JP7370604B2 - 測温抵抗体素子、及び該測温抵抗体素子の製造方法 - Google Patents

測温抵抗体素子、及び該測温抵抗体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックス碍子の碍子孔に螺旋状の抵抗線であるコイルを挿着し、絶縁粉末を介して抵抗線を碍子孔内部に固定してなる測温抵抗体素子に係り、特に、ロケットの燃料タンクなど、小型化が可能であり、かつ、衝撃や振動が大きく温度変化も大きい過酷な環境下で用いるに好適な測温抵抗体素子、及び該測温抵抗体素子の製造方法に関する。
たとえばロケットの燃料タンク等に搭載される測温抵抗体(温度センサ)には、小型化とともに、優れた耐衝撃性、耐振動性が求められることに加え、ロケットの瞬時に変化する燃焼状態を即座にとらえて対応できる高度な応答性が求められる。一般産業用の測温抵抗体に内蔵される素子(測温抵抗体素子)は、たとえば外形φ3.0mm、長さ30mm程度のサイズのものが汎用されているが、上記ロケット用の場合は、通常、外形φ1.0mm以下、長さ10mm以下の寸法が求められ、内部に使用する抵抗線の線径は0.01mm程度となる。また、ロケットの場合、室温から液体水素温度ないし液体酸素温度までの熱サイクルを受けるため、測温抵抗体には高い測温精度を維持するための厳しいヒステリシス特性の制限を受ける。
一般的に、衝撃や振動が大きい状況下で用いることのできる測温抵抗体素子としては、螺旋状の抵抗線をアルミナ碍子の穴に装着し、そのコイルまわりにアルミナやマグネシアを主材とした絶縁粉末を充填し固定するものが広く用いられている(たとえば、特許文献1、2参照。)。その他の構造としては、絶縁ガラス粉末などで螺旋状の抵抗線を部分的に固着したもの(部分固定形)も知られている(たとえば、非特許文献1、2参照。)。
しかしながら、このような従来の構造を有する測温抵抗体素子を小型化し、たとえば上記したロケット用の測温抵抗体に用いる場合、熱サイクルによる熱応力の発生が避けられず、厳しいヒステリシス特性の制限をクリアすることが難しく、測定精度や応答性の向上に限界があり、また、抵抗線も上記のとおり線径が細くなり、耐久性の問題もあった。
特開平4-5527号公報 特開2019-2874号公報
Thermal Developments International Ltd.「TDI Catalogue」(「Hand made platinum resistance temperature detectors」),2004年2月,インターネット、2020年11月13日検索、(URL:http://www.t-d-i.co.uk/pdfs/tdi-cat.pdf)(第6頁) Thermal Developments International Ltd.「Information Sheet 3: Advantages of Wire Wound Detectors」(「TDI Information Sheet Why Wire Wound?」),2009年12月,インターネット、2020年11月13日検索、(URL:http://www.t-d-i.co.uk/pdfs/TDI-Information-Sheet-3.pdf)(第3頁)
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、小型化しても、測温抵抗体としての厳しいヒステリシス特性の制限をクリアでき、高い測定精度や応答特性を維持できるとともに、耐久性にも優れ、たとえばロケットなどの用途に好適な測温抵抗体素子、及び該測温抵抗体素子の製造方法を提供する点にある。
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、一般的な螺旋状の抵抗線コイルをアルミナ碍子の穴に装着し、そのコイルまわりに絶縁粉末を充填し固定するものにおいて、その絶縁粉末を2種の非晶質ガラス粉末を含む混合ガラス粉末とし、製造過程で一方のガラス粉末を軟化又は溶融させて変形・固化した連結構造を設けることにより、熱サイクルによる熱応力の発生を小さくし、測温抵抗体としての厳しいヒステリシス特性の制限をクリアできること、および耐衝撃性、耐振動性を向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) セラミックス碍子の碍子孔に螺旋状の抵抗線のコイルが挿着されるとともに、前記碍子孔と前記抵抗線との隙間に絶縁粉末が充填されることにより、前記抵抗線が前記碍子孔の内部に固定された測温抵抗体素子であって、前記絶縁粉末が、第1のガラス粉末と、該第1のガラス粉末よりも軟化点温度が低い第2のガラス粉末の2種の非晶質ガラス粉末を含む混合ガラス粉末からなり、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された連結構造を有することを特徴とする測温抵抗体素子。
(2) 前記第1のガラス粉末のコールターカウンター法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である平均粒径が、前記第2のガラス粉末のレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である平均粒径よりも大きい、(1)記載の測温抵抗体素子。
