JP7365081B2 - 超親水性構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、優れたセルフクリーニング機能を持つ超親水性構造体及びその製造方法に関する。
自動車などの輸送用機器におけるヘッドライトランプのカバーレンズや手術用内視鏡のカバーレンズは、光透過性が要求されるだけでなく、優れた防曇性とセルフクリーニング機能、すなわち、汚れが付着し難く、付着した場合でも汚れが速やかに流れる機能が要求される。
ガラスや透明樹脂からなる基材を超親水化する技術は、その表面に付着した水滴を広げる効果を用いて、防曇性やセルフクリーリング機能が要求される様々な分野において利用されている。基材表面が結露した場合、通常はその水滴で光が乱反射を起こすために、白く曇る現象が起こる。しかし、その表面が親水性の場合は、結露した水滴が水膜になるため、光が乱反射を起こさず、曇りが発生しない。つまり、基材表面が超親水性になるほど、優れた防曇性とセルフクリーニング機能が発現される。
親水性ナノ粒子を用いて超親水性構造体を形成する手法として、特許文献1では、直径が5~100nmの珪素酸化物微粒子を含有する塗工材料を基材上に塗布したのち、溶媒を揮発させることにより、平均膜厚30nm以上200nm以下の被膜を形成している。しかしながら、特許文献1の方法では、塗工量を安定させることが難しく、塗布ムラが発生するといった問題があった。また、溶媒揮発時の表面張力により、親水性ナノ粒子膜が厚く緻密になってしまうため、粒子の凝集力が増大し、結果として親水性が低下するといった問題もあった。
特許第4689466号
本発明は以上のような従来の欠点を鑑み、新規発想のもとに、超親水性構造体を提供することを目的とする。詳しくは、親水性ナノ粒子膜の多層化による厚さの増大を最小とし、且つ、親水性ナノ粒子同士が凝集して緻密構造になることを避けること、そして、経時的にも安定した超親水性構造物を提供することを目的とする。更に、本発明のもうひとつの目的は、その製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み、鋭意研究の結果、本発明者は、基材表面への固着ナノ粒子数が少なくても親水性は低下し、逆に基材表面への固着ナノ粒子数が多すぎても親水性が低下することを見出し、本発明に想到した。すなわち、本発明の課題は、下記構成により解決できる。
第1の本発明は、基材と、前記基材上にSiOからなる親水性ナノ粒子が固着してなる親水性ナノ粒子膜層とを有し、前記親水性ナノ粒子の粒径は、10nm~150nmであり、前記親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は、10%~55%であり、前記親水性ナノ粒子膜層の最大厚さが、前記親水性ナノ粒子の平均粒径の3倍以下であることを特徴とする超親水性構造体である。
第2の本発明は、前記基材が疎水性材料からなり、かつ、前記基材と前記親水性ナノ粒子膜層との間にカチオンポリマー層を有することを特徴とする超親水性構造体である。
第3の本発明は、前記カチオンポリマー層の厚さが、1~100nmであることを特徴とする超親水性構造体である。
第4の本発明は、前記基材と前記カチオンポリマー層との間に、有機シリケート膜を有することを特徴とする超親水性構造体である。
第5の本発明は、少なくとも、下記(1)~(3)の工程を含むことを特徴とする超親水性構造体の製造方法である。
(1)疎水性材料からなる基材の少なくとも一部の表面に、極性化処理を施す極性化工程
(2)前記基材を、カチオンポリマー水溶液に浸漬することにより、前記極性化処理を施した面の上にカチオンポリマー層を形成するカチオンポリマー層形成工程
(3)前記基材を、SiOからなる親水性ナノ粒子を分散してなる親水性ナノ粒子分散液に浸漬することにより、前記カチオンポリマー層上に、親水性ナノ粒子膜層を形成する親水性ナノ粒子膜層形成工程
第6の本発明は、前記(1)の工程における極性化処理として、有機シリケート膜を形成することを特徴とする超親水性構造体の製造方法である。
第7の本発明は、前記(1)の工程における極性化処理として、低圧プラズマ照射をすることを特徴とする超親水性構造体の製造方法である。
第8の本発明は、前記(1)の工程における極性化処理として、大気圧プラズマ照射をすることを特徴とする超親水性構造体の製造方法である。
第9の本発明は、前記(1)の工程における極性化処理として、エキシマ真空紫外光照射をすることを特徴とする超親水性構造体の製造方法である。
第10の本発明は、前記(2)から(3)の工程を、少なくとも1セット以上繰り返すことを特徴とする超親水性構造体の製造方法である。
