JP7370452B2 - 結晶性ポリアミド樹脂、樹脂組成物および成形体 - Google Patents

結晶性ポリアミド樹脂、樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Description

本発明は、結晶性ポリアミド樹脂、樹脂組成物および成形体に関する。
従来から、ポリアミド樹脂は、成形加工性、機械物性および耐薬品性に優れていることから、衣料用、産業資材用、自動車、電気・電子用および工業用などの種々の部品の材料として広く用いられている。
そのようなポリアミド樹脂の使用環境は、近年、熱的および力学的に厳しくなる傾向がある。例えば自動車用部品などに使用されるポリアミド樹脂には、高い機械的強度、特に高温使用下での高い剛性を有することが求められている。すなわち、優れた成形加工性を有しつつ、長期にわたって熱負荷がかかっても、優れた機械的強度を有することが求められる。
そのような要求に対し、機械的強度を向上させたポリアミド樹脂として、ジカルボン酸混合物50モル%(テレフタル酸60~88質量%およびイソフタル酸12~40質量%を含む)とヘキサメチレンジアミン50モル%とを加熱押出して得られる半芳香族ポリアミドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、テレフタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とネオペンチルジアミンとを重縮合させて得られるポリアミド樹脂を含む樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照)。
国際公開第2008/155271号 米国特許第5081223号明細書
特許文献1のように、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合ユニットの含有量を多くすることで、ポリアミド樹脂の結晶性は高くなる。そのため、ガラス転移温度は高くなり、耐熱性も高めやすい。しかしながら、ガラス転移温度(Tg)が高いほど、通常、融点(Tm)も高くなるため、成形加工性が低下しやすいという問題があった。
これに対し、芳香族ジカルボン酸とネオペンチルジアミンとを重縮合して得られる特許文献2のポリアミド樹脂は、融点(Tm)が適度に低く、良好な成形加工性を有しうる。しかしながら、特許文献2のポリアミド樹脂は、ネオペンチルジアミンに由来する成分単位の含有割合が多いため、結晶性がなく(非晶質であり)、金型からの離型性が低下しやすく、機械的強度も低いという問題があった。このように、良好な成形加工性、耐熱性および離型性を有するポリアミド樹脂が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、良好な成形加工性、耐熱性および離型性を有する結晶性ポリアミド樹脂、樹脂組成物および成形体を提供することを目的とする。
本発明の結晶性ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸に由来する成分単位(a)と、ジアミンに由来する成分単位(b)とを含む結晶性ポリアミド樹脂であって、前記ジアミンに由来する成分単位(b)は、-CRR’-(RおよびR’は、置換基を表す)で表される基を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)と、下記式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)とを含み、前記結晶性ポリアミド樹脂の、示差走査熱量計により測定される融解熱量(ΔH)は、10mJ/mg以上である。
Figure 0007370452000001
(上記式(1)中、
およびRは、それぞれ炭素原子数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロヘキシル基、炭素原子数6~20の置換もしくは無置換のアリール基、またはハロゲン原子を表し、前記アルキル基、前記シクロヘキシル基、および前記アリール基が有しうる置換基は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基からなる群より選ばれる基であり、mおよびnは、それぞれ1~5の整数である)
本発明の樹脂組成物は、本発明の結晶性ポリアミド樹脂を含む。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を含む。
本発明によれば、良好な成形加工性、耐熱性および離型性を有する結晶性ポリアミド樹脂、樹脂組成物および成形体を提供することができる。
本発明者らは、ジェミナル2置換炭素-CRR’-(RおよびR’は、水素原子以外の基、すなわち置換基)で表される特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンと、特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンとを組み合わせ、かつ融解熱量(ΔH)が一定以上に調整されたポリアミド樹脂は、高いガラス転移温度(Tg)と低い融点(Tm)と両立しつつ、適度な結晶性を有することを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
