JP7373085B2 - トイレットロール - Google Patents
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Description
図1は、本発明のトイレットロールの外観を示す斜視図である。本発明のトイレットロール1は、2プライに積層され、エンボスパターン2が付与されたトイレットペーパー1xをロール状に巻取ったトイレットロール1であって、巻長(巻取り長さ)が63m以上128m以下、巻直径DR(ロール外径)が103mm以上151mm以下、エンボスパターン2の面積率が25%以上80%以下である。
トイレットロール1の巻長が63m以上128m以下であることにより、トイレットロール1の交換頻度を減らすことができ、省スペース性を図ることができるとともに、巻直径DRが適切な範囲に維持され、トイレットロール1がトイレットペーパーホルダーに十分に収容されるものとなる。巻長は、68m以上105m以下であることが好ましく、75m以上93m以下であることがより好ましい。
トイレットロール1の巻直径DRが103mm以上151mm以下であることにより、トイレットロール1の巻長を好適な範囲に維持しつつ、トイレットロール1がトイレットペーパーホルダーに十分に収容されるものとなる。巻直径DRは、112mm以上140mm以下であることが好ましく、115mm以上127mm以下であることがより好ましい。
本願発明のように巻長の長いトイレットロール1の柔らかさを評価する場合、以下に述べるロール柔らかさを評価することで、ロールを手に持ったときの柔らかさを評価することができる。
本発明においては、トイレットロール1の巻密度が1.2m/cm2以上2.2m/cm2以下であることが好ましい。ここで、ロールを固く巻き過ぎると、内巻のトイレットペーパー1xに過大な押圧が加わり、内巻のトイレットペーパー1xに設けたエンボスが潰れて、使用時における触感や美粧性が低下する。一方、ロールを弱く巻き過ぎると、エンボスは潰れないが、巻直径が大きくなって、トイレットロール1のトイレットペーパーホルダーへの装着が困難になったり、内巻の巻付け力が弱くなり過ぎて、図8の撮影画像に示すように、ロールの内巻側が軸方向に飛び出して不良品が生じたりする。このようなことから、本明細書では、ロールの巻き強さを表すための因子として、巻密度を規定した。
トイレットペーパー1xの1プライあたりの坪量は、11.0g/m2以上19.0g/m2以下であることが好ましく、このときの紙厚は0.45mm/10プライ以上1.20mm/10プライ以下であることが好ましい。坪量及び紙厚が上記の範囲内のものであることにより、巻長、巻直径DR、巻密度を上述の範囲に調整しやすくなる。トイレットペーパー1xの1プライあたりの坪量及び紙厚を上記範囲に調整する方法としては、原紙ウェブの紙厚、比容積及びエンボス条件を規定する方法を挙げることができる。
本発明のトイレットロール1(トイレットペーパー1x)は、エンボス加工が施されてなるものであり、エンボスパターン2を有している。本発明のトイレットペーパー1xが有するエンボスパターン2としては、ダブルエンボスとシングルエンボスのいずれも採用することができるが、シングルエンボスパターンが好ましい。ダブルエンボスは一般的に、エンボスの凸面同士を内面にして2プライにするためエンボスパターンの表裏差が小さくなるが、各シートを1プライずつ別々にエンボス加工するため、生産面で複雑になる。シングルエンボスパターンは、図7に示すように、シートを2プライに積層したトイレットペーパー1xの一方の面からのみ、エンボスロール111のエンボス凸部を押し当てて形成され、トイレットペーパー1xのエンボスロール111を押し当てた面に凹部、裏面に凸部が現れるエンボスパターン2(シングルエンボスパターン)が形成されるため、一般的にエンボスパターンの表裏差が大きくなりやすいが、後に述べる本願のエンボスパターンを用いることでシングルエンボスでもエンボスパターンの表裏差を小さくすることができる。2プライに積層したトイレットペーパー1xに複数回エンボス処理を行ってもよい。また、シングルエンボス、ダブルエンボスのいずれを設けた場合においても、シートのプライ剥がれを防止するためのエッジエンボスを更に設けてもよい。なお、エンボスロール111の材質としては、金属であることが好ましい。
本発明のトイレットロール1において、エンボスパターン2の面積率(トイレットペーパー1xのうち、エンボスパターン2のある部分の割合)が、25%以上80%以下となるように調整されている。エンボスパターン2の面積率を上記の範囲に調整することにより、エンボスパターン2の表裏差が適切に維持されるとともに、使用時における触感及び美粧性を良好に維持することができる。ここで、トイレットペーパー用のエンボスパターンの面積率は通常、20%以下である。本発明のようにエンボスパターンの面積率を高くすることで、原紙をカレンダー処理しなくても、紙厚を低くすることができるため、坪量を低くしない長尺トイレットロールであっても、適切な巻直径に調整することができる。エンボスパターン2の面積率は、35%以上70%以下であることがより好ましく、45%以上60%以下であることが更に好ましい。