第1の本発明によれば、SiOからなる親水性ナノ粒子膜層において、親水性ナノ粒子の粒径を10nm~150nmとし、親水性ナノ粒子の充填率を10~55%とし、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さを前記親水性ナノ粒子の平均粒径の3倍以下とすることにより、親水性ナノ粒子膜の多層化による厚さの増大を最小とし、且つ、親水性ナノ粒子同士が凝集して緻密構造になることを避け、そして、経時的にも安定した超親水性構造物が得られる。
第2の本発明によれば、疎水性樹脂からなる基材と親水性ナノ粒子膜層との間にカチオンポリマー層を設けることにより、親水性ナノ粒子膜層を形成しやすくなる。
第3の本発明によれば、カチオンポリマー層の厚さを1~100nmとすることにより、親水性ナノ粒子膜層を形成しやすくなる。
第4の本発明によれば、基材とカチオンポリマー層との間に、有機シリケート膜層を設けることにより、疎水性樹脂から成る基材の上にカチオンポリマー層を形成しやすくなる。
第5の本発明によれば、(1)の工程で疎水性樹脂からなる基材の表面を極性化した後、(2)の工程で親水性のカチオンポリマー層を形成することで、親水性ナノ粒子同士の凝集を避けつつ、親水性ナノ粒子を適正な充填率で吸着させることが可能となる。基材として疎水性樹脂を使用する場合、基材を親水性ナノ粒子分散液に浸漬して引き上げても、親水性ナノ粒子は流されて基材にはほとんど付着しない。しかし、(1)の工程および(2)の工程を経ることで、クーロン力により基材上に親水性ナノ粒子を付着させることが可能となる。当該方法を用いることにより、親水性ナノ粒子は凝集力が低下した状態で基材上に付着する。このため、親水性ナノ粒子膜の多層化による厚さの増大を最小とし、且つ、親水性ナノ粒子同士が凝集して緻密構造になることを避け、そして、経時的にも安定した超親水性構造物が得られる。
第6の本発明によれば、(1)の極性化工程において、有機シリケート膜を形成させる。有機シリケート膜の表層はシリカ膜であり、水溶液中でマイナスに帯電するため、次工程の(2)カチオンポリマー層形成工程においてカチオンポリマーを均一に付着させることができる。
第7~9の本発明によれば、(1)の極性化工程において、基材の表面に低圧プラズマ照射、大気圧プラズマ照射またはエキシマ真空紫外光照射から選ばれるいずれかの物理的処理を施すことにより、疎水性樹脂が酸化し、基材表面にカルボニル基、カルボキシ基などの極性基が生成する。この極性化処理により、水溶液中で基材表面がマイナスに帯電するため、次の(2)カチオンポリマー層形成工程においてカチオンポリマーを均一に付着させることができる。
第10の本発明によれば、前記(2)から(3)の工程を、少なくとも1セット以上繰り返すことにより、所望の膜厚の親水性ナノ粒子膜層を形成することができる。
本発明の第1の実施形態の超親水性構造体の概略断面図である。 交互吸着法による超親水性構造体の製造工程を示す工程図である。 本発明の第2の実施形態の超親水性構造体の概略断面図である。 本発明の第3の実施形態の超親水性構造体の概略断面図である。 実施例2で得られた超親水性構造体の表面形状を示すSEM写真である。 実施例3で得られた超親水性構造体の表面形状を示すSEM写真である。 実施例4で得られた超親水性構造体の表面形状を示すSEM写真である。 比較例1で得られた構造体の表面形状を示すSEM写真である。 比較例2で得られた構造体の表面形状を示すSEM写真である。 比較例3で得られた構造体の表面形状を示すSEM写真である。
本発明の超親水性構造体は、基材と、前記基材上にSiOからなる親水性ナノ粒子が固着してなる親水性ナノ粒子膜層を有している。本発明において、超親水性とは、表面の水接触角が10°以下となる性質を意味する。本発明の親水性ナノ粒子膜層表面の水接触角は、好ましくは8°以下、更に好ましくは5°以下である。
図1に、本発明の第1の実施形態による超親水性構造体の概略図を示す。第1の実施形態による超親水性構造体は、基材10、および、親水性ナノ粒子膜層20からなる。親水性ナノ粒子膜層20は、基材10を、SiOからなる親水性ナノ粒子21を分散してなる親水性ナノ粒子分散液に浸漬することにより形成される。親水性ナノ粒子21は、バインダー樹脂等を介することなく基材10と直接接触している状態である。