すなわち、特定の分岐構造を有するアルキレンジアミン(式(1)で表されるジアミン)は、特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンよりも、その分岐構造に起因して、分子の配向性が低い。それにより、ポリアミド樹脂の結晶性が適度に低くなるため、融点(Tm)も適度に低くなる。一方、特定の分岐構造の回転障壁(エネルギー)は大きく、運動性が低い。そのため、特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンは、特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンよりも、樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くしうる。つまり、特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンは、樹脂のガラス転移温度(Tg)を高めつつ、融点(Tm)は適度に低くしうる。
このような特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンを、融解熱量(ΔH)が一定以上となるように、特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンをさらに組み合わせることで、高いTgと低いTmとを両立しつつ、さらに結晶性を損なわないようにすることができる。それにより、高い耐熱性と良好な成形加工性とを有しつつ、良好な離型性を有する結晶性ポリアミド樹脂を得ることができる。
樹脂の融解熱量(ΔH)は、例えば、特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンの含有量や特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンと特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンとの含有比、特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンの炭素原子数などによって調整することができる。以下、本発明の構成について説明する。
1.結晶性ポリアミド樹脂
結晶性ポリアミド樹脂は、ジカルボン酸に由来する成分単位(a)と、ジアミンに由来する成分単位(b)とを含む。
[ジカルボン酸に由来する成分単位(a)]
ジカルボン酸に由来する成分単位(a)は、特に制限されないが、結晶性を高めやすくする観点などから、芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸に由来する成分単位を含むことが好ましい。
芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびそれらのエステルが含まれる。脂環式ジカルボン酸の例には、シクロヘキサンジカルボン酸およびそのエステルが含まれる。中でも、結晶性が高く、耐熱性が高いポリアミド樹脂を得る観点などから、ジカルボン酸に由来する成分単位(a)は、芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を含むことが好ましく、テレフタル酸に由来する成分単位を含むことがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸に由来する成分単位(好ましくは芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位、より好ましくはテレフタル酸に由来する成分単位)の含有量は、特に限定されないが、ジカルボン酸に由来する成分単位(a)の総モル数に対して50~100モル%であることが好ましい。上記成分単位の含有量が50モル%以上であると、結晶性ポリアミド樹脂の結晶性を高めやすい。上記成分単位の含有量は、同様の観点から、70~100モル%であることがより好ましい。
ジカルボン酸に由来する成分単位(a)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他のジカルボン酸に由来する成分単位をさらに含んでもよい。ただし、樹脂の結晶性を損なわないようにする観点では、イソフタル酸に由来する成分単位やアジピン酸以外の炭素原子数4~18の脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位の含有量は少ないこと、具体的にはジカルボン酸に由来する成分単位(a)の総モル数に対して20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
[ジアミンに由来する成分単位(b)]
ジアミンに由来する成分単位(b)は、特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)と、特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンに由来する成分単位(b2)とを含む。
特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)について:
特定の分岐構造を有しないアルキレンジアミンは、特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンであることが好ましい。
特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンの炭素原子数は、樹脂のTgを低下させにくくする観点では、4~10であることがより好ましい。
