JP7377395B2 - アルミニウム合金箔 - Google Patents

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Description

この発明は、包材などに用いることができるアルミニウム合金箔に関する。
本願は、2021年6月29日に、日本に出願された特願2021-107734号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
電池外装などのようにアルミニウム箔を用いる包材は、両面ないしは片面に樹脂フィルムをラミネートした形態とするのが一般的である。アルミニウム箔はバリア性を担い、樹脂フィルムは主に製品の剛性を担っている。従来から包材に使用されるアルミニウム箔には純アルミニウムやJIS A8079、8021等のAl-Fe合金が用いられている。純アルミニウムやAl-Fe合金の軟質箔は一般的に強度が低い為、例えば箔を薄肉化した場合にはシワや折れ曲がりなどによるハンドリング性の低下や、衝撃でアルミニウム箔にクラックやピンホールを生じる恐れがある。アルミニウム箔に関して、これらの懸念を改善するには、一般に高強度化が有効である。
例えば、特許文献1では、Mnを積極的に含有したAl-Fe-Mn合金の高強度箔が提案されている。
しかしAl-Fe合金へのMnの添加は金属間化合物の粗大化やAl-Fe-Mn系の巨大晶出物が生成し、成形性を低下させるリスクが大きい。
特開2016-079487号公報
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、成形性と強度に優れたアルミニウム合金箔を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第1の態様は、Si:0.5質量%以下、Fe:0.2質量%以上2.0質量%以下、Mg:1.5質量%超5.0質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、後方散乱電子回折法により測定される単位面積あたりの大角粒界の長さL1と小角粒界の長さL2の比が、L1/L2>3.0を満たし、引張強さが180MPa以上であることを特徴とするアルミニウム合金箔である。
第2の態様は、第1の態様のアルミニウム合金箔において、表面に15.0原子%以上のMgを含み、且つ酸化皮膜厚さが120Å以上であることを特徴とする。
第3の態様は、第1または第2の態様のアルミニウム合金箔において、集合組織のCopper方位、R方位のそれぞれの方位密度が15以下であることを特徴とする。
第4の態様は、第1または2のいずれかの態様のアルミニウム合金箔において、前記不可避不純物としてMn:0.1質量%以下を含むことを特徴とする。
第5の態様は、第3の態様のアルミニウム合金箔において、前記不可避不純物としてMn:0.1質量%以下を含むことを特徴とする。
第6の態様は、第1または第2の態様において、引張強さが180MPa以上、伸びが15%以上であることを特徴とする。
第7の態様は、第3の態様において、引張強さが180MPa以上、伸びが15%以上であることを特徴とする。
第8の態様は、第4の態様において、引張強さが180MPa以上、伸びが15%以上であることを特徴とする。
第9の態様は、第1または第2の態様において、平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする。
第10の態様は、第3の態様において、平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする。
第11の態様は、第4の態様において、平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする。
第12の態様は、第6の態様において、平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする。
本発明の態様のアルミニウム合金箔によれば、成形性を確保しつつ良好な伸び特性と強度を得ることができる。
実施例における限界成形高さ試験で用いる角型ポンチの平面形状を示す図である。 実施例にて腐食性の評価に用いたアルミニウム合金箔の表面を示す顕微鏡写真である。(a)は、腐食のない表面であり、(b)は、腐食のある表面である。
以下に、本実施形態のアルミニウム合金箔を説明する。