基材10としては、樹脂、シリコーンなどの半導体、金属、無機酸化物等、全ての固体基材を用いることができる。例えば、ガラス(ソーダガラス、耐熱ガラス、強化ガラス、防火ガラス、デザインガラス、色ガラス、高透過ガラス等)、結晶性熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、非晶性熱可塑性樹脂(ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ABS、AS等)、熱硬化性樹脂(フェノール、ポリエステル、メラミン、ウレタン、シリコーン、エポキシ、キシレン、ポリイミド等)を好適に使用することができる。カバーガラスなど光透過性が必要される用途の場合、透明性を有する基材を用いることが好ましく、特に、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)が好ましい。
基材10の形状は、フィルム、シート、板、曲面を有する形状、筒状、糸状、繊維、発泡材など、親水性ナノ粒子分散液に浸漬することができる形状であれば、特に限定なく本発明に用いることができる。本発明では、表面に微細凸凹構造を有する基材を用いることもできる。表面に微細凸凹構造を有する基材を用いることにより、擦れによる親水性ナノ粒子21の脱落を防ぐことができるため、親水性の低下を防ぎ、経時的にも安定させるといった効果が得られる。
本発明に用いる親水性ナノ粒子21の粒径は、10nm~150nmである。親水性ナノ粒子21の粒径が、10nm未満であると、積層回数が増加し生産性が低下するために好ましくない。透明性を得るためには、光が散乱しない50nm以下の範囲の粒径が好ましい。粒径分布は、単分散でも多分散でもよいが、透明性が要求される用途に用いる場合は、粒子径のばらつきが20nm以下であることが好ましい。吸着した粒子の大きさのばらつきが、膜厚のばらつきに影響し、光学的なムラとなる可能性があるからである。
基材10上に、親水性ナノ粒子21を充填率10%~55%で固着することにより、親水性ナノ粒子膜層20を形成する。親水性ナノ粒子膜層20の充填率は、SEMなどにより表面から親水性ナノ粒子膜層20を観察した時、埋もれた粒子を含む親水性ナノ粒子21の面積占有率として定義する。具体的には、親水性ナノ粒子21の球体近似断面積の平均値をSAV、観察される親水性ナノ粒子21の数をn、固着部表面積をSとした場合、充填率(%)=(SAV×n/S)×100として計算できる。
親水性ナノ粒子21の充填率が55%超だと、隣り合う親水性ナノ粒子21同士の接点が増加して、凝集塊が増加するため、好ましくない。充填率の上限は50%以下であることが好ましい。一方、充填率が10%未満だと、十分な親水性が得られないため、好ましくない。充填率の下限は、好ましくは20%以上である。
親水性ナノ粒子膜層20においては、一次粒子として存在している親水性ナノ粒子21の割合が高いほど好ましい。
親水性ナノ粒子膜層20は、その最大厚さが、親水性ナノ粒子21の平均粒径の3倍以下となるように形成する。膜厚が平均粒径の3倍を超えると、親水性ナノ粒子21同士の接点が増加して凝集力が増加し、結果として親水性が低下してしまう。好ましくは、最大厚さが、親水性ナノ粒子21の平均粒径の2倍以下である。
疎水性樹脂などの撥水性の基材10を用いる場合、基材10を親水性ナノ粒子分散液に浸漬しても親水性ナノ粒子21は、ほとんど付着せずに流れてしまう。従って、親水性ナノ粒子21が付着しやすい表面をつくる処理を行うことが好ましい。
図2に疎水性材料からなる基材10を用いて超親水性構造体を製造する工程を示す。まず、(1)極性化工程で、化学的処理または物理的処理により基材10表面を極性化する(ステップS1)。このような前処理としては、1.界面活性剤、シランカップリング剤、有機チタネートカップリング剤、有機シリケート剤などの、一方は樹脂と親和性を有し他方は水と親和性を有する両親媒性処理剤を、基材10表面にコートして、基材10表面を極性化する化学的手法、および、2.低圧プラズマ照射、大気圧プラズマ照射、エキシマ真空紫外線照射などのエネルギー照射により、基材10表面を酸化して極性基(-C=O,-COOH,-OH)を発現させる物理的手法などを用いることができる。
表面を極性化した後、交互吸着法により、親水性ナノ粒子膜層20を形成する。交互吸着法は、G.Decherらによって1992年に発表された交互積層法(Thin Solid Films, 210/211, p831(1992))を応用した方法であり、プラスの電荷とマイナスの電荷を持った物質間に働く静電気力(クーロン力)を利用する方法である。まず、(2)カチオンポリマー層形成工程で、極性化処理によりマイナスに帯電した基材10をカチオンポリマー水溶液に浸漬・洗浄して、プラスの電荷のカチオンポリマーを付着させる(ステップS2)。次に、(3)親水性ナノ粒子膜層形成工程で、基材10を親水性ナノ粒子分散液に浸漬・洗浄して、マイナスの電荷の親水性ナノ粒子21を付着させる(ステップS3)。親水性ナノ粒子21が十分に付着したか確認し(ステップS4)、付着量が十分でない場合は、ステップS2及びステップS3を繰り返すことによって、基材10上に積層膜(カチオンポリマー層12―親水性ナノ粒子膜層20)を形成する。
