JP7363576B2 - ジイミンホウ素錯体誘導体、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子及び有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
ジイミンホウ素錯体誘導体、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子及び有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7363576B2 JP7363576B2 JP2020032692A JP2020032692A JP7363576B2 JP 7363576 B2 JP7363576 B2 JP 7363576B2 JP 2020032692 A JP2020032692 A JP 2020032692A JP 2020032692 A JP2020032692 A JP 2020032692A JP 7363576 B2 JP7363576 B2 JP 7363576B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- luminescent
- diimine
- boron complex
- light
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Luminescent Compositions (AREA)
Description
特に、新たに凝集誘起発光(AIE)機能を発揮する分子構造を有し、デバイスにした際にAIE機能を最大限に発揮し、濃度消光を抑制して発光量子効率が向上するジイミンホウ素錯体誘導体等に関する。
その一つとして、固体(凝集)状態にある機能性薄膜や粒子について、凝集状態で発光強度が低下する現象である凝集起因消光(Aggregation-Caused Quenching;ACQ)という現象に対し、溶液状態よりも凝集状態の方が強い発光を示す現象である凝集誘起発光(Aggregation induced emission;AIE)の機能を有する分子の適用が検討されつつある(例えば非特許文献3参照。)。
このことは、発光特性を表す数値、PLQY(量子収率)はデバイスの発光特性を示すEQE(外部取り出し量子効率)に比例し、かつPLQYを目標としてEQEの向上のための様々な発明がなされてきたことからも明らかである。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、一般式(1)で表される構造を有していることから、固体状態(凝集状態)では、錯体の構造が固定されるため、分子運動(並進・振動・回転)による無放射失活が抑制されると考えられる。さらに、窒素原子上の置換基によりホウ素錯体部位におけるスタッキングが阻害されると考えられる。したがって、当該ジイミンホウ素錯体誘導体の周囲に存在する媒体(化合物)の影響が減少し、発光特性が維持されると考えられる。
すなわち、当該ジイミンホウ素錯体誘導体は、励起子や濃度消光の抑制効果が大きく、非常に高い発光機能を発現できるものと推察される。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
以下、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体及びその参考例について説明する。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、下記一般式(2)中、R 1 及びR 4 は、それぞれ独立に、メチル基で置換されていてもよいフェニル基、ジベンゾフリル基、ベンジル基又はフェノキシ基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ独立に、メチル基で置換されたフェニル基、又はフッ素原子を表す。Ar 2 は、メチル基で置換されたフェニル基を表す。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする。
また、Ar1~Ar3で表される芳香族複素環基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基など、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基など)、ジベンゾフラニル基、アクリジニル基等を挙げることができる。
前記Ar1~Ar3で表される芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基のうち、好ましくは、トリル基、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基、アクリジニル基である。
る。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は公知の方法、例えば、Eur. J. Inorg. Chem.誌 2008年, 3200頁、J. Am. Chem. Soc.誌 2014年, 136巻, 18131頁やChem. Eur. J.誌 2014年, 20巻, 8320等を参照して合成することができる。例として上記文献の既知化合物から、例示化合物BN-19の合成スキームを以下に示す。他の例示化合物も同様にして合成することができる。
発光量子収率は、吸収された光子数と放出された光子数の割合で表される。励起された分子の全てが蛍光によって基底状態に戻れば、発光量子収率は1となるが、実際は無輻射失活によって1とはならない。
Φ(%)=(Kf/(Kf+Knr))×100
で表される。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、希薄溶液のみならず、高濃度溶液又は膜状態でも、濃度消光が抑制され、高い発光量子収率を示すことができる。
