JP7367530B2 - 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム Download PDF

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Description

本開示は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末、ホームエージェント等の専用端末を用いて、ユーザの質問や要求、コンテキストに応じてコンテンツや行動の推薦をしてくれるエージェントが提供されている。かかるエージェントは、利用者の現時点における短期的な利便性や快適性を向上するためのものであった。例えば、質問をすると天気を答えてくれる、目覚ましをセットしてくれる、スケジュール管理をしてくれるエージェントは、質問や課題に対する応答が直接的で短期的な1セッション(要求と応答で完結)で閉じている。
一方、長期的な視野に立って徐々に課題解決に近付けていくための行動変容を促す先行技術としては次のものがある。
例えば下記特許文献1では、健康管理、教育、リハビリ、自閉症治療などの分野において、目標と対象者の行動データから、対象者が行動変容ステージのどれに対応するか判定し、判定に基づいて、対象者の行動を変容させる介入の仕方を選定する手段を備えた行動支援システムが開示されている。
また、下記特許文献2では、学習用データを用いて自動生成された、評価ルールの評定条件を有する評価部により行動変容ステージを自動判定する支援装置が開示されている。具体的には、メタボリック保険指導の指導者と対象者との会話から行動変容ステージを判定可能である。
特開2016-85703号公報 特開2010-102643号公報
しかしながら、上記の先行技術はいずれも特定の課題が予め決められており、課題そのものが判断されていなかった。また、行動変容もステージが予め決められており、ルールベースによる特定の事象の判断しかできていなかった。
また、家族などの特定コミュニティにおいては、小集団であればあるほどコミュニティ間で行動規範の違いが生じる可能性が高まるが、特定コミュニティ毎に行動規範を生成することは行われていなかった。
そこで、本開示では、コミュニティの行動規範を自動生成し、自発的行動変容を促すことが可能な技術を提案する。
本開示によれば、特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおける行動規範を自動生成し、前記行動規範に基づき、前記メンバーが行動変容するように促す、制御を行う制御部を備える、情報処理装置を提案する。
本開示によれば、特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータに基づき予め自動生成された前記特定コミュニティにおける行動規範に応じて、前記特定コミュニティに属する前記メンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータに従って、前記メンバーが行動変容するように働きかける、制御を行う制御部を備える、情報処理装置を提案する。
本開示によれば、プロセッサが、特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおける行動規範を自動生成することと、前記行動規範に基づき、前記メンバーが行動変容するように促すことと、を含む、情報処理方法を提案する。
本開示によれば、コンピュータを、特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおける行動規範を自動生成し、前記行動規範に基づき、前記メンバーが行動変容するように促す、制御を行う制御部として機能させるためのプログラムが記録された、記録媒体を提案する。
以上説明したように本開示によれば、コミュニティの行動規範を自動生成し、自発的行動変容を促すことが可能となる。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。 本開示の一実施形態による情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。 本開示の一実施形態による情報処理システムの動作処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第1の実施例のマスターシステムの概要について説明する図である。 本実施形態による第1の実施例のマスターシステムの構成例を示すブロック図である。 本実施形態による第1の実施例の課題指標の一例を示す図である。 本実施形態による第1の実施例の因果分析について説明する図である。 本実施形態による第1の実施例の因果分析結果に基づく因果パスの探索について説明する図である。 本実施形態による第1の実施例における朝食開始時刻と団らん時間(時間/週)の確率分布を示す表である。 本実施形態による第1の実施例における起床時刻と朝食開始時刻の確率分布を示す表である。 本実施形態による第1の実施例における起床時刻と団らん時間の間の確率分布を求める行列演算について説明する図である。 図11に示す行列演算の結果得られた起床時刻と団らん時間の間の確率分布の表を示す図である。 本実施形態による第1の実施例の動作処理の全体の流れを示すフローチャートである。 本実施形態による第1の実施例の課題推定処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第1の実施例の介入予約処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第1の実施例の介入処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第1の実施例の価値観の違いの因果パスの一例を示す図である。 本実施形態による第2の実施例のマスターシステムの構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態による第2の実施例の動作処理の基本フローチャートである。 本実施形態による第2の実施例の食のしつけに関する行動変容処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第2の実施例の皿の片付けに関する行動変容処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第2の実施例のオフィスの机の片付けに関する行動変容処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第2の実施例の部屋の片付けに関する行動変容処理を示すフローチャートである。 図23に示す例における行動変容を促す情報提示の一例について説明する図である。 本実施形態による第2の実施例の赤ちゃんの泣き声に関する行動変容処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第2の実施例のおもちゃに関する行動変容処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第2の実施例の総合価値観に関する行動変容処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第2の実施例の総合価値観の各候補の算出例を示す表である。 本実施形態による第3の実施例のマスターシステムの構成の一例を示すブロック図である。 本実施形態による第3の実施例の食事記録の一例を示すグラフである。 本実施形態による第3の実施例の生活リズムのかい離について説明する図である。 本実施形態による第3の実施例の夕食時間のリズムを生成する動作処理を示すフローチャートである。 本実施形態による第3の実施例の曜日ごとの累積平均時刻の算出式の一例を示す図である。 本実施形態による第3の実施例の生活リズムに基づいてアドバイスを生成するフローチャートである。 本実施形態による第3の実施例の変形例による事象の重複に応じて生活リズムの調整(行動変容)を促すフローチャートである。 本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要
2.第1の実施例(課題の推定と行動変容)
2-1.構成例
2-2.動作処理
2-3.補足
3.第2の実施例(価値基準の生成と行動変容)
3-1.構成例
3-2.動作処理
4.第3の実施例(生活リズムの調整)
4-1.構成例
4-2.動作処理
4-3.変形例
5.ハードウェア構成例
6.まとめ
<<1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要>>
図1は、本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。図1に示すように、本実施形態による情報処理システムでは、家族等のコミュニティ2A~2Cごとに、所定の行動規範に従って仮想的なエージェント(特定コミュニティのマスター的存在。本明細書では、以下、「マスター」と称する)により行動変容を促すマスターシステム10A~10Cが存在する。図1では、マスターシステム10A~10Cを擬人化して図示している。マスターシステム10A~10Cは、特定コミュニティ内の各ユーザの行動記録に基づいて、行動規範を自動生成し、行動規範に基づいて行動変容を間接的に促すことで、コミュニティの課題解決等を行い得る。ユーザ側としては、マスターの言葉に従って行動しているうちに、行動規範(課題や価値基準)を意識せずとも、いつの間にかコミュニティ内の課題が解決していたり、価値基準を合わせることができ、コミュニティの状況を改善することが可能となる。
(背景)
上述したように、従来のマスターシステムでは、いずれも特定の課題が予め決められており、課題そのものが判断されていなかった。また、従来のマスターシステムは、要求と応答で完結する短期的な1セッションで閉じているが、実生活においては複数の要因が複雑に絡み合った課題が多く存在し、このような課題は直接的または短期的には解決できないものである。
また、課題の内容や解決方法は一通りではなく、例えば家庭の問題の場合にはその過程の行動規範や環境によって課題の深刻さや解決方法が異なることが考えられる。そのために、複数の要因の関係性を分析して、短期的ではない長期的な解決方法を探ったり、どこに介入するのかを探ることが重要となる。行動規範一つを取ってみても、家族などの特定コミュニティにおいては、小集団であればあるほどコミュニティ間で行動規範の違いが生じる可能性が増えて、そのコミュニティの独自の「倫理」が存在する可能性も増えてくる。従って、行動規範を汎用のモノ一つに限定したり、ビッグデータを全部集めたものを標準とするようなことには無理が生じてくるため、家族などの特定コミュニティに注目してデータを収集し、特定コミュニティにおける行動規範を明確にすることが重要になってくる。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、特定コミュニティ毎に行動規範を自動生成し、自発的行動変容を促すことが可能なマスターシステム10を提供する。
図2は、本開示の一実施形態による情報処理システム(マスターシステム10)の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態によるマスターシステム10は、データ解析部11と、行動規範生成部12と、行動変容指示部13とを含む。マスターシステム10は、ネットワーク上のサーバにより構成されてもよいし、ホームエージェント等の専用端末やスマートフォン、タブレット端末等のクライアント装置により構成されてもよい。
データ解析部11は、家族などの特定のコミュニティに属するユーザの行動をセンシングしたセンシングデータの解析を行う。
行動規範生成部12は、データ解析部11による解析結果に基づいて、特定コミュニティの行動規範を生成する。ここで「行動規範」とは、その特定コミュニティが抱える課題を解決するための手段(例えば、団らん時間が少ないという課題を推定し、団らん時間を増やすという行動規範を自動生成する)、若しくは、その特定コミュニティにおける価値基準の生成(推定)が挙げられる。
行動変容指示部13は、行動規範生成部12により生成した行動規範に従って、特定コミュニティのユーザに行動変容を促す通知等の制御を行う。
かかる構成を有するマスターシステム10の動作処理を、図3に示す。図3に示すように、まず、マスターシステム10は、特定コミュニティのセンサデータを収集し(ステップS103)、データ解析部11によりセンサデータの解析を行う(ステップS106)。
