JP7366736B2 - 靴の製造方法、靴、及び誘導加熱接着装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1は、複数の発泡熱可塑性ポリウレタン粒子とゴム等の表面との間にホットメルト接着剤層を設けた後、マイクロ波を照射して該ホットメルト接着剤をマイクロ波加熱し、それによって該ポリウレタン粒子と該表面とを接着させることにより、靴用部材を製造する方法を開示している。
第1の靴用部材と第2の靴用部材とが、直接的若しくは接着補助部材を介して間接的、又はこれらの組合せにより接触する当接部を形成するように、該第1の靴用部材と該第2の靴用部材とを配置し、前記当接部を加熱可能な位置に導電性材料を配置する配置ステップと、
前記導電性材料を誘導加熱することにより、前記当接部に熱を加えて前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを接着させる接着ステップと、
を備えている、靴の製造方法を提供する。
第1の靴用部材と、第2の靴用部材と、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間に配された導電性材料とを含み、
前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが、前記導電性材料を介して接着されている、靴を提供する。
上記の靴の製造方法を実行可能な誘導加熱接着装置であって、
前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを、前記当接部が形成された状態で内部に配置可能なコイルと、
前記接着ステップにおいて前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを圧着するように構成された圧着機構と
を備えた、誘導加熱接着装置を提供する。
また、本発明によれば、該製造方法を用いて靴を簡便に製造可能な誘導加熱接着装置が提供される。
本実施形態の靴の製造方法を説明する。
本実施形態の靴の製造方法では、第1の靴用部材と第2の靴用部材とが、直接的若しくは接着補助部材を介して間接的、又はこれらの組合せにより接触する当接部を形成するように、該第1の靴用部材と該第2の靴用部材とを配置し、前記当接部を加熱可能な位置に導電性材料を配置する配置ステップを実施する。
本実施形態の靴の製造方法では、前記導電性材料を誘導加熱することにより、前記当接部に熱を加えて第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを接着させる接着ステップをさらに実施する。
また、第1の靴用部材と第2の靴用部材とはそれぞれ、一般に1つの靴用部材として認識され得る特定の部材の一部であってもよい。例えば、第1の靴用部材と第2の靴用部材は、接着されることによって1つのミッドソールを形成することとなるミッドソールの第1構成部品及び第2構成部品であってもよい。
前記接着補助部材は、第1の熱可塑性樹脂と、前記第1の熱可塑性樹脂とは異なる種類の第2の熱可塑性樹脂と、前記導電性材料と、を少なくとも含んでいる接着用シートであってもよい。
そして前記配置ステップにおいて、第1の靴用部材を前記第1の表面に、かつ、第2の靴用部材を前記第2の表面に当接させるように、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが配置され得る。
第2の靴用部材の第2の被接着面は、接着用シートの第2の表面に露出した樹脂のいずれか、好ましくは第2の表面における存在割合が他の任意の樹脂と比較して大きい樹脂と接着可能とされる。例えば、第2の表面において、第2の熱可塑性樹脂の存在割合が他の任意の樹脂の存在割合よりも大きい場合には、第2の被接着面は、第2の熱可塑性樹脂と接着可能とされる。第2の被接着面にもまた、第2の表面との接着性の観点から、第2の表面に露出した該樹脂と同種の樹脂が露出していることが好ましい。
導電性材料の形態は特に限定されず、シート状であってもよく、粉末状、繊維状、薄片状等であってもよい。なお、本開示において、シート状とは、厚みが均一又不均一な形態、表面に立体加工及び/又は1つ以上の貫通孔が設けられた形態を含み、フィルム状、メッシュ状、織布状又はそれに類する形態を含む。
また、導電性材料は、配置される位置に応じて異なる材料や異なる形態により構成されていてもよい。
また、導電性材料は、接着補助部材と同じ位置に配されてもよい。例えば、導電性材料は、接着補助部材の内部に配されてもよい。もっとも、導電性材料は、第1の靴用部材と第2の靴用部材との当接部を加熱可能な位置である限り、接着補助部材とは異なる位置に配されていてもよい。
