異なる図面における対応する数字及び記号は、概して、特段指示のない限り、対応する部分を参照する。図面は、実施形態の関連態様を明瞭に示すように描かれ、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図面に描かれるフィーチャ(features:特徴)の端部は、フィーチャの範囲の終端を必ずしも示していない。
様々な実施形態を作成すること及び使用することについて、以下に詳述される。しかしながら、本明細書に説明される様々な実施形態が、多種多様な具体的文脈において適用可能であると理解されるべきである。述べられた具体的実施形態は、様々な実施形態を作成及び使用する具体的なやり方を単に例示するものであり、限定された範囲において解釈されるべきではない。
イオンエネルギー及びイオン角度は、多様なプラズマプロセスについての品質、均一性、選択性、及び予測性に影響を及ぼし得る。例えば、高アスペクト比フィーチャの異方性エッチングを実現するために、完全に一方向性の、垂直なイオンビームの生成が望ましい場合がある。さらに、イオンの操作された角度分布を用いてこれらの指向性イオンを調整、補正、及び制御する能力も、望ましい場合がある。このような操作された角度イオン分布は、例えば、コンタクト、フィン、ゲート配線の形成、他のフロントエンド又はバックエンド処理、及び一般的なパターニングステップ、並びに他のプロセスに有用であり得る。
しかしながら、プラズマ処理中にマイクロエレクトロニクスデバイスのトポグラフィカルフィーチャに対するイオン入射角度を制御するための能動的な制御メカニズムは当技術分野において存在しないということが広く受け入れられている。完全に垂直なイオン又は略垂直なイオンを基板表面に放出することは有益であり得る。加えて、パターン化構造の側壁上での散乱について考慮及び/又は補正しつつ、構造内に放出されるイオンビーム角度を制御することも有益であり得る。例えば、このイオン分布角度の制御は、高アスペクト比コンタクト(HARC)型エッチング及びパターニング適用、並びに他のエッチング/蒸着プロセスに役立ち得る。
本明細書で説明されるように、マイクロエレクトロニクス加工対象物(又は基板)のプラズマ処理のためにイオン角度分布を制御する実施形態が、提供される。開示される実施形態は、プラズマ処理中にマイクロエレクトロニクス加工対象物(例えば、半導体ウェハ)に対する交流(AC)電力の印加及び/又はパルス化直流(DC)電力の印加を制御する。これらの技術を通して、開示される実施形態は、マイクロエレクトロニクス加工対象物に放出されるイオンについての角度分布の制御を含む、様々な利点をもたらし得る。追加の実施及び利点も、以下の説明を考慮すると当業者には明らかであり得る。
様々な実施形態では、マイクロエレクトロニクス加工対象物を処理する方法は、プラズマを生成するためにソース電力をプラズマ処理チャンバに提供することを含む。プラズマは、例えば、エッチング、蒸着、洗浄、灰化などのプラズマプロセスに使用され得る。プラズマ処理チャンバに提供されるソース電力は、パルス化される。具体的には、プラズマ処理チャンバへの電力をパルス化することは、電力をオン状態及びオフ状態の間で交互に替え、それによって、一連の一時的に別個のパルスを形成することを含み得る。方法は、バイアス電力をプラズマ処理チャンバに提供することをさらに含む。バイアス電力は、プラズマ処理チャンバ内に配置されるマイクロエレクトロニクス加工対処物に向かって、生成されたプラズマ内の荷電粒子を加速し得る。プラズマ処理チャンバに提供されるバイアス電力も、パルス化される。しかしながら、ソース電力パルス及びバイアス電力パルスは、時間的に少なくとも部分的にオーバラップしない。
本明細書で説明される様々な実施形態は、反応性イオンエッチング又はプラズマ蒸着などにおけるプラズマ処理のために、表面に対するイオン放出のためのイオン角度分布及びイオンエネルギーを制御するシステム及び方法を提供する。イオン角度分布についてのこれらの制御技術も、原子層エッチング(ALE)及び原子層蒸着(ALD)、並びに空間的ALE/ALD及び/又は他のプロセスに有用であり得る。本明細書で説明される様々な実施形態は、逆位相の、非同期の、及び/又は位相がずれたソース電力及びバイアス電力のパルス化を提供する。加えて、これらの技術は、プラズマ電位を制御するための1つ又は複数の追加のメカニズムを取り入れることによって、さらに拡張され得る。これらの追加のメカニズムも、ソースプラズマから遅延して、又はソースプラズマと同時に、パルス化され得る。イオン温度(Ti)、電子温度(Te)、電子密度(ne)、シース電圧降下(VS)などの様々なプラズマ特性が、本明細書で説明される実施形態を用いて変調及び制御され得る。
以下で与えられる実施形態は、プラズマ処理システムを動作させる様々なシステム及び方法、特に、ソース電力パルス及びバイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の方法を説明する。以下の記述は、実施形態を説明する。ソース電力パルス及びバイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御方法の実施形態の例としての概略タイミング図及び定性グラフが、図1を用いて説明される。ソースパルス変調回路及びパルス変調タイミング回路を含むプラズマ処理システムの実施形態が、図2を用いて説明される。非同期バイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御方法の実施形態の2つの例としての概略タイミング図が、図3を用いて説明される。1つのソース電力パルス及び1つのバイアス電力パルスを含む単一サイクルを示すプラズマ処理のための制御方法の実施形態の複数の例としての概略的タイミング図が、図4~図7を用いて説明される。プラズマ電位結合要素を含むプラズマ処理システムの実施形態及び対応する方法の実施形態の概略タイミング図が、図8及び図9を用いて説明される。電子ビーム源を含むプラズマ処理システムの実施形態及び対応する方法の実施形態の概略的タイミング図が、図10及び図11を用いて説明される。導電グリッドを含むプラズマ処理システムの実施形態及び対応する方法の実施形態の概略的タイミング図が、図12及び図13を用いて説明される。プラズマ処理中にイオン角度分布関数(IADF)を能動的に制御するために使用可能な制御法則を生成する方法の実施形態の例としてのフローチャートが、図14を用いて説明される。プラズマプロセスのフィードフォワード制御の方法の実施形態の例としてのフローチャートが、図15を用いて説明される。2つの方法の実施形態が、図16及び図17を用いて説明される。
図1は、本発明の実施形態による、ソース電力パルス及びバイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法のパルスシーケンスの概略タイミング図及び対応する定性グラフを示す。ソース電力は、プラズマ処理システムのプラズマ処理チャンバに結合され、マイクロエレクトロニクス加工対象物の処理のためのプラズマを生成するために使用される。バイアス電力も、プラズマ処理チャンバに結合され、他の機能に加えてマイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に向かってイオンを加速するために使用され得る。
図1を参照すると、タイミング図100は、イオンを生成してマイクロエレクトロニクス加工対象物(例えば、半導体ウェハ)に放出するためにパルス化された、ソース電力1及びバイアス電力2を含む。具体的には、タイミング図100は、時間的に少なくとも部分的にオーバラップしない、1つ又は複数のソース電力(SP)パルス11及びバイアス電力(BP)パルス12を有するパルスシーケンスを含む。例えば、ソース電力1は、SPパルス11を生成するようにオン状態とオフ状態との間で切り替えられるAC電力であってもよい(AC電力の周波数はSPパルス11の周波数より高い)。同様に、バイアス電力2も、AC電力であってもよい。例えば、バイアス電力2は、RF電力として実施されてもよく、DCセルフバイアスを有してもよい。代替として、ソース電力1及びバイアス電力2のうちの1つ又は両方が、DC電力であってもよい。
様々な実施形態において、パルスシーケンスは、パルス変調周期5で周期的であり、複数のSPパルス11及びBPパルス12を含む。しかしながら、場合によっては、パルスシーケンスは、単一のSPパルス及び単一のBPパルスを指してもよい。さらに、周期性は有益であり得るが、パルスシーケンスが周期的であるか、又はSPパルスがBPパルスと同一の周期を有するという厳密な要件はない。
グラフ102に示されるように、生成されたプラズマの温度曲線31及び密度曲線32は、タイミング図100の印加ソース電力1に従って変化する。SPパルス11は、電子密度ne、電子温度Te、及びイオン温度Tiなどの様々なプラズマパラメータの増加によって特徴付けられるプラズマグロー位相を生じる。SPパルス11の最初の印加は、プラズマ温度(例えばTe及びTi)におけるスパイク21をもたらし得る。スパイク21は緩和して残りのSPパルスの間、偽平衡状態23になる。SPパルスが終了した後、プラズマは、イオン及び電子が冷却してその結果Te、Tiの低下をもたらし得る、アフタグロー位相に入る。電子及びイオンが、両極性拡散によって壁に拡散してneの低下をもたらす。様々な実施形態では、アフタグロー位相の間、BPパルスが、イオンをマイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に向かって加速するように印加される。
