図1は本実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
画像形成装置100は、電子写真方式により記録媒体P上に現像剤であるトナーを用いて画像を形成することが可能な、例えば電子写真方式のカラープリンタである。なお、本実施例では、画像形成装置100をカラープリンタとして説明するが、モノクロプリンタであってもよい。
図1において、画像形成装置100は、現像装置1と、転写装置13と、定着装置20と、給紙トレイ21と、ホッピングローラ22と、搬送ローラ23と、排出ローラ24と、濃度センサ27とを有している。
画像形成部としての現像装置1は、図1中矢印Aが示す媒体搬送方向の上流側から下流側に並べて配置され、4色(ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C))の現像剤像としてのトナー像を形成するものである。
また、現像装置1は、トナー像を形成することにより、後述する廃棄パターンを形成する。
現像装置1Kはブラック、現像装置1Yはイエロー、現像装置1Mはマゼンタ、現像装置1Cはシアンのトナー像を形成する。
いずれの現像装置も同様の構成をしているので、現像装置1Cを代表としてその構成について説明する。
現像装置1は、感光体3と、帯電ローラ4と、露光装置5と、現像部6と、クリーニングブレード7と、除電装置8とを有している。
像担持体としての感光体3は、静電潜像およびトナー像を担持するものであり、現像装置1に図中矢印が示す回転方向に回転可能に支持されている。
本実施例では、感光体3は、アルミニウム等の金属パイプの導電性支持体の表面に光導電層を被覆した構成となっている。
帯電部材としての帯電ローラ4は、感光体3に当接し、感光体3の表面を均一に帯電させるものである。
本実施例では、帯電ローラ4は、金属シャフトの外周にエピクロロヒドリンゴム等の半導電性ゴム層を被覆した構成となっている。
露光手段としての露光装置5は、例えばLED(Light?Emitting?Diode)等の発光素子とレンズアレイとを備えたLEDヘッドであり、入力された印刷データに基づき、感光体3の表面に印刷ドット単位の光を照射し、光照射部分の電位を光減衰させて静電潜像を形成させるものである。
現像部6は、感光体3上に形成された静電潜像をトナーにより現像するものであり、トナー収容部9と、現像ローラ10と、供給ローラ11と、現像ブレード12とを有している。
現像剤収容部としてのトナー収容部9は、その内部に非磁性トナーを収容するものである。
現像剤担持体としての現像ローラ10は、感光体3と接触するよう配置され、感光体3の表面に形成された静電潜像にトナーを搬送して静電潜像をトナー像として現像するものである。
本実施例では、現像ローラ10は、金属製のシャフトの外周に厚さ6mm、ゴム硬度 58℃(アスカーC)、の半導電性のシリコーンゴムの弾性体を被覆した構成となっている。
現像剤供給部材としての供給ローラ11は、現像ローラ10と接触するよう配置され、トナーを現像ローラ10上に供給するものである。
本実施例では、供給ローラ11は、金属製のシャフトの外周に厚さ5mm、硬度55°(アスカーF)のシリコーンスポンジ発泡体を被覆した構成となっている。シリコーンスポンジ発泡体の表面には、凹部から成る複数のセルが形成されている。
トナー規制部材としての現像ブレード12は、現像ローラ10上に供給されたトナー層を規制してトナー薄層を形成するものである。
本実施例では、現像ブレード12は、厚さ0.08mmのばね性を持ったステンレス鋼板を用いた。また、現像ブレード12が現像ローラ10と当接している部分は曲率を持った曲面形状を有している。
クリーニングブレード7は、ウレタンゴム等から構成されたゴムブレードであり、感光体3上のトナーに付着した外添剤や転写されなかった弱帯電トナーを掻き落すものである。
