄筋SD490、SD590、又はSD685のいずれかが配設され、圧縮側の主鉄筋に発生する応力度を降伏強度まで許容可能とし、せん断補強筋に超高強度鉄筋を用いてなる。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記鉄筋コンクリートのコンクリートは、設計基準強度が60N/mm を超えて120N/mm に設定されている。
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法であって、型枠をセットする型枠セット工程と、前記型枠内に鉄筋かごを設置する鉄筋かご設置工程と、前記型枠内に高強度コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記型枠内からセグメントを脱型するセグメント脱型工程と、を有し、前記セグメント脱型工程では、前記コンクリート打設工程後、少なくとも15時間経過後に前記セグメントを脱型する。
また、本発明の請求項に記載の発明は、トンネル覆工体を形成するとともに、鉄筋コンクリートからなる超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法において、前記鉄筋コンクリートは、水セメント比が20~30%であって、前記鉄筋コンクリートには、爆裂防止用繊維及び剥落防止用繊維の少なくとも一方が混入され、前記セメントは、シリカヒュームが前記セメントの重量に対して少なくとも10%を超えて配合されたシリカヒュームセメントであって、細骨材、粗骨材、早強性膨張剤が配合されるとともに、高性能減水剤及び消泡剤が混和され、前記消泡剤は、前記爆裂防止用繊維及び前記剥落防止用繊維の少なくとも一方の混入量に応じて増加して添加されてなる。
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記爆裂防止用繊維及び前記剥落防止用繊維は、ポリプロピレン繊維からなる。
また、本発明の請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、鉄筋コンクリートのコンクリートは、設計基準強度が60N/mm を超えて120N/mm に設定されている。
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記消泡剤は、前記セメント重量に対して少なくとも0.12%添加されてなる。
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項乃至のいずれか一項に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法であって、型枠をセットする型枠セット工程と、前記型枠内に鉄筋かごを設置する鉄筋かご設置工程と、前記型枠内に高強度コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記型枠内からセグメントを脱型するセグメント脱型工程と、を有し、前記セグメント脱型工程では、前記コンクリート打設工程後、少なくとも15時間経過後に前記セグメントを脱型する。
本発明の請求項に記載の発明によれば、鉄筋コンクリートには、少なくとも主鉄筋に超高強度鉄筋SD490、SD590、又はSD685のいずれかが配設されていることから、高い許容応力度によって設計照査されるので、経済的なセグメントの設計及び製造が可能となる。その結果、セメントや骨材、鉄筋等の資源エネルギーを節約することができ、地球環境維持に貢献することが可能となる。
また、本発明の請求項1に記載の発明によれば、圧縮側の主鉄筋に発生する応力度を降伏強度まで許容可能とし、せん断補強筋に超高強度鉄筋を用いているので、セグメントの厚さを抑えることができることから、経済的で、省資源、省エネルギーなトンネル構造物を築造することができる。
また、本発明の請求項4に記載の発明によれば、鉄筋コンクリートは、水セメント比が20~30%であって、鉄筋コンクリートには、爆裂防止用繊維及び剥落防止用繊維の少なくとも一方が混入され、セメントは、シリカヒュームがセメントの重量に対して少なくとも10%を超えて配合されたシリカヒュームセメントであって、細骨材、粗骨材、早強性膨張剤が配合されるとともに、高性能減水剤及び消泡剤が混和され、消泡剤は、爆裂防止用繊維及び剥落防止用繊維の少なくとも一方の混入量に応じて増加して添加されてなるので、従来強度コンクリートセグメント及び合成セグメントよりも経済的で、耐久性に富み、高速施工に適した超高強度鉄筋コンクリートセグメント及びその製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る超高強度鉄筋コンクリートセグメントにより組み立てられたセグメントリングを示す正面図である。 図1の側面図である。 本発明の一実施形態に係る超高強度鉄筋コンクリートセグメントの鉄筋の配筋状態の構造を示す展開平面図である。 図3のA-A線による断面図である。 図3のB-B線による断面図である。 図3の角部をC方向から見た断面図である。 図3の2種類の配力鉄筋を示す拡大図である。 図3のせん断補強鉄筋を示す拡大図である。 (A),(B)は、それぞれ図3の側部縦方向組立鉄筋を示す拡大図である。 一実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法の順序を示す工程図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[一実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る超高強度鉄筋コンクリートセグメントにより組み立てられたセグメントリングを示す正面図である。図2は、図1の側面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントを用いたセグメント覆工体(トンネル覆工体)は、全体が円筒状に形成され、口径が例えば13m程度の大口径では、計11片のセグメントから構成される。具体的には、セグメントリング10は、A1型のセグメント11が1片、A2型のセグメント12が2片、A3型のセグメント13が5片、B1型のセグメント14が1片、B2型のセグメント15が1片、K型のセグメント16が1片の合計11片のセグメントから構成されている。このセグメントリング10を用いてセグメント覆工体が製造される。セグメントリング10は、切羽側及び坑口側にそれぞれリング継手面17が形成されている。これらリング継手面17には、それぞれリング継手18が設けられている。セグメント11~16は、それぞれ両端にセグメント継手面17aを有し、互いにセグメント継手19(図3に示す)によって接合されている。
本実施形態では、セグメント製造用の型枠(図示を省略)を用いて、少なくとも1日当たり1リングのセグメント覆工体が製造される。セグメント製造用の型枠は、建築における柱部材や梁部材のプレキャスト部材の型枠と比較して、円弧部を有する板状で、非常に精密に加工された製品である。また、型枠転用回数が多い。通常、上記セグメント覆工体は、大口径トンネルで11~13片のセグメントから構成されている。
本実施形態のセグメント製造用の型枠は、組立、脱型、及び振動や移動に耐えられなければならないので、型枠は剛性及び強度の高い鋼製部材で作製されている。また、型枠はシール溝、継手部材金具等を正確な位置に設置する必要があることから、例えば6軸NC加工機等による精密な機械加工によって作製することが望ましい。
通常、型枠は、剛性及び精度の高いものが要求されるため、その製作費も非常に高価となる。したがって、少なくても1日1リングのサイクルでセグメント覆工体を製造する必要がある。1日当たり1リングのセグメント覆工体が製造できない場合には、製造期間を延ばすか、あるいはセグメント製造用の型枠の数を増やすことになり、製造要員を増加させることも必要となる。その結果、諸経費が嵩むこととなる。したがって、セグメントの製造工程の短縮化を図ることが非常に重要となる。
セグメント製造工程の中では、型枠脱型時間を短縮することが求められている。本実施形態では、超高強度コンクリートに、膨張剤を混和したので、コンクリート打設後に脱型強度発現時間(型枠脱型時間)を15時間に短縮することができる。その結果、型枠1セットで1日1リングのセグメント覆工体の製造が可能となる。
また、本実施形態では、後述するように鉄筋かごに超高強度鉄筋を使用することにより、鉄筋かごの重量が大幅に軽減され、鉄筋かごの組立作業や、型枠への設置作業が容易になり、作業時間も短縮することができる。
さらに、本実施形態では、超高強度コンクリートに、高性能減水剤(ポリカルボン酸エーテル系化合物、ポゾリス:マスターグレニウムSP-8HU(商品名))を混和することにより、大きなスランプフローと流動性に富んだ性状の超高強度コンクリートを得ることができる。これにより、本実施形態では、後述するように爆裂防止用の繊維、剥落防止用の繊維を混入するにも拘わらず、打設時でも流動性を十分有し、自己充填性を備えた製造効率の高いセグメントの製造が可能となる。
本実施形態においては、このような高い流動性及び高い自己充填性を備えたことにより、従来の型枠テーブル振動台のような大掛かりな設備が不要となり、型枠取付けバイブレータや棒バイブレータを使用することで、十分に締固めや充填が可能となることから、振動騒音に関する周辺領域への環境対策になるとともに、作業員の労働衛生面への有効な対策にもなる。
ところで、上記爆裂防止用、剥落防止用の繊維を必要としないトンネルセグメントでは、水セメント比であるW(水)/C(セメント)を変えることができる。この場合、勿論スランプフローも変化する。なお、本実施形態では、爆裂防止用、剥落防止用の繊維を混入しない場合であっても、最大78cm程度のスランプフローを得ることができた。
本実施形態では、設計基準強度60N/mmを超えて120N/mmまでの超高強度鉄筋コンクリートを採用することにより、セグメントの厚さは50~55cmとなり、コンクリート厚さtとセグメントリング外径Dとの比は、通常のt/D=4%程度になって経済的合理性が成立し、セメント、骨材等の資源やエネルギーの節約が可能となり、サステイナブル(持続可能な)な技術として好適である。