グラフ102に示されるように、Te及びTiは、アフタグロー位相においてneよりも急速に低下し得る。電子密度neは利用可能なイオンと相関するため、アフタグロー位相の間のBPパルスの印加は、マイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に低温イオンを加速するために特に有効であり得る。アフタグロー位相の間、プラズマ電流も減少し得る。バイアス電力が(例えば、BPパルスを用いて)印加されるときに、この電流降下が、アフタグロー位相におけるプラズマシースVDC(RF DC自己バイアス電圧)にわたる大きな電位差VPを見込み得る。より低いイオン温度と共に増加した電位差VP及び時間平均DC電圧降下VDCは、イオンの流動の指向性を改善し得る。
したがって、SPパルス及びBPパルスは、時間的に少なくとも部分的にオーバラップしない。様々な実施形態では、SPパルス及びBPパルスは、タイミング図100に示されるように、完全に位相が異なる。他の実施形態では、SPパルス及びBPパルスは、部分的にオーバラップしてもよい。したがって、方法の実施形態は、バイアス電力2がソース電力1無しで印加される非ゼロ時間間隔を含むのと同様に、ソース電力1がバイアス電力2無しで印加される非ゼロ時間間隔の両方を含む。
いくつかの場合に、略垂直なイオンを処理中の表面に放出することは、有利であると考えられ得る。表面におけるイオンの入射角の平均偏差は、角度広がりと呼ばれ得る。角度広がりは、プラズマシースにおいてイオンが散乱することにより、及び表面に対するプラズマシースを通したイオン加速前のプラズマ内のイオンのランダムな熱運動により、生じ得る。角度広がりを狭めることは、プラズマシースに存在する電界から引き出される有向性によって実現され得るが、ランダムな熱運動は、角度広がりを広げることをもたらし得る。プラズマシースにおいて電界を発生させる1つの方法は、バイアス電力を印加することであり得る。概して、所与のイオン角度分布についての角度広がり<θ>は、以下の比例方程式によって記述され得る。
方程式(1)から分かるように、イオン温度Tiが上昇するにつれて、角度広がり<θ>が増大して、垂直イオンの減少をもたらす。同様に、方程式(1)によれば、バイアス電圧VDCが上昇するにつれて、角度広がり<θ>が減少して、垂直イオンの増加をもたらす。したがって、加工対象物の表面におけるイオンの垂直度を増大させるために、Tiが比較的低いときにバイアス電力2をプラズマ処理チャンバに印加することが有利であり得る。方程式1において、イオン温度Tiが、典型的には電子ボルト(eV)で表され、バイアス電圧VDCは、ボルト(V)で表され、それによって、イオンの電荷(+1)が方程式(1)の分母から省略されることが便宜的に可能となることに留意すべきである。
図1をさらに参照すると、タイミング図100のパルスシーケンスは、パルス変調プロセスパラメータによって定義され得る。パルス変調プロセスパラメータは、ソース電力1のシーケンスに対応するSPパルス幅3及びSPパルス振幅4、並びにバイアス電力2のシーケンスに対応する前縁バイアスオフセット6、BPパルス幅7、BPパルス振幅8、及び後縁バイアスオフセット9を含み得る。特に、各SPパルス11は、SPパルス幅3及びSPパルス振幅4を含み、各BPパルス12は、BPパルス幅7及びBPパルス振幅8を含む。特段断りのない限り、本明細書で使用される振幅は、所与のパルスの平均頂点間振幅を指すことに言及されるべきである。
図1に示されるように、SPパルス11及びBPパルス12は、時間的に完全にオーバラップしなくてもよい。この特定の場合において、SPパルス幅3は、ソース電力1がバイアス電力2無しのSPパルスとして印加される時間間隔であり、BPパルス幅7は、バイアス電力2がソース電力1無しのBPパルスとして印加される時間間隔である。SPパルス11及びBPパルス12が部分的にオーバラップしない実施形態では、オーバラップしない時間間隔が、SPパルス幅3及び/又はBPパルス幅7の一部を含み得る。
SPパルス11及びBPパルス12の両方について、所与のパルス変調周期5についてのデューティサイクル(%)を選ぶことによって、特定のパルス幅が実施され得る。例えば、パルス変調周期が150μsに設定される場合、56%のソース電力デューティサイクル(%)及び28%のバイアス電力デューティサイクル(%)は、84μsのSPパルス幅及び42μsのBPパルス幅をもたらす。一実施形態では、ソース電力1及びバイアス電力2は、同一のパルス変調周期を有する。代替として、ソース電力1及びバイアス電力2が、別々のパルス変調周期で動作してもよい。
マイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に対するイオン及び/又は他のラジカルの流動が、SPパルス11のオフタイムを用いて有利に制御され得る。例えば、発明者は、SPオフタイム(6/7/9)が、L2/sD未満に設定されるときに一定のラジカル流動が維持され得ることを発見した。ここで、Lは、プラズマ処理チャンバの臨界寸法であり、Dは、一定の流動が維持される種の拡散係数であり、sは、種の付着係数である。例えば、Lは、イオン/ラジカルが生成される場所と最も近い壁との間の距離であってもよい。一実施形態では、Lは、ソース領域(即ち、イオン/ラジカルが生じる場所)とSP結合要素との間の距離である。多様な実施形態では、SPオフタイムの調整は、加工対象物の表面に対するイオン及び/又は他のラジカルの流動を増加又は減少させ得る。
図1に示されるように、SPパルス11とBPパルス12との間の遅延は、前縁バイアスオフセット6と呼ばれ得る。前縁バイアスオフセット6は、パルス変調周期5のパーセンテージとして実施され得る。例えば、前縁バイアスオフセットは、パルス変調周期5の-10%~+10%の間で変動し得る。代替として、前縁バイアスオフセット6は、特定の時間値として設定してもよい。例えば、ソース電力1及びバイアス電力2が150μsに設定された同一のパルス変調周期を有する上記の場合を続けると、10%の前縁バイアスオフセットが、SPパルスの後縁とBPパルスとの間に15μsの遅延をもたらす。前述の例では、前縁バイアスオフセット6は、正に設定される。しかしながら、前縁バイアスオフセット6は、また、0又は負であってもよい。
同様に、BPパルス12とSPパルス11との間の遅延は、後縁バイアスオフセット9と呼ばれてもよく、SPパルス幅3、前縁バイアスオフセット6、及びBPパルス幅7の組み合わせを通して実施され得る。上記の例を続けると、56%のソース電力デューティサイクル(%)、10%の前縁バイアスオフセット、及び28%のバイアス電力デューティサイクル(%)は、完全なパルス変調周期の94%を占める。したがって、この具体例では、BPパルスの後縁とSPパルスの前縁との間にパルス変調周期の6%に等しい遅延が存在する。パルス変調周期は150μsであるため、後縁バイアスオフセット9であるこの遅延は、9μsに等しい。前縁バイアスオフセット6と同様に、後縁バイアスオフセット9は、正である必要はなく、0又は負であってもよい。
パルス振幅は、対応する高振幅状態及び低振幅状態によって定義され得る。例えば、高振幅及び低振幅は、電圧レベルであってもよい。具体的には、SPパルス11のそれぞれが、SP低振幅状態13とSP高振幅状態14との間で振動してもよく、BPパルス12のそれぞれが、BP低振幅状態17とBP高振幅状態18との間で振動してもよい。それぞれの高振幅及び低振幅が望ましいレベルになるように、正又は負のDCバイアスは、ソース電力1又はバイアス電力2の1つ又は両方に印加され得る。
温度曲線31及び密度曲線32の両方は本来定性的であることに言及されるべきである。したがって、その両方が、Te、Ti、及びneなどのプラズマパラメータに対するパルスシーケンスの効果に関連する重要な現象を示し得るが、いずれも、特定のスケールで描かれるように意図されず、又は定性的に正確であるように意図されない。さらに、明確化のために簡略化されていてもよい。例えば、電子温度Te及びイオン温度Tiは、グラフ102において単一の曲線として表されているが、これは、Teが冷プラズマにおいて少なくともTiよりも大きな規模であっても曲線の形状は類似であるためである。
図2は、本発明の実施形態による、ソースパルス変調回路及びパルス変調タイミング回路を含む例としてのプラズマ処理システムのブロック図を示す。図2のプラズマ処理システムは、例えば図1の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかを実行するために使用され得る。
図2を参照すると、プラズマ処理システム200は、プラズマ処理チャンバ210に結合されるSP結合要素15を含む。SP結合要素は、プラズマ処理チャンバ210へのソース電力の印加を可能にして、プラズマ60の生成をもたらし得る。様々な実施形態では、SP結合要素15は、プラズマ処理チャンバ210の周りに位置する導電コイルであり、一実施形態では1/4波長螺旋共振器である。別の実施形態では、SP結合要素15は、プラズマ処理チャンバ210の上に位置する平面渦巻型コイルとして実施され得る半波螺旋共振器である。代替として、他のSP結合要素は、例としてアンテナ、平板電極、又は導波管などが使用されてもよい。
プラズマ処理システム200は、プラズマ処理チャンバ205に結合されるBP結合要素19をさらに含む。BP結合要素19は、処理中のマイクロエレクトロニクス加工対象物へのバイアス電力の印加を可能にし得る。様々な実施形態では、BP結合要素19は、基板ホルダであり、一実施形態では静電チャックである。
ソース電力は、SPパルス変調回路51を含むSP制御経路201を用いてプラズマ処理チャンバ210に結合され得る。SPパルス変調回路51は、SP高振幅状態14とSP低振幅状態13との間でソース信号を変調し得る。例えば、変調ソース信号は、図1を参照して説明されたような、SPパルス11に対応し得る。変調ソース信号は、変調ソース信号上に波形を重畳し得るSP関数発生器20によって受信され得る。SP関数発生器20は、変調ソース信号の振幅を増大させるように構成される増幅回路も任意選択で含んでもよい。