以下、本明細書でいう第1のガラス粉末の平均粒径の値は、コールターカウンター法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径の値とし、第2のガラス粉末の平均粒径の値は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径の値とする。
(3) 前記第1のガラス粉末が球形である、(2)記載の測温抵抗体素子。
(4) 碍子内に挿着された螺旋状の前記抵抗線のコイルの軸方向のコイル中心軸方向の線間距離をα(mm)、前記第1のガラス粉末の平均粒径(コールターカウンター法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)をβ(mm)としたとき、下記式(A1)を満たす、(2)又は(3)記載の測温抵抗体素子。
Figure 0007370604000001
(5) 前記混合ガラス粉末が、前記第1のガラス粉末を90重量パーセント以上含んでおり、且つ前記第1のガラス粉末が、第2のガラス粉末に比べて、前記抵抗線の熱膨張係数に近い熱膨張係数をもつ(1)~(4)の何れかに記載の測温抵抗体素子。
また、本発明者は、測温抵抗体素子の抵抗線として通常使用される白金線について、その線径を細くして0.01mmに近づくと断線が著しくなる理由(メカニズム)を独自に研究した結果、新たな知見を得た。すなわち、線径が0.01mm近くになってくると、白金抵抗線は加熱により容易に再結晶し、700℃、1010℃で1時間加熱するだけで、図11の各写真に示すように、再結晶組織を通り越して結晶粒の粗大化が生じ、該粗大化した結晶粒が線径を横断する竹の節状組織(いわゆるバンブーストラクチャー)を形成することがわかった。ロケットの燃焼振動のような苛酷な振動場のテストにおいて実際に断線した個所を示す写真(図3)に見られるように、抵抗線の固定を部分固定形で行うと、抵抗線に加わった苛酷な振動で、固定部とフリー部の境界で断線が生じた。この現象は抵抗線の結晶粒の粗大化による竹の節状組織が大きく影響するため、このような組織構造が生じない製造・熱処理条件が必要となる。熱処理温度/時間と結晶粒の成長との相関試験により、白金抵抗線について1時間程度の加熱で再結晶組織にとどめられる最大温度は500℃ぐらいとわかった。そこで、以下の(6)、(7)、(9)の発明を考案した。
(6) 抵抗線が白金抵抗線であり、前記第1のガラス粉末が軟化温度500℃以上のガラス粉末であり、且つ、前記第2のガラス粉末が軟化温度500℃未満のガラス粉末であり、前記連結構造が、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、500℃未満の加熱による軟化又は溶融で変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された構造である、(1)~(5)の何れかに記載の測温抵抗体素子。
(7) 前記抵抗線とリード線とが、液相温度500℃未満の低温ロウ材により接続されている、(6)記載の測温抵抗体素子。
(8) セラミックス碍子の碍子孔に螺旋状の抵抗線のコイルが挿着されるとともに、前記碍子孔と前記抵抗線との隙間に絶縁粉末が充填されることにより、前記抵抗線が前記碍子孔の内部に固定される測温抵抗体素子の製造方法であって、前記絶縁粉末を、第1のガラス粉末と、該第1のガラス粉末よりも軟化点温度が低い第2のガラス粉末の2種の非晶質ガラス粉末を含む混合ガラス粉末とし、前記絶縁粉末を前記充填した状態で、第1のガラス粉末の軟化点温度よりも低く、且つ第2のガラス粉末の軟化点温度以上の温度で加熱処理することにより、前記第2のガラス粉末を軟化又は溶融させ、その後、冷却固化させることにより、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された連結構造を形成する、測温抵抗体素子の製造方法。
(9) 前記抵抗線が白金抵抗線であり、前記第1のガラス粉末が軟化温度500℃以上のガラス粉末であり、前記第2のガラス粉末が軟化温度500℃未満のガラス粉末であり、前記加熱処理が、500℃未満で且つ前記第2のガラス粉末の軟化点温度以上の温度による加熱処理である、(8)記載の測温抵抗体素子の製造方法。
(10) 前記抵抗線とリード線とを、ロウ付け接続した、(8)又は(9)記載の測温抵抗体素子の製造方法。
(11) 前記ロウ付け接続が、リード線の抵抗線側の接続端部に設けた置きロウと、抵抗線の接続端部とを接触または近接させた状態で、前記リード線の置きロウから離れた位置を加熱し、該加熱による伝熱により置きロウを溶解させ、抵抗線と接続させる処理である、(10)記載の測温抵抗体素子の製造方法。
(12) 前記リード線の加熱が、パルスレーザ溶接機による所定回数のパルス加熱による処理である、(11)記載の測温抵抗体素子の製造方法。