図3に、本発明の第2の実施の形態による超親水性構造体の概略図を示す。第2の実施形態による超親水性構造体は、疎水性樹脂からなる基材10に親水性ナノ粒子21が付着しやすいように、化学的処理により基材10表面を極性化処理した実施例であり、疎水性樹脂からなる基材10、有機シリケート膜11、カチオンポリマー層12、および親水性ナノ粒子膜層20からなる。親水性ナノ粒子21は、マイナスに帯電しており、カチオンポリマー層12に静電的に付着している。したがって、親水性ナノ粒子21とカチオンポリマー層12とがバインダー樹脂等を介することなく直接接触している状態である。
第2の実施の形態による超親水性樹脂構造体を製造する工程について、以下、(1)極性化工程、(2)カチオンポリマー層形成工程、(3)親水性ナノ粒子膜層形成工程の順に説明する。
まず、(1)極性化工程で、疎水性樹脂からなる基材10の表面に、有機シリケート膜11を形成する。基材10としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の疎水性樹脂を好適に用いることができる。疎水性樹脂からなる基材10を有機シリケート溶液に浸漬後、ゆっくりと引き上げることにより、疎水性樹脂の表面に有機シリケート膜11が形成される。
有機シリケートとしては、下記構造式で表されるアルキルシリケート又はその重合体を用いることが好ましい。
Figure 0007365081000001
(Rは、炭素数2~10のアルキル基)
特にエチルシリケート、エチルシリケート及びこれらの多重体を用いることが好ましい。また、エチルシリケートの代わりにメチルシリケートを用いても良い。
有機シリケート溶液に用いる溶媒としては、アルコール等の可溶性溶媒を特に限定なく用いることができる。有機シリケート溶液中の有機シリケート濃度は、一般に、0.3~3.0wt%程度が好ましい。
有機シリケート膜11は、基材10を有機シリケート溶液に浸漬して、乾燥した後、更にエタノール等で洗浄して過剰な付着分を取り除いて、付着を均一化することにより得られる。
有機シリケート膜11の厚さは特に限定されないが、好ましい膜厚の下限は、0.05μm以上、好ましい膜厚の上限は、2μm以下である。
得られた有機シリケート膜11は、乾燥後、所定の時間放置すると、加水分解縮合反応によって、その表面がシリカ膜(ポリシロキサン構造膜)へと変化する。シリカ膜は水中での表面のゼータ電位がマイナスになるので、次工程のカチオンポリマー水溶液中でプラスのものが付着しやすくなる。
(2)カチオンポリマー層形成工程では、有機シリケート膜11を形成した基材10を、カチオンポリマー水溶液に浸漬する。静電的な引力によって、基材10上に形成された有機シリケート膜11のマイナス電荷と、カチオンポリマーのプラス電荷が引き合うことにより膜成長するので、カチオンポリマーの吸着が進行して表面がプラス電荷になるとともにそれ以上の吸着が起こらなくなる。したがって、ある飽和点までに至れば、それ以上カチオンポリマー層12の膜厚が増加することはない。そして、洗浄することにより吸着膜厚がカチオンポリマー分子一層分の厚さとなり、極めて薄いため、精度高いナノメータサイズの光学的な薄膜形成には適当な成膜方法と言える。さらに、真空設備も必要とせず、低コストで高精度な薄膜形成方法である。
カチオンポリマー水溶液に用いるカチオンポリマーとしては、4級アンモニウム基、アミノ基などの正荷電を帯びることのできる官能基を有するもの、たとえば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミドおよびそれらを少なくとも1種以上を含む共重合体などを用いることができる。これらのカチオンポリマーは、いずれも水溶性あるいは水と有機溶媒との混合水溶液に可溶なものを用いる。カチオンポリマーの分子量としては、用いるカチオンポリマーの種類により一概には定めることができないが、一般に、20,000~200,000程度のものが好ましい。なお、カチオンポリマー水溶液中のカチオンポリマーの濃度は、一般に、0.01~0.5wt%程度が好ましい。また、カチオンポリマー水溶液のpHは、特に限定されない。
カチオンポリマー水溶液から基材10を引き上げた後、更に純水等で洗浄して過剰な付着分を取り除いて、これを乾燥させることで、均一なカチオンポリマー層12が形成される。
カチオンポリマー層12の厚さは、使用するカチオンポリマーの種類や濃度によって異なるが、1~100nmとすることが好ましい。好ましい膜厚の下限は、3nm以上であり、好ましい膜厚の上限は、30nm以下である。