該熱可塑性樹脂としては、好ましくは、その融点又は軟化点が70℃~140℃の範囲にある樹脂が選択される。このような樹脂を使用することにより、後の接着ステップにおいて接着補助部材に含まれる該熱可塑性樹脂を容易かつ効率的に加熱溶融することが可能になる。
該熱硬化性樹脂としては、好ましくは、その硬化物の軟化点が80℃~180℃の範囲にある樹脂が選択される。
接着補助部材が単一の樹脂を含んでいる場合には、接着補助部材は、第1の靴用部材の接着面及び第2の靴用部材の接着面の両方に接着可能な樹脂を含んでいることが好ましい。
接着補助部材が2種以上の樹脂を含んでいる場合には、接着補助部材は、第1の靴用部材の接着面に接着可能な第1の樹脂と、第2の靴用部材の接着面に接着可能な第2の樹脂とを別々に含んでいてもよい。その場合には、接着補助部材は、第1の靴用部材の被接着面に当接される第1の表面に第1の樹脂が露出し、第2の靴用部材の被接着面に当接される第2の表面に第2の樹脂が露出する。このような接着補助部材を用いることにより、樹脂に対する接着性の異なる2つの靴用部材同士を、該接着補助部材を介して接着することが可能になる。
なお、第1及び第2の表面にそれぞれ露出している樹脂は、第1及び第2の靴用部材との接着性の観点から、第1及び第2の靴用部材の被接着面にそれぞれ露出している樹脂と同種の樹脂であることが好ましい。例えば、第1の靴用部材の被接着面にEVA樹脂が露出している場合には、第1の表面に露出している樹脂もまた、EVA樹脂であってもよく、第2の靴用部材の被接着面にTPU樹脂が露出している場合には、第2の表面に露出している樹脂もまた、TPU樹脂であってもよい。
なお、第1及び第2の表面における各樹脂の存在割合は、例えば、ダイヤモンドATR法によるフーリエ変換赤外分光分析(FT-IR)にて測定され得る。
例えば、接着補助部材は、樹脂の内部に導電性材料が配置された複合樹脂部材であってもよく、導電性材料のみにより形成されたシート等であってもよい。
また、以下の実施形態では、第1の靴用部材を靴底用部材としてのミッドソール2、第2の靴用部材をアッパー3として例示することにより説明する。
第1実施形態では、図1~5に示されるように、第1の靴用部材と第2の靴用部材とを接着補助部材を介して接着させる。
本実施形態では、導電性材料15は、接着補助部材10に含まれており、この導電性材料15を含んだシート状の接着補助部材(以下、接着補助シートとも称する)10を介して、第1の靴用部材2と第2の靴用部材3とを当接する。これによって、第1の靴用部材2と第2の靴用部材3の当接部Aに接着補助部材10と共に導電性材料15が配置されるため、後の接着ステップにおいて導電性材料15を加熱することにより、当接部Aを加熱可能になる。
より具体的には、図3に示される接着補助シート10は、第1の熱可塑性樹脂111を主成分とする第1の予備シート11と、第1の予備シート11に積層された、第2の熱可塑性樹脂121を主成分とする第2の予備シート12とを備えており、導電性シート15は、第1及び第2の予備シート11,12のほぼ全面にわたってそれらの間に挟み込まれている。つまり、本実施形態において、第1の予備シート11と第2の予備シート12とは、導電性シート15を介して間接的に重ね合わされている。ここで、第1の予備シート11の、第2の予備シート12と重ね合わされている面とは反対側の表面が、接着補助シート10の第1の表面10Aを構成しており、第2の予備シート12の、第1の予備シート11と重ね合わされている面とは反対側の表面が、接着補助シート10の第2の表面10Bを構成している。
本実施形態では、接着補助シート10は、ミッドソール2とアッパー3との接着面の形状に合わせた形状であり、具体的には、ミッドソール2の上面全体の形状にほぼ適合された形状である。すなわち、後の接着ステップにてミッドソール2とアッパー3とが接着補助シート10を介して接着される際、接着補助シート10、ひいては導電性シート15が、ミッドソール2とアッパー3との間のほぼ全面にわたって配置されることとなる。
この例では、第2の熱可塑性樹脂121は、第1の熱可塑性樹脂111と異なる種類の樹脂で構成されているが、これに代えて同じ種類の樹脂で構成されてもよい。すなわち、この接着補助シート10の第1及び第2の表面10A,Bに露出している樹脂111,121の種類は異なる種類であるが、同じ種類であってもよい。
すなわち、本実施形態の靴1は、屈曲性付与部に設けられる部位では、他の部位での導電性シート15よりも厚さの薄いシート状となった導電性材料を備えていてもよい。その場合には、本実施形態の方法により製造される靴1の靴底用部材において、当接部Aに配置された導電性シートによって損なわれ得る屈曲性を、屈曲性付与部において比較的抑制することができるという利点を有する。