従来、コンクリートセグメントでは、高強度コンクリートの製造に適したセメントとして施工性を損なうことがなく、水セメント比の低減が可能で、長期強度を発現可能な低発熱セメント(中庸ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント)が、80N/mm程度の高強度コンクリートに利用されている。
しかしながら、爆裂防止用のPP(ポリプロピレン)繊維、剥落防止用のPP(ポリプロピレン)繊維を混入した設計基準強度80N/mmを有する、従来のセグメントコンクリートの配合(水セメント比30~40%、スランプ3~4cm、固練りコンクリート)では、従来のセグメントの製造(型枠全体を振動させるテーブルバイブレータによる締め固め)は、以下の理由で困難である。
このような従来のセグメントコンクリートの配合では、バッチャープラントによる練り混ぜ時間が大幅に増えるばかりではなく、内部にコンクリート、繊維が付着し易いため毎回清掃が必要になり、このため稼働効率が低下し、コストが上昇する。また、テーブルバイブレータによる締め固め時間が大幅に増え、振動や騒音等の環境問題を引き起こすこととなる。そして、表面仕上げ作業時間が大幅に増える。これによりセグメント製造工程が大幅に増加し、効率性が高い1日1サイクル製造工程の成立が困難である。
本実施形態における超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法では、シリカヒュームをセメント工場、大規模プラント等の工場において予め配合された、シリカヒュームセメント(SFC)(例えば、商品名シリカヒュームプレミックスセメント=SFPC)が使用される。
ここで、シリカヒュームは、非常に微小で比重が低いため、単に混ぜるだけではセメント粒子の周囲に均一に分散させることは困難である。シリカヒュームとは、フェロシリコン等を製造する際の副産物で、非常に微細な球状粒子酸化シリコンの粒子である。シリカヒュームとは、フェロシリコンやシリコンメタルを製造する時に発生するガスを集塵して得られる二酸化珪素(SiO)を主成分とする超微粉末である。
また、シリカヒュームは、比表面積が大きな微粉末で、従来の生コンクリートプラントの設備では、シリカヒュームコンクリートの製造が困難であった。
しかしながら、シリカヒュームセメントは、最近セメント工場で製造できるようになり、これを用いることにより、セグメント工場の生コンクリートプラントにおいても、品質が保証されるシリカヒューム入りコンクリートセグメントを製造できるようになった。
また、セグメント工場が近距離に設置されておらず、トンネル発進坑付近にセグメント製造基地を設ける場合においても、このシリカヒュームセメントを用いてシリカヒュームコンクリートセグメントの製造が可能である。
シリカヒューム粒子は、セメントよりも極めて小さな球形であることが特徴であり、粒径は1μm以下、平均粒径は0.1μm程度であって、比表面積(BET)は平均20m/g程度であることが知られている。シリカヒューム粒子の主成分は、アルカリ溶液中で可溶性となる非晶質の二酸化珪素(SiO)であり、ポゾラン反応が期待できる。さらに、セグメントは、通常脱型後に水中養生されるため、ポゾラン反応が促進され、コンクリートの緻密化が図れる。
本実施形態では、このシリカヒュームセメント及び高性能減水剤により水セメント比をさらに低減することができ、セグメントにおけるコンクリートの強度100N/mm~120N/mm程度の超高強度を実現し、コンクリートセグメントの製造においてその効率性も向上することができる。
本発明者等は、セグメントの材料、製造方法、トンネル現場での取扱いの容易性等の様々な観点から考察研究し、多くの配合例について各種の試験を繰り返して、超高強度コンクリートの好適な配合例を得た。
表1では、爆裂防止用のポリプロピレン繊維PP1と剥落防止用のポリプロピレン繊維PP2を混入した場合の典型的な配合例及びW/C、圧縮強度等を示している。
表1及びその他の実験データによれば、W/Cは20%~30%である(又は、W/Cは20%、25%、30%の3ケースで実施した。)。粗骨材絶対容量は300l/mであり、280l/m程度でもよい。スランプフローは、約33~53cmであった。
高性能減水剤は、W/Cが25%~30%の場合、高性能減水剤のSP1がセメント重量の1.4~1.6%混和された。ここで、W/CのWは単位水量であり、W/CのCは単位セメント量である。
W/Cが20%の場合、高性能減水剤のSP2がセメント重量の1.1~1.3%混和された。消泡剤は、セメント重量の0.02%=10T混和された。空気量は1.1~1.2%で2%を下回った。配合単位量では、水170kg/m~160kg/mである。
シリカヒュームセメントは567~800kg/m使用された。細骨材は、832kg/m~656kg/m配合された。粗骨材は、804kg/m配合された。膨張剤は30kg/m混和された。細骨材には、例えば砕砂が使用され、粗骨材には、砕石が使用される。
材令28日圧縮強度は、95.8(≒96.0)N/mm~133N/mmを得たことが確認された。打設15時間後で圧縮強度15N/mmを超え、15~26N/mmが得られた。