以上にしてなる本願発明に係る測温抵抗体素子及び該測温抵抗体素子の製造方法によれば、絶縁粉末が、第1のガラス粉末と、該第1のガラス粉末よりも軟化点温度が低い第2のガラス粉末の二種類のガラス粉末を含む混合ガラス粉末からなり、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された連結構造を有しているので、従来のようなアルミナやマグネシアからなる絶縁粉末と違い、ガラス粉末は熱膨張係数を調整する等して抵抗線の熱膨張係数に近いものを用いることができ、これにより熱サイクルによる熱応力の発生を小さく抑え、測温抵抗体として温度変化に強い良ヒステリシス特性を備えたものとすることができるとともに、高い測定精度や応答特性を維持できる。また、上記のとおり第2のガラス粉末による連結構造を有するため、抵抗線が内部で動いて破損することが防止されるとともに、上記のとおり熱膨張係数を設定できることから熱膨張差による応力も受けにくい構造を実現でき、衝撃や振動に耐える優れた耐久性を備えたものを提供することができる。
また、前記第1のガラス粉末の平均粒径が、前記第2のガラス粉末の平均粒径よりも大きいものでは、これら混合ガラス粉末の充填密度を安定的に高めることができ、より測定精度が高く、耐久性も高いものを提供できる。
また、第1のガラス粉末が球形であるものでは、碍子孔の一端側から投入される混合ガラス粉末(絶縁粉末)が内部に挿入されている螺旋状の抵抗線のコイル内側空間を流れた後、第1のガラス粉末を抵抗線の線間を通って外側(抵抗線と碍子孔内壁との間)に到達させることができ、結果、ガラス粉末によって碍子内に螺旋状の抵抗線をしっかりと固定することができる。
また、碍子内に挿着された螺旋状の前記抵抗線のコイルのコイル中心軸方向の線間距離をα(mm)、前記第1のガラス粉末の平均粒径をβ(mm)としたとき、下記式(A1)を満たすものでは、第1のガラス粉末を抵抗線の線間を通って外側(抵抗線と碍子孔内壁との間)に、より確実に到達させることができ、ガラス粉末によって碍子内に螺旋状の抵抗線のコイルを、より確実に固定し、高振動場で抵抗線に加わる振動をより確実に吸収させ、耐久性を確実に高めることができる。
Figure 0007370604000002
また、混合ガラス粉末が、前記第1のガラス粉末を90重量パーセント以上含んでおり、且つ前記第1のガラス粉末が、第2のガラス粉末に比べて、前記抵抗線の熱膨張係数に近い熱膨張係数をもつものでは、90重量パーセント以上含む第1のガラス粉末の熱膨張係数を抵抗線の熱膨張係数に近いものにすることで、熱サイクルによる熱応力の発生を小さくし、測温抵抗体とした場合のヒステリシスによる抵抗値変動を抑え、温度変化に強く、高い測定精度や応答特性を維持できるとともに、ヒステリシスへの影響が少ない第2のガラス粉末は、比較的自由に材料選択ができる。
また、抵抗線が白金抵抗線であり、前記第1のガラス粉末が軟化温度500℃以上のガラス粉末からなり、且つ、前記第2のガラス粉末が軟化温度500℃未満のガラス粉末からなり、前記連結構造が、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、500℃未満の加熱による軟化又は溶融で変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された構造であるものでは、白金抵抗線を細径化しても、竹の節状組織の形成を防止でき、小型で、且つ衝撃や振動に耐える優れた耐久性を備えたものを提供できる。
また、前記抵抗線とリード線とを、ロウ付け接続したものでは、液体水素温度などの極低温と室温を繰り返し測定しても抵抗値が安定し、特に、室温~20K(-253℃)という低温域では、ロウ付けのロウ材と抵抗線との相互反応による抵抗値変動が無く、接続の安定化即ち抵抗値の安定化が実現する。
また、抵抗線とリード線とが、液相温度500℃未満の低温ロウ材により接続されているものでは、白金線の上記劣化(竹の節状組織の発生)を防止でき、過酷な振動場における断線を防止できる。
また、前記ロウ付け接続が、リード線の抵抗線側の接続端部に設けた置きロウと、抵抗線の接続端部とを接触または近接させた状態で、前記リード線の置きロウから離れた位置を加熱し、該加熱による伝熱により置きロウを溶解させ、抵抗線と接続させる処理であるものでは、接続時のロウ材の溶解を短時間で済ませることができ、不必要な抵抗線への入熱を抑え、上記竹の節状組織の発生を未然に防止できる。また、接続の際、リード線は加熱により熱膨張するため、わずかに伸びて抵抗線のロウ付けとロウの凝固を速やかに完了できる。
また、前記リード線の加熱が、パルスレーザ溶接機による所定回数のパルス加熱による処理であるものでは、置きロウ部をレーザ照射して直接加熱するのではないので、不要な抵抗線の加熱を抵抗線へのレーザ焦点の外しでなくすことができ、また、パルス加熱を例えば5パルスを1セットとするように、事前に定めた置きロウの溶解に必要なセット数だけ加熱することで、余分なロウ材への入熱を極力減らし、上記竹の節状組織の発生をより確実に防止でき、品質の安定化、製造の効率化を図ることができる。