特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンは、直鎖状のアルキレンジアミンを含んでもよいし、分岐状のアルキレンジアミン(ただし、ジェミナル2置換炭素を有しない)を含んでもよい。樹脂の結晶性を高める観点では、特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンは、直鎖状のアルキレンジアミンを含むことが好ましい。すなわち、特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンに由来する成分単位は、直鎖状のアルキレンジアミンに由来する成分単位を含むことが好ましい。
特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンの例には、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミンなどの直鎖状のアルキレンジアミンや;2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミンなどの(ジェミナル2置換炭素を有しない)分岐状のアルキレンジアミンが含まれる。これらの中でも、1,6-ジアミノヘキサンおよび1,10-デカンジアミンが好ましい。これらのアルキレンジアミンは、1種であってもよいし、2種以上あってもよい。
特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンに由来する成分単位(b2)について:
特定の分岐構造を有するアルキレンジアミンは、下記式(1)で表されるジアミンであることが好ましい。
Figure 0007370452000002
式(1)中、RおよびRは、それぞれ炭素原子数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロヘキシル基、炭素原子数6~20の置換もしくは無置換のアリール基、またはハロゲン原子を表す。RおよびRは、互いに結合して環を形成してもよい。
炭素原子数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基は、炭素原子数1~10の置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~5の置換もしくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1~3の置換もしくは無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。そのようなアルキル基の例には、メチル基、エチル基などが含まれ、好ましくはメチル基である。
炭素原子数6~20の置換もしくは無置換のアリール基は、炭素原子数6~10の置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。そのようなアリール基の例には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、トリル基が含まれる。
これらの基が有しうる置換基は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはアリールオキシ基でありうる。
ハロゲン原子の例には、塩素原子、臭素原子などが含まれる。
中でも、RおよびRは、適度なTgを維持しつつ、Tmを適度に低くする観点では、炭素原子数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~5の置換もしくは無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1~3の置換もしくは無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
mおよびnは、それぞれ1~5の整数である。Tgの低下を少なくする観点では、mおよびnは、それぞれ小さいほうが好ましく、1~3であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。mおよびnは、同一であってもよいし、異なってもよい。結晶性を高めるという観点では、mおよびnは、同一であることが好ましい。
式(1)で表されるジアミンの例には、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(DMPDA)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジアミン、2,2-ジフェニル-1,3-プロパンジアミン、2,2-ジフルオロ-1,3-プロパンジアミン、2,2-ジクロロ-1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、3,3-ジメチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2-ジメチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、3,3-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、4,4-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,9-ノナンジアミン、5,5-ジメチル-1,9-ノナンジアミン、1,1-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが含まれる。