表1の超高強度コンクリートセグメントの配合は、爆裂防止用のポリプロピレン繊維PP1を0.1vol%~0.3vol%混入し、剥落防止用のポリプロピレン繊維PP2を0.3vol%混入する場合である。なお、上記vol%とは、コンクリート体積に対する繊維の体積である。
また、超高強度コンクリートセグメントの配合において、爆裂防止用のポリプロピレン繊維PP1や剥落防止用のポリプロピレン繊維PP2のいずれも混入しない場合の代表的な配合を表2に示す。
表2及びその他の実験データにおいて、W/Cは20%~30%である。粗骨材絶対容量は300l/mとした。なお、280l/m程度でも好適である。スランプフローは78.1~84.3cmであった。W/Cが30~25%の場合、高性能減水剤としてSP1が、セメント量の1.4%~1.7%混和された。また、W/Cが20%の場合、高性能減水剤としてSP2が、セメント量の1.1~1.3%混和された。
消泡剤は、0.02%=10T混入された。空気量は1.1~1.7%であり、2%を超えることは無かった。コンクリート出来上り1m当り配合重量では、水170kg/m~160kg/mである。シリカヒュームセメントは567~800kg/mである。細骨材は、832kg/m~656kg/m配合された。粗骨材は、上記配合においては804kg/m配合された。
ここで、本実施形態において、コンクリートm当たりの粗骨材の配合重量としては、400kg/m~1100kg/mの範囲が望ましい。因みに、粗骨材は、そのかさ容積、実積率、及び表乾密度が締固め状況や天候等の条件により変化するので、これらの条件を考慮すると400~1100kg/mとなる。上記配合においては、膨張剤は30kg/m程度混和された。なお、上記膨張剤は20~50kg/mの範囲で使用するのが望ましい。
材令28日圧縮強度は、102N/mm~133N/mmを得たことが確認された。打設15時間後で圧縮強度15N/mmを超える16~31N/mmが確認された。
次に、表1、表2に共通して用いた記号は以下の通りである。
W:水、C:セメント、S:細骨材、G:粗骨材、PP1:爆裂防止用(耐火用)のポリプロピレン繊維、PP2:剥落防止用のポリプロピレン繊維である。
表1、表2の配合においては、水セメント比(W/C)が30%以下と小さいこと、セメント量が多いことに特徴がある。また、水セメント比としては、15%から35%程度が好適である。骨材として、細骨材の密度2.65kg/cm、粗骨材の密度2.68kg/cmと高密度の骨材、言い換えると高強度の骨材が使用されている。
超高強度及び耐久性、そしてDEF(Delayed Ettringite Formationの略称)対策として硬化温度の抑制を図るため、セメントは、シリカヒュームセメント(例えば商品名シリカヒュームプレミックスセメントSFPC)を使用することに特徴の一つが挙げられる。なお、上記DEFとは、エトリンガイトの遅延生成によってコンクリートに膨張劣化を引き起こす現象をいう。
本実施形態では、セメント工場を出荷した状態でセメント重量の10%を超えたシリカヒュームを含有するシリカヒュームセメントが用いられている。このセメントを用いることにより、上記DEFが発生する温度設定を通常は65℃に対して、80℃まで引き上げることができるので、上記DEFの抑制に非常に効果的であり、セグメントの製造の効率化も図ることができる。
道路トンネルでは、火災時のセグメントの爆裂及び剥落を防止するために2種類のポリプロピレン繊維が混入される。また、鉄道トンネルでは、剥落防止用のポリプロピレン繊維PP2のみが混入される場合でも、本実施形態の配合を適用することが可能である。さらに、地下貯留トンネル等の大口径のシールドトンネルの建設においては、上記ポリプロピレン繊維を混合しない場合にも本実施形態を適用することができる。
セグメントに配置された鉄筋籠にコンクリートを隙間なく型枠の隅々まで充填し、かつ行き渡らせるためには、自己流動性が高く、かつ骨材分離がなく、スランプフローの高い、流動性を確保するために、高性能減水剤が配合される。
この高性能減水剤は、およそセメント量の1.0~1.6%程度使用されると好適である。
高性能減水剤としては、例えばマスターグレニウム8000S(商品名)(以下、SP1と称す)を、W/C20%を超えるところで使用し、W/C20%以下では、マスターグレニウムSP-8HU(商品名)(以下、SP2と称す)を使用すると好適である。
上記非特許文献1では、高性能減水剤(ポリカルボン酸と配向ポリマーの複合体)を用いている。この配向ポリマーは、ポリカルボン酸の中でも流動性の保持に特化したもので、これを配合した複合体の非特許文献1に用いられたマスターグレニウムSP8LS等は、W/C30%以上に使用される。
これに対し、本実施形態に用いる高性能減水剤であるマスターグレニウム8000S(SP1)やマスターグレニウムSP-8HU(SP2)は、マスターグレニウムSP8LSよりW/C30%以下の高強度側で使用するものであり、性能において大きく異なるものである。
また、本実施形態は、型枠の転用回数の向上を目的として早期強度を発現させて脱型時間の短縮を図るために、膨張剤(例えば、太平洋N-EX(商品名))が混和される。この膨張剤は、コンクリートm当り20~50kgの範囲で混和されると好適である。膨張剤は、石灰系特殊クリンカーを主成分とする無機系の早強性膨張材である。