700℃、1時間熱処理後の線径0.0125mmの白金抵抗線の結晶粒のSEM外観写真。 1010℃、1時間熱処理後の線径0.0125mmの白金抵抗線の結晶粒のSEM外観写真。 比較例1のサンプルの断線個所を示すSEM写真。 本発明の代表的実施形態の測温抵抗体素子の構成を示す説明図。 絶縁粉末を碍子孔に抵抗線と共に充填し、熱処理した後の断面のSEM写真。 絶縁粉末が充填された碍子孔内の状態を示す模式図。 絶縁粉末を碍子孔に抵抗線と共に充填し、熱処理した後の断面のSEM写真。 抵抗線とリード線のロウ付け接続の方法を示す説明図。 熱サイクル試験前後の温度偏差変化量分布を示すグラフ。 実施例1のサンプルの合格品、および比較例1のサンプルの非合格品のX線写真。 振動試験前後の温度偏差変化量分布を示すグラフ。 実施例3の接続体サンプルの接続部の外表面の組織SEM写真。 実施例2の接続体サンプルの接続部の外表面の組織SEM写真。 破断部の実体顕微鏡写真。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明に係る測温抵抗体素子1は、図4に示すように、セラミックス製の碍子2の碍子孔20に、螺旋状の抵抗線3であるコイル(コイル状の抵抗線コイル)が挿着されるとともに、碍子孔20と抵抗線3との隙間に絶縁粉末4が充填されることにより、抵抗線3が碍子孔20の内部に固定されたものである。抵抗線3は、白金抵抗線など用途に応じて公知の抵抗線を広く採用できる。抵抗線3の基端側には、延長用口出しリード線5が接続される。リード線5は、白金ロジウム合金など、これも抵抗線と同じく、用途に応じて公知の抵抗線を広く採用できる。
本発明では、とくに絶縁粉末4について、第1のガラス粉末と、該第1のガラス粉末よりも軟化点温度が低い第2のガラス粉末の二種類のガラス粉末を含む混合ガラス粉末とし、第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された連結構造を設けたことを特徴としている。例えば、図5は、第2のガラス粉末(軟化温度394℃のガラス)を5%とし、他を軟化温度700℃以上の第1のガラス粉末とした絶縁粉末を、碍子孔に抵抗線と共に充填し、熱処理温度450℃、10分加熱により第2のガラス粉末のみを溶解し、冷却固化したものの断面写真である。図5の写真から分かるように、溶融した第2のガラス粉末は、高融点の第1のガラス粉末をつなぎ合わせるように溶解する。
ガラス粉末は、従来からのアルミナやマグネシアの粉末と違い、熱膨張係数を容易に調整することができる。したがって、ガラス粉末の熱膨張係数を抵抗線3の熱膨張係数に近いものとし、熱サイクルによる熱応力の発生を小さくし、温度変化に強い良ヒステリシス特性を備えた測温抵抗体を得ることができる。
第1のガラス粉末と第2のガラス粉末の混合比((第1のガラス粉末)/(第2のガラス粉末))(本明細書で「混合比」は質量での比をいう。)は、85/15~95/5とすることが好ましい。第1のガラス粉末を90重量パーセント以上含んでおり、且つ第1のガラス粉末が、第2のガラス粉末に比べて、前記抵抗線の熱膨張係数に近い熱膨張係数をもつものでは、90重量パーセント以上含む第1のガラス粉末の熱膨張係数を抵抗線の熱膨張係数に近いものにすることで、測温抵抗体とした場合の上記したヒステリシスによる抵抗値変動をより確実に抑えることができる。たとえば第1のガラス粉末の熱膨張係数を、白金抵抗線の熱膨張係数(約88×10-7/℃)に合せることは容易である。
第2のガラス粉末は、膨張係数の異なる軟化ガラスによるヒステリシス特性への悪化が考えられるが、上記のように第1のガラス粉末の混合比を大きく(85/15~95/5)し、第2のガラス粉末の比率を小さくすることでその影響は抑制される。ヒステリシスに影響の少ない第2のガラス粉末は、比較的自由に材料選択ができる。
第1のガラス粉末と第2のガラス粉末は、混合機などを用いて均等に撹拌され、膨張係数が抵抗線3と異なる低融点の第2のガラス粉末のみが軟化又は溶融して、主材である第1のガラス粉末同士、第1のガラス粉末と抵抗線3、又は第1のガラス粉末と碍子孔20内面との間に、変形・固化した状態で部分的に介在し、上記連結構造を構成する。これにより激しい振動下での計測において、抵抗線をしっかりと固定できる結果となり、抵抗値変動や断線をなくすることができる。
本発明はこのように、絶縁粉末4を第1のガラス粉末と第2のガラス粉末を含む混合ガラス粉末から構成し、碍子孔20の内部は第2のガラス粉末による連結構造を有するため、抵抗線3が内部で動いて破損することが防止されるとともに、上記のとおりガラス粉末の熱膨張係数を抵抗線3に近い値に設定できることから抵抗線3が熱膨張差による応力を受けにくい構造を実現できることに加えて、衝撃や振動に耐える優れた耐久性を備えたものを提供することができる。
第1のガラス粉末の平均粒径は、第2のガラス粉末の平均粒径よりも大きいものでは、これら混合ガラス粉末である絶縁粉末4の充填密度を安定的に高めることができ、より測定精度が高く、耐久性も高いものを提供できる。