露光手段としての露光装置5は、発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)を備え、画像信号に基づく静電潜像を感光体3上に形成するものである。
本実施例では、露光装置5は、除電板と、除電板に沿って一直線状に略等間隔に複数配置されたLED素子から構成されている。
転写装置13は、転写ベルト15と、転写ローラ16と、駆動ローラ17と、従動ローラ18と、転写クリーニングブレード19とを有している。
転写体としての転写ベルト15は、無端状のベルトであり、駆動ローラ17および従動ローラ18に回転可能に張架されることで図中矢印Bの示す方向に回転して記録媒体Pを搬送するものである。
また、転写ベルト15は、現像装置1によりトナー像が転写され、後述する廃棄パターンを濃度センサに搬送する。
転写部材としての転写ローラ16は、転写ベルト15を挟んで現像装置1の感光体3と対向配置され、図中矢印が示す方向に回転することにより、記録媒体Pに感光体3上のトナーを現像するものである。
駆動ローラ17および従動ローラ18は、転写ベルト15を回転駆動するための動力を伝えるものである。
転写クリーニングブレード19は、転写ベルト15上に付着したトナーを除去するものである。
定着装置20は、媒体搬送方向における転写ベルト15の下流側に配置され、記録媒体P上のトナーを熱と圧力により定着させるものである。
また、画像形成装置100は、記録媒体Pを格納する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から記録媒体Pを選択的に取り出すホッピングローラ22と、記録媒体Pを転写装置13に搬送する搬送ローラ23と、記録媒体Pを排出する排出ローラ24とを有している。
濃度検出部としての濃度センサ27は、転写ベルト15を挟んで現像装置1の反対側である給紙トレイ21側に設けられており、転写ベルト15上のトナー像に対して赤外光および赤色光を照射し、その反射光を受光素子で検知することによりトナーの濃度を検出するものである。
図2は実施例におけるトナー廃棄処理Aを説明する図である。
図2において、濃度センサ27は、転写ベルトの搬送方向(図中矢印Bで示す)に直交する方向に3つ(27a、27b、27c)配置されている。
各濃度センサ(27a、27b、27c)は、主走査方向としての転写ベルト15の搬送方向に直交する方向の複数箇所の転写ベルト15上のトナー像の濃度を検出する。
なお、濃度センサ27は主走査方向に、3つ配置されているものとして説明するが、それに限定されず、3つ以上配置されていてもよい。
環境センサ28は、画像形成装置100が設置された雰囲気温度および湿度を読み取るものであり、例えば、温度センサおよび湿度センサ等を有している。なお、環境センサ28は定着装置20の熱の影響を受けづらい位置に取り付けられている。
図3は実施例における画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図3において、画像形成装置100は、プリンタ制御部25と、受信部26と、濃度センサ27と、環境センサ28と、ドットカウント計測部30と、印刷枚数計測部31と、カウント保持部32、駆動部33、露光制御部34、電圧制御部35とを有している。
制御部としてのプリンタ制御部25は、受信部26から受信した画像データにしたがって画像情報を作成し、駆動部33、露光制御部34および電圧制御部35に指示して、画像情報に基づいて現像装置1によりトナー像を形成する。なお、プリンタ制御部25は、CPU(Central Processing Unit)等の制御手段およびメモリ等の記憶手段を備え、記憶手段に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて画像形成装置100全体の動作を制御するものである。