次の(3)親水性ナノ粒子膜層形成工程では、カチオンポリマー層12を形成した基材10を、親水性ナノ粒子分散液に浸漬する。
本発明で用いる親水性ナノ粒子分散液は、親水性ナノ粒子21が、水、または、水と水溶性の有機溶媒の混合溶媒に分散されたものである。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどがあげられる。分散液における親水性ナノ粒子濃度は、親水性ナノ粒子21の種類・pH等の条件によって異なるが、一般に、0.05~5wt%程度である。0.05wt%未満だと、十分な付着量が得られず、また、5wt%超だと、親水性ナノ粒子21が凝集する原因となるため好ましくない。より好ましい親水性ナノ粒子濃度の下限は0.2wt%であり、上限は2wt%である。
また、親水性ナノ粒子分散液を調製する際に、分散性を改善するために、いわゆる分散剤を用いることができる。このような分散剤としては、界面活性剤やイオン性ポリマーあるいは非イオン性ポリマーなどを用いることができる。これらの分散剤の使用量は、用いる分散剤の種類によって異なるものであるが、一般に0.1wt%以下程度であることが好ましい。分散剤が多すぎるとゲル化・分離を起こしたり、分散液中で微粒子が電気的に中性となり、積層膜が得られなくなる。
親水性ナノ粒子分散液中において、親水性ナノ粒子21がゼータ電位でマイナスとなり、かつ、カチオンポリマー層12がゼータ電位でプラスとなるように、適宜pHの調整を行う。マイナスの電荷をもつ親水性ナノ粒子21と、プラスの電荷を持つカチオンポリマー層12との静電的引力が強すぎると、親水性ナノ粒子21が緻密に充填された膜となるので好ましくない。一方、静電的引力が弱すぎると、基材10に親水性ナノ粒子21が付着しない上に、分散液中における親水性ナノ粒子21同士の斥力が低下することにより凝集を起し、親水性ナノ粒子21の凝集体が沈殿する傾向があるので、pH2.5~10の範囲内に調整することが好ましい。pHの調整は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液または酢酸、塩酸、硫酸などの酸性水溶液で、行うことができ、また、分散剤によってもpHを調整することができる。
親水性ナノ粒子分散液から基材10を引き上げた後、純水等で洗浄して過剰な付着分を取り除いて、これを乾燥させることで、親水性ナノ粒子膜層20が形成される。
本発明においては、親水性ナノ粒子膜層20における親水性ナノ粒子21の充填率が10%~55%となるよう、浸漬時間や、分散液の親水性ナノ粒子濃度及びpHを適宜調整する。一回の浸漬で親水性ナノ粒子21の付着量が十分でない場合は、(2)カチオンポリマー層形成工程、および、(3)親水性ナノ粒子膜層形成工程を、2セット以上繰り返してもよいが、通常は1回の浸漬で十分である。
図4に、本発明の第3の実施の形態による超親水性構造体の概略図を示す。第3の実施形態による超親水性構造体は、物理的処理により基材10表面を極性化処理した実施例であり、疎水性材料からなる基材10、疎水性材料表面が酸化した極性化層10A、カチオンポリマー層12、および親水性ナノ粒子膜層20からなる。第3の実施の形態は、(1)極性化工程を除いては、第2の実施の形態と同様であるため、(1)の極性化工程についてのみ説明する。
第3の実施の形態では、(1)極性化工程において、基材10の少なくとも一部の表面をエネルギー照射することにより、基材10表面に極性官能基(カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等)を発現させる。この物理的処理により基材10の表面が極性化し、極性化層10Aが発現する。
基材10としては、エネルギー照射により極性官能基を導入可能な材料を特に限定なく使用することができ、例えば、ポリカーボネート等の樹脂を好適に用いることができる。
エネルギー照射方法としては、例えば、低圧プラズマ照射、大気圧プラズマ照射、エキシマ真空紫外光照射等を利用すればよい。基材10表面に、極性官能基を導入することにより、水中での基材10表面のゼータ電位がマイナスになるので、次工程のカチオンポリマー水溶液中でプラスのカチオンポリマーが付着しやすくなる。
第3の実施の形態によれば、基材10表面の特定部分のみを超親水化処理することが可能である。例えば、基材10の片面だけ超親水化したい場合や、手術用内視鏡のカバーレンズの先端のように基材10の一部の領域だけを超親水化したい場合は、目的部位だけに選択的にエネルギー照射することにより、所望の領域のみを超親水化することができる。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