また、碍子内に挿着された前記抵抗線のコイルのコイル中心軸方向の線間距離をα(mm)、前記第1のガラス粉末の平均粒径をβ(mm)としたとき、下記式(A1)を満たすものでは、第1のガラス粉末を抵抗線の線間を通って外側(抵抗線と碍子孔内壁との間)に、より確実に到達させることができ、ガラス粉末によって碍子内に抵抗線コイルを、より確実に固定し、高振動場で抵抗線に加わる振動をより確実に吸収させ、耐久性を確実に高めることができる。
Figure 0007370604000003
具体的には、混合ガラス粉末である絶縁粉末4の充填は、まず螺旋状の抵抗線3の両端にリード線5を接続したものをV字状に折り返して両端のリード線5から碍子孔20内に挿入し、他端から突出させた状態とし、リード線5が突出する基端側を封止材60で封止した後、反対の先端側の解放孔から、絶縁粉末4を投入する。絶縁粉末4は抵抗線3上部からコイル内側の空間にコイル中心軸方向に流れ、線間から碍子孔壁に到達する。このように絶縁粉末を前記充填した後、先端側を封止材61で封止し、加熱処理することで、両端の封止材60、61を焼結させるとともに内部の絶縁粉末4のうち第2のガラス粉末を軟化又は溶融させ、その後、冷却固化させることにより、第1のガラス粉末同士、第1のガラス粉末と抵抗線、又は第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して固化した第2のガラス粉末を介して連結された状態となる。
絶縁粉末4を充填する際、微細な碍子孔20への微細な絶縁粉末4の充填を阻害する要因として湿度、ファンデルワールス力、静電気などによる粉末の凝集化が問題となるので、それらを解消するような環境として、水分を除去したボックス内で除電器(イオナイザ)を用いて静電気中和をしながら粉末充填することが好ましい。
絶縁粉末4(混合ガラス粉末)のうち、少なくとも第1のガラス粉末は球形であることが好ましい。これにより、碍子孔20の一端側から投入される絶縁粉末4が内部に挿入されている抵抗線のコイル内側空間を流れた後、第1のガラス粉末を抵抗線の線間を通って外側(抵抗線と碍子孔内壁との間)に到達させることが促進される結果、絶縁粉末4によって碍子内に抵抗線コイルをしっかりと固定することができる。たとえば、第1のガラス粉末を、軟化点温度730℃、平均粒径15.6μmの球状ガラスビーズとし、第2のガラス粉末を、軟化点温394℃、平均粒径3.9μm以下のガラスフリットとしたもの等とすることができる。
すなわち、絶縁粉末4の充填は上記のとおり、碍子孔の開口部から投入するが、絶縁粉末4が抵抗線3をしっかりと固定するには、抵抗線3の上部から投入した粉末が抵抗線のコイル状の内側を流れ、コイル間を通って碍子孔内壁に到達しないと固定できない。そのためにはコイル間を比較的大径の粉末が移動できることが必須となる。そのために粒径の大きな粉末は球形の方が流動しやすく好ましいのである。また、最大粒径20μmとすることで粉末がコイル間を貫通して碍子孔内壁に到達させやすくなる。
絶縁粉末4が充填された碍子孔20内の状態の模式図を図6に示す。また、上記した図5は、実際に5重量%の第2のガラス粉末が、95重量%の大口径の第1のガラス粉末間に点在した状態で充填され、第2のガラス粉末のみ溶融ないし軟化して作製された製品断面のSEM写真である。
ここで、図7に示すように、大口径の第1のガラスがフリットの状態だと、抵抗線間を通じて碍子孔の内壁に到達しないい場合がある。また、ガラス粉末が大きすぎると、同じくコイル内にのみ偏在してしまう。これに対し、第1のガラス粉末の平均粒径を上記式(A1)を満たすものとすると、図5の写真に示すように抵抗線のコイル間を通って碍子孔内壁にまで到達していることが判る。ガラス粉末の粒径に関して、抵抗線のコイル内径の1/6以下、例えば30μm以下とすることで、コイル内に紛体によるブリッジを形成することなく充填しやすくなるため好ましい。
さらに抵抗線のコイル線間に粒子が2乃至3粒並んで存在できるような粒径を用いることで抵抗線から碍子孔の内壁に粉末が充填され、抵抗線をしっかりと確保できる。たとえば、碍子の軸方向長さが10mm、碍子孔がφ0.27mm、100Ωの抵抗素子とすると、抵抗線径が0.0125mm(12.5μm)、抵抗線のコイル長6mmとすると、抵抗線間がおよそ50μmとなり、粒径は20μmほどが適当である。よって、上からの流入でのブリッジ形成を避け、抵抗線間(コイル間)を通じて碍子孔内壁に紛体を到着させるには、粒度分布として20μm以下の粒径のものが80重量%以上存在する高融点ガラスを第1のガラス粉末として用いることが好ましい。
抵抗線3として、0.01mm径に近い細径の白金抵抗線を用いる場合、第2のガラス粉末を軟化又は溶融させて変形・固化させる際、500℃以上にすると、抵抗線3が再結晶組織を通り越して結晶粒の粗大化を生じ、該粗大化した結晶粒が線径を横断する竹の節状組織を形成し、断線しやすくなる。抵抗線3の再結晶は400℃以上で始まり、結晶粒の粗大化がおよそ500℃、1時間ぐらいで形成される(もちろん素材の加工度や事前の熱処理の有無が影響する)。
したがって、第1のガラス粉末を軟化温度500℃以上のガラス粉末とし、且つ第2のガラス粉末を軟化温度500℃未満のガラス粉末とし、500℃未満の加熱により第2のガラス粉末を軟化又は溶融させて変形・固化した連結構造を形成することが好ましい。たとえば、第2のガラス粉末として、軟化温度が450℃ぐらいであり、30分以内で熱処理完了できるガラス材が好ましい。粒度に関してはより大径の第1のガラス粉末の表面に分散付着できるような粒径が好ましい。
