<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図20を用いて説明する。まず、図1ないし図4を用いて本実施形態における画像形成装置1の概略構成を説明する。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、スキャン機能、及びプリント機能など各種機能を備える一般的な複合機である。
本実施形態の画像形成装置1は、ユーザやサービスマンなどの操作者が持っている携帯端末6と画像形成装置1との間でNFC通信を行うことで、操作者の認証を可能としている。そして、画像形成装置1が操作者を認証することで、操作者が画像形成装置1を使用可能となる。また、認証を受けた操作者は、画像形成装置1に自身特有の設定を行うことができる。具体的には、印刷(画像形成)する際の用紙サイズ設定やカラー/モノクロの設定、印字濃度(画像濃度)の設定などの印刷条件(画像形成条件)を画像形成装置1に登録することができる。これにより、操作者を認証した画像形成装置1は、認証した操作者特有の印刷条件等の設定を自動的に呼び出すことができる。すなわち、操作者は、「認証」により画像形成装置1を使用可能となることに加え、過去に自身が設定した印刷条件について再度設定することなく画像形成装置1の使用が可能となる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、NFC通信によって、携帯端末6と画像形成装置1とを無線LAN接続できるようにしている。これにより、例えば、携帯端末6内の画像データなどの大容量の通信を無線LANに引き継ぎ、この画像データに基づく画像を画像形成装置1により出力できる。以下、具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、記録材に画像形成を行う画像形成部としての画像形成ユニット11(図3)を内部に有する装置本体1a、装置本体1aの前面に設けられた操作パネル2、人感センサ15などを備える。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシートが挙げられる。操作パネル2は、ユーザなどの操作者による操作指示を入力するものである。
本実施形態に係る画像形成装置1は、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを中間転写ベルトに転写した後、記録材に画像を転写して画像を形成する中間タンデム方式の画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字としてY、M、C、Kを付する。但し、各部材の構成や動作は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、同じ構成については、代表してイエローのトナー像を形成する構成について説明し、他の色の構成については説明を省略する。
図2は、画像形成装置1の斜視概略図である。図3は、画像形成装置1の概略構成断面図である。図2及び図3に示す様に、画像形成装置1は、記録材Sに画像を形成する画像形成ユニット11を備える。画像形成ユニット11は、感光ドラム301Y、301M、301C、301K、帯電ローラ302Y、302M、302C、302K、現像装置303Y、303M、303C、303Kを備える。また、一次転写ローラ305Y、305M、305C、305K、レーザスキャナユニット398、中間転写ベルト306、二次転写ローラ316、二次転写対向ローラ312などを備える。
また、画像形成装置1は、原稿の画像を読み取る画像読取ユニット10を備える。画像読取ユニット10は、リーダ10aとADF10bから構成される。リーダ10aは、ガラス板で形成された不図示の載置台に載置された原稿の画像を光学的に読み取って画像データに変換する。ADF10bは、原稿トレイ10b1に積載された原稿を自動的に搬送して画像を読み取る。ADF10bは、回動自在に支持されており、ADF10bを回動させて上方に開放することでリーダ10aの載置台にアクセス可能となる。
また、画像形成装置1の前面側には、画像形成に関する設定や画像読取に関する設定が可能な操作パネル2が設けられている。操作パネル2は、情報を表示させると共にタッチ操作により情報の入力や装置への指令などが可能な操作表示部20aと、数値等を入力するためのキー20bと、外装カバー20cを有する。操作表示部20aは、詳しくは後述するように、ソフトウェアキーを表示してそれに触れる(タッチ操作する)ことで、情報の入力や装置への指令が可能である。手動入力部としてのキー20bは、物理的に押下することで情報の入力や装置への指令が可能なハードウェアキー(物理キー)である。なお、キー20bは、省略しても良い。
操作者は、操作表示部20a又はキー20bを操作することで、数値などの情報の入力や装置への指令を行うことができる。そして、画像形成に係る記録材Sのサイズや画像形成枚数の設定等の画像形成に関する設定や、原稿サイズの設定等の画像の読み取りに関する設定を行うことができる。本実施形態では、このような記録材のサイズや画像形成枚数などを画像形成条件とする。画像形成条件としては、これ以外に、モノクロで画像形成を行うかカラーで画像形成を行うかの選択(モノクロ/カラー)や、出力画像の濃度指定などがあっても良い。更には、1枚の記録材に複数の画像形成するモードの選択(例えば、1枚に2つの画像を形成する2in1、1枚に4つの画像を形成する4in1など)もあっても良い。
次に、画像形成装置1による画像形成動作について説明する。画像を形成する際は、まず、図4及び図5に示す制御部3のCPU7に画像形成ジョブ信号が入力される。これにより給送ローラ311、搬送ローラ385が回転し、カセット310に積載収納された記録材Sがレジストローラ386に送り出される。次に、記録材Sは、レジストローラ386によって所定のタイミングで二次転写ローラ316と二次転写対向ローラ312に張架された中間転写ベルト306から形成される二次転写部に送り込まれる。
一方、画像形成ユニット11においては、まず、帯電ローラ302Yにより感光ドラム301Y表面が帯電させられる。その後、画像読取ユニット10に読み取られた原稿の画像の画像信号、或いは、パーソナルコンピュータなどの外部機器から送られた画像信号等に応じてレーザスキャナユニット398が感光ドラム301Y表面にレーザ光を照射する。これにより、感光ドラム301Y表面に静電潜像が形成される。その後、現像装置303Yにより感光ドラム301Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させ、感光ドラム301Y表面にイエローのトナー像を形成する。感光ドラム301Y表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ305Yに一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト306に一次転写される。
同様のプロセスにより、感光ドラム301M、301C、301Kにも、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ305M、305C、305Kに一次転写バイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト306上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト306の表面に画像信号に応じたフルカラーのトナー像が形成される。
