JP7372600B2 - 高炉の原料装入方法 - Google Patents
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Description
鉱石原料層内にコークスを一部混合することにより還元効率を高めることができることが知られている。これは、鉱石の還元によって生じるCO2ガスが高濃度で存在する鉱石近傍にコークスを混在させることにより、コークスのソルーションロス反応(C+CO2→2CO)が促進されて、還元ガスであるCOガスが高濃度に維持され、鉱石の還元効率を向上させるからである。
特許文献1には、炉頂バンカーに鉱石とコークスを混合して装入するに際し、ベルトコンベア上でのコークスの重ね位置を調整することで、炉頂バンカーから排出されるコークス混合率を制御する原料装入方法が示されている。
また、特許文献2には、鉱石とコークスを別々の炉頂バンカーに貯留しておき、炉頂バンカーからのコークスの排出を開始した後に鉱石の排出を開始することで、コークスと鉱石を混合装入する原料装入方法が示されている。
特許文献1の方法では、鉱石とコークスとを混合して炉頂バンカーに投入するため、炉頂バンカー内でコークスの偏析を生じることが避けられない。このため、炉内での鉱石とコークスの混合状態の制御には限界があり、想定した位置で想定した鉱石とコークスの混合状態を得ることが難しいという問題がある。
また、特許文献2の方法は、鉱石とコークスとを別々の炉頂バンカーに貯留し、鉱石とコークスとを同時に排出することが可能であるため、コークス混合率の制御性は向上する。この方法では、1バッチの中でコークスを炉中心から装入し始めて、その後に鉱石を混合して鉱石・コークスの混合層を形成するため、混合層を形成するコークスとしては、中心コークスを形成するために使用される大塊のコークスが使用される。そのため、混合層中のコークスの表面積は相対的に小さくなり、鉱石・コークスの混合層において期待されるソリューションロス反応が進みにくく、還元効率の向上が不十分であるという問題がある。
[1]ベルレス型装入装置を有するベルレス高炉において鉱石原料とコークスの混合装入を行う原料装入方法であって、
1チャージ分の鉱石原料を装入する際に、鉱石原料(a)のみを装入することにより鉱石原料単独層(y)を形成した後、鉱石原料(a)と混合装入用のコークス(b)を混合装入することにより、鉱石原料単独層(y)の上層に、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層(x)を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
[2]上記[1]の原料装入方法において、鉱石原料(a)のみの装入と、鉱石原料(a)およびコークス(b)の混合装入を交互にそれぞれ複数回行うことにより、鉱石原料単独層(y)と混合層(x)を上下方向で交互にそれぞれ複数層形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの原料装入方法において、鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(y)が上下方向で複数層形成される場合は最下層の鉱石原料単独層(y))の鉱石原料(a)は塊鉱石(aL)であり、その他の層の鉱石原料(a)は焼結鉱(aS)であることを特徴とする高炉の原料装入方法。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの原料装入方法において、鉱石原料(a)とコークス(b)を別々の炉頂バンカーに貯留しておき、鉱石原料(a)のみを炉頂バンカーから排出して装入することにより鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(yt)の場合を含む。)を形成し、鉱石原料(a)とコークス(b)を各炉頂バンカーから同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層(x)を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
[7]上記[5]または[6]の原料装入方法において、混合層(x)とその上層の鉱石原料単独層(yt)または鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(y)が上下方向で複数層形成される場合の2層目以降の鉱石原料単独層(y))を、1バッチで形成する場合、鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することにより混合層(x)を形成するとともに、1バッチで装入する全鉱石原料量の90質量%を装入するまでにコークス(b)の装入を終了させ、引き続き、残りの鉱石原料(a)を混合層(x)の上に装入することにより鉱石原料単独層(yt)または鉱石原料単独層(y)を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの原料装入方法において、1チャージ分の鉱石原料(a)を2バッチまたは3バッチで装入するに際し、第1バッチでは鉱石原料(a)のみを装入し、第2バッチまたは第2バッチと第3バッチでは、鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することを特徴とする高炉の原料装入方法。
