JP7379775B2 - 高さ変調式回折マスタプレート及びその製造方法 - Google Patents

高さ変調式回折マスタプレート及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学用途におけるマイクロ構造体及びナノ構造体の製造に関する。具体的には、本発明は、ニアツーアイ(near-to-eye)・ディスプレイ等のディスプレイ用途に例えば使用可能な回折格子を製造するためのマスタプレートの製造に関する。
ニアツーアイ・ディスプレイ(NED、near-to-eye display)及びヘッドアップ・ディスプレイ(HUD、head-up display)は一般に、可視画像を形成するための回折格子を含む。回折格子は、画像ソースからの画像を導波路にカップリングするインカップリング回折格子として、ユーザに対する最終可視画像を形成するアウトカップリング回折格子として、及びディスプレイ射出瞳のサイズを拡大する射出瞳拡大素子(EPE、exit pupil expander)として必要とされる。
回折格子の品質及び特性により得られる画像の品質が決まる。はっきりとした一定な格子線を有することに加えて、高度な用途においては格子の回折効率を局所的に制御できることが望ましい。これは、格子内部の格子線高さ又は充填率を変更すること、すなわち、高さ変調又は充填率変調を用いることにより達成することができる。最大の効率調整可能範囲を実現するためには、高さも充填率も変調されるべきである。したがって、回折効率が自由に制御可能であり大量生産に適応可能な、堅実で費用効果的な回折格子の製造方法が必要とされている。
グレースケールリソグラフィにより異なる構造高さを有する構造体が製造される。しかしながら、プロセスの低コントラスト性のため、側壁が一般に丸められてしまい、完全に垂直ではない。また、グレースケールリソグラフィのプロセス制御は難易度が高い。さらに、ダイレクトリソグラフィ及びエッチングプロセスでは、格子のフィーチャ、すなわちリッジ及び溝が広範囲に渡り複数のアスペクト比及び深さを有する場合はとりわけ、調整により垂直方向に高精度をもたらすことが極めて困難である。また、これらの方法を高さ変調と併用してフィーチャの完全に垂直な側壁を実現することも困難である。一方で、スタンピング技術には、高品質なマスタプレートとこのマスタプレートを用いて製造されるスタンプが必要とされるため、マスタの製造が主たる課題となる。
高さ変調式構造体の製造は、一般に、1サイクルで1つの高さが画定される製造サイクルの繰り返しにより行なわれる。これには、高精度の位置合わせを伴う数回の露光が必要とされ、例えば、C.David著「Fabrication of stair-case profiles with high aspect ratios for blazed diffractive optical elements」,Microelectronic Engineering,53(2000)を参照されたい。この方法は煩雑であるため生産性が低い。この方法は垂直側壁の制御性に長けるが、煩雑さ及び要求される精度が欠点である。さらに、オーバーレイ露光には横方向の配置にナノメートルレベルの精度が要求され、最適値から少しでもずれると光学性能が失われる。
要約すると、産業規模での回折格子の大量生産において、高品質な高さ変調及び充填率変調、とりわけそれらの組み合わせを提供することが現在の難題であり、改良したツール及び方法がこの目的に必要とされている。
本発明は、先行技術における上記欠点の少なくともいくつかを解消すること、及び、回折構造体を製造するための新規解決法を提供することを目的とする。具体的には、スタンピング技術で使用される高品質な高さ変調式マスタプレートの製造方法及び対応するマスタプレートを提供することを目的とする。
また、高さ変調と充填率変調とを組み合わせることができる解決法を提供することを目的とする。
本発明は、光学的回折範囲に周期性を有する周期的構造体を有する基板を使用し、この構造体を、得られる表面プロファイルが高さ変調を有するように例えばエッチングにより除去される充填材料で充填する、という考案に基づくものである。除去プロセスでは、例えば光学的又は物理的マスク層型の不均一なマスクを用いて、プレートの最終的な変調特性を決定してもよい。
本発明の方法は、回折構造体を製造するためのマスタプレートを作製することを含み、前記マスタプレートは、
周期的な初期表面プロファイルを有する基板を提供することと;
前記初期表面プロファイルを少なくとも部分的に、充填材料で均一に充填することと;