その後、中間転写ベルト306が駆動ローラ317から駆動力を伝達されて周回移動することで、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ316に二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト306上のフルカラーのトナー像が記録材Sに転写される。
次に、トナー像が転写された記録材Sは、定着装置315において加熱、加圧処理が施され、これにより記録材S上のトナー像が記録材Sに定着される。その後、トナー像が定着された記録材Sは、排出ローラ313によって排出部307に排出される。
図4に示すように、操作パネル2内には、操作者が所持する携帯端末(外部機器)6と、近距離無線通信としてのNFC通信を行うためのNFCタグ部4が設けられている。NFCタグ部4は、詳しくは後述するように、電波の送受信を行うアンテナと、NFC通信の制御を行うICチップから構成されており、操作者が有するスマートフォンなどの携帯端末との間で近距離無線通信であるNFC通信を行う。NFC(:Near Field Communication)とは、13.56MHzの電磁波を利用した非接触無線通信規格である。この規格は、特にISO/IEC 18092、ISO/IEC 21481等に代表される通信距離がおよそ10cm以下の短距離の無線通信規格であり、代表的なものとしてFeliCa(登録商標)やMifare(登録商標)がある。ここでは、Bluetooth(登録商標)に関しても近距離無線通信の一種とする。本実施の形態においては、近距離無線通信の一例としてNFC通信を行う形態について説明する。
また、画像形成装置1には、装置に接近する操作者を検知する人感センサ15が設けられている。人感センサ15は、例えば、装置本体1aの前面に配置され、画像形成装置1の前に人が存在する場合には、それを検知する。なお、人感センサ15は、操作パネル2に設けても良い。例えば、操作パネル2の外装カバー20cに形成されたスリットの内側に人感センサ15を配置し、スリットを介して超音波を送信し、その反射波を受信することで操作者を検知するようにしても良い。なお、人感センサ15の詳細な構成については後述する。
また、画像形成装置1は、携帯端末6と無線LAN通信を行うための無線LAN通信部5を備えている。LANはLocal Area Networkの略である。NFCタグ部4及び無線LAN通信部5は、インターフェイスを介してこの画像形成装置1の動作を制御する制御部3と接続されている。
携帯端末6は、スマートフォンやタブレット型コンピュータなどの携帯型の機器、或いは、ICカードなどで、NFC通信機能を有するものである。本実施形態では、携帯端末6は、スマートフォンやタブレット型コンピュータなどの携帯型の機器で、NFC通信及び無線LAN通信の機能を有するものとする。操作者は、携帯端末6を使用して画像形成装置1と無線通信を行い、画像形成装置1を使用して各種処理を実行させる。ここで、無線LAN通信の範囲はNFC通信の範囲よりも広い。また、無線LAN通信における単位時間当たりで通信可能なデータ容量は、NFC通信における単位時間当たりで通信可能なデータ容量よりも多い。そのため、無線LAN通信時の通信速度はNFC通信時の通信速度よりも速い。Wi-Fi通信が無線LAN通信の一例にあたる。
[制御部]
次に、画像形成装置1のシステム構成について、図5を用いて説明する。図5に示す様に、画像形成装置1は、CPU7と、CPU7が演算に用いるデータが一時的に格納されるRAM(メモリ)8と、各種のプログラムが格納されているROM(記憶装置)13を備える。また、画像形成装置1の制御に関するソフトウェアや各種設定、保存された文書が格納されるHDD104を備える。
また、画像形成装置1は、LANを介して外部機器とデータの送受信を行うネットワークインターフェイス106と、無線LAN通信を介して外部機器とデータの送受信を行う無線LAN通信部(無線LANインターフェイス)5を備える。また、操作パネル2からの入力データや操作パネル2に表示させる画像データを中継する操作部インターフェイス105を備える。
また、画像形成装置1は、CPU7から指示を受けて特定のデバイスへの電力の供給、供給停止を切り替える電源制御部170を備える。電源制御部170は、商用電源から電源の供給を受けて各デバイスで使用される電力に変換して電力を供給可能な電源装置160を制御する。電源制御部170の構成の詳細については後述する。上述した各デバイスや、NFCタグ部4、人感センサ15は、システムバス114を介して相互に接続されている。
また、画像形成装置1は、画像処理を行う画像処理部150を備える。画像処理部150は、RIP110、デバイスインターフェイス111、プリンタ画像処理部112、スキャナ画像処理部113から構成されており、これらは画像バス115を介して相互に接続されている。また、画像バス115とシステムバス114は、イメージバスインターフェイス109を介して接続されており、イメージバスインターフェイス109により画像バス115とシステムバス114との中継やデータ構造の変換が行われる。
RIP110は、ラスタイメージプロセッサであり、ページ記述言語(PDL)コードやディスプレイリストをビットマップイメージに変換する。スキャナ画像処理部113は、画像読取ユニット10で読み取られた画像データに対して補正や解像度変換などの画像処理を行う。プリンタ画像処理部112は、画像形成ユニット11で形成される画像の画像データに対して補正や解像度変換などの画像処理を行う。
画像読取ユニット10は、スキャナバス116、デバイスインターフェイス111を介して画像バス115と接続されている。画像形成ユニット11は、プリントバス117、デバイスインターフェイス111を介して画像バス115と接続されている。デバイスインターフェイス111は、画像読取ユニット10から受信された画像データを画像バス115に送信するタイミングや、画像バス115から画像形成ユニット11へ画像データを送信するタイミングを調整する。
[電源制御部]
次に、電源制御部170の詳細な構成について、図6を用いて説明する。図6に示すように、電源制御部170は、CPU7から指示を受けてスイッチ171~177のON、OFFを切り替えることで、電源装置160から各デバイスへの電力の供給、供給停止を制御する。具体的には、電源制御部170は、操作パネル2、ネットワークインターフェイス106、無線LAN通信部5、画像処理部150、画像読取ユニット10、画像形成ユニット11、人感センサ15への電力の供給・供給停止を制御する。これにより、画像形成装置1は、主電源が投入されている状態において、画像形成を待機している第1モードとしてのスタンバイ状態と、スタンバイ状態よりも消費電力が少ない第2モードとしてのスリープモードとを実行可能である。以下、具体的に説明する。
画像形成装置1が一定の時間使用されない場合、又は、操作者が操作パネル2を操作してスリープモードへの移行を選択した場合、画像形成装置1は省電力を目的としてスリープモードに入る。スリープモードでは、電源制御部170は、スイッチ172、173、177をONにし、スイッチ171、174、175、176をOFFにする。これにより操作パネル2、画像処理部150、画像形成ユニット11、画像読取ユニット10の駆動が停止される。