プリンタ制御部25は、現像装置1でトナー像を形成してトナーを廃棄するものである。
すなわち、プリンタ制御部25は、現像装置1にトナー像の形成を指示し、第1の現像剤像としての廃棄パターンA50を転写ベルト15上に形成することにより、トナーを廃棄するトナー廃棄処理Aを実施する。
また、プリンタ制御部25は、濃度センサ27で検出した第1の現像剤像としての廃棄パターンA50の濃度に基づいて、現像装置1でトナー像を形成してトナーを廃棄するものである。
すなわち、プリンタ制御部25は、濃度センサ27で検出した第1の現像剤像としての廃棄パターンA50の濃度に基づいて、現像装置1にトナー像の形成を指示し、第2の現像剤像としての廃棄パターンB60を転写ベルト15上に形成することにより、トナーを廃棄するトナー廃棄処理Bを実施する。
なお、トナー廃棄処理Aのおよびトナー廃棄処理Bの詳細は後述する。
受信部26は、上位装置との間で通信を行い、上位装置から画像データを受信するものである。
ドットカウント計測部30は、露光装置5より照射された光のドットカウントを計測(カウント)するものである。
印刷枚数計測部31は、現像装置1で印刷された枚数を計測(カウント)するものである。
保持部としてのカウント保持部32は、画像形成装置100の制御基板との間で電気的に接続され、各種情報の授受を行うことができるとともに、各種情報を記憶することができるものである。
本実施例では、カウント保持部32には、印刷枚数計測部31により計測された累積印刷枚数37と、ドットカウント計測部30により計測された累積ドットカウント38と、初期濃度の左右差データ39と、検出濃度データ40と、トナー廃棄Aカウント(L)41と、トナー廃棄Bカウント(F)42とが記憶されている。
初期濃度の左右差データ39は、累積印刷枚数37が0枚のときに、図2に示す各濃度センサ(27a、27b、27c)で検出したトナー像(廃棄パターンA50)の濃度値である。なお、本実施例の濃度値は、光学濃度値(OD(Optical Density)値)である。
トナー廃棄Aカウント(L)41は、累積印刷枚数37、累積ドットカウント38および変換係数に基づいたカウントであり、プリンタ制御部25がトナー廃棄処理Aを実施するか否かを判断する際に用いられる。
トナー廃棄Bカウント(F)42は、初期濃度の左右差データ38および検出濃度データ40に基づいたカウントであり、プリンタ制御部25がトナー廃棄処理Bを実施するか否かを判断する際に用いられる。
駆動部33は、プリンタ制御部25から印刷指示を受けると、駆動モータ36を駆動させて、各ローラを回転させるものである。
露光制御部34は、プリンタ制御部25から印刷指示を受けると、画像情報にしたがって各色のLEDヘッドに発光させる露光量を制御するものである。
電圧制御部35は、プリンタ制御部25から印刷指示を受けると、帯電ローラ4、現像ローラ10、供給ローラ11、現像ブレード12、転写ローラ16、除電装置8に印加する電圧を制御するものである。
上述した構成の作用について説明する。
まず、画像形成装置が行う印刷動作を図1および図3に基づいて説明する。いずれの現像装置1も同様の構成をしているので、現像装置1Cを代表としてその動作について説明する。
図3において、プリンタ制御部25は、図示せぬ上位装置(コンピュータ等)から受信部26を介して画像データを受信すると、駆動部33、露光制御部34および電圧制御部35に印刷を指示する。
プリンタ制御部25から指示を受けた駆動部33は、駆動モータ36を駆動させて感光体3および現像装置1の各ローラを図示矢印方向に回転させる。
プリンタ制御部25から指示を受けた電圧制御部35は、駆動部33により各ローラが回転すると、帯電ローラ4、現像ローラ10、供給ローラ11、現像ブレード12、転写ローラ16および除電装置8に各直流電圧を印加する。
