JP7372718B1 - タオル生地及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地及びその製造方法を提供する。【解決手段】経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であって、経パイル糸はサイロスパン紡績糸19であり、複数本の粗糸12a,12bの一次撚り方向とは逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸である。一次撚りの撚り癖及び一次撚りのマイグレーションにより、繊維同士の絡み合いがあり、かつ無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、各構成繊維はフリー状態で存在するため、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。【選択図】図1

Description

本発明は、パイル糸にサイロスパン(siro spun)紡績糸を使用したタオル生地及びその製造方法に関する。
従来から、タオル生地は、経パイル糸と経地糸、及び緯地糸を使用し、パイル織物とするのが基本である。また、タオル生地は吸水性を良好にするため、比較的目付(単位面積当たりの質量)が高く、構成糸も太く繊度の高い糸が使用されている。
特許文献1には合成繊維のサイロスパン紡績糸を使用してパイル用杢糸とすることが提案されている。特許文献2~3には、甘撚りのサイロスパン紡績糸を使用してパイル編地とすることが提案されている。
特開平10-088440号公報 特開2019-137941号公報 特開2019-137942号公報
しかし、前記従来技術はパイルの立毛性、ソフトで膨らみのある風合いに関して問題があり、さらなる改良が求められていた。
本発明はタオル地に特徴を最大限に活かすべく鋭意検討した結果、パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地及びその製造方法を提供する。
本発明のタオル生地は、経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であって、
前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、
前記サイロスパン紡績糸は、複数本の粗糸の一次撚り方向とは逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸の単糸であり、
前記サイロスパン紡績糸は、撚り係数Kが0~3.0であることを特徴とする。
但し、撚り係数(K)は下記式(数1)で算出する。
Figure 0007372718000002
本発明のタオル生地の製造方法は、前記のタオル生地の製造方法であって、経パイル糸は、サイロスパン紡績糸であり、撚り方向を揃えた複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に二次撚りを加えて、無撚り又は甘撚りの1本の紡績糸とすることを特徴とする。
本発明のタオルは、経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であり、前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向(解撚方向)に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸であることにより、パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地及びその製造方法を提供できる。すなわち、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向(解撚方向)に二次撚りが加えられている糸構造であることと相俟って、一次撚りの撚り癖及び一次撚りのマイグレーション(単繊維が内部に入りこんだり外側に出て撚られている現象)が残っており、繊維同士の絡み合いがあり、無撚り糸か又は甘撚り糸であり、各構成繊維はフリー状態で存在するため、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。