前記充填材料を部分的に除去して、前記基板及び前記充填材料で形成される周期的な高さ変調式表面プロファイルを有するマスタプレートを作製することと、
により製造される。
前記除去工程は、後でより具体的に説明するように、例えばグレースケールリソグラフィを用いること又は充填材料上に物理的マスク層を用いることを含んでいてもよい。
本発明の回折構造体を製造するためのマスタプレートは:
フィーチャと前記フィーチャ間の間隙とによる周期的パターンを有する基板;及び
マスタプレートが高さ変調式表面プロファイルを有するように、前記間隙内に不均一な量で提供される充填材料、
を含む。
このように、高さ変調式プロファイルは、充填材料を組み合わせた初期表面プロファイルにより画定される。
初期表面プロファイルは、バイナリプロファイル、すなわち2つの高さプロファイルであってもよく、長方形のフィーチャではない、同様な三角形フィーチャ又は同様な傾斜したフィーチャで形成されるプロファイル等の周期的に繰り返す単一形状フィーチャパターンを有するプロファイルであってもよい。
より具体的には、本発明は、独立請求項に記載の発明であることを特徴とする。
本発明は、大きな利点もたらす。
第1に、本発明により、低コントラスト性及び得られる丸まった側壁に起因する、高さ変調を含むダイレクトリソグラフィ方法による構造体の品質が低いという問題が解決される。本方法において、側壁は基板により画定されるが、この基板は、例えばバイナリプロセスにより製造されこれにより極めて明確に画定された垂直側壁がもたらされる。バイナリプロセスは周知であり制御が容易である。次に不均一材料を除去する工程が導入され、高さ変調が実現される。このように、フィーチャの垂直側壁は、バイナリ構造体と充填層によるフィーチャの高度差とにより画定される。これらの2つの組合せにより、他の方法では実現が困難な、精密制御が可能なプロファイル形状及び高さがもたらされる。同様な利点が、例えば三角形の初期表面プロファイルについても当てはまる。
本発明は、可変回折効率を有する格子をさらに製造することができるマスタプレートの製造を可能とする。特に本方法は、高品質な回折構造体と組み合わせた、高さ変調及び所望により充填率変調を用いる回折効率の横方向変化を可能とする。
従属請求項は、本発明の選択された実施形態に関する。
ある実施形態では、充填層の不均一な部分的除去は、グレースケールリソグラフィによる除去を含む。これには、露光線量の違いにより露光される充填材料の溶解速度が変わり、そのため充填層の高さが変わる、あらゆる方法が包含される。このように上記用語は、材料の露光と除去された材料の厚さとをレーザ、電子又はX線源等の露光源により直接制御する、いわゆる直接描画法(direct write method)、並びに光学マスクと本質的に均一な輝度であり一般に横方向に広く露光する光源とを用いる方法の両方を包含する。露光は、光子(光)又は電子(それぞれ、光学又は電子ビーム露光)を用いて行ってもよい。また、直接描画法及び光学マスク法の併用又は変形も可能である。
充填層の部分的除去は、例えば、充填層として適切なレジスト層を設けた直後にフォトリソグラフィエッチング法を用いて行ってもよい。これにより、プロセスが極めて迅速かつ堅実になる。基板及びレジスト層の材料並びにエッチング方法は、レジスト層だけが変調されるように、とりわけバイナリフィーチャの垂直側壁がそのまま残るように選択される。
ある実施形態では、レジスト層の変調性がドライエッチングにより基板材料に転写される。
ある実施形態では、不均一なマスクは、充填材料上に設けられるマスク層の形態である物理的マスクを備える。マスク層は、横方向に変わる高さを有し、その高さプロファイルがプレートにおける所望の変調性に対応する。この後、横方向に均一なエッチングプロセス又は他の適切な除去プロセスを用いることにより、高さプロファイルが充填材料に複製される。マスク層は、充填層と同じ材料を含んでいてもよく、充填層と共にエッチング可能な他の材料を含んでいてもよい。
一般に、物理的マスク層を用いる除去には、充填層の上に更なる犠牲マスク層を用いる除去方法が包含され、前記犠牲マスク層は、残りの充填層の局所的な厚さに影響を与える。
また、グレースケールリソグラフィと物理的マスク技術の併用も可能である。
ある実施形態では、上述のように充填層上にレジスト層を設け、直接描画又は異なる透過強度を有する光学マスクのいずれかを用いたグレースケール露光が用いられる。レジスト層におけるこの高さ変化は、続いてドライエッチング又はウェットエッチングにより充填層に転写される。
