JP7380338B2 - めっき装置およびめっき方法 - Google Patents
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Description
給電体と接触治具は、接触する際に摩耗するが、接触時に発生する熱で摩耗粉が酸化し、摩耗粉が絶縁性を帯びる。このようにして絶縁性を帯びた摩耗粉が接触治具上へ堆積すると、摩耗粉の堆積層は給電の支障となる。
そのため、接触治具の接触面を定期的に研磨して堆積摩耗粉を除去し、給電状態を良好に維持するようにしていた。
また、摩耗粉の堆積により給電不良が生ずると、めっき層の品位が低下する。さらに、堆積により抵抗が増すため電流を多く流す必要がでてくる、このように大電流が流れると整流器が異常と判断しめっき装置の運転を止めるので生産性が落ちるという問題がある。
第2発明のめっき装置は、第1発明において、前記清掃器具は、前記クランプの走行方向において前後に2台が配置されていることを特徴とする。
第3発明のめっき装置は、第2発明において、前記清掃器具は、前記清掃体を前記接触治具に押圧付勢する圧縮バネを備えており、走行方向前側のクランプの圧縮バネは押圧付勢力が小さく、走行方向後側のクランプの圧縮バネは押圧付勢力が大きいことを特徴とする。
第4発明のめっき装置は、第1、第2または第3発明において、前記めっき装置における前記移動経路は、前記クランプが前記基材フィルムを把持して移動する把持区間と、前記クランプが前記基材フィルムを把持していない非把持区間とからなり、前記清掃器具は、前記非把持区間に配置されていることを特徴とする。
第5発明のめっき装置は、第1、第2、第3または第4発明において、前記清掃器具は、清掃体と、該清掃体を支持する支持板と、該支持板を支軸を介して支持する本体ボックスとからなり、前記清掃体を前記支持板に取付けた取付位置と前記支持板を前記本体ボックスに取付ける支軸とは、前記クランプの走行方向において間隔があけられていることを特徴とする。
第6発明のめっき装置は、第1、第2、第3、第4または第5発明において、前記清掃体が、針状素材を束ねたブラシ体であることを特徴とする。
第7発明のめっき方法は、長尺帯状の基材フィルムを複数のクランプで吊持して、めっき槽を含むめっき装置内を移動させて、前記基材フィルムの表面にめっき層を形成するめっき方法であって、前記クランプは、その移動経路の適所において、接触治具の接触面が清掃器具で清掃されることを特徴とする。
第2発明によれば、1台目の清掃器具で除き切れなかった摩耗粉が2台目の清掃器具で除けるので、クランプの接触治具の清掃が完全になる。
第3発明によれば、圧縮バネの押圧力が弱い1台目の清掃器具で摩耗粉の大部分を除去しておき、圧縮バネの押圧力が強い2台目の清掃器具で残りのこびり付いた摩耗粉を除去するようにすると、過大な摩耗抵抗を避けながら、摩耗粉を効果的に除去できる。
第4発明によれば、清掃器具がクランプが基材フィルムを把持していない非把持区間に配置されているので、清掃に伴い摩耗粉が落下しても基材フィルムを汚染することがない。このため、特別の防汚装置を講じなくても、品位の高いめっき製品が得られる。
第5発明によれば、清掃体を備えた支持板が支軸を介して本体ボックスに取付けられているが、清掃体を支軸よりもクランプの進行方向下流側に向けておけば、清掃体と支軸との間に間隔があることによって、清掃体の幅方向両端を常に押すので、清掃体が接触治具の進行方向に対して直交した姿勢を保つ。このため、接触治具の接触面の全面を効率良く清掃できる。
第6発明によれば、ブラシ体の針状素材は、接触治具への接触圧力を大きくしたり小さくする設定が容易に行える。このため、適切に摩耗粉堆積物を掻き取ることができる。