抵抗線3とリード線5との接続は、ロウ付け接続される。従来の素子では、カシメ接続や抵抗溶接による接続が一般的であったが、液体水素温度などの極低温と室温を繰り返し測定すると熱サイクルによる接触抵抗の変化や接続不良による外れが生じる。本例では、φ0.0125mm(12.5μm)の抵抗線とφ0.15mmのリード線の接続において、抵抗値を安定化させるために、ロウ付けを用いた。特に、室温~20K(-253℃)という低温域では、ロウ付けのロウ材と抵抗線との相互反応による抵抗値変動が無く、接続の安定化即ち抵抗値の安定化が実現する。
また、抵抗線3が細い白金抵抗線の場合、液相温度500℃未満の低温ロウ材を用いることが好ましい。これにより白金線の劣化(竹の節状組織の発生)を防止でき、過酷な振動場における断線を防止できる。
ロウ付け接続は、図8に示すように、リード線5の抵抗線3側の接続端部に設けた置きロウ8と、抵抗線3の接続端部とを接触または近接させた状態で、前記リード線5の置きロウ8から離れた位置x1を加熱し、該加熱による伝熱により置きロウ8を溶解させ、抵抗線3とリード線5を接続させることが好ましい。リード線5は加熱により熱膨張するため、わずかに伸びて抵抗線3のロウ付けとロウの凝固を速やかに完了できるのである。このような処理により、接続時のロウ材の溶解を短時間で済ませることができ、不必要な抵抗線への入熱を抑え、上記竹の節状組織の発生を未然に防止できる。
さらに、リード線5の加熱は、パルスレーザ溶接機7による所定回数のパルス加熱による処理とすることが好ましい。置きロウ部をレーザ照射して直接加熱するのではないので、不要な抵抗線の加熱を抵抗線へのレーザ焦点の外しでなくすことができる。
パルス加熱は、例えば5パルスを1セットとするように、事前に定めた置きロウの溶解に必要なセット数だけ加熱するようにすることが好ましい。この方法により、余分なロウ材への入熱を極力減らし、上記竹の節状組織の発生をより確実に防止でき、品質の安定化、製造の効率化を図ることができる。
ロウ材としては、例えば、金―インジウムはんだと呼称される金82%、インジウム18%合金のような固相温度450℃、液相温度485℃の低温ロウ材あるいは、金―ゲルマニウムはんだのような固相温度360~480℃の低温ロウ材を用いることが好ましい。特に金―ゲルマニウムはんだを用いる場合など、用いるロウ材の種類に応じて該ロウ材の固相温度より低い温度となるように第2のガラス粉末や碍子孔両端の封止材の軟化温度を調整すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
次に、本発明にかかるサンプル(実施例1)と従来品のサンプル(比較例1)を用いて、熱サイクル処理の前後の温度偏差の変化量を測定した、熱サイクル試験結果について説明する。
(実施例1のサンプル)
図4に示した本発明に係る構造を備える測温抵抗体素子であり、同じものを100個用意した。各部は次のとおりである。
・リード線:外径が0.15mmの白金ロジウム合金製抵抗値計測用リード
・セラミックス碍子:外径がφ0.8mm、長さが10mm、穴径がφ0.27mmの軸方向に貫通した碍子孔を2個有する耐熱絶縁体(アルミナ2穴碍子)。
・抵抗線:白金抵抗線(Pt99.999+重量%)で、線径がφ0.0125mm(12.5μm)の螺旋状(コイル状)の抵抗線であり、コイル中心径がPCD 0.2mm+α、コイル外径がφ0.225mm+α、コイル長が6mm、コイル線間がおよそ50μm
・絶縁粉末:第1、第2のガラス粉末の混合ガラス粉末
・第1のガラス粉末:軟化点が730℃、平均粒径(コールターカウンター法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)が15.6μm、熱膨張係数が88×10-7/℃(白金抵抗線と同じ)のガラスビーズ
・第2のガラス粉末:軟化点が394℃、平均粒径(レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)が3.9μm、熱膨張係数が105×10-7/℃のガラスフリット
・ガラス粉末の混合比(質量比): 第1のガラス粉末/第2のガラス粉末=95/5
・混合機で均等に撹拌。
・延長用口出しリード線:白金ロジウム合金(Pt-Rh10重量%)、線径がφ0.15、長さが15mmのリード線
・リード線と抵抗線との接続部のロウ材:金ろう(K10ろう(金41.7重量%含有、作業(溶融)温度740℃))を使用
・碍子孔両端の封止材:SiO・B/PbOを主成分とする低温焼成シール用ペースト(AGC株式会社製シールガラス「AP4290D1」、軟化点405℃、平均粒径3.5μm、熱膨張係数78(×10-7/℃))