ここで、屈曲性付与部とは、例えば、本実施形態にて製造される靴1の靴底用部材、例えばミッドソール2に屈曲性が付与されている部位において、ミッドソール2とアッパー3とが当接する部位等が挙げられる。そのような屈曲性付与部は、例えば、靴底用部材のうち、標準的な体形の人の足のMP関節及びその近傍等を支持する部位が、当接部Aにおいてアッパー3と接触している部位のことをいう。
以下の説明において、「所定の部位において他の部位よりも厚さの薄いシートを備える」及びそれに類する表現が用いられた場合、別段の記載がない限り、「所定の部位においてシートを全く備えていない」ことを含むものとする。
任意には、導電性シート15は、1つ又は複数の穴が開けられていてもよい。その場合、導電性シート15に開けられた穴の位置は限定されないが、例えば、上述の屈曲性付与部において比較的多くの又は大きい穴が空けられていてもよい。
例えば、導電性シート15の特定の部位(例えば、母趾球及び小趾球下に設けられる部位)における硬度や弾力性を高めるために、該特定の部位がカーボンファイバー等の高硬度かつ高弾力性を備えたシートにより構成され、他の部位がアルミニウムシートにより構成されてもよい。
また、第1及び第2の予備シート11,12の厚みは、接着補助シート10及び導電性シート15の厚みに応じて適宜選択される。例えば、第1及び第2の予備シート11,12の厚みは、150μm~1,000μmの範囲であってもよい。第1の予備シート11の厚みと第2の予備シート12の厚みとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。これらの厚みは、接着用シート10に求められる屈曲性等を考慮して、部位に応じて変更されてもよい。
一方で、この接着補助シート20において、導電性シート25は、接着補助シート20の厚み方向のほぼ全域に配置されているのではなく、厚み方向において部分的に導電性シートが配されていない領域がある点において、図3の接着補助シート10とは異なっている。なお、上述したように、厚み方向において部分的に導電性シートが配されていない領域があるとは、導電性シート25の厚みが他領域の厚みよりも薄いという概念に含まれる。
この例では、第2領域20”が標準的な体形の人の足のMP関節領域およびその近傍を支持する部位としての屈曲性付与部に設けられる。そのため、この接着補助シート20は、MP関節領域における屈曲性が、導電性材料によって損なわれないという利点を有する。この実施例において、第1の予備シート21と第2の予備シート22とは、第1領域20’で導電性シート25を介して間接的に重ね合わされており、第2領域20”で直接的に重ね合わされている。
図5に示される例では、導電性材料35は粉末状である。もっとも、導電性材料35は、上述した通り、繊維状、薄片状等の任意の形態で接着補助シート30内に分散されていてもよい。
導電性材料15の誘導加熱は、導電性材料15を交番磁界MFの中に配置することによって引き起こされる。
例えば、接着補助部材が熱可塑性樹脂を含んでいる場合には、導電性材料の熱によって、当接部に配置された接着補助部材が加熱溶融されて、第1及び第2の靴用部材の被接着面に接着される。なお、該接着は、通常、接着補助部材が加熱溶融された後、冷却されて接着補助部材が固化されることによって完了する。接着補助部材があらかじめ一体化されていない場合、ここで一体化される。
もっとも、導電性材料の誘導加熱は、上記のような装置に限られず、一般的な家庭用IHコンロのようなプレート状の表面カバーの内部にコイルが収容された加熱装置等、任意の装置によって行われてもよい。
当該ステップにおいて照射される交番磁界の強度及び適用時間は特に限定されず、導電性材料を十分に加熱して第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを接着させることが可能な強度及び時間とすることができる。
なお、このとき導電性材料15をアッパーとミッドソールとの間だけでなく、ミッドソールとアウトソールとの間に配してアッパーとミッドソールとアウトソールとを一度に接着するようにしてもよい。
また、本実施形態の方法における誘導加熱は、誘導加熱を引き起こすための交番磁界を発生させることが可能なコイルによって行うことができるため、従来の方法のような複雑又は大規模の装置を必要としない。したがって、単純かつコンパクトな装置によって、靴用部材2,3の接着を行うことが可能になり、使用可能な装置の設計自由度も高くなる。これにより、第1及び第2の靴用部材2,3の組合せを、ユーザーの好みに応じてカスタマイズすることが容易となる。