第1バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、鉱石原料単独層(y)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に混合状態で貯留された焼結鉱(aS-1)とコークス(b-1)を排出して装入することにより、鉱石原料単独層(y)の上層に混合層(x)の一部を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(3)に混合状態で貯留された焼結鉱(aS-2)とコークス(b-2)を排出して装入することにより、混合層(x)の残部を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
第1バッチでは、炉頂バンカー1に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、鉱石原料単独層(y)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に貯留された焼結鉱(aS-1)と炉頂バンカー(3)に貯留されたコークス(b)を同時に排出して混合装入し、焼結鉱(aS-1)の装入終了とともにコークス(b)の装入を終了させることにより、鉱石原料単独層(y)の上層に混合層(x)を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された焼結鉱(aS-2)を排出して装入することにより、混合層(x)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
第1バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、第1の鉱石原料単独層(y1)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に貯留された焼結鉱(aS-1)と炉頂バンカー(3)に貯留されたコークス(b-1)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y1)の上層に第1の混合層(x1)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-1)を装入した時点でコークス(b-1)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-1)を装入することにより、混合層(x1)の上層に第2の鉱石原料単独層(y2)を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された焼結鉱(aS-2)と炉頂バンカー(2)に貯留されたコークス(b-2)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y2)の上層に第2の混合層(x2)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-2)を装入した時点でコークス(b-2)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-2)を装入することにより、混合層(x2)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
第1バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、第1の鉱石原料単独層(y1)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に貯留された焼結鉱(aS-1)と炉頂バンカー(3)に貯留されたコークス(b-1)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y1)の上層に第1の混合層(x1)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-1)を装入した時点でコークス(b-1)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-1)を装入することにより、混合層(x1)の上層に第2の鉱石原料単独層(y2)を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(4)に貯留された焼結鉱(aS-2)と炉頂バンカー(1)に貯留されたコークス(b-2)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y2)の上層に第2の混合層(x2)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-2)を装入した時点でコークス(b-2)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-2)を装入することにより、混合層(x2)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。
[13]上記[1]~[12]のいずれかの原料装入方法において、コークス(b)は、高炉装入用の塊コークスを得るためにコークスを分級した際の篩下コークスであることを特徴とする高炉の原料装入方法。
また、混合層xの上層にさらに鉱石原料単独層ytを形成した場合には、混合層xでのコークスのソルーションロス反応で発生したCOガスを上層の鉱石原料単独層ytの還元に利用することができるため、その分、鉱石原料の還元効率を向上させることができる。
また、鉱石原料単独層yの鉱石原料を塊鉱石とし、混合層xやその上層の鉱石原料単独層ytの鉱石原料を焼結鉱とした場合には、鉱石原料単独層yの下層に堆積したコークス層から上がってくるCOガス分率の高いガスにより被還元性の低い塊鉱石の還元を促進させることができるため、鉱石原料層全体としての還元率を向上させることができる。