・Fe:0.2質量%以上2.0質量%以下
Feは、鋳造時にAl-Fe系金属間化合物として晶出し、前記化合物のサイズが大きい場合は焼鈍時に再結晶のサイトとなるため、再結晶粒を微細化する効果がある。Feの含有量が下限を下回ると、粗大な金属間化合物の分布密度が低くなり、結晶粒の微細化の効果が低く、最終的な結晶粒径分布も不均一となる。Feの含有量が上限を超えると、結晶粒の微細化の効果が飽和もしくは却って低下し、さらに鋳造時に生成されるAl-Fe系金属間化合物のサイズが非常に大きくなり、箔の伸びと圧延性が低下する。このため、Feの含有量を上記範囲に定める。同様の理由でFeの含有量の下限を0.5質量%とするのが好ましく、さらに同様の理由でFeの含有量の下限を1.0質量%とし、上限を1.8質量%とすることが一層好ましい。
・Mg:1.5質量%超5.0質量%以下
Mgはアルミニウムに固溶し、固溶強化によって軟質箔の強度を高めることが出来る。またMgはアルミニウムに固溶し易い為、Feと共に含有しても、金属間化合物が粗大化して成形性や圧延性が低下する危険性は低い。Mgの含有量が1.5質量%を超えると、箔は硬くなり成形性や圧延性は低下するが、非常に高い強度を有するアルミニウム軟質箔を得ることが出来る。Mgの含有量が下限を下回ると、強度の向上が不十分となる。Mgの含有量が上限を超えると、アルミニウム合金箔が極めて硬くなり圧延性や成形性の著しい低下を招く。同様の理由でMgの含有量を1.5質量%超4.5質量%以下の範囲とすることが望ましい。
またMgを添加することで、リチウムイオン二次電池の電解液に対する耐食性が向上することも確認された。メカニズムの詳細は明らかではないが、Mg添加量が多いほど、アルミニウム合金箔と電解液中のリチウムが反応しにくくなり、アルミニウム合金箔の微粉化や貫通孔の発生を抑制することが出来る。
・Si:0.5質量%以下
Siは微量であれば、箔の強度を高める目的で添加されることもあるが、本実施形態においてはSiの含有量が0.5質量%を超えると、鋳造時に生成されるAl-Fe-Si系金属間化合物のサイズが大きくなり、箔の伸びや成形性が低下し、箔厚さが薄い場合、金属間化合物を起点とした破断が生じ圧延性も低下する。また本発明品の様にMg含有量の多い合金にSiを多量に添加すると、Mg-Si系析出物の生成量が多くなり、圧延性の低下や、Mgの固溶量が低下することによる強度の低下を招く恐れがある。同様の理由でSiの含有量を0.2質量%以下に抑えることが望ましい。なお、Siが低い程、成形性、圧延性、結晶粒の微細化の度合い、そして延性が良好という傾向を有する。
・不可避不純物
その他に、CuやMnなどの不可避不純物を含むことができる。これらの不可避不純物の各元素の量は、例えば、0.1質量%以下とするのが望ましい。なお、本実施形態としては、前記不可避不純物の含有量の上限が上記数値に限定されるものではない。
ただし、Mnはアルミニウムに固溶し難いため、Mgと異なり固溶強化によって軟質箔の強度を大きく高めることは期待できない。またFe含有量の多い合金にMnを多量に添加すると、金属間化合物の粗大化やAl-Fe-Mn系の巨大金属間化合物が生成する危険性が高くなり、圧延性や成形性の低下を招く恐れがある。このため、Mn含有量は0.1質量%以下とするのが望ましい。
・後方散乱電子回折法により測定される単位面積あたりの大角粒界の長さをL1、小角粒界の長さをL2としたとき、L1/L2>3.0
焼鈍後の再結晶粒組織における大角粒界(HAGB;High-Angle Grain Boundary)と小角粒界(LAGB;Low-Angle Grain Boundary)の割合が箔の伸びや成形性に影響を及ぼす。最終焼鈍後の再結晶粒組織においてLAGBの割合が高い場合には、変形の局在化を生じやすくなり伸びや成形性が低下する。この為、大角粒界の長さをL1、小角粒界の長さをL2としたとき、L1/L2>3.0としてHAGBの割合を高くすることで、高い伸びや良好な成形性が期待できる。より好ましくはL1/L2>5.0である。
・集合組織のCopper方位、R方位のそれぞれの方位密度が15以下
集合組織は箔の機械的性質や成形性に大きな影響を及ぼす。Cоpper方位とR方位の密度のいずれかが15を超えると、成形時に均一な変形が出来ず成形が低下する懸念がある。良好な成形性を得るためにCоpper方位とR方位の方位密度をそれぞれ15以下に保つのが望ましい。より好ましくはそれぞれの方位密度が10以下である。