溶液状態の発光量子収率の測定は、ジイミンホウ素錯体誘導体を2-メチルテトラヒドロフランに溶解し、例えば蛍光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製C11347-01)を用い絶対蛍光量子収率を測定し、これを発光量子収率として測定することができる。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥したのち、UVオゾン洗浄処理した石英基板(1cm角)をホットプレート上で150℃に加熱しながら各化合物のクロロベンゼン溶液を滴下し、その後150℃で30分焼成して単膜を作製する。蛍光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製C11347-01)を用い窒素雰囲気下でこの単膜の絶対蛍光量子収率を測定し、これを発光量子収率として測定することができる。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、希薄溶液のみならず、高濃度溶液又は膜状態でも、濃度消光が抑制され、高い発光量子収率を示すことができる。このような性質を有することから、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子として用いることができる。例えば、高効率の発光性材料として有機エレクトロルミネッセンス素子等の有機電子デバイスへ応用することができる。また、新たなタイプの蛍光プローブ用色素として生物学及び医学におけるマーカーとして、バイオイメージに利用することができる。また、励起した電子が、基底状態へ戻る際に余分なエネルギーとして蛍光を放射する本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、吸収と放出のエネルギーの違いから波長変換能を有しており、色変換フィルターとして、染料、顔料、光学フィルター、農業用フィルム等に用いることもできる。
本発明の発光性組成物は、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を含有することを特徴とする。本発明の発光性組成物は、ジイミンホウ素錯体誘導体に、製膜安定性等のために分散剤を加えた組成物、又はこれにさらに溶媒を加えた組成物として用いられることが好ましい。さらに、本発明の発光性薄膜は、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を含有することを特徴とする。具体的には本発明の発光性組成物を薄膜状に形成することにより作製することができる。
また、本発明の発光性薄膜は、厚さ、0.1nm~1mmの範囲内で適宜用いることができる。
本発明の発光性粒子は、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を含有することを特徴とする。ジイミンホウ素錯体誘導体を粒子表面に吸着させた発光性粒子であっても、ジイミンホウ素錯体誘導体を内包した発光性粒子であってもよい。
例えば、液体中ポリマー粒子分散液中にジイミンホウ素錯体誘導体を凝集させて発光性粒子を作製することができる。また、ポリマー粒子を溶媒に浸漬させた際に、該粒子が溶媒を吸収して体積が膨張する膨潤性ポリマーを用いて、ジイミンホウ素錯体誘導体を内包した発光性粒子であってもよい。
また、液体中ポリマー分散液中にジイミンホウ素錯体誘導体を凝集させる場合の溶媒は特に制限されない。公知の溶媒が使用できる。
前記ポリマー粒子の体積平均粒子径は、0.01~50μmの範囲内であることが好ましく、0.02~40μmであることがより好ましく、0.04~20μmであることがさらに好ましい。
体積平均粒子径が前記範囲にあることで、得られる発光性粒子を様々な用途に適用できる。前記体積平均粒子径は、具体的には、レーザー回折散乱光粒度分布測定装置、LS13320型にて測定することができる。
前記ポリマー粒子の重量平均分子量は、1,000~1,000,000の範囲内にあることが好ましく、5,000~800,000であることがより好ましく、10,000~600,000であることがさらに好ましい。
本発明の発光性粒子に含まれるポリマー粒子は、1種でもよく、2種以上でもよいが、通常は、1種である。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に「有機EL素子」ともいう。)の蛍光発光材料として好適に用いられる。
本発明の有機EL素子に適用可能な基材としては、好ましくは光透過性を有する基材であり、用いられる材料として特に制限はなく、例えば、ガラス、プラスチック等の種類を挙げることができる。
本発明の有機EL素子においては、上記説明した基材上に、必要に応じて、ガスバリアー層を設ける構成であってもよい。特に、前記基材が樹脂フィルムである場合は、ガスバリアー層を設けることが好ましい。
有機EL素子を構成する陽極は、発光層に正孔を供給するために機能する電極であり、光反射性又は光透過性を有する電極であり、光透過性を有することが一般的である。用いられる材料としては、酸化物半導体又は薄膜の金属又は合金で構成されていることが好ましい形態であり、例えば、Ag、Au等の金属又は金属を主成分とする合金、CuI、又はインジウム・スズの複合酸化物(ITO)、SnO2及びZnO等の酸化物半導体を挙げることができる。
本発明に係る発光層は、発光性材料として、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を用いることが好ましい。発光層に本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を用いることにより、濃度消光が少ないため、膜状であっても高い発光量子収率を実現することができる。
本発明の有機EL素子を構成する発光層は、発光性材料としてリン光発光性化合物、又は蛍光発光性化合物を用いることができるが、本発明においては、特に、蛍光発光性化合物として、前記ジイミンホウ素錯体誘導体が含有されていることが好ましい。また、発光性材料としてリン光発光化合物が含有されている構成、若しくは蛍光発光性化合物の中でも遅延蛍光発光性化合物である熱活性型遅延蛍光発光性化合物(Thermally Activated Delayed Fluorescence:TADF)を用いることが好ましい。
1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685~1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704~1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055~3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of
Organic Chemistry,第4巻、695~709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載されている参考文献等に開示されている方法を適用することにより合成することができる。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を発光性材料として使用する場合、分散剤として公知のホスト化合物を用いることができる。
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらにリン光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