式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有量は、得られる樹脂の融解熱量(ΔH)が後述する範囲を満たすものであればよく、特に制限されない。すなわち、式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有量は、組み合わされる炭素原子数4~18のアルキレンジアミンの炭素原子数やその含有量にもよるが、ジアミンに由来する成分単位(b)の総モル数に対して2~50モル%であることが好ましい。当該成分単位(b2)が2モル%以上であると、樹脂のガラス転移温度(Tg)を高めつつ、融点(Tm)を適度に下げることができるため、耐熱性を高めつつ、成形加工性を高めやすい。当該成分単位(b2)が50モル%以下であると、結晶性が必要以上に損なわれにくい(非晶質になりにくい)ため、樹脂の離型性や機械的強度が損なわれにくい。式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有量は、ジアミンに由来する成分単位(b)の総モル数に対して10モル%以上50モル%未満であることがより好ましく、15~40モル%であることがさらに好ましい。
特定の分岐構造を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)と式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の合計に対する、式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有比(成分単位(b2)/[成分単位(b1)+成分単位(b2)])は、特に制限されないが、例えば0.05~0.6(モル比)であることが好ましく、0.1~0.4(モル比)であることがより好ましい。
ジアミンに由来する成分単位(b)は、本発明の効果を損なわない範囲で、他のジアミンに由来する成分単位(b3)をさらに含んでもよい。他のジアミンの例には、芳香族ジアミンや脂環式ジアミンが含まれる。他のジアミンに由来する成分単位(b3)の含有量は、ジアミンに由来する成分単位(b)の総モル数に対して50モル%以下でありうる。
結晶性ポリアミド樹脂の具体例には、ジカルボン酸に由来する成分単位(a)が、テレフタル酸に由来する成分単位であり、ジアミンに由来する成分単位(b)が、1,6-ジアミノヘキサン、1,10-ジアミノデカン、1,4-ジアミノブタンまたは1,9-ジアミノノナンに由来する直鎖状のアルキレンジアミンと、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(DMPDA)に由来する成分単位とを含む樹脂が含まれ、好ましくはジカルボン酸に由来する成分単位(a)が、テレフタル酸に由来する成分単位であり、ジアミンに由来する成分単位(b)が、1,6-ジアミノヘキサンまたは1,10-ジアミノデカンに由来する成分単位である樹脂である。
[物性]
結晶性ポリアミド樹脂の、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度10℃/minで測定される融解熱量(ΔH)は、10mJ/mg以上であることが好ましい。結晶性ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)が10mJ/mg以上であると、結晶性を有するため、十分な離型性や機械的強度が得られやすい。結晶性ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)は、同様の観点から、15mJ/mgであることがより好ましく、20mJ/mg以上であることがさらに好ましい。なお、結晶性ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)の上限値は、特に制限されないが、成形加工性を損なわないようにする観点では、90mJ/mgでありうる。
結晶性ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、270~360℃であることが好ましい。結晶性ポリアミド樹脂の融点(Tm)が270℃以上であると、機械的強度、耐熱性などが損なわれにくく、360℃以下であると、成形温度を過剰に高くする必要がないため、成形加工性が得られやすい。結晶性ポリアミド樹脂の融点(Tm)は、275~330℃であることがより好ましい。
結晶性ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、140℃以上であることが好ましく、155℃以上であることがより好ましい。結晶性ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であると、耐熱性が損なわれにくい。なお、結晶性ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)の上限値は、特に制限されないが、成形加工性を損なわないようにする観点では、200℃でありうる。
結晶性ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)、融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル社製)を用いて測定することができる。
具体的には、約5mgの結晶性ポリアミド樹脂を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで350℃まで加熱する。樹脂を完全融解させるために、350℃で3分間保持し、次いで、10℃/minで30℃まで冷却する。30℃で5分間置いた後、10℃/minで350℃まで2度目の加熱を行う。この2度目の加熱における吸熱ピークの温度(℃)を結晶性ポリアミド樹脂の融点(Tm)とし、ガラス転移に相当する変位点をガラス転移温度(Tg)とする。融解熱量(ΔH)は、JIS K7122に準じて、1度目の昇温過程での融解時の吸熱ピークの面積から求める。