・表面のMg濃度が15.0原子%以上、且つ酸化皮膜厚さが120Å以上
メカニズムの詳細は明らかではないが、箔表面のMg濃度と酸化皮膜厚さはリチウムイオン二次電池の電解液に対する耐食性に寄与することが確認されている。箔表面のMg濃度が高く、且つ厚い酸化皮膜が形成されることで耐食性が向上する。このためアルミニウム箔表面のMg濃度を15.0原子%以上、且つ酸化皮膜厚さ120Å以上とするのが望ましい。より好ましくは表面のMg濃度が20.0原子%以上、且つ酸化皮膜厚さが220Å以上である。さらに望ましくは表面のMg濃度が25.0原子%以上である。
ここで、表面のMg濃度は、最表面から深さ8nmまでの表面部のMg濃度であり、Mg濃度は、全ての元素の合計100原子%に対する量である。
・引張強さ:180MPa以上
既存のJIS A8079や8021等の箔に対し、劇的に耐衝撃性や突き刺し強さを向上させるためには、180MPa以上の引張強度が必要である。同様の理由で引張強さは200MPa以上であることが望ましい。ただし引張強さが高い程、成形性は低下する為、成形性を重視する場合は引張強さを抑えた方が良い。
引張強さは、組成の選定と、結晶粒サイズの最適化により達成することができる。
・伸び:15%以上
成形性に対する伸びの影響はその成形方法によって大きく異なり、また伸びだけで成形性が決定されるわけではないが、アルミニウム包装材で良く用いられる張出し加工においては、アルミニウム合金箔の伸びが高い程、成形性は有利であり、15%以上の伸びを有することが望ましい。
伸びの特性は、組成の選定と、結晶粒サイズの微細化により達成することができる。
・平均結晶粒径:25μm以下
軟質アルミニウム合金箔は結晶粒が微細になることで、変形した際の箔表面の肌荒れを抑制することができ、高い伸びとそれに伴う高い成形性が期待できる。なお、この結晶粒径の影響は、箔の厚さが薄い程、大きくなる。高い伸び特性やそれに伴う高成形性を実現するには、平均結晶粒径が25μm以下であることが望ましい。
平均結晶粒径は、組成の選定と均質化処理や冷間圧延率の最適化を図った製造条件により達成することができる。
以下に、本実施形態のアルミニウム合金箔を製造する方法を説明する。
アルミニウム合金の鋳塊を、半連続鋳造法等の常法によって鋳造する。アルミニウム合金の鋳塊は、Si:0.5質量%以下、Fe:0.2質量%以上2.0質量%以下、Mg:1.5質量%超5.0質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有する。所望によりMn含有量を0.1質量%以下とする。
得られた鋳塊に対しては、均質化処理を行う。
・均質化処理:450~550℃
一般にアルミニウム材料の均質化処理は400~600℃で長時間行われるが、本実施形態ではFe添加による結晶粒の微細化を考慮する必要がある。
均質化処理において、450℃未満の温度では、Feの析出が不十分となり、最終焼鈍時に結晶粒の粗大化が懸念される。また、その場再結晶の割合が増加することでLAGBの割合が多くなり、L1/L2の低下が懸念される。また、Copper方位とR方位の各方位密度の増加による成形性の低下が懸念される。また550℃を超える温度では、晶出物が顕著に成長し、最終焼鈍時の結晶粒の粗大化や成形性の低下に繋がる。均質化処理の時間は、最低3時間以上確保する必要がある。3時間未満では、析出が十分でなく、微細な金属間化合物の密度が低下してしまう。望ましくは、温度は480~520℃で、時間は5時間以上である。
均質化処理後、熱間圧延を行い、所望の厚さのアルミニウム合金板を得る。熱間圧延は常法によって行うことができるが、熱間圧延の巻取り温度は、再結晶温度以上、具体的には300℃以上とすることが望ましい。300℃未満では、0.3μm以下の微細なAl-Fe系金属間化合物が析出する。また、熱間圧延後に再結晶粒とファイバー粒が混在し、中間焼鈍や最終焼鈍の後の結晶粒サイズが不均一化し伸び特性が低下する懸念があり、望ましくない。
熱間圧延の後には、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延を行い、厚さを5~100μmとすることで、本実施形態のアルミニウム合金箔を得る。最終冷間圧延率は90%以上とすることが望ましい。
