JP7369931B2 - 風邪症状緩和用飲食品組成物 - Google Patents
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一方、比較的安価で、しかも安全且つ有効な、風邪症状の緩和に関する風邪症状緩和用の成分については、特許文献3や特許文献4に記載の共役リノール酸等限られている。しかしながら、共役リノール酸は、合成された化合物であり、安全性の点からは十分とは言い難い。
[1]低分子プロアントシアニジン、シナモン、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステル、シトラール、およびメントールを有効成分として含有する風邪症状緩和用飲食品組成物であって、
前記低分子プロアントシアニジンがオリゴノール(登録商標)であり、
前記風邪症状がのどにおける風邪の症状であり、
前記飲食品組成物の形態が菓子であり、かつ前記菓子が飴又はグミであり、
1回の投与量当たり、低分子プロアントシアニジンを0.5mg以上、シナモンを0.28mg以上、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステルを0.008mg以上、シトラールを0.14mg以上、およびメントールを0.2mg以上含有し、低分子プロアントシアニジン、シナモン、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステル、シトラール、およびメントールの総重量として、風邪症状緩和用飲食品組成物の重量に対して、99%以下であることを特徴とする、風邪症状緩和用飲食品組成物、
[2]シナモンが、シンナムアルデヒドを含む組成物である、前記[1]に記載の風邪症状緩和用飲食品組成物、
[3]中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステルがデカン酸またはデカン酸エチルである、前記[1]または[2]に記載の風邪症状緩和用飲食品組成物
に関する。
また、本発明の風邪症状緩和用食品組成物は、例えば、キャンディ等の形態とすることで、日常的かつ継続的に摂取し易く、かつこのように摂取を継続することで風邪症状を緩和するだけでなく、風邪の症状の発症回数も緩和することが期待できる。
本発明において「風邪症状」としては、例えば、声枯れ、のどの違和感または不快感、のどの荒れ、のどの痛み、痰等ののど風邪に特有の症状が挙げられる。
また、本発明において「風邪症状緩和」とは、以下に限定されるものではないが、例えば、前記風邪症状を軽減すること、さらには前記風邪症状が生じる回数を軽減すること等を意味する。
本発明の風邪症状緩和用飲食品組成物は、前記低分子プロアントシアニジンを含有することで、抗酸化作用を発揮して、他の4種の特定成分と併せて使用することで、のどにおける風邪症状を緩和させることができると考えられる。
低分子プロアントシアニジンとしては、株式会社アミノアップ化学(北海道札幌市)から市販されている、果実であるライチに含まれるポリフェノールの一種である高分子プロアントシアニジンを化学的に低分子化したものであるオリゴノール(登録商標)、ピクノジェノール(登録商標、ホーファー・リサーチ・リミテッド)、フラバンジェノール(登録商標、株式会社東洋新薬)等が挙げられる。
これらの低分子プロアントシアニジンは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の風邪症状緩和用飲食品組成物は、前記シナモンを含有することで、のどで炎症等が生じている部位において血管の修復、血管拡張を行って、他の4種の特定成分と併せて使用することで、炎症等の風邪症状を緩和させることができると考えられる。
前記シナモンとして、例えば、シナモンパウダー、桂皮油、桂皮粉末、シナモン抽出物を用いることもできるし、あるいは、化学合成または天然物から精製したシンナムアルデヒド、あるいは、シンナムアルデヒドを含む組成物(例えば、シンナムアルデヒド含有香料やシンナムアルデヒド含有オイル)を用いることもできる。
これらのシナモンは、いずれか1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記中鎖脂肪酸としては、例えば、ペンタン酸(別称:吉草酸、炭素数5)、ヘキサン酸(カプロン酸、炭素数6)、ヘプタン酸(エナント酸、炭素数7)、オクタン酸(カプリル酸、炭素数8)、ノナン酸(ペラルゴン酸、炭素数9)、デカン酸(カプリン酸、炭素数10)、ドデカン酸(ラウリン酸、炭素数11)、テトラデカン酸(ミリスチン酸、炭素数12)を挙げることができる。