結晶性ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)、融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有量や炭素原子数4~18のアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)と式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有比、炭素原子数4~18のアルキレンジアミンの炭素原子数によって調整することができる。
例えば、結晶性ポリアミド樹脂の融解熱量(ΔH)を高くする場合、成分単位(b2)の含有量や含有比(成分単位(b2)/[成分単位(b1)+成分単位(b2)])は低くすることが好ましい。一方、結晶性ポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)を高くし、融点(Tm)を低くする場合、例えば成分単位(b2)の含有量や含有比(成分単位(b2)/[成分単位(b1)+成分単位(b2)])は高くすることが好ましい。
結晶性ポリアミド樹脂の、温度25℃、96.5%硫酸中で測定される極限粘度[η]は、0.6~1.5dl/gであることが好ましい。結晶性ポリアミド樹脂の極限粘度[η]が0.6dl/g以上であると、成形体の機械的強度(靱性など)を十分に高めやすく、1.5dl/g以下であると、樹脂組成物の成形時の流動性が損なわれにくい。結晶性ポリアミド樹脂の極限粘度[η]は、同様の観点から、0.8~1.2dl/gであることがより好ましい。極限粘度[η]は、結晶性ポリアミド樹脂の末端封止量などによって調整することができる。
結晶性ポリアミド樹脂の極限粘度は、JIS K6810-1977に準拠して測定することができる。
具体的には、結晶性ポリアミド樹脂0.5gを96.5%硫酸溶液50mlに溶解して試料溶液とする。この試料溶液の流下秒数を、ウベローデ粘度計を使用して、25±0.05℃の条件下で測定し、得られた値を下記式に当てはめて算出することができる。
[η]=ηSP/[C(1+0.205ηSP)]
上記式において、各代数または変数は、以下を表す。
[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
ηSPは、以下の式によって求められる。
ηSP=(t-t0)/t0
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
結晶性ポリアミド樹脂は、コンパウンドや成形時の熱安定性の観点から、少なくとも一部の分子の末端基が末端封止剤で封止されていてもよい。末端封止剤は、例えば分子末端がカルボキシル基の場合は、モノアミンであることが好ましく、分子末端がアミノ基である場合は、モノカルボン酸であることが好ましい。
モノアミンの例には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン;アニリン、トルイジンなどの芳香族モノアミンが含まれる。モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノ-ル酸などの炭素原子数2~30の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;およびシクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸が含まれる。芳香族モノカルボン酸および脂環式モノカルボン酸は、環状構造部分に置換基を有していてもよい。
[製造方法]
結晶性ポリアミド樹脂は、例えば前述のジカルボン酸と、前述のジアミンとを均一溶液中で重縮合させて製造することができる。具体的には、ジカルボン酸とジアミンとを、国際公開第03/085029号に記載されているように触媒の存在下で加熱することにより低次縮合物を得て、次いでこの低次縮合物の溶融物にせん断応力を付与して重縮合させることで製造することができる。
結晶性ポリアミド樹脂の極限粘度を調整する観点などから、反応系に前述の末端封止剤を添加することが好ましい。末端封止剤の添加量により、結晶性ポリアミド樹脂の極限粘度[η](または分子量)を調整することができる。
末端封止剤は、ジカルボン酸とジアミンとの反応系に添加される。添加量はジカルボン酸の合計量1モルに対して、0.07モル以下であることが好ましく、0.05モル以下であることがより好ましい。
2.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明の結晶性ポリアミド樹脂を含む。
結晶性ポリアミド樹脂の含有量は、樹脂組成物の用途にもよるが、例えば樹脂組成物100質量部に対して、例えば35~95質量部としうる。結晶性ポリアミド樹脂の含有量が一定以上であると、当該樹脂に由来する特性が得られやすい。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて結晶性ポリアミド樹脂以外の他の成分をさらに含んでもよい。