図1は本発明の一実施形態のサイロスパン紡績装置の模式的斜視図である。 図2は本発明の一実施形態におけるタオル生地の模式的説明図である。 図3は同、繊維製タオル生地の織物組織図である。 図4は本発明の実施例1のタオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)である。 図5は本発明の実施例1のタオル生地の平面写真(倍率10倍)である。 図6は本発明の実施例2のタオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)である。 図7は本発明の実施例2のタオル生地の平面写真(倍率10倍)である。 図8は比較例1のオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)である。 図9は比較例1のタオル生地の平面写真(倍率10倍)である。
本発明は、タオル生地の構成糸の約7割占める経パイル糸(以下パイル糸ともいう。)が、パイルの立毛性、タオル生地の風合いおよび毛羽落ち等の機能性を左右する重要な糸であることに着目し、検討を進め次の知見を得た。すなわち、本発明のタオル生地は、経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であり、前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられ、無撚り又は甘撚りの紡績糸からなる経パイル糸を含むタオル生地である。これにより、下記の利点があることを見出した。
(1)経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に、前記一次撚りの撚り数と同じか又は多い二次撚りが加えられている。これにより、二次撚りを掛けているが、一次撚りの撚り癖が残っており、一次撚りのマイグレーション(単繊維が内部に入りこんだり外側に出て撚られている現象)も残っており、繊維同士の絡み合いがあり、かつ無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、各構成繊維はフリー状態で存在し、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。ソフトで膨らみのある風合いなので、肌に柔らかく接触でき、汗や水分を効率よくふき取ることができる(風合い効果、ふき取り効果)。
(2)パイル糸は無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、構成繊維は水分の吸収がしやすくなり、同時にこの膨らみで空気の移動が活発になって通気性が高くなる(吸水性効果、通気効果)。
(3)構成繊維の絡み合いにより、毛羽落ちが改善でき(毛羽落ち改善効果)、洗濯による風合いの変化が少なく、当初のソフトで膨らみのある風合いが維持される(洗濯の風合い耐久性効果)。
(4)紡績糸を製造する際には水溶性繊維(例えば水溶性ビニロン)、糊などを使用する必要がなく、その分コストを安くできる。また、水溶性繊維(例えば水溶性ビニロン)、糊などを使用し、生地になった後にこれらを除去すると、空隙が生じ、その分膨らみ感(ボリューム感)が低下し、毛羽落ちも多くなるという問題もある。
(5)紡績糸を製造する際に水溶性繊維(例えば水溶性ビニロン)、糊などを使用する必要が無いので、それらを含んだ工場排水による環境負荷を低減することができる。
本発明は経パイル糸としてサイロスパン紡績糸を使用する。サイロスパンとは、複数本の粗糸を一定間隔で別々にドラフトした後、一緒に撚り合わせて双糸のような状態の糸としたものである。サイロスパン紡績糸は複数本の糸を合撚した双糸と比べて糸表面の繊維が規則正しく配列しており、毛羽は少ない。このため、単糸で経パイル糸として使用できる。また、サイロスパン紡績糸特有の糸構造により、無撚り糸か又は甘撚り糸としても、繊維同士の絡み合いがあり、巻き取りに支障なく、製織中の糸切れなども起こりにくく織物工程通過性も良好である。なお、前記複数本の粗糸とは2本以上の粗糸をいい、2本又は3本の粗糸を使用することが知られている。以下においては、2本の粗糸の例を説明する。
本発明のサイロスパン紡績糸は撚り係数Kが0~3.5であるのが好ましく、より好ましい撚り係数Kは0~3.3であり、さらに好ましい撚り係数Kは0~3.0である。但し、撚り係数(K)は下記式(数1)で算出する。
Figure 0007372718000003
但し、t:撚回数(回/25.4mm)、S:綿番手(英式綿番手)
これにより、パイル糸は無撚り糸か又は甘撚り糸となる。
サイロスパン紡績糸は、2本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に、一次撚りの撚り数と同じか又は多い二次撚りが加えられているのが好ましい。例えば2本の粗糸の一次撚り方向がともにZ方向であれば二次撚りはS方向であり、二次撚り数は一次撚りの撚り数と同じか又は一次撚りの撚り数より多くする。これにより、各構成繊維はよりフリー状態で存在するため、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。