さらに、消泡剤は、例えばポゾリスマスターエア404(商品名)が使用される。コンクリートに要求される空気量は、耐久性の確保及び凍結融解に対する抵抗性を増すため、2~3%に制御する必要がある。消泡剤は、通常のコンクリートにおいてセメント重量の0.002%であって、空気量が1%程度低減することができるが、粘性の高い超高強度コンクリートでは、空気量が抜けにくいため、使用量が多く必要である。
本実施形態における超高強度コンクリートセグメントでは、コンクリートにポリプロピレン繊維を混入しない場合、消泡剤をセメントの0.02%程度添加される。
しかしながら、コンクリートに爆裂や剥落を防止のためにポリプロピレン繊維を混入する場合には、練り混ぜにより空気を巻き込むため、練り混ぜ途中からポリプロピレン繊維を添加する場合、同時に消泡剤を0.1%添加し、合計0.02+0.10=0.12%を添加されると好適である。あるいは、当初からそのポリプロピレン繊維を混入するような場合、セメント重量の0.12%の消泡剤を添加してコンクリートを練るようにしてもよい。
本実施形態によりコンクリートで混和される膨張剤は、自己及び乾燥収縮を防止する機能を有するが、それとともに早期強度を発現することができる特徴を有している。
これにより、上記の配合において、打設後約15時間で脱型強度15N/mmを超える値が得られ、脱型可能時間として15時間が確認された。よって、本実施形態においては、コンクリート打設後少なくとも15時間から長くても20時間を超えずに脱型することができるようにしたものである。これにより、1日1リングのセグメントを製造することができる。
さらに、材令28日圧縮強度は、96N/mm~132N/mm、平均128N/mmの高強度を実現できた。
本実施形態の超高強度コンクリートによれば、試験結果から得られた強度とそれに相当する設計基準強度を( )内に示すと、およそ96N/mm(80N/mm、PP繊維混入)から128N/mm(100N/mm)に対応することができる。
本実施形態では、このような基本配合に基づき、季節に応じて若干の変更を行うことにより、通年で脱型強度及び28日強度を確保することができる。
表3は、鉄道用トンネルセグメントに使用すると好適な配合の実施形態である。この実施形態の繊維は、剥落防止用のポリプロピレン繊維PP2のみが混入される。表3の配合例におけるコンクリート打設後の初期圧縮強度は、15時間で22.1N/mmを得た。したがって、型枠の脱型は、打設後少なくとも15時間あれば十分可能であることが判明した。なお、この時間は、脱型強度で配合が決まることから、18~20時間養生する可能性もある。
さらに、28日材齢の圧縮強度は127N/mmが確認されており、ポリプロピレン繊維の有無で、圧縮強度の差はほとんどない。したがって、超高強度コンクリートセグメントの配合例として十分実用可能であることは明らかである。
<超高強度鉄筋の説明>
次に、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントに用いられる超高強度鉄筋について説明する。
まず、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの配筋構造について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る超高強度鉄筋コンクリートセグメントの配筋構造を示す展開平面図である。図4は、図3のA-A線による断面図である。図5は、図3のB-B線による断面図である。図6は、図3の角部をC方向から見た断面図である。図7は、図3の2種類の配力鉄筋を示す拡大図である。図8は、図3のせん断補強鉄筋を示す拡大図である。図9(A),(B)は、それぞれ図3の側部縦方向組立鉄筋を示す拡大図である。
なお、図3~図5では、紙面上側がトンネルの坑口側を、その下側はトンネルの切羽側を示している。また、図3は円弧状のセグメントを展開した状態を示し、本来は円弧形状に形成されている。図3のセグメントを展開した状態において、その左半分は、セグメントの外径側を示し、右半分はセグメントの内径側の鉄筋構造を示している。さらに、図3~図5では、リング継手18を一点鎖線で示している。図3~図9において、主鉄筋21は太線、第1配力鉄筋22aは白抜き、第2配力鉄筋22bはハッチング、せん断補強鉄筋23は砂目模様、側部横方向組立鉄筋24は水平ハッチングと砂目模様との組合せ、側部縦方向組立鉄筋25は灰色により、それぞれを示している。
図3~図5に示すように、本実施形態のセグメント20は、外径側の外周面20aと、内径側の内周面20bを有している。セグメント20は、その径方向に沿って複数の主鉄筋21が配設され、これらの主鉄筋21は外径側及び内径側の幅方向に所定の間隔をおいて互いに平行に配置されている。