また、混合装入用のコークス(b)としては、室炉コークス、成形コークス、フェロコークスなどの1種以上を用いることができる。また、室炉コークスのなかでも粒径が小さいコークス、いわゆる小塊コークスを使用した場合には、低粒径による比表面積の増加によりソリューションロス反応によるガス化が促進され、還元効率をより高めることができる。通常、この小塊コークスとしては、高炉装入用の塊コークスを得るために室炉コークスを分級した際の篩下コークスが用いられる。
鉱石原料層Aは、下層側に鉱石原料単独層yが形成され、この鉱石原料単独層
yの上層に、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層xが形成されている。上述したように本発明では、鉱石原料層Aを形成するために1チャージ分の鉱石原料を装入する際に、鉱石原料(a)のみを装入することにより鉱石原料単独層yを形成した後、鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することにより、鉱石原料単独層yの上層に鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層xを形成する。また、この実施形態では、通気性を確保するため、炉中心部領域eには混合層xを設けず、炉中心部領域eは鉱石原料(a)のみで構成されている。
鉱石原料層Aは上層部側ほどCO2分圧が高く、この上層部側に鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層xを設け、高い質量比率でコークスを存在させることにより、コークス(b)のソリューションロス反応を促進することができ、これにより、鉱石の還元効率を向上させることができる。一方、下層側に配置された鉱石原料単独層yは、下方のコークス層BからCOが供給されるのでCO分圧が高く、鉱石原料(a)の還元が効率的になされる。
図2は、そのような場合の炉内原料装入層の最上部の堆積状態(炉半径方向での炉内装入物の縦断面)の一例を模式的に示す説明図であり、混合層xの上層に鉱石原料単独層ytが形成されている。また、この実施形態でも、通気性を確保するため、炉中心部領域eには混合層xを設けず、炉中心部領域eは鉱石原料(a)のみで構成されている。
混合層xにおけるコークス(b)の混合割合は特に限定しないが、一般には、鉱石原料(a)に対して7質量%以下程度の割合で混合するのが好ましい。これは、コークス(b)の混合割合が多すぎると、鉱石が昇温して溶融するまでにコークス(b)がガス化(ソリューションロス反応によるガス化)しきれずに小粒のコークスとして炉下部に残留してしまい、炉下部の通気性を阻害する恐れがあるためである。コークス(b)の混合割合が少なくても、鉱石原料(a)中に混合されるコークス(b)があれば、上記したガス化反応により鉱石の還元の促進に寄与するため、コークス混合装入の効果を得ることができる。コークス(b)の混合割合は、鉱石原料(a)に対して好ましくは2質量%以上あればよい。
したがって、本発明では、複数の炉頂バンカーを用い、鉱石原料(a)とコークス(b)を別々の炉頂バンカーに貯留しておき、鉱石原料(a)とコークス(b)を各炉頂バンカーから同時に排出することで、鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することが好ましい。
また、本発明では、ベルレス型装入装置(旋回シュートなど)を用いて混合装入するため、混合層xの形成位置や範囲についても任意に選択することができる。
図3は、そのような場合の炉内原料装入層の最上部の堆積状態(炉半径方向での炉内原料装入層の縦断面)の一例を模式的に示す説明図であり、鉱石原料層Aは、鉱石原料単独層yとその上層の混合層xが上下方向で交互に積層し、それぞれ複数層形成されている。この実施形態では、上下方向で各2層の鉱石原料単独層y1,y2と混合層x1,x2とが交互に積層し、鉱石原料層Aを構成している。また、この実施形態でも、通気性を確保するため、炉中心部領域eには混合層xを設けず、炉中心部領域eは鉱石原料のみで構成されている。
図4は、そのような場合の炉内原料装入層の最上部の堆積状態(炉半径方向での炉内装入物の縦断面)の一例を模式的に示す説明図であり、最上層の混合層x2の上層に鉱石原料単独層ytが形成されている。また、この実施形態でも、通気性を確保するため、炉中心部領域eには混合層xを設けず、炉中心部領域eは鉱石原料のみで構成されている。
粒径15-20mmの塊鉱石を500g、粒径15-20mmの焼結鉱を1000g、粒径15-20mmのコークスを37.5g準備し、試験材に供した。試験材の層厚は約210mmであり、電気炉の均熱帯よりも長くなったため、試験材を層厚方向に3分割して各70mmとし、下層試験材の排ガスデータから上層試験材のガス条件を算出した上で試験を行った。
ここで、鉱石原料(焼結鉱および塊鉱石)の還元率は、3分割した試験材それぞれの還元率の平均値であり、この還元率は、それぞれの試験材で混合された鉱石原料の実験前後の質量を測定し、質量減少分が還元により除去された酸素量であるとして算出した。また、コークス反応率は、3分割した試験材それぞれのコークス反応率の平均値であり、このコークス反応率は、それぞれの試験材で混合されたコークスの実験前後の質量を測定し、質量減少分がコークスの反応量であるとして算出した。
なお、実験後の鉱石原料およびコークスの質量は、それぞれを分離してから測定した。
また、第1層(鉱石原料単独層)の鉱石原料を塊鉱石(被還元性が低い鉱石原料)とし、第2層(混合層)および第3層(混合層または鉱石原料単独層)の鉱石原料を焼結鉱(被還元性の高い鉱石原料)とすることにより、第1層から第3層までの還元率の差が縮小し、全体として還元率が高くすることができる。
また、試験条件5からして、鉱石原料単独層とその上層の混合層を交互に2層以上設けることにより、鉱石原料の還元効率が向上する。