画像形成装置1がスリープモードの状態において、ネットワークインターフェイス106を介して画像形成ジョブが指定された場合、電源制御部170はCPU7から指示を受けてスイッチ174、176をONに切り替える。無線LAN通信部5を介して画像形成ジョブが指定された場合も同様である。これにより画像形成ジョブの実行時に使用される画像処理部150、画像形成ユニット11に電力が供給され、スリープモードからスタンバイ状態に復帰する。
また、画像形成装置1がスリープモードの状態において、ネットワークインターフェイス106を介して画像読取ジョブが指定された場合、電源制御部170はCPU7から指示を受けてスイッチ174、175をONに切り替える。無線LAN通信部5を介して画像形成ジョブが指定された場合も同様である。これにより画像読取ジョブの実行時に使用される画像処理部150、画像読取ユニット10に電力が供給され、スリープモードからスタンバイ状態に復帰する。
このようにスリープモードの状態において、ネットワークインターフェイス106や無線LAN通信部5からジョブが指定された場合、CPU7はジョブの実行時に使用されるデバイスにのみ電力を供給するように制御する。これにより画像形成装置1のジョブの実行時の消費電力が抑制される。
また、画像形成装置1がスリープモードの状態において、画像形成装置1に接近した操作者が人感センサ15により検知された場合、電源制御部170はCPU7から指示を受けてスイッチ171、174、175、176をONに切り替える。これにより、スリープモードからスタンバイ状態に復帰する。このように人感センサ15によって操作者が検知された場合に全てのスイッチ171~177をONにするのは、人感センサ15で検知された操作者が指定するジョブが不明であるため、全てのデバイスをスタンバイ状態にして利便性を高めるためである。
即ち、スタンバイ状態とは、例えば、画像形成装置1の各部への電力供給がなされて、操作者の操作にしたがって画像形成や画像読取をすぐに行える状態である。言い換えれば、スタンバイ状態は、画像形成や画像読取を待機している状態である。一方、スリープモードとは、例えば、操作パネル2などの各部への電力供給を停止することでスタンバイ状態よりも消費電力を少なくした省電力の状態である。本実施形態では、スリープモードにおいて、操作パネル2の表示部2a(図7)が消灯しているが、少なくとも人感センサ15への電力供給が行われていれば良い。
また、例えば、操作パネル2にスリープモードを解除できるボタンを設け、このボタンを操作することでスリープモードを解除するようにしても良いし、キー20b(図2)の何れかのボタンを操作することでスリープモードを解除するようにしても良い。或いは、操作表示部20a(図2)をタッチすることでスリープモードを解除するようにしても良い。これらの場合、スリープモードであっても、キー20b又は操作入力部2b、操作パネルマイコン2d(図7)に電力を供給し、少なくとも表示部2a(図7)には電力を供給しない。
[画像形成装置のハードウェア構成]
次に、制御部3、操作パネル2、人感センサ15の詳細な関係について、図7を用いて説明する。図7は、画像形成装置1のハードウェア構成の一部を示すブロック図である。画像形成装置1は、操作パネル2、原稿を読み取って画像データを生成する画像読取ユニット10、画像データに基づき画像形成処理を実行する画像形成ユニット11、二次元バーコード生成部12、各種情報を記憶する記憶装置(ROM)13などを備える。また、画像形成装置1は、操作パネル2内に配置されて前述したNFC通信を行う通信部としてのNFCタグ部4、無線LAN通信部5を備える。これらの各部は制御部3とインターフェイスを介して接続されている。
制御部3は、CPU7、メモリ(RAM)8、タイマ9を備えており、各部の動作を制御するものである。CPU7は、記憶装置13に記憶されているプログラム14を読み出して実行する。プログラム14は、制御部3を後述する各種処理を行うために機能させるプログラムである。メモリ8は、CPU7がプログラムを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するためのものである。タイマ9は、制御部3が各種処理を行う際に計時を行うためのものである。また、制御部3は、後述するように、NFC通信に基づいて操作者を認証する認証部としても機能する。
操作パネル2は、前述したように操作者による操作を行うための操作表示部20a、キー20b(図2)、操作音発生部2c、操作パネルマイコン2d、NFCタグ部4を備えている。操作表示部20aは、表示部2a、操作部及び手動入力部としての操作入力部2bを有する。表示部2aは、例えば液晶パネルなどで構成され、各種情報を表示可能である。表示部2aは、例えば、画像データを制御部3から図示しない画像データ用の転送ラインを通じて受信することで、液晶パネル上に画像を映すことが可能である。
操作入力部2bは、表示部2a上に配置されたタッチパネルなどであり、タッチ操作により情報を入力可能である。なお、操作パネル2に、装置の状態を表示するLEDも配置するよう構成しても良い。LEDはLight Emitting Diodeの略である。
本実施形態では、操作入力部2bは、表示部2aに表示したソフトウェアキーを表示し、タッチ操作により情報を入力可能なタッチパネルとする。操作音発生部2cは、操作に伴う各種の操作音を発生するためのものである。操作パネルマイコン2dは、これらを制御し、制御部3と通信する。
NFCタグ部4は、外部機器(本実施形態では携帯端末6)とNFC通信規格に基づきNFC通信を行い、携帯端末6と制御部3との間で行われるデータ入出力を行うものである。本実施形態のNFCタグ部4は、RFID(Radio Frequency Identification)用ICで構成されておりNFCタグとして動作する。
人感センサ15は、画像形成装置1の周囲の所定の領域内に人がいることを検知可能である。本実施形態の人感センサ15は、画像形成装置1の前面にいる人や物体を検知するセンサであり、検知信号を操作パネルマイコン2dに送る。制御部3は、例えば、画像形成装置1がスリープモードにある場合に人感センサ15が人を検知すると、後述するように、操作パネル2に携帯端末6を画像形成装置の所定位置にかざす旨の画面を表示させる。また、この際、画像形成装置1の状態をスリープモードからスタンバイ状態に移行させる。
無線LAN通信部5は、無線LAN規格に基づき外部機器(本実施形態では携帯端末6)と無線LAN通信の処理を行い、携帯端末6と制御部3との間で行われるデータ入出力を行う。具体的には、無線LAN通信部5は、無線LAN通信手順にしたがって、データパケットの送信、受信の処理を行う。なお、本実施形態例の無線LAN通信部5は、無線LANダイレクトモードに対応している。
無線LANダイレクトモードでは、無線LAN通信部5が無線LANアクセスポイント(ソフトアクセスポイント)として動作することにより、外部の無線LANアクセスポイントを介さずに携帯端末6などの外部機器と無線LAN通信を行うことができる。
二次元バーコード生成部12は、設定されたデータを認証用画像としての二次元バーコード(QRコード:登録商標)にエンコードして、二次元バーコードの画像を生成するものである。生成された二次元バーコードの画像は、操作パネル2の表示部2aに表示するようにして、ユーザが携帯端末6を使用してこの二次元バーコード画像を読み取ることができる。なお、認証用画像は、携帯端末6のカメラ38(図10)で読み取り可能な画像であって、画像形成装置1がユーザを認証するための情報を含む画像である。本実施形態では、認証用画像を二次元バーコードとしているが、このような画像であれば二次元バーコードに限らない。また、本実施形態では、二次元バーコード生成部12を省略しても良い。