第7発明によれば、クランプの接触治具は、めっき装置内を移動する間に給電体との接触により摩耗粉が接触治具上に堆積しようとするが、清掃器具で清掃されて摩耗粉が取り除かれるので、摩耗粉の堆積は生じない。このため、クランプから基材フィルムへの給電が充分に行われるので、めっき品位の高いめっき製品が得られる。また、接触治具の清掃が運転中に常時行われるので、めっき装置の運転を停止してメンテナンスする必要がない。このため、めっき装置の稼働率が向上する。
(めっき装置)
まず、本発明の一実施形態に係るめっき装置Aを図4に基づき説明する。図示のめっき装置Aは、後述する本発明に係るめっき方法を実施する装置でもある。
これらの各槽1,2,3に長尺帯状の基材フィルムFが順に搬送されて、基材フィルムFの表面にめっき膜が形成される。なお、本発明では、めっき膜の形成がなされたフィルムを製品フィルムという。
めっき装置Aには、前処理槽1手前の入側ガイドローラ6、前処理槽1とめっき槽2の間の第1中間ガイドローラ7、めっき槽2と後処理槽3の間の第2中間ガイドローラ8、および後処理槽3直後の出側ガイドローラ9が備えられている。
そして、多数のクランプ5は基材フィルムFの上縁を吊持しているので、エンドレスベルト4と共に基材フィルムFは、前処理槽1、めっき槽2、後処理槽3の内部を移動する。
なお、14は基材フィルムFを同じ姿勢で案内する水平ガイドロール、15は基材フィルムFの搬送姿勢を変換する傾斜ガイドロールである。
クランプ5は、接触治具20と、その下端に結合された吊持板21を備えている。接触治具20は上端部に電気の供給を受ける接触板22を有している。接触板22には、移動方向の前端に前下りの案内部22a(図2参照)が形成されている。また、接触治具20は、表裏両面にローラ23を軸支しており、ローラ23はめっき装置A内の固定部材である案内板24上を転動するようになっている。接触治具20には図4に示すエンドレスベルト4(図5および図6では不図示)が結合されているので、エンドレスベルト4が移動すると、接触治具20、ひいてはクランプ5が一定の高さを保って移動することになる。
前記レバー26の先端には、ブラケットを介してローラ29が回転自在に取付けられている。
上記の電極バー31は、めっき槽2の上部に配置されており、めっき槽2を通過中の基材フィルムFに電流が供給される。
本発明で用いられる清掃器具の清掃体は、クランプ5の接触板22上に堆積する摩耗粉を除去できるなら、どのようなものでも用いることができる。たとえば、針状素材で掻き取るブラシ体、回転ポリッシャー、板材で掻き取るスクレーパ、水や清掃用液体を圧力をかけて噴射する噴射装置などを、清掃体として例示できる。
また、ブラシ体を用いる場合、針状素材の選択にはとくに制限ない。このため、金属製のほか、ゴム製のもの、PPやPET等の合成樹脂製のものを例示できる。ブラシ体を金属製とする場合も、銅、真鍮、SUSなどをとくに制限なく用いることができる。
図1に示すように、清掃ブラシ40は、クランプ5における接触板22の上面を清掃できるように、その上方に配置される。また、その配置位置は、クランプ5の移動方向Mに沿った位置である。
清掃ブラシ40は、ブラシ体41と支持板42と本体ボックス43とを有している。ブラシ体41は、SUS材等のワイヤからなるブラシ44を数10本から数百本を束ねて上端部で一体的に固定したものである。ブラシ44の長さは概ね30~50mm程度が好ましく、束ねられたブラシ44の厚さは概ね6~10mm程度、幅は40~60mm程度が好ましい。ただし、本発明において寸法はこれらに限られない。ブラシ体41におけるブラシ44の長さと厚さは清掃の効率から選択すればよい。ブラシ体41の幅は、図3に示すように、清掃対象である接触板22の幅より広くしておくことが好ましい。
その理由は、清掃ブラシ40で接触治具20を掃除して発生する清掃粉によって基材フィルムFが汚れることがないからである。