本実施形態において主鉄筋21には、超高強度鉄筋である鉄筋等級SD490、SD590、又はSD685から設計計算に基づいて適宜選定されて使用される。配力鉄筋22は、主鉄筋21に生じる応力を均等化するため、主鉄筋21を囲むように、主鉄筋21と直交する方向に配置されている。これらの配力鉄筋22は、図4に示すように略溝形鋼の形状に加工された第1配力鉄筋22aと、直線状に形成された第2配力鉄筋22bを接続して構成されている。これら第1配力鉄筋22a及び第2配力鉄筋22bにおいても、主鉄筋21と同様に当然上記超高強度鉄筋を用いるべきである。しかし、十分な検討を行うことにより、それ以外の鉄筋も使用することができる。
また、主鉄筋21と直交する方向には、せん断補強鉄筋23が複数配設され、これらのせん断補強鉄筋23が第1配力鉄筋22a及び第2配力鉄筋22bに沿って坑口側及び切羽側に第1配力鉄筋22a及び第2配力鉄筋22bの一本置きに交互に配置されている。これらせん断補強鉄筋23は、図7に示すように略溝形鋼の形状に加工されており、超高強度鉄筋(例えば、UB785)が用いられている。
なお、図3に示すセグメント20の径方向の両端には、それぞれ側部横方向組立鉄筋24が坑口側と切羽側との間に配設されている。これらの側部横方向組立鉄筋24は、主鉄筋21と直交する方向に配置されている。
また、側部横方向組立鉄筋24には、図9(A)に示すように側部縦方向組立鉄筋25の第1側部縦方向組立鉄筋25aが直交して配置されるとともに、主鉄筋21に隣接して設けられている。この第1側部縦方向組立鉄筋25aは、コ字状に形成されている。また、側部縦方向組立鉄筋25は、図9(B)に示すようにせん断補強鉄筋を兼用する第2側部縦方向組立鉄筋25bを備えている。
次に、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの超高強度鉄筋の作用及び効果について説明する。
従来の設計手法である許容応力度法により設計される超高強度鉄筋コンクリートセグメントは、圧縮側コンクリートの応力が許容応力度以内とするものの、現行のセグメントに使用されている鉄筋等級は最大でSD390であるため、その鉄筋応力は許容応力度を満足しない。ここで、SD390とは、JISG3112で規定された鉄筋コンクリート用棒鋼であり、区分としては異形棒鋼である。
そこで、本実施形態による超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、超高強度の鉄筋等級SD490、SD590、又はSD685を採用している。これにより、その高い許容応力度によって設計照査されるので、経済的なセグメントの設計及び製造が可能となる。その結果、セメントや骨材、鉄筋等の資源エネルギーを節約することができ、地球環境維持に貢献することが可能となる。
また、従来の鉄筋等級SD390の鉄筋では、鉄筋比(As/b・d、As:鉄筋断面積、b:幅、d:有効高)が1%以上で鉄筋量が多くなって密に配置されるため、セグメント型枠内にコンクリートを打設する際、コンクリートの流動性が阻害され、締め固めが困難になる問題があった。
その点、本実施形態による超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、主鉄筋は最小鉄筋量を配置する必要があるものの、セグメントにおいては、超高強度の鉄筋等級SD490、SD590、又はSD685を採用することから、鉄筋比が0.5%程度に抑えることができる。その結果、鉄筋の間隔を広く確保することができ、セグメント製造時の打設コンクリートの充填性を一段と良好にすることが可能である。
したがって、本実施形態では、コンクリートの打設において、コンクリートの流動性が阻害されず、締め固めが容易となり、セグメント型枠の隅々までコンクリートを充填することができる。これにより、緻密で良質なセグメントの製造が可能となる。
さらに、現行の土木学会トンネル標準示方書では、鉄筋の等級及び許容応力度は、鉄筋等級SD390まで示されているが、鉄筋等級SD490の明示はなく使用実績もない。そのため、現行のセグメントに使用されている鉄筋は、鉄筋等級SD390までである。鉄筋等級SD390の鉄筋を用いたセグメントでは、セグメントの厚さが大きくなるため、掘削土量が増大し、より大口径シールド掘進機が必要となり、裏込め材も多くなり、多くの資材、そして設備が必要となり、多くの資源やエネルギーを費やすという問題があった。
そこで、本実施形態による超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、超高強度鉄筋コンクリートセグメントの特性を発揮させるために、鉄筋の降伏強度に応じて許容応力度が設定されている。
従来、セグメントの鉄筋は、鉄筋等級SD390を使用するため、鉄筋量が多くなるのに対して、本実施形態では、少なくとも主鉄筋に超高強度鉄筋である鉄筋等級SD490、SD590、又はSD685を使用するとともに、せん断補強鉄筋においてもUB785を使用している。そのため、鉄筋量が少なくなり、コンクリートの充填性が良好で資源の節約に貢献することができる。
なお、せん断補強鉄筋においても、鉄筋等級SD490、SD590、又はSD685を使用してもよい。また、強度計算に基づいて従来の鉄筋を使用することも排除しない。さらに、配力筋においても上記超高強度鉄筋を使用してもよい。