[NFCタグ部のハードウェア構成]
次に、図8を用いて、画像形成装置1におけるNFCタグ部4のハードウェア構成について説明する。NFCタグ部4は、NFCタグ制御部21、メモリ22、RF制御部23、RFインターフェイス部24、RFフィールド検知部25、ループアンテナ26などを備える。
NFCタグ制御部21は、NFCタグ部4の各部の制御を行い、制御部3に対して、インターフェイスを介してデータの入出力を行う。NFCタグ制御部21は、タグ読み取り割り込み発生部21aを有する。
タグ読み取り割り込み発生部21aは、携帯端末6とのNFC通信により、携帯端末6からNFCタグデータの読み取りが行われたり、書き込みが行われると、割り込み信号を発生する。なお、タグ読み取り割り込み発生部21aの割り込み信号は、制御部3に出力される。
メモリ22は、NFCタグデータとして、制御部3若しくは携帯端末6から書き込まれたデータを蓄積するものであり、不揮発メモリにより構成されているものとする。また、メモリ22に書き込まれたデータは、制御部3で読み出すことが可能である。
RF制御部23は、外部機器(本実施形態では、携帯端末6)とNFC通信を行う際に、RF通信のための電磁波の変調、復調処理を行うものである。RFはRadio Frequencyの略である。
RFインターフェイス部24は、外部機器(本実施形態では、携帯端末6)とNFC通信を行う際に、電磁波の輻射を受けることにより電磁結合を行い、電磁波の受信、送信の処理を行うものである。
RFフィールド検知部25は、外部機器とのNFC通信において、RFインターフェイス部24が電磁波の輻射を受けている間、電磁場(RFフィールド)を検知するものである。具体的には、RFフィールド検知部25は、電磁波の電力(エネルギー)を検出するものであるとする。なお、RFフィールド検知部25の検知信号は、制御部3に出力される。
ループアンテナ26は、外部機器とNFC通信を行うためのアンテナであり、本実施形態では、携帯端末6から電磁波の輻射を受け、電磁結合を行い、電磁波による通信を行うためにループコイル状に形成されている。
本実施形態では、NFCタグ部4は、携帯端末6から電磁波の輻射を受けることにより電磁結合を行い、この電磁結合により発生する起電力による電力供給を受けて動作するものである。なお、メモリ22、RF制御部23、RFインターフェイス部24は、NFCタグ制御部21から制御されるものとする。
[操作パネル]
次に、図9を用いて操作パネル2の操作表示部20aについて、より詳しく説明する。本実施形態では、操作表示部20aは、NFCアンテナを搭載しており、最下層から、表示部2a、タッチパネルである操作入力部2b、NFCアンテナであるループアンテナ26の順に重畳して配置されている。最外部には、不図示の保護ガラスが配置されていても良い。
即ち、操作表示部20aは、下位層には液晶等の表示部2aが配置される。表示部2aと操作パネルマイコン2d(図7)は、不図示のFlexible Flat Cable(以下FFCと略す)などにて接続されている。表示部2aの上方には、タッチパネルなどの操作入力部2bが配置される。なお、操作パネル2において、上方とは、操作者がタッチ操作する側である。
操作入力部2bは、抵抗式や静電容量式のタッチパネルでもよく、また、光学式の構造でも構わないが、本実施形態では4線式の抵抗式のタッチパネルとする。操作入力部2bのタッチパネルは、4辺に電極が配置されており、各々の電極がFlexible Printed Circuit(以下FPCと略す)などの接続子を介して操作パネルマイコン2dに接続されている。
操作入力部2bの上方には、NFCのアンテナパターンであるループアンテナ26が配置されている。操作入力部2b及びループアンテナ26は透明もしくは半透明なフィルムであり、表示部2aに表示される画像がループアンテナ26の上方から目視可能としている。
本実施形態では、ループアンテナ26を1つのアンテナパターンとしているが、複数のアンテナパターンにより構成しても良い。ループアンテナ26もFPC等の接続子を介して、RFインターフェイス部24に接続されている。
ループアンテナ26は、携帯端末6との通信において操作入力部2bの上に配置することが最も感度が良い。このため、本実施形態では、ループアンテナ26を操作入力部2bの上を覆うように配置している。なお、ループアンテナ26の位置は、これに限らず、例えば、表示部2aと操作入力部2bとの間であっても良い。また、ループアンテナ26と操作入力部2bとは一体に構成しても良い。
本実施形態では、このようにNFC通信を行うためのアンテナであるループアンテナ26を操作パネル2内で、且つ、表示部2aの上方に表示部2aと重畳するように配置している。このため、詳しくは後述するが、操作パネル2上の表示範囲内の所定位置に操作者が携帯端末6をかざすように誘導するような画面を表示部2aに表示することができる。そして、操作者は、携帯端末6を操作パネル2の上にかざすことでNFC通信ができる。
[携帯端末のハードウェア構成]
次に、図10を用いて、携帯端末6のハードウェア構成について説明する。携帯端末6は、制御部31、操作パネル34、記憶装置35、NFC R/W部36、無線LAN通信部37、カメラ38、二次元バーコード解析部39などを備える。制御部31は、携帯端末6を制御するものであり、CPU32、メモリ33から構成される。CPU32は、記憶装置35に記憶されている各種プログラムを読み出して実行する。メモリ33は、CPU32がプログラムを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。
操作パネル34は、操作者による操作指示を入力する構成を備えている。即ち、操作パネル34は、液晶パネルにより構成され各種情報を表示する表示部34aと、その表示部34a上のタッチパネルなどの操作入力部34bで構成される。また、操作に伴う各種の操作音を発生するための操作音発生部34cをあわせて備えている。記憶装置35は、前述した各種プログラムなどを記憶するものである。
NFC R/W部36は、外部機器(本実施形態では画像形成装置1)とNFC通信規格に基づきNFC通信を行い、画像形成装置1と制御部3との間で行われるデータ入出力を行うものである。本実施形態のNFC R/W部36は、NFCのリーダ/ライタとして動作する。即ち、NFC通信によるデータの読み込み及び書き込みを行う。
無線LAN通信部37は、無線LAN規格に基づいて外部機器(本実施形態では画像形成装置1)との通信処理を行い、画像形成装置1と制御部31の間で行われるデータ入出力処理を行う。本実施形態の無線LAN通信部37は、無線LAN規格に基づき無線LAN通信の処理を行うものであり、具体的には無線LAN通信手順にしたがって、データパケットの送信、受信の処理を行う。
カメラ38は、撮像用のカメラである。二次元バーコード解析部39は、読み取った二次元バーコードを解析して二次元バーコードのデータを取得するものである。また、図示していないが、携帯端末6は、バッテリや電源制御部など携帯端末として必要な電源供給の構成を備えている。なお、本実施形態では、カメラ38及び二次元バーコード解析部39を省略しても良い。
[NFC R/W部のハードウェア構成]