そして、回転を開始した感光体3の表面は、電圧が印加された帯電ローラ4によって感光体3の表面を所定の電位に帯電させる。
プリンタ制御部25から指示を受けた露光制御部34は、画像情報に基づいて露光装置5から感光体3の表面に発光させ、感光体3上に静電潜像を形成させる。
感光体3上に形成された静電潜像と現像ローラ10の電位差によって、現像ローラ10上のトナーが感光体3上の静電潜像に付着して、トナー像が現像される。
また、供給ローラ11と現像ローラ10の電位差からトナーを帯電させ、供給ローラ11内のトナーを現像ローラ10上に供給する。現像ブレード12と現像ローラ10の電位差から、トナーを帯電させ、現像ブレード12により現像ローラ10上の余分なトナーを掻き落とし、均一なトナー層厚を形成する。
ここで、現像に使用されなかった現像ローラ10上のトナーは、供給ローラ11との摩擦により掻き取られ、供給ローラ11内に回収される。一部、供給ローラ11内で回収できないトナーはトナー収容部9に残る。また、現像ローラ10上のトナーの層を現像ブレード12で規制する際に、現像ブレード12で掻き落とされたトナーはトナー収容部9に残る。
次に、駆動部33によってホッピングローラ22が回転することで、給紙トレイ21内の記録媒体Pが選択的に取り出され、搬送ローラ23によって記録媒体Pは転写ベルト15上に搬送される。駆動ローラ17と従動ローラ18により、転写ベルト15は図1中矢印Bに示す方向に回転し、転写ベルト15上の記録媒体Pも転写ベルト15と同じ方向に移動する。
ここで、転写ローラ16と感光体3上のトナー像の電位差から、感光体3上のトナー像が記録媒体Pに転写される。転写されずに感光体3上に残ったトナーはクリーニングブレード7により除去される。また、除電装置8に電圧が印加されることで、除電装置8は感光体3表面を発光し、感光体3の表面電位が除電される。
トナー像が転写された記録媒体Pは定着装置20に搬送され、熱と圧力によりトナーが溶融し、記録媒体Pに定着される。そして、記録媒体Pは排出ローラ24により画像形成装置100外へ排出される。転写ベルト15上に残ったトナーはクリーニングブレード7により除去される。
上述したような印刷動作において、Dutyが低い印刷(以下、「低Duty印刷」という。)が続くと、現像ローラ10上のトナーは現像に使用されず、供給ローラ11に掻き取られ、掻き取られたトナーが再度現像ローラ10上に供給されることが繰り返される。
なお、Duty(印字率)とは、所定の領域(例えば、感光ドラム1周分や印刷媒体1ページ分等)の印刷可能範囲に全面ベタ画像印刷時の面積率100%印刷のことをDuty100%といい、この印字率100%に対して0%の面積に相当する印刷をDuty0%という。
この場合、トナーは、現像ローラ10と供給ローラ11との間、現像ローラ10と現像ブレード12との間および現像ローラ10と感光体3との間で擦り続けられることにより、トナーに含有される外添剤の剥離および埋没等が発生し、トナーにダメージが蓄積される。
また、トナーに含有される外添剤が剥離及び埋没すると、トナー同士に働くファンデルワールス力が大きくなり、トナーが凝集しやすくなる。
したがって、低Duty印刷が続くことでダメージを受けたトナーは、現像ブレード12により現像ローラ10上にトナー薄層を形成しようとしても、粒子同士の凝集力が強いため、層規制後の層厚が大きくなってしまう。
このような場合、現像ローラ10上に形成されたトナーの層は電位が高くなり、現像されたトナー像の濃度が上昇して画像に汚れを発生させてしまい、画像品質を低下させるリスクが高まってしまう。
このため、画像形成装置100においては、低Duty印刷が続く場合にはダメージを受けたトナーを吐き出すトナー廃棄処理を行う必要が生じる。
そこで、トナーを廃棄するトナー廃棄処理Aを実施する。
プリンタ制御部25は、現像装置1に指示して、第1の現像剤像としての廃棄パターンA50を主走査方向に所定の印字率で転写ベルト15に形成してトナーを廃棄するトナー廃棄処理Aを実施する。