他の成分の例には、繊維状充填材、核剤、エラストマー(ゴム)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系、アンチモン系および無機系など)、流動性向上剤、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤(フェノール類、アミン類、イオウ類およびリン類など)、耐熱安定剤(ラクトン化合物、ビタミンE類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅およびヨウ素化合物など)、光安定剤(ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾフェノン類、ベンゾエート類、ヒンダードアミン類およびオギザニリド類など)、他の重合体(ポリオレフィン類、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体などのオレフィン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体などのオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、フッ素樹脂、シリコーン樹脂およびLCP)などが含まれる。中でも、本発明の樹脂組成物は、成形体の機械的強度を高める観点では、繊維状充填材をさらに含みうる。
繊維状充填材は、樹脂組成物に高い機械的強度を付与しうる。繊維状充填材の例には、ガラス繊維、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、ミルドファイバーおよびカットファイバーなどが含まれる。これらのうち、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、成形体の機械的強度を高めやすいことなどから、ワラストナイト、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカーが好ましく、ワラストナイトまたはガラス繊維がより好ましい。
繊維状充填材の平均繊維長は、樹脂組成物の成形性、および得られる成形体の機械的強度や耐熱性の観点から、例えば1μm~20mm、好ましくは5μm~10mmとしうる。また、繊維状充填材のアスペクト比は、例えば5~2000、好ましくは30~600としうる。
繊維状充填材の平均繊維長と平均繊維径は、以下の方法により測定することができる。
1)樹脂組成物を、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム溶液(0.1/0.9体積%)に溶解させた後、濾過して得られる濾過物を採取する。
2)前記1)で得られた濾過物を水に分散させ、光学顕微鏡(倍率:50倍)で任意の300本それぞれの繊維長(Li)と繊維径(di)を計測する。繊維長がLiである繊維の本数をqiとし、次式に基づいて重量平均長さ(Lw)を算出し、これを繊維状充填材の平均繊維長とする。
重量平均長さ(Lw)=(Σqi×Li)/(Σqi×Li)
同様に、繊維径がDiである繊維の本数をriとし、次式に基づいて重量平均径(Dw)を算出し、これを繊維状充填材の平均繊維径とする。
重量平均径(Dw)=(Σri×Di)/(Σri×Di)
繊維状充填材の含有量は、特に制限されないが、結晶性ポリアミド樹脂と繊維状充填材との合計100質量部に対して、例えば15~70質量部としうる。
本発明の樹脂組成物は、前述の結晶性ポリアミド樹脂、および必要に応じて他の成分を、公知の樹脂混練方法、例えばヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、またはタンブラーブレンダーで混合する方法、あるいは混合後、さらに一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、またはバンバリーミキサーで溶融混練した後、造粒または粉砕する方法で製造することができる。
3.樹脂組成物の用途
本発明の樹脂組成物は、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法などの公知の成形法で成形することにより、各種成形体として用いられる。
本発明の樹脂組成物の成形体は、各種用途に用いることができる。そのような用途の例には、ラジエータグリル、リアスポイラー、ホイールカバー、ホイールキャップ、カウルベント・グリル、エアアウトレット・ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、サンルーフ、サンルーフ・レール、フェンダーおよびバックドアなどの自動車用外装部品;シリンダーヘッド・カバー、エンジンマウント、エアインテーク・マニホールド、スロットルボディ、エアインテーク・パイプ、ラジエータタンク、ラジエータサポート、ウォーターポンプ、ウォーターポンプ・インレット、ウォーターポンプ・アウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルター・ハウジング、オイルフィラー・キャップ、オイルレベル・ゲージ、オイルポンプ、タイミング・ベルト、タイミング・ベルトカバーおよびエンジン・カバーなどの自動車用エンジンルーム内部品;フューエルキャップ、フューエルフィラー・チューブ、自動車用燃料タンク、フューエルセンダー・モジュール、フューエルカットオフ・バルブ、クイックコネクタ、キャニスター、フューエルデリバリー・パイプおよびフューエルフィラーネックなどの自動車用燃料系部品;シフトレバー・ハウジングおよびプロペラシャフトなどの自動車用駆動系部品;スタビライザーバー・リンケージロッド、エンジンマウントブラケットなどの自動車用シャシー部品;ウインドーレギュレータ、ドアロック、ドアハンドル、アウトサイド・ドアミラー・ステー、ワイパーおよびその部品、アクセルペダル、ペダル・モジュール、継手、樹脂ネジ、ナット、ブッシュ、シールリング、軸受、ベアリングリテーナー、ギアおよびアクチュエーターなどの自動車用機能部品;ワイヤーハーネス・コネクター、リレーブロック、センサーハウジング、ヒューズ部品、エンキャプシュレーション、イグニッションコイルおよびディストリビューター・キャップなどの自動車用エレクトロニクス部品;汎用機器(刈り払い機、芝刈り機およびチェーンソー)用燃料タンクなどの汎用機器用燃料系部品;ならびにコネクタおよびLEDリフレクタなどの電気電子部品;建材部品;産業用機器部品;小型筐体(パソコンや携帯電話などの筐体を含む)、外装成形品などの各種筐体または外装部品が含まれる。