次に、図11を用いて、携帯端末6におけるNFC R/W部36のハードウェア構成について説明する。NFC R/W部36は、NFC R/W制御部41、RF制御部42、RFインターフェイス部43、ループアンテナ44などを備える。
NFC R/W制御部41は、NFC R/W部36の各部の制御を行い、制御部31に対して、インターフェイスを介してデータの入出力を行う。RF制御部42は、外部機器とNFC通信を行う際に、RF通信のための電磁波の変調、復調処理を行うものである。RFインターフェイス部43は、外部機器とNFC通信を行う際に、電磁波を輻射して電磁結合を行い、電磁波の受信、送信の処理を行うものである。
ループアンテナ44は、外部機器とNFC通信を行うためのアンテナであり、本実施形態では、画像形成装置1に対して電磁波を輻射して、電磁結合を行い、電磁波による通信を行うためにループコイル状に形成されている。なお、RF制御部42、RFインターフェイス部43は、NFC R/W制御部41により制御されるものとする。
[NFC通信]
次に、図12を用いて、携帯端末6のNFC R/W部36が、画像形成装置1のNFCタグ部4と電磁結合を行い、NFC通信によりNFCタグ部4のNFCタグデータを読み取る動作について説明を行う。なお、詳細なNFC通信の通信プロトコルについてはNFC通信規格に従うものとして、以下には、電磁結合による通信の動作の概要を述べる。
まず、NFC R/W部36は、NFCタグ部4のNFCタグデータの読み取りを行うためのポーリング動作を行う。そして、操作者は、携帯端末6を保持して、携帯端末6のNFC R/W部36を画像形成装置1のNFCタグ部4に近接させる。即ち、携帯端末6を操作パネル2の所定位置に近接又は当接させる。
NFC R/W制御部41は、RF制御部42を制御して、NFCタグを読み取るためのコマンドデータを送信すべく、NFC通信規格に基づき電磁波を変調する。この変調波はRFインターフェイス部43にもたらされる。NFC R/W制御部41は、RFインターフェイス部43を制御して、もたらされた変調波を送信する。
送信された変調波はRFインターフェイス部43からループアンテナ44にもたらされ、電磁波として輻射される。この輻射された電磁波によりNFC R/W部36とNFCタグ部4の近傍にはRFフィールドが生成され、NFC R/W部36とNFCタグ部4は電磁結合する。
NFCタグ部4においては、ループアンテナ26が電磁波の輻射を受けることにより、電磁波が受信される。受信された電磁波は、RFインターフェイス部24にもたらされ、RFインターフェイス部24は電磁結合による起電力を発生する。この起電力によりNFCタグ部4は電力を得て動作する。同時に、RFインターフェイス部24で受信された電磁波は、RF制御部23にもたらされる。
NFCタグ制御部21は、RF制御部23を制御して、RF制御部23にもたらされた変調された電磁波を復調して復調データを得る。NFCタグ制御部21は、復調データを得て、これがNFCタグデータを読み取るためのコマンドデータであることを検知する。
そこで、NFCタグ制御部21は、メモリ22にNFCタグデータとして書き込まれているデータを読み出し、コマンドデータに対するレスポンスデータとしてRF制御部23に転送する。NFCタグ制御部21は、RF制御部23を制御して、NFCタグデータであるレスポンスデータを送信すべく、NFC通信規格に基づき電磁波を変調し、この変調波はRFインターフェイス部24にもたらされる。
NFCタグ制御部21は、RFインターフェイス部24を制御して、もたらされた変調波を送信する。送信された変調波はRFインターフェイス部24からループアンテナ26にもたらされ、電磁波として輻射される。この時点で、NFCタグ制御部21は、NFCタグデータを読み取るためのコマンドデータの受信に対応して、NFCタグデータをレスポンスデータとして送信完了したものとして、タグ読み取り割り込み発生部21aにより割り込み信号を発生させる。
一方、NFC R/W制御部41においては、ループアンテナ44が、NFCタグ制御部21から輻射されたレスポンスデータに基づき変調された電磁波を受信する。受信された電磁波は、RFインターフェイス部43を介して、RF制御部42にもたらされる。
NFC R/W制御部41は、RF制御部42を制御して、RF制御部42にもたらされた変調された電磁波を復調して復調データを得る。そして、NFC R/W制御部41は、NFCタグ部4のNFCタグデータの読み取りが完了したことを制御部31に通知する。同時に、NFC R/W制御部41は、読み取ったNFCタグデータを制御部31に転送する。
携帯端末6においては、NFC R/W部36のNFC R/W制御部41からNFCタグデータの読み取りが完了した通知を受けると、制御部31は、操作パネル34の操作音発生部34cにより、操作完了音を発生させる。
これにより、操作者は、携帯端末6のNFC R/W部36により、画像形成装置1のNFCタグ部4のNFCタグデータの読み取りが完了したことを知ることができる。
なお、画像形成装置1のNFCタグ部4が携帯端末6のNFC R/W部36のデータを取得する場合も、データを出力する側とデータを読み取る側が逆になるのみであり、通信方法は同様である。
ここで、操作者の認証(個人認証、ログイン)を行うための設定情報である、例えば、IDやPASSWORDなどの情報は、携帯端末6の記憶装置35に記憶されている。携帯端末6のNFC R/W部36は、画像形成装置1のNFCタグ部4からの読み取りに対して、記憶装置35から読み取った上述の設定情報をNFCタグデータとして出力する。これにより、画像形成装置1は、個人認証に必要な設定情報を取得することができ、携帯端末6を所持している操作者を認証する。そして、画像形成装置1は、操作者を認証することによって操作者に対して装置の使用を許可する。ここで言う装置の使用には、記録材への画像形成、原稿の読取装置の使用などが含まれる。
一方、無線LANダイレクトモードを行うための設定情報である、例えば、SSID、PASSKEY、IPアドレスなどの設定情報は、画像形成装置1の記憶装置(ROM)13に記憶されている。画像形成装置1のNFCタグ部4のメモリ22には、記憶装置13から読み取ったSSID、PASSKEY、IPアドレスなどの設定情報が書き込まれている。画像形成装置1のNFCタグ部4は、携帯端末6のNFC R/W部36からの読み取りに対して、メモリ22から読み取った上述の設定情報をNFCタグデータとして出力する。これにより、携帯端末6は、無線LAN接続に必要な上記設定情報を取得することができ、画像形成装置1は、携帯端末6を所持している操作者を認証して、この携帯端末6と無線LANの接続を行う。
このように本実施形態の場合、NFC通信に対応した携帯端末6を操作者が画像形成装置1側のNFCタグ部4にかざすことによって、画像形成装置1や携帯端末6が個人認証や無線LAN接続のための接続情報を取得する。そして、画像形成装置1が個人認証や無線LAN接続の設定を自動的に行う。
[人感センサ]
次に、図13及び図14を用いて、人感センサ15について説明する。図13は、人感センサ15の構成を示すブロック図である。図13に示す様に、人感センサ15は、送信部181、受信部183、超音波送受素子182から構成される。超音波送受素子182は、電気信号を超音波に変換して送信し、又は、超音波を受信して電気信号に変換する。