本発明の風邪症状緩和用飲食品組成物は、エッセンシャルオイルの一種であるシトラールを含有することで、抗ウイルス作用や抗菌作用を発揮して、風邪の症状を悪化させる可能性のある微生物からの攻撃を抑止し、他の4種の特定成分と併せて使用することで、のどにおける風邪症状風邪症状を緩和させることができると考えられる。
前記シトラールとしては、天然の植物由来の精油(例えば、シトラール含有香料)を用いることもできるし、あるいは、化学合成または天然物から精製したシトラールを用いることもできる。
これらのシトラールは、いずれか1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の風邪症状緩和用飲食品組成物は、メントールを含有することで、抗炎症作用を発揮して、他の4種の特定成分と併せて使用することで、のどにおける風邪症状風邪症状を緩和させることができると考えられる。
メントールにはいくつかの異性体や誘導体があり天然物にもこれらが含まれている。本発明の実施例で用いたL-メントール以外にこれら異性体や誘導体も化学合成または天然物からの抽出(例えば、メントール含有香料)により用いることができる。
これらのメントールは、いずれか1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前記増粘剤としては、資化性のない増粘剤である限り、特に限定されるものではなく、例えば、メチルセルロース、プロピレングリコール、アラビノキシラン、カラギナン、ペクチン、キサンタンガム等を挙げることができる。資化性のない増粘剤を添加すると、増粘剤以外の有効成分が、ウイルスや細菌、真菌と反応する時間を延ばすことができ、病原菌の成育をより効果的に阻害することができる。
各成分の混合の順番については特に限定はない。
また、混合手段としては、所望の飲食品に応じた手段を用いればよく、例えば、ミキサー等の公知の混合装置が挙げられるが、特に限定はない。
前記水系溶媒としては、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの水系溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
以下のようにして、アロマ含有キャンディ(試験キャンディ)を調製した。すなわち、還元麦芽糖水飴(組成物重量に対して67.2%)および還元水飴(組成物重量に対して31.3%)に、表1の「アロマ含有キャンディ」の欄に示す含有量のオリゴノールとメチルセルロース、更に甘味料および乳化剤(組成物重量に対して各々0.1%)を添加することにより、粘性液状組成物を調製した。この粘性液状組成物を水分値1.5%になるように炊き上げ、更に表1の「アロマ含有キャンディ」の欄に示す含有量のシナモンパウダー、デカン酸、シトラール、L-メントールを混練することでキャンディ生地を得た。得られたキャンディ生地を球形にスタンプ成型し、表面の滑らかなハードキャンディ(個重2.7g)を得た。当該ハードキャンディにおける1粒あたりのオリゴノール、シナモンパウダー、デカン酸、シトラール、L-メントール、メチルセルロースの含有量を表2の「アロマ含有キャンディ」の欄に示す。当該ハードキャンディを、アロマ含有キャンディ(試験キャンディ)として、以下のヒト試験に供試した。
アロマ非含有キャンディ(プラセボキャンディ)の調製は、オリゴノール、シナモンパウダー、デカン酸、シトラール、L-メントールを加えないこと以外、実施例1と同一である。すなわち、還元麦芽糖水飴(組成物重量に対して67.2%)および還元水飴(組成物重量に対して31.3%)に、表1に示す含有量のメチルセルロース、更に甘味料および乳化剤(組成物重量に対して各々0.1%)を添加することにより、粘性液状組成物を調製した。この粘性液状組成物を水分値1.5%になるように炊き上げることでキャンディ生地を得た。得られたキャンディ生地を球形にスタンプ成型し、表面の滑らかなハードキャンディ(個重2.7g)を得た(表2の「アロマ非含有キャンディ」の欄)。当該ハードキャンディを、アロマ非含有キャンディ(プラセボキャンディ)として、以下のヒト試験に供試した。