報、同2002-305083号公報、同2002-305084号公報、同2002-308837号公報、米国特許公開第2003/0175553号明細書、米国特許公開第2006/0280965号明細書、米国特許公開第2005/0112407号明細書、米国特許公開第2009/0017330号明細書、米国特許公開第2009/0030202号明細書、米国特許公開第2005/238919号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2009/021126号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2004/093207号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063796号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2004/107822号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2006/114966号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2009/003898号、国際公開第2012/023947号、特開2008-074939号公報、特開2007-254297号公報、欧州特許第2034538号明細書、国際公開第2011/055933号、国際公開第2012/035853号、特開2015-38941号公報等を挙げることができる。
本発明に係る陰極は、発光層に電子を供給するために機能する電極であり、光反射性又は光透過性を有する電極である。図1で示す構成の場合は、光反射性を有する電極である。
用いられる材料としては、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物又はこれらの混合物として、例えば、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO2及びSnO2等の酸化物半導体などが挙げられるが、その中でも、少なくとも薄膜の金属又は合金で構成されていることが好ましい構成である。
本発明に用いられる封止部材としては、有機EL素子の表示領域(発光領域)を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性及び電気絶縁性は特に限定されない。
が好ましく、さらには、JIS K 7126-1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10-3mL/m2・24h・atm(1atmは、1.01325×105Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10-3g/m2・24h以下であることが好ましい。この条件を満たすため、後述するガスバリアー層を設けることが好ましい形態である。
本発明の有機EL素子は、従来の正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、陽極バッファー層及び陰極バッファー層等を必要に応じて設けてもよい。また、発光層中にそれらの機能を有する領域を設けてもよい。
特に、本発明では、正孔輸送層兼励起子バッファー層として、前記したホスト化合物として用いられるmCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)を用いることにより、励起子の拡散抑制や濃度消光の抑制に対して非常に高い機能を発現することができる。
本発明の有機EL素子は、透明基板上に、第1電極である陽極、発光層及び第2電極である陰極を積層して積層体を形成し、ガスバリアー性を有する封止部材で素子全体を封止することによって製造することができる。
具体的には、好ましくはガスバリアー性を有する透明基材を準備し、該透明基材上に、所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10~200nmの範囲内の膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を形成する。同時に、陽極端部に、外部電源と接続する部分を形成する。
当該薄膜の形成法としては、蒸着法、塗布法(ウェットプロセス、湿式成膜法)が挙げられる。塗布法としては、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法等を用いることができる。
精密な薄膜が形成可能で、かつ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・to・ロール方式に適性の高い形成方法が好ましい。また、均質な膜が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点からは、スピンコート法、インクジェットプリント法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましい。中でも、蒸着法、スピンコート法及び後述するインクジェットプリント法が特に好ましい。
蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50~450℃、真空度1×10-6~1×10-2Pa、蒸着速度0.01~50nm/秒、基板温度-50~300℃、膜厚0.1~5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
なお、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、正孔阻止層、電子輸送層、及び電子注入層等を形成する。
本発明の有機EL素子は、ドット発光してパターニングや文字を再現したり、多色発光してカラーの有機ELデバイスを提供したりすることができる。
発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられる。これに限定されないが、ピクセルの高精細化を実現することができることから、前述のディスプレイのサブピクセルを構成するR(赤)・G(緑)・B(青)の個々が独立したLEDであるマイクロLED等の電子デバイスに好適である。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、蛍光色素として利用可能である。バイオイメージへの適用としては、蛍光色素で生細胞を染色した後、染色した細胞の発光色を調べることで、その発光色から細胞の周囲の環境を知ることができ、細胞内環境のイメージングが可能になる。