ある実施形態では、除去プロセスにより、異なる変調高さを有する2以上の別個のセグメントを含む表面プロファイルが生じる。セグメントの境界は不連続的であってもよく、これによりセグメント間に段階的な高度差が存在する。回折格子は、例えば、異なる高さ特性を有する2~500のセグメントを含んでいてもよい。一方で、横方向高さ勾配があってもよく、これには明確な境界が見出せないことがあるものの、回折効率は滑らかに変わっていく。これらのスキームのいずれか又は組み合わせを用いて、異なるプロファイル高さを有し、それゆえ異なる回折効率を有する高さ変調式表面プロファイル領域を形成することが可能である。
横方向高さ勾配はフォトリソグラフィにより、例えば、直接描画、光学的勾配マスク又は物理的勾配マスクを用いて形成してもよい。勾配は、線形勾配であってもよく、非線形勾配であってもよい。
ある実施形態では、表面プロファイルは、上記除去が開始される前に充填材料で完全に充填される。これにより、プロファイルの全高を変調に利用することができ、また、プロファイルの完全な充填が保証される。特に、充填材料で基板を平坦にしてもよい。
ある実施形態では、表面プロファイルは、長方形又は三角形の断面及び細長い複数のフィーチャの周期的パターンを有する。例えば、パターンは、一元的線形格子を製造することができる線格子パターンであってもよい。一方で、例えばドットフィーチャの二元的アレイを有する二元的格子の製造も可能であり、これにより、基板の初期表面プロファイル及びマスタプレートの最終表面プロファイルが二重に周期的となる。また、これらの組み合わせも可能である。
ある実施形態では、バイナリ表面プロファイルは充填率変調性を有し、これは、本方法を用いて維持され、且つ得られるプレートの表面プロファイルに複製される。
ある実施形態では、基板の製造は、基板プレートを提供すること、及び基板プレートから例えば電子ビームリソグラフィにより材料を除去すること又はプレートに例えばナノインプリンティングにより材料を付与することによって、その上にバイナリ表面プロファイルを形成することにより行なわれる。
ある実施形態では、高さ変調式表面プロファイルは、完全に基板により画定される垂直側壁及びフィーチャ上部と、完全に充填材料により画定される間隙底部と、を含む。
典型的な光学用途、とりわけウェアラブルディスプレイ用途において、マスタプレートに要求される面積は1cm以上、例えば2~500cmであり、これは本プロセスで容易に達成可能なものである。マスタ格子の周期は、典型的には10μm以下であり、具体的には1μm以下、例えば200~800nmである。
次に、添付の図面を参照して、本発明の実施形態及びその利点をより具体的に説明する。
図1Aは、本方法のある実施形態に係るマスタプレートの製造を、製造段階ごとに断面図で示したものである。 図1Bは、本方法のある実施形態に係るマスタプレートの製造を、製造段階ごとに断面図で示したものである。 図1Cは、本方法のある実施形態に係るマスタプレートの製造を、製造段階ごとに断面図で示したものである。 図2Aは、本方法の別の実施形態に係るマスタプレートの製造を、製造段階ごとに断面図で示したものである。 図2Bは、本方法の別の実施形態に係るマスタプレートの製造を、製造段階ごとに断面図で示したものである。 図2Cは、本方法の別の実施形態に係るマスタプレートの製造を、製造段階ごとに断面図で示したものである。 図3は、図1A~図1Cに示す方法を用いた、レジスト材料で平坦にされたバイナリ構造体の走査型電子顕微鏡写真(a)と、2つの異なる高さまでエッチングされた後のバイナリ構造体の走査型電子顕微鏡写真(b及びc)を示す。 図4Aは、バイナリ1D格子の一次透過の回折効率が、格子高さの関数として変化する例を示す。 図4Bは、1D格子の一次透過の回折効率が、格子充填率の関数として変化する例を示す。
<定義>
本明細書において、「バイナリ表面プロファイル」は、本質的には、2つの高さからなるレリーフ構造を有する表面を意味する。線格子の場合、可能な高さは、リッジの上部及びリッジに隣接する溝の底部により画定される。したがって、プロファイルは、断面が略長方形の表面フィーチャ(完全に垂直な側壁を有する)からなる。以下の考察及び図面では、バイナリ表面プロファイルを例として用いるが、上述のように、他のプロファイルも可能である。
充填材料による充填は、特段の説明がない限り、完全充填及び部分充填を包含する。「平坦化」とは完全充填を意味し、十分な充填材料が表面プロファイル上に提供されプロファイルのバイナリフィーチャが埋め込まれ、充填材料で構成される平坦な面が形成される。
充填材料の「部分的除去」とは、基板のどこかに少なくともある程度の厚さの充填材料を残すことを意味する。