なお、コークス(b)を炉頂バンカーに装入して貯留するには、炉頂バンカーに原料を搬送するためのベルトコンベア上に切出しホッパーを設置し、この切出しホッパーからベルトコンベア上にコークス(b)が切り出されるようにすることが望ましい。
鉱石原料層Aを構成する1チャージ分の原料は、1バッチ、複数バッチ(例えば、2バッチまたは3バッチ)のいずれで装入してもよい。
鉱石原料(a)とコークス(b)は、ベルレス型装入装置を構成する旋回シュートを通じて装入され、旋回シュートの傾動角を調整(変更)することにより、炉半径方向で炉中心部側から炉壁側に向けて、若しくは炉壁側から炉中心部側に向けて原料が順次装入される。
鉱石原料(a)としては、焼結鉱(aS)と塊鉱石(aL)が用いられており、下層の鉱石原料単独層yには塊鉱石(aL)が用いられ、その上層の混合層xや鉱石原料単独層ytには焼結鉱(aS)が用いられる。
なお、以下の具体例において、例えば、1つバッチ内で混合層xとその上層の鉱石原料単独層yを形成し、或いは鉱石原料単独層yとその上層の混合層xを形成するには、旋回シュートによる原料装入中に、旋回シュートの傾動の向きや、炉半径方向での旋回シュートの装入方向を適宜変えればよい。
まず、図1に示すように鉱石原料単独層yと混合層xをそれぞれ1層設ける場合であって、鉱石原料単独層yとその上層の混合層xを2バッチで形成する場合について説明する。図8はその一実施形態を示すものであり、第1バッチでは、図8(ア)に示すように、炉中心部領域eを含む炉半径方向における全部の領域に対して鉱石原料(a)のみを装入することで、鉱石原料単独層yを形成するとともに、炉中心部領域eの鉱石原料層を形成する。続く第2バッチでは、図8(イ)に示すように、炉半径方向における炉中心部領域e以外の領域に対して鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することで混合層xを形成する。なお、この第2バッチの初期または後期に、炉中心部領域eに対して鉱石原料(a)のみを装入するようにしてもよい。
なお、図3に示すように鉱石原料単独層yと混合層xをそれぞれ2層設ける場合、混合層x1,x2とそれらの上層の鉱石原料単独層y1,y2を、それぞれ別々のバッチ(計4バッチ)で形成するようにしてもよい。
その一実施形態としては、旋回シュートにより、炉半径方向で炉壁側から炉中心部側に向けて原料装入を行った後、折り返して炉中心部側から炉壁側に向けて原料装入を行うことにより、鉱石原料単独層yとその上層の混合層xを1バッチで形成するに当たり、炉壁側から炉中心部側に向けて行う原料装入では、鉱石原料(a)のみを炉頂バンカーから排出して装入することにより、鉱石原料単独層yを形成するとともに、炉中心部領域eに鉱石原料層を形成する。続く炉中心部側から炉壁側に向けて行う原料装入では、炉半径方向における炉中心部領域eに対して、鉱石原料(a)のみを炉頂バンカーから排出して装入した後、それ以降は、鉱石原料(a)とコークス(b)を各炉頂バンカーから同時に排出して混合装入し、鉱石原料単独層yの上層に混合層xを形成する。
また、以上のような各実施形態(混合層xとその上層の鉱石原料単独層yを1バッチで形成する実施形態)の原料装入を2回繰り返すこと(2バッチ)により、図2に示すような混合層xと鉱石原料単独層yをそれぞれ2層設けた層構造とすることもできる。
図10(ア)~(オ)は、各実施例(発明例、比較例)において鉱石原料層Aを形成する際の各炉頂バンカーからの原料装入のタイミングと装入期間を示している。なお、図10(ア)~(オ)(およびこれに関する以下の説明)は、炉径方向における炉中心部領域以外の領域に対する原料装入に関するものであり、炉中心部領域に対しては鉱石原料(a)のみを装入した(図1~図4参照)。すなわち、鉱石原料(a)の一部を、図示しないタイミングで炉中心部領域eに装入した。
表1に各実施例の操業結果を示す。
発明例2は発明例1よりも還元材比が低位となった。これは、発明例1では、1つの炉頂バンカーに鉱石原料(a)とコークス(b)を混合した状態で貯留しておき、その炉頂バンカーから排出することで混合装入したのに対して、発明例2では、鉱石原料(a)とコークス(b)を別々の炉頂バンカーに貯留しておき、炉頂バンカーから同時に排出することで混合装入したため、発明例1よりもコークス(b)の偏析が改善したためであると考えられる。
一方、3基の炉頂バンカーを用いた発明例3は、1層目の混合層x1の装入が終了するまで、2層目の混合装入に必要な原料を炉頂バンカーに投入することができないため、その分、原料の装入時間長くなった。これに対して、4基の炉頂バンカーを用いた発明例4は、1層目の混合層x1の装入が終了するまでに、2層目の混合装入に必要な原料を炉頂バンカーに投入することができるため、炉頂バンカーに鉱石原料を補充する待ち時間を無くすことができ、出銑量を維持することができた。このように、1チャージ当たり鉱石原料(a)とコークス(b)を各炉頂バンカーから同時に排出して混合装入する回数n(混合層xの層数)に対し、炉頂バンカー数をn+2以上とすることにより、炉頂バンカーに原料を補充するための待ち時間(炉内装入の待ち時間)を無くすことができ、原料を連続的に炉内装入することが可能となり、生産量の低下を防ぐことが可能となる。
B コークス層
x,x1,x2 混合層
y,y1,y2,yt 鉱石原料単独層
e 炉中心部領域
1,2,3,4 炉頂バンカー
Claims (15)
- ベルレス型装入装置を有するベルレス高炉において鉱石原料とコークスの混合装入を行う原料装入方法であって、
1チャージ分の鉱石原料を装入する際に、鉱石原料(a)のみを装入することにより鉱石原料単独層(y)を形成した後、鉱石原料(a)と混合装入用のコークス(b)を混合装入することにより、鉱石原料単独層(y)の上層に、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層(x)を形成する原料装入方法であり、