本実施例では、プリンタ制御部25は、累積印刷枚数37や累積ドットカウント38等のカウント値に基づいて、トナー廃棄処理Aを実施する。
しかしながら、画像の汚れは、低Duty印刷が続く場合だけではなく、画像形成装置100が設置された雰囲気温度が高い場合や現像装置1内のトナー収容部9に収容されたトナーが少ない場合にも発生しやすい。
なぜならば、画像形成装置100が設置された周辺の気温が高く、かつ印刷動作を長時間行う場合、トナー収容部9の温度が高い状態となり、トナーが軟化してトナー同士で凝集することで、現像装置1はトナーを正常に帯電させることができず、画像に汚れを発生させてしまい、画像品質を低下させるリスクが高まってしまう。
また、現像装置1に収容されるトナーは各ローラ間で擦り続けられることで、トナーに含有される外添剤の剥離および埋没等が発生してトナーにダメージが与えられる。このダメージが与えられたトナーが現像装置1内で正常に帯電されにくいために画像に汚れを発生させる。とくに、現像装置1に収容されるトナーが少ないときはダメージが与えられたトナーの割合が多くなるために、画像の汚れが目立ち画像品質が低下しやすくなる。一方、現像装置1に収容されるトナーが多いときは、ダメージが与えられたトナーの割合が少ないため、画像の汚れが目立ちにくく画像品質が低下しにくい。
つまり、画像形成装置100が設置された雰囲気温度や現像装置1のトナー残量等によりトナーにダメージが蓄積されるため、トナー廃棄処理Aだけではトナーの廃棄量が不十分となり、主走査方向において濃度差が生じて画像の汚れが発生して、画像品質が低下する。
そこで、本実施例では、トナー廃棄処理Bを実施する。
プリンタ制御部25は、濃度センサ27に指示して、現像装置1から転写ベルト15に転写された主走査方向で所定の印字率の第1の現像剤層としての廃棄パターンA50の濃度を検出し、現像装置1に指示して、第1の現像剤層としての廃棄パターンA50の複数の箇所の濃度のなかで最低濃度に対する濃度差に応じた印字率の第2の現像剤像としての廃棄パターンB60を形成することにより、トナーを廃棄するトナー廃棄処理Bを実施する。
本実施例では、汚れの発生しているところ、すなわちトナーの濃度が高いところに対してトナーを廃棄するため、濃度センサ27が検出した廃棄パターンA50の複数の箇所の濃度のなかでの最低濃度を基準として、主走査方向における廃棄パターンA50の濃度差を算出し、算出した濃度差に応じた印字率の廃棄パターンB60を形成することにより、トナー廃棄処理Bを実施する。
ここで、トナー廃棄処理を実施する前に、予め現像装置11Cの部材の揺れによる濃度差を考慮する必要がある。
なぜならば、現像装置1が新品であっても部材の揺れにより、主走査方向において濃度差が生じてしまうからである。
図4は実施例における現像装置の部材の揺れによる濃度差の検出処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って説明する。
S1:プリンタ制御部25は、画像形成装置100に取り付けられた現像装置1が新品であるか否かを検知する。新品であると検知した場合はS2に移行し、新品ではないと検知した場合は本処理を終了する。
S2:プリンタ制御部25は、トナー廃棄処理Aを実施する。
プリンタ制御部25は、現像装置1に指示して転写ベルト15上に、図2中矢印Bで示す転写ベルト15の搬送方向と直交する方向に一様な廃棄パターンA50(例えば、全面印刷Duty50%、長さ28.64mm、ドットカウント831)を形成してトナーを廃棄するトナー廃棄処理Aを実施する。
なお、本実施例では、現像装置1により第1の現像剤像としての廃棄パターンA50を形成する際の所定の印字率を印刷Duty50%とする。