重畳された波形の周波数は、パルス変調周波数より高くてもよい。様々な実施形態では、重畳された波形の周波数は、RF周波数であってもよく、一実施形態では約13.56MHzである。結果として、結果となるSPパルスのそれぞれが、重畳された波形の複数のサイクルを含み得る。波形形状は、正弦波、矩形波、鋸波などの周期波形を含み得る。代替として、波形形状は、任意波形形状を生成するように、様々な周波数の複数の正弦波の重畳などの非周期波を含んでもよい。
SP制御経路201は、任意選択のSPインピーダンス整合ネットワーク25を含み得る。SP関数発生器20によって生成されるSPパルスは、SP結合要素15によってプラズマ処理チャンバ210に結合される前に、任意選択のSPインピーダンス整合ネットワーク25を通過し得る。任意選択のSPインピーダンス整合ネットワーク25は、SP結合要素15がプラズマ60に誘導結合される共振構造であるときなど、あるプラズマ処理システムにおいて省略されてもよい。逆に、任意選択のSPインピーダンス整合ネットワーク25は、SP結合要素15が非共振であるときに含まれてもよい。任意選択のSPインピーダンス整合ネットワーク25は、負荷のインピーダンスを供給のインピーダンスと整合させることによってソース電力がプラズマ60に有効に結合されることを保証するために使用され得る。
図2をさらに参照して、バイアス電力が、BP制御経路202を用いてプラズマ処理チャンバ210に結合され得る。BP制御経路202は、パルス変調タイミング回路252を通してSP制御経路201に結合され得る。パルス変調タイミング回路252は、SP制御経路201によって生成されるSPパルスのタイミングに対するBPパルスのタイミングを判断し得る。パルス変調タイミング回路252は、SPパルス変調回路51から信号を受信し、SPパルスの前縁又は後縁のいずれかによってトリガされる遅延を導入し得る。例えば、前縁バイアスオフセットパラメータがパルス変調周期の8%に設定される場合に、パルス変調タイミング回路252は、SPパルスの後縁によってトリガされた後でパルス変調周期の8%に等しい遅延を導入し得る。代替として、パルス変調タイミング回路252が、SPパルスの前縁によってトリガされるように構成される場合に、パルス変調期間+ソース電力デューティサイクル(%)の8%の遅延が、パルス変調タイミング回路252によって導入され得る。代替として、パルス変調タイミング回路252は、BP制御経路202によって生成されるBPパルスのタイミングに対するSPパルスのタイミングを判断し得る。
SP制御経路201と同様に、BP制御経路202は、パルス変調タイミング回路252によってトリガされる任意選択のBPパルス変調回路53を含み得る。任意選択のBPパルス変調回路53は、BP高振幅状態とBP低振幅状態との間でバイアス信号を変調し得る。例えば、変調バイアス信号は、図1を参照して説明されたように、BPパルス12に対応し得る。代替として、任意選択のBPパルス変調回路53は省略されてもよく、遅延された変調ソース信号は、BPパルスに対応してもよい。
変調バイアス信号は、任意選択のBP関数発生器30によって受信され得る。任意選択のBP関数発生器30は、変調バイアス信号上に波形を重畳し得る。波形は、変調ソース信号上に重畳された波形に類似してもよく、又は異なってもよく、前述のような任意の所望の波形形状を有してもよい。任意選択のBP関数発生器30は、変調バイアス信号の振幅を増大させるために、任意選択で増幅回路も含んでもよい。一実施形態では、プラズマ処理チャンバ210に放出されるバイアス電力は、DC電力である。この場合、任意選択のBP関数発生器30は、省略されてもよい。増幅が必要とされるが関数発生は必要とされないいくつかの場合において、増幅回路が、任意選択のBP関数発生器30の代わりに含まれてもよい。
BPインピーダンス整合ネットワーク35も、任意選択のBP関数発生器30とBP結合要素19との間のBP制御経路202に含まれる。BPインピーダンス整合ネットワークは、負荷のインピーダンスを供給のインピーダンスに整合させることによってバイアス電力がプラズマ処理チャンバ210に有効に結合されることを保証するために使用され得る。
上述された要素のうちの1つ又は複数が、コントローラに含まれ得る。例えば、図2に示されるように、SPパルス変調回路51、パルス変調タイミング回路252、及び任意選択のBPパルス変調回路53が、コントローラ250に含まれ得る。コントローラ250は、プラズマ処理チャンバ210に対してローカルに位置し得る。代替として、コントローラ250は、プラズマ処理チャンバ210に対してリモートに位置してもよい。コントローラ250は、SP制御経路201及びBP制御経路202に含まれる要素のうちの1つ又は複数とデータを交換することが可能であり得る。インピーダンス整合ネットワークのそれぞれが、コントローラ250によって制御されてもよく、又は個々のコントローラを含んでもよい。
コントローラ250は、プラズマを生成すること、及びイオンをマイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に放出することに関連する様々な制御パラメータを設定し、モニタリングし、及び/又は制御するように構成され得る。制御パラメータは、バイアスオフセットパーセンテージと同様にソース電力及びバイアス電力の両方についての電力レベル、周波数、及びデューティサイクル(%)を含んでもよいが、それらに限定されない。他の制御パラメータセットも使用され得る。例えば、SPパルス及びBPパルスのパルス幅、並びにバイアスオフセットが、パルス変調周期のデューティサイクル(%)として定義されるのではなく、直接入力されてもよい。
図3は、本発明の実施形態による、非同期バイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図3のタイミング図は、例えば、図1のタイミング図100などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図3を参照すると、タイミング図300は、イオンを生成し、マイクロエレクトロニクス加工対象に放出するためにパルス化された、ソース電力1及びバイアス電力2を含む。具体的には、タイミング図300は、一連の50%のSPパルス311及び50%のBPパルス312についての共有パルス変調周期305を有する周期性パルスシーケンスを含む。50%のSPパルス311及び50%のBPパルス312の両方が、100%のデューティサイクル(%)に対応する共有パルス変調周期305の半分の間パルス化される。即ち、50%のSPパルス311は、50%のデューティサイクル(%)を有する50%のSPパルス幅303を有し、50%のBPパルス312は、50%のデューティサイクル(%)を有する50%のBPパルス幅307を有する。
一実施形態では、共有パルス変調周期305は、約200μsである。したがって、本実施形態では、50%のSPパルス幅303は、約100μsであり、50%のBPパルス幅307は、約100μsである。他の実施形態では、共有パルス変調周期305は、任意の所望の長さであってもよい。例えば、共有パルス変調周期305は、200μs未満であってもよく、又は200μsより大きくてもよい。様々な実施形態では、共有パルス変調周期305は、マイクロ秒(μs)のオーダである。他の実施形態では、共有パルス変調周期305は、ミリ秒(ms)又は秒(s)のオーダであってもよい。一実施形態では、共有パルス変調周期305は、約1sである。
図3をさらに参照すると、タイミング図320は、共有パルス変調周期305でパルス化されるソース電力1及びバイアス電力2を含むタイミング図300に類似である。しかしながら、タイミング図320において、非ゼロ前縁バイアスオフセット326が、50%のSPパルス311と50%未満のBPパルス322との間に含まれる。50%のSPパルス311のオフタイムが50%のデューティサイクル(%)と等しいため、50%未満のBPパルス322が、50%未満のデューティサイクル(%)に等しい50%未満のBPパルス幅327を有する。具体的には、50%未満のBPパルス幅327は、50%のデューティサイクル(%)-非ゼロ前縁バイアスオフセット326と等しい。
一実施形態では、共有パルス変調周期305が、約200μsであり、非ゼロ前縁バイアスオフセット326が、約20μsであり、50%未満のBPパルス幅327は、約80μsである。したがって、50%SPパルス幅303は、本実施形態では約100μsである。これは、約10%のデューティサイクル(%)の非ゼロ前縁バイアスオフセット326、及び約40%のデューティサイクル(%)の50%未満のBPパルス幅327に対応する。他の実施形態では、非ゼロ前縁バイアスオフセット326は、共有パルス変調周期305より小さい任意の所望の長さであってもよい。例えば、非ゼロ前縁バイアスオフセット326は、20μs未満であってもよく、又は20μsより大きくてもよい。
50%のSPパルス311及び50%のBPパルス312は、時間的に完全にオーバラップせず、且つ共有パルス変調周期305を共有するため、50%のSPパルス311及び50%のBPパルス312は非同期である。即ち、50%のBPパルス312が低振幅状態にあるときに、50%のSPパルス311は、高振幅状態にのみあるため、50%のSPパルス311は、50%のBPパルス312と位相が異なる。さらに、50%のSPパルス311及び50%のBPパルス312は、それらが同一変調周期を共有するという意味において同期している。このような位相外れの同期関係は、非同期関係と呼ばれ得る。同様に、50%のSPパルス311及び50%未満のBPパルス322もまた、互いに非同期である。