サイロスパン紡績糸は、綿100%であるのが好ましい。綿100%であれば、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備できる。なお、これらの性質を損なわない範囲で、麻、ウールを含む天然繊維やレーヨン、アセテート、ポリエステルを含む再生繊維や半合成繊維、化学繊維を混紡してもよい。これら綿以外の繊維の混紡率は30質量%以下が好ましい。サイロスパン紡績糸の糸番手は特に限定するものではないが、薄地は100~40番手の細いものが、中厚地は30~16番手が、厚地は12~8番手の太い物が好ましく適用できる。
サイロスパン紡績糸は、マーセライズ加工されていることが好ましい。マーセライズ加工は、糸をカセイソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液に浸漬させ、緊張処理することにより、ハリ、コシ、形状記憶、光沢、強度、防縮性、染色性を向上できる。これは、綿の結晶構造の一部がアルカリセルロースを経てI型からII型に変わり、結晶周辺の構造も組み替えられるためと考えられている。マーセライズ加工自体は、繊維辞典に記載されているように従来からよく知られている。本発明の無撚りないしは解撚方向に甘撚りを掛けたサイロスパン紡績糸をマーセライズ加工すると、相乗的にパイルの立毛性、ソフトで膨らみのある風合い、吸水性等が向上・形状記憶し、高品位なタオル生地となる。水溶液のカセイソーダ(水酸化ナトリウム)の濃度は15質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上である。前記の緊張処理は、供給ローラと引き取りローラの速度比を1~1.1程度とし、緊張状態でカセイソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液に含侵処理することが好ましい。
本発明のタオル生地の製造方法は、次の工程を含む。
(1)撚り方向を揃えた2本の粗糸の一次撚り方向と逆方向(解撚方向)に二次撚りを掛け、無撚り又は甘撚りの紡績糸とする。好ましくは一次撚りの撚り数と同じか又は多い二次撚りを加える。これにより1本のサイロスパン紡績糸とし、この紡績糸を経パイル糸にしてタオル生地を製造する。
(2)タオル生地の経地糸と緯地糸は、オープンエンド紡績糸、空気精紡糸、リング紡績糸、長繊維複合紡績糸又は結束紡績糸などどのような糸であってもよい。
(3)タオル生地製織後は、常法に従って晒、精練、染色などしてタオル生地とする。
サイロスパン紡績糸は、マイクロネアが4~7、平均繊維長が28~45mmの綿であるのが好ましい。但し、マイクロネアとは1インチ(25.4mm)当たりの質量マイクログラム(μg)をいう。マイクロネアが4~7、平均繊維長が28~45mmの綿はクリンプが多くクリンプ強度も高いので、本発明のサイロスパン紡績糸に適用すると、一次撚りの撚り癖及び一次撚りのマイグレーション(単繊維が内部に入りこんだり外側に出て撚られている現象)が残り易く、繊維同士が絡み合い易く、かつ無撚り糸か又は甘撚り糸であるため、各構成繊維はフリー状態で存在する。このため、立毛性は良好であり、ソフトで膨らみのある風合いのパイル糸となる。具体例は下記の表1に示すものが好ましい。この中でもインド産シャンカール6がより好ましい。
Figure 0007372718000004
本発明のタオルは、バスタオル(湯上りタオル)、浴用タオル、フェイスタオル、タオルハンカチ(タオルチーフ)、おしぼりタオル、ウォッシュタオル、ハンドタオル、バスマット、スポーツタオル、ビーチタオル(ボディタオル)等に好適である。毛羽落ち性、吸水性等の要求特性に合わせて、生地の混率、糸種、糸使い、単位当たりの質量(目付)等を適宜設定する。目付の制御はパイル糸のパイル長(長~短)を変更して、目付(大~小)に制御することができる。ここで、本発明の効果を発揮できる好ましい目付を例示するならば、薄地は目付が100~250g/m2のものが、中厚地は目付が250~500g/m2のものが、厚地は500~1000g/m2のものが好適である。なお、100g/m2に満たないものは薄くカサがなく、また、1000g/m2を超えるものは厚すぎて重く、いずれも好ましくない。
また、本発明ではタオルとしての風合い、吸水性、吸湿性、取り扱い性の点から綿が最も優れるが、綿に麻、レーヨン、キュプラ、アセテート、ウールの素材を少量混紡しても構わない。レーヨン、キュプラ、アセテートを混紡したものは吸湿性が、ウールは保温性が得られる。