なお、冷間圧延途中での中間焼鈍は行わなくてもよいが、場合によっては実施しても良い。中間焼鈍には、コイルを炉に投入し一定時間保持するバッチ焼鈍(Batch Annealing)と、連続焼鈍ライン(Continuous Annealing Line、以下CAL焼鈍という)により材料を急加熱・急冷する2種類の方式がある。中間焼鈍を負荷する場合、いずれの方法でも良いが、結晶粒の微細化を図り高強度化をする場合はCAL焼鈍が望ましく、成形性を優先するならばバッチ焼鈍が好ましい。
例えば、バッチ焼鈍では、300~400℃で3時間以上の条件を採用することができる。CAL焼鈍では、昇温速度:10~250℃/秒、加熱温度:400℃~550℃、保持時間なしまたは保持時間:5秒以下、冷却速度:20~200℃/秒の条件を採用することができる。ただし、本実施形態としては、中間焼鈍の有無、中間焼鈍を行う場合の条件等は特定のものに限定されるものではない。
・最終冷間圧延率:84.0%以上97.0%以下
中間焼鈍後から最終厚さまでの最終冷間圧延率が高い程、材料に蓄積されるひずみ量が多くなり、最終焼鈍後の再結晶粒が微細化される。またその場再結晶を抑制する効果もあり、L1/L2の増加に伴う成形性の向上も期待される。具体的には、最終冷間圧延率を84.0%以上とすることが望ましい。しかし最終冷間圧延率が高すぎる場合には、最終焼鈍後でもCopper方位とR方位の各方位密度の増加による成形性の低下が懸念される。またその結果としてL1/L2の低下も生じることから、具体的には最終冷間圧延率97.0%以下とすることが望ましい。また最終冷間圧延率が低い場合には、結晶粒の粗大化やL1/L2の低下に伴う成形性の低下が懸念される。同様の理由でさらに望ましい最終冷間圧延率の範囲は90.0%以上93.0%以下である。
箔圧延後には、最終焼鈍を行って軟質箔とする。箔圧延後の最終焼鈍は一般に250℃~400℃で実施すればよい。しかしMgによる耐食性の効果をより高める場合には、350℃以上の高温で5時間以上保持することが望ましい。
最終焼鈍の温度が低いと、軟質化が不十分であり、L1/L2の低下やCopper方位とR方位の各方位密度が増加する懸念がある。またMgの箔表面への濃化や酸化皮膜の成長も不十分となり、耐食性も低下する懸念がある。400℃を超えると、箔表面へMgが過度に濃化し、箔の変色や、酸化皮膜の性質が変化して微小なクラックを生じることで耐食性が低下する懸念がある。最終焼鈍の時間は、5時間未満では、最終焼鈍の効果が不十分である。
得られたアルミニウム合金箔は、室温において、引張強さが180MPa以上、伸びが15%以上である。また、平均結晶粒径は、25μm以下である。平均結晶粒径は、JIS G0551で規定された切断法により求めることができる。
得られたアルミニウム合金箔は、高強度と高成形性を両立し、各種の成形材料として包装材などに用いることができる。特にリチウムイオン電池用の外装材や集電体として用いる際には、電解液に対する良好な耐食性を発揮する。
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1に示す各組成(残部はAlおよび不可避不純物)からなるアルミニウム合金の鋳塊を用意した。表2に示す条件で均質化処理を施し、次いで仕上がり温度330℃での熱間圧延にて厚さ3mmの板材とした。その後、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延、最終焼鈍を経て、厚さ40μm、幅1200mmのアルミニウム合金箔の試料を作製した。なお、中間焼鈍と最終焼鈍の条件については表2に示した。実施例11では、中間焼鈍として、CAL焼鈍を行った。CAL焼鈍は、昇温速度:70℃/秒、加熱温度:420℃、保持時間:0秒、冷却速度:50℃/秒の条件で実施した。表2の冷間圧延の項目では、中間焼鈍直前の板厚および前記板厚までの冷間圧延率を示している。
作製したアルミニウム合金箔に対して以下の試験または測定を行い、その結果を表3,4に示した。
・引張強度、伸び
引張強度、伸びのいずれも引張試験にて測定した。引張試験は、JIS Z2241に準拠し、圧延方向に対して0°方向の伸びを測定できるように、JIS5号試験片を試料から採取し、万能引張試験機(島津製作所社製 AGS-X 10kN)で引張り速度2mm/minにて試験を行った。