尚、以下に示す実施例及び比較例では、水接触角の測定に、協和界面科学(株)製の接触角測定装置「DM500」を使用した。また、超親水性構造体の評価には、走査型電子顕微鏡(SEM)として、日立ハイテクノロジーズ(株)製の「卓上顕微鏡TM3030Plus、及び、日本電子(株)製の「JSM-7900F」(高解像用)を使用した。
(実施例1)ガラス板+シリカナノ粒子(100nm)
〔前処理工程〕
ガラス平板(松浪硝子工業(株)製スライドグラスS1112、水接触角32°)からなる基材を、純水で洗浄した。
〔カチオンポリマー層形成工程〕
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(センカ(株)、ユニセンスFPA100L)を純水にて0.1wt%に希釈して調整したカチオンポリマー水溶液に、基材を1分間浸漬してゆっくりと引き上げた後、純水にて洗浄した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
シリカナノ粒子水分散液(日産化学(株)、コロイダルシリカMP-1040、粒径100nm)を、純水にて1wt%に希釈したシリカナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させた。
〔評価〕
実施例1の超親水性構造体の接触角を測定した結果、水接触角は9°であり、超親水性を示した。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は16%であることが確認できた。また、実施例1の超親水性構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは粒径の1.5倍の150nmであることが確認できた。
(実施例2)ポリカーボネート板+有機シリケート処理+シリカナノ粒子(13nm)
〔極性化工程〕
アルコール性シリカゾル(コルコート(株)製、コルコートN-103X)を、エチルアルコールにて1wt%に希釈することにより、有機シリケート溶液を調整した。ポリカーボネート平板(三菱ガス化学(株)、ユーピロン・シート NF-2000、0.5mm厚を5cm×1cmにカットしたもの、水接触角86°)からなる基材を、有機シリケート溶液に浸漬し、ゆっくりと引き上げることにより、基材上に有機シリケート膜を形成した。有機シリケート膜の均一化を図るため、エタノールにて余分な有機シリケートを洗浄除去した。乾燥後、一昼夜放置し、有機シリケート膜の表面に極性なシリカ構造膜を形成させた。この時の水接触角は42°であった
〔カチオンポリマー層形成工程〕
実施例1と同様にして、極性化処理した基材の表面にカチオンポリマー層を形成した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
シリカナノ粒子水分散液(日産化学(株)、コロイダルシリカST-30、粒径13nm)を、純水にて1wt%に希釈して調整したシリカナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させることにより、親水性ナノ粒子を固着させた親水性ナノ粒子膜層を形成した。
〔評価〕
実施例2の超親水性構造体の接触角を測定した結果、水接触角は4°であり、超親水性を示した。実施例2の超親水性構造体の表面のSEM写真を図5に示す。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は22%であることが確認できた。また、実施例2の超親水性構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは30nmであることが確認できた。
(実施例3)ポリカーボネート板+プラズマ照射+シリカナノ粒子(50nm)
〔極性化工程〕
ポリカーボネート平板(三菱ガス化学(株)、ユーピロン・シート NF-2000、0.5mm厚を5cm×1cmにカットしたもの、水接触角86°)からなる基材を、ヤマト科学(株)製プラズマ照射装置「PM-100」にて、60分間照射した。プラズマ照射直後の水接触角は33°であった。
〔カチオンポリマー層形成工程〕
実施例1と同様にして、プラズマ照射直後の基材の表面にカチオンポリマー層を形成した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
シリカナノ粒子水分散液(日産化学(株)、コロイダルシリカST-XL、粒径50nm)を、pH3に調整した水にて1wt%に希釈したシリカナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させた。
〔評価〕