このようにして分離された第1又は第2の靴用部材2,3には、本第1実施形態又は後述の第2実施形態に係る製造方法を用いて別の靴用部材を接着することができる。したがって、本実施形態の方法により製造された靴1は、靴1の完成後であっても、導電性材料15を介して接着されている第1又は第2の靴用部材2,3を交換することが可能になる。
第2実施形態は、第1の靴用部材2と第2の靴用部材3とを接着補助部材40を介して接着させる点においては、第1実施形態と同様である。一方で、第2実施形態は、接着補助部材40が樹脂材料を含まない導電性材料45のみからなる、すなわち、導電性材料45自体が接着補助部材40として機能する点において、第1実施形態とは異なる。
接着補助部材40、すなわち導電性材料45は、上述の通り、シート状、メッシュ状、織布状、粉末状、繊維状、薄片状等の任意の形態の金属及び/又は炭素材料により構成される。
本実施形態では、誘導加熱により生じた導電性材料の熱は、当接部Aにおいて導電性材料が接触している第1及び第2の靴用部材2,3の被接着面に伝達され、それによって該被接着面に露出している樹脂が加熱溶融する。これにより、第1及び第2の靴用部材が、該被接着面同士が接着補助部材を介して間接的に接触されていた部分においては接着補助部材を介して間接的に、該被接着面同士が直接的に接触していた部分においては直接的に接着される。
第3実施形態では、第1及び第2実施形態とは異なり、導電性材料は当接部Aに配置されず、代わりに、当接部A並びに第1及び第2の靴用部材とは異なる位置に配置される。
具体的には、図8に示されるように、底面部に導電性材料55が設けられた足型Fをアッパー3内に挿入して、当接部Aにおけるアッパー3の該被接着面の反対側の面に導電性材料55を上から押し当てるように配置する。これによって、足型Fの底面部に押し当てられているアッパー3の中底部分が、導電性材料55とミッドソール2との間に挟まれる。
本実施形態では、誘導加熱により生じた導電性材料の熱は、当接部Aの上方に配置された導電性材料から当接部Aにおける接着補助部材50に伝達され、接着補助部材50を介して間接的に接触していた第1及び第2の靴用部材2,3が、接着補助部材50を介して接着される。
本開示の靴は、第1の靴用部材と、第2の靴用部材と、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間に配された導電性材料とを含み、
前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが、前記導電性材料を介して接着されている。
例えば、本開示の靴は、上述の第1及び第2実施形態の靴の製造方法により製造され得る靴である。
なお、図8に示される靴1では、導電性材料55はシート状であるが、上述した通り、導電性材料は粉末状、繊維状、薄片状等の他の任意の形態であってもよい。また、導電性材料55は、第1及び第2の靴用部材の間の全領域に均一な厚みで配置されているが、導電性材料は、第1の靴用部材と第2の靴用部材との間の当接部Aの所定領域、例えば第1又は第2の靴用部材である靴底用部材のうち、標準的な人の足のMP関節領域及びその近傍等を支持する部位としての屈曲性付与部に設けられる領域において、他の領域より薄くなっていてもよく、又は、配されていなくてもよい。
このようにして分離された第1又は第2の靴用部材には、上述の第1又は第2実施形態に係る製造方法を用いて別の靴用部材を接着することができる。したがって、本開示の靴の完成品は、導電性材料を介して接着されている第1又は第2の靴用部材を交換することが可能になる。
さらに、導電性材料として帯電防止作用を備えた材料を使用することにより、該靴に帯電防止効果を付与することができる。
また、導電性材料が金属シートである場合には、種々のセンサーの無線強度を高めることも可能になり得る。
本実施形態の誘導加熱接着装置は、上述の第1~第3実施形態に係る靴の製造方法を実施可能な装置である。
該装置は、第1の靴用部材と第2の靴用部材とを、当接部が形成された状態で内部に配置可能なコイルと、前記接着ステップにおいて前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを圧着するように構成された圧着機構とを備えている。
例えば、図8に示されるように、第1の靴用部材がミッドソール等の靴底用部材2、第2の靴用部材がアッパー3である場合には、該圧着機構は足型Fを備え、該足型Fを第2の靴用部材であるアッパー3内に挿入して、当接部Aにおけるアッパー3の該被接着面を押圧し得る機構であり得る。その他の圧着機構として、クランプ状の治具や、当該治具と足型Fの組合せ等を採用することができる。