S3:プリンタ制御部25は、初期濃度測定として、濃度センサ27により、各濃度センサ(図2中に示す27a、27b、27c)における廃棄パターンA50の濃度値を検出する。
S4:プリンタ制御部25は、S3で検出した濃度から最低値を検出する。
S5:プリンタ制御部25は、S3で検出した各濃度とS4で検出した最低値との濃度差を算出する。
S6:プリンタ制御部25は、S5で算出した濃度差を初期濃度の左右差データ39としてカウント保持部32に書き込む(記憶させる)。
このように、プリンタ制御部25は、あらかじめ、カウント保持部32に初期濃度の左右差データ39を記憶させることで、後述するトナー廃棄処理の際に、部材の揺れによる濃度差を考慮することができる
次に、画像形成装置が行うトナー廃棄処理を図5の実施例におけるトナー廃棄処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って図1から図3を参照しながら説明する。
本実施例の画像形成装置100は、印刷後に実施するトナー廃棄処理Aと、印刷前に実施するトナー廃棄処理Bとの2種類のトナー廃棄処理を有し、以下に説明する流れでトナー廃棄処理を実施する。
S10:プリンタ制御部25は、受信部26から受信した画像データにしたがって画像情報を作成し、画像情報に基づいて駆動部33、露光制御部34および電圧制御部35を指示して印刷動作を開始する。
S11:プリンタ制御部25は、S10の印刷動作において、ドットカウント計測部30および印刷枚数計測部31に指示して、1ジョブの印刷枚数Cと1ジョブのドットカウントDを取得し、累積印刷枚数37と累積ドットカウント38をカウント保持部32に記憶させる。
S12:プリンタ制御部25は、トナー廃棄カウント(L)を下式により算出する。
L = L+(SL×C―D)/Y
なお、SLは廃棄閾値ドットカウント、Yは廃棄カウントの変換係数を示す。本実施例では、SLを792、Yを831とする。また、トナー廃棄カウント(L)の初期値は0である。
S13:トナー廃棄カウントLが-127以下の場合はS14に移行し、-127より大きい場合はS6に移行する。
S14:プリンタ制御部25は、トナー廃棄カウントLを-127にする。
S15:トナー廃棄カウントLが127以上の場合はS16に移行し、127未満の場合はS17に移行する。
S16:プリンタ制御部25は、トナー廃棄カウントLを127にする。
このように、S13~S16でトナー廃棄カウントLの下限値および上限値を定める。
S17:トナー廃棄カウントLが1以上の場合はS18に移行し、1未満の場合はS25に移行する。
S18:プリンタ制御部25は、現像装置1に指示して転写ベルト15上に廃棄パターンA50を形成してトナーを廃棄するトナー廃棄処理Aを実施し、トナー廃棄カウントLを1引いた値にする。
このように、プリンタ制御部25は、累積印刷枚数37および累積ドットカウント38に基づいてトナー廃棄A(L)カウントを算出し、算出したトナー廃棄A(L)カウントが閾値以上である場合、現像装置1に指示して転写ベルト15上に廃棄パターンA50を形成してトナーを廃棄するトナー廃棄処理Aを実施する。
なお、本実施例では、累積印刷枚数37、累積ドットカウント38、廃棄閾値ドットカウントおよび廃棄カウントの変換係数に基づいてトナー廃棄カウントLをカウントしてトナー廃棄を実施するものとして説明したが、それに限定されず、例えば、累積印刷枚数37が所定の枚数を超える場合にトナー廃棄処理を実施するようにしてもよい。
S19:プリンタ制御部25は、濃度センサ27に指示して、各濃度センサ(27a、27b、27c)における廃棄パターンA50の濃度値を検出する。
S20:プリンタ制御部25は、S19で検出した各濃度値とカウント保持部32に記憶された初期濃度の左右差データ39との濃度差E1を濃度が検出された場所毎に算出する。
これは、濃度差E1を算出することで、現像装置1の部材の揺れによる濃度差を考慮するためである。