非同期BPパルスをプラズマ処理チャンバに放出することは、BPパルスの有効性を有益に増大させ得る。例えば、SPパルスの高振幅状態の間、エネルギーは、プラズマに結合されて、イオンを生成する。熱運動を増大させ得るイオンの熱エネルギーが増大している。平均的に、イオンのランダムな熱運動は、バイアス電力によって加えられる垂直速度に水平速度成分を導入し得る。加えて、SPパルスの高振幅状態の間、処理中の基板に対する電流が大きくなり、それによって、電力が固定であるとき基板に対する電圧が低下し得る。したがって、SPパルスの高振幅状態の間にバイアス電力を印加することは、SPパルスの低振幅状態の間もBPパルスを印加することよりも、垂直又は垂直に近いイオンを生成する効果を低下させ得る。
非ゼロ前縁バイアスオフセット326は、他の要因に加えてプラズマの冷却率に基づいて判断され得る。例えば、ソース電力1は、SPパルス及びBPパルス間の遅延の間オフであるため、生成されたプラズマは、電力及び荷電粒子温度を失い、密度が低下し得る。したがって、非ゼロ前縁バイアスオフセット326は、イオン温度Tiが、続くBPパルスによって誘発されるシース電圧VSと比較して低くなることを有利に可能にし得る。
タイミング図300及びタイミング図320は、前述の通り、タイミング図100の特定の場合である。例えば、タイミング図300は、SPパルス幅3が50%のデューティサイクル(%)に等しく、前縁バイアスオフセット6及び後縁バイアスオフセット9の両方がゼロに等しいシナリオに対応する。同様に、タイミング図320は、SPパルス幅3が50%のデューティサイクル(%)に等しく、前縁バイアスオフセット6が非ゼロ且つ正であり、後縁バイアスオフセット9がゼロに等しいシナリオに対応する。本明細書で説明される実施形態の観点でパルス変調プロセスパラメータを変化させることによって、多くの他のタイミング図が当業者に明らかとなるであろう。即ち、異なるオフセット、パルス幅、及びパルス変調周期も、本明細書で説明される技術を依然として利用しながら使用され得る。
図4は、本発明の実施形態による、高周波数RFソース電力パルス及び低周波数RFバイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図4のタイミング図は、例として、図1のタイミング図100又は図3のタイミング図320などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図4を参照すると、タイミング図400は、イオンを生成し、マイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化された、ソース電力1及びバイアス電力2を含む。具体的には、タイミング図400は、SPパルス幅3、前縁バイアスオフセット6、及びBPパルス幅7を有する1つ又は複数のSPパルス11及び1つ又は複数のBPパルス12を有するパルス変調周期5を含む。SPパルス11のそれぞれが、関数発生器によってSPパルス11上に重畳され得る、SP周波数fSPを有する周期波形を含む。一実施形態では、周期波形は、正弦波であってもよく、ソース電力は、AC電力であってもよい。しかしながら、前述の通り、他の波形も可能である。BPパルス12のそれぞれも、BP周波数fBPを有する周期波形を含んでもよく、それは、SPパルス11の周期波形と類似であってもよく、又は異なっていてもよい。
発明者は、いくつかの事例において、アフタグロー位相における高周波数パルスの印加が、望ましくない電子加熱及びプラズマ生成(例えば、ハロゲンプラズマにおける)をもたらし得る。それは、本明細書で説明されるように、パルスシーケンスの有効性を潜在的に減少させ、及び/又は除去し得る。この潜在的な問題は、アフタグロー位相の間、低周波数AC電力、DC電力、又は交互極性のDC電圧を印加することによって軽減され得る。前述の通り、アフタグロー期間は、ソース電力が低振幅状態にあるときに始まり得る。したがって、低周波数のAC電力、DC電力、又は交互極性のDC電圧を含むBPパルスが、アフタグロー位相において望ましくない電子加熱及びプラズマ生成を有利に減少させ、又は除去し得る。
したがって、様々な実施形態では、fBPは、fSPより小さい。一実施形態では、fBPは、20MHz未満である。別の実施形態では、fBPは、400kHz未満である。一実施形態では、fSPは、約13.56MHzであり、fBPは、400kHz未満である。SP周波数fSPは、RF、超短波(VHF)、マイクロ波(MW)などの任意の周波数である。一実施形態では、fSPは、10MHzより大きく、fBPは、5MHz未満である。別の実施形態では、fSPは、50MHzより大きく、fBPは、5MHz未満である。さらに別の実施形態では、fSPは、約50MHz~約150MHzであり、fBPは、約1MHz~約5MHzである。
図5は、本発明の実施形態による、高周波数RFソース電力パルス及び低周波数矩形波バイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図5のタイミング図は、例として、図1のタイミング図100又は図3のタイミング図320などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図5を参照すると、タイミング図500は、イオンを生成し、マイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化された、ソース電力1及びバイアス電力2を含む。具体的には、タイミング図400は、SPパルス幅3、前縁バイアスオフセット6、及びBPパルス幅7を有する1つ又は複数のSPパルス11及び1つ又は複数のBPパルス12を有するパルス変調周期5を含む。タイミング図500は、BPパルス12のそれぞれが、矩形波周波数fSW及び矩形波パルス幅517を有する周期矩形波を含むということを除いて、図4のタイミング図400に類似である。矩形波周波数fSWは、fSPより小さくてもよく、前述の通り、タイミング図400のBP周波数fBPに大きさが類似であってもよい。様々な実施形態では、周期矩形波は、関数発生器により高調波の正弦波形の重畳から生成され得る。
図6は、本発明の実施形態による、高周波数RFソース電力パルス及びパルス化DCバイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図6のタイミング図は、例として、図1のタイミング図100又は図3のタイミング図320などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図6を参照すると、タイミング図600は、イオンを生成し、マイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化された、ソース電力1及びバイアス電力2を含む。具体的には、タイミング図400は、SPパルス幅3、前縁バイアスオフセット6、及びBPパルス幅7を有する1つ又は複数のSPパルス11及び1つ又は複数のBPパルス12を有するパルス変調周期5を含む。タイミング図600は、BPパルス12のそれぞれがDC周波数fDC及びDCパルス幅617を有する1つ又は複数のDCパルス612を含むことを除いて、図4のタイミング図400に類似である。DC周波数fDCは、各DCパルス612がDC電圧をオフ及びオンに調節することによって生成され得ることを除いて、矩形波周波数fSWに類似である。DC周波数fDCは、fSPより小さくてもよく、前述の通り、タイミング図400のBP周波数fBPに大きさが類似であってもよい。
SPパルス11は、プラズマ生成のためのAC電力を含んでもよく、処理中のマイクロエレクトロニクス加工対象物(例えば、ウェハ)が、DC電圧を含むBPパルス12でパルス化されてもよい。BPパルス12のそれぞれに含まれるDCパルス612の数は、比較的小さくてもよい。その結果、様々な実施形態では、DC周波数fDCが、SP周波数fSPよりもはるかに小さい。例えば、一実施形態では、BPパルス12のそれぞれが、連続するDCパルス612を1つだけ含み得る。代替として、5未満のDCパルス612が、BPパルス12のそれぞれに含まれてもよい。しかしながら、任意の適当な数のDCパルス612が、BPパルス12のそれぞれに含まれてもよい。
図7は、本発明の実施形態による、高周波数RFソース電力パルス及び交互極性のパルス化DCバイアス電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図7のタイミング図は、例として、図1のタイミング図100又は図3のタイミング図320などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図7を参照すると、タイミング図700は、イオンを生成し、マイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化された、ソース電力1及びバイアス電力2を含む。具体的には、タイミング図400は、SPパルス幅3、前縁バイアスオフセット6、及びBPパルス幅7を有する1つ又は複数のSPパルス11及び1つ又は複数のBPパルス12を有するパルス変調周期5を含む。タイミング図700は、BPパルス12のそれぞれがAP周波数fAPを有する交互極性(AP)のDCパルス712を含むことを除いて、図6のタイミング図600に類似である。AP DCパルス712は、APのDCパルス712が、基準電位に対して正の電圧レベルと負の電圧レベルとの間で交互になるように構成されることを除いて、図6のDCパルス612に類似である。
交互極性のDC電圧は、例えば、処理中の基板がチャージアップし得る誘電層を含み、それによって望ましくないアーク発生がもたらされ得るときに有用である。いくつかの実施形態では、正のAPのDCパルス712の幅及び高さは、負のAPのDCパルス712の幅及び高さとは異なり得る。例えば、正のDCパルスは、加工対象物の表面にイオンを引き付け得る。しかしながら、続く負のDCパルスは、表面からイオンを跳ね返し得る。したがって、より長い正のDCパルス及びより大きな負のDCパルスを実施することが有利であり得る。一実施形態では、正のDCパルスの幅が、負のDCパルスの幅よりも大きい。