足型Fは、少なくとも底面に導電性材料55が配されていてもよい。その場合には、第3実施形態において上述したように、圧着機構に設けられた導電性材料を誘導加熱することによって、第1の靴用部材と第2の靴用部材との当接部を加熱することが可能になる。
上記実施形態によれば、従来の方法に比べて、靴用部材同士を簡便に接着することができる。この靴の製造方法によれば、従来の接着方法よりも工程を単純化できる。さらに、この靴の製造方法は、一般的に乾燥炉と比べて小型である誘導加熱装置にて実施可能であるため、大掛かりな装置を用いる必要がない。したがって、本実施形態の靴の製造方法は、靴の製造工場以外での実施が容易となり、例えば、靴の販売店などにおいて実施することもできる。
そのような態様においては、導電性材料を誘導加熱で効率良く発熱させることができる。
上記製造方法の一態様では、前記接着補助部材が、第1の熱可塑性樹脂と、前記第1の熱可塑性樹脂とは異なる種類の第2の熱可塑性樹脂と、前記導電性材料と、を少なくとも含んでいる接着用シートであり、前記接着用シートは、第1の表面と、該第1の表面と反対側に位置する第2の表面とを有し、前記第1の表面では、前記第1の熱可塑性樹脂の存在割合が前記第2の熱可塑性樹脂の存在割合よりも大きく、前記第2の表面では、前記第2の熱可塑性樹脂の存在割合が前記第1の熱可塑性樹脂の存在割合よりも大きく、前記配置ステップにおいて、前記第1の靴用部材を前記第1の表面に、かつ、前記第2の靴用部材を前記第2の表面に当接させるように、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを配置する。
従って、このような態様においては直接接着することが困難な第1及び第2の被接着面を備えた第1及び第2の靴用部材同士を、第1及び第2の表面における第1及び第2の熱可塑性樹脂の存在割合がそれぞれ異なる接着用シートを介して容易に接着することが可能になる。
このことにより、接着補助部材として第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との組み合わせを多品種用意することが容易になる。
そのような態様においては誘導加熱において接着補助部材を効率良く加熱することができる。
そのような態様においては誘導加熱において電磁波を受ける面積が大きく確保され得る。
そのような態様においては前記導電性材料を広範囲に配することが容易となる。また、そのような態様においては靴用部材の柔軟性が前記導電性材料によって低下するおそれを抑制できる。
上記製造方法の一態様では、前記第1の靴用部材又は前記第2の靴用部材の少なくともいずれか一方が、靴底用部材であり、前記所定領域が、屈曲性付与部に設けられている。
前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間の所定領域において、前記導電性材料の厚みが前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間の他領域よりも薄くなっている靴には、優れた屈曲性が発揮され得る。
このような態様においては、靴に導電性材料を残存させないようにすることもできる。
従って、本実施形態の靴は製造容易であり、第1及び第2の靴用部材の組合せを、ユーザーの好みに応じてカスタマイズすることが容易となる。好ましくは、導電性材料を加熱することで分離可能である。
前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが、前記導電性材料を誘導加熱することによって分離可能であると修理やデザイン変更などが容易に行える。
誘導加熱接着装置は、一態様において前記第1の靴用部材が靴底用部材であり、前記第2の靴用部材がアッパーであり、前記圧着機構が、前記アッパーを着用可能な足型を備えており、前記導電性材料が前記足型の少なくとも底面部に配されている。
このような誘導加熱接着装置を用いることで上記のような靴を簡便に製造することができる。
2:第1の靴用部材(ミッドソール)、2A:第1の被接着面
3:第2の靴用部材(アッパー)、3B:第2の被接着面
10,20,30,40,50:接着補助部材(接着シート)、
10A,20A:第1の表面、
10B,20B:第2の表面
11,21:第1の予備シート、
12,22:第2の予備シート、
15,25,35,45,55:導電性材料
100:(誘導加熱のための)装置
101:コイル
111,211:第1の熱可塑性樹脂、
121,221:第2の熱可塑性樹脂、