例えば、目的とする生体物質の発現状態を知るため、当該目的生体物質を認識して結合可能な生体物質認識部位が結合された蛍光物質集積ナノ粒子を用いて蛍光標識する技術が知られている。具体的には、組織標本を蛍光物質集積ナノ粒子により染色し、蛍光発光輝点の輝度分布のピークを解析して一粒子当たりの平均輝度値を求め、各輝点内の粒子数を算出すし、算出された粒子数を比較することで、目的生体物質の発現レベルを評価することができる。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は発光量子収率が高いため、蛍光物質集積ナノ粒子の一粒子当たりの輝度値を高くすることができる。したって、この様なバイオイメージに適用したとき、微量の生体物質を定量的に検出することができる利点を有する。
色変換フィルターは、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置及びLED照明、エレクトロルミネッセンス照明等の照明装置に用いることができる。画像表示装置に用いた場合、表示輝度を落とさずに好ましい色相へ補正することができ、照明装置(特にLED照明)に用いた場合はより自然に感じる白色光を得ることができる。
色変換フィルターは、蛍光を放射する本発明のジイミンホウ素錯体誘導体を少なくとも一つ含有している点以外は、従来の光学フィルターと同様でよく、その構成に制限はないが、例えば、従来のものと同様、少なくとも支持体を有し、必要に応じて、光学機能層、下塗り層、反射防止層、ハードコート層、潤滑層等の各種機能層を有することができる。色変換フィルターにおいて、蛍光を放射する本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、支持体及び各種機能層のいずれかに含まれていればよく、通常、支持体又は光学機能層に含有されていることが好ましい。また、色変換フィルターの大きさ及び形状は、特に制限されず、用途に応じて適宜決定される。
<発光量子収率比の評価>
表Iに示した、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体である例示化合物7種及び比較用化合物2種の各々について、溶液状態及び膜状態での発光量子収率を、以下の方法でそれぞれ測定した。
本発明のジイミンホウ素錯体誘導体又は比較用化合物を、それぞれ10-5Mになるように2-メチルテトラヒドロフラン中に溶解した。蛍光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製 C11347-01)を用い絶対蛍光量子収率を測定し、これを溶液状態での発光量子収率とした。
イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥したのち、UVオゾン洗浄処理した石英基板(1cm角)をホットプレート上で150℃に加熱しながら各化合物のクロロベンゼン溶液を滴下し、その後、150℃で30分焼成して単膜を作製した。蛍光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製C11347-01)を用い窒素雰囲気下で絶対蛍光量子収率を測定しこれを膜状態での発光量子収率とした。
(評価基準)
◎:(膜状態での発光量子収率/溶液状態での発光量子収率)が、0.75以上
〇:(膜状態での発光量子収率/溶液状態での発光量子収率)が、0.5以上、0.75未満
×:(膜状態での発光量子収率/溶液状態での発光量子収率)が、0.5未満
以上の結果表Iに示す。
<発光性粒子>
表Iに示した、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体である例示化合物と比較化合物について、発光性粒子中での発光量子収率を測定した。
ポリスチレン(PS)粒子分散液(固形分5.2質量%、ポリスチレン粒子の体積平均粒子径0.12μm、分散媒:水)96μLに、水100μL、非イオン性界面活性剤(Kolliphor P407:シグマアルドリッチ社製)の2%水溶液50μL、本発明の上記各化合物の0.01mmol/L THF溶液100μLを加え、前記ポリスチレン粒子分散液と各化合物との混合液を調製した。この混合液を25℃で2分撹拌することで、各ポリスチレン粒子の分散液を作製した。
得られたポリスチレン粒子の分散液を用い、遠心精製法により粒子を沈降させ、上澄み液を除去した後、純水を加えて該粒子を再分散させた。この操作(遠心精製と再分散)を4回繰り返し、各ジイミンホウ素錯体誘導体を含有した発光性粒子を含む分散液を得た。
前記で得られた発光性粒子を含む分散液の絶対蛍光量子収率を、蛍光量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製C11347-01)を用い測定し、同様に各々の化合物に対して、膜状態での発光量子収率に対する発光性粒子を含む分散液状態での発光量子収率比(分散液状態/膜状態)を計算し、以下の評価基準でランク付けをした。
(評価基準)
◎:(分散液状態での発光量子収率/膜液状態での発光量子収率)が、0.75以上
〇:(分散液状態での発光量子収率/膜液状態での発光量子収率)が、0.5以上、0.75未満
×:(分散液状態での発光量子収率/膜液状態での発光量子収率)が、0.5未満
以上の結果表IIに示す。
これまでのAIE機能を有すシロール構造やテトラフェニルエチレン構造等の非極性又は電荷の偏りの小さな分子では、マトリックスとなるポリスチレン等のポリマー材料との相互作用が強く働き、固体薄膜状態での構造を維持できないことによる。これに対して、本発明のジイミンホウ素錯体誘導体は、ポリマー材料との相互作用に比してAIE分子自身の自己凝集能が強く働き、固体薄膜状態での構造を維持できるため、ポリマー粒子中でも強い機能を発現するに至ったと考えられる。
<有機EL素子3-1の作製>(ITO/PEDOT/TCTA/EML(mCP:dope)/TPBi/LiF/Al)
第1電極(陽極)としてITO(Indium Tin Oxide)を100nm製膜したガラス基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥及びUVオゾン洗浄を5分間行った。
そして、陽極を形成した基材上に、特許第4509787号公報の実施例16と同様に調製したポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した2質量%溶液をインクジェットプリント法にて塗布、80℃で5分乾燥し、層厚40nmの正孔注入層を形成した。
次いで、TCTA(4,4′、4′′-トリ(9-カルバゾイル)トリフェニルアミン)を前記正孔注入層上に蒸着し、厚さ40nmの正孔輸送層を設けた。
ホスト材料(ホスト化合物)として、mCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)と、発光性材料としてBN-20とを、それぞれ94%、6%の体積%になるように共蒸着し、厚さ30nmの発光層を設けた。
その後、TPBi(1,3,5-トリス(1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼン)を蒸着し、厚さ30nmの電子輸送層を設けた。