鉱石原料(a)のみの前記装入と、鉱石原料(a)およびコークス(b)の前記混合装入を交互にそれぞれ複数回行うことにより、鉱石原料単独層(y)と混合層(x)を上下方向で交互にそれぞれ複数層形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。 - さらに、混合層(x)(但し、上下方向で複数層形成される混合層(x)のうちの最上層の混合層(x))の上に鉱石原料(a)のみを装入することにより、混合層(x)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする請求項1に記載の高炉の原料装入方法。
- 鉱石原料単独層(y)(但し、上下方向で複数層形成される鉱石原料単独層(y)のうちの最下層の鉱石原料単独層(y))の鉱石原料(a)は塊鉱石(aL)であり、その他の層の鉱石原料(a)は焼結鉱(aS)であることを特徴とする請求項1または2に記載の高炉の原料装入方法。
- ベルレス型装入装置を有するベルレス高炉において鉱石原料とコークスの混合装入を行う原料装入方法であって、
1チャージ分の鉱石原料を装入する際に、鉱石原料(a)のみを装入することにより鉱石原料単独層(y)を形成した後、鉱石原料(a)と混合装入用のコークス(b)を混合装入することにより、鉱石原料単独層(y)の上層に、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層(x)を形成し、
さらに、混合層(x)(但し、混合層(x)が上下方向で複数層形成される場合は最上層の混合層(x))の上に鉱石原料(a)のみを装入することにより、混合層(x)の上層に鉱石原料単独層(y t )を形成することを特徴とする高炉の原料装入方法。 - 鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(y)が上下方向で複数層形成される場合は最下層の鉱石原料単独層(y))の鉱石原料(a)は塊鉱石(aL)であり、その他の層の鉱石原料(a)は焼結鉱(aS)であることを特徴とする請求項4に記載の高炉の原料装入方法。
- ベルレス型装入装置を有するベルレス高炉において鉱石原料とコークスの混合装入を行う原料装入方法であって、
1チャージ分の鉱石原料を装入する際に、鉱石原料(a)のみを装入することにより鉱石原料単独層(y)を形成した後、鉱石原料(a)と混合装入用のコークス(b)を混合装入することにより、鉱石原料単独層(y)の上層に、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層(x)を形成する原料装入方法であり、
鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(y)が上下方向で複数層形成される場合は最下層の鉱石原料単独層(y))の鉱石原料(a)は塊鉱石(a L )であり、その他の層の鉱石原料(a)は焼結鉱(a S )であることを特徴とする高炉の原料装入方法。 - 鉱石原料(a)とコークス(b)を別々の炉頂バンカーに貯留しておき、鉱石原料(a)のみを炉頂バンカーから排出して装入することにより鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(yt)の場合を含む。)を形成し、鉱石原料(a)とコークス(b)を各炉頂バンカーから同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料(a)とコークス(b)の混合層(x)を形成することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の高炉の原料装入方法。
- 1チャージ当たり鉱石原料(a)とコークス(b)を各炉頂バンカーから同時に排出して混合装入する回数nに対し、炉頂バンカー数がn+2以上であることを特徴とする請求項7に記載の高炉の原料装入方法。
- 混合層(x)とその上層の鉱石原料単独層(yt)または鉱石原料単独層(y)(但し、鉱石原料単独層(y)が上下方向で複数層形成される場合の2層目以降の鉱石原料単独層(y))を、1バッチで形成する場合、鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することにより混合層(x)を形成するとともに、1バッチで装入する全鉱石原料量の90質量%を装入するまでにコークス(b)の装入を終了させ、引き続き、残りの鉱石原料(a)を混合層(x)の上に装入することにより鉱石原料単独層(yt)または鉱石原料単独層(y)を形成することを特徴とする請求項7または8に記載の高炉の原料装入方法。
- 1チャージ分の鉱石原料(a)を2バッチまたは3バッチで装入するに際し、第1バッチでは鉱石原料(a)のみを装入し、第2バッチまたは第2バッチと第3バッチでは、鉱石原料(a)とコークス(b)を混合装入することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の高炉の原料装入方法。
- 3基の炉頂バンカー(1)~(3)を用いて、1チャージ分の鉱石原料(a)を3バッチで装入するに際し、1チャージ分の焼結鉱(aS)とコークス(b)を、焼結鉱(aS-1)および焼結鉱(aS-2)とコークス(b-1)およびコークス(b-2)に、それぞれ2分割し、
