JP7373276B2 - 部分放電検出装置および部分放電検出方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、複数の低域フィルタと高域フィルタの組み合わせを採用した結合コンデンサ法によって複数の試料を同時に測定する方法が開示されている。特許文献2には、結合コンデンサ法による電圧波とホール素子などによる電流波をそれぞれ検出し、これらの位相によって部分放電に起因する信号を判定する方法が開示されている。
すなわち、本発明の部分放電検出装置は、電源に接続される第1のセンサと、前記第1のセンサの出力信号のエネルギーを測定しそのエネルギーの強さに対応する信号を出力する第1のRFディテクタと、前記第1のRFディテクタの出力信号をサンプリングして記録する記録部と、前記記録部に記録された信号を解析する解析部と、を備え、前記解析部は、定められた閾値以上の信号を抽出するレベル判定部と、定められた周期以外の信号を除去する第1のノイズ除去部と、前記定められた周期の信号の継続性を判定する継続性判定部と、前記継続性判定部の結果を受けて部分放電を判定する部分放電判定部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、電源から得られる信号を、ノイズ成分を除去し、部分放電に起因する信号を抽出して解析できるので、部分放電が発生したときの検出感度を向上することができる。
このような構成によれば、ノイズの時刻による変化に基づいて閾値が設定されるので、信号の誤検出を低減することができる。
このような構成によれば、複数の基準に基づいて部分放電が判定されるので、部分放電のいろいろな発生モードに対応して部分放電の発生を判断することができ、部分放電が発生したときの検出感度を向上することができる。
このような構成によれば、第1のセンサと第2のセンサにより、電源に発生する信号の伝搬方向を特定することができるので、観測対象から発生する信号を他のノイズと区別できるので、ノイズの除去を効率よくでき、部分放電検出の感度を向上することができる。
このような構成によれば、センサの大きさを比較的小さくすることができる。
このような構成によれば、真空コンデンサの高域フィルタとしての機能を可変とすることができ、測定現場のおいて容易に測定周波数を変更可能となる。
このような構成によれば、電源から得られる信号を、ノイズ成分を除去し、部分放電に起因する信号を抽出して解析できるので、部分放電の発生の検出率を向上することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る部分放電検出装置のセンサの構成が示されており、図1(a)は真空コンデンサと増幅部の外観斜視図であり、図1(b)は回路図を示している。本実施形態におけるセンサ11は、真空コンデンサ(VC)1と真空コンデンサで受けた信号を増幅する増幅部2を備えており、増幅部2は、増幅器3と抵抗4を備えている。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る部分放電検出装置の概略構成図である。部分放電検出装置による部分放電検出は、電動機5に給電される3相交流の電源線6のR相6-1、S相6-2、T相6-3のそれぞれが、接続ポイントrp1、sp1、tp1から引き出されてセンサボックス7に接続される。センサボックス7では、接続ポイントrp1、sp1、tp1から引き出された電源線がブッシング9を介してセンサボックス7内のセンサ11に接続され、その出力が計測システム8に供給される。
本実施形態における部分放電検出装置10は、センサ11、RFディテクタ13、A/D変換器14、記録部15、解析部16、表示部17、および、記録部15と解析部16にそれぞれ付属するメモリ18とメモリ19を備えている。
解析部16は、図4に示すように、レベル判定部50、ノイズ除去部51、継続性判定部52、部分放電判定部53を備えている。
図5に示されるように、0msec、20msec、40msec、および、60msecのところに比較的大きいセンサ出力が、10msec、30msec、50msecのところに小さいセンサ出力が生じている。図5、図6からわかるように、部分放電は、電源電圧の立ち上がりと立ち下がりで生じる傾向にある。従って、電源周波数と同じサイクルで生じるセンサ出力信号が部分放電と関係性が深いことが考察される。この性質は後述する解析部16において、ノイズを除去する際に考慮されている。すなわち電源周波数と同じサイクルで発生していない信号は、部分放電とは関係ない信号として除去することができる。