「高さ変調」とは、基板の法線方向における格子フィーチャのサイズ変化を指す。例えば、線格子の場合、高さはリッジに隣接する溝底からリッジの上部までを測定する。したがって、高さ変調式マスタプレートは、領域間でフィーチャ高さが異なる2以上の横方向セグメントを一元的又は二元的に含む。
「充填率」とは、格子周期内の周辺材料(例えば、空気又は他の固体材料)に対する格子構造体材料の割合を指す。これは、典型的な長方形格子線の場合、周期幅に対する線幅の割合に等しい。したがって、「充填率変調」は、格子の横方向、すなわち周期構造体の周期間での充填率の変化を指す。
<選択した実施形態の説明>
本方法は、その好ましい実施形態では、基板の高異方性高分解能バイナリプロセスと、追加される充填材料の低横方向分解能グレースケールリソグラフィによる高さ変調とが併用される。したがって、垂直側壁の実現が困難なダイレクトグレースケールリソグラフィと比較して、高分解能垂直フィーチャ及び側壁プロファイルの制御性を改良することができる。以下、2つの基本的な実施形態について説明する。
図1A~図1Cは、グレースケールリソグラフィ工程を用いてバイナリ基板に高さ変調を形成する、第1の基本的な実施形態を示す。
図1Aに示す第1の工程では、可能な充填率変調(図示せず)を有するバイナリ構造体が、例えば光学的な、電子ビームリソグラフィ、エンボス又はナノインプリントリソグラフィを用いて製造される。構造体は、ベースプレート12Aと、ベースプレート12Aから延びるバイナリエレメント14Aとを有する。この時点では、全てのエレメント14Aが同じ高さを有する。製造方法に応じて、ベースプレート12A及びバイナリエレメント14Aは、単一材料による単片を含んでいてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。例えば、エレメント14Aは、無機又は高分子ベースプレート12A上に追加される高分子を含んでいてもよい。或いは基板は、リソグラフィ法によりフィーチャを処理して得られる高分子又は無機単一体であってもよい。また、線幅変調性、間隙幅変調性、又はこれらの双方を含む充填率変調性を備えていてもよい。この層を回折格子層という。
次に、図1Bに示すように、バイナリ構造体12A、14Aは電子ビーム又は光学的リソグラフィレジスト材料でコーティングされてエレメント14A間の間隙が少なくとも部分的に満たされ、典型的には、回折格子層がレジスト材料で完全に覆われ、構造体の表面が充填層16Aで平坦にされる。例えば、スピンコーティング、スプレーコーティング、キャスティング又はディップコーティング法を用いてもよい。
次に、図1Cに示すように、充填層16Aに対してグレースケールリソグラフィが行われる。この種のオーバーレイグレースケール露光により、異なる露光線量に起因して現像速度が異なる、表面からの高さに違いが生じる。その結果、各領域で充填層16A’の厚さにより画定される異なるエレメント高さh1、h2、h3を有する領域S1、S2、S3が各々形成される。
上述のように、グレースケールリソグラフィは、例えば、所望の変調に対応する露光スキームに従ってレーザによる直接描画を用いて実行されてもよいし、所望の変調に対応する異なる強度の複数の別個の領域を同時に有する照明パターンを形成する光学マスクを用いて実行されてもよい。別個の領域の代わりに、又は別個の領域に加えて、連続的な勾配が形成されてもよい。
図2A~図2Cは、物理的マスクを用いて高さ変調を形成する第2の基本的な実施形態を示す。
図2Aに示す第1の工程では、バイナリ構造体12Bが、第1の基本的な実施形態について上述したのと同様に製造される。
次に、図2Bに示すように、バイナリ構造体は上述のように充填層16Bで平坦にされる。
充填層16Bの上に、可変高さのマスク層18Bがリソグラフィ法により設けられる。ここでは、回折格子層分解能に比べて遙かに低い横方向分解能が要求される。
次に、図2Cに示すように、ドライ又はウェットエッチング法を用いて、マスク層18Bの変調性が充填層16B’に転写される。この場合も、充填層16B、16B’及び回折格子層12B間の高い選択性に起因して、格子プロファイルに対する高制御性が維持される。
この例では勾配マスクが使用されているが、上述の例と同様に、マスクは異なる高さの別個の領域を含んでいてもよい。また、得られるマスタプレートに望まれる高さ特性に応じて、これらのアプローチを併用してもよい。
上述の基本的な実施形態はどちらも、構造体の垂直側壁特性が基板により画定され且つ高さ特性がマスクエッチングプロセスにより画定されるため、単一の高品質回折構造体において異なる回折効率をもたらすことができる。充填層16A、16B及び回折格子層12A~B、14A~B間の高い選択性に起因して、エッチングプロセスが等方的である場合でも、格子線プロファイルに対する完全制御性が維持される。