第1バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、鉱石原料単独層(y)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に混合状態で貯留された焼結鉱(aS-1)とコークス(b-1)を排出して装入することにより、鉱石原料単独層(y)の上層に混合層(x)の一部を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(3)に混合状態で貯留された焼結鉱(aS-2)とコークス(b-2)を排出して装入することにより、混合層(x)の残部を形成することを特徴とする請求項6または7に記載の高炉の原料装入方法。 - 3基の炉頂バンカー(1)~(3)を用いて、1チャージ分の鉱石原料(a)を3バッチで装入するに際し、1チャージ分の焼結鉱(aS)を焼結鉱(aS-1)および焼結鉱(aS-2)に2分割し、
第1バッチでは、炉頂バンカー1に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、鉱石原料単独層(y)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に貯留された焼結鉱(aS-1)と炉頂バンカー(3)に貯留されたコークス(b)を同時に排出して混合装入し、焼結鉱(aS-1)の装入終了とともにコークス(b)の装入を終了させることにより、鉱石原料単独層(y)の上層に混合層(x)を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された焼結鉱(aS-2)を排出して装入することにより、混合層(x)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする請求項5または7に記載の高炉の原料装入方法。 - 3基の炉頂バンカー(1)~(3)を用いて、1チャージ分の鉱石原料(a)を3バッチで装入するに際し、1チャージ分の焼結鉱(aS)とコークス(b)を、焼結鉱(aS-1)および焼結鉱(aS-2)とコークス(b-1)およびコークス(b-2)に、それぞれ2分割し、
第1バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、第1の鉱石原料単独層(y1)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に貯留された焼結鉱(aS-1)と炉頂バンカー(3)に貯留されたコークス(b-1)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y1)の上層に第1の混合層(x1)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-1)を装入した時点でコークス(b-1)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-1)を装入することにより、混合層(x1)の上層に第2の鉱石原料単独層(y2)を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された焼結鉱(aS-2)と炉頂バンカー(2)に貯留されたコークス(b-2)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y2)の上層に第2の混合層(x2)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-2)を装入した時点でコークス(b-2)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-2)を装入することにより、混合層(x2)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする請求項3、7、9のいずれかに記載の高炉の原料装入方法。 - 4基の炉頂バンカー(1)~(4)を用いて、1チャージ分の鉱石原料(a)を3バッチで装入するに際し、1チャージ分の焼結鉱(aS)とコークス(b)を、焼結鉱(aS-1)および焼結鉱(aS-2)とコークス(b-1)およびコークス(b-2)に、それぞれ2分割し、
第1バッチでは、炉頂バンカー(1)に貯留された塊鉱石(aL)を排出して装入することにより、第1の鉱石原料単独層(y1)を形成し、
第2バッチでは、炉頂バンカー(2)に貯留された焼結鉱(aS-1)と炉頂バンカー(3)に貯留されたコークス(b-1)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y1)の上層に第1の混合層(x1)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-1)を装入した時点でコークス(b-1)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-1)を装入することにより、混合層(x1)の上層に第2の鉱石原料単独層(y2)を形成し、
第3バッチでは、炉頂バンカー(4)に貯留された焼結鉱(aS-2)と炉頂バンカー(1)に貯留されたコークス(b-2)を同時に排出して混合装入することにより、鉱石原料単独層(y2)の上層に第2の混合層(x2)を形成するとともに、所定量の焼結鉱(aS-2)を装入した時点でコークス(b-2)の装入を終了させ、引き続き、残りの焼結鉱(aS-2)を装入することにより、混合層(x2)の上層に鉱石原料単独層(yt)を形成することを特徴とする請求項3、7、9のいずれかに記載の高炉の原料装入方法。 - コークス(b)は、高炉装入用の塊コークスを得るためにコークスを分級した際の篩下コークスであることを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の高炉の原料装入方法。
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