中でも、本発明の樹脂組成物は、高い機械的強度(剛性)を有することなどから、自動車用燃料タンク、クイックコネクタ、ベアリングリテーナー、汎用機器用燃料タンク、フューエルキャップ、フューエルフィラーネック、フューエルセンダー・モジュール、ホイールキャップ、フェンダーまたはバックドアなどの自動車用部品に特に好適である。
以下において、実施例を参照して本発明を説明する。実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
[実施例1]
テレフタロイルクロリド3.05g(15ミリモル)を、テトラヒドロフラン100mLに溶かした溶液に対して、磁気回転子で攪拌しながら2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(DMPDA)0.613g(6.0ミリモル)、1,6-ジアミノヘキサン(HMDA)1.046g(9.0ミリモル)およびトリエチルアミン3.04g(30ミリモル)のテトラヒドロフラン120mL溶液を、-15℃に保ちながら滴下した。滴下後、さらに15分間攪拌し、析出した固体をろ過した。その後、ソックスレー抽出装置を用いて、重曹水(炭酸水素ナトリウム3.8gに対し、蒸留水250mL)で一晩還流後、真空乾燥機で120℃にて6時間乾燥し、ポリアミド樹脂を得た。
[実施例2~5、比較例1~4]
DMPDA/HMDAのモル比を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
[実施例6および7、比較例5]
1,6-ジアミノヘキサン(HMDA)を、1,10-デカンジアミン(DMDA)に変更し、かつDMPDA/HMDAのモル比を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
実施例1~7および比較例1~5で得られたポリアミド樹脂の極限粘度[η]、熱特性(融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、融解熱量(ΔH)および1%熱重量減少温度(Td1%)、成形性および離型性を、以下の方法で評価した。
[極限粘度[η]]
JIS K6810-1977に準拠して、ポリアミド樹脂0.5gを96.5%硫酸溶液50mlに溶解させて、試料溶液とした。得られた試料溶液の流下秒数を、ウベローデ粘度計を使用して25±0.05℃の条件下で測定した。測定結果を下記式に当てはめて、ポリアミド樹脂の極限粘度[η]を算出した。
[η]=ηSP/[C(1+0.205ηSP)]
ηSP=(t-t0)/t0[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
[融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、融解熱量(ΔH)]
ポリアミド樹脂の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)および融解熱量(ΔH)は、示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル社製)を用いて測定した。具体的には、約5mgのポリアミド樹脂を測定用アルミニウムパン中に密封し、示差走査熱量計にセットした。そして、室温から10℃/minで350℃まで加熱した。当該樹脂を完全融解させるために、350℃で3分間保持し、次いで、10℃/minで30℃まで冷却した。30℃で5分間置いた後、10℃/minで350℃まで2度目の加熱を行った。この2度目の加熱における吸熱ピークの温度(℃)をポリアミド樹脂の融点(Tm)とし、ガラス転移に相当する変位点をガラス転移温度(Tg)とした。融解熱量ΔHは、JIS K7122に準じて、1度目の昇温過程での融解時の吸熱ピークの面積から求めた。
[1%熱重量減少温度(Td1%)]
1%熱重量減少温度は、示差熱熱重量同時測定装置(TG-DTA7300、セイコーインスツル社製)を用いて、10mgの試料をアルミパンに入れ、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱して、初期重量(10mg)から重量が1%減少したときの温度として求めた。
[成形性]
成形加工性の指標として、上記方法で求めた1%熱重量減少温度(Td1%)と融点(Tm)の差(Td1%-Tm)を求めた。
(Td1%-Tm)の数値が大きいほど、融点と熱分解温度との差が大きいため、成形加工時の条件設定幅が広く、成形加工性が良好であることを示す。
(Td1%-Tm)が20℃以上であれば良好であり、30℃以上であれば特に良好と判断した。
[離型性]
下記の射出成形機、成型条件で、厚み0.7mmの角板(30mm×30mm)を成形した。そして、成形品の突出時に、成形品が金型に付着、変形しなくなる冷却時間を測定した。