一実施形態では、正のDCパルスの高さが、負のDCパルスの高さよりも小さい。一実施形態では、正のDCパルスの幅が、負のDCパルスの幅よりも大きく、且つ正のDCパルスの高さが、負のDCパルスの高さよりも小さい。他の実施形態では、正及び負のDCパルスの高さ及び又は幅は、同じであってもよい。様々な実施形態では、BPパルス12のそれぞれは、単一の正のAPのDCパルス及び単一の負のAPのDCパルスを含む。一実施形態では、単一の正のAPのDCパルスは、ソース電力がオフ(即ち、低振幅状態)である間に発生し、単一の負のAPのDCパルスは、ソース電力がオンである(即ち、続くSPパルスの高振幅状態と時間的にオーバラップしている)間に発生する。
図8は、本発明の実施形態による、ソースパルス変調回路及びパルス変調タイミング回路に加えてプラズマ電位結合要素を含む例としてのプラズマ処理システムのブロック図を示す。図8のプラズマ処理システムは、例えば図2のプラズマ処理システム200などの他の実施形態のプラズマ処理システムの具体的実施であり得る。図8のプラズマ処理システムは、例えば図9の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかを実行するために使用され得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図8を参照すると、プラズマ処理システム800は、ソース電力及びバイアス電力をプラズマ処理チャンバ810に提供する、BPタイミング回路52を用いてSP制御経路801に結合されるBP制御経路802を含む。SP制御経路801及びBP制御経路802は、図2のSP制御経路201及びBP制御経路202に類似であってもよい。加えて、プラズマ処理システム800は、電位制御電力(PCP)制御経路803も含む。PCP制御経路803は、プラズマ電位結合要素816を用いてプラズマ60に電力を結合する。一実施形態では、プラズマ電位結合要素816は、平板電極である。しかしながら、前述した結合要素のいずれかが使用されてもよい。
PCP制御経路803は、任意選択のPCPタイミング回路854を通してSP制御経路801に結合され得る。任意選択のPCPタイミング回路854は、SPパルス変調回路51及び/又はBPタイミング回路52に結合され得る。BPタイミング回路52と同様に、任意選択のPCPタイミング回路854は、SP制御経路801及びBP制御経路802によって放出されるSPパルス及び/又はBPパルスに対して、プラズマ処理チャンバ810への電位制御電力の印加のタイミングを制御し得る。PCP制御経路803は、任意選択のPCPパルス変調回路855を通してプラズマ電位結合要素816にPCPパルスを提供し得る。
様々な実施形態では、SPパルス変調回路51、BPタイミング回路52、任意選択のBPパルス変調回路53、任意選択のPCPタイミング回路854、及び任意選択のPCPパルス変調回路855のうちの1つ又は複数が、コントローラ850に含まれ得る。前述したコントローラと同様に、コントローラ850は、プラズマ処理チャンバ810に対してローカル又はリモートに配置され得る。
プラズマ電位結合要素816を用いてプラズマに結合される電力は、SPパルスの高振幅状態の間、プラズマの電位を有利に低下させ得る。一実施形態では、負のDC(-VPCP)パルスは、SPパルスの間に提供される。この場合、-VPCPは、プラズマ60のバルク電位を低下させ得る。例えば、プラズマ電位結合要素816における負の電位は、プラズマシースからプラズマバルク内に電子を跳ね返し得る。この負の電荷注入は、バルク電位を低下させ得る。バルク電位は、その後プラズマ温度(例えばTe及びTi)を低下させ得る。したがって、プラズマ生成期間中の負のDC電位のプラズマへの印加は、印加されたソース電力のみを用いたプラズマ生成と比較すると、プラズマ温度増加の低下を伴うプラズマ生成を有利に可能にし得る。
プラズマ電位結合要素816を用いてプラズマに結合される電力は、BPパルスの間マイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に対するイオン速度が上昇する、追加の恩恵をもたらし得る。一実施形態では、正のDC(+VPCP)パルスは、BPパルスの間に提供される。+VPCPパルスは、加工対象物に向かってイオンを跳ね返してもよく、それによって、加工対象物表面に対するイオンの垂直速度を上昇させる。したがって、BPパルスの高振幅状態の間のプラズマへの正のDC電位の印加が、イオンの垂直性及び加工対象物表面に対するイオンエネルギーを有利に増大させ得る。-VPCP及び+VPCPパルスは、同一パルスシーケンスにおいて利用され得るが、そのいずれか又は両方が、いくつかの実施形態において省略され得ることに留意されるべきである。
図9は、本発明の実施形態による、ソース電力パルス及びバイアス電力パルスに加えて電位制御電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図9のタイミング図は、例えば、図1のタイミング図100などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図9を参照すると、タイミング図900は、イオンを生成及びマイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化される、ソース電力1、バイアス電力2、及び電位制御電力903を含む。タイミング図900は、-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912を含む追加のパルスシーケンスを含む。BPパルス12と同様に、-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912は、様々なオフセットパラメータを用いてSPパルス11に対して遅延される。例えば、-VPCPパルス911は、前縁-PCPオフセット916、-VPCPパルス幅917、及び後縁-PCPオフセット918を含み、それらは、-VPCPパルス911のタイミング及び期間に対する制御を可能にする。同様に、+VPCPパルス912は、前縁+PCPオフセット926、+VPCPパルス幅927、及び後縁+PCPオフセット928を含み、それらは、+VPCPパルス912のタイミング及び期間に対する制御を可能にする。
前述したパルスと同様に、-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912は、加工対象物表面のプラズマ処理中、生成されたプラズマに対して所望の制御を及ぼすために必要に応じて任意の適当なパルス幅及びオフセットを含んでもよい。しかしながら、-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912は、時間的に非オーバラップでなければならない。-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912の両方のパルス高さもまた、制御され得る。一実施形態では、-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912のパルス高さの大きさは、実質的に等しい。しかしながら、他の実施形態では、-VPCPパルス911及び+VPCPパルス912のパルス高さの大きさが、異なっていてもよい。
図10は、本発明の実施形態による、ソースパルス変調回路及びパルス変調タイミング回路に加えて電子ビーム源を含む例としてのプラズマ処理システムのブロック図を示す。図10のプラズマ処理システムは、例えば図2のプラズマ処理システム200などの他の実施形態のプラズマ処理システムの具体的実施であり得る。図10のプラズマ処理システムは、例えば図11の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかを実行するために使用され得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図10を参照すると、プラズマ処理システム1000は、ソース電力及びバイアス電力をプラズマ処理チャンバ1010に提供する、BPタイミング回路52を用いてSP制御経路1001に結合されるBP制御経路1002を含む。SP制御経路1001及びBP制御経路1002は、図2のSP制御経路201及びBP制御経路202に類似であってもよい。さらに、プラズマ処理システム1000は、電子ビーム(eビーム)制御電力(eCP)制御経路1004も含む。eCP制御経路1004は、電子1065を生成し、プラズマ60において又はプラズマ60付近で、電子ビーム源1017を用いて電子1065をプラズマ処理チャンバ1010内に導入する。様々な実施形態では、電子ビーム源1017は、電子の指向性ストリームを生成する。一実施形態では、電子ビーム源1017によって生成された電子の指向性ストリームは、例えば、イオン流動方向に垂直な方向に内向きに、プラズマ60の方に向けられる。
eCP制御経路1004は、任意選択のeCPタイミング回路1056を通してSP制御経路1001に結合され得る。任意選択のeCPタイミング回路1056は、SPパルス変調回路51及び/又はBPタイミング回路52に結合され得る。BPタイミング回路52と同様に、任意選択のeCPタイミング回路1056は、SP制御経路1001及びBP制御経路1002によって放出されるSPパルス及び/又はBPパルスに対して、タイミング電子ビーム制御電力を制御し得る。eCP制御経路1004は、任意選択のeCPタイミング回路1056から受信した信号を用いて任意選択のeCPパルス変調回路1057を通してオン状態とオフ状態との間で電子ビーム源1017を交互にし得る。