実施例3の超親水性構造体の接触角を測定した結果、水接触角は5°であり、超親水性を示した。また、2ヵ月後に再測定した水接触角も5°であった。プラズマ照射しただけの基材の2ヵ月後の接触角が70°とほぼ照射前に復帰していたことを考えると、2ヵ月後も同等の超親水性を維持できていることは、本発明の大きな効果と考える。
実施例3の超親水性構造体の表面のSEM写真を図6に示す。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は31%であることが確認できた。また、実施例3の超親水性構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは100nmであることが確認できた。
(実施例4)ポリカーボネート板+エキシマ真空UV照射+シリカナノ粒子(100nm)
〔極性化工程〕
ポリカーボネート平板(三菱ガス化学(株)、ユーピロン・シート NF-2000、0.5mm厚を5cm×1cmにカットしたもの、水接触角86°)からなる基材を、(株)エム・ディ・コム製エキシマ真空紫外光照射装置MDHD-1-150にて、2分間照射した。真空紫外光照射直後の水接触角は35°であった。
〔カチオンポリマー層形成工程〕
実施例1と同様にして、真空紫外光照射直後の基材の表面にカチオンポリマー層を形成した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
シリカナノ粒子水分散液(日産化学(株)、コロイダルシリカMP-1040、粒径100nm)を、酢酸でpH3に調整した水にて1wt%に希釈したシリカナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させた。
〔評価〕
実施例4の超親水性構造体の接触角を測定した結果、水接触角は5°であり、超親水性を示した。実施例4の超親水性構造体の表面のSEM写真を図7に示す。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は36%であることが確認できた。また、実施例4の超親水性構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは160nmであることが確認できた。
(比較例1)ポリカーボネート板+プラズマ照射+シリカナノ粒子(100nm)
〔極性化工程〕
ポリカーボネート平板(三菱ガス化学(株)、ユーピロン・シートNF-2000、0.5mm厚を5cm×1cmにカットしたもの、水接触角86°)からなる基材を、ヤマト科学(株)製プラズマ照射装置「PM-100」にて、60分間照射した。プラズマ照射直後の水接触角は33°であった。
〔カチオンポリマー層形成工程〕
実施例1と同様にして、プラズマ照射直後の基材の表面にカチオンポリマー層を形成した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
シリカナノ粒子水分散液(日産化学(株)、コロイダルシリカMP-1040、粒径100nmを、pH7に調整した水にて0.5wt%に希釈したシリカナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させた。
〔評価〕
比較例1の構造体の接触角を測定した結果、水接触角は33°であり、親水性は十分でなかった。比較例1の構造体の表面のSEM写真を図8に示す。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は5%であることが確認できた。また、比較例1の構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは110nmであることが確認できた。pH7且つ粒子分散液の濃度が低いために、基材表面への粒子固着数が減少し、結果として充填率が十分でなかったことが、親水性に影響したと考えられる。
(比較例2)ポリカーボネート板+プラズマ照射+シリカナノ粒子(50nm)
〔極性化工程〕
ポリカーボネート平板(三菱ガス化学(株)、ユーピロン・シート NF-2000、0.5mm厚を5cm×1cm、0.5mm厚にカットしたもの、水接触角86°)からなる基材を、ヤマト科学(株)製プラズマ照射装置「PM-100」にて、60分間照射した。プラズマ照射直後の水接触角は33°であった。
比較例2では、カチオンポリマー層形成工程、および、親水性ナノ粒子膜層形成工程を、下記条件にて計5セット繰り返すことにより、親水性ナノ粒子膜層を積層させた。
〔カチオンポリマー層形成工程〕
実施例1と同様にして、基材の表面にカチオンポリマー層を形成した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