射出成形機:住友重機械工業(株)社製 SE50-DU
成型条件:シリンダー温度(Tm+10)℃(Tmが確認されなかったものは、(Tg+100)℃)
金型温度:120℃
そして、離型性を以下の基準で評価した。
○:冷却時間が20秒未満
△:冷却時間が20秒以上30秒未満
×:冷却時間が30秒以上
○以上であれば、良好と判断した。
実施例1~7および比較例1~5の評価結果を表1に示す。
Figure 0007370452000003
表1に示されるように、HMDA由来の成分単位(b1)とDMPDA由来の成分単位(b2)とを含み、かつ融解熱量(ΔH)が10mJ/mg以上である実施例1~7のポリアミド樹脂は、Tmが適度に低いため、良好な成形加工性を有しつつ、適度に高いTg(耐熱性)と離型性を維持できることがわかる。
特に、ジアミン組成を調整すること、具体的には、DMPDA由来の成分単位(b2)の含有量(またはモル比(b2/b1+b2))を50モル%未満とすることで、離型性がさらに向上することがわかる。
これに対し、ジアミンが、DMPDAのみからなる比較例1や、DMPDAの量が多すぎて、ΔHが10mJ/mg未満である比較例1、2および5のポリアミド樹脂は、非晶質となるため、融点Tmが低くなり、一部は測定不可(N.D.)となることがわかる。すなわち、比較例1~3および5のポリアミド樹脂は、いずれも非晶質であることから、離型性が低いことが示唆される。一方、ジアミンがHMDAのみからなる比較例4のポリアミド樹脂は、融点Tmが高すぎるため、成形加工性が低く、以後の評価は行わなかった。
本出願は、2020年3月17日出願の特願2020-46647に基づく優先権を主張する。当該出願明細書に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明によれば、良好な成形加工性、耐熱性および離型性を有する結晶性ポリアミド樹脂、樹脂組成物および成形体を提供することができる。

Claims (8)

  1. ジカルボン酸に由来する成分単位(a)と、ジアミンに由来する成分単位(b)とを含む結晶性ポリアミド樹脂であって、
    前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a)の総モル数に対して、テレフタル酸に由来する成分単位が70モル%以上であり、
    前記ジアミンに由来する成分単位(b)は、
    -CRR’-(RおよびR’は、それぞれ置換基を表す)で表される基を有しない炭素原子数4~18のアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)と、
    下記式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)と
    を含み、
    前記式(1)で表されるジアミンに由来する成分単位(b2)の含有量は、前記ジアミンに由来する成分単位(b)の総モル数に対して2~50モル%であり、
    前記結晶性ポリアミド樹脂の、示差走査熱量計により測定される融解熱量(ΔH)は、10mJ/mg以上である、
    結晶性ポリアミド樹脂。
    Figure 0007370452000004
    (上記式(1)中、
    R1およびR2は、それぞれ炭素原子数1~20の置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロヘキシル基、炭素原子数6~20の置換もしくは無置換のアリール基、またはハロゲン原子を表し、
    前記アルキル基、前記シクロヘキシル基、および前記アリール基が有しうる置換基は、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基からなる群より選ばれる基であり、
    mおよびnは、それぞれ1~5の整数である)
  2. 前記炭素原子数4~18のアルキレンジアミンに由来する成分単位(b1)は、直鎖状のアルキレンジアミンに由来する成分単位を含む、
    請求項1に記載の結晶性ポリアミド樹脂。
  3. 前記直鎖状のアルキレンジアミンは、1,6-ジアミノヘキサンまたは1,10-デカンジアミンである、
    請求項に記載の結晶性ポリアミド樹脂。
  4. 前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a)は、ナフタレンジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸に由来する成分単位を含む、
    請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性ポリアミド樹脂。
  5. 前記脂環式ジカルボン酸は、シクロヘキサンジカルボン酸である、
    請求項に記載の結晶性ポリアミド樹脂。
  6. 前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a)において、
    イソフタル酸に由来する成分単位の含有量は、前記ジカルボン酸に由来する成分単位(a)の総モル数に対して20モル%以下である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性ポリアミド樹脂。
  7. 請求項1~のいずれか一項に記載の結晶性ポリアミド樹脂を含む、
    樹脂組成物。
  8. 請求項に記載の樹脂組成物を含む、
    成形体。
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