様々な実施形態では、SPパルス変調回路51、BPタイミング回路52、任意選択のBPパルス変調回路53、任意選択のeCPタイミング回路1056、及び任意選択のeCPパルス変調回路1057のうちの1つ又は複数が、コントローラ1050に含まれ得る。前述したコントローラと同様に、コントローラ1050は、プラズマ処理チャンバ1010に対してローカル又はリモートに配置され得る。
図8及び図9を参照して上述した-VPCPパルス911と同様に、電子1065によってプラズマ60内に注入される負電荷は、プラズマ60のバルク電位及び温度を有利に低下させ得る。電子1065は、プラズマ処理チャンバ1010内のプラズマ60に直接提供されるため、eCP制御経路1004は、他の方法に対して拡張されたTe及びTiに対する制御を有利に可能にし得る。電子1065は、SPパルス及び/又はBPパルスの間に提供され得る。一実施形態では、電子1065は、SPパルスの間に提供される。多様な実施形態では、電子1065は、SPパルス及びBPパルスの間に提供され得る。代替として、電子1065は、それらがSPパルスの後縁の小領域のみとオーバラップし、BPパルスとはオーバラップしないように、パルス化されてもよい。
図11は、本発明の実施形態による、ソース電力パルス及びバイアス電力パルスに加えて電子ビーム電力パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図11のタイミング図は、例えば、図1のタイミング図100などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図11を参照すると、タイミング図1100は、イオンを生成及びマイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化される、ソース電力1、バイアス電力2、及び電子ビーム制御電力1104を含む。タイミング図1100は、eCPパルス1111を含む追加のパルスシーケンスを含む。BPパルス12と同様に、eCPパルス1111は、様々なオフセットパラメータを用いてSPパルス11に対して遅延される。例えば、eCPパルス1111は、前縁eCPオフセット1116、eCPパルス幅1117、及び後縁eCPオフセット1118を含み、それらは、eCPパルス1111のタイミング及び期間に対する制御を可能にする。前述したパルスと同様に、eCPパルス1111は、加工対象物表面のプラズマ処理中に生成されたプラズマに対して所望の制御を及ぼすために必要に応じて任意の適当なパルス幅及びオフセットを含んでもよい。タイミング図1100は、同期eCPパルス1111を示しているが、非同期eCPパルスもまた、同期パルスの代わりに、又は同期パルスに加えて、印加されてもよい。
図12は、本発明の実施形態による、ソースパルス変調回路及びパルス変調タイミング回路に加えて導電グリッドを含む、例としてのプラズマ処理システムのブロック図を示す。図12のプラズマ処理システムは、例えば図2のプラズマ処理システム200などの他の実施形態のプラズマ処理システムの具体的実施であり得る。図12のプラズマ処理システムは、例えば図13の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかを実行するために使用され得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図12を参照すると、プラズマ処理システム1200は、ソース電力及びバイアス電力をプラズマ処理チャンバ1210に提供する、BPタイミング回路52を用いてSP制御経路1201に結合されるBP制御経路1202を含む。SP制御経路1201及びBP制御経路1202は、図2のSP制御経路201及びBP制御経路202に類似であってもよい。加えて、プラズマ処理システム1200は、グリッド制御電力(GCP)制御経路1205も含む。GCP制御経路1205は、導電グリッド1218を用いてプラズマ60に電力を提供する。
一実施形態では、導電グリッド1218は、処理されるべき加工対象物の表面に略垂直な主面を有する導電プレートのネットワークである。一実施形態では、導電グリッド1218は、加工対象物の表面に放出されるイオンの垂直性を増大させるように構成される。いくつかの実施形態では、導電グリッドは、オリフィスプレート、荷電粒子フィルタ、又は電線管であってもよい。いくつかの実施形態では、導電グリッド1218は、リモートプラズマの荷電粒子をフィルタで除去するように構成される。
GCP制御経路1205は、任意選択のGCPタイミング回路1258を通してSP制御経路1201に結合され得る。任意選択のGCPタイミング回路1258は、SPパルス変調回路51及び/又はBPタイミング回路52に結合され得る。BPタイミング回路52と同様に、任意選択のGCPタイミング回路1258は、SP制御経路1201及びBP制御経路1202によって放出されるSPパルス及び/又はBPパルスに対する、プラズマ処理チャンバ1210へのグリッド制御電力の印加のタイミングを制御し得る。GCP制御経路1205は、任意選択のGCPパルス変調回路1259を通して導電グリッド1218にGCPパルスを提供し得る。
様々な実施形態では、SPパルス変調回路51、BPタイミング回路52、任意選択のBPパルス変調回路53、任意選択のGCPタイミング回路1258、及び任意選択のGCPパルス変調回路1259のうちの1つ又は複数が、コントローラ1250に含まれ得る。前述したコントローラと同様に、コントローラ1250は、プラズマ処理チャンバ1210に対してローカル又はリモートに配置され得る。
図8及び図9を参照して上述した-VPCPパルス911と同様に、プラズマ60に近接する負の電位は、プラズマ60のバルク電位及び温度を有利に低下させ得る。図8のプラズマ電位結合要素816とは対照的に、導電グリッド1218は、プラズマ60と加工対象物の表面との間に配置され得る。したがって、イオン上の支配的な力が加工対象物の表面に向かうように、BPパルスの間に導電グリッド1218に印加されるいかなる電位もBP結合要素19の電位と比較して小さく保たれ得る。
図13は、本発明の実施形態による、ソース電力パルス及びバイアス電力パルスに加えてグリッド制御パルスを含むプラズマ処理のための制御の例としての方法の概略タイミング図を示す。図13のタイミング図は、例えば、図1のタイミング図100などの他の実施形態のタイミング図の具体的実施であり得る。同様に、ラベルが付与された要素は、前述の通りであってもよい。
図13を参照すると、タイミング図1300は、イオンを生成し、マイクロエレクトロニクス加工対象物に放出するためにパルス化される、ソース電力1、バイアス電力2、及びグリッド制御電力1305を含む。タイミング図1300は、SP GCPパルス1311及びBP GCPパルス1312を含む追加のパルスシーケンスを含む。BPパルス12と同様に、SP GCPパルス1311及びBP GCPパルス1312は、様々なオフセットパラメータを用いてSPパルス11に対して遅延される。例えば、SP GCPパルス1311は、前縁SP GCPオフセット1316、SP GCPパルス幅1317、及び後縁SP GCPオフセット1318を含み、それらは、SP GCPパルス1311のタイミング及び期間に対する制御を可能にする。同様に、BP GCPパルス1312は、前縁BP GCPオフセット1326、BP GCPパルス幅1327、及び後縁BP GCPオフセット1328を含み、それらは、BP GCPパルス1312のタイミング及び期間に対する制御を可能にする。
SP GCPパルス1311は、SP GCPパルス振幅1304を含み、BP GCPパルス1312は、BP GCPパルス振幅1314を含む。SP GCPパルス振幅1304及びBP GCPパルス振幅1314は、基準電位に対して正又は負であってもよい。一実施形態では、SP GCPパルス振幅1304及びBP GCPパルス振幅1314は、両方とも負である。代替として、SP GCPパルス振幅1304は負であり、BP GCPパルス振幅1314が正である。
SP GCPパルス振幅1304がBP GCPパルス振幅1314よりも大きいことが有利であり得る。例えば、SPパルスの間、SP GCPパルスは、プラズマのバルク電位を低下させるために使用され得る。したがって、SP GCPパルス振幅1304は、プラズマのバルクに影響を及ぼすように十分大きくされてもよい。これに対して、BPパルスの間、BP GCPパルスは、導電グリッドを通過して加工対象物の表面に対して垂直方向に向かうイオンの速度に小さな調整を行うために使用され得る。したがって、BP GCPパルス振幅1314は、プラズマに向かってイオンが反射しないように十分小さくされてもよい。一実施形態では、SP GCPパルス振幅1304は、BP GCPパルス振幅1314よりも大きく、符号が逆である。
前述したパルスと同様に、SP GCPパルス1311及びBP GCPパルス1312が、加工対象物表面のプラズマ処理中に生成されたプラズマに対して所望の制御を及ぼすために必要に応じて任意の適当なパルス幅及びオフセットを含んでもよい。
図14は、本発明の実施形態による、プラズマ処理中のイオン角度分布関数の能動制御に使用可能な制御法則を生成する例としての方法のフローチャートを示す。図14の方法は、例えば、プラズマ処理中に所望の角度広がりを実現するために、図1の方法などの本明細書で説明される方法の実施形態において使用する適当な遅延及び/又はオフセットを判断するために使用され得る。インライン制御は、イオン角度分布関数(IADF)を測定する際の困難性に起因して、不適当な解決策であり得る。その代わりに、IADFのモデルベース制御は、IADFの能動制御を可能にするための解決策として実施され得る。