送信部181は、操作パネルマイコン2dから超音波送信を制御するデジタル信号を受信し、超音波送受素子182により超音波送信を行うためのアナログ信号に変換する。超音波送受素子182が送信部181から超音波送信の電気信号を受けると、超音波送受素子182は発振して超音波を送信する。超音波送受素子182から送信された超音波の送信波184は、人体などの物体に当たると反射する。この超音波の反射波185を超音波送受素子182が受信してアナログ電気信号として受信部183に入力する。
受信部183は、受信した超音波のアナログ電気信号をデジタル信号化し、システムバス114を介して操作パネルマイコン2dに入力する。操作パネルマイコン2dは、送信部181に超音波送信を制御する信号を送信してから受信部183により超音波の反射波185の受信信号を受けるまでの時間を計測する。そして、この時間の動的な変化から、反射波185を生じさせている物体の接近や遠ざかる動きを検知する。なお、人感センサ15との信号のやり取りを行う対象である操作パネルマイコン2dは、制御部3のCPU7であっても良い。
図14は、人感センサ15の検知範囲(所定の領域)Bと操作者70の位置関係を示す。本実施形態では、人感センサ15は、上述のように超音波式のセンサである。人感センサ15の検知範囲Bは、人感センサ15の検知面から扇型状に画像形成装置1の前方に拡がっている。
操作者70が、画像形成装置1の方向に歩いて近づき、図14のように人感センサ15の検知範囲Bに入ると、人感センサ15の検知信号が変化する。操作パネルマイコン2d(図7)は、人感センサ15の検知信号の変化にしたがって、物体の検知アルゴリズムに沿って物体の検出を行う。
本実施形態の超音波式のセンサでは画像形成装置の周囲に置かれた机や柱などの動かないものからの反射される信号も受けてしまうため、検知アルゴリズムによって、近づいてくる操作者70を判別するようにしている。また、検知アルゴリズムによって、画像形成装置1の前を横切るだけの人と、実際に画像形成装置1を使用する人との判別なども行っている。
操作パネルマイコン2dは、検知アルゴリズムにしたがって操作者70を検知した場合、制御部3へ検知信号を送る。制御部3のCPU7は、検知信号にしたがって、画像形成装置1の電源状態をスリープ状態からスタンバイ状態へ変化させたり、スタンバイ状態からスリープ状態に移行しないように保持させるなどの動作の制御を行う。即ち、画像形成装置1がスリープ状態で人感センサ15が人を検知すると、CPU7は、画像形成装置1の状態をスリープ状態からスタンバイ状態へ移行させる。そして、人感センサ15が人を検知している間は、画像形成装置1の状態をスリープ状態に移行させない。
なお、人感センサ15が人を検知しなくなると、自動的にスリープ状態に移行するようにしても良い。また、スタンバイ状態において人感センサ15が人を検知していても、一定時間、画像形成装置への操作がない場合には、スリープ状態に移行するようにしても良い。
[操作者の認証]
次に、操作者が画像形成装置1に対してNFC認証をする時の制御部3のCPU7の動作について、図15のフローチャート及び図16ないし図18を用いて説明する。以下の説明では、操作者をユーザとする。なお、操作者は、ユーザに限らず、画像形成装置1のメンテナンスを行うサービスマンなども含む。
まず、画像形成装置1の状態がスリープ状態であるとする。この状態で、人感センサ15が所定の領域内(検知範囲内)に人(ここではユーザ)がいることを検知すると、操作パネルマイコン2dが人感センサ15の検知信号から画像形成装置1の前にユーザがいると判断する。そして、CPU7は、操作パネルマイコン2dからユーザの検知信号を受信すると(S101)、画像形成装置1をスリープ状態からスタンバイ状態とし、CPU7は操作パネル2の表示部2aに、図16に示すようなNFC認証画面を出す(S102)。
図16のNFC認証画面は、携帯端末6を画像形成装置1の所定位置にかざす旨の第1画面に相当する。即ち、図16のNFC認証画面は、画像形成装置1と携帯端末6との間でNFC通信を行うために、携帯端末6をかざす所定位置を示すターゲットマークを表示したものである。本実施形態では、携帯端末6とNFC通信を行うためのNFCタグ部4のループアンテナ26が操作パネル2内に配置されているため、ターゲットマークは、操作パネル2内(操作パネル内)に表示するようにしている。なお、図16の画面は一例であり、第1画面は、NFCを搭載した携帯端末6をかざす位置がわかるような表示であれば良い。
なお、図16に示すような第1画面に、携帯端末6をかざす所定位置を示す表示に加えて、手動により画像形成装置1がユーザを認証するための情報を入力する画面に移行するボタン(ソフトウェアキー)を表示しても良い。これは、そもそもユーザがNFC通信の機能を有する携帯端末を持っていなかったり、手動での認証を望む場合があるためである。
ここで、携帯端末6のNFC通信の電波が弱く、画像形成装置1側で検知できない場合や、携帯端末6若しくは画像形成装置1のNFCの通信機器の故障などの不具合でNFC通信ができない場合がある。その場合、ユーザは故障などに気がつかないので、画像形成装置1の前で携帯端末6の通信ができるのを待っている可能性がある。或いは、何度もNFCの通信を行おうと試みる場合もある。この結果、時間を浪費してしまう。そこで、本実施形態では、人感センサ15が人を検知した状態で操作パネル2にNFC認証画面を表示してから所定時間の間に、認証部としての制御部3がユーザを認証しなかった場合、制御部3は、所定時間が経過したことに応じてユーザを認証できない旨の第2画面を表示させるように表示部2aを制御する。図15のフローチャートに戻って具体的に説明する。
S102において、操作パネル2の表示部2aにNFC認証画面を表示すると、制御部3は、ユーザが画像形成装置の前にいる時間Tを計測し始める(S103)。なお、時間Tの初期値はT=0である。ユーザは画面表示にしたがって、携帯端末6を指示された位置にかざす動作を行う。制御部3のCPU7は、ユーザが行う認証するための動作自体は検知できないが、代わりにNFC通信を経由して対象物(ここでは携帯端末6)を検知したかを識別する(S104)。NFC通信を検知できれば(S104のYes)、対象物が存在したことになるので、認証動作に進む(S108)。認証動作では、上述したように、携帯端末6と画像形成装置1との間でNFC通信が行われることで、個人認証や無線LAN接続の設定を自動的に行う。
S108にて、制御部3がユーザを認証すると、制御部3は、例えば、図17に示すような画像形成条件を表示するように操作パネル2の表示部2aを制御する。即ち、人感センサ15が人を検知した状態で上述の第1画面を表示してから、後述する所定時間が経過するまでの間にNFC通信が行われて制御部3がユーザを認証した場合、操作パネル2に画像形成条件を表示する。
図17に示した画面では、4種類の設定ボタン73a~73dを表示している。設定ボタン73aは、画像形成をモノクロで行うかカラーで行うか(モノクロ/カラー)を設定するボタンである。設定ボタン73bは、印刷部数を設定するボタンである。設定ボタン73cは、片面に画像形成を行うか両面に画像形成を行うか(片面/両面)を設定するボタンである。設定ボタン73dは、用紙サイズを設定するボタンである。
より具体的に説明すると、ユーザが携帯端末6を所定位置である操作パネル2のターゲットマークにかざして認証を行うことに応じて、操作パネル2は画像形成条件を表示する。例えば、ユーザが携帯端末6において印刷したい画像ファイルを選択したとする。その状態でユーザが携帯端末6を操作パネル2のターゲットマークにかざすと、操作パネル2には印刷枚数を設定する画面が表示される。この画面が、画像形成条件を表示する画面にあたる。ユーザが印刷枚数を入力し、スタートボタンを押下すると、携帯端末6で選択した画像が選択した枚数分だけ印刷される。