A:当接部
MF:交番磁界
Claims (15)
- 第1の靴用部材と第2の靴用部材とが、第1の熱可塑性樹脂と、前記第1の熱可塑性樹脂とは異なる種類の第2の熱可塑性樹脂と、導電性材料と、を少なくとも含んでいる接着用シートを介して間接的に接触する当接部を形成するように、該第1の靴用部材と該第2の靴用部材と該接着用シートとを配置する配置ステップと、
前記導電性材料を誘導加熱することにより、前記当接部に熱を加えて前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを接着させる接着ステップと、
を備えており、
前記接着用シートは、第1の表面と、該第1の表面と反対側に位置する第2の表面とを有し、前記第1の表面では、前記第1の熱可塑性樹脂の存在割合が前記第2の熱可塑性樹脂の存在割合よりも大きく、前記第2の表面では、前記第2の熱可塑性樹脂の存在割合が前記第1の熱可塑性樹脂の存在割合よりも大きく、
前記配置ステップにおいて、前記第1の靴用部材を前記第1の表面に、かつ、前記第2の靴用部材を前記第2の表面に当接させるように、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とを配置する、靴の製造方法。 - 前記導電性材料が、金属又は炭素を含む材料である、請求項1に記載の靴の製造方法。
- 前記接着用シートが、前記第1の熱可塑性樹脂により構成された第1の予備シートと、前記第2の熱可塑性樹脂により構成された第2の予備シートとを備えた積層シートで、前記第1の予備シートと前記第2の予備シートとが直接的又は間接的に重ね合わされている、請求項1に記載の靴の製造方法。
- 前記導電性材料がシート状である、請求項1~3のいずれか1項に記載の靴の製造方法。
- 前記導電性材料が粉末状又は繊維状である、請求項1~3のいずれか1項に記載の靴の製造方法。
- 前記配置ステップでは、前記当接部の所定領域において、前記導電性材料の厚みが前記当接部の他領域よりも薄くなるように前記導電性材料が配される、請求項4に記載の靴の製造方法。
- 前記第1の靴用部材又は前記第2の靴用部材の少なくともいずれか一方が、靴底用部材であり、
前記所定領域が、屈曲性付与部に設けられている、請求項6に記載の靴の製造方法。 - 第1の靴用部材と、第2の靴用部材と、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間に配された接着用シートであって、第1の熱可塑性樹脂と、前記第1の熱可塑性樹脂とは異なる種類の第2の熱可塑性樹脂と、導電性材料と、を少なくとも含んでいる接着用シートとを含み、
前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが、前記導電性材料を含んでいる前記接着用シートを介して接着されており、
前記接着用シートは、第1の表面と、該第1の表面と反対側に位置する第2の表面とを有し、前記第1の表面では、前記第1の熱可塑性樹脂の存在割合が前記第2の熱可塑性樹脂の存在割合よりも大きく、前記第2の表面では、前記第2の熱可塑性樹脂の存在割合が前記第1の熱可塑性樹脂の存在割合よりも大きく、
前記第1の靴用部材が前記第1の表面に、かつ、前記第2の靴用部材が前記第2の表面に当接するように、前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが配置されている、靴。 - 前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材とが、前記導電性材料を誘導加熱することによって分離可能である、請求項8に記載の靴。
- 前記導電性材料が、金属又は炭素を含む材料である、請求項8又は9に記載の靴。
- 前記導電性材料がシート状である、請求項8~10のいずれか1項に記載の靴。
- 前記導電性材料が粉末状又は繊維状である、請求項8~10のいずれか1項に記載の靴。
- 前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間の所定領域において、前記導電性材料の厚みが前記第1の靴用部材と前記第2の靴用部材との間の他領域よりも薄くなっている、請求項11に記載の靴。
- 前記第1の靴用部材又は前記第2の靴用部材の少なくともいずれか一方が、靴底用部材であり、
前記所定領域が、屈曲性付与部に設けられている、請求項13に記載の靴。 - 前記第1の靴用部材が靴底用部材であり、前記第2の靴用部材がアッパーである、請求項8~14のいずれか1項に記載の靴。
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