ロール質量は、ロール幅114mmあたりのトイレットロール1の質量である。ロール体積は[{ロールの外径(巻直径DR)部分の断面積}-(コア外径部分の断面積)]×ロール幅(114mmあたりに換算する)で表される。例えば、ロール幅114mmあたりのロール質量が327g、巻直径122mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=327g÷[{3.14×(122mm÷2÷10)2-3.14×(39mm÷2÷10)2}×(114mm÷10)]=0.27g/cm3となる。なお、トイレットロール1にコアが無い場合は、中心孔の直径をコア外径とする。
また、本発明のトイレットロール1の芯の外径である、コア外径は、25mm以上48mm以下であることが好ましく、35mm以上46mm以下であることがより好ましく、37mm以上43mm以下であることが更に好ましい。コア外径が上記の範囲内のものであることにより、トイレットロール1の巻密度や巻直径を好適に維持しつつ、トイレットロール1を、トイレットペーパーホルダーに収まり易くすることができる。また、トイレットロール1のコアの質量は3.1g以上6.9g以下であることが好ましく、3.9g以上5.9g以下であることがより好ましく、4.4g以上5.2g以下であることが更に好ましい。コア質量を上記の数値範囲内にすることにより、本発明のような長尺のトイレットペーパーに適したコアの強度とコアのコストを良好にすることができる。コアの質量は、ロール質量と同様、ロール幅114mmに換算した質量とする。
トイレットペーパー1xの比容積は、3.0cm3/g以上7.5cm3/g以下であることが好ましい。トイレットペーパー1xの比容積が上記範囲内のものであることにより、シートの柔らかさが良好なものとなり、バルク(嵩高さ)が好適に維持され、水分の吸収性が良好に維持されるとともに、巻直径DRが大きくなり過ぎることがない。上記比容積は、3.3cm3/g以上6.7cm3/g以下であることがより好ましく、3.6cm3/g以上6.4cm3/g以下であることが更に好ましい。
トイレットペーパー1x(2プライに積層したシート)のJIS P 8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さをDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)、乾燥時の横方向の引張強さをDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)としたとき、DMDTが2.5N/25mm以上7.5N/25mm以下であることが好ましく、2.9N/25mm以上6.0N/25mm以下であることがより好ましく、3.3N/25mm以上4.5N/25mm以下であることが更に好ましい。また、DCDTは、0.70N/25mm以上2.3N/25mm以下であることが好ましく、0.80N/25mm以上1.9N/25mm以下であることがより好ましく、1.0N/25mm以上1.5N/25mm以下であることが更に好ましい。DMDT及びDCDTが上記値の範囲内のものであることにより、シートが破れにくくなるとともに、シートの柔らかさも好適に維持される。なお、引張強さの測定は、引張速度300mm/minの条件で行う。また、引張強さは、公知の方法で調整することができる。
トイレットペーパー1x(2プライに積層したシート)の旧JIS S 3104に基づく吸水度は、9.0秒以下であることが好ましく、6.0秒以下であることがより好ましく、3.0秒以下であることが更に好ましい。吸水度は、短時間であることが好ましく、上記時間の範囲内であることにより、吸水性が良好に維持される。なお、水を滴下する際は、トイレットペーパー1xの表面側に滴下する。
トイレットペーパー1xを1枚に剥がしたときのJIS P 4501に基づくほぐれ易さは、6秒以上60秒以下であることが好ましく、10秒以上50秒以下であることがより好ましく、13秒以上40秒以下であることが更に好ましい。ほぐれ易さは、上記時間の範囲内であることにより、トイレでの水解性が良好に維持され、温水洗浄便座使用におけるトイレットペーパー1xが水に濡れたときの耐水性も良好になる。