アロマ配合キャンディの投与による風邪症状に与える影響を検討することを目的としてヒト試験を実施した。試験は、ヘルシンキ宣言 (2013年フォルタレザ修正)、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 (平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号) を遵守して実施した。具体的には、ランダム化プラセボ対照並行群間比較試験により、アロマ含有キャンディの風邪諸症状に及ぼす効果について試験した。
被験物として、実施例1において得られた表1に示す組成を有するアロマ含有キャンディ(試験キャンディ)、および比較例1において得られたアロマ非含有キャンディ(プラセボキャンディ)を用いた。試験キャンディとプラセボキャンディとは、外観および官能が試験物と全く同じで、上記の通り、試験物にはシトラール、カプリン酸、カシア粉末、オリゴノールが含まれているが、プラセボにはこれらの成分は含まれていない。試験物摂取群は試験キャンディを1日あたり3粒摂取し、プラセボ摂取群はプラセボキャンディを1日あたり3粒摂取した。
被験者の選択基準は以下の通りである。
(a)年齢が20歳以上の成人男女であること
(b)一般的に健康であるとみなされる者であること
(c)アロマ含有キャンディを期間中、毎日摂取可能な者であること
(d)摂取期間中の症状チェックシートおよび前後2回の質問紙回答が可能な者であること
(a)過去4週間以内に他のヒト試験(食品、医薬品、医薬部外品、医療機器等を用いたヒトを対象とする試験)に参加している者、あるいは本試験の実施予定期間中に他のヒト試験に参加する予定がある者
(b)試験責任者が試験参加に不適当と判断する者
上記の基準を満足した20~81歳の男女51名 (男子21名、女子30名) を被検者として選択した。
割付については、試験に関係のない割付責任者が、ブロックランダム化を行い、試験物摂取群25名(男子11名、女子14名: 平均年齢26.68歳)、プラセボ摂取群26名(男子10名、女子16名: 平均年齢28.19歳)の2群に割り付けた。参加申し込み時に取得した年齢および性比に関して群間に大きな差がないことを確認した。
試験スケジュールとして、被験物摂取期間を連続する28日間(4週間)とした。
図1のような質問(VAS;Visual Analogue Scale)紙調査を用い、以下の3項目について、被検者自身の自己回答式の調査を実施した。
(5)-1 風邪症状の強さの評価
「痛み」、「不快感」、「腫れ」、「荒れ」、「声枯れ」の5項目について100mmの線分上に縦線を入れ、回答日当日の状態について被験者自身での自己評価を実施した(図1)。
(5)-2 風邪症状の発症回数
「咽頭痛」、「のどがヒリヒリする」、「咳が出る」、「痰が出る」の4項目について記録当日の風邪症状の有無を被験者自身で毎日記入、被験者ごとで28日間での発症回数を合計した。
(5)-3 摂取期間中の飲用日誌
自由記述欄を設定した飲用日誌を配布し、記録当日の体調、アロマ含有キャンディに対する感想等の自由な回答も得た。
質問紙(VAS)に関して、回答日ごとに試験物摂取群およびプラセボ摂取群の平均値と標準誤差を算出し、Student’s t-testを用いて群間比較を行った。さらにPaired t-test を用いて各群の摂取前と摂取後で前後比較を行った。風邪症状の回数に関して、試験物摂取群およびプラセボ摂取群の平均値と標準誤差を算出し、Student’s t-testを用いて群間比較を行った。有意水準は5%とし、5%未満を有意差あり、10%未満を有意傾向と判断した。
(7)-1 解析対象者
被検者51名 (男性21名、女性30名、20~81歳) のうち、途中脱落した3名を除いた48名を解析対象とした。摂取日数を用いて算出した飲用率は、試験物摂取群(アロマ含有キャンディ摂取群)が99.3±0.46% (n=22)、プラセボ群が99.7±0.31%(n=26)であった。解析対象者の詳細を表2に示した。二群間には解析にバイアスを与え得る有意差は特にみられなかった。
表3に質問紙の結果を示した。摂取前の群間比較において、プラセボ群と比較して試験物群に「のどの不快感」の項目の有意な高値傾向が見られた(p=0.091)。さらに試験物群の前後比較において、「声枯れ」の項目で有意な低下(p=0.032)が見られた。さらに「のどの不快感」の項目で有意な低下(p=0.056)が見られた。さらに「のどの荒れ」の項目でも有意な低下傾向(p=0.057)が見られた(表3および図2)。プラセボ群においては統計学的に有意な変動はみられなかった。