製作は、まずセラミックス碍子の碍子孔に、あらかじめ両端にリード線をロウ材で接続した抵抗線を挿入して碍子の一端、たとえばリード側である基端側を封止材で封止し、当該封止した一端側を下に向けて上下に立てた状態にセットし、上側を向いている他端、たとえば先端側の碍子孔開口から、碍子孔に挿着されている抵抗線の内側に、絶縁粉末を投入する。絶縁粉末は、途中で詰まらないようセラミックス碍子に振動を加えて基端側に向けて落下させながら充填した。そして、加熱処理により、両端封止材を焼結固化させるとともに内部の低融点ガラスが部分的に高融点ガラスを固定するようにした(図5)。
(比較例1のサンプル)
従来品のサンプル(比較例1)としては、TDI社製 測温抵抗体素子「P100/1008」(外径φ0.8mm、長さ10mm)を100個用意した。
(熱サイクル処理方法、結果)
熱サイクル処理は、各サンプルをポリイミドチューブの中に入れて、液体窒素が素子に直接かからないようにしながら、室温⇔液体窒素温度(-196℃)の熱サイクルを数回繰り返し与えた。具体的な熱サイクル回数は、実施例1のサンプルでは10回、比較例1のサンプルでは10回とした。そして当該熱サイクル処理の前後における0℃での抵抗値の変化を計測した。結果を図9のグラフ、及び表1に示す。
図9及び表1から分かるように、実施例1のサンプルは、比較例1のサンプルに比べて、熱サイクルによる温度偏差変化量が小さく、ばらつきも小さく抑えられている。このように実施例1のサンプルが比較例1に比べて良い結果を示した理由としては、絶縁粉末のうち95%を占める高融点ガラスを、熱膨張係数が抵抗線の熱膨張係数に近いものを用い、熱サイクルによる熱応力の発生を小さく抑えたことが理由と考えられる。そして、本発明品では、白金抵抗線と低融点ガラス、絶縁碍子の熱膨張係数の差が影響しないこともわかる。
Figure 0007370604000004
次に、上記熱サイクル試験と同じ試験を、実施例1、比較例1の各サンプルにつき各々100個合格品が出るまで続け(すなわち、実施例1のサンプルは残り5個、比較例1のサンプルは残り29個、合格品が揃うまで続け)、これら合格した各サンプル(実施例1:100個、比較例1:100個、合計200個)につき、さらに振動試験機により振動を与えて、振動前後の内部の抵抗線コイルの乱れの有無をX線撮影により判定するとともに、振動前後の温度偏差の変化量を測定した、振動試験結果について説明する。
(試験方法)
・振動試験機:IMV株式会社製 「i220/SA1M」
・振動条件:比較例1のサンプルは、AT試験(受入試験Acceptance Test)、振動レベル23.4Grms 1分間とし、実施例1のサンプルは、QT試験(認定試験Qualification Test)、振動レベル46.8Grms、2分間(振動レベル及び振動時間が、AT試験の2倍)とした。
・評価方法:各サンプルについて振動前後でX線撮影を行い、内部の抵抗線コイルの位置の状態を比較することで乱れ(コイル位置状態の変化)が生じているか否かを判定した。
(試験結果)
表2から分かるように、コイルの乱れについては、実施例1のサンプルは、100個(熱サイクル試験の合格品100個)のうち98個(98%)が合格し、ほとんど乱れなかった。これに対し、比較例1のサンプルは、100個(熱サイクル試験の合格品100個)のうち54個(54%)が合格で、残り46個、約半数でコイルの乱れが生じた。本発明品は衝撃や振動に耐える優れた耐久性を備えることがわかる。なお、図10は、それぞれ実施例1のサンプルの合格品(乱れ無し)、比較例1のサンプルの非合格品(乱れ有り)のX線撮影例である。
また、振動試験前後の温度偏差の変化量は、表2及び図11に示すように、実施例1、比較例1ともに95個以上合格し、ほぼ同等であった。
Figure 0007370604000005
次に、碍子に組み込む前の抵抗線とリード線を接続した接続体のサンプルについて、抵抗線とリード線との接続方法を異なる方法とした2種類(実施例2、3)を用意し、各接続体サンプルについて、接続部の外表面組織の観察、抵抗線の引張強度試験を行った結果を示す。
(接続体のサンプル)
・リード線:外径が0.15mmの白金ロジウム合金製抵抗値計測用リード
・抵抗線:白金抵抗線(Pt99.999+重量%)で、線径がφ0.0125mm(12.5μm)の螺旋状(コイル状)の抵抗線であり、コイル中心径がPCD 0.2mm+α、コイル外径がφ0.225mm+α、コイル長が6mm、コイル線間がおよそ50μm
同じ金ロウ材を用いた接続において、実施例2のサンプルは、図8で示したパルスレーザ溶接機7による所定回数のパルス加熱(160V)による処理(5パルスを1セットとし、1~3セット数)で接続したものとし、実施例3のサンプルは、酸素・アセチレン炎でフレームロウ付けによる処理で接続したものとした。
(接続部の外表面組織の観察結果)
実施例2、3の各接続体サンプルの接続部の外表面の組織SEM写真を図12、図13に示す。実施例3では、図12から分かるように、ロウ付け部近傍の結晶組織で外表面にバンブー組織が現れている。ところがパルスレーザロウ付けした実施例2では、図13から分かるように、同じ液相温度のロウ材を使用しているにも関わらず多結晶組織にとどまっている。
(引張試験結果)
実施例3の抵抗線の引張強度は1N/mmで、パルスレーザロウ付けした実施例2の抵抗線の引張強度は4N/mmとなり、およそ4倍の強度を示した。