そして、従来の許容応力度設計法においては、圧縮側主鉄筋の応力を許容応力度以内にする必要がある。大断面、大深度のシールドトンネルでは、軸力が卓越することから、圧縮側鉄筋量が多くなる。
しかしながら、圧縮側鉄筋量を2倍にしても、曲げ圧縮耐力は引っ張り鉄筋の降伏強度が支配的であり、20%程度高くなるだけであり、効果が極めて小さく経済的に不合理である。
そこで、本実施形態による超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、超高強度コンクリートを用い、その場合の圧縮側鉄筋の許容値を降伏強度とすることで、許容応力度設計法での設計が成立し、セグメントの厚さを増やさなくても、経済的な設計・製造が可能となる。
超高強度コンクリートを使用する本実施形態による超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、圧縮側鉄筋の許容値を降伏強度とすることで、セグメントの厚さを抑えることができることから、経済的で、省資源、省エネルギーなトンネル構造物を築造することができる。
また、鉄筋コンクリート構造物では、圧縮側鉄筋の応力を降伏応力以下にすれば弾性限度を越えないので、復元力を確保することができる。
本実施形態における設計法は、圧縮側鉄筋の許容値を降伏強度とすることにより、セグメントの曲げ圧縮耐力が引張側鉄筋の降伏強度に支配されるため、安全側の設計にすることが可能となる。
従来の設計手法により設計して製造すると、大断面のシールドトンネルでは、地震時に大きなせん断力が発生するため、セグメントの厚さ及びせん断補強鉄筋の量が増し、トンネルの外径が大きくなる。その結果、資源及びエネルギーを多く費やし、工事費が高くなるという問題があった。
そこで、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、超高強度コンクリート及びせん断補強筋(スターラップ筋:主鉄筋と直交方向に配列されるあばら筋)に超高強度鉄筋(UB785)を使用したので、セグメント厚さtは、t/D=4%以下になり、経済的で、かつ省資源的なセグメントが実現できる。
本実施形態では、主鉄筋のみならず、配力鉄筋にも高強度鉄筋を使用すると好適であり、またせん断補強鉄筋(あばら筋=スターラップ筋)にも超高強度鉄筋(UB785)が使用される。
組立鉄筋は、リング継手の側面やセグメント(ピース間)継手側面の近傍に配置され、主鉄筋の上下間隔を確保する組立鉄筋は、せん断補強作用を有することから、超高強度鉄筋(例えば、UB785)を使用することが望ましい。
組立鉄筋は、セグメント継手面やリング継手面の近傍において、主鉄筋や配力鉄筋に沿って多数配置されている。この組立鉄筋をせん断補強鉄筋として機能させるために、略コの字形の組立鉄筋の端部を90度、あるいは135度の折れ角度とその所定長を有するフック部を設けることが望ましい。
ところで、従来設計による浅深度、大断面のセグメントトンネルでは、トンネル通過部の土質が軟弱地盤になることがあり、この軟弱地盤では、大きな曲げモーメントが発生するため、セグメント厚さtが、t/D=4%(tはセグメント厚さ、D:セグメント外径)を大幅に超え、トンネル径が大きくなり、工事費用が高くなるという問題があった。
そこで、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントでは、超高強度コンクリート、超高強度鉄筋を使用しているので、大きな曲げモーメントに抵抗できるため、t/D=4%程度になり、経済的な設計及び製造が可能となる。
<本実施形態のセグメントの製造方法>
次に、本実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法について説明する。図10は、一実施形態の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法の順序を示す工程図である。
図10に示すように、まず、型枠セット工程P1では、図示を省略した型枠のいずれかをセットする。鉄筋かご設置工程P2では、このようにセットした型枠内に例えば鉄筋かごを設置する。コンクリート打設工程P3では、鉄筋かごを設置した型枠のいずれかの内部に上述した超高強度コンクリートを打設する。この超高強度コンクリートには、上述したように早期強度を発現するために、膨張剤が混和されている。そして、セグメント脱型工程P4では、型枠からセグメントを脱型する。さらに、脱型したセグメントを水中で養生する水中養生工程P5を経てストックされる。
ここで、本実施形態のセグメント脱型工程P4では、コンクリート打設工程P3の後に、少なくとも15時間経過後にセグメントを脱型するようにしている。
このように本実施形態では、コンクリート打設工程P3の後に、少なくとも15時間経過後にセグメントを脱型することにより、型枠1セットで1日1リングのセグメント覆工体の製造が可能となる。また、本実施形態では、セグメントを脱型した後に水中養生工程P5で水中養生されるため、ポゾラン反応が促進され、コンクリートの緻密化を図ることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態による超高強度コンクリートを適用することで、従来強度コンクリートセグメント及び合成セメントよりも経済的で、耐久性に富み、高速施工に適したコンクリートセグメントを実現することが可能となる。