図14を参照すると、制御法則を生成するためのフローチャート1400は、パルス変調プロセスパラメータの入力アレイを判断することを含むステップ1401を含む。例えば、入力アレイは、様々な遅延、電力、パルス幅、デューティサイクルなどを含んでもよい。入力パラメータアレイは、所与のプラズマ処理システムのための入力パラメータアレイの経験的結果を判断するために実験が行われ得るステップ1402において、使用され得る。様々なプラズマパラメータは、ステップ1403において測定され得る。例えば、プラズマパラメータは、プラズマ処理チャンバ内の1つ又は複数の位置における、プラズマ種の最大、最小、及び平均エネルギー、イオンエネルギー分布関数(IEDF)、イオン角度分布関数(IADF)、イオン角度分布の最大半量値における全幅(δθfwhm)、現像される臨界寸法(DCD)、エッチングされる臨界寸法(ECD)などを含み得る。測定は、実際のプロセス条件の最良近似を求めるためにテストウェハを導入することによって行われてもよい。
入力パラメータアレイもまた、ステップ1404において、プラズマモデルで使用され得る。例えば、プラズマモデルは、入力パラメータのセットを与えられたプラズマパラメータを予測するために、プラズマ処理システムに特有の1次元(1D)モデルであってもよい。プラズマモデルは、また、場合によっては多次元モデルであってもよい。プラズマモデルは、統計上のものであってもよく、及び/又はプラズマチャンバ内のプラズマの物理学ベースのモデルを含んでもよい。測定されたプラズマパラメータに対応する、シミュレートされたプラズマパラメータのセットは、ステップ1405においてプラズマモデルを用いて計算され得る。
ステップ1406において、計算されたプラズマパラメータ及び測定されたプラズマパラメータが、プラズマモデルの精度を判断するために比較され得る。例えば、ある事前選択パラメータが所定の範囲内にある場合に、計算されたパラメータと測定されたパラメータとの間で合致が判断され得る。事前選択パラメータ及び事前判断された範囲の識別は、プラズマプロセスの具体的な設計詳細に依存し得る。計算されたパラメータ及び測定されたパラメータが、ステップ1406において合致しないと判断される場合、プラズマモデルは、ステップ1407において改訂され得る。モデル改訂は、比例定数の調整、境界条件の変更、及び回帰分析、並びに単純モデルのより複雑なモデルとの置換を含み得る。プラズマモデルが改訂された後、方法は、ステップ1404に戻る。
測定されたプラズマパラメータ及び計算されたプラズマパラメータが、合致していると分かる場合、制御法則が、ステップ1408において生成され得る。制御法則は、イオン角度分布δθfwhmの変化(Δδθfwhmと示される)の間の関係性を、1つ又は複数の遅延パラメータの変化の関数f(Δtdelay)として定義し得る。具体的には、制御法則は、1つ又は複数の遅延パラメータの所与の変化についてのイオン分布の角度広がりの変化の正確な予測を有利に可能にし得る。
図15は、本発明の実施形態による、プラズマプロセスのフィードフォワード制御の例としての方法のフローチャートを示す。例えば、図15の方法は、例えば、図14の方法によって判断され得るように、制御法則を実施することによってフィードフォワード方式でプラズマプロセスを制御するためにプラズマ処理システムによって実行され得る。フィードフォワード制御方法は、例えば、臨界寸法(CD)の変量、角度分布などの所望の値から予期される、及び/又は測定される変量に基づいて、新たなパルス遅延を判断することによって、プラズマ処理システムの制御を可能にし得る。
図15を参照すると、フィードフォワード制御の方法についてのフローチャート1500が、臨界寸法の変量ΔCDを測定するステップ1501を含む。例えば、CDは、特定のプラズマプロセスのDCDのECDであってもよい。いくつかの実施形態では、ステップ1501は、複数のΔCDを測定してもよく、又はステップ1501は、省略されてもよい。ステップ1502は、角度分布の変量Δδθfwhmを測定することを含む。ステップ1501と同様に、複数の種についての角度分布の変量は、いくつかの実施形態ではステップ1502において測定され得る。代替として、ステップ1502は省略されてもよい。
ステップ1503において、補正モデルが、制御法則を用いて適用され得る。一実施形態では、補正モデルは、線形補正モデルである。例えば、制御法則は、例として図14の方法などの適当な方法を用いて事前判断され得る。線形補正モデルの結果に基づいて、1つ又は複数の新たは遅延パラメータtdelayが、判断され得る。
図16は、本発明の実施形態による、プラズマ処理中の制御の例としての方法を示す。図14及び図15のフローチャートはイベントの特定の順序を示すように意図されるが、図16に示される方法は、方法のステップを特定の順序に限定するように意図されないことに留意されたい。したがって、以下の方法のステップは、当業者に明らかであり得るような任意の適当な順序で実行され得る。
プラズマ処理中の制御の方法1600のステップ1601は、SPパルスの第1のシーケンスを生成することを含む。ステップ1602は、BPパルスの第2のシーケンスを生成することを含む。SPパルス及びBPパルスは、例えば図1の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかに従って、様々なパルス変調パラメータを用いて生成され得る。さらに、SPパルス及びBPパルスは、例えば図2のシステムなどの、本明細書で説明されるシステムの実施形態のいずれかを用いて形成され得る。一実施形態では、SPパルスが、パルス変調回路を用いて生成される。パルス変調回路は、コントローラ内に含まれ得る。
プラズマ処理中の制御の方法1600のステップ1603は、第1のシーケンスのSPパルスに対して第2のシーケンスのBPパルスを遅延させて、交互のSPパルス及びBPパルスの組み合わせシーケンスを形成することを含む。例えば、各SPパルスの後にBPパルスが続いてもよいが、各BPパルスの後にSPパルスが続く。一実施形態では、BPパルスが、タイミング回路を用いて遅延される。タイミング回路は、コントローラ内に含まれ得る。
ステップ1604は、組み合わせシーケンスを用いてイオン含有プラズマを生成することを含み、ステップ1605は、組み合わせシーケンスを用いて加工対象物の表面にイオンを放出することを含む。組み合わせシーケンスは、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成するために使用され得る。プラズマは、イオンを含んでもよく、組み合わせシーケンスは、加工対象物の表面にイオンを放出するためにさらに用いられてもよい。
図17は、本発明の実施形態による、プラズマ処理の例としての方法を示す。図14及び図15のフローチャートはイベントの特定の順序を示すように意図されるが、図17に示される方法は、方法のステップを特定の順序に限定するように意図されないことに留意されたい。したがって、以下の方法のステップは、当業者に明らかであり得るような任意の適当な順序で実行され得る。
プラズマ処理の方法1700のステップ1701は、プラズマを生成するためにソース電力をプラズマ処理チャンバに提供することを含む。ソース電力は、複数のソース電力パルスを含む。SPパルスは、例えば図1の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかに従って、様々なパルス変調パラメータを用いて生成され得る。さらに、SPパルスは、例えば図2のシステムなどの、本明細書で説明されるシステムの実施形態のいずれかを用いて形成され得る。
プラズマ処理の方法1700のステップ1702は、バイアス電力をプラズマ処理チャンバに提供することを含む。バイアス電力は、時間的に少なくとも部分的にオーバラップしない複数のBPパルスを含む。様々な実施形態では、SPパルス及びBPパルスは、時間的に完全にオーバラップしない。BPパルスは、例えば図1の方法などの、本明細書で説明される方法の実施形態のいずれかに従って、様々なパルス変調パラメータを用いて生成され得る。さらに、BPパルスは、例えば図2のシステムなどの、本明細書で説明されるシステムの実施形態のいずれかを用いて形成され得る。
本明細書で説明される実施形態は、ソースパルスとバイアスパルスとの間のタイミングを制御することによって、マイクロエレクトロニクス加工対象物の表面におけるイオンの入射角を有利に制御し得る。例えば、マイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に到達する所与のイオンの入射角は、バイアス電力によってイオンに分け与えられる略垂直速度とイオンの温度に起因するランダム速度との組み合わせである。イオンの温度は、プラズマ生成中にソース電力と共に上昇し、ソース電力がオフにされる場合に低下する。実施形態は、また、略垂直速度が上昇してランダム速度が低下するように、プラズマ処理チャンバへのソース電力及びバイアス電力の印加の柔軟性を有益に可能にし得る。
本明細書で説明される実施形態は、また、プラズマ生成を特定の期間に限定することの恩恵を提供し得る。例えば、高周波数をプラズマアフタグロー位相に適用することは、プラズマ生成だけでなく電子及びイオン加熱をもたらし得る。さらに、実施形態は、ソース電力がオフの間のバイアス電力パルスを有利に可能にしてもよく、それによって、イオンは、追加のプラズマ生成又は加熱なしに、アフタグロー位相において加速される。これは、イオンの角度分布を制御することに加えて、イオンエネルギーに対する制御を増大させるという結果を有益にもたらし得る。
説明される実施形態のさらなる利点は、例として、低周波数RF電力(例えば、400kHz未満)を含むバイアス電力、DC電力パルス、又は交互極性のDC電圧パルスの柔軟な印加であってもよい。低周波数のバイアス電力パルス及び/又はDCパイアス電力パルスは、ソース電力をオフにした結果として増大した有効性を有し得る。交互極性のDCパルスは、電荷が処理中の基板上に蓄積されることを有利に防止し得る。例えば、マイクロエレクトロニクス加工対象物の基板が、誘電体層を含む場合、交互極性のDCバイアス電力パルスは、基板上の望ましくない電荷を減少させ、又は除去し得る。
