JP7363829B2 - 車体側部構造 - Google Patents
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Description
しかし、一般的に、鋼板のプレス成形性は高強度鋼板ほど低下し、特に引張強度980MPa級以上の高強度鋼板(以下、「超高強度鋼板」という)では、プレス成形過程での割れやしわの発生が従来の高強度鋼板に増して問題であった。
その上、略逆T字型形状といった複雑な形状の下端部を有するセンターピラー230のプレス成形に高強度鋼板を適用した場合、プレス成形により生じた残留応力が駆動力となり、金型から離型した後の弾性変形によるスプリングバックが発生し、センターピラー230の寸法精度の確保が難しくなる場合がある。
前記サイドシルは、
車幅方向の車外側に配置される側板部と、
該側板部の上端辺から連続する上側縦壁部と、
該上側縦壁部から連続する上側フランジ部と、
前記側板部の下端辺から連続する下側縦壁部と、
該下側縦壁部から連続する下側フランジ部と、を備えるハット断面形状であり、
前記上側縦壁部から前記上側フランジ部にわたって形成されて前記センターピラーの前記下端部が挿入する開口部を有し、
前記センターピラーは、
車幅方向の車外側に配置される天板部と、
該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、
該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部と、を備え、前記下端部における前記パンチ肩R部と前記ダイ肩R部とが直線状に延在するハット断面形状であり、
前記天板部の下端辺から延出して前記サイドシルの前記下側縦壁部及び前記下側フランジ部の内面に沿うように屈曲形成された天板延出部と、前記フランジ部の下端辺から延出したフランジ延出部とをさらに有し、
前記サイドシルの前記開口部に挿入された前記センターピラーの前記パンチ肩R部の下端が前記下側縦壁部の内面に当接した状態において、
前記天板部と前記側板部の内面とが当接する第1当接部と、
前記天板延出部と前記下側フランジ部の内面とが当接する第2当接部と、
前記フランジ部と前記上側フランジ部の内面とが当接する第3当接部と、
前記フランジ延出部と前記下側フランジ部の内面とが当接する第4当接部と、を有し、
前記第1当接部から前記第4当接部のうち1箇所以上が接合されていることを特徴とするものである。
前記サイドシルと前記センターピラーの前記下端部とが接合された箇所として、前記第2当接部及び/又は前記第4当接部が含まれていることを特徴とするものである。
前記サイドシルは、
車幅方向の車外側に配置される側板部と、
該側板部の上端辺から連続する上側縦壁部と、
該上側縦壁部から連続する上側フランジ部と、
前記側板部の下端辺から連続する下側縦壁部と、
該下側縦壁部から連続する下側フランジ部と、を備えるハット断面形状であり、
前記センターピラーは、
車幅方向の車外側に配置される天板部と、
該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、
該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部と、を備え、前記下端部における前記パンチ肩R部と前記ダイ肩R部とが直線状に延在するハット断面形状であり、
前記天板部から延出して前記サイドシルの前記側板部、前記下側縦壁部及び前記下側フランジ部の外面に沿うように屈曲形成された天板延出部をさらに有し、
前記センターピラーの前記下端部における前記天板延出部が前記サイドシルの中央部における前記側板部、前記下側縦壁部及び前記下側フランジ部の外面を覆った状態において、
前記天板延出部と前記側板部の外面とが当接する第1当接部と、
前記天板延出部と前記下側縦壁部及び前記下側フランジ部の外面とが当接する第2当接部と、
前記フランジ部と前記上側フランジ部の外面とが当接する第3当接部と、を有し、
前記第1当接部から前記第3当接部のうち1箇所以上が接合されていることを特徴とするものである。
前記サイドシルと前記センターピラーの前記下端部とが接合された箇所として、前記第2当接部が含まれていることを特徴とするものである。
前記センターピラーは、引張強度が980MPa級以上の鋼板を用いてプレス成形されたものであることを特徴とするものである。