また、ユーザの認証後(ログイン後)に表示する画面は、ユーザに対して個別に設定される画面としても良い。即ち、ユーザや装置を管理する管理者などが、予め画像形成装置に対して各ユーザに対して固有の画像形成条件を設定しておき、ユーザの認証後にその設定に基づく表示を行うようにしても良い。即ち、制御部3は、ユーザを認証した場合に、当該認証されたユーザに対応する画像形成条件を表示させるように操作パネル2の表示部2aを制御する。
例えば、画像形成を行う大半の条件がA4モノクロであるユーザは、画像形成装置1にログインした際に、「A4モノクロ」の画像形成条件が設定されていることが望ましい。本実施形態における画像形成装置1の記憶装置には、ユーザ毎に画像形成条件を記憶しておくことが可能である。したがって、画像形成装置1へのユーザのログインが完了した時点で、そのユーザの「画像形成条件」が自動的に設定され、その画像形成条件が操作パネル2に表示される。
但し、このようなユーザに対応した画像形成条件の記憶は、ユーザの希望により行うようにしても良い。例えば、ユーザが所定の画像形成条件で画像形成を終えた際に、その条件を記憶しておくか否かを確認する画面を表示し、そのときの操作に応じて条件を記憶しておいりたり、或いは、しないようにしても良い。また、記憶する時間を制限して、ある一定時間が経過したら、画像形成装置が有する初期の設定に戻すようにしても良い。例えば、普段A4サイズの記録材に画像形成を行うユーザが、ある時A3の記録材に画像形成をした場合、この画像形成条件を自動的に記憶したとする。この場合、次にこのユーザがログインした際にA3サイズの記録材に画像形成を行う条件が設定されてしまい、普段A4サイズの記録材に画像形成を行うユーザの使い勝手が低下する虞がある。これに対して、上述のようにユーザが画像形成条件を記憶するか否かを選択できるようにしたり、画像形成条件を記憶しておく時間を制限しておくことで、ユーザの使い勝手を向上させられる。
なお、操作者の認証後に表示する画面は、これ以外に、例えば、「コピーモード」「FAXモード」「スキャンモード」「設定モード」などを選択できるメニュー画面であっても良い。これらの各モードも画像形成条件に含まれる。この場合に、ユーザが「設定モード」を選択すると自身の画像形成条件の確認・再設定をできるようにしても良い。また、ユーザが「コピーモード」を押下した場合でもまずそのユーザによって設定されている画像形成条件を表示するようにしても良い。即ち、ユーザの認証がされると、操作パネル2に、まず、メニュー画面を表示してから、画像形成条件の設定画面或いは確認画面を表示させるようにしても良い。
一方、S104において、NFC通信を検知できない場合(S104のNo)、CPU7は、人感センサ15がユーザを検知しているか否かを判断する(S105)。即ち、CPU7は、人感センサ15による操作パネルマイコン2dのユーザの検知信号から画像形成装置1の前にユーザが居続けているか否かを判断する。ユーザが画像形成装置1の前に居ないと判断したら(S105のNo)、特に何も処理せずに終了する(S109)。本実施形態では、図16のNFC認証画面を表示し続ける。そして、画像形成装置1が何も操作されずに一定時間経過した場合には、画像形成装置1をスリープ状態とする。
これに対して、S105において、ユーザが画像形成装置1の前に居ると判断した場合(S105のYes)、NFC認証画面の表示開始から、予め設定した所定時間T0が経過したか(T=T0)を確認する(S106)。NFC認証画面の表示開始からの時間が所定時間T0を経過していない場合(S106のNo)、S104に戻り、NFC通信を検知できたか否かを判断する。なお、所定時間T0は、例えば10秒とするが、所定時間T0は適宜設定可能である。また、ユーザが所定時間を変更できるようにしても良い。
NFC認証画面の表示開始からの時間が所定時間T0を経過したら(S106のYes)、ユーザがNFC通信にて画像形成装置1が認証するのを待っている状態だと判断する。そして、操作パネル2の画面を、図18に示すような手動ログイン画面に切り替える(S107)。即ち、CPU7は操作パネル2の表示部2aに、図18に示すようなNFC通信以外による認証画面(本実施形態では手動ログイン画面)を出す。
図18の手動ログイン画面は、ユーザを認証できない旨の第2画面に相当する。図18の手動ログイン画面には、ユーザを認証できない旨の表示に加えて、手動により画像形成装置1がユーザを認証するための情報(例えば、IDやPASSWORD)を入力する表示を含んでいる。
具体的には、図18の手動ログイン画面には、ログインに必要なIDの手動入力ボックス201およびパスワードの手動入力ボックス202が表示される。ユーザがそれぞれのボックスをタッチすることで入力先を選択し、キー20b(図2)により情報を入力して手動ログインを行う。このような手動ログインが行われた場合にも、上述したように、ユーザに対応する画像形成条件を操作パネル2に表示するようにしても良い。なお、ユーザが手動入力ボックスをタッチした場合に、操作パネル2にアルファベットや数字などの文字を入力可能なソフトウェアキーを表示するようにしても良い。この場合、ユーザはタッチ操作することでそれぞれのボックスに情報を入力して手動でログインを行う。また、図18の画面には、再度、携帯端末6によるNFC認証入力画面に戻るボタン(ソフトウェアキー)203が表示されている。ユーザがボタン203に触れると、図16の画面を再度表示する。
本実施形態の場合、上述のように、NFC認証画面を表示してから所定時間経ってもNFC認証が行われない場合には、図18に示すような手動ログイン画面を表示するようにしている。このため、NFC通信ができずに操作者が時間を浪費してしまうことを抑制できる。
<本実施形態の別例>
なお、第2画面は、図18に示した例に限らず、例えば、図19又は図20に示すような画面であっても良い。図19は、本実施形態の別の第1例の第2画面を示す図である。図19に示す画面では、図18と異なり、ユーザを認証できない旨を表示し、手動により画像形成装置1がユーザを認証するための情報を入力する画面(図18の手動入力ボックス201、202など)を表示していない。但し、図19では、手動により画像形成装置1がユーザを認証するための情報を入力する画面に移行するボタン(ソフトウェアキー)を表示している。
即ち、本例では、図16のNFC認証の画面において、NFC通信にて対象が検知できない時で、且つ、人感センサ15がユーザを検知しつづけている時に、すぐに図18の手動ログイン画面に移行せずに、図19に示す画面を表示するようにしている。なお、図19の画面は、図16の画面上に表示しても良い。
図19の画面を図16の画面上に表示した場合、NFCの認証ができなかった際に、画面が急に意図せず切り替わることによって、ユーザに認証が成功したかのような誤認識してしまうことを防止できる。
また、図20は、本実施形態の別の第2例の第2画面を示す図である。本例では、図18のような手動入力による認証ではなく、携帯端末6のカメラ38で読み取り可能な画像であって、画像形成装置1がユーザを認証するための情報を含む認証用画像(ここでは二次元バーコード)による認証を行う。このため、本例では、画像形成装置1は、図7に示す二次元バーコード生成部12が必須であり、携帯端末6は、図10に示すカメラ38及び二次元バーコード解析部39が必須である。