トイレットペーパー1xは木材パルプ100質量%からなるものであってもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを含んでもよい。目標とする品質を得るためには、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が0質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上10質量%以下であることが更に好ましい。また、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が30質量%以上90質量%以下であることが好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
トイレットペーパー1xは、例えば以下のように、(1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理及びロール巻取り加工、の順で製造することができる。このうち、(2)については既に説明したので省略する。
まず、公知の抄紙機のワイヤーパート上で上記紙料からウェブを抄紙し、プレスパートのフェルトへ移動させる。ワイヤーパートの方式としては、丸網式、長網(フォードリニアー)式、サクションブレスト式、短網式、ツインワイヤー式、クレセントフォーマー式等が挙げられる。
クレープ率(%)=100×(ヤンキードライヤー速度(m/分)-リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
なお、各測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
1a ロール表面
1b ロール裏面
1e トイレットペーパーの最外巻の端縁
1x トイレットペーパー
12 原反ロール
13 原紙ロール
110 ロール巻取り加工機
111 エンボスロール
112 ゴムロール
113 巻取り機構
114 ライダーロール
2 エンボスパターン
21 補助エンボスパターン
MD 流れ方向
W 幅方向
DR 巻直径
DI コア外径
Claims (5)
- 2プライに積層され、エンボスパターンが付与されたトイレットペーパーをロール状に巻取ったトイレットロールであって、比容積が3.0cm 3 /g以上7.5cm 3 /g以下、巻長が63m以上128m以下、巻直径が103mm以上151mm以下、巻密度が1.2m/cm 2 以上2.2m/cm 2 以下、ロール密度が0.18g/cm 3 以上0.35g/cm 3 以下、エンボスパターンの面積率が25%以上80%以下であり、
前記エンボスパターンを流れ方向及び幅方向に結ぶ線が、それぞれ略直線状であり、
隣接する前記エンボスパターンの、幅方向における離間距離が、流れ方向における離間距離よりも大きく、
流れ方向に平行な線に対する、前記エンボスパターンを流れ方向に結ぶ線の傾きが0°以上10°以下である、トイレットロール。 - 幅方向に隣接する前記エンボスパターンの間に、補助エンボスパターンを有し、
前記エンボスパターンと前記補助エンボスパターンにより略コンマ形状又は略逆コンマ形状が形成される、請求項1に記載のトイレットロール。 - 前記エンボスパターンの深さが0.01mm以上0.34mm以下である、請求項1又は2に記載のトイレットロール。
- 前記補助エンボスパターンの太さが0.05mm以上2.0mm以下であり、前記補助エンボスパターンの深さが0.01mm以上0.32mm以下である、請求項2に記載のトイレットロール。
- (1)抄紙及びクレーピング、(2)エンボス処理及びロール巻取り加工、の順でトイレットペーパーを製造する、トイレットロールの製造方法であり、
前記(2)は、少なくとも、原反ロールは、ロール巻取り加工機に2本セットされ、ヤンキー面が外側となるように2プライに積層された後にエンボスロールによってシングルエンボス処理された後、巻取り機構によって巻直径の幅広の原紙ロールに巻取られ、その後、前記原紙ロールを所定幅に切り、トイレットロールを得るものであり、
シングルエンボスパターンは、シートを2プライに積層した前記トイレットペーパーの一方の面からのみ、前記エンボスロールのエンボス凸部を押し当てて形成され、前記トイレットペーパーの前記エンボスロールを押し当てた面に凹部、裏面に凸部が現れるエンボスパターンであり、
前記エンボスパターンは、前記エンボスパターンを流れ方向及び幅方向に結ぶ線が、それぞれ略直線状であり、
隣接する前記エンボスパターンの、幅方向における離間距離が、流れ方向における離間距離よりも大きく、
流れ方向に平行な線に対する、前記エンボスパターンを流れ方向に結ぶ線の傾きが0°以上10°以下であり、
比容積が3.0cm 3 /g以上7.5cm 3 /g以下、巻長が63m以上128m以下、巻直径が103mm以上151mm以下、巻密度が1.2m/cm 2 以上2.2m/cm 2 以下、ロール密度が0.18g/cm 3 以上0.35g/cm 3 以下、エンボスパターンの面積率が25%以上80%以下である、
トイレットペーパーの製造方法。
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