本発明の実施の形態1に係る車体側部構造1は、図1に一例として示すように、車長方向に延在するサイドシル10に、車高方向に延在するセンターピラー30の下端部が結合されたものである。
なお、本明細書におけるセンターピラー及びサイドシルの姿勢及び配置に関する「上端辺」、「下端辺」、「下端部」、「下端」、「車外側」、「車内側」等の語句や、方向に関する「車高方向」、「車長方向」及び「車幅方向」といった語句は、実車両を基準とした相対的な位置及び方向を表すものである。
また、センターピラー30は、天板部31の下端辺31a(図1(c)(ii)、図2(b)参照)から延出してサイドシル10の下側縦壁部17及び下側フランジ部19の内面に沿うように屈曲形成された天板延出部41と、フランジ部39の下端辺から延出したフランジ延出部43とをさらに有している(図1(b)、図2(b)参照)。
そこで、本発明の実施の形態1に係る車体側部構造1においては、センターピラー30が車高方向に直線状に延在する構造であることを活かし、サイドシル10の車高方向上部側(上側フランジ部15、側板部11の車高方向上部側)に加えて、車高方向下部側(側板部11の車高方向下部側、下側縦壁部17、下側フランジ部19)ともセンターピラー30を当接させて、接合可能とすることで、車体側部構造1全体のねじり剛性を向上させるものである。
すなわち、本実施の形態1に係る車体側部構造1のセンターピラー30においては、フランジ部39の下端辺から延出するフランジ延出部43を設けることで、サイドシル10の車高方向上側の上側フランジ部15に加えて車高方向下側の下側フランジ部19といったより多くの箇所で接合可能とし、当該接合をすることで車体にねじり荷重が負荷された際におけるセンターピラー30の下端部のねじりを抑制し、サイドシル10のセンターピラー30との接合箇所の断面崩れ(断面変形)を抑制し、車体側部構造1全体のねじり剛性を向上させることができる。
特に、第2当接部53と第4当接部57とを接合箇所とすることで、車長方向に沿った広い範囲でサイドシル10とセンターピラー30とが接合されるため、ねじり剛性をさらに確保できる。
もっとも、第1当接部51のみを接合した場合にあっても、従来の車体側部構造201(図5)に比べて、より車体下方側でサイドシル10とセンターピラー30とが接合されているので、ねじり剛性を確保できる。
また、第3当接部55のみを接合した場合にあっても、センターピラー30の下端部がサイドシル10の開口部21に挿入されて天板部31と側板部11の内面とが当接し、さらに、天板延出部41は、下側縦壁部17及び下側フランジ部19の内面に沿うように屈曲して当接するので、1箇所の接合のみでも、車体側部構造1全体として、ねじり剛性を確保できる。
本発明の実施の形態2に係る車体側部構造101は、図3に一例として示すように、車長方向に延在するサイドシル110に、車高方向に延在するセンターピラー130の下端部が接合されたものである。
特に、第2当接部153を接合箇所とすることで、車高方向のより下部でサイドシル110とセンターピラー130とが接合されるため、ねじり剛性をさらに向上できる。
もっとも、第1当接部151のみを接合した場合にあっても、従来の車体側部構造201(図5)に比べて、より車体下方側でサイドシル110とセンターピラー130と接合できるので、ねじり剛性を確保することができる。
また、第3当接部155のみを接合した場合にあっても、センターピラー130の天板延出部141が、サイドシル110の側板部111、下側縦壁部117及び下側フランジ部119の外面に沿うように屈曲して当接するので、車体側部構造101全体として、ねじり剛性を確保することができる。
そして、図4に示すように、自動車301の車長方向前方から後方への投影面における左右のフロントサスタワー位置を結ぶ直線L1と左右のリアサスタワーを結ぶ直線L2とのなす角度(ねじり角)を求め、前記荷重とフロントサスタワーの変位の積を前記ねじり角で除した値を自動車301全体のねじり剛性の指標とした。
発明例1及び発明例2におけるねじり剛性比はいずれも97.7%であり、比較例1におけるねじり剛性比97.5%と同等であった。
発明例3及び発明例4におけるねじり剛性比はいずれも97.6%であり、比較例2におけるねじり剛性比97.3%と同等であった。
車体側部構造1を適用した場合のねじり剛性比は、接合箇所が第4当接部57のみ1箇所の発明例7では98.1%、第1当接部51及び第4当接部57の2箇所の発明例12では98.5%、第1当接部51、第3当接部55及び第4当接部57の3箇所の発明例14では99.4%であった。