説明される実施形態の別の考えられる恩恵は、一定の粒子流動をマイクロエレクトロニクス加工対象物の方に向けて維持することである。例えば、ソース電力パルスのオフタイムは、イオン及びラジカルなどの他の望ましい粒子がマイクロエレクトロニクス加工対象物の表面に一定速度で到達するように、選択され得る。ソース電力のオフタイムを選択するとき、特に特定の種の拡散係数及び付着係数、並びにプラズマ処理チャンバの臨界寸法を含む、複数のパラメータが考慮され得る。
本発明の例としての実施形態が、ここに要約されている。他の実施形態もまた、明細書全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解され得る。
実施例1.プラズマ処理の方法であって、ソース電力(SP)パルスの第1のシーケンスを生成することと、バイアス電力(BP)パルスの第2のシーケンスを生成することと、第2のシーケンスのBPパルスを第1のシーケンスのSPパルスと組み合わせて、交互のSPパルス及びBPパルスの組み合わせシーケンスを形成することと、組み合わせシーケンスを用いて、イオンを含むプラズマを生成すること、及び基板の主面にイオンを放出することによって基板を処理することと、を含む、方法。
実施例2.SPパルスの後縁とBPパルスの前縁との間のオフセット期間を調整することをさらに含む、実施例1の方法。
実施例3.第2のシーケンスのBPパルスのパルス幅期間を調整することをさらに含む、実施例1及び2のうちの1つの方法。
実施例4.第1のシーケンスのSPパルス間のオフタイム期間を調整することをさらに含む、実施例1~3のうちの1つの方法。
実施例5.電位制御電力(PCP)パルスの第3のシーケンスを生成することであって、第3のシーケンスのPCPパルスが、組み合わせシーケンスの交互のSPパルス及びBPパルスと時間的にオーバラップする、第3のシーケンスを生成することをさらに含む、実施例1~4のうちの1つの方法。
実施例6.PCPパルスが、負の直流(DC)パルスを含み、負のDCパルスが、SPパルスの間プラズマに提供される、実施例5の方法。
実施例7.PCPパルスが、正の直流(DC)パルスを含み、正のDCパルスが、BPパルスの間プラズマに提供される、実施例5の方法。
実施例8.組み合わせシーケンスの交互のSPパルス及びBPパルスの間、電子の流れをプラズマにおいて提供することをさらに含む、実施例1~7のうちの1つの方法。
実施例9.プラズマ処理の方法であって、プラズマを生成するためにソース電力(SP)をプラズマ処理チャンバに提供することであって、SPが、複数のSPパルスを含む、SPを提供することと、複数のBPパルスを含むバイアス電力(BP)をプラズマ処理チャンバに提供することであって、複数のSPパルス及び複数のBPパルスが、組み合わされてパルスシーケンスを形成し、パルスシーケンスの各パルスが、複数のSPパルスのうちのSPパルス及び複数のBPパルスのうちのBPパルス、並びにSPパルスの一部又はBPパルスの一部のいずれかが高振幅状態にある時間間隔を含む、BPを提供することと、を含む、方法。
実施例10.SPが、第1の周波数の交流(AC)電力を含み、BPが、第2の周波数のAC電力を含み、第2の周波数が、第1の周波数よりも小さい、実施例9の方法。
実施例11.第1の周波数が、約10MHzより大きく、第2の周波数が、約5MHz未満である、実施例10の方法。
実施例12.第2の周波数が、約400kHz未満である、実施例10の方法。
実施例13.SPが、交流(AC)電力を含み、BPが、直流(DC)電力を含む、実施例9の方法。
実施例14.SP及びBPをプラズマ処理チャンバに提供することが、複数のSPパルスのうちのSPパルスを複数のBPパルスのうちのBPパルスと交互にすることを含み、複数のBPパルスのそれぞれが、単一のDCパルスを含む、実施例13の方法。
実施例15.複数のBPパルスのそれぞれが、交互極性のDCパルスを含む、実施例13の方法。
実施例16.パルスシーケンスが、周期シーケンスであり、SP及びBPをプラズマ処理チャンバに提供することが、複数のSPパルス及び複数のBPパルスを含む周期シーケンスをプラズマ処理チャンバに放出することを含み、周期シーケンスの各サイクルが、複数のSPパルスのうちの正確に1つのSPパルスを含み、複数のSPパルスのそれぞれのデューティサイクルが、約50%である、実施例9~15のうちの1つの方法。
実施例17.周期シーケンスの各サイクルが、複数のBPパルスのうちの正確に1つのBPパルスを含み、SP及びBPをプラズマ処理チャンバに提供することが、複数のBPパルスのそれぞれのデューティサイクルが50%未満であるように複数のBPパルスのそれぞれを遅延させることを含む、実施例16の方法。
実施例18.プラズマ処理システムであって、ソース電力(SP)パルスの第1のシーケンス及びバイアス電力(BP)パルスの第2のシーケンスを生成し、第2のシーケンスのBPパルスを第1のシーケンスのSPパルスと組み合わせて、交互のSPパルス及びBPパルスの組み合わせシーケンスを形成するように構成される、コントローラと、コントローラに結合され、組み合わせシーケンスを用いて生成されたイオンを含むプラズマを生成するように構成される、プラズマ処理チャンバであって、生成されたイオンを受け取るための基板を支持するように構成される、プラズマ処理チャンバと、を含む、システム。
実施例19.コントローラが、SPパルスの後縁とBPパルスの前縁との間のオフセット期間を調整し、第2のシーケンスのBPパルスのパルス幅期間を調整するか、又は第1のシーケンスのSPパルス間のオフタイム期間を調整するようにさらに構成される、実施例18のシステム。
実施例20.コントローラが、電位制御電力(PCP)パルスの第3のシーケンスを生成するようにさらに構成され、第3のシーケンスのPCPパルスが、組み合わせシーケンスの交互のSPパルス及びBPパルスと時間的にオーバラップする、実施例18及び19のうちの1つのシステム。
本明細書で説明される電力制御技術は、コントローラによって制御され得る。コントローラが、本明細書で説明される機能性を提供するようにプログラムされた1つ又は複数のプログラム可能な集積回路を用いて実施され得ることにも留意されたい。例えば、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置など)、プログラマブルロジックデバイス(例えば、CPLD(コンプレックスプログラマブルロジックデバイス)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)など)、及び/又は他のプログラム可能な集積回路は、本明細書で説明される機能性のいずれかを実施するようにソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラムされ得る。ソフトウェア又は他のプログラミング命令が、1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリストレージデバイス、フラッシュメモリ、DRAMメモリ、再プログラム可能なストレージデバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROMなど)に記憶され得ること、並びにソフトウェア又は他のプログラミング命令が、プログラム可能な集積回路によって実行されると、本明細書で説明されるプロセス、機能、及び/又は能力をプログラム可能な集積回路に実行させることにさらに留意されたい。上記の他の変形も実施され得る。
1つ又は複数の蒸着処理は、本明細書で説明される材料層を形成するために使用され得る。例えば、1つ又は複数の蒸着は、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、物理的気相蒸着(PVD)、原子層蒸着(ALD)、及び/又は他の蒸着処理を用いて実施され得る。プラズマ蒸着処理に関し、炭化水素、過フッ化炭化水素、又は多様な圧力、電力、流れ、及び温度条件で1つ又は複数の希釈ガス(例えばアルゴン、窒素など)と組み合わせた炭化水素含有窒素を含むがこれらに限定されない、前駆体ガス混合物が使用され得る。フォトレジスト(PR)層に対するリソグラフィ処理は、光リソグラフィ、極紫外線(EUV)リソグラフィ、及び/又は他のリソグラフィ処理を使用して実施され得る。エッチング処理は、プラズマエッチング処理、放電エッチング処理、及び/又は他の所望のエッチング処理を使用して実施され得る。例えば、プラズマエッチング処理は、過フッ化炭化水素、酸素、窒素、水素、アルゴン、及び/又は他のガスを含むプラズマを使用して実施され得る。加えて、プロセス工程の動作変数は、ビアのCD標的パラメータがビア形成中に達成されることを保証するように制御され得る。動作変数は、例えばチャンバ温度、チャンバ圧力、ガスの流量、プラズマの生成において電極アセンブリへ適用される周波数及び/又は電力、及び/又はプロセス工程のための他の動作変数を含み得る。上記の変形も、本明細書で説明される技術を依然として活用しつつ実施され得る。
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、この説明は、限定的な意味に解釈されるように意図されない。例示的実施形態の様々な修正及び組み合わせ、並びに本発明の他の実施形態は、説明の参照時に当業者に明らかであろう。例えば、図8、図10、及び図12の実施形態は、さらなる実施形態において組み合わされてもよい。同様に、図2~図7などの図2に関して説明される実施形態は、図9、図11、又は図13と組み合わされてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、任意のそのような修正又は実施形態を包含することが意図される。