さらに、フッ化リチウムを電子注入層として厚さ1nmを蒸着し、次いで第2電極(陰極)としてアルミニウムを厚さ100nmでさらに蒸着して電極を設けた。
ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人フィルムソリューション株式会社製)の全面に、特開2004-68143号公報に記載の構成の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリアー層を層厚500nmとなるように形成した。これにより、酸素透過度0.001mL/(m2・24h)以下、水蒸気透過度0.001g/(m2・24h)以下のガスバリアー性を有する可撓性のガスバリアーフィルムを作製した。ガスバリアーフィルムの片面に、封止樹脂層として熱硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を厚さ25μmで形成した。そして、この封止樹脂層を設けたガスバリアーフィルムを、前記素子に重ね合わせた。このとき、陽極及び陰極の取出し部の端部が外に出るように、ガスバリアーフィルムの封止樹脂層形成面を、有機EL素子の封止面側に連続的に重ね合わせた。
前記有機EL素子3-1の作製において、発光層の発光性材料として用いたBN-20を下記表IIIに示した化合物に変更し、かつ、ドープ濃度を変更した以外は同様にして、それぞれ有機EL素子3-2~3-9を作製した。
(光取出し性:外部取り出し量子効率(EQE))
各有機EL素子を室温(約23℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下による通電を行い、発光開始直後の発光輝度(L0)[cd/m2]を測定することにより、外部取り出し量子効率(EQE)を算出した。
ここで、発光輝度の測定は、分光放射輝度計CS-2000(コニカミノルタ社製)を用いて行い、外部取り出し量子効率は、比較例の有機EL素子3-1を100とする相対EQEを求めた。値が大きいほど光取出し性に優れる。
<有機EL素子4-4の作製>(OLED)(ITO/PEDOT/mCP/EML(mCP:dope)/LiF/Al)
第1電極(陽極)としてITO(Indium Tin Oxide)を100nm製膜したガラス基板を、イソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥及びUVオゾン洗浄を5分間行った。そして、陽極を形成した基材上に、特許第4509787号公報の実施例16と同様に調製したポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)の分散液をイソプロピルアルコールで希釈した2質量%溶液をインクジェットプリント法にて塗布、80℃で5分乾燥し、層厚40nmの正孔注入層を形成した。
次に、発光層としてホスト材料にmCP(1,3-ビス(N-カルバゾリル)ベンゼン)と、発光性材料としてBN-20とを、それぞれ80%、20%の体積%になるように共蒸着し、厚さ60nmの発光層を設けた。
さらに、フッ化リチウムを電子注入層として厚さ1nmを蒸着し、次いで、第2電極(陰極)としてアルミニウムを厚さ100nmでさらに蒸着して電極を設けた。
前述の有機EL素子3-1の場合と同様に、ガスバリアーフィルムの貼り合わせ等を行い有機EL素子4-4を作製した。
前記有機EL素子4-4の作製において、発光層の発光性材料として用いたBN-20を下記表IVに示した化合物に変更し、かつ、ドープ濃度を変更した以外は同様にして、それぞれ有機EL素子4-1~4-3及び4-5~4-8作製した。
作製した有機EL素子について、前記したように外部取り出し量子効率(EQE)を算出した。なお、外部取り出し量子効率は、比較例の有機EL素子4-4を100とする相対EQEを求めた。値が大きいほど光取出し性に優れる。
2 第1電極
3 発光層
4 第2電極
5 接着剤
6 封止部材
10 有機EL素子
Claims (7)
- 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジイミンホウ素錯体誘導体を含有することを特徴とする発光性組成物。
- 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジイミンホウ素錯体誘導体を含有することを特徴とする発光性薄膜。
- 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジイミンホウ素錯体誘導体を含有することを特徴とする発光性粒子。
- 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のジイミンホウ素錯体誘導体を用いたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020032692A JP7363576B2 (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | ジイミンホウ素錯体誘導体、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子及び有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020032692A JP7363576B2 (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | ジイミンホウ素錯体誘導体、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子及び有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021134185A JP2021134185A (ja) | 2021-09-13 |
JP7363576B2 true JP7363576B2 (ja) | 2023-10-18 |
Family
ID=77660248
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020032692A Active JP7363576B2 (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | ジイミンホウ素錯体誘導体、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子及び有機エレクトロルミネッセンス素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7363576B2 (ja) |
-
2020