基板のバイナリ表面プロファイルは、レジスト構造であってもよく、或いはウェット又はドライエッチングにより基板へ転写されてもよいことに留意されたい。次に構造体は、典型的には、バイナリ構造体に対して選択性を有する電子ビーム又は光学リソグラフィレジストでコーティングされる。
セグメント化されたプレートを作製する場合、回折格子の周期は典型的には、マスクゾーンの最小横方向寸法の一部であり、つまり、セグメントは周期に対するサイズが格段に大きい。例えば、最終製品における回折効率セグメントを決定するマスクゾーンのサイズは、10μm以上、典型的には1mm以上であってもよいのに対して、格子周期は、典型的には10μm以下、とりわけ1μm以下である。
全ての実施形態において、基板は、例えば標準的なシリコンウェーハ又はSiOウェーハであってもよい。また、光学又は電子ビームリソグラフィに適用可能な硬質又は軟質基板を使用してもよい。
バイナリ表面プロファイル、すなわちレリーフ構造は、上述の基板にエッチングされてもよく、基板上に設けられる薄膜に加工されてもよい。エッチングの場合、この層は、ドライ又はウェットエッチング法で処理することが可能な薄膜であってもよい。
あるいは、表面プロファイルは光学又は電子ビームレジストを用いて形成してもよく、この場合、バイナリ構造体を光学又は電子ビーム露光により作製し、現像して層にしてもよい。また、レジスト材料をエッチングしてバイナリ構造を作製してもよい。
充填層は、光学又は電子ビームレジストであってもよい。これは、例を挙げるとスピンコーティング、スプレーコーティング又はディップコーティングにより設けられてもよい。
あるいは、充填層は、物理蒸着(PVD、physical vapor deposition)又は化学蒸着(CVD、chemical vapor deposition)又は原子層蒸着(ALD、atomic layer deposition)を用いて設けられてもよい。これは例えば、Al又はTiO等の金属酸化物であってもよい。また、SiOであってもよい。
充填層は、使用される除去方法に応じて、バイナリ表面プロファイル材料に対して高い選択性(例えば、高エッチング選択性)を有することが好ましい。言い換えれば、充填材料は、この層の部分的除去の間に元のバイナリ構造体がそのまま残るように選択しなければならない。
高さ変調は、図面に示すように表面プロファイルの周期方面において生じ得る。しかしながら、更に又は代わりに、高さ変調が回折格子の垂直方面において例えば線勾配の格子線に沿って生じることは排除されない。本方法は、異なる2方向に周期性を有する二元的格子にも同様に適用することができる。
マスタプレートは、種々のニーズに応じて、横方向の回折効率が一定ではない回折光学素子を製造するのに使用可能である。とりわけこのプレートは、例えばNED又はHUD用の、典型的には1cm以上の面積を有する大きいエレメントを製造するのに使用可能である。可変回折効率は、スマートグラス及び仮想現実ディスプレイ及び拡張現実ディスプレイ等の回折導波路ディスプレイのインカップリング回折格子、射出瞳拡大素子及び/又はアウトカップリング回折格子において利点をもたらす。
本方法を用いて作製されるマスタプレートは、回折格子製造の分野における既知のスタンピングプロセスにおいて使用可能である。
図4A及び図4Bは、誘電バイナリ格子の一次透過の回折効率が、高さ及び充填率変調により変調され得ることを示す。数値結果は、フーリエモード法(厳密結合波解析としても知られる)で得られた。バイナリ格子は、空気と屈折率2.0のガラス基板との界面に存在し、格子周期は500nmであり、充填率は0.5であり、格子は基板と同じ材料製である。回折格子は、法線入射における自由空間波長450nmの平面波で照射される。結果を横電気偏光(TE)及び横磁気偏光(TM)の双方により示す。図4Aにおいて格子充填率は0.5であり、図4Bにおいて格子高さは250nmである。
なお、本開示に係る態様は以下の態様も含む。
<1>
回折構造体を製造するためのマスタプレートを作製する方法であって:
周期的な初期表面プロファイルを有する基板を提供することと;
前記初期表面プロファイルを少なくとも部分的に、充填材料で均一に充填することと;
前記充填材料を部分的に除去して、前記基板及び前記充填材料で形成される周期的な高さ変調式表面プロファイルを有するマスタプレートを作製することと、
を含み、前記初期表面プロファイルは、前記高さ変調式表面プロファイルに関連する充填率変調性を有する、方法。
<2>