S21:プリンタ制御部25は、各濃度差E1から最低値Δを検出する。
S22:プリンタ制御部25は、各濃度差E1とS21で検出した最低値との濃度差ΔEを算出し、濃度差ΔEが閾値としての0.05以上の場合は、汚れが発生していると判断してS23に移行し、濃度差ΔEが0.05未満の場合は、画像濃度の上昇や汚れが未発生と判断してS25に移行する。
S23:プリンタ制御部25は、トナー廃棄処理Bを実施するため、トナー廃棄Bの実行フラグFを1とする。なお、トナー廃棄Bの実行フラグFの初期値は0である。
S24:プリンタ制御部25は、トナー廃棄処理Bで形成される廃棄Bパターンを設定する。なお、廃棄パターンの設定方法についての詳細は後述する。
S25:印刷を終了する。
S26:プリンタ制御部25は、S25の印刷終了後に、受信部26を介して次の印刷データを受信する。
S27:プリンタ制御部25は、トナー廃棄Bの実行フラグFが1の場合は、S28に移行し、1以外の場合は、S30に移行する。
S28:プリンタ制御部25は、S26で受信した画像データを印刷する前に、現像装置1に指示して転写ベルト15上に、S24で設定された廃棄パターンB60を形成してトナーを廃棄するトナー廃棄処理Bを実施する。
S29:プリンタ制御部25は、トナー廃棄処理Bの実行フラグFを0にする。
S30:プリンタ制御部25は、S26で受信した画像データにしたがって画像情報を作成し、画像情報に基づいて駆動部33、露光制御部34および電圧制御部35を指示して印刷動作を開始する。
このように、本実施例では、濃度センサ27は現像装置1から転写ベルト15に転写された主走査方向で所定の印字率の廃棄パターンA50の濃度を検出し、現像装置1は廃棄パターンA50の複数の箇所の濃度のなかで最低濃度に対する濃度差に応じた印字率の廃棄パターンB60を形成してトナーを廃棄することにより、汚れの発生を抑制して、画像品質を向上させることができる。
さらに、現像装置1は、最低濃度に対する濃度差が閾値以上であると判断する場合、最低濃度に対する濃度差に応じた印字率の廃棄パターンB60を形成してトナーを廃棄する。
ここで、トナー廃棄処理Bの廃棄パターンBの設定方法を図6および図7に基づいて説明する。なお、図6は実施例における廃棄パターンBのDutyの設定方法を説明する図、図7は実施例における廃棄パターンBが形成される領域を説明する図である。
図6において、廃棄パターンB60のDutyは、S22で算出した濃度差ΔEが0.1以上の場合はDuty100%とし、濃度差ΔEが0.05以上0.10未満の場合はDuty50%とし、濃度差ΔEが0.05未満の場合はDuty0%として設定される。
これは、濃度差ΔEが大きいほど、トナーに蓄積されるダメージが大きくなるため、廃棄パターンB60のDutyを高くしてトナー廃棄量を多くすることで、汚れの発生を抑制して、画像品質を向上させるためである。
このように、プリンタ制御部は、現像装置1に指示して、最低濃度に対する濃度差が大きくなるにつれて、廃棄パターンB60を形成する際に使用するトナーを増やすことで廃棄するトナー量を増やす。
図7において、廃棄パターンB60は、主走査方向において5つの領域(左側領域a、左中側領域b、中央領域c、右中側領域d、右側領域e)に分けられる。
分けられた領域毎にDutyが設定され、トナーを廃棄するトナー廃棄処理Bが実施される。なお、各領域の幅は42.00mm、長さは28.64mmとする。
すなわち、プリンタ制御部は、現像装置1に指示して、転写ベルト15の主走査方向を複数の領域に分け、濃度センサ27で検出した各領域の廃棄パターンA50のトナーの濃度と、各領域の濃度のなかでの最低濃度との濃度差に応じた印字率の廃棄パターンB60を形成してトナーを廃棄する。
この場合、少なくとも1つの領域の廃棄パターンAの濃度と、最低濃度との濃度差が閾値以上である場合、濃度差が閾値以上である領域に廃棄パターンB60を形成してトナーが廃棄する。