伸びは破断伸びであり、以下の方法で算出した。まず試験前に試験片の長手中央に試験片の垂直方向に2本の線を標点距離である50mm間隔でマークした。試験後にアルミニウム合金箔の破断面をつき合わせてマーク間の距離を測定した。そのマーク間の距離から標点距離(50mm)を引いて伸び量(mm)を算出し、伸び量を標点間距離(50mm)で除して伸び(%)を求めた。
・平均結晶粒径
アルミニウム合金箔の表面に対して、20容量%過塩素酸+80容量%エタノールの混合溶液を用い、電圧20Vで電解研磨を行った。次いで、バーカー氏液中にて電圧30Vの条件で陽極酸化処理した。処理後の供試材について、光学顕微鏡にて結晶粒を観察した。撮影した写真からJIS G0551で規定された切断法により平均結晶粒径を算出した。
・L1(HAGB長さ)/L2(LAGB長さ)
箔表面を電解研磨し、次いでSEM-EBSD装置にて結晶方位の解析を行い、結晶粒間の方位差が15°以上の大角粒界(HAGB)と、方位差2°以上15°未満の小角粒界(LAGB)を観察した。倍率×500で視野サイズ170×340μmを4視野測定し、視野内の単位面積あたりのHAGBの長さ(L1)とLAGBの長さ(L2)を求め、その比を算出した。算出した比はL1/L2として表3に示した。
・結晶方位
Copper方位は{112}<111>、R方位は{123}<634>を代表方位とした。それぞれの方位密度は、以下の方法により得た。X線回折法にて{111}、{200}、{220}の不完全極点図を測定した。その結果を用いて結晶方位分布関数(ODF;Orientation Distribution Function)を求め、Copper方位とR方位の方位密度を得た。
・表面分析
箔表面のMg濃度はXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)にて見積もった。最表面から深さ8nmまでの表面部において、ナロースキャン測定で得られたナロースペクトルを波形分離し、各元素の原子濃度を定量した。尚、Mg量の定量ではMg2pスペクトルを用いた。分析条件の詳細は以下のとおりである。
測定装置:アルバックファイ社製PHI5000-VersaProbeIII
入射X線:Al Kα 単色化X線、hν=1486.6ev
X線出力:100W、20kV、5.8mA
パスエネルギー:26eV
ステップ:0.05eV
分析領域(ビーム径):100μm×1.4mm
検出角度:45°
光電子取込角度:45度
測定領域:100μφでX方向に1.4mm
ピークシフト補正:C1sピークにおいて、C-Cのピークが285.0eVとなるように補正
帯電中和:Arイオンと電子線によるデュアルビームで帯電中和
・酸化皮膜厚さ測定
酸化皮膜厚さはFE-EPMA(Field Emission - Electron Probe Micro Analyzer)装置にて測定した。元々厚さの分かっている酸化皮膜サンプルにて得られたX線強度の検量線を用いて試料の酸化皮膜厚さを算出した。使用したFE-EPMAは日本電子社のJXA-8530Fであった。分析条件は加速電圧10kV、照射電流100nA、ビーム径50μmであった。
・突き刺し強さ
アルミニウム合金箔に対し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの針を50mm/minの速度で突き刺し、針が箔を貫通するまでの最大荷重(N)を突き刺し強さとして測定した。ここでは、突き刺し強さが11.0N以上の場合を耐突き刺し性が良好と判定し、表4にて“〇”(good)と示した。突き刺し強さが11.0N未満の場合を耐突き刺し性に劣ると判定し、表4にて“×”(poor)と示した。
・限界成形高さ
成形高さは角筒成形試験にて評価した。試験は万能薄板成形試験器(ERICHSEN社製 モデル142/20)にて行い、厚さ40μmのアルミニウム合金箔を図1に示す形状を有する角型ポンチ(一辺の長さD=37mm、角部の面取り径R=4.5mm)を用いて行った。試験条件として、シワ抑え力は10kN、ポンチの上昇速度(成形速度)の目盛は1とし、そして箔の片面(ポンチが当たる面)に鉱物油を潤滑剤として塗布した。箔に対し装置の下部から上昇するポンチが当たり、箔が成形されるが、3回連続成形した際に割れやピンホールがなく成形できた最大のポンチの上昇高さをその材料の限界成形高さ(mm)と規定した。ポンチの高さは0.5mm間隔で変化させた。ここでは成形高さが5.0mm以上の場合を成形性が良好と判定し、表4にて“○”(good)と示した。成形高さが5.0mm未満の場合を成形性に劣ると判定し、表4にて“×”(poor)と示した。