次に、行動規範生成部12は、データ解析部11による解析結果に基づいて、特定コミュニティの行動規範を生成し(ステップS109)、生成できた場合は(ステップS109/Yes)、行動規範の情報を蓄積する(ステップS112)。
次いで、行動変容指示部13は、行動規範に基づいて行動変容することが可能な介入すべき事象を判断する(ステップS115/Yes)。例えば、行動規範を実現するために行動変容が可能な事象(起床時刻、運動頻度等、若しくは、生活リズム)の判断や、価値基準からずれた状況を、介入すべき事象として判断する。
そして、行動変容することが可能な介入すべき事象が見つかった際(ステップS115/Yes)、行動変容指示部13は、特定コミュニティ内のユーザに対して間接的に行動変容を促す(ステップS118)。具体的には、行動変容指示部13は、行動の変化、生活リズムの調整、若しくは、価値基準からの逸脱を解消する行動を、間接的に促す。このように行動規範を自動生成した上で、行動変容を間接的に促すことで、特定コミュニティ内の各ユーザは、行動規範(課題や価値基準)を意識せずとも、マスターに従って行動しているうちに、いつの間にか特定コミュニティ内の課題を解決したり、価値基準に従った行動を取ることができ、特定コミュニティの状況を改善することが可能となる。
以上、本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明した。なお、本実施形態の構成は、図2に示す例に限定されない。例えば、特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータに基づき予め自動生成された特定コミュニティにおける行動規範を既に有している場合、特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータに従って(データ解析部11)、メンバーが行動変容するように働きかける(行動変容指示部13)制御を行う情報処理装置であってもよい。続いて、本実施形態による情報処理システムについて、第1~第3の実施例を用いて具体的に説明する。第1の実施例では、行動規範の生成として「推定した課題を解決する手段の分析」を行い、課題を解決するために行動変容を間接的に促すことについて説明する。また、第2の実施例では、行動規範の生成として「価値基準の生成」を行い、価値基準から逸脱している場合は行動変容を間接的に促すことについて説明する。また、第3の実施例では、第1の実施例によって推定された課題を解決するための行動変容として生活リズムを調整することについて説明する。
<<2.第1の実施例(課題の推定と行動変容)>>
まず、第1の実施例によるマスターシステム10-1について、図4~図17を参照して説明する。本実施例では、家族単位など小規模のコミュニティにおける日常的なデータ収集と日常的な分析を行う(Casual Analysis)ことで、その家族に起こっている課題を見つけ出し、またその課題を長期的視野で解決するための行動変容を促す介入行為を行う。すなわち、日常的に収集した家族のデータに基づいて家族の課題を推定し、その課題を解決するための行動規範として目的変数を自動生成し(例えば、「団らん時間(を増やす)」)、目的変数を起点とした因子変数の関係グラフを作成し、その関係グラフに基づき、目的変数を所望の値にするための行動変容を促す介入ポイント(例えば、「夜遅くの飲酒量」、「運動強度」。因子変数)を見つけて介入し、長期的なスパンで家族の課題が解決されるように導く(例えば、目的変数に関連する因子変数が所望の値に近付くよう、メンバーに対して行動変容を促す)。分析アルゴリズムには、例えば株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所により提供される因果分析アルゴリズムであるCALC(登録商標、カルク)を使用することで、多変数間の複雑な因果関係を分析することが可能である。
図4は、第1の実施例の概要について説明する図である。第1の実施例は、大まかに図4に示す流れにより行われる。すなわち、A:日常的な行動モニタリングを行い、B:課題の推定を行い、C:因果分析の目的変数として課題を自動設定し、D:介入できるポイントとタイミングで介入する(行動変容を促す)。かかるA~Dに示す処理を日常的に繰り返すことで、行動変容が起こり、徐々に特定コミュニティ内の課題が解決されていく。
(A:日常的な行動モニタリング)
本実施例では、センシングできる情報の種類が多ければ多いほど広範囲のデータを使用して分析することが可能となる。分析するデータは、特定の種類のデータに限定しない。例えば、先行技術などでは用途を限定して分析に使用するデータを予め決めている場合もあるが、本実施形態ではその必要はなく、取得できるデータの種類を随時増やす(データベースに随時登録していく)ことが可能である。
(B:課題の推定)
本実施例では、例えば特定コミュニティの一例である家族に関する課題となり得る指標と、その指標の計算に必要なセンサや行動履歴の指標の関係を記述した指標リスト(例えば「家族仲に関する指標リスト」など)を用いて課題の推定を行い得る。具体的には、各センサ/行動履歴指標の値を確認し、課題となりえる指標(例えば、「家族の団らん時間」)がしきい値を下回っていないか(あるいは超えていないか)を判断する。この処理はリストの項目数分行われ、その家族が抱えている課題をリストアップすることが可能となる。
(C:因果分析の目的変数として課題を自動設定)
検出した課題を目的変数とし、その他のセンサ/行動履歴情報を説明変数として因果分析を行う。この際、説明変数は指標リストの課題に関連する指標だけでなく、他の指標も説明変数として投入してかまわない。課題が複数ある場合はそれぞれを目的変数として個別に複数回分析する。
(D:介入できるポイントとタイミングでマスターが介入)
分析を行った結果は、目的変数に直接関係する因子が接続し、その因子の先にまた別の因子がつくようなグラフ構造となる。このグラフを目的変数を起点に辿っていくことで、因果関係を結果から原因方向に遡って調べることが可能になる。このとき、各因子には介入可能な因子(例えば起床時刻)かどうかを示すフラグがついており、介入可能な場合にはその因子にマスターが介入して結果を良くする方向へ行動変容を促す。行動変容を促す方法としては、直接的にユーザに指示する方法の他にもリラックスする音楽をかける、目覚ましの時間を最適な時間にするなど間接的な介入も可能である。
<2-1.構成例>
図5は、第1の実施例のマスターシステム10-1の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、マスターシステム10-1は、情報処理装置20、環境側センサ30、ユーザ側センサ32、サービスサーバ34、および出力デバイス36を含む。
(センサ群)
環境側センサ30、ユーザ側センサ32、およびサービスサーバ34は、特定コミュニティに属するユーザ(メンバー)に関する情報の取得先の一例であって、本実施形態はこれに限定されず、また、これら全てを含む構成にも限定されない。
環境側センサ30は、例えば、部屋に設置されたカメラ、マイクロフォン(以下、マイクと称す)、距離センサ、照度センサ、テーブルや椅子、ベッドなどに設置された圧力/振動センサなど、環境側に設けられた各種センサを含む。環境側センサ30によりコミュニティ単位で検知することで、例えばリビングの固定カメラで笑顔量を取ると決めておくことで、家庭内において同一条件で笑顔量を取得することが可能となる。
ユーザ側センサ32は、スマートフォンや携帯電話端末、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(HMD、スマートアイグラス、スマートバンド等)等に設けられた加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁センサ、位置センサ、心拍や体温等の生体センサ、カメラ、マイク等の各種センサが含まれる。
サービスサーバ34は、特定コミュニティに属するユーザが利用しているSNSサーバ、位置情報取得サーバ、電子商取引サーバ(E コマースサイトなど)が想定され、センサ以外からのユーザに関する情報(移動履歴やショッピング履歴などのユーザ行動に関する情報等)をネットワーク上から取得し得る。
(情報処理装置20)
情報処理装置20(因果分析サーバ)は、受信部201、送信部203、画像処理部210、音声処理部212、センサ/行動データ処理部214、因子変数DB(データベース)220、介入用デバイスDB224、介入ルールDB226、介入予約DB228、課題指標DB222、課題推定部230、因果分析部232、および介入部235を有する。画像処理部210、音声処理部212、センサ/行動データ処理部214、課題推定部230、因果分析部232、および介入部235は、情報処理装置20に設けられた制御部により制御され得る。制御部は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置20内の動作全般を制御する。制御部は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
情報処理装置20は、ネットワーク上のクラウドサーバにより構成されてもよいし、中間サーバやエッジサーバにより構成されてもよいし、ホームエージェント等の家庭に置かれる専用端末により構成されてもよいし、PCやスマートフォン等の情報処理端末により構成されてもよい。
・受信部201および送信部203
受信部201は、環境側センサ30、ユーザ側センサ32、およびサービスサーバ34から、特定コミュニティに属する各ユーザのセンサ情報や行動データを取得する。また、送信部203は、介入部235による処理に従って、出力デバイス36に、間接的に行動変容を促すための出力制御を指示する制御信号を送信する。
受信部201および送信部203は、情報処理装置20に設けられる通信部(不図示)により構成される。通信部は、有線または無線により、環境側センサ30、ユーザ側センサ32、サービスサーバ34、および出力デバイス36等の外部装置と接続し、データを送受信する。通信部は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、3G(第3世代の移動体通信方式))等により外部装置と通信接続する。
・データ処理部
特定コミュニティに属するユーザの各種センサ情報および行動データは、画像処理部210、音声処理部212、およびセンサ/行動データ処理部214により適宜処理される。具体的には、画像処理部210では、カメラの画像から人物認識、表情認識、物体認識などを行う。また、音声処理部212は、マイクの音声から会話認識、話者認識、会話のポジティブ/ネガティブ認識、感情認識などを行う。また、センサ/行動データ処理部214は、センサによっては生データをそのまま記録するのではなく、処理を行って意味づけしたラベルに変換するなどの処理を行う(例えば椅子の振動センサから着席している時間などに変換)。また、センサ/行動データ処理部214は、SNSの情報や位置情報(GPSなど)から、どこで何をしているかを示すユーザの行動コンテキスト(レストランで家族で食事など)を抽出する。また、センサ/行動データ処理部214は、SNSに投稿された文章から感情のポジティブ/ネガティブを抽出したり、ユーザ間のインタラクション情報から誰と一緒にいたか、また、誰と共感したかなどの情報を抽出することも可能である。
以上の処理を行ったデータは、課題推定や因果分析のための変数として、因子変数DB220に格納される。以降、因子変数DB220に格納された変数を「因子変数」と称する。因子変数は、例えば下記表1に示すような種類が考えられるが、本実施例による因子変数の種類はこれに限定せず、取得できる指標は何を使用してもよい。
Figure 0007367530000001
・課題推定部230
課題推定部230は、課題指標DB222に登録されている各課題指標と関連する因子変数の値を調査し、課題が起こっているかどうかを判断(課題を推定)する。図6に、本実施例による課題指標の一例を示す。図6に示すように、例えば家族仲に関する課題指標として、「娘との会話時間」、「家族の団らん時間」、「子供の反抗時間」、および「夫婦喧嘩の時間」等が予め設定されている。各課題指標の因子変数としては、図6に示すような項目が挙げられる。また、課題指標DB222には、因子変数に基づいて課題ありと判断するための条件も紐付けられている。例えば「家族の団らん時間」の課題は、家族が一緒にテーブルについている時間や、ポジティブな会話の時間、および笑顔量等により判断されるが、より具体的には、「1週間の会話時間が3時間以下」、「平日の朝食の全員集合が週平均2日以下」「ポジティブな会話の割合が会話内容の30%以下」等の条件が挙げられる。
課題推定部230は、このように課題指標で提示されている全ての条件を満たしている場合に課題ありと判断してもよいし、どれか一つでも該当していたら課題ありとみなしてもよい。また、全ての条件を満たす場合に課題ありとみなすのか、どれか一つの条件を満たす場合に課題ありとみなすのかを、予め設定しても構わないし、課題ごとに複雑な条件設定ができるようなフラグを付けてもかまわない。ここで利用される因子変数は、各課題指標について事前に人が紐付けたルールベースで予め記述されている因子変数である。
・因果分析部232
因果分析部232は、課題推定部230により課題が推定された(課題が起こっていると判断された)場合、当該課題の因果分析を行う。従来、多変量確率変数における観察データからの統計的因果関係の推定は、情報量規準や罰則付き最尤法またはベイズ法による推定結果をスコアとしてこれを最大化する方法と、変数間の条件付き独立性の統計的検定によって推定する方法とに大別される。その結果としての変数間の因果関係を、グラフィカルモデル(非循環モデル)として表現することは、その結果の可読性の良さからしばしば行われている。因果分析のアルゴリズムは特に限定しないが、例えば上述した株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所により提供されるCALCを用いてもよい。CALCは、既に大規模データにおける因果関係の分析技術として商用化されている技術である(https://www.isid.co.jp/news/release/2017/0530.html,https://www.isid.co.jp/solution/calc.html)。
具体的には、因果分析部232は、課題を目的変数として設定し、その他の因子変数の全部または一部(基本的には全部入れた方がよいが、計算時間やメモリの制約でデータ数が多い因子変数順や最近多くデータが取れた因子変数を優先的に入れるなど絞り込んでもよい)を説明変数として設定し、因果分析にかける。図7は、本実施例による因果分析について説明する図である。
図7に示すように、例えば「団らん時間」という課題が推定された場合、これを目的変数として設定する。なお、目的変数に関し、因子変数DB220に蓄積されている変数をそのまま当てはめられない場合には、動的に生成してもよい。例えば「団らん時間」は直接センシングできないため、他の変数の組み合わせによる生成する。具体的には、家族が全員同時にテーブルについている時間、ポジティブな会話が行われている時間、および笑顔度が一定以上の割合になっている時間などの変数を組み合わせ、楽しい団らんの総時間や団らんの質などを導き出して目的変数とする。変数の組み合わせルールは、予め知識ベースとして情報処理装置20が有していてもよいし、自動で抽出するようにしてもよい。
因果分析部232は、分析結果を介入部235に出力する。
・介入部235
介入部235は、因果分析結果を調べ、目的変数に直接接続している因子変数から矢印を逆向きに辿り、一つも辿れる矢印がなくなるまで遡って複数の因果パスを抽出する。なお、使用する分析手法によっては必ずしも矢印がつくとは限らず、単純な直線で結ばれるケースもある。このような場合には、使用する因果分析手法の特性を利用して矢印の向きを便宜的に決めて対応する。例えば、目的変数から遠い(間にいくつ因子変数が挟まっているか)因子変数から近い因子変数の方に便宜的な矢印があることとして処理するなどが考えられる。目的変数からの遠さが同じ因子変数が直線で結ばれている場合にも同様に使用している手法の特性を考慮して便宜的な向きを決める。
ここで、図8に、本実施例の因果分析結果に基づく因果パスの探索について説明する図を示す。介入部235は、例えば図8に示す「団らん時間」を起点として、「団らん時間」(目的変数2001)に接続する因果パス(矢印2105)を逆向きに辿り(矢印2200)、辿った先の因子変数2002に接続する因果パス(矢印2104)も逆向きに辿り(矢印2201)、このような因果パスの探索を、辿れなくなるまで続ける。すなわち、図8に示す因果パスの矢印2105~矢印2100を順次逆向きに辿る(矢印2200~矢印2205)。矢印を逆向きに辿れなくなった時点で(図8に示すマーク2300が付与された因子変数2007到達した時点で)、パスの探索を終了する。図8では、因子変数で構成される因果パスの一例として「運動強度→ストレス量→22時以降の飲酒量→睡眠の質→起床時刻→家族の朝食開始時刻→団らん時間」が抽出できるが、介入部235は、因果パスの探索において、「団らん時間」を起点として、かかる因果パスの矢印を逆向きに辿ると共に、ある因子変数と一つ上流の因子変数との関係を調べる。
例えば、介入部235は、「団らん時間」、「家族の朝食開始時刻」、「(自分=お父さんの)起床時刻」を確率分布の関係で見て、目的変数の値を狙った範囲にするために上流の因子変数をどの値でとれば最も期待値が高くなるかを算出する。このような因子変数間の確率分布計算による期待値の算出について、図9~図14を参照して説明する。図9は、朝食開始時刻と団らん時間(時間/週)の確率分布を示す表である。図9に示す表によれば、7時半から8時に朝食を開始したときに最も団らん時間の期待値が高くなることが分かる。具体的には目的変数の団らん時間(幅を持っているので例えば0.5,1.5,2.5,3.5,5.0,6.0のような中央値を代表値として使用する)とそれぞれの確率(0.000,0.029,0.124,0.141,0.284,0.442)を順番に乗算しその総和が団らんの期待値となる。この例の場合には4.92時間が期待値となる。他の時間帯も同様に計算して期待値を求めると、結果として7時半から8時に朝食を開始したときに最も団らん時間が多くなっている。
図10は、起床時刻と朝食開始時刻の確率分布を示す表である。図10に示す表によれば、7時から7時半に起床したときに朝食開始時刻は7時半から8時になる確率が最も高いことが分かる。なお、接続された隣接する2つの因子変数間の確率分布は元のデータのクロス集計を行うことで求めることができる。
図11は、起床時刻と団らん時間の間の確率分布を求める行列演算について説明する図である。図9に示す表をA、図10に示す表をBとした場合、図11に示す行列演算により、起床時刻と団らん時間の間の確率分布を求めることが可能となる。
図12は、図11に示す行列演算の結果得られた起床時刻と団らん時間の間の確率分布の表を示す図である。図12に示すように、7時から7時半に起床すると、24.3%の確率で団らん時間が6時間以上になり、また、およそ70%の確率で団らん時間が3時間以上となる。一方、起床時刻が8時半以降になるとおよそ81%程度の確率で団らん時間は2時間以下になってしまう。
このように、条件付き確率表の乗算を上流に向かって繰り返し行うことで、最終的に因果パスのそれぞれの因子変数がどの値をとるときに尤も目的変数の値が狙った値になるかがわかる。
なお、CALC以外の分析手法として、例えば、各変数の関係を確率的に表現するベイジアンネットワークという分析手法を用いることも可能である。この手法を適用した場合、変数(ノード)とそれを接続する矢印(または線分)は因果関係を表現しているわけではないが、接続されている変数はお互いに関連があるため、便宜的な因果とみなし本実施例を適用することが可能である。本実施例は、「因果」という用語が用いられていなくとも、変数間の関係性を便宜上の因果とみなして適用することが可能である。
次いで、介入部235は、因果パスの中から介入可能フラグがついている因子変数を探し出し、その因子変数に対しての介入方法を介入ルールDB226から取得する。因子変数をデータベースに格納する際、介入可能かどうかのフラグが付けられる。このフラグは予め人が付けておいてもよいし、生のセンサデータに介入可能フラグを予め付けておき、因子変数を生成するときに介入可能フラグがついているセンサデータが一つでも含まれている場合には因子変数も介入可能とする方法をとってもよい。図8に示す例では、例えば因子変数2003(起床時刻)、因子変数2005(22時以降の飲酒量)、および因子変数2007(運動強度)に介入可能フラグが付けられる。例えば起床時刻は、ウェアラブルデバイスの目覚まし設定により介入が可能となるため、介入可能フラグを付けられた状態でデータベースに登録される。このように本実施例では、目的変数から因果パスを逆向きに辿った因子変数の中から介入可能なポイントを抽出し、間接的な行動変容(介入)を行い得る。ここで、介入ルールDB226に登録される介入ルールの一例を下記表2に示す。
Figure 0007367530000002
なお、実際には因子変数や介入方法が無限にあるわけではなく、介入ルールはある程度のパターンに落ち着くため、クラウド側で全てのエージェントで共有しておいてもよい。ただし、介入時に設定されるパラメータ(起床時刻や目標運動強度)は個人や家族によって異なっていてもよい。
介入部235は、介入方法を取得した上で対象デバイス能力を持つデバイスがないかを介入用デバイスDB224から検索する。この介入用デバイスDB224には、ユーザまたは家族が利用できるデバイスが登録されている。ここで、介入用デバイスの一例を下記表3に示す。
Figure 0007367530000003
介入部235は、適切な介入用のデバイスが見つかった際に、デバイスID、発動条件、介入コマンド、およびパラメータを介入予約DB228に登録する。介入予約の一例を下記表4に示す。
Figure 0007367530000004
次いで、介入部235は、介入予約DB228に登録された予約データに基づいて、条件が整ったときに指定のデバイスに対してコマンドとパラメータを送信部203から送信する。
(出力デバイス36)
出力デバイス36は、介入部235の制御に従って、特定コミュニティに属するユーザに対して、課題解決のための間接的な行動変容を促すデバイスである。出力デバイス36は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、PC、ウェアラブルデバイス、TV、照明装置、スピーカ、または置時計等の広くIoTデバイスが含まれ得る。
情報処理装置20からコマンドを受け取った出力デバイス36は、そのデバイスの表現方法で介入動作を行う。例えば情報処理装置20が、スマートフォンに対して音と振動のコマンドを設定時刻と共に送信すると、スマートフォン側で対応するアプリケーションがその時刻に目覚ましを設定する。若しくは、対応するスマートスピーカに対して情報処理装置20がコマンドを投げるとそのスピーカが指定時刻に音楽を再生する。また、情報処理装置20がクーポンをスマートフォンに送信すると、プッシュ通知で表示され、さらにブラウザにクーポンが表示される。また、情報処理装置20がPCなどに送信すると、PCにおいて自動的にメールに置き換えてユーザに通知してもよい。このように、各出力デバイス36に適した表示方法に変換されて出力されるようにすることで、特定の機種やデバイスに依存せず、どのようなデバイスでも利用することが可能となる。
<2-2.動作処理>
続いて、以上説明した各構成による処理をフローチャートを参照して説明する。
(2-2-1.全体の流れ)
図13は、第1の実施例の動作処理の全体の流れを示すフローチャートである。図13に示すように、まず、情報処理装置20は、センサ群からのデータ入力を行う(ステップS103)。
次いで、センサの種類によって、画像処理部210、音声処理部212、センサ/行動データ処理部214で因子変数を生成する(ステップS106)。
次に、介入予約に介入条件を満たしたものがあるか否かを判断し(ステップS109)、無い場合は課題推定処理を行い(ステップS112)、有る場合は介入動作処理(ステップS133)を行う。なお、ステップS109はこのタイミングで行われることに限定されず、図13に示す処理と並行して処理されてもよい。課題推定処理のフローについては、図14に示す。また、介入動作処理のフローについては、図16に示す。
次いで、課題が推定された場合(ステップS115/Yes)、因果分析部232は、課題を目的変数に設定し(ステップS118)、因果分析を行う(ステップS121)。
次に、介入部235は、因果パスに含まれる因果変数のうち、介入可能(行動変容可能)なポイント(因果変数、事象)を抽出する(ステップS124)。
そして、介入可能なポイントが見つかった場合(ステップS127/Yes)、介入部235は、介入行動を決定して介入予約を追加する(ステップS130)。なお、介入ポイントの抽出から介入予約の追加までの処理に関しては、図15を参照してさらに詳細に説明する。
(2-2-2.課題推定処理)
図14は、課題推定処理を示すフローチャートである。図14に示すように、まず、課題推定部230は、課題リストを空にし(ステップS143)、課題指標DB222から課題指標(図6参照)を取得する(ステップS146)。
次に、課題推定部230は、取得した課題指標から未処理の課題を一つ選択する(ステップS149)。
次いで、課題推定部230は、課題の因子変数リスト(図6参照)から、未処理の因子変数を一つ選択し(ステップS152)、選択した因子変数の値をチェックする(ステップS155)。すなわち、課題推定部230は、選択した因子変数の値が、課題指標に紐付けられた課題有りと判断する条件を満たすか否かを判断する(図6参照)。
次に、課題ありと判断した場合(ステップS158/Yes)、課題推定部230は、課題リストに課題を追加する(ステップS161)。
次いで、課題推定部230は、課題の因子変数リストに挙げられた全ての因子変数の値をチェックするまで上記ステップS152~S161の処理を繰り返す(ステップS164)。
さらに、課題指標に挙げられた課題を全てチェックし終わると(ステップS167/No)、課題推定部230は、課題リストに課題がある場合は(ステップS170/Yes)、課題リストを(因果分析部232に)返す(ステップS176)。一方、課題リストに課題がない場合(ステップS170/No)、課題無しのステータスで(図13に示すステップS115の処理に)戻る(ステップS179)。
(2-2-3.介入予約処理)
図15は、介入予約処理を示すフローチャートである。図15に示すように、まず、介入部235は、因果分析部232による分析結果の目的変数(課題)を因果パス生成の起点とする(ステップS183)。
次に、介入部235は、起点からすべての矢印の向きを逆に遡り、末端の因子変数に辿り着くまで繰り返し、すべての因果パスを生成する(ステップS186)。
次いで、介入部235は、因果パス上の接続されている2つの因子変数間の確率分布テーブルを生成する(ステップS189)。
次に、介入部235は、確率分布テーブルを因果パスの上流に辿りながら行列乗算し、目的変数と直接隣接していない因子変数の間の確率分布を求める(ステップS192)。
次いで、介入部235は、介入可能フラグがついた因子変数があるかを見て(ステップS195)、ある場合は、介入方法を介入ルールDB226から取得する(ステップS198)。なお介入部235は、介入可能フラグがついた因子変数に対して、介入すべきか否かを判断してもよい。例えば、「起床時刻」に介入可能フラグがついており、目的変数(「団らん時間」)を狙った範囲(例えば「3時間以上」)にする(「団らん時間」が少ないという課題を解決する)ために、「起床時刻」を「7時半」にしたい場合、介入部235は、ユーザの普段の起床時刻の傾向を取得し、いつも9時に起きている傾向にある場合は7時半に起こすために「介入をすべき」と判断する。
次に、介入用デバイスDBから介入に必要な能力を持ったデバイスを検索し(ステップS201)、対応デバイスが見つかった場合は(ステップS204/Yes)、介入予約DB228に、介入条件とコマンド/パラメータを登録する(ステップS207)。例えば、ユーザのスマートフォンのアラーム機能を制御できる場合、「ユーザのスマートフォンのアラームを7時半にセットする」といった介入予約を行う。
(2-2-4.介入処理)
図16は、出力デバイス36による介入処理を示すフローチャートである。図16に示すように、出力デバイス36は、情報処理装置20の介入部235からのコマンド受信を待つ(ステップS213)。
次いで、出力デバイス36は、受信したコマンドとパラメータをパースし(ステップS216)、コマンドに対応する提示方法を選択する(ステップS219)。
そして、出力デバイス36は、コマンドを実行する(ステップS222)。
<2-3.補足>
以上説明した第1の実施例では、一例として家族仲に関する課題を用いて説明したが、本実施例はこれに限定されず、例えば「価値観の違い」といったものも、課題として存在し得る。価値観の違いが生じていることを検出する(課題を推定する)ための因子の関係としては、例えば下記表5に示すような項目が考えられる。
Figure 0007367530000005
上記表5における、「物体の分離線分」とは、散らかった部屋の画像と、整頓された部屋の画像を比較した場合、輪郭線密度が低いといった特徴や、個々の輪郭線が長いといった特徴がある。このため、各ユーザの部屋やリビングの画像解析において、例えば物体の分離線分に基づいて散らかり度合いを算出することが可能となる。
図17は、価値観の違いの因果パスの一例を示す図である。図17に示すように、目的変数2011に「価値観の違い」を設定して因果分析を行うと、例えば因果変数2013「部屋の整頓率」、因果変数2014「郵便物の開封までの時間」、因果変数2015「1日のうち家にいる時間割合」、因果変数2016「ひと月の飲み会回数」、および因果変数2017「ひと月のゴルフ回数」等が因果パス上に上がってくる。
この場合の介入方法としては、例えば下記表6に示すような項目が考えられる。
Figure 0007367530000006
これにより、介入部235は、例えば飲み会の回数やゴルフの回数を少なくするようユーザに通知することで、家にいる時間を増やし、家にいる時間と関係する「部屋の整頓率」を上げ、結果的に、家族の価値観の違い(部屋の散らかり具合が一人だけ高いなど)を解消することを可能とする。
<<3.第2の実施例(課題の推定と行動変容)>>
次に、第2の実施例によるマスターシステム10-2について、図18~図28を参照して説明する。
本実施例では、例えば家族または小規模グループ(会社、学校、町内会など)等の特定コミュニティから収集されるデータに基づいて、そのコミュニティ内で基準となる価値観(価値基準)を行動規範として自動生成し、その価値基準から大きく外れた(一定以上離間している)メンバーに対して、間接的に行動変容(価値基準に近付く行動)を促す。
図18は、第2の実施例によるマスターシステム10-2の構成の一例を示すブロック図である。図18に示すように、マスターシステム10-2は、情報処理装置50、センサ60(またはセンサシステム)、および出力デバイス62(または出力システム)を含む。
(センサ60)
センサ60は、第1の実施例によるセンサ群と同様であり、ユーザに関するあらゆる情報を取得する装置/システムである。例えば、部屋に設置されたカメラやマイク等の環境側センサや、ユーザが所有するスマートフォンやウェアラブルデバイスに設けられるモーションセンサ(加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ)や生体センサ、位置センサ、カメラ、マイク等のユーザ側の各種センサが含まれる。また、ネットワーク上からユーザの行動履歴(移動履歴、SNS、ショッピング履歴等)を取得してもよい。センサ60により、日常的に特定コミュニティ内メンバーの行動をセンシングし、情報処理装置50に収集される。
(出力デバイス62)
出力デバイス62は、行動変容を促す表出装置であって、第1の実施例と同様に、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、PC、ウェアラブルデバイス、TV、照明装置、スピーカ、振動デバイス等の広くIoTデバイスが含まれ得る。
(情報処理装置50)
情報処理装置50(価値観提示サーバ)は、通信部510、制御部500、および記憶部520を有する。情報処理装置50は、ネットワーク上のクラウドサーバにより構成されてもよいし、中間サーバやエッジサーバにより構成されてもよいし、ホームエージェント等の家庭に置かれる専用端末により構成されてもよいし、PCやスマートフォン等の情報処理端末により構成されてもよい。
・制御部500
制御部500は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置50内の動作全般を制御する。制御部500は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部500は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
また、本実施形態による制御部500は、ユーザ管理部501、価値観推定部502、価値観比較部503、および提示部504としても機能する。
ユーザ管理部501は、ユーザを識別するための情報や、対象となる行動・モノに対する各ユーザの価値観を管理し、適宜記憶部520に格納する。価値観には様々な指標が想定されるが、本実施例で用いる価値観の一例を下記表7に示す。また、本実施例では、各価値観を推定するためのセンシングする行動(必要な情報)を、予め以下のように定義しておいてもよい。
Figure 0007367530000007
価値観推定部502は、対象となる行動・モノのグループ(特定コミュニティ)内で定まる価値基準(以下、基準価値観とも称す)を自動推定(生成)し、記憶部520に蓄積する。また、価値観推定部502は、ユーザ個人の価値観も推定して管理する。グループの基準価値観は、例えばグループ内の各ユーザの価値観の平均値であってもよいし(メンバー毎に重み付けを行って算出してもよい)、特定のユーザ(例えば親等)の価値観をグループの基準価値観としてもよい。どのような情報に基づいて各価値観を推定するかは、例えば下記表8に示すように予め定義されていてもよい。
Figure 0007367530000008
価値観比較部503は、日常的にセンシングされる行動・モノの基準価値観からの各ユーザの価値観のずれを検出する。グループ内の基準価値観は、上述したように価値観推定部502により自動生成されてもよいし、予め設定されていてもよい(システム側でデフォルト設定してもよいし、グループのユーザが手動で設定してもよい)。
提示部504は、価値観のずれが生じた場合、グループの基準価値観に近付く行動変容を促す。具体的には、提示部504は、行動変容コマンドを通信部510から出力デバイス62に送信する。
(通信部510)
通信部510は、有線または無線により、センサ60や出力デバイス62等の外部装置と接続し、データの送受信を行う。通信部510は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、3G(第3世代の移動体通信方式))等により外部装置と通信接続する。
(記憶部520)
記憶部520は、制御部500の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)により実現される。
以上、本実施例によるマスターシステム10-2の構成について具体的に説明した。
<3-2.動作処理>
続いて、以上説明したマスターシステム10-2の動作処理をフローチャートを参照して説明する。
(3-2-1.基本フロー)
図19は、本実施例による動作処理の基本フローチャートである。図19に示すように、まず、情報処理装置50は、グループ内のメンバー毎の行動、およびモノのセンシング情報を収集し(ステップS303)、解析する(ステップS306)。
次に、価値観と関係する行動、モノについてセンシングできた場合(ステップS309/Yes)、情報処理装置50は、対象となる行動、モノの価値観に関する情報を登録する(ステップS312)。
次いで、情報処理装置50は、(グループの)基準価値観の算出と、個人の価値観(個人価値観)の推定を行う(ステップS315)。基準価値観の算出は、例えばグループの各メンバーの価値観の平均値を算出してもよいし、メンバー内の誰かの価値観を基準価値観としてもよい。
続いて、メンバーに基準価値観とのずれが生じた場合(ステップS318/Yes)、情報処理装置50は、当該メンバーに、行動変容を促す提示処理を行う(ステップS321)。例えば、メンバーの価値観(個人の価値観)に、(グループの)基準価値観とのずれが生じている場合、行動変容を促す所定のUI提示等を行う。かかる行動変容を促す情報提示は、基準価値観とのずれを解消するための具体的な指示であってもよいし、さり気なく行動変容を促すコンテンツを提示してもよい。
以上の基本フローについて、具体例を用いて以下説明する。以下では、価値観の具体例を用いて行動変容の情報提示処理について具体的に説明する。
(3-2-2.食の価値観)
まず、「食」に関する価値観として、食べ物を大切にする、食事を残さない、といった「食のしつけ」が想定される。本実施例では、このような食の価値観に逸脱する場合は、対象のメンバーに行動変容を促す提示を行う。
図20は、本実施例による食のしつけに関する行動変容処理を示すフローチャートである。図20に示すように、まず、情報処理装置50は、カメラ等を用いて食事の行動を観測し(ステップS333)、センサデータの解析を行う(ステップS336)。
次に、食事を残す/残さないといった事象を検知した場合(ステップS339/Yes)、情報処理装置50は、食事を残したか否かに関する行動を記録する(ステップS342)。
次いで、情報処理装置50は、食事が残っているのにメンバーが立ち去ったことを所定回数検知した場合(ステップS345/Yes)、食事を残さないように促す情報提示、例えば、子供向けには、キャラクターを用いた食材(お米や野菜)の大切さを示す映像を提示する。本実施例では、食事を残した回数を個人の価値観として推定し、グループ全体の過半数の価値観(行動規範となるグループの基準価値観。例えばグループの過半数が毎回食事を残さない場合、毎回残さないことが本グループの基準価値観となる)と異なる行動を所定回数行った場合に、基準価値観とずれが生じていると判断する。映像の提示は、対象である子供のスマートフォンやウェアラブルデバイスに提示してもよいし、テーブルの上にプロジェクターで投影してもよい。また、「残さないで!」「1粒は千粒」等、残された食材が喋っているように聞こえる聴覚ARなど、音声で出力してもよい。
(3-2-3.家事の価値観)
また、家事に関する価値観として、例えば「食後は家族皆で皿を片付ける」ということが想定される。このような家事の価値観に逸脱する場合、対象のメンバーに行動変容を促す提示を行う。
図21は、本実施例による皿の片付けに関する行動変容処理を示すフローチャートである。図21に示すように、まず、情報処理装置50は、カメラ等を用いて食事の行動を観測し(ステップS353)、センサデータの解析を行う(ステップS356)。
次に、食後に皿を下げる/下げないという事象を検知した場合(ステップS359/Yes)、情報処理装置50は、各メンバーが食器を下げたかどうかの行動データを記録する(ステップS362)。
次いで、情報処理装置50は、メンバーが皿を片付けずに立ち去ったことを所定回数検知した場合(ステップS365/Yes)、皿を片付けるよう促す情報提示、例えば子供向けには、聴覚ARで食器が「早く綺麗になりたいよ」と囁いてるように聞こえる音声を出力してもよい。本実施例では、食器を片づけた回数を個人の価値観として推定し、グループ全体の過半数の価値観(行動規範となるグループの基準価値観。例えばグループの過半数が毎回片付けている場合、毎回片付けることが本グループの基準価値観となる)と異なる行動を所定回数行った場合に、基準価値観とずれが生じていると判断する。
(3-2-4.部屋の美観)
また、オフィスや自室など、部屋の美観に関する価値観として、例えば、床や机に物が散乱していないこと等、整理整頓具合(片付けの度合い)が想定される。
図22は、オフィスの机の片付けに関する行動変容処理を示すフローチャートである。図22に示すように、例えば情報処理装置50は、カメラ等を用いてオフィスの机に置かれた物の数を検知(撮像)し(ステップS373)、センサデータの解析(画像解析により物の数の算出等)を行う(ステップS376)。ここでは一例として「物の数」としたが、画像解析により整頓具合を検出するようにしてもよい。
次に、オフィス内の全メンバーの状況を検出できた場合(ステップS379)、情報処理装置50は、グループの平均数を基準(基準価値観)として登録し、各々のメンバーにおける机に置いてある物の数も個人の価値観算出のため記録する(ステップS382)。
次いで、メンバーの机に置いてある物の数がグループの平均より多い場合(ステップS385/Yes)、情報処理装置50は、机を片付けるよう促す情報提示、例えば書類の山を高くして崩れかかっているプロジェクションマッピングを投影したり、ピンポイントで書類の山をハイライトすることで整理した方が良いことを間接的に明示してもよい。机を片付けるよう促す情報提示は、聴覚AR等の音声により提示してもよい。
図23は、部屋の片付けに関する行動変容処理を示すフローチャートである。図23に示すように、まず、情報処理装置50は、カメラ等を用いて床に散らかっている(落ちている)物の数と、子供が母親に怒られる発言をマイクなどで検知し(ステップS393)、センサデータの解析を行う(ステップS396)。
次に、部屋の状態に関して子供が母親に怒られた場合(ステップS399/Yes)、情報処理装置50は、床に落ちている物の数を母親の限界とみなし、グループの基準価値観として登録する(ステップS402)。本実施例では、部屋の美観に関しては、母親の限界をグループの価値基準として定義する。なお部屋の美観は、落ちている物の数に限定されず、例えば、部屋の床面積の割合や(足の踏み場が無い状況は散らかっている状況と言える)、普段の部屋の状態(床面積や整頓具合等)との差異等をセンシング対象として価値基準を定義してもよい。
次いで、部屋の状況が母親の基準を超えている場合(すなわち部屋に落ちている物の数がグループの基準価値観である母親の基準となる「落ちている物の数」を超えている場合)(ステップS405/Yes)、部屋を片付けるよう促す情報提示、例えば図24に示すように、部屋がさらに散らかっているように見えるプロジェクションマッピングを投影したりする。図24に示す例では、部屋に設置されたカメラ等のセンサ60により床に落ちている物の数を検知し、基準を超えている場合は、プロジェクター等の出力デバイス62により、さらに散らかって見える画像620をプロジェクションマッピングにより投影される。部屋を片付けるよう促す情報提示は、聴覚AR等の音声により提示してもよい。
また、現状の子供目線による部屋の状況の映像を親に提示するようにしてもよい。また、部屋の散らかり具合を、感情等の他の値にマッピングして子供に提示することも可能である。例えば部屋が汚い場合、部屋に紐付いたヒーローが弱くなっていたり、かっこ悪くなっている映像を提示する。
(3-2-5.育児の価値観)
また、育児に関する価値観として、例えば赤ちゃんの夜泣きに対して母親はすぐに気付いて起きるが父親は反応が遅いといったことが一般的にある。従って、赤ちゃんの泣き声に対する母親の許容レベル(起きてあやさないといけない)をグループの基準価値観として定義し、父親に行動変容を促すことが一例として挙げられる。
図25は、赤ちゃんの泣き声に関する行動変容処理を示すフローチャートである。図25に示すように、例えば情報処理装置50は、カメラやマイク等を用いて母親が赤ん坊の泣き声で起きる時の泣き声音量レベルを検知し(ステップS413)、センサデータの解析を行う(ステップS416)。
次に、母親が赤ん坊の世話をするため起きた場合(ステップS419/Yes)、情報処理装置50は、母親が起きたときの泣き声音量レベルを基準(母親の許容レベルであって、これをグループの基準価値観とする)として登録する(ステップS422)。
次いで、赤ん坊の泣き声が妻の許容レベル(すなわちグループの基準価値観)を超えた場合(ステップS425/Yes)、情報処理装置50は、父親を起こすよう促す情報提示、例えば赤ん坊の泣き声を増幅した聴覚ARの父親への提示を行う(ステップS428)。
(3-2-6.モノへの価値観)
また、モノへの愛情に関する価値観として、例えば子供にとって、ある特定のぬいぐるみが非常に大切であるが、母親からみた場合はどのぬいぐるみも同じ扱いになるといったことがある。本実施例では、モノ(ぬいぐるみなど)に対する子供と母親の価値観の差異が一定以上になった場合に、子供の価値観を可視化して、母親に(間接的に)行動変容を促すことを可能とする。
図26は、おもちゃに関する行動変容処理を示すフローチャートである。図26に示すように、まず、情報処理装置50は、カメラやマイク等により、おもちゃの使用頻度、おもちゃに関する言動、およびおもちゃの扱い等をセンシングし(ステップS433)、センサデータを解析する(ステップS436)。具体的には、例えば、カメラ映像や、(おもちゃから発信される)BLE/RFID等の電波の接近を利用して、使用頻度(子供がそのおもちゃで遊ぶ頻度)を測定することが可能である。また、マイクにより会話を集音し、どのおもちゃが大事か、どのおもちゃで遊ぶのが楽しいか、どのおもちゃが好きであるか等に関する発言を抽出、カウントしてもよい。また、カメラ映像、マイクによる会話音声、BLE/RFID等の電波を用いて、おもちゃの扱い(丁寧に扱っているか、雑に扱っているか)を測定することも可能である。
次に、おもちゃに対する子供の執着度(愛情度など)が高い場合(ステップS439/Yes)、情報処理装置50は、当該おもちゃを、大事なおもちゃ(愛情度が高いおもちゃ)として登録する(ステップS442)。
次いで、母親がおもちゃを整理するタイミングとなった場合(ステップS445/Yes)、例えば母親が捨てようとしているおもちゃが子供の愛情度が高いおもちゃである場合、子供の価値観を母親に情報提示、例えば子供がおもちゃを大事にしている画像等を母親のスマートフォン等に提示する(ステップS448)。母親がおもちゃを整理するタイミングは、例えばカメラ映像の解析や、マイクにより集音した音声の解析(「おもちゃが多すぎるから、整理するわよ」、「これ捨てるわよ」等の発言)により判断可能である。また、母親がどのおもちゃを捨てようとしているかは、例えば、カメラ映像の解析や、おもちゃに設けられたBLE/RFID等のタグから発信される電波の解析(おもちゃがゴミ箱等に捨てられて検知できなくなる)等に基づいて判断可能である。
(3-2-7.総合価値観)
次いで、価値観の一例として、どのような価値観を重要視しているかという価値観(総合価値観)も想定される。総合価値観を算出する際にベースとなる価値観(ベース価値観)は、例えば、上述した「食事を大切にする」、「家族皆で家事を手伝う」、「美観(部屋の整頓状態)」、「育児」、「モノへの愛情」等が挙げられる。これらのベース価値観に基づいて、各メンバーがどのような価値観(総合価値観の候補となる)を重要視しているかという価値観(すなわち、「総合価値観」)を推定し、例えばグループの平均を総合価値観とする。そして、グループの総合価値観と個人(メンバー)の総合価値観とにずれが生じている場合に、メンバーにグループの総合価値観を提示等して行動変容(グループの総合価値観に合わせること等)を促すことが可能である。
図27は、総合価値観に関する行動変容処理を示すフローチャートである。図27に示すように、まず、情報処理装置50は、個人(グループの各メンバー)のベース価値観を推定する(ステップS453)。
次に、情報処理装置50は、個人のベース価値観の値を正規化する(ステップS456)。
次いで、情報処理装置50は、価値観の関連テーブルを参照し、対応づけられた総合価値観の重み付け値に従って、総合価値観毎の値を算出する(ステップS459)。ここで、価値観の関連テーブルの一例を下記表9に示す。下記表9に示すように、総合価値観の候補としては、例えば、「正直」、「思いやり」、「社会」、「自分らしさ」が挙げられる。
Figure 0007367530000009
次に、情報処理装置50は、最も高い値(すなわち最も重要視している価値観)を総合価値観とする(ステップS462)。ここで、図28に、上記表9に示す重み付けを参照して算出したメンバー個人の総合価値観毎の値の一例を示す。図28に示す例では、「思いやり」の価値観の値が最も高くなっているため、この価値観が、メンバーが最も重要視している価値観、すなわちメンバーの「総合価値観」となる。
そして、メンバーの総合価値観がグループ平均の総合価値観からずれている場合(ステップS465/Yes)、情報処理装置50は、総合価値観の変化をメンバーに提示する(ステップS468)。
<<4.第3の実施例(課題の推定と行動変容)>>
次いで、第3の実施例によるマスターシステム10-3について、図29~図35を参照して説明する。
本実施例では、家族から収集されたデータを基に、例えば団らん時間が不足であるという課題を推定されると(課題の推定に関しては第1の実施例と同様)、当該課題を解決するため食事時間帯を合わせることを行動規範とし、家族の生活リズム(各メンバーの夕食時間帯等)を検出し、各人の食事時間が合うように間接的に生活リズムの行動変容を促す。
図29は、第3の実施例によるマスターシステム10-3の構成の一例を示すブロック図である。図29に示すように、マスターシステム10-3は、情報処理装置70、センサ80(またはセンサシステム)、および出力デバイス82(または出力システム)を含む。
(センサ80)
センサ80は、第1の実施例によるセンサ群と同様であり、ユーザに関するあらゆる情報を取得する装置/システムである。例えば、部屋に設置されたカメラやマイク等の環境側センサや、ユーザが所有するスマートフォンやウェアラブルデバイスに設けられるモーションセンサ(加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ)や生体センサ、位置センサ、カメラ、マイク等のユーザ側の各種センサが含まれる。また、ネットワーク上からユーザの行動履歴(移動履歴、SNS、ショッピング履歴等)を取得してもよい。センサ60により、日常的に特定コミュニティ内メンバーの行動をセンシングし、情報処理装置70に収集される。
(出力デバイス82)
出力デバイス82は、行動変容を促す表出装置であって、第1の実施例と同様に、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、PC、ウェアラブルデバイス、TV、照明装置、スピーカ、振動デバイス等の広くIoTデバイスが含まれ得る。
(情報処理装置70)
情報処理装置70(生活リズム導出サーバ)は、通信部710、制御部700、および記憶部720を有する。情報処理装置70は、ネットワーク上のクラウドサーバにより構成されてもよいし、中間サーバやエッジサーバにより構成されてもよいし、ホームエージェント等の家庭に置かれる専用端末により構成されてもよいし、PCやスマートフォン等の情報処理端末により構成されてもよい。
・制御部700
制御部700は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置70内の動作全般を制御する。制御部700は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部700は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
また、本実施形態による制御部700は、人物認識部701、動作認識部702、リズム導出部703、かい離検出部704、かい離原因推定部705、および応答生成部706としても機能する。
人物認識部701は、カメラ画像の顔認識等により人物の認識を行う。動作認識部702は、カメラ画像や、各種センサデータに基づいて、各ユーザの動作(帰宅や食事、入浴、くつろぎ時間、就寝等)を認識する。具体的には、例えば家のセンサ(カメラ、マイク等)により、家族の帰宅時間、食事時間等をセンシングし、帰宅の時間、食事を取っている時間等を記録する。また、図30に示すように、一緒に食事を取った人、および、その人数等の記録も取る。
リズム導出部703は、上記家族の行動記録に基づいて、家族の生活リズム(例えば曜日毎の帰宅時間や食事時間、入浴時間等の傾向)を算出する。
かい離検出部704は、家族の各メンバーの生活リズムを比較し、かい離している部分を検出する。例えば、家族の夕食時間のリズムに、父親の夕食時間だけが大きく外れる頻度が増えた場合、かい離を検出する。
かい離原因推定部705は、かい離原因を推定する。例えば父親の夕食時間だけが大きく外れる頻度が増えている場合、父親の夕食時間が外れる原因を推定する。原因の推定には、例えば因果解析の手法、あるいはベイズ推定を用いる方法が挙げられる。例えば毎週木曜日の帰宅時間が遅いために家族と一緒に夕食を取ることができない場合、帰宅時間が遅いのは会社の定例会議が毎週木曜にあることが原因であると推定できる。
応答生成部706は、生活リズムを合わせるよう間接的に行動変容を促す応答を生成する。例えば上述したように父親だけが木曜に夕食を一緒に取れないことが多い場合、原因が定例会議にあると分析できたため、「木曜日の定例会議を変更したらどうだろう?」といったアドバイスをPC画面等から父親に提示する。このアドバイスに従うことで、結果的に、夕食を家族と取ることが可能となる。なお、アドバイスの提示は、メールやSNSなどのメッセージ機能を利用して伝達してもよい。
ここで、図31に、生活リズムのかい離について説明する図を示す。図31には、父親、母親、および子供の夕食の食事時間と、家族の基準となる生活リズム(行動規範)が示される。家族の基準となる生活リズムは、例えば曜日毎の家族の夕食時刻の累積平均時刻である。図31に示すように、父親、母親、および子供の夕食の食事時間の生活リズムが算出された場合、木曜の父親の食事時間だけが大きくかい離していることが分かる。この場合、原因推定により、例えば定例会議により帰宅が遅くなって食事時間がずれていることが分かる。一方で、火曜日の家族の夕食時間は他の曜日よりも遅いことが分かる。この場合、定例会議を火曜日に変更することで、木曜は早めの食事時間に間に合うと共に、火曜は遅めの食事時間であるため定例会議により帰宅が遅くなっても夕食を一緒に食べられる可能性がある。そこで、応答生成部706は、「木曜の定例会議を火曜日に変更してみては?」といった具体的なアドバイスを生成することが可能である。なお、図31に示すグラフとアドバイスを含む画像7001を、アドバイスとして父親に提示してもよい。
(通信部710)
通信部710は、有線または無線により、センサ80や出力デバイス82等の外部装置と接続し、データの送受信を行う。通信部710は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、3G(第3世代の移動体通信方式))等により外部装置と通信接続する。
(記憶部720)
記憶部720は、制御部700の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)により実現される。
以上、本実施例によるマスターシステム10-3の構成について具体的に説明した。
<4-2.動作処理>
続いて、以上説明したマスターシステム10-3の動作処理をフローチャートを参照して説明する。
図32は、夕食時間のリズムを生成する動作処理を示すフローチャートである。図32に示すように、まず、情報処理装置70は、カメラ等により、食卓にいる人物を認識し(ステップS503)、動作解析により「食事中」であることを認識する(ステップS506)。
次に、食事を取っているのが誰であるかを認識できた場合(ステップS509/Yes)、情報処理装置70は、家族のメンバーの夕食の時刻を記録する(ステップS512)。家族のメンバーの夕食時刻の記録の一例を下記表10に示す。
Figure 0007367530000010
次いで、(1日の常識的な)夕食の時間が終了した場合(ステップS515/Yes)、情報処理装置50は、過去の平均夕食時刻に本日の家族の夕食時刻のデータを加え、曜日ごとの累積平均時刻を算出(夕食時刻のリズムを生成)する(ステップS518)。ここで、曜日ごとの累積平均時刻の算出式の一例を図33に示す。例えば図33に示す算出式により、曜日ごとの累積平均時刻、すなわち図31に示す家族の基準となる生活リズムを算出してもよい。
図34は、生活リズムに基づいてアドバイスを生成するフローチャートである。図34に示すように、まず、情報処理装置70は、家族の生活リズムのかい離を検出する。具体的には、例えば情報処理装置70は、過去一定期間(例えば3カ月)のメンバーの夕食の時刻と、曜日ごとの累積平均時刻との平均2乗誤差を算出する(ステップS523)。
次に、算出した誤差が所定の閾値を超えた場合(ステップS526/Yes)、情報処理装置70は、夕食時刻が家族の夕食時刻とかい離する理由(かい離原因)を推定し、行動変容を促す間接表現を選択する(ステップS529)。かい離原因の推定は、例えば因果情報解析の手法により推定してもよい。
そして、情報処理装置70は、選択した間接表現によるメッセージを送出する(ステップS532)。
なお、夕食の時間を合わせるための行動変容は、夕食の時間がかい離している父親だけへの促しに限定されず、他の家族への促しを行って結果的に家族全員で夕食が取れるようにしてもよい。例えば父親の帰宅時間に家族が最寄駅付近にいるように家族の生活リズムを変容させる。具体的には、例えば図31に示す生活リズムに基づいて、マスターシステム10-3は、木曜日の夕方に、母親に「お子さんと駅まで外出してみたら」「駅前の○○というお店が話題のようですよ」等とアドバイスする。マスターの言葉に従って母親が子供と駅前で買い物をしていると、帰宅途中の父親から「もうすぐ駅だよ」との連絡が入り、母親は「あら、ちょうど今駅近くに来てるわよ」等の返信を行って家族が自然に合流し、駅近くのレストラン等で皆で夕食を取ることが可能となる。
また、本実施例では生活のリズムとして「夕食の時間」を例として挙げたが、本開示はこれに限定されず、例えば、起床時刻、就寝時間、勤務時間、運動時間、またはメディア視聴時間等も想定される。
<4-3.変形例>
上述した実施例では、生活リズムを合わせることを目的としてたが、本開示はこれに限定されず、例えば敢えて生活リズムがずれる(非同期)よう間接的にアドバイスしてもよい。例えば、入浴時間やトイレ時間、洗面台を利用する時間(身支度)などは、ずれていた方が好ましい。
情報処理装置70は、下記表11に示すような、生活リズムが揃って来た場合に起きる事象等の知識テーブルを有し、下記表を参照し、コミュニティメンバーの生活リズムを敢えてずらすという行動変容を間接的にアドバイスする。
Figure 0007367530000011
想定シーンとしては、例えば、マスターシステム10-3は、家に設置されたカメラやマイク等のセンサにより日常的に家族のメンバーの行動センシングを行い、状況を記録していることを前提とする。この際、例えばリビングに家族の大部分(父親、母親、長女等)が集まってテレビを見ている状況を検知し、テレビを見終わった後にはいつも風呂場が混雑する傾向にあることを既に知っている場合(学習して得てもよいし、予め登録されていてもよい。表11参照)、マスターシステム10-3は、テレビを見ずに自室で一人でいる長男に対して「今なら、ゆっくりお風呂に入れますよ」と通知を行う。通知は、スマートフォン、プロジェクター、スピーカ等の各種出力デバイスにより行い得る。自室で勉強をしていた長男は、「ちょうどよかった。お風呂でリラックスしたいと思っていたんだ」と、勉強に区切りをつけて入浴することができる。
図35は、本実施例の変形例による事象の重複に応じて生活リズムの調整(行動変容)を促すフローチャートである。図35に示すように、まず、情報処理装置70は、家族の状態(行動)を認識し(ステップS543)、上記表11に示すようなテーブルに登録されている行動(事象を引き起こす原因となる行動)であるか否かを判断する(ステップS546)。例えば、多数の人物の起床時刻の重複、テレビ視聴時間の重複等が想定される。
次に、行動の重複が閾値以上である場合(ステップS549/Yes)、情報処理装置70は、アドバイス対象者を選択する(ステップS552)。重複行動を取っている者から選択してもよいし、重複行動を取っていない者から選択してもよい。どのような条件で対象者を選択するかは、予想される事象ごとに表11に示すように予め登録しておいてもよい。
そして、情報処理装置70は、選択した対象者に、テーブル(表)に登録されているアドバイスを実行する(ステップS555)。
以上説明した例では、上述したように、家の中に多数のカメラやマイクが設置されていて、家族の状況を日常的に把握している場合を想定したが、家の中に多数のカメラやマイクを設置していなくても、例えば、ユーザが所持しているスマートフォンやスマートバンド等のカメラ、マイク、モーションセンサ等からの情報に基づいて把握することも可能である。
例えば、テレビを視聴していることや、夕食時間も、スマートフォンのカメラやマイクでセンシングすることが可能である。また、どの部屋にいるのかといった場所情報も、スマートフォンの電波等により取得可能である(これにより、風呂場、トイレ、リビング等、場所が分かると、何をしているかも大方予想し得る)。
また、トイレに入っているかどうかは、例えばトイレに持ち込んだスマートフォンのマイクにより水を流す音を検知したり、音の反響が大きくエコーの間隔が短いことを検知して小型の密閉された空間、すなわちトイレ(または風呂場)にいると判断することも可能である。
また、ユーザが入浴前か、入浴したかは、スマートフォンのカメラに写るユーザの姿(髪が濡れている、パジャマを着ている、ドライヤーをかけている等)からも判断できる。
<<5.ハードウェア構成>>
最後に、図36を参照して、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図36は、本実施形態に係る情報処理装置20、情報処理装置50、または情報処理装置70のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、図36に示す情報処理装置800は、例えば、情報処理装置20、情報処理装置50、または情報処理装置70を実現し得る。本実施形態に係る情報処理装置20、情報処理装置50、または情報処理装置70による情報処理は、ソフトウェアと、以下に説明するハードウェアとの協働により実現される。
図36に示すように、情報処理装置800は、例えば、CPU871と、ROM872と、RAM873と、ホストバス874と、ブリッジ875と、外部バス876と、インターフェース877と、入力装置878と、出力装置879と、ストレージ880と、ドライブ881と、接続ポート882と、通信装置883と、を有する。なお、ここで示すハードウェア構成は一例であり、構成要素の一部が省略されてもよい。また、ここで示される構成要素以外の構成要素をさらに含んでもよい。
(CPU871)
CPU871は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM872、RAM873、ストレージ880、又はリムーバブル記録媒体901に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。
具体的には、CPU871は、情報処理装置20、情報処理装置50、または情報処理装置70内の動作処理を実現する。
(ROM872、RAM873)
ROM872は、CPU871に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM873には、例えば、CPU871に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
(ホストバス874、ブリッジ875、外部バス876、インターフェース877)
CPU871、ROM872、RAM873は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス874を介して相互に接続される。一方、ホストバス874は、例えば、ブリッジ875を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス876に接続される。また、外部バス876は、インターフェース877を介して種々の構成要素と接続される。
(入力装置878)
入力装置878には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力装置878としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。また、入力装置878には、マイクロフォンなどの音声入力装置が含まれる。
(出力装置879)
出力装置879は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、又は有機EL等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。また、本開示に係る出力装置879は、触覚刺激を出力することが可能な種々の振動デバイスを含む。
(ストレージ880)
ストレージ880は、各種のデータを格納するための装置である。ストレージ880としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。
(ドライブ881)
ドライブ881は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体901に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体901に情報を書き込む装置である。
(リムーバブル記録媒体901)
リムーバブル記録媒体901は、例えば、DVDメディア、Blu-ray(登録商標)メディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体901は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。
(接続ポート882)
接続ポート882は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)、RS-232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器902を接続するためのポートである。
(外部接続機器902)
外部接続機器902は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。外部接続機器902は、例えば環境側センサ30、ユーザ側センサ32、出力デバイス36、センサ60、出力デバイス62、センサ80、出力デバイス82であってもよい。
(通信装置883)
通信装置883は、ネットワークに接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。通信装置883を介して、例えば図5に示すサービスサーバ34と接続してもよい。
<<6.まとめ>>
上述したように、本開示の実施形態による情報処理システムでは、コミュニティの行動規範を自動生成し、自発的行動変容を促すことが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した情報処理装置20、情報処理装置50、または情報処理装置70に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、情報処理装置20、情報処理装置50、または情報処理装置70の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおける行動規範を自動生成し、
前記行動規範に基づき、前記メンバーが行動変容するように促す、
制御を行う制御部を備える、情報処理装置。
(2)
前記制御部は、
前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティが抱える課題を推定し、
前記課題を解決するための前記行動規範を自動生成する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記制御部は、前記メンバーが行動変容するように、当該メンバーに対して間接的に行動変容を促す、前記(1)に記載の情報処理装置。
(4)
前記制御部は、
前記行動規範として目的変数を設定し、
前記目的変数を起点とした因子変数間の関係を示す関係グラフを生成し、
前記目的変数に関連する因子変数のうち、行動変容が可能な介入すべき因子変数について、前記メンバーに対して行動変容を促す、前記(3)に記載の情報処理装置。
(5)
前記制御部は、
前記目的変数に関連する因子変数が所望の値に近付くよう、前記メンバーに対して働きかける、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記制御部は、
前記行動規範として設定された目的変数の原因と推定される因子変数を推定することによって因果グラフを生成し、
前記目的変数の原因と推定される因子変数が所望の値に近付くよう、前記メンバーに対して働きかける、前記(4)に記載の情報処理装置。
(7)
前記制御部は、
前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
前記基準となる価値観に基づき、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促す、前記(3)に記載の情報処理装置。
(8)
前記制御部は、
前記特定コミュニティに属する複数メンバーの価値観の平均値を、基準となる価値観とする、前記(7)に記載の情報処理装置。
(9)
前記制御部は、
前記特定コミュニティに属する複数メンバーのうちの、特定のメンバーの価値観を、基準となる価値観とする、前記(7)に記載の情報処理装置。
(10)
前記制御部は、
前記基準となる価値観から一定以上離間している特定のメンバーに対して、基準となる価値観を提示することによって、間接的に行動変容を促す、前記(7)~(9)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(11)
前記制御部は、
前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定し、
前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属するメンバーの生活リズムに関わる行動規範を自動生成する、前記(2)~(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(12)
前記制御部は、
前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属する複数メンバーの生活リズムを同期させるという行動規範を自動生成する、前記(11)に記載の情報処理装置。
(13)
前記制御部は、
特定の生活リズムについて、一定時間以上、前記特定コミュニティに属する他のメンバーと離間している特定メンバーに対して、間接的に行動変容を促す、前記(12)に記載の情報処理装置。
(14)
前記制御部は、
前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属する複数メンバーの生活リズムを非同期にするという行動規範を自動生成する、前記(11)に記載の情報処理装置。
(15)
前記制御部は、
第1の生活行動において、前記特定コミュニティに属する複数メンバーのうち、一定数以上同期していることを検出すると、第1の生活行動の次に来ると予想される第2の生活行動を行うように、前記特定コミュニティに属する特定のメンバーに対して、間接的に行動変容を促す、前記(14)に記載の情報処理装置。
(16)
特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータに基づき予め自動生成された前記特定コミュニティにおける行動規範に応じて、
前記特定コミュニティに属する前記メンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータに従って、
前記メンバーが行動変容するように働きかける、
制御を行う制御部を備える、情報処理装置。
(17)
プロセッサが、
特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、
前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおける行動規範を自動生成することと、
前記行動規範に基づき、前記メンバーが行動変容するように促すことと、
を含む、情報処理方法。
(18)
コンピュータを、
特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
前記取得されたセンサデータに基づき、前記特定コミュニティにおける行動規範を自動生成し、
前記行動規範に基づき、前記メンバーが行動変容するように促す、
制御を行う制御部として機能させるためのプログラムが記録された、記録媒体。
2A~2C コミュニティ
10、10A~10C、10-1~10-3 マスターシステム
11 データ解析部
12 行動規範生成部
13 行動変容指示部
20 情報処理装置(因果分析サーバ)
30 環境側センサ
32 ユーザ側センサ
34 サービスサーバ
36 出力デバイス
50 情報処理装置
70 情報処理装置
80 センサ
82 出力デバイス
201 受信部
203 送信部
210 画像処理部
212 音声処理部
214 センサ/行動データ処理部
220 因子変数DB
222 課題指標DB
224 介入用デバイスDB
226 介入ルールDB
228 介入予約DB
230 課題推定部
232 因果分析部
235 介入部
500 制御部
501 ユーザ管理部
502 価値観推定部
503 価値観比較部
504 提示部
510 通信部
520 記憶部
700 制御部
701 人物認識部
702 動作認識部
703 リズム導出部
704 かい離検出部
705 かい離原因推定部
706 応答生成部
710 通信部
720 記憶部

Claims (19)