信号の解析対象の判定に使われる閾値Tは、メモリ19に予め設定されている。レベル判定部50は、メモリ19の閾値Tの値を参照して信号を抽出する。ここにおいて閾値Tは、一定の値であってよいし、時刻ごとに異なった値を設定してよい。たとえば、深夜や早朝で、環境ノイズのレベルが比較的低い状態にある場合は、低めの閾値を設定してよい。一方、日中で、環境ノイズのレベルが比較的高い状態にある場合は、高めの閾値を設定してよい。このように、部分放電を観測する対象の環境ノイズの、時刻ごとの変化に対応して閾値Tを変更することによって、誤検出を防ぎ、部分放電の検出感度を向上させることができる。
このように電源周期と連動して発生する信号以外はノイズとして除去して解析が行われるので、部分放電に関係する信号を効率よく抽出し、誤検出を防ぎ、部分放電の検出感度を向上することができる。
継続性判定部52は、50Hzの電源周期5周期分の100msecの期間のデータを1セットとして、連続的に取得される複数セットのデータを順次解析する。ここで1セットのデータの電源周波数5サイクル中5回の周期データが観測されれば、5/5の事象が発生したと判断する。それぞれ5/5、4/5、3/5、2/5、と表現する、部分放電発生事象の判定がなされる都度に、各事象ごとに設けられたカウンタを1増加させて、各事象の発生回数をメモリ19に記録する。ここにおいて示された、n/5(n=2~5)で表された事象の意味は、5周期中n回20msecの周期に適合する信号が観測されたことを示している。
部分放電検出装置10は、このような手段によって、部分放電に起因する信号を部分放電発生の性質を利用して効率よく抽出し、誤検出を少なくし、かつ、部分放電の検出感度を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下の説明では、上記第1の実施形態と共通する構成については、図中に同符号を付してその説明を省略する。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る部分放電検出装置の概略構成図である。本実施形態では、第1の実施形態において3相交流の電源に取り付けられるセンサボックス7内のセンサ11に加え、センサ11の電源線への接続ポイントrp1、sp1、tp1から距離Lだけ離した位置にセンサボックス7A内のセンサ11Aの接続ポイントrp2、sp2、tp2が設けられている。また、第1の実施の形態でのセンサボックス7およびセンサ11の構成に加え、電動機5に給電される3相交流の電源線6のR相6-1、S相6-2、T相6-3のそれぞれが、接続ポイントrp2、sp2、tp2から引き出されてセンサボックス7Aに接続される。センサボックス7Aでは、接続ポイントrp2、sp2、tp2から引き出された電源線がブッシング9Aを介してセンサボックス7A内のセンサ11Aに接続され、その出力が計測システム8Aに供給されている。また、センサボックス7のセンサ11の出力は同様に計測システム8Aに供給されている。
本実施形態における部分放電検出装置10Aは、第1のセンサ11、RFディテクタ13、A/D変換器14、記録部15、解析部16A、表示部17、および、記録部15と解析部16Aにそれぞれ付属するメモリ18とメモリ19を備えている。この第1の実施形態と同様の構成に加え、本実施形態においては、さらに、第2のセンサ11A、第2のRFディテクタ13A、第2のA/D変換器14Aを備えている。上述したように第1のセンサ11と第2のセンサ11Aは、図10に示すように距離Lを離して電源線に接続されている。
解析部16Aは、図12に示すように、上記第1の実施形態と同様の構成に加え、第2のノイズ除去部51Aを備えている。
この処理以後の部分放電検出装置の構成および動作は、第1の実施形態と同様のものが採用され、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
ここで、第1、第2の実施形態においては電動機が部分放電検出対象として記載されているがこれに限定されず、本発明は、部分放電の検出が必要とされるあらゆる電気機器に対応可能である。対象となる電気機器としては、電動機に加え、例えば、変圧器、開閉装置、発電機等である。