- 2020-02-28 JP JP2020032692A patent/JP7363576B2/ja active Active
Non-Patent Citations (7)
Title |
---|
Canadian Journal of Chemistry,2018年,Vol.96(6),p.513-521 |
European Journal of Inorganic Chemistry,2008年,Vol.20,p.3200-3211 |
Inorganica Chimica Acta,2009年,Vol.362(1),p.233-237 |
Journal of Physical Chemistry C ,2016年,Vol.120(39),p.22539-22548 |
Journal of the American Chemical Society,2014年,Vol.136(52),p.18131-18139 |
日本化学会講演予稿集,2018年,Vol.98,No.3 F5-38 |
高分子学会予稿集,2018年,Vol.67(2),No.2D15 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021134185A (ja) | 2021-09-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10109800B2 (en) | Organic electroluminescent element, display device and lighting device | |
US8242488B2 (en) | Organic electroluminescent element, display device, and illuminating device | |
JP5381719B2 (ja) | 白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
USRE44831E1 (en) | Organic electroluminescent device, display, and illuminating device | |
WO2009084413A1 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 | |
JP2008207520A (ja) | 有機薄膜、有機薄膜の製造方法、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 | |
US8304764B2 (en) | Organic electroluminescent element | |
US8980443B2 (en) | Organic electroluminescent element | |
US20150041789A1 (en) | Transparent electrode, electronic device, and organic electroluminescent element | |
US9843011B2 (en) | Organic electroluminescent element having intermediate electrode including two metal layers | |
JPWO2008108162A1 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、表示装置及び照明装置 | |
WO2017056553A1 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子及びこれを備えた照明装置 | |
US20150118507A1 (en) | Transparent electrode, electronic device, and organic electroluminescence element | |
JP2011009517A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP5521753B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
JP7363576B2 (ja) | ジイミンホウ素錯体誘導体、発光性組成物、発光性薄膜、発光性粒子及び有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
WO2012039241A1 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 | |
JP5939249B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 | |
US8962364B2 (en) | Production method for organic electroluminescent element | |
JP6277581B2 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
EP3229559A1 (en) | Organic electroluminescence element | |
JP2008047428A (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及びディスプレイ装置 | |
WO2014034341A1 (ja) | 有機エレクトロルミネッセンス素子 | |
WO2016136397A1 (ja) | 透明電極及び電子デバイス |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20200324 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220927 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230522 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230523 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230627 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230905 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230918 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7363576 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |