JP7367207B2 - 透光性高靭化ジルコニア焼結体 - Google Patents
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Description
本製法によれば、第一の必須成分として酸化イットリウムのみを含有するジルコニア焼結体を製造することが可能である。先ず、酸化イットリウムを含有するジルコニア粉末と、第二の必須成分(酸化ニオブ及び/又は酸化タンタル)を準備する。1)それらを混合機にて混合した後、2)PVA等のバインダーを添加し、3)噴霧乾燥させる。4)乾燥後の混合物を成形して成形体を得、5)得られた成形体を常圧下で焼成して焼結せしめることにより、目的とする、酸化イットリウムと酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルを含有するジルコニア焼結体が得られるのである。
本製法によれば、第一の必須成分として酸化イットリウム及び/又は酸化イッテルビウムを含有するジルコニア焼結体を製造することが可能である。先ず、ジルコニアゾル、焼結後に焼結体中に酸化イットリウムを与えるイットリウム化合物(例えば、YCl3 )、焼結後に焼結体中に酸化イッテルビウムを与えるイッテルビウム化合物(例えば、YbCl3 )、並びに、第二の必須成分(酸化ニオブ及び/又は酸化タンタル)を準備する。1)ジルコニアゾルにイットリウム化合物及び/又はイッテルビウム化合物を添加して中和、脱水、乾燥させた後、2)乾燥物を解砕する。3)得られた解砕物を仮焼して固溶体を得、4)かかる固溶体を湿式粉砕した後、5)脱水乾燥する。6)得られた乾燥物を再度、解砕し、7)解砕物に対して第二の必須成分(酸化ニオブ及び/又は酸化タンタル)を添加し、混合する。8)その混合物に対して凝集剤を添加して凝集させた後、9)その凝集物を乾燥させる。10)乾燥物を乳鉢等で解砕し、11)得られた解砕物を成形して成形体を得、12)得られた成形体を常圧下で焼成し、焼結せしめることによって、酸化イットリウム及び/又は酸化イッテルビウムと、酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルとを含有するジルコニア焼結体が得られるのである。
・ZrO2 ゾル
・2.0Y-ZrO2 粉末:2.0mol%のY2O3を含有する
ZrO2 粉末(共立マテリアル株式会社製)
・3.0Y-ZrO2 粉末:3.0mol%のY2O3を含有する
ZrO2 粉末(共立マテリアル株式会社製)
・4.2Y-ZrO2 粉末:4.2mol%のY2O3を含有する
ZrO2 粉末(共立マテリアル株式会社製)
・5.0Y-ZrO2 粉末:5.0mol%のY2O3を含有する
ZrO2 粉末(共立マテリアル株式会社製)
・5.6Y-ZrO2 粉末:5.6mol%のY2O3を含有する
ZrO2 粉末(共立マテリアル株式会社製)
・Nb2O5粉末
・Ta2O5粉末
・YCl3
・YbCl3
2.0Y-ZrO2 粉末に対してバインダーを添加し、噴霧乾燥させた後、乾燥後の混合物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.1)を製造した。
2.0Y-ZrO2 粉末に代えて3.0Y-ZrO2 粉末を用いたこと以外は試料No.1と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.2)を製造した。
3.0Y-ZrO2 粉末及びNb2O5粉末の各所定量をポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。次いで、混合物に対してバインダーを添加し、噴霧乾燥させた後、乾燥後の混合物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.3)を製造した。
所定量のNb2O5粉末に代えて、所定量のTa2O5粉末を用いたこと以外は試料No.3と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.4)を製造した。
ZrO2 ゾル、YCl3 及びYbCl3 の各所定量を混合し、中和、脱水、乾燥させた後、乾燥物を解砕した。得られた解砕物を仮焼して固溶体を得、かかる固溶体をビーズミルにて湿式粉砕した後、脱水し、乾燥させた。得られた乾燥物を再度、解砕し、解砕物をポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。その後、混合物に対して凝集剤を添加して凝集させ、その凝集物を乾燥させた。乾燥物を乳鉢で解砕し、得られた解砕物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.5)を製造した。
ZrO2 ゾル、YCl3 及びYbCl3 の各所定量を混合し、中和、脱水、乾燥させた後、乾燥物を解砕した。得られた解砕物を仮焼して固溶体を得、かかる固溶体をビーズミルにて湿式粉砕した後、脱水し、乾燥させた。得られた乾燥物を再度、解砕し、解砕物を、各試料に応じた量のNb2O5粉末と共にポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。その後、混合物に対して凝集剤を添加して凝集させ、その凝集物を乾燥させた。乾燥物を乳鉢で解砕し、得られた解砕物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.6~10)を製造した。
2.0Y-ZrO2 粉末に代えて4.2Y-ZrO2 粉末を用いたこと以外は試料No.1と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.11)を製造した。
4.2Y-ZrO2 粉末及びNb2O5粉末の各所定量をポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。次いで、混合物に対してバインダーを添加し、噴霧乾燥させた後、乾燥後の混合物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.12~18)を製造した。
所定量のNb2O5粉末に代えて、所定量のTa2O5粉末を用いたこと以外は試料No.12~18と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.19、20)を製造した。
所定量のNb2O5粉末に代えて、Nb2O5粉末及びTa2O5粉末の各所定量を用いたこと以外は試料No.12~18と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.21~23)を製造した。
ZrO2 ゾル及びYbCl3 の各所定量を混合し、中和、脱水、乾燥させた後、乾燥物を解砕した。得られた解砕物を仮焼して固溶体を得、かかる固溶体をビーズミルにて湿式粉砕した後、脱水し、乾燥させた。得られた乾燥物を再度、解砕し、解砕物をポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。その後、混合物に対して凝集剤を添加して凝集させ、その凝集物を乾燥させた。乾燥物を乳鉢で解砕し、得られた解砕物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.24)を製造した。
ZrO2 ゾル及びYbCl3 の各所定量を混合し、中和、脱水、乾燥させた後、乾燥物を解砕した。得られた解砕物を仮焼して固溶体を得、かかる固溶体をビーズミルにて湿式粉砕した後、脱水し、乾燥させた。得られた乾燥物を再度、解砕し、解砕物を、各試料に応じた量のNb2O5粉末と共にポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。その後、混合物に対して凝集剤を添加して凝集させ、その凝集物を乾燥させた。乾燥物を乳鉢で解砕し、得られた解砕物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.25~27)を製造した。
ZrO2 ゾル、YCl3 及びYbCl3 の使用量を変更したこと以外は試料No.5と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.28)を製造した。
ZrO2 ゾル、YCl3 、YbCl3 及びNb2O5粉末の各使用量を変更したこと以外は試料No.6~10と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.29)を製造した。
ZrO2 ゾル及びYbCl3 の使用量を変更したこと以外は試料No.5と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.30)を製造した。
ZrO2 ゾル、YbCl3 及びNb2O5粉末の各使用量を変更したこと以外は試料No.6~10と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.31~33)を製造した。
5.0Y-ZrO2 粉末及びNb2O5粉末の各所定量をポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。次いで、混合物に対してバインダーを添加し、噴霧乾燥させた後、乾燥後の混合物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.34~36)を製造した。
所定量のNb2O5粉末に代えて、所定量のTa2O5粉末を用いたこと以外は試料No.34~36と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.37、38)を製造した。
2.0Y-ZrO2 粉末に代えて5.6Y-ZrO2 粉末を用いたこと以外は試料No.1と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.39)を製造した。
5.6Y-ZrO2 粉末及びNb2O5粉末の各所定量をポットミル(粉砕用ボール:ジルコニアボールφ1mm)に投入し、1時間、ポットミル内で粉砕、混合した。次いで、混合物に対してバインダーを添加し、噴霧乾燥させた後、乾燥後の混合物を金型(φ20mm)内に充填した。金型に0.78MPaの圧力を加えた後、金型内より円盤状の成形体を取り出し、かかる成形体に対して、196MPaの圧力にてCIP成形を実施した。CIP成形後の成形体を焼成することにより、ジルコニア焼結体(試料No.40、41)を製造した。
ZrO2 ゾル及びYbCl3 の使用量を変更したこと以外は試料No.5と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.42)を製造した。
ZrO2 ゾル、YbCl3 及びNb2O5粉末の各使用量を変更したこと以外は試料No.6~10と同様の手法に従い、成形体を作製し、かかる成形体を焼成することによってジルコニア焼結体(試料No.43、44)を製造した。
JIS R 1607:2015「ファインセラミックスの室温破壊じん(靭)性試験方法」に規定されているIF法に従い、測定した。
コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(製品名:CM-3700d)を用いて、各試料より切り出した、厚さが1.5mmの円盤状試験体について、白色体を裏当てした状態の試験体の反射率(R0) 及び黒色体を裏当てした状態の試験体の反射率(R1 )を測定した。なお、用いた分光測色計は、測定結果より自動的にオパシティが算出されるように構成されており、反射率測定の際には、白色体として白色校正板(製品名:CM-A90、CM-3700dの標準付属品)を、黒色体としてゼロ校正ボックス(製品名:CM-A94、CM-3700dの標準付属品)を、それぞれ用いた。また、分光測色計の設定としては、項目「反射/透過」については「反射」を、項目「正反射光処理」については「SCI方式」を、項目「測定径」については「MAV(8mm)」を、項目「UV条件」については「100%Full」を、項目「視野」については「10°」を、項目「主光源」については「D65」を、それぞれ選択した。
[単斜晶相率(%)]
={Im(111)+Im(11-1)}
/{Im(111)+Im(11-1)+It+c(111) }
×100
なお、X線回折装置の各条件は、以下の通りである。
・X線検出器:D/tex Ultra(付属装置)
・スキャンスピード:2.0°/min
・サンプリング幅:0.02°
・発散スリット:1.0mm
・発散縦スリット:10mm
・散乱スリット:8mm
・受光スリット:開放
・電圧:40kV
・電流:40mA
・測定領域:26~38°
Claims (2)
- 安定化剤としての酸化イットリウム及び/又は酸化イッテルビウムを3.5~5.0mol%の割合において含むと共に、酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルを0.3~1.5mol%の割合において含むジルコニアからなり、破壊靭性値が4.5MPa√m以上であり、且つ厚さ1.5mmでのオパシティが80.0%以下である、ことを特徴とするジルコニア焼結体。
- 請求項1に記載のジルコニア焼結体からなる歯科修復材料。
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DAE-JOON KIM,Fracture Toughness, Ionic Conductivity, and Low-Temperature Phase Stability of Tetragonal Zirconia C,Journal of the American Ceramic Society,米国,1998年,vol.81, number 9,p.2309-2314 |
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