シリカナノ粒子水分散液(日産化学(株)、コロイダルシリカST-XL、粒径50nm)を、pH3に調整した水にて1wt%に希釈したシリカナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させた。
〔評価〕
比較例2の構造体の接触角を測定した結果、水接触角は15°であり、親水性は十分でなかった。比較例2の構造体を、2ヵ月後に再測定した水接触角も15°であり、2ヵ月後も同等の親水性を維持できていた。比較例2の構造体の表面のSEM写真を図9に示す。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は56%とたくさんの粒子が付着していることが確認できた。また、比較例の構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは200nmで、ナノ粒子の平均粒径の4倍であることが確認できた。比較例2の結果から、親水性ナノ粒子が付着しすぎると、粒子の凝集効果により、親水性が低下すると考えられる。
(比較例3)ポリスチレン板+大気圧プラズマ照射+ジルコニアナノ粒子(90nm)
〔極性化工程〕
ポリスチレン平板(デンカ(株)、デンカスチレンシート5mm厚を5cm×1cmにカットしたもの、水接触角80°)からなる基材を、(株)アクア製大気圧プラズマ照射装置「HPJ-DESKTOP」にセットし、ギャップ5mmで1分間大気圧下でプラズマ照射した。プラズマ照射直後の水接触角は35°であった。
〔カチオンポリマー層形成工程〕
実施例1と同様にして、プラズマ照射直後の基材の表面にカチオンポリマー層を形成した。
〔親水性ナノ粒子膜層形成工程〕
ジルコニアナノ粒子水分散液(日産化学(株)、ナノユースZR-40B、粒径90nm)を、pH7の純水にて1wt%に希釈したジルコニアナノ粒子分散液に、カチオンポリマー層を形成した基材を1分間浸漬してゆっくり引き上げ、純水にて洗浄後、室温で30分間乾燥させた。
〔評価〕
比較例3の構造体の接触角を測定した結果、水接触角は16°であり、親水性は十分でなかった。比較例3の構造体の表面のSEM写真を図10に示す。SEMによる表面観察から、親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は2%であることが確認できた。また、比較例3の構造体の断面のSEM写真から、親水性ナノ粒子膜層の最大厚さは200nmであることが確認できた。ZrOはSiOに比べて親水性が大きいにも関わらず十分な親水性が得られなかったのは、粒子が凝集しやすく且つ付着しづらく、結果として親水性ナノ粒子の充填率が十分でなかったためと考えられる。
Figure 0007365081000002
本発明の超親水性構造体及びその製造方法は、超親水性が必要とされる様々な分野で利用することができる。すなわち、本発明の超親水性構造体の製造方法は、交互吸着法を応用することで、これまでの製法では製造不可能であった新しい親水性ナノ粒子膜を提供するものであり、親水性ナノ粒子膜の多層化による厚さの増大を最小とし、且つ粒子群が緻密構造になることを避けることができるため、経時的にも安定した超親水性構造体が得られる。
また、本発明によれば、平滑な基材だけでなく、微細凸凹構造を有する基材の表面にも親水性ナノ粒子膜を形成することが可能となる。かかる超親水性構造体は、自動車のヘッドライトランプ、カメラ、手術用内視鏡のカバーレンズなど、高い光透過性と優れたセルフクリーニング機能が要求される分野で利用することができる。
10 基材
10A 極性化層
11 有機シリケート膜
12 カチオンポリマー層
20 親水性ナノ粒子膜層
21 親水性ナノ粒子

Claims (4)

  1. 基材と、前記基材上にSiO からなる親水性ナノ粒子が固着してなる親水性ナノ粒子膜層とを有し、
    前記親水性ナノ粒子の粒径は、10nm~150nmであり、
    前記親水性ナノ粒子膜層における親水性ナノ粒子の充填率は、10%~55%であり、
    前記親水性ナノ粒子膜層の最大厚さが、前記親水性ナノ粒子の平均粒径の3倍以下であることを特徴とする超親水性構造体。
  2. 前記基材が疎水性材料からなり、かつ、前記基材と前記親水性ナノ粒子膜層との間にカチオンポリマー層を有することを特徴とする請求項1に記載の超親水性構造体。
  3. 前記カチオンポリマー層の厚さが、1~100nmであることを特徴とする請求項2に記載の超親水性構造体。
  4. 前記基材と前記カチオンポリマー層との間に、有機シリケート膜を有することを特徴とする請求項2または3に記載の超親水性構造体。
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