前記充填材料の除去は、前記充填材料の除去にグレースケールリソグラフィを用いて、前記高さ変調式表面プロファイルを形成することを部分的に含む、<1>に記載の方法。
<3>
前記充填材料の除去は:
前記充填材料上に、不均一な高さプロファイルを有する物理的マスク層を設けることと;
各位置において前記マスク層及び下にある充填材料を除去し、前記マスク層の前記高さプロファイルを前記充填材料の対応箇所に複製して、前記高さ変調式表面プロファイルを形成することと、
を部分的に含む、<1>又は<2>に記載の方法。
<4>
前記高さ変調式表面プロファイルは、異なるプロファイル高さを有する2以上の別個のセグメントを含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の方法。
<5>
前記高さ変調式表面プロファイルは、線形プロファイル等の横方向高さ勾配プロファイルを有する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の方法。
<6>
前記高さ変調式表面プロファイルの高さ変調は、前記表面プロファイルの少なくとも周期的一元的方向において生じる、<1>~<5>のいずれか1つに記載の方法。
<7>
前記初期表面プロファイルは前記除去の前に前記充填材料で完全に満たされ、前記基板が平坦にされる、<1>~<6>のいずれか1つに記載の方法。
<8>
基板プレートを提供すること、及び前記基板プレートから例えば電子ビームリソグラフィにより材料を除去すること又は前記プレートに例えばナノインプリンティングにより材料を付与することによって、前記基板に前記周期的な初期表面プロファイルを提供することを含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の方法。
<9>
前記初期表面プロファイルは、バイナリプロファイルである、<1>~<8>のいずれか1つに記載の方法。
<10>
前記初期表面プロファイルは、三角形プロファイル又は傾斜したプロファイル等の非バイナリプロファイルである、<1>~<9>のいずれか1つに記載の方法。
<11>
前記充填材料は異なる横方向セグメント内で異なる量を、一元的方向のみで除去され、一元的方向に高さ変調された表面プロファイルが形成される、<1>~<10>のいずれか1つに記載の方法。
<12>
前記充填材料は異なる横方向セグメント内で異なる量を、二元的横方向で除去され、二元的方向に高さ変調された表面プロファイルが形成される、<1>~<10>のいずれか1つに記載の方法。
<13>
前記初期表面プロファイルは、一元的方向又は二元的方向において周期的である、<1>~<12>のいずれか1つに記載の方法。
<14>
回折構造体を製造するためのマスタプレートであって:
フィーチャと前記フィーチャ間の間隙とによる周期的パターンを有する基板;及び
マスタプレートが高さ変調式表面プロファイルを有するように、前記間隙内に不均一な量で提供される充填材料;
を含み、前記フィーチャの周期的パターンは充填率変調式である、マスタプレート。
<15>
前記高さ変調式表面プロファイルは、前記間隙内の前記充填材料の量により画定される異なるプロファイル高さを有する、2以上の別個の横方向セグメントを含む、<14>に記載のマスタプレート。
<16>
前記高さ変調式表面プロファイルは、前記間隙内の前記充填材料の量により画定される横方向高さ勾配を有する、<14>又は<15>に記載のマスタプレート。
<17>
前記高さ変調式表面プロファイルは、完全に前記基板に画定される垂直側壁及びフィーチャ上部と、完全に前記充填材料により画定される間隙底部と、を含む、<14>~<16>のいずれか1つに記載のマスタプレート。
<18>
前記フィーチャは、バイナリフィーチャ、三角形フィーチャ、又は傾斜したフィーチャである、<14>~<17>のいずれか1つに記載のマスタプレート。
<19>
<1>~<13>のいずれか1つに記載の方法を用いて作製される、<14>~<18>のいずれか1つに記載のマスタプレート。
C.David,「Fabrication of stair-case profiles with high aspect ratios for blazed diffractive optical elements」,Microelectronic Engineering,53(2000)

Claims (15)

  1. 回折構造体を製造するためのマスタプレートを作製する方法であって、
    周期的な初期表面プロファイルを有する基板を提供することと、
    前記初期表面プロファイルを少なくとも部分的に、充填材料(16B)で均一に充填することと、