また、前処理槽1、めっき槽2および後処理槽3をクランプ5が移動する経路上に清掃ブラシ40を設置することも可能ではあるが、各槽1,2,3への汚染防止をより徹底できる汚染防止装置を設けることが必要となる。
圧縮バネ46の押圧力が弱い1台目の清掃ブラシ40Aで摩耗粉の大部分を除去しておき、圧縮バネ46の押圧力が強い2台目の清掃ブラシ40Bで残りのこびり付いた摩耗粉を除去するようにすると、過大な摩耗抵抗を避けながら、摩耗粉を効果的に除去できる。また、1台目の清掃ブラシ40Aで除き切れなかった摩耗粉が2台目の清掃ブラシ40Bで除けるので、クランプ5の接触治具20の清掃が完全になる。
つぎに、本発明に係るめっき方法を説明する。代表的には本発明のめっき方法は、上記しためっき装置Aを用いて実施される。
上記めっき装置Aにおいて、長尺帯状の基材フィルムFを複数のクランプ5で吊持して、前処理槽1、めっき槽2、後処理槽3を順に移動させて、基材フィルムFの表面にめっき膜を形成する。
そして、クランプ5は、移動経路の適所(好ましくは、クランプ5が基材フィルムFを把持していない非把持区間)において、接触治具20の接触面を清掃ブラシ40で清掃する。
1 前処理槽
2 めっき槽
3 後処理槽
4 エンドレスベルト
5 クランプ
6 入側ガイドローラ
7 第1中間ガイドローラ
8 第2中間ガイドローラ
9 出側ガイドローラ
20 接触治具
22 接触板
25 挟持部
30 給電機構
32 給電体
40 清掃ブラシ
41 ブラシ体
42 支持板
43 本体ボックス
45 支軸
46 圧縮バネ
Claims (7)
- 長尺帯状の基材フィルムを複数のクランプで吊持して、めっき槽を含むめっき装置内を移動させて、前記基材フィルムの表面にめっき層を形成するめっき装置において、
前記クランプは、電流を供給する給電体と接触する接触治具と前記基材フィルムを挟持する挟持部を備えており、
前記クランプを移動させる移動経路において、前記接触治具の接触面を清掃する清掃体を具備する清掃器具が設けられている
ことを特徴とするめっき装置。 - 前記清掃器具は、前記クランプの走行方向において前後に2台が配置されている
ことを特徴とする請求項1記載のめっき装置。 - 前記清掃器具は、前記清掃体を前記接触治具に押圧付勢する圧縮バネを備えており、
走行方向前側のクランプの圧縮バネは押圧付勢力が小さく、走行方向後側のクランプの圧縮バネは押圧付勢力が大きい
ことを特徴とする請求項2記載のめっき装置。 - 前記めっき装置における前記移動経路は、前記クランプが前記基材フィルムを把持して移動する把持区間と、前記クランプが前記基材フィルムを把持していない非把持区間とからなり、
前記清掃器具は、前記非把持区間に配置されている
ことを特徴とする請求項1、2または3記載のめっき装置。 - 前記清掃器具は、清掃体と、該清掃体を支持する支持板と、該支持板を支軸を介して支持する本体ボックスとからなり、
前記清掃体を前記支持板に取付けた取付位置と前記支持板を前記本体ボックスに取付ける支軸とは、前記クランプの走行方向において間隔があけられている
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のめっき装置。 - 前記清掃体が、針状素材を束ねたブラシ体である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のめっき装置。 - 長尺帯状の基材フィルムを複数のクランプで吊持して、めっき槽を含むめっき装置内を移動させて、前記基材フィルムの表面にめっき層を形成するめっき方法であって、
前記クランプは、その移動経路の適所において、接触治具の接触面が清掃器具で清掃される
ことを特徴とするめっき方法。
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