織り上がった生機は綿の加工工程に準じて、液流式染色機で糊抜きし、次いで常法の綿の精練条件(95~98℃の一定温度で、キープ時間50分、希苛性ソーダ溶液、アルコールエトキシレート添加浴)で精練する。次いで、精練に続いて常法の条件で漂白加工する(98℃、50分、過酸化水素溶液)。次いで脱水して、テンターでセットして仕上げる(オフホワイト仕上げ)。この漂白工程でも熱水処理を受ける。化学繊維の捲縮糸を含ませたい場合は、前記精練で仮撚糸の捲縮を発現させた上で、そのままで仕上げる。
次いで、精練、漂白に続いて染色する場合は、綿については反応染料で染色する(60~80℃、40分)。また、ポリエステル繊維については分散染料で染色(130℃、40分)する。綿とポリエステルを含む生地を染色する場合は、この二浴で無地染めすることの他に、分散染料と反応染料の染料を使い分けて異色やシャンブレー(濃淡)にも染色することができる。また、精練、漂白したオフホワイト生地にプリント加工も可能である。なお、先染めのポリエステル糸の場合は糸で精練と同時に捲縮発現させることもでき、漂白、染色し、これを製織して先染めタオル生地を得ることができる。先染めの綿糸の場合は、精錬、漂白、染色し、これを製織して先染めタオル生地を得ることができる。このように、いずれも本発明は多様な染色での色彩性、デザイン性に優れた商品化が図れる。
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。
図1は本発明の一実施形態のサイロスパン紡績装置の模式的斜視図である。このサイロスパン紡績装置10は、クリール(粗糸供給具)には1錘に対して2本の粗糸ボビン11a,11bが吊下され、2本の粗糸ボビン11a,11bから供給される粗糸12a,12bはバックローラ14の上流側(粗糸ボビン側)に設けられた2口トランペットガイド13を通って並行状にドラフト装置15へ送られる。そして、粗糸12a,12bは所定間隔を隔てた状態でバックローラ14とエプロン16の間、及びエプロン16とフロントローラ17の間でそれぞれドラフトされてフリース18a,18bとされる。そして、フリース18a,18bはフロントローラ17から紡出され、スピンドル21の回転による撚りかけ機構によりフロントローラ17の下流で交撚されて1本の紡績糸19とされ、スネルワイヤ20、トラベラ21を経てボビン22に巻き取られる。例えば2本の粗糸12a,12bの一次撚りの撚り方向をともにZ方向とし、スピンドル21による撚り掛け方向をS方向とし、解撚方向に撚る。また、スピンドル21による撚り数(二次撚り数)を一次撚りの撚り数と同じか又は一次撚りの撚り数より多くする。
図2は本発明の一実施形態のタオル生地1の模式的説明図である。このタオル生地1は、タテパイル糸2a,2bと、ヨコ地糸3と、タテ地糸4a,4bで構成され、タテパイル糸2a,2bは、ヨコ地糸3とタテ地糸4a,4bで構成される地組織に固定係止されながらループパイルを形成する。得られたタオル生地1は、所定の大きさに切断され、端部処理されてタオルとなる。
図3は本発明の一実施形態のタオル生地の織物組織図である。この織物組織は、3本よこタオル組織(3ピック・テリー・モーション組織)である。タテパイル糸はヨコ地糸を3本打ち込むごとに1回交差させる。タテ地糸Gとタテパイル糸Pは交互に配置する。ヨコ糸の1~3は順番を示す。図3において、経糸から見て、黒と×は浮き糸を示し、白は沈み糸を示す。
以下、実施例を用いてさらに具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<仕上げタオル生地の風合いの評価>
(1)ソフトな風合いの評価
風合いのソフトさをタオル生地1g当たりの体積で表す、次式のカサ高度で求める。
値が高いほどソフトな風合いであり、良好である。なお、厚みはJIS L-1096(2010)8.5 かさ高性試験に従って測定し、目付は1m角の重さを精秤した。測定個所は5ヶ所でその平均値で表した。
カサ高度(cm3/g)=厚み(mm)/目付(g/m2)×1000
(2)膨らみのある風合いの評価
タオル生地を圧縮測定器:KES-G5(カトーテック社製)を用い、一定の速度で圧縮させてその圧縮仕事量:WC=(gf.cm2)を求めた。測定個所は5ヶ所でその平均値で表した。
WC値は生地に圧縮させた時の(エネルギー)で、値が大きいほどタオルがよく圧縮され、大きな膨らみ、ふんわり感が高いことを示し、良好である。
(3)風合いの洗濯耐久性評価