破断部の断線状態を実体顕微鏡で観察した結果、図14の写真に示すようにバンブー組織の場合脆性破断を示している。なお、以上の結果から、実体顕微鏡やSEMによりロウ付けの均質性や抵抗線表面組織のバンブー発生のない事を確認すれば、ロウ付けの健全性を確認できることが分かる。
1 測温抵抗体素子
2 碍子
3 抵抗線
4 絶縁粉末
5 リード線
20 碍子孔
40 第1のガラス粉末
41 第2のガラス粉末
60 封止材
61 封止材

Claims (10)

  1. セラミックス碍子の碍子孔に螺旋状の抵抗線のコイルが挿着されるとともに、前記碍子孔と前記抵抗線との隙間に絶縁粉末が充填されることにより、前記抵抗線が前記碍子孔の内部に固定された測温抵抗体素子であって、
    前記絶縁粉末が、第1のガラス粉末と、該第1のガラス粉末よりも軟化点温度が低い第2のガラス粉末の2種の非晶質ガラス粉末を含む混合ガラス粉末からなり、
    前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された連結構造を有し、
    前記混合ガラス粉末が、前記第1のガラス粉末を85重量パーセント以上含んでおり、且つ前記第1のガラス粉末が、第2のガラス粉末に比べて、前記抵抗線の熱膨張係数に近い熱膨張係数をもつことを特徴とする測温抵抗体素子。
  2. 前記第1のガラス粉末のコールターカウンター法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である平均粒径が、前記第2のガラス粉末のレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である平均粒径よりも大きい、請求項1記載の測温抵抗体素子。
  3. 前記第1のガラス粉末が球形である、請求項2記載の測温抵抗体素子。
  4. 碍子内に挿着された螺旋状の前記抵抗線のコイルのコイル中心軸方向の線間距離をα(mm)、前記第1のガラス粉末の平均粒径(コールターカウンター法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)をβ(mm)としたとき、下記式(A1)を満たす、請求項2又は3記載の測温抵抗体素子。
    Figure 0007370604000006
  5. 抵抗線が白金抵抗線であり、
    前記第1のガラス粉末が軟化温度500℃以上のガラス粉末であり、
    且つ、前記第2のガラス粉末が軟化温度500℃未満のガラス粉末であり、
    前記連結構造が、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、500℃未満の加熱による軟化又は溶融で変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された構造である、請求項1~の何れか1項に記載の測温抵抗体素子。
  6. セラミックス碍子の碍子孔に螺旋状の抵抗線のコイルが挿着されるとともに、前記碍子孔と前記抵抗線との隙間に絶縁粉末が充填されることにより、前記抵抗線が前記碍子孔の内部に固定される測温抵抗体素子の製造方法であって、
    前記絶縁粉末を、第1のガラス粉末と、該第1のガラス粉末よりも軟化点温度が低い第2のガラス粉末の2種の非晶質ガラス粉末を含む混合ガラス粉末とし、
    前記絶縁粉末を前記充填した状態で、第1のガラス粉末の軟化点温度よりも低く、且つ第2のガラス粉末の軟化点温度以上の温度で加熱処理することにより、前記第2のガラス粉末を軟化又は溶融させ、
    その後、冷却固化させることにより、前記第1のガラス粉末同士、前記第1のガラス粉末と抵抗線、又は前記第1のガラス粉末と碍子孔内面とが、軟化又は溶融して変形・固化した第2のガラス粉末を介して連結された連結構造を形成してなり、
    前記混合ガラス粉末が、前記第1のガラス粉末を85重量パーセント以上含んでおり、且つ前記第1のガラス粉末が、第2のガラス粉末に比べて、前記抵抗線の熱膨張係数に近い熱膨張係数をもつ、
    測温抵抗体素子の製造方法。
  7. 前記抵抗線が白金抵抗線であり、
    前記第1のガラス粉末が軟化温度500℃以上のガラス粉末であり、
    前記第2のガラス粉末が軟化温度500℃未満のガラス粉末であり、
    前記加熱処理が、500℃未満で且つ前記第2のガラス粉末の軟化点温度以上の温度による加熱処理である、請求項記載の測温抵抗体素子の製造方法。
  8. 前記抵抗線とリード線とを、ロウ付け接続した、請求項又は記載の測温抵抗体素子の製造方法。
  9. 前記ロウ付け接続が、リード線の抵抗線側の接続端部に設けた置きロウと、抵抗線の接続端部とを接触または近接させた状態で、前記リード線の置きロウから離れた位置を加熱し、該加熱による伝熱により置きロウを溶解させ、抵抗線と接続させる処理である、請求項記載の測温抵抗体素子の製造方法。
  10. 前記リード線の加熱が、パルスレーザ溶接機による所定回数のパルス加熱による処理である、請求項記載の測温抵抗体素子の製造方法。
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