<他の実施形態>
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、上記実施形態では、本発明を限定するために記載されたものではない。
10 セグメントリング
11~16 セグメント
17 リング継手面
17a セグメント継手面
18 リング継手
19 セグメント継手
20 セグメント
20a 外周面
20b 内周面
21 主鉄筋
22 配力鉄筋
22a 第1配力鉄筋
22b 第2配力鉄筋
23 せん断補強鉄筋
24 側部横方向組立鉄筋
25 側部縦方向組立鉄筋
25a 第1側部縦方向組立鉄筋
25b 第2側部縦方向組立鉄筋

Claims (8)

  1. トンネル覆工体を形成するとともに、鉄筋コンクリートからなる超高強度鉄筋コンクリートセグメントにおいて、
    前記鉄筋コンクリートは、水セメント比が20~30%であって、
    前記セメントは、シリカヒュームが前記セメントの重量に対して少なくとも10%を超えて配合されたシリカヒュームセメントであって、細骨材、粗骨材、早強性膨張剤が配合されるとともに、高性能減水剤及び消泡剤が混和され、
    前記鉄筋コンクリートには、少なくとも主鉄筋に超高強度鉄筋SD490、SD590、又はSD685のいずれかが配設され、圧縮側の主鉄筋に発生する応力度を降伏強度まで許容可能とし、せん断補強筋に超高強度鉄筋を用いてなる超高強度鉄筋コンクリートセグメント。
  2. 前記鉄筋コンクリートのコンクリートは、設計基準強度が60N/mm を超えて120N/mm に設定されている請求項1に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメント。
  3. 請求項1又は2に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法であって、
    型枠をセットする型枠セット工程と、
    前記型枠内に鉄筋かごを設置する鉄筋かご設置工程と、
    前記型枠内に高強度コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
    前記型枠内からセグメントを脱型するセグメント脱型工程と、を有し、
    前記セグメント脱型工程では、前記コンクリート打設工程後、少なくとも15時間経過後に前記セグメントを脱型する超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法。
  4. トンネル覆工体を形成するとともに、鉄筋コンクリートからなる超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法において、
    前記鉄筋コンクリートは、水セメント比が20~30%であって、前記鉄筋コンクリートには、爆裂防止用繊維及び剥落防止用繊維の少なくとも一方が混入され、
    前記セメントは、シリカヒュームが前記セメントの重量に対して少なくとも10%を超えて配合されたシリカヒュームセメントであって、細骨材、粗骨材、早強性膨張剤が配合されるとともに、高性能減水剤及び消泡剤が混和され、
    前記消泡剤は、前記爆裂防止用繊維及び前記剥落防止用繊維の少なくとも一方の混入量に応じて増加して添加されてなる超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法
  5. 前記爆裂防止用繊維及び前記剥落防止用繊維は、ポリプロピレン繊維からなる請求項に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法
  6. 前記鉄筋コンクリートのコンクリートは、設計基準強度が60N/mm を超えて120N/mm に設定されている請求項4に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法。
  7. 前記消泡剤は、前記セメント重量に対して少なくとも0.12%添加されてなる請求項4に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法
  8. 請求項4乃至7のいずれか一項に記載の超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法であって、
    型枠をセットする型枠セット工程と、
    前記型枠内に鉄筋かごを設置する鉄筋かご設置工程と、
    前記型枠内に高強度コンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
    前記型枠内からセグメントを脱型するセグメント脱型工程と、を有し、
    前記セグメント脱型工程では、前記コンクリート打設工程後、少なくとも15時間経過後に前記セグメントを脱型する超高強度鉄筋コンクリートセグメントの製造方法。
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