タオル生地を洗濯機でJIS L-0217(1995)、103法に従って20回洗濯した。乾燥後、前記圧縮仕事量:WC=(gf.cm2)を測定、測定個所は5ヶ所でその平均値で表した。洗濯前後のWC値の差が小さいほど、洗濯による膨らみのある風合いの低下が少なく、耐久性があり、良好である。
(4)洗濯での水切り性の評価
幅35cmのタオル生地を80gになるように長さをカットし、それを小数点1桁までの重さを精秤し、これを水に20分浸漬した。その後濡れたタオル生地を取り上げて、洗濯機の脱水槽で4分間、遠心脱水し、重さを精秤、次式でタオル生地の残留水分率(%)を求めた。値が小さいほど水切り性が良好である。水切り性が良いほどその後の乾燥速度が速くなる傾向を示す。測定数は3点でその平均値で表した。
生地の残留水分率(%)=(水に浸漬し、脱水した後の生地の重さ(W1))-(水に浸漬する前の生地の重さ(W0))/(水に浸漬する前の生地の重さ(W0))×100
(5)タオル地の洗濯による毛羽落ち性評価
洗濯による毛羽落ちはJIS L0217(1995)、103法に従って測定した。毛羽落ち率(%)は次式で求め、値が小さいほど毛羽落ちが少なく、良好である。測定数は5点でその平均値で表した。
毛羽落ち率(%)=(洗濯後に脱落した毛羽の重さ(g1))/(洗濯前のタオルの重さ(g0))×100
(6)吸水性評価(改良ラローズ法)
JIS L 1907(2010)の改良ラローズ法に従って5回測定し、その平均値を求めた。ラローズ指数(吸水指数)は下記式に従って算出した。
ラローズ指数(吸水指数)=2545V×1411W+79
V:最大吸水速度(ml/s)、W:最大吸水速度時点の吸水量(ml)
値が高いほど皮膚に付いている水分を素早く、且つ沢山の水分量を吸収するので、好ましい。
(7)吸水速度(滴下法)
タオル地の吸水速度の測定はJIS L 1907(2010)の滴下法;ヴューレット法に基づいて評価した。試験の概要は水滴1滴を10cmの高さからタオル地に滴下し、水滴の鏡面が消失する吸水時間(秒)を3回測定し、その平均値を求めた。時間が短いほど吸水が速く、良好である。
<濡れ戻り率試験方法>
水の濡れ戻り率とは、本出願人が提案した特許第6991633号公報に記載されており、生地の試験検体に水滴を落とし吸収させ、濾紙で水分を吸い取り、生地が水分を離さない特性、すなわち水の濡れ戻り率として評価することにより、タオルなどの繊維製生地の使用時に人が感じる吸水性の良し悪しの評価と合致する試験方法である。水の濡れ戻り率は低いほど、生地の吸水性は大きく、優れていると評価できる。
(1)試験環境、その他の条件
・試験環境は標準状態環境下、温度20±4℃、相対湿度65±4%RHとした。
・濾紙は標準状態環境下、温度20±4℃、相対湿度65±4%RHで24時間以上保管したものを使用した。
・試験検体は標準状態環境下、温度20±4℃、相対湿度65±4%RHで24時間以上保管したものを使用した。
・滴下する水は温度20±15℃、(5~35℃)を使用した。
(2)操作手順
・繊維製タオル生地の試験検体1の大きさは縦10cm、横10cmとした。試験検体1は試料台(図示省略)に置いた。
・濾紙はJIS P 3801 1種規格のαセルロースを原料とする直径110mm、厚さ0.22mmを使用し、濾紙の重量を計った。濾紙はアドバンテック社製、商品名"円形定性濾紙No.1"を使用した。
・ピペットに水量0.8mlを計り、試験検体1に落とし、5秒待機して試験検体1に吸水させた。
・濾紙を置いて、その上から1.3kg(1274Pa)の荷重を載せた。
・5秒待機して荷重を外した。
・吸水後の濾紙の重量を計った。
(3)水の濡れ戻り率の算出
下記の式により算出した。
W=[(B-A)/A]×100
但し、W:水の濡れ戻り率(%)
A:測定する前の濾紙の重量(g)
B:吸水後の濾紙の重量(g)
<パイルの立毛性>
光学顕微鏡でタオル生地のパイル部分の側面写真(倍率50倍)により観察した。
(実施例1)
(1)経パイル糸
図1に示すサイロスパン紡績装置を使用して経パイル糸を製造した。綿はインド産シャンカール6を使用した。2本の粗糸12a,12bの一次撚りの撚り方向をともにZ方向とし、スピンドル21による撚り掛け方向をS方向とし、解撚方向に撚った。粗糸の繊度は5g/6ヤード(9113decitex)、粗糸のZ方向撚り数5回/インチ(綿番手換算の撚り係数K=1)とした。得られた紡績糸は綿番手20番、撚り数11.7回/インチ(撚り係数K=2.6)であった。
(2)経地糸
経地糸は、綿としてインド産中綿を使用し、リング紡績糸40番双糸、撚り係数:下撚り3.8、上撚り2.2を使用した。
(3)緯地糸
緯地糸は、綿としてインド産中綿を使用し、リング紡績糸20番単糸、撚り係数:4.0を使用した。
(4)タオル生地の製織