・耐腐食性の評価
ヘキサフルオロリン酸リチウム152gをプロピレンカーボネート/ジエチレンカーボネート=1/1(体積比)の溶液1Lに溶解し、1モル/Lの電解液を作製した。次に200mLの二極ビーカーセルの正極に実施例1~19及び比較例20~27で使用した各アルミニウム合金箔をセットし、負極に金属リチウムをセットし、前述の電解液を投入した。この状態で、0.1Vの電位差を3時間及び10時間印加した。その後、アルミニウム合金箔の表面を顕微鏡による目視により観察した。図2の顕微鏡写真(観察倍率200倍)に示すように、表面が腐食したものを耐腐食性に劣ると判定し、表4にて“×”(poor)と示した。表面が変化しなかったものを耐腐食性が良好と判定し、表4にて“○”(good)と示した。またごく一部分で表面が変化したものについては、実用上問題ないが耐食性はやや低いと判定し、表4にて“△”(fair)と示した。腐食したアルミニウム合金箔の表面(判定:×)には、アルミニウムとリチウムとの化合物が生成し、体積膨張により表面が盛り上がっている様子が観察された。各供試材の結果を表3,4に示す。
Figure 0007377395000001
Figure 0007377395000002
Figure 0007377395000003
Figure 0007377395000004

以上、本発明について、上記実施形態と実施例に基づいて説明を行ったが、本発明は、上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは前記実施形態に対する適宜の変更が可能である。
本実施形態のアルミニウム合金箔は、成形性と強度に優れ、電池外装などの包材として好適に適用される。

Claims (12)

  1. Si:0.5質量%以下、Fe:0.2質量%以上2.0質量%以下、Mg:1.5質量%超5.0質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、後方散乱電子回折法により測定される単位面積あたりの大角粒界の長さL1と小角粒界の長さL2の比が、L1/L2>3.0を満たし、引張強さが180MPa以上であることを特徴とするアルミニウム合金箔。
  2. 表面に15.0原子%以上のMgを含み、且つ酸化皮膜厚さが120Å以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金箔。
  3. 集合組織のCopper方位、R方位のそれぞれの方位密度が15以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金箔。
  4. 前記不可避不純物としてMn:0.1質量%以下を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金箔。
  5. 前記不可避不純物としてMn:0.1質量%以下を含むことを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金箔。
  6. びが15%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金箔。
  7. びが15%以上であることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金箔。
  8. びが15%以上であることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム合金箔。
  9. 平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のアルミニウム合金箔。
  10. 平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金箔。
  11. 平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする請求項4に記載のアルミニウム合金箔。
  12. 平均結晶粒径が25μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のアルミニウム合金箔。
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