即ち、本例では、図16のNFC認証の画面にてNFC通信にて対象が検知できない時で、且つ、人感センサ15がユーザを検知しつづけている時に、図20に示すように、二次元バーコードを表示するようにしている。なお、図20の画面上に、ユーザを認証できない旨を表示するようにしても良い。
このようにすることで、ユーザは、手動で入力することなく、携帯端末6のカメラ38で二次元バーコードを読み取ることで、画像形成装置1にログインが可能となる。なお、図19の画面上に手動ログイン画面に移行する旨のボタン(ソフトウェアキー)を表示し、手動入力を可能としても良い。
また、例えば、図19の画面において、「手動でログインしてください。」の記載を消し、「手動ログイン画面に移行する」の表示を、「二次元バーコードを表示する」に変えるなどしても良いし、この画面を図16の画面上に表示しても良い。そして、このような画面において「二次元バーコードを表示する」のボタンにタッチされると、図20の画面を表示するようにしても良い。更には、手動ログイン画面と二次元バーコードを表示する画面とを同時に表示したり、それぞれのログイン方法の画面に移行するためのボタンを同時に表示して、ログイン方法を選択できるようにしても良い。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図1ないし図20を参照しつつ、図21を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、第1画面を表示してから所定時間、画像形成装置1が操作者を認証しない場合に第2画面を表示するようにした。これに対し本実施形態では、第1画面を表示してから所定回数、操作パネル2が触れられても画像形成装置1が操作者を認証しない場合には、所定時間経過前であっても第2画面を表示するようにしている。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様であるため、同じ構成については同一の符号を用いて説明し、図示及び説明を省略する。
本実施形態でも、第1画面を図16に示すような画面とし、携帯端末6を操作パネル2上にかざすことでNFC通信を行えるようにしている。このため、NFC通信ができない場合、ユーザは操作パネル2上に携帯端末6を置いたり、操作パネル2に携帯端末を何度も当ててしまうことが想定される。このため、NFC通信によって対象が検知できなかった場合には、操作パネルマイコン2dは、操作入力部2bからタッチパネルが触れられているという信号を何度も検知している場合がある。
操作パネルマイコン2dは操作入力部2bの入力検知情報を制御部3のCPU7に伝えている。CPU7は操作入力部2bの検知信号と人感センサ15の検知信号から、画像形成装置1の前に立っているユーザ7が居て、且つ操作入力部2bを操作していることが判別できる。このため、ユーザ7が認証をしようとしていると判断できる。
この時の制御部3のCPU7の動作シーケンスを、図21を用いて説明する。図21は第1の実施形態の図15に示したフローチャートとほぼ同じである。即ち、S203、S206以外は同じである。図15では、時間Tの判定にて画面切り替えを実施していたのに対して、図21では、操作入力部2bに接触した回数でも画面の切り替えを行う。
具体的には、S202において、操作パネル2の表示部2aにNFC認証画面を表示すると、制御部3は、ユーザが画像形成装置の前にいる時間Tを計測し始めるとともに、操作入力部2bの操作回数Fのカウントを開始する(S203)。操作回数Fの初期値はF=0と設定する。操作入力部2bの操作回数は、操作パネル2に触れられた回数である。
また、S204において、NFC通信にて対象物が検知できず、人感センサ15がユーザを検知している場合は(S204のNo、S205のYes)、S206に進む。S206では、NFC認証画面(第1画面)の表示開始から、予め設定した所定時間T0が経過したか(T=T0)、或いは、操作回数Fのカウントが予め設定された所定回数F0となったか(F=F0)を確認する。何れも満たさない場合(S206のNo)、S204に戻り、どちらか一方を満たせば(S206のYes)、CPU7は操作パネル2の表示部2aに、例えば図18に示したような第2画面を表示する(S207)。
即ち、第1画面の表示からの経過時間Tが所定時間T0となる前に、操作回数Fが所定回数F0に到達した場合には、所定時間T0経過前であっても第2画面を表示する。一方、操作回数Fが所定回数F0に到達していなくても、経過時間Tが所定時間T0に到達した場合にも第2画面を表示する。なお、所定回数F0は、例えば2回とするが、所定回数F0は適宜設定可能である。また、ユーザが所定回数を変更できるようにしても良い。
このような本実施形態の場合、第1画面の表示から所定時間経過しなくても、操作パネル2を所定回数操作された場合には、第2画面を表示するようにしているため、ユーザが認証できずに待っている時間をより抑制できる。
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、携帯端末として、スマートフォンやタブレット型コンピュータなどの携帯型の機器で、NFC通信及び無線LAN通信の機能を有するものを用いた場合について説明した。但し、携帯端末は、NFC通信の機能を有するICカードなどであっても良い。このようなICカードの場合、無線LAN通信の機能を有さないが、NFC通信により画像形成装置に対して個人認証が可能である。
また、上述の各実施形態では、携帯端末6とNFC通信を行うためのNFCタグ部4のループアンテナ26を操作パネル2内に配置した構成について説明した。但し、ループアンテナ26は、操作パネル2外にあっても良い。例えば、操作パネル2に隣接した位置に設けても良い。この場合、携帯端末6を画像形成装置1の所定位置にかざす旨の第1画面において、ループアンテナ26が配置されている位置を、携帯端末6をかざす所定位置として表示する。
また、上述の各実施形態では、人感センサ15が人を検知すると、画像形成装置1をスリープモードからスタンバイ状態としていたが、人感センサ15が人を検知してもスタンバイ状態とせず、図16に示したような第1画面を表示するようにしても良い。そして、NFC認証や他の方法で個人認証が完了した時点で、画像形成装置1をスタンバイ状態とするようにしても良い。
また、第1画面を表示するタイミングは、スリープモードで人感センサ15が人を検知した場合に限らない。例えば、スタンバイ状態において、一度、人感センサ15が人を検知しなくなってからスリープモードに移行しない程度の時間経過して、再度、人感センサ15が人を検知した場合にも第1画面を表示するようにしても良い。このような場合の一例として、認証されて画像形成装置1を使用していた前の操作者が画像形成装置1の前からいなくなり、画像形成装置1がスタンバイ状態のままで別の操作者が画像形成装置1の前に来た場合が考えられる。
また、第1画面を表示するタイミングの別例として、画像形成装置1の起動時がある。即ち、画像形成装置1の主電源がONされることで画像形成装置1が起動した場合、操作パネル2に、例えば、最初にその装置の製造者のロゴマークなどの初期画面を表示した後に、第1画面を表示するようにしても良い。この場合、人感センサ15が人を検知していなくても第1画面を表示するようにしても良いし、人感センサ15が人を検知していた時に第1画面を表示するようにしても良い。