JP7364558B2 - 持続放出医薬製剤及び治療方法 - Google Patents
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Description
うつ病は、気分が落ち込んでおり、活動への興味や喜びが著しく低下していることが特徴である。その他の症状には、著しい体重減少又は体重増加、食欲の減少又は増加、不眠症又は過眠症、精神運動の興奮又は遅滞、疲労又はエネルギーの喪失、無価値感、過度又は不適切な罪悪感、思考又は集中力の低下、優柔不断、繰り返し起こる死の考え、自殺念慮、又は自殺企図が含まれる。さまざまな体性症状が現れることもある。抑うつの感情は一般的で、特に人生の挫折を経験した後にあるので、症状がしきい値に達して少なくとも2週間続く場合にのみ、うつ病性障害と診断される。うつ病の重症度は、軽度から重度までさまざまである。ほとんどの場合は一時的なものであるが、再発し又は慢性的になることもある。一部の人は、発病前機能への完全な復帰まで単一のエピソードしかない。しかし、最初に1つの大うつ病エピソードを経験する人の50%以上が、結局別のエピソードを発症する。
恐怖症は、人に強い不安を引き起こす特定の物体や状況を完全に回避させる不合理な恐怖である。恐怖症はいくつかの形で発生する。例えば、広場恐怖症は、パニック発作を引き起こし、そこからの脱出が困難になる可能性がある状況にいることへの恐怖である。社会恐怖症又は社会不安障害は、自己意識、判断、評価、及び批評の感情を自動的にもたらす可能性がある、社会的状況及び他の人との交流に対する恐怖である。それは、他の人々によって否定的に判断され、評価されることへの恐怖と不安であり、不適切さ、恥ずかしさ、屈辱、そして抑うつの感情につながる。発汗、心臓の鼓動、震えなどのパニック発作に伴う身体的症状の多くは、恐怖症にも起こる。
本発明の医薬組成物は、例えば、ケタミン、ノルケタミン、それらの薬学的に許容される塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される活性薬剤を含み得る。本明細書で使用される「ケタミン」は、式(I)の化合物を含むと理解され、2-(2-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)シクロヘキサン-1-オンというIUPAC名を有する。
対象の病状を治療及び/又は予防する方法及び組成物は、本明細書に記載の本発明の化合物を、少なくとも1種の追加の療法(例えば、少なくとも1種の抗不安薬、少なくとも1種の抗うつ薬、少なくとも1種の神経遮断薬、少なくとも1種の気分安定薬、少なくとも1種の抗精神病薬、少なくとも1種の催眠薬、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される治療薬)と組み合わせて投与することを含み、本発明の実施形態により提供される。例示的な実施形態では、活性剤は、その効能を高めるために、別の治療介入と組み合わせて、又は同時に投与される。他の治療介入の例は以下を含むが、これらに限定されない:カウンセリング、心理療法、認知療法など、電気けいれん療法、水療法、高気圧酸素療法、電気療法と電気刺激、経皮電気神経刺激(transcutaneous electrical nerve stimulation、TENS)(例えば、神経障害性疼痛などの痛みの治療用)、脳深部刺激(例えば、神経障害性疼痛、パーキンソン病、振戦、ジストニアなどの痛みの治療のために)、迷走神経刺激及び/又は経頭蓋磁気刺激など。
本発明の製剤は、例えば4時間超、5時間超、6時間超、7時間超、8時間超、9時間超、10時間超、又はさらに長いケタミンの持続放出を提供する。本明細書に記載されている製剤のケタミン及びノルケタミンの排出半減期の推定値は、以前に報告された即時放出錠剤製剤のものよりもはるかに長い(例えば、<2時間に対して8時間;Yanagihara 2002)。
特定の実施形態では、本発明は、少なくとも以下のステップを含む、固体経口持続放出医薬剤形を調製するプロセスに関する:
(a)以下を組み合わせて組成物を形成すること:
(1)レオロジー測定法に基づいて、少なくとも約1,000,000;少なくとも約2,000,000;少なくとも約3,000,000;少なくとも約4,000,000;少なくとも約5,000,000;少なくとも約6,000,000;少なくとも約6,000,000;少なくとも約7,000,000;及び少なくとも約8,000,000からなる群から選択される近似分子量を有する少なくとも1種のポリエチレンオキシド;及び
(2)少なくとも1種の活性薬剤;
(b)当該組成物を成形して持続放出マトリックス製剤を形成する;そして
(c)少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、及び少なくとも約10分からなる群から選択される期間、当該持続放出マトリックス製剤を、少なくとも前記ポリエチレンオキシドの軟化温度である温度に供する、という硬化工程を少なくとも含む、前記マトリックス製剤の硬化。好ましくは、硬化は大気圧で行われる。好ましい実施形態では、剤形はコーティングされている。
本発明の医薬組成物は、約300,000以下の平均分子量を有する少なくとも1種のポリアルキレンオキシドを含み得、ポリエチレンオキシド、ポリメチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はそれらのコポリマーであり得る。例示的な実施形態では、第1のポリアルキレンオキシドはポリエチレンオキシドである。いくつかの実施形態では、ポリエチレンオキシドであり得るポリアルキレンオキシドは、約300,000の平均分子量を有する。他の実施形態では、ポリエチレンオキシドであり得るポリアルキレンオキシドは、約200,000の平均分子量を有する。特定の実施形態では、ポリエチレンオキシドであり得るポリアルキレンオキシドは、約100,000の平均分子量を有する。
例示的な実施形態では、本発明の医薬組成物は、滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物ならびにステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースなどの他の打錠助剤を含み得る。
医薬組成物は、1種以上の腸溶コーティング、シールコーティング、フィルムコーティング、バリアコーティング、圧縮コーティング、速崩壊性コーティング、又は酵素分解性コーティングでコーティングすることができる。
本発明の組成物は、凝集、空気懸濁液冷却、空気懸濁液乾燥、ボール、コアセルベーション、コーティング、粉砕、圧縮、クリオペレット化、カプセル化、押出、湿式造粒、乾式造粒、均質化、包接複合体形成、凍結乾燥、溶融、マイクロカプセル化、混合、成形、パンコーティング、溶媒脱水、超音波処理、球形化、スプレー冷却、スプレー凝固、スプレー乾燥、又は当技術分野で既知の他のプロセスにより加工できる。組成物は、ミニカプセル、カプセル、錠剤、インプラント、トローチ、ロゼンジ(ミニタブレット)、一時的又は永久的懸濁液、胚珠、座薬、ウエハー、咀嚼錠、速溶性錠剤、発泡錠、口腔内又は舌下の固形薬、顆粒、フィルム、スプリンクル、ペレット、ビーズ、ピル、粉末、粉砕物、プレートレット、ストリップ又は小袋の形態で提供することができる。組成物はまた、「乾燥シロップ」として投与することもでき、完成した剤形は直接舌の上に置かれ、飲み込まれるか、又は飲み物若しくは飲料がそれに続く。これらの形態は当技術分野でよく知られており、適切に包装される。組成物は、例えば、経口、経鼻、口腔、眼、尿道、経粘膜、経膣、局所又は直腸デリバリーのために処方することができる。
本発明は、本発明による方法を簡便かつ効果的に実施するためのキットに関する。そのようなキットは、いくつかの単位用量を含み得る。そのようなキットは、それらの意図された使用の順序で方向付けられた投薬量を含むための手段を含み得る。それらの意図された使用の順序で投薬量を含むための手段の例は、カードである。そのようなキットの例は「ブリスターパック」である。ブリスターパックは包装業界でよく知られており、医薬品の単位剤形の包装に広く使用されている。必要に応じて、ブリスターは、子供に安全なブリスター、すなわち、子供が開くのが難しいが大人が容易に開けることができるブリスターの形にすることができる。必要に応じて、例えば、数字、文字、若しくはその他のマーキングの形で、又はカレンダー特徴及び/又はカレンダー挿入物を用いて、記憶補助を提供し、投与量を投与できる治療スケジュールの日及び一日のセクションを指定することができ、例えば、AM投与量が「正午」及びPM投与量と一緒に包装される。あるいは、AM投与量がPM投与量と一緒に包装される。あるいは、プラセボ投与量、又はビタミンももしくは栄養補助食品を、薬学的活性投与量と類似又は異なる形態で含めることができる。
医薬組成物は、特定のタイプのデリバリーのために最適化され得る。例えば、経口デリバリー用の医薬組成物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して製剤される。担体は、対象による経口摂取のため、組成物中の薬剤を、例えば、錠剤、ピル、カプセル、溶液、懸濁液、徐放性製剤;粉末、液体又はゲルとして製剤化することを可能にする。
特定の実施形態では、本発明は、持続放出マトリックス製剤を含む、固形の経口持続放出医薬剤形に関し、当該持続放出マトリックス製剤は以下を含む組成物を含む:
(1)レオロジー測定法に基づいて、少なくとも約1,000,000;少なくとも約2,000,000;少なくとも約3,000,000;少なくとも約4,000,000;少なくとも約5,000,000;少なくとも約6,000,000;少なくとも約6,000,000;少なくとも約7,000,000;及び少なくとも約8,000,000からなる群から選択される近似分子量を有する、少なくとも1種のポリエチレンオキシド;並びに
(2)少なくとも1種の活性薬剤;
ここで、前記持続放出マトリックス製剤は、押込試験を受けたとき、少なくとも約200Nの「硬度」を有する。
ケタミン徐放錠60mg製剤
1.ケタミンHClとポリエチレンオキシドを適切なミキサーで均一になるまで混合する。
2.ステアリン酸マグネシウムを上記の乾燥粉末混合物にブレンドする。
3.最終的な粉末ブレンドを圧縮して、目標錠剤質量400mg、目標錠剤硬度210Nの錠剤にする。
4.錠剤硬化の次のステップで錠剤を損傷から保護するために初期コーティングを行う。
5.70℃~75℃の温度範囲で錠剤を硬化させて、目的の固さを達成する。
6.十分な重量を得るために、上記のステップから錠剤をコーティングし続ける。
試験ZPS-603(603試験)は、4つのコホートと複数の試験目的を持つハイブリッド試験デザインであった。コホート1、2、及び3の目的は、健康なボランティアにおける、単回投与及び複数回投与後の持続放出ケタミン経口製剤の安全性、薬物動態(pharmacokinetics、PK)及び薬力学(pharmacodynamics、PD)を評価することであった。設計は、健康なボランティアを対象とした二重盲検プラセボ対照の単回及び複数回の漸増用量試験であった。用量は、コホート1、2、3でそれぞれ60mg、120mg、240mgであった。各用量レベルは最初は単回用量として与えられ、次に1週間後に12時間間隔で与えられる5回の用量として与えられた。エンドポイントには、安全性、忍容性、ケタミンとノルケタミンのPK、及びPD(自殺傾向評価、及び解離性症状評価スケールスコア)が含まれていた。
[統計]
コホート1~3の参加者の平均(SD)パラメータを表1に示す。コホート2の1人の被験者(#16)が、安全性/忍容性とは無関係の理由で、単回投与と複数回投与の間で試験を中止した。
試験中又は試験終了後のコホート1~3のすべての被験者のバイタルサイン、ECG、安全性ラボ検査、又は尿検査の臨床的重要性に変化はなかった。
試験グループによって報告された有害事象を表2に示す。用量に関連する頻度の増加を示す唯一の有害事象は、240mgを投与した被験者の解離であった。
CADSS:経時的な平均CADSSスコアを図2に示す。コホート1及び3の単回投与の3時間後(図2A)、及びコホート3の複数回投与フェーズの最初の投与後3~12時間で(図2B)、わずかな増加が見えた(この尺度の最大スコアは84ポイントであり、これらは皮下又はIVケタミン投与と比較して最小の変化であることに注意されたい)。
図3は、60mg、120mg、240mgの単回及び複数回投与後のケタミンとノルケタミンの平均濃度時間プロファイルを示す。両方の検体の濃度は、投与後5~10時間は比較的安定しており、錠剤の徐放特性と合致する。ノルケタミン濃度は、両方のプロットでケタミン濃度よりも約10倍高く、経口投与後の広範な初回通過代謝を反映している。3つのコホートすべてについて、ケタミンとノルケタミンの薬物動態パラメータは1次速度論に従うようである。具体的には、AUCとCmaxは、ケタミン60mg、120mg、240mgの持続放出錠剤の単回及び複数回投与後に用量に比例していた(図4)。ケタミンとノルケタミンの両方の複数回投与AUC0~12値が単回投与AUC0~∞未満であり、これらの比率が用量に関連して減少したという点で、自己誘導の証拠があるように見えた(表3参照)。誘導のメカニズムは、CYP2B6を介しているようである。ケタミンはCYP2B6の活動を誘発し(Chen 2010)、それ自体がこの酵素によって代謝される。
[統計]
コホート4の参加者の平均(SD)パラメータを表5に示す。
7人の患者全員が現在、社会不安障害の診断を受けていた。5人は大うつ病性障害(MDD)の診断も受けており、1人は全般性不安障害の併存症であった。スクリーニング時の平均HAMAスコアは22.9(中程度の重症度と一致)であり、平均FQスコアは48.4(非臨床集団平均よりも約2倍高い)であった。MDDの5人の患者の平均MADRSスコアは31.2であった(中程度のうつ病と一致)。
1日目に、7人の患者全員に午前中に1×60mgの錠剤を投与した。7人の患者全員が12時間の時点2×60mgの錠剤を投与され、7人の患者全員が24時間の時点3×60mgの錠剤を投与された。36時間の時点で、2人の患者に3×60mgの錠剤が投与され、5人の患者に4×60mgの錠剤が投与された。48時間の時点で、1人の患者は3×60mgの錠剤が投与され、6人の患者には4×60mgの錠剤が投与された。56時間と72時間の時点で、7人の患者全員に4×60mgの錠剤が投与された(表6参照)。
試験中又は試験終了後のコホート4のすべての被験者のバイタルサイン、ECG、安全性ラボ検査、又は尿検査の臨床的重要性に変化はなかった。
コホート4によって報告された有害事象を表7に示す。全体として、持続放出ケタミン錠剤の単回及び複数回投与は十分に許容された。
CADSS:経時的な平均CADSSスコアを図5Aに示す。平均CADSSスコアは時間の経過とともに減少する傾向があった。これは、皮下(SC)ケタミン後のCADSSスコアの変化とは著しく対照的である。図5Bは、両方のデータセットを含むコホート4参加者7人のうち6人における、経口及びSC投与の3時間後までの平均CADSSスコアを示す。全体として、CADSS尺度で評価したところ、複数回投与の経口ケタミンは解離症状とは無関係であった。
時点毎の個別及びグループの平均HAMA及びFQスコアを図6に示す(6A:HAMA、6B:FQ)。ある時間にわたって両方のスコアが一貫して減少する傾向があり、最も顕著なのはベースラインスコアが高い患者である。不安が徐々に改善する傾向は、皮下(SC)ケタミン後の不安スコアの急速な低下とは著しく対照的である。図7は、両方のデータセットを含むコホート4参加者7人のうち6人における、経口及びSC投与後の平均HAMAスコアを示す。HAMAスコアの変化に基づいて7人の参加者全員が治療反応者(>50%の減少)であると評価され、FQスコアの変化に基づいて7人の参加者のうち6人が反応者であった。
時点毎の個別及びグループの平均MADRSスコアを図8に示す。ある時間にわたってスコアが一貫して減少する傾向があり、最も顕著なのはベースラインスコアが高い患者である。MADRSスコアの変化に基づいて7人の参加者全員が治療反応者(>50%の減少)であると評価された。被験者042-026は、不安の評価に変化はなく、48時間と72時間でうつ病の症状の悪化を報告した。クリニックのスタッフと話し合った後、彼はこれらは大うつ病の再発を示唆する気分の実質的かつ持続的な変化ではなく、グループ活動から除外された経験での悲しみの感情に関連していると報告した。この議論の後、彼のMADRSスコアは再び下がった。
図10は、コホート4におけるケタミンとノルケタミンの96時間にわたる平均濃度時間プロファイルを示す。ケタミンとノルケタミンの両方の血漿濃度の用量関連の増加は、患者がより高い用量を服用し続けたことにつれ、48時間まで認められた。ノルケタミン濃度は、すべての時点で一貫してケタミン濃度より高く、広範な初回通過代謝を反映していた。データは、PKプロファイルにおける被験者間及び被験者内の大きな変動を示している。
試験15/STH/86は、3~4週間続く予備的な急性ケタミン用量反応フェーズ、及びその後の3か月の維持治療フェーズを含むハイブリッド試験デザインであった。治療抵抗性不安障害の患者24名に、ケタミンの単回上行皮下投与(0.25、0.5、1mg/kg)を3回行い、そして12人にミダゾラム0.01mg/kgも投与した。20人の患者が維持フェーズに参加し、ケタミン1mg/kgが毎週1~2回、最大14週間投与された。試験の評価には、各ケタミン投与前後の恐怖質問票(FQ;MarksとMathews 1979)を使用した気分の評価が含まれていた。FQ尺度には、特定恐怖症である出血創傷(FQBI)に関連する不安を測定するサブスケールが含まれる。
25人の患者が急性用量反応フェーズに参加し、20人の患者が維持フェーズに参加した。
ベースラインの平均FQ出血創傷(FQBI)スケールスコアは12.4であった。ケタミン投与の1時間後、平均スコアに急激な用量関連の減少が見られた(図12)。これらのスコアは次の168時間で徐々にベースラインに戻った。スコアの急激な減少と緩やかな増加は用量に関連しており、ケタミンの用量が多いほど、0.25mg/kgの最低用量と比較してより持続的な効果があった。ミダゾラム後のFQBIスコアの変化は、0.5mg/kgケタミン用量プロファイルの変化と類似であった。
2時間でのケタミン及びノルケタミン濃度とFQBIスコアとの関係の分析を、それぞれ図13A及び13Bに示す。ベースラインFQBIスコアは赤で表示され、エラーバーは標準偏差を表す。濃度が高いほどFQBIスコアは低くなり、ケタミンと比較して、ノルケタミンの方が強い相関が見られた。
1週目のサブスケール前投与スコアは、スクリーニング時のサブスケールスコア(すなわち、すべてのケタミン治療前)と比べてわずかに低かった。前投与FQBIスコアは、維持治療中に次第に減少した。各投与後、FQBIスコアは前投与スコアと比較して1時間で約50%まで減少し、2時間でのスコアのさらなる改善はなかった。図14参照。
DSM5特定恐怖症であるクモ恐怖症の患者の回避と不安の評価に対するR-107タブレット(実施例1を参照)の効果を評価した。この試験では、DSM5クモ恐怖症の参加者は、最初にクモ恐怖質問票(Fear of Spiders Questionnaire、FSQ;SymanskiとO’Donohue 1995;最低スコア95)のスコアと行動回避タスク(Behavioural Avoidance Task、BAT;Garcia-Palaciosら 2002;最大スコア3)のパフォーマンスによって評価された。FSQスコアが95以上の患者は、クモに関する恐怖不安が高く、そして、3以下のBATスコアは、恐怖回避のレベルが高いことを示す。このテストを完了した後、参加者は二重盲検ランダム化条件下で、R-107錠剤120mg又は対応するプラセボ錠剤のいずれかを1回投与された。3時間後、患者は再びFSQ及びBATテストを行った。ランダムにR-107錠剤を投与された参加者は、ランダムにプラセボを投与された参加者と比較してFSQスコアが低く、BATスコアが高いことを報告しており、恐怖不安及び回避が減少していることを示した。
Claims (42)
- (A)以下を含むコア:
i)ケタミン、ノルケタミン、それらの薬学的に許容される塩、及びこれらの組み合わせ
からなる群から選択される、治療的に有効量の活性薬剤;
ii)62℃~90℃で硬化された少なくとも1種の高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)、ここで、前記高分子量PEOは、レオロジー測定法に基づいて200万~700万の分子量を有し、
前記コアの少なくとも30%(重量で)を占める;
(B)前記コア上のコーティング
を含む、固形の経口持続放出医薬錠剤であって、
前記錠剤は、耐破砕性であり、少なくとも200Nの破壊強度を有し、そして、前記錠剤は、10重量%~20重量%の濃度で活性薬剤を含む、
錠剤。 - 前記高分子量PEOの分子量が、少なくとも4,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも6,000,000、及び少なくとも7,000,000からなる群から選択される、請求項1に記載の錠剤。
- 前記錠剤が、15重量%~18重量%の濃度で活性薬剤を含む、請求項1~2のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記高分子量PEOが、前記コアの少なくとも50%(重量で)を構成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記活性薬剤の投与量が、30mg、60mg、120mg、及び240mgからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤は70℃~75℃の温度で硬化されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記コーティングが、
i)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;
ii)二酸化チタン;及び
iii)ポリエチレングリコール
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の錠剤。 - 前記コーティングがシールコーティングである請求項1~7のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤が対象への1日1回又は1日2回の投与に適している、請求項1~8のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤が患者への投与時に解離性副作用がないか、又は最小限である、請求項1~9のいずれか1項に記載の錠剤。
- 治療抵抗性うつ病の治療に使用するための請求項1~8のいずれか1項に記載の錠剤。
- DSM-V全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、及び/又は強迫性障害を含むがこれらに限定されない、治療抵抗性不安症の治療に使用するための請求項1~8のいずれか1項に記載の錠剤。
- DSM-5特定恐怖症の治療に使用するための請求項1~8のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤が患者への1日1回又は1日2回の投与に適している、請求項11~13のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、前記ケタミンの単回用量の経口投与を含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、前記ケタミンの複数回用量の経口投与を含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 30~180mgの用量での前記ケタミンの単回経口投与が、前記うつ病又は前記不安症又は前記恐怖症の影響を3~7日間緩和するのに十分である、請求項11~16のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記錠剤が患者への投与時に解離性副作用がないか、又は最小限である、請求項11~17のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 抑うつ気分の評価の最大平均改善が、6週間の維持治療の後に認められた、請求項11又は14~18のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 不安気分の評価の最大平均改善が、2週間の維持治療の後に認められる、請求項12又は14~18のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、薬学的に有効量の第2又は追加の薬剤を投与することをさらに含み、前記第2又は追加の薬剤が抗うつ特性を有する、請求項11~20のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、以下から選択される追加の療法をさらに含む、請求項11~21のいずれか一項に記載の使用のための錠剤:
・シタロプラム、エスシタロプラムシュウ酸塩、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ダポキセチン;ベンラファキシンとデュロキセチン;ハルマリン、イプロニアジド、イソカルボキサジド、ニアラミド、パルギリン、フェネルジン、セレギリン、トロキサトン、トラニルシプロミン、ブロファロミン、モクロベミド;アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ジベンゼピン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、イプリンドール、ロフェプラミン、メリトレースン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン、トリミプラミン;マプロチリン、ミアンセリン、ネファゾドン、トラゾドン、それらの薬学的に許容される塩、異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の抗うつ薬;
・炭酸リチウム、オロチン酸リチウム、リチウム塩、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オクスカルバゼピン、トピラマート、それらの薬学的に許容される塩、異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の気分安定薬;
・セイヨウオトギリソウ;カバカバ;エキナセア;ノコギリヤシ;ホーリーバジル;カノコソウ;マリアアザミ;シベリアニンジン;高麗ニンジン;アシュワガンダの根;イラクサ;イチョウ科;ゴツコラ;イチョウ/ゴツコラシュプリーム;レンゲソウ;ゴールデンシール;カラトウキ;ニンジン;セイヨウオトギリソウシュプリーム;エキナセア;ビルベリー、緑茶;ホーソン;ショウガ、イチョウ、ウコン;ボスウェリアセラタ;ブラックコホシュ;キャッツクロー;イヌハッカ;カモミール;タンポポ;チェストツリーベリー;ブラックエルダーベリー;ナツシロギク;ニンニク;セイヨウトチノキ;カンゾウ;レッドクローバーの花と葉;イワベンケイ;コレウスフォルスコリイ;トケイソウ;コゴメバナ;ヨヒンベ;ブルーベリー植物;黒コショウの植物;ツボクサ;レンゲソウ;バレリアンケシの根とブドウの種子;クマツヅラ;エキナセアの根;スカルキャップ;セレニティエリクサー;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のハーブ抗うつ薬;
・ハロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、パリペリドン、ドーパミン、ビフェプルノックス、ノルクロザピン、アリピプラゾール、テトラベナジン、カンナビジオール、それらの薬学的に許容される塩、異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病薬;
・カウンセリング、心理療法、認知療法、電気けいれん療法、水療法、高気圧酸素療法、電気療法と電気刺激、経皮電気神経刺激(「TENS」)、脳深部刺激、迷走神経刺激、及び経頭蓋磁気刺激からなる群から選択される他の治療介入、並びに
・上記の組み合わせ。 - 以下を含むコア:
i)ケタミン、ノルケタミン、それらの薬学的に許容される塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、治療的に有効量の活性薬剤;
ii)62℃~90℃で硬化された少なくとも1種の高分子量ポリエチレンオキシド(PEO)、ここで、前記高分子量PEOは、レオロジー測定法に基づいて200万~700万の分子量を有し、前記コアの少なくとも30%(重量で)を占める;
を含む、固形の経口持続放出医薬錠剤であって、
前記錠剤は、耐破砕性であり、少なくとも200Nの破壊強度を有し、そして、前記錠剤は、10重量%~20重量%の濃度で活性薬剤を含む、錠剤。 - 前記高分子量PEOの分子量が、少なくとも4,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも6,000,000、及び少なくとも7,000,000からなる群から選択される、請求項23に記載の錠剤。
- 前記錠剤が、15重量%~18重量%の濃度で活性薬剤を含む、請求項23~24のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記高分子量PEOが、前記コアの少なくとも50%(重量で)を構成する、請求項23~25のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記活性薬剤の投与量が、30mg、60mg、120mg、及び240mgからなる群から選択される、請求項23~26のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤は70℃~75℃の温度で硬化されている、請求項23~27のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤が対象への1日1回又は1日2回の投与に適している、請求項23~28のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤が患者への投与時に解離性副作用がないか、又は最小限である、請求項23~29のいずれか1項に記載の錠剤。
- 治療抵抗性うつ病の治療に使用するための請求項23~30のいずれか1項に記載の錠剤。
- DSM-V全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、及び/又は強迫性障害を含むがこれらに限定されない、治療抵抗性不安症の治療に使用するための請求項23~30のいずれか1項に記載の錠剤。
- DSM-5特定恐怖症の治療に使用するための請求項23~30のいずれか1項に記載の錠剤。
- 前記錠剤が患者への1日1回又は1日2回の投与に適している、請求項31~33のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、前記ケタミンの単回用量の経口投与を含む、請求項31~34のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、前記ケタミンの複数回用量の経口投与を含む、請求項31~35のいずれか1項に記載の錠剤。
- 30~180mgの用量での前記ケタミンの単回経口投与が、前記うつ病又は前記不安症又は前記恐怖症の影響を3~7日間緩和するのに十分である、請求項31~36のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記錠剤が患者への投与時に解離性副作用がないか、又は最小限である、請求項31~37のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 抑うつ気分の評価の最大平均改善が、6週間の維持治療の後に認められた、請求項31又は34~38のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 不安気分の評価の最大平均改善が、2週間の維持治療の後に認められる、請求項32又は34~38のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、薬学的に有効量の第2又は追加の薬剤を投与することをさらに含み、前記第2又は追加の薬剤が抗うつ特性を有する、請求項31~40のいずれか1項に記載の使用のための錠剤。
- 前記治療が、以下から選択される追加の療法をさらに含む、請求項31~41のいずれか一項に記載の使用のための錠剤:
・シタロプラム、エスシタロプラムシュウ酸塩、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、ダポキセチン;ベンラファキシンとデュロキセチン;ハルマリン、イプロニアジド、イソカルボキサジド、ニアラミド、パルギリン、フェネルジン、セレギリン、トロキサトン、トラニルシプロミン、ブロファロミン、モクロベミド;アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ジベンゼピン、ドチエピン、ドキセピン、イミプラミン、イプリンドール、ロフェプラミン、メリトレースン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン、トリミプラミン;マプロチリン、ミアンセリン、ネファゾドン、トラゾドン、それらの薬学的に許容される塩、異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の抗うつ薬;
・炭酸リチウム、オロチン酸リチウム、リチウム塩、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オクスカルバゼピン、トピラマート、それらの薬学的に許容される塩、異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の気分安定薬;
・セイヨウオトギリソウ;カバカバ;エキナセア;ノコギリヤシ;ホーリーバジル;カノコソウ;マリアアザミ;シベリアニンジン;高麗ニンジン;アシュワガンダの根;イラクサ;イチョウ科;ゴツコラ;イチョウ/ゴツコラシュプリーム;レンゲソウ;ゴールデンシール;カラトウキ;ニンジン;セイヨウオトギリソウシュプリーム;エキナセア;ビルベリー、緑茶;ホーソン;ショウガ、イチョウ、ウコン;ボスウェリアセラタ;ブラックコホシュ;キャッツクロー;イヌハッカ;カモミール;タンポポ;チェストツリーベリー;ブラックエルダーベリー;ナツシロギク;ニンニク;セイヨウトチノキ;カンゾウ;レッドクローバーの花と葉;イワベンケイ;コレウスフォルスコリイ;トケイソウ;コゴメバナ;ヨヒンベ;ブルーベリー植物;黒コショウの植物;ツボクサ;レンゲソウ;バレリアンケシの根とブドウの種子;クマツヅラ;エキナセアの根;スカルキャップ;セレニティエリクサー;及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のハーブ抗うつ薬;
・ハロペリドール、クロルプロマジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオリダジン、トリフルオペラジン、メソリダジン、プロマジン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、プロメタジン、クロルプロチキセン、フルペンチキソール、チオチキセン、ズクロペンチキソール、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、パリペリドン、ドーパミン、ビフェプルノックス、ノルクロザピン、アリピプラゾール、テトラベナジン、カンナビジオール、それらの薬学的に許容される塩、異性体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の抗精神病薬;
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・上記の組み合わせ。
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