  1. 特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得する制御を行う制御部を備え、
    前記制御部は、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
    前記基準となる価値観に基づき、出力デバイスに行動変容を促す情報を提示することにより、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促し、
    前記特定コミュニティに属する複数メンバーの価値観の平均値を、前記基準となる価値観とする、
    情報処理装置。
  2. 特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得する制御を行う制御部を備え、
    前記制御部は、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
    前記基準となる価値観に基づき、出力デバイスに行動変容を促す情報を提示することにより、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促し、
    前記特定コミュニティに属する複数メンバーのうちの、特定のメンバーの価値観を、前記基準となる価値観とする、
    情報処理装置。
  3. 特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得する制御を行う制御部を備え、
    前記制御部は、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
    前記基準となる価値観から一定以上離間している特定のメンバーに対して、前記基準となる価値観を出力デバイスにより提示することによって、間接的に行動変容を促す、
    情報処理装置。
  4. 特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得する制御を行う制御部を備え、
    前記制御部は、
    前記取得されたセンサデータに基づき、予め設定された前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題となり得る指標において課題ありと判断するための条件を満たすか否かに応じて、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定し、
    前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属するメンバーの生活リズムに関わる行動規範を自動生成する、
    情報処理装置。
  5. 前記制御部は、前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属する複数メンバーの生活リズムを同期させるという行動規範を自動生成する、
    請求項4に記載の情報処理装置。
  6. 前記制御部は、特定の生活リズムについて、一定時間以上、前記特定コミュニティに属する他のメンバーと離間している特定メンバーに対して、間接的に行動変容を促す、
    請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 前記制御部は、前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属する複数メンバーの生活リズムを非同期にするという行動規範を自動生成する、
    請求項4に記載の情報処理装置。
  8. 前記制御部は、第1の生活行動において、前記特定コミュニティに属する複数メンバーのうち、一定数以上同期していることを検出すると、第1の生活行動の次に来ると予想される第2の生活行動を行うように、前記特定コミュニティに属する特定のメンバーに対して、間接的に行動変容を促す、
    請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得する制御部を備え、
    前記制御部は、
    前記取得されたセンサデータに基づき、予め設定された前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題となり得る指標において課題ありと判断するための条件を満たすか否かに応じて、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定し、
    前記課題を解決するための前記特定コミュニティにおける行動規範として目的変数を設定し、
    前記行動規範として設定された目的変数の原因と推定される複数の因子変数を推定することによって、前記目的変数と前記複数の因子変数との関係を示す因果グラフを生成し、
    前記因果グラフにおける前記複数の因子変数において前記目的変数に直接接続している因子変数から順に、相互に関連している因子変数を特定の因子変数まで辿り、前記目的変数の間接的な原因と推定される前記特定の因子変数が所望の値に近付くよう、前記メンバーに対して行動変容するように働きかける、
    情報処理装置。
  10. プロセッサが、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成することと、
    前記基準となる価値観に基づき、出力デバイスに行動変容を促す情報を提示することにより、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促すことと、
    前記特定コミュニティに属する複数メンバーの価値観の平均値を、前記基準となる価値観とすることと、
    を含む、情報処理方法。
  11. プロセッサが、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成することと、
    前記基準となる価値観に基づき、出力デバイスに行動変容を促す情報を提示することにより、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促すことと、
    前記特定コミュニティに属する複数メンバーのうちの、特定のメンバーの価値観を、前記基準となる価値観とすることと、
    を含む、情報処理方法。
  12. プロセッサが、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成することと、
    前記基準となる価値観から一定以上離間している特定のメンバーに対して、前記基準となる価値観を出力デバイスにより提示することによって、間接的に行動変容を促すことと、
    を含む、情報処理方法。
  13. プロセッサが、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、
    前記取得されたセンサデータに基づき、予め設定された前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題となり得る指標において課題ありと判断するための条件を満たすか否かに応じて、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定することと、
    前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属するメンバーの生活リズムに関わる行動規範を自動生成することと、
    を含む、情報処理方法。
  14. プロセッサが、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得することと、
    前記取得されたセンサデータに基づき、予め設定された前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題となり得る指標において課題ありと判断するための条件を満たすか否かに応じて、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定し、
    前記課題を解決するための前記特定コミュニティにおける行動規範として目的変数を設定することと、
    前記行動規範として設定された目的変数の原因と推定される複数の因子変数を推定することによって、前記目的変数と前記複数の因子変数との関係を示す因果グラフを生成することと、
    前記因果グラフにおける前記複数の因子変数において前記目的変数に直接接続している因子変数から順に、相互に関連している因子変数を特定の因子変数まで辿り、前記目的変数の間接的な原因と推定される前記特定の因子変数が所望の値に近付くよう、前記メンバーに対して行動変容するように働きかけることと、
    を含む、情報処理方法。
  15. コンピュータを、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
    前記基準となる価値観に基づき、出力デバイスに行動変容を促す情報を提示することにより、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促し、
    前記特定コミュニティに属する複数メンバーの価値観の平均値を、前記基準となる価値観とする、
    制御を行う制御部として機能させるためのプログラム。
  16. コンピュータを、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
    前記基準となる価値観に基づき、出力デバイスに行動変容を促す情報を提示することにより、前記メンバーに対して、間接的に行動変容を促し、
    前記特定コミュニティに属する複数メンバーのうちの、特定のメンバーの価値観を、前記基準となる価値観とする、
    制御を行う制御部として機能させるためのプログラム。
  17. コンピュータを、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
    予め観測対象として定義された価値観を推定するための行動をセンシングすることにより取得された前記センサデータに基づき、前記特定コミュニティにおいて基準となる価値観を行動規範として自動生成し、
    前記基準となる価値観から一定以上離間している特定のメンバーに対して、前記基準となる価値観を出力デバイスにより提示することによって、間接的に行動変容を促す、
    制御を行う制御部として機能させるためのプログラム。
  18. コンピュータを、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
    前記取得されたセンサデータに基づき、予め設定された前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題となり得る指標において課題ありと判断するための条件を満たすか否かに応じて、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定し、
    前記課題を解決するために前記特定コミュニティに属するメンバーの生活リズムに関わる行動規範を自動生成する、
    制御を行う制御部として機能させるためのプログラム。
  19. コンピュータを、
    特定コミュニティに属するメンバーをセンシングすることにより得られたセンサデータを取得し、
    前記取得されたセンサデータに基づき、予め設定された前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題となり得る指標において課題ありと判断するための条件を満たすか否かに応じて、前記特定コミュニティに属するメンバーが抱える課題を推定し、
    前記課題を解決するための前記特定コミュニティにおける行動規範として目的変数を設定し、
    前記行動規範として設定された目的変数の原因と推定される複数の因子変数を推定することによって、前記目的変数と前記複数の因子変数との関係を示す因果グラフを生成し、
    前記因果グラフにおける前記複数の因子変数において前記目的変数に直接接続している因子変数から順に、相互に関連している因子変数を特定の因子変数まで辿り、前記目的変数の間接的な原因と推定される前記特定の因子変数が所望の値に近付くよう、前記メンバーに対して行動変容するように働きかける、
    制御を行う制御部として機能させるためのプログラム。
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