なお、本実施例では、廃棄パターンB60を5つの領域に分けるとして説明したが、それに限定されず、3つ以上に分けてもよい。
図8は実施例における廃棄パターンBの各領域におけるDutyを説明する図である。
図8において、左側領域a、中央領域cおよび右側領域eでは、上述したように、濃度センサ27で検出した濃度に基づいて、濃度差ΔEが算出され、濃度差ΔEが閾値以上である場合、濃度差ΔEに応じてDutyが設定される。
一方、左中側領域bは濃度センサ27aと濃度センサ27bとの間にあり、右中側領域dは濃度センサ27bと濃度センサ27cとの間にあるため、各領域における濃度値が濃度センサ27により検出されない。
そこで、本実施例では、濃度センサ27間にある領域のDutyは、隣り合う領域で設定されたDutyの中間値とする。
例えば、図7から濃度差ΔEが左側領域aでは0.06、中央領域bでは0、右側領域eでは0.12の場合、左側領域aはDuty50%、中央領域cはDuty0%、右側領域eはDuty100%になり、左中側領域bは隣り合う左側領域aと中央領域cとの中間値のDuty25%、右中側領域dは隣り合う右側領域eと中央領域cとの中間値のDuty50%となる
次に、比較例の画像形成装置において、Duty1%の印刷パターンでA4を縦送りにして2000枚印刷した後に、Dutyが全面30%のパターンを1枚印刷した場合に、左側領域a、中央領域cおよび右側領域eの濃度値を検出し、各領域における最小値との濃度差に基づいて濃度差ΔEを算出し、算出した濃度差ΔEの最大値から汚れが発生しているか否か判断した。
図9は比較例における濃度差ΔEの変化示すグラフである。
図9において、濃度差ΔEが0.05以上の場合は汚れが発生していると判断し、濃度差ΔEが0.05未満の場合は汚れが未発生と判断した。
また、画像形成装置100が設置された雰囲気温度が20℃または30℃の場合と、現像装置1内のトナー残量が100%または残量10%の場合とを組み合わせて汚れが発生するか否かを確認した。なお、本実施例では、現像装置1内のトナー残量が10%以下になるとトナー残量が少ないと判断する。
また、濃度は、分光色彩濃度計X-Rite528(X-Rite社製)を用いて検出した。
外気温度が20℃でトナー残量が100%の場合は、比較例および本実施例のどちらも濃度差ΔEが0.05未満で汚れは未発生である。
また、外気温度が30℃でトナー残量が100%の場合と、外気温度が20℃でトナー残量が10%の場合とでは、比較例および本実施例のどちらも濃度差ΔEが0.05未満で汚れは未発生ではあるが、比較例は本実施例よりも濃度差ΔEが大きい。
これは、画像形成装置100の雰囲気温度が高い場合や現像装置1内のトナー残量が少ない場合に、トナーのダメージが蓄積され大きくなり、主走査方向の濃度差が大きくなっためである。
さらに、外気温度が30℃でトナー残量が10%の場合は、本実施例は濃度差ΔEが0.045で汚れは未発生だが、比較例は濃度差ΔEが0.065で汚れが発生した。
比較例においては、印刷ドット数が所定の閾値より小さい場合にトナー廃棄動作を実施するようにしているが、画像形成装置100の設置された雰囲気温度が高温かつ現像装置1内のトナー残量が少ない等、トナーにダメージが蓄積されやすい場合には、トナーの廃棄量が不足し、汚れが発生する。
そこで、本実施例では、濃度センサ27で主走査方向の濃度差を算出し、濃度差ΔEが大きいところ、すなわち汚れの発生しているところに対してトナー廃棄処理を実施することにより、汚れの発生を抑制して、画像品質を向上させることができる。
以上説明したように、本実施例では、汚れの発生を抑制して、画像品質を向上させることができるという効果が得られる。
なお、画像形成装置は、プリンタに限られることなく、複写機、ファクシミリ装置、または複合機(MFP)等としても良い。