同様に、車体側部構造101を適用した場合のねじり剛性比は、接合箇所が第2当接部153のみ1箇所の発明例6では98.0%、第2当接部153及び第1当接部151の2箇所の発明例11では98.5%であった。
表1に示すように、発明例16及び発明例17は、比較例3とほぼ同等のねじり剛性比であった。
比較例3におけるセンターピラー230の下端部は、車幅方向における側面視において二又に湾曲して分岐した略逆T字型形状の天板部231及びフランジ部239を有し、サイドシル210の上半分の外面を覆うように接合されるため、高いねじり剛性が得られる。
しかしながら、車体側部構造1を適用した発明例16及び車体側部構造101を適用した発明例17は、ねじり剛性比がそれぞれ99.7%及び99.4%であり、比較例3とのねじれ剛性とほぼ同等とすることができる。
10 サイドシル
11 側板部
13 上側縦壁部
15 上側フランジ部
17 下側縦壁部
19 下側フランジ部
21 開口部
30 センターピラー
31 天板部
31a 天板部の下端辺
33 パンチ肩R部
33a パンチ肩R部の下端
35 縦壁部
37 ダイ肩R部
39 フランジ部
41 天板延出部
43 フランジ延出部
51 第1当接部
53 第2当接部
55 第3当接部
57 第4当接部
101 車体側部構造
110 サイドシル
111 側板部
113 上側縦壁部
115 上側フランジ部
117 下側縦壁部
119 下側フランジ部
130 センターピラー
131 天板部
131a 天板部の下端辺
133 パンチ肩R部
135 縦壁部
137 ダイ肩R部
139 フランジ部
141 天板延出部
151 第1当接部
153 第2当接部
155 第3当接部
201 車体側部構造(従来例)
210 サイドシル
211 側板部
213 上側縦壁部
215 上側フランジ部
230 センターピラー
231 天板部
233 パンチ肩R部
235 縦壁部
237 ダイ肩R部
239 フランジ部
251 第1当接部
251a 第1’当接部
255 第3当接部
301 自動車
Claims (3)
- 車長方向に延在するサイドシルに車高方向に延在するセンターピラーの下端部が接合された車体側部構造であって、
前記サイドシルは、
車幅方向の車外側に配置される側板部と、
該側板部の上端辺から連続する上側縦壁部と、
該上側縦壁部から連続する上側フランジ部と、
前記側板部の下端辺から連続する下側縦壁部と、
該下側縦壁部から連続する下側フランジ部と、を備えるハット断面形状であり、
前記上側縦壁部から前記上側フランジ部にわたって形成されて前記センターピラーの前記下端部が挿入する開口部を有し、
前記センターピラーは、
車幅方向の車外側に配置される天板部と、
該天板部からパンチ肩R部を介して連続する縦壁部と、
該縦壁部からダイ肩R部を介して連続するフランジ部と、を備え、前記下端部における前記パンチ肩R部と前記ダイ肩R部とが直線状に延在するハット断面形状であり、
前記天板部の下端辺から延出して前記サイドシルの前記下側縦壁部及び前記下側フランジ部の内面に沿うように屈曲形成された天板延出部と、前記フランジ部の下端辺から延出したフランジ延出部とをさらに有し、
前記サイドシルの前記開口部に挿入された前記センターピラーの前記パンチ肩R部の下端が前記下側縦壁部の内面に当接した状態において、
前記天板部と前記側板部の内面とが当接する第1当接部と、
前記天板延出部と前記下側フランジ部の内面とが当接する第2当接部と、
前記フランジ部と前記上側フランジ部の内面とが当接する第3当接部と、
前記フランジ延出部と前記下側フランジ部の内面とが当接する第4当接部と、を有し、
前記第1当接部から前記第4当接部のうち1箇所以上が接合されていることを特徴とする車体側部構造。 - 前記サイドシルと前記センターピラーの前記下端部とが接合された箇所として、前記第2当接部及び/又は前記第4当接部が含まれていることを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。
- 前記センターピラーは、引張強度が980MPa級以上の鋼板を用いてプレス成形されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車体側部構造。
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