上記実施形態では、センサ11、11Aの真空コンデンサ容量は、固定されたものとして記載されているがこれに限定されず、可変コンデンサとしても実施可能である。図14には本変形例に係る部分放電検出装置のセンサの構成が示されており、図14(a)は外観の斜視図、図14(b)は回路図を示している。本変形例におけるセンサ11Cは、可変真空コンデンサ(VC)1Cと真空コンデンサで受けた信号を増幅する増幅部2を備えており、増幅部2は、増幅器3と抵抗4を備えている。部分放電検出装置としてのその他の部分の構成は、第1または第2の実施形態と同様のものを採用することができる。可変真空コンデンサ1Cは、つまみ110を回転することによって容量の値を変更することができ、部分放電検出における最適な容量値を検出現場で変更可能である。前述したようにセンサ11Cは、真空コンデンサ1Cにより高域フィルタとして機能しており、可変コンデンサの容量を変更することにより、観測する信号の帯域を選択可能となり、的確な部分放電検出のための信号サンプリングが可能である。このことにより、より様々な現場に適応可能な部分放電検出装置を提供できる。
1、1C 真空コンデンサ
13、13A RFディテクタ
15 記録部
16、16A 解析部
50 レベル判定部
51、51A ノイズ除去部
52 継続性判定部
53 部分放電判定部
T 閾値
Claims (7)
- 部分放電を検出する対象の電気機器に給電する電源に接続される第1のセンサと、
前記第1のセンサの出力信号のエネルギーを測定しそのエネルギーの強さに対応する信号を出力する第1のRFディテクタと、
前記第1のRFディテクタの出力信号をサンプリングして記録する記録部と、
前記記録部に記録された時系列の信号をデータとして読み出し解析する解析部と、を備え、
前記解析部は、
定められた閾値以上の信号を抽出するレベル判定部と、
電源周期と連動して発生する信号以外の信号を除去する第1のノイズ除去部と、
前記電源周期と連動して発生する信号の発生頻度を判定する継続性判定部と、
前記判定の結果を受けて各発生頻度に対応する事象の発生回数が、あらかじめ定められた回数以上となることにより部分放電の発生を判定する部分放電判定部と、を備える
ことを特徴とする部分放電検出装置。 - 前記定められた閾値は、時刻ごとに設定されることを特徴とする請求項1に記載の部分放電検出装置。
- 前記継続性判定部はサンプリング期間中の信号群ごとの発生頻度の判定を行い、
前記部分放電判定部は、各発生頻度に対応する事象の発生回数が、あらかじめ定められた回数以上となることにより部分放電の発生を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の部分放電検出装置。 - 部分放電を検出する対象の電気機器に給電する電源に接続される第2のセンサと、
前記第2のセンサの出力信号のエネルギーを測定しそのエネルギーの強さに対応する信号を出力する第2のRFディテクタと、をさらに有し、
前記記録部は、前記第2のRFディテクタの出力信号をサンプリングして記録し、
前記解析部は、
前記第1のRFディテクタと前記第2のRFディテクタの記録された出力信号の時間差に基づいてノイズを判定しノイズ信号を除去する第2のノイズ除去部を、さらに有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の部分放電検出装置。 - 前記第1のセンサ、および、第2のセンサが真空コンデンサを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の部分放電検出装置。
- 前記真空コンデンサが可変コンデンサであることを特徴とする、請求項5に記載の部分放電検出装置。
- 部分放電を検出する対象の電気機器に給電する電源に接続されるセンサにより検出された信号のエネルギーを測定し、
前記エネルギーの強さに対応する信号をサンプリングして記録し、
前記記録された時系列の信号を解析し、
前記解析は、
定められた閾値以上の信号を抽出すること、
電源周期と連動して発生する信号以外の信号を除去すること、
前記電源周期と連動して発生する信号の発生頻度を判定すること、
前記判定の結果を受けて各発生頻度に対応する事象の発生回数が、あらかじめ定められた回数以上となることにより部分放電の発生を判定すること、
を含むことを特徴とする部分放電検出方法。
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