経パイル糸と経地糸を糊付けし、パイル織機を使用して図2に示す織物を図3に示す織物組織で製織した。経糸密度34本/インチ、緯糸密度56本/インチ、目付は463g/m2であり、生地混率は綿100%である。
(5)タオル生地の精練仕上げ加工
次いでこの生機を綿の加工に準じて、常法に従って、液流染色機で糊抜きした(55℃×20分、アミラーゼ、界面活性剤添加浴)。次いで同機で98℃、キープ時間50分、希苛性ソーダ、アルコールエトキシレート添加浴で、精練した。
次いで常法で98℃、キープ50分の過酸化水素浴で漂白し、135℃で、テンターでセットし、仕上げた(オフホワイト仕上げ)。パイル長は1.15cmであった。
(実施例2)
経パイル糸をカセイソーダ(水酸化ナトリウム)200g/Lの水溶液に浸漬させ、緊張処理してマーセライズ加工した以外は、実施例1と同様に実施した。
(比較例1)
経パイル糸として、2本の粗糸12a,12bの一次撚りの撚り方向をともにZ方向とし、スピンドル21による撚り掛け方向をZ方向に撚った以外は実施例1と同様に実施した。得られた紡績糸は綿番手20番、撚り数14回/インチ(撚り係数K=3.1)であった。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0007372718000005
表2から明らかなとおり、実施例1及び実施例2のタオル生地は比較例1に比べて、嵩高度、洗濯全及び洗濯後の圧縮仕事量WC、毛羽落ち率、改良ラローズ法吸水指数、吸水速度、濡れ戻り率、立毛性(図4,図6,図8)のいずれもが良好であった。この結果、本発明のタオル生地は従来技術では得られなかった、パイルの立毛性が良く、ソフトで膨らみのある風合いがあり、吸水性を兼備するタオル生地であることが確認できた。また、実施例2のタオル生地(パイル糸はマーセライズ加工品)は、洗濯20回後の圧縮仕事量WC及び洗濯での水切り性:残留水分率が最も高く、ハリ、コシ、形状記憶、光沢、強度、防縮性、染色性も良好であった。
本発明のタオル生地は、フェイスタオル、バスタオル、タオルハンカチ、スポーツタオル、バスローブ、タオルケットなどの生地、衣類、靴下、敷物、寝具類などにも好適である。
1 タオル生地
2a,2b 経パイル糸
3 緯地糸
4a,4b 経地糸
10 サイロスパン紡績装置
11a,11b 粗糸ボビン
12a,12b 粗糸
13 トランペットガイド
14 バックローラ
15 ドラフト装置
16 エプロン
17 フロントローラ
18a,18b フリース
19 紡績糸
20 スネルワイヤ
21 スピンドル
22 ボビン

Claims (8)

  1. 経地糸と緯地糸と経パイル糸を含み、前記経地糸と緯地糸に経パイル糸が係止されたタオル生地であって、
    前記経パイル糸はサイロスパン紡績糸であり、
    前記サイロスパン紡績糸は、複数本の粗糸の一次撚り方向とは逆方向、すなわち解撚方向に二次撚りが加えられた無撚り又は甘撚りの紡績糸の単糸であり、
    前記サイロスパン紡績糸は、撚り係数Kが0~3.0であることを特徴とするタオル生地。
    但し、撚り係数(K)は下記式(数1)で算出する。
    Figure 0007372718000006
  2. 前記サイロスパン紡績糸は、綿100%である請求項1に記載のタオル生地。
  3. 前記サイロスパン紡績糸は、マイクロネアが4~7μg、平均繊維長が28~45mmの綿である請求項1に記載のタオル生地。
    但し、マイクロネアとは1インチ(25.4mm)当たりの平均質量、単位:マイクログラム(μg)をいう。
  4. 前記サイロスパン紡績糸は、マーセライズ加工されている請求項1に記載のタオル生地。
  5. 前記サイロスパン紡績糸は、綿番手8番以上40番手未満である請求項1に記載のタオル生地。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載のタオル生地の製造方法であって、
    経パイル糸は、サイロスパン紡績糸であり、
    撚り方向を揃えた複数本の粗糸の一次撚り方向と逆方向に二次撚りを加えて、無撚り又は甘撚りの1本の紡績糸とすることを特徴とするタオル生地の製造方法。
  7. 前記サイロスパン紡績糸は、糸状態で、アルカリ水溶液に浸漬して緊張処理することにより、マーセライズ加工する請求項に記載のタオル生地の製造方法。
  8. 前記サイロスパン紡績糸の二次撚りの撚り数は、前記一次撚りの撚り数と同じか又は一次撚りの撚り数より多い請求項に記載のタオル生地の製造方法
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