    前記充填材料(16B)上に、不均一な高さプロファイルを有する物理的なマスク層(18B)を設けることと、
    各位置において前記マスク層(18B)及びその下にある充填材料(16B)をエッチングにより除去することにより、前記マスク層(18B)の前記不均一な高さプロファイルを充填材料(16B’)の対応位置に複製するように充填材料(16B)を部分的に除去して、前記基板及び前記充填材料(16B’)で形成される周期的な高さ変調式表面プロファイルを有するマスタプレートを作製することと、
    を含み、
    前記初期表面プロファイルは、前記高さ変調式表面プロファイルに関連する充填率変調性を有する
    方法。
  2. 前記高さ変調式表面プロファイルは、異なるプロファイル高さを有する2以上の別個のセグメント(S1-S3)を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記高さ変調式表面プロファイルは、横方向高さ勾配プロファイルを有する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記高さ変調式表面プロファイルの高さ変調は、前記高さ変調式表面プロファイルの少なくとも周期的一元的方向において生じる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記初期表面プロファイルは前記除去の前に前記充填材料(16B)で満たされ、前記基板が平坦にされる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 基板プレートを提供すること、及び前記基板プレートから材料を除去すること又は前記基板プレートに材料を付与することによって、前記基板に前記周期的な初期表面プロファイルを提供することを含む、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記初期表面プロファイルは、バイナリプロファイルである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記初期表面プロファイルは、非バイナリプロファイルである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記充填材料(16B)は異なる横方向セグメント内で異なる量を、一元的方向のみで除去され、一元的方向に高さ変調された表面プロファイルが形成され、
    前記初期表面プロファイルは、一元的方向において周期的である、
    請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記充填材料(16B)は異なる横方向セグメント内で異なる量を、二元的横方向で除去され、二元的方向に高さ変調された表面プロファイルが形成され、
    前記初期表面プロファイルは、二元的方向において周期的である、
    請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の方法によりマスタプレートを作製することを含み、
    前記マスタプレートは、
    フィーチャ(14B)と前記フィーチャ(14B)間の間隙とによる周期的パターンを有する基板、及び
    マスタプレートが高さ変調式表面プロファイルを有するように、前記間隙内に不均一な量で提供される充填材料(16B’)
    を含み、
    前記フィーチャ(14B)の周期的パターンは充填率変調式である、
    回折構造体を製造するためのマスタプレートの製造方法。
  12. 前記高さ変調式表面プロファイルは、前記間隙内の前記充填材料(16B’)の量により画定される異なるプロファイル高さを有する、2以上の別個の横方向セグメント(S1-S3)を含む、請求項11に記載のマスタプレートの製造方法。
  13. 前記高さ変調式表面プロファイルは、前記間隙内の前記充填材料(16B’)の量により画定される横方向高さ勾配を有する、請求項12に記載のマスタプレートの製造方法。
  14. 前記高さ変調式表面プロファイルは、前記基板に画定される垂直側壁及びフィーチャ上部と、前記充填材料(16B’)により画定される間隙底部と、を含む、請求項12又は請求項13に記載のマスタプレートの製造方法。
  15. 前記フィーチャ(14B)は、バイナリフィーチャ、三角形フィーチャ、又は傾斜したフィーチャである、請求項12~請求項14のいずれか1項に記載のマスタプレートの製造方法。
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