アロマ含有キャンディ摂取時の風邪症状緩和効果を検討するため、成人男女51名を対象にランダム化プラセボ対照並行群間比較試験を行った。本試験では、痛みの強さを主観的に評価する質問紙Visual Analogue Scale (VAS)を用いた。VASの信頼性(再現性)・妥当性(測りたいものを本当に測っているか)は、すでに多くの研究で検証されており、医学の現場では広く使用されている。被験者を試験物群とプラセボ群の2群に分け、アロマ含有キャンディまたはプラセボを3粒/日、28日間摂取した。摂取前後に、VAS法による主観的な風邪症状の強さを比較、摂取期間を通して風邪症状の有無を調査した。
本試験の結果、摂取前と比較して摂取後にVASの「声枯れ」の項目で試験物群に有意な低下、「のどの不快感」「のどの荒れ」の項目で有意な低下傾向がみられた。これらの変動は被験者がのどの症状の緩和を主観的に感じていることが示されている。さらに摂取前、プラセボ群と比較して試験物群でみられた「のどの不快感」の有意な高値傾向が、摂取後には消滅しており、一貫性のある結果となった。
風邪症状の原因となるウイルスは呼吸により上気道経由で体内に侵入し、咽喉頭が乾燥するとのど風邪症状の発症、さらに症状が本格化しやすくなると考えられ、のどの乾燥を防ぎ粘液層を保護することは、風邪の予防や症状の緩和にとって非常に重要であると考えられる。
試験物群にみられた、のどに関する有意な変動および有意傾向は、プラセボ群ではみられていないことから、アロマ含有キャンディを28日間摂取することにより、のどに関する風邪の症状を緩和する効果が示唆された。これらはアロマ含有キャンディによる粘膜保護によるものと推定される。その他に、自由記述から抽出したインフルエンザまたはインフルエンザ様疾患の「罹患率」について、プラセボ群で8%であったのに対し、試験物群では0%であったこと、試験物群での「症状回復」14%、「家族が罹患したが本人は罹患しなかった」5%という結果から、ウイルス感染への抑制作用が報告されているエッセンシャルオイル成分を含有している本アロマ含有キャンディが、感染に対しても抑制作用を示した可能性も考えられた。
VASによるアロマ含有キャンディ摂取時の風邪症状緩和効果への影響検討の結果、摂取前と比較して摂取後に「声枯れ」の項目で試験物群に有意な低下、「のどの不快感」「のどの荒れ」の項目で有意な低下傾向がみられた。
これらのことから、実施例1で得られたアロマ含有キャンディは、機能性を有した食品として日常生活の中での風邪様症状出現への抑制作用や症状自身に対する緩和作用が期待でき、なお且つ持続利用可能な素材となり得ると考えられた。
Claims (3)
- 低分子プロアントシアニジン、シナモン、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステル、シトラール、およびメントールを有効成分として含有する風邪症状緩和用飲食品組成物であって、
前記低分子プロアントシアニジンがオリゴノール(登録商標)であり、
前記風邪症状がのどにおける風邪の症状であり、
前記飲食品組成物の形態が菓子であり、かつ前記菓子が飴又はグミであり、
1回の投与量当たり、低分子プロアントシアニジンを0.5mg以上、シナモンを0.28mg以上、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステルを0.008mg以上、シトラールを0.14mg以上、およびメントールを0.2mg以上含有し、低分子プロアントシアニジン、シナモン、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステル、シトラール、およびメントールの総重量として、風邪症状緩和用飲食品組成物の重量に対して、99%以下であることを特徴とする、風邪症状緩和用飲食品組成物。 - シナモンが、シンナムアルデヒドを含む組成物である、請求項1に記載の風邪症状緩和用飲食品組成物。
- 中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸エステルがデカン酸またはデカン酸エチルである、請求項1または2に記載の風邪症状緩和用飲食品組成物。
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