JP7363488B2 - エナメル線及び塗料 - Google Patents
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Description
前記ポリイミドにおいて、前記第1の繰り返し単位のモル数A1と、前記第2の繰り返し単位のモル数A2との合計モル数ATに対する前記モル数A1の比である比A1/ATが0.6以上1.0以下である。
前記第1の基のモル数B1と、前記第2の基のモル数B2との合計モル数BTに対する前記モル数B1の比である比B1/BTが0.8以上1.0以下である。
本開示の別の局面は、ポリアミック酸を含む塗料である。前記ポリアミック酸は、下記式(8)で表される第1の繰り返し単位及び下記式(9)で表される第2の繰り返し単位を含むか又は前記第1の繰り返し単位を含む。
前記ポリアミック酸において、前記第1の繰り返し単位のモル数C1と、前記第2の繰り返し単位のモル数C2との合計モル数CTに対する前記モル数C1の比である比C1/CTは、0.6以上1.0以下である。
前記第1の基のモル数D1と、前記第2の基のモル数D2との合計モル数DTに対する前記モル数D1の比である比D1/DTが0.8以上1.0以下である。
1.エナメル線の構成
エナメル線は、導体と、絶縁皮膜とを備える。導体は、例えば、銅線、アルミニウム線等の金属線から構成される。導体の断面形状は特に限定されない。導体の断面形状として、例えば、円形、平角形状等が挙げられる。導体の直径は、例えば、0.1mm以上3.0mm以下である。
ポリイミドにおいて、第1の基のモル数をB1とする。ポリイミドにおいて、第2の基のモル数をB2とする。ポリイミドにおいて、B1とB2との合計モル数をBTとする。BTに対するB1の比を、比B1/BTとする。比B1/BTは、0.8以上1.0以下である。
本開示のエナメル線は、可撓性が良好である。本開示のエナメル線を20%伸長した後に、エナメル線の2倍径の治具にエナメル線を巻き付けた場合、絶縁皮膜に亀裂及び割れが生じないことが好ましい。
エナメル線の製造方法は、例えば、後述する塗料を用いて、導体の周囲を囲む絶縁皮膜を形成する方法である。絶縁皮膜を形成する方法は、例えば、塗料を導体に塗装し、焼き付ける工程を繰り返す方法である。焼き付けの温度は、例えば、300~500℃である。1回の工程における焼き付けの時間は、例えば、1~2分間である。工程を繰り返す回数は、例えば、10~50回である。工程を繰り返す回数が多いほど、絶縁皮膜の膜厚は大きくなる。
塗料は、例えば、絶縁塗料である。塗料は、例えば、エナメル線用塗料である。塗料は、ポリアミック酸を含む。ポリアミック酸は、下記式(8)で表される第1の繰り返し単位を含む。ポリアミック酸は、下記式(9)で表される第2の繰り返し単位を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
比C1/CTが0.6以上である場合にPDIVが大きくなる理由は、以下のように推測される。式(8)で表される第1の繰り返し単位は、式(9)で表される第2の繰り返し単位より分子量が大きい。そのため、比C1/CTが大きいほど、イミド基の密度が低下する。イミド基の密度が低下すると、絶縁皮膜の比誘電率と吸水率とが低下する。その結果、絶縁皮膜のPDIVが大きくなる。
ポリアミック酸は、第1の基を含む。第1の基は、式(8)又は式(9)におけるRのうち、下記式(3)~(6)のいずれかで表される基である。式(8)又は式(9)におけるRは、下記式(3)~(6)のいずれかで表される基のうちの少なくとも1つを含む。ポリアミック酸は、第2の基を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。第2の基は、式(1)又は式(2)におけるRのうち、下記式(7)で表される基である。
ポリアミック酸が、第1の基とともに第2の基を含む場合、PDIVが大きいまま、可撓性および耐熱性を損ねないでエナメル線の製造コストを低減することができる。
塗料の溶媒として、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン、N、N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、N、N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、炭化水素系等が挙げられる。上述した溶媒のうち2種以上を、塗料の特性を損ねない範囲で併用してもよい。塗料の溶媒は、例えば、ポリアミック酸を合成するときの溶媒である。
4.塗料の製造方法
ポリアミック酸は、例えば、酸二無水物と、ジアミンとを反応させることで製造できる。酸二無水物と、ジアミンとのモル比は、例えば、100:100である。また、酸二無水物と、ジアミンとのモル比は、例えば、絶縁皮膜の特性を損ねない範囲で、100:100から外れていてもよい。絶縁皮膜の特性とは、例えば、可撓性である。
(5-1)塗料の製造
実施例1~7の塗料、及び比較例1~5の塗料を製造した。塗料の製造方法は、まず、NMPにジアミンを溶解させ、次に、酸二無水物を溶解させ、次に、室温で12時間攪拌する方法であった。このとき、NMPの質量は80質量部であり、ジアミンと酸二無水物との合計質量は20質量部であった。攪拌の結果、ポリアミック酸を含む塗料が得られた。得られた塗料を、塗装作業性を良くするために希釈し、粘度を調整した。調整後の塗料の粘度は2~3Pas/secであった。
(5-2)エナメル線の製造
各実施例及び各比較例の塗料を用いて、以下の方法でエナメル線を製造した。直径0.8mmの銅線を用意した。この銅線は導体に対応する。塗料を銅線に塗装し、焼き付ける工程を繰り返した。焼き付けには塗装炉を使用した。焼き付けの温度は450℃であった。1回の工程における焼き付けの時間は90秒間であった。上記の工程を繰り返した回数は15回であった。その結果、銅線の周囲に絶縁皮膜が形成され、エナメル線が得られた。絶縁皮膜の膜厚は40μmであった。
(5-3)エナメル線の評価
(i)PDIVの測定
各実施例及び各比較例のエナメル線のそれぞれについて、以下の方法でPDIVを測定した。エナメル線から、500mmの長さの切断片を複数切り出した。2本の切断片からツイストペアを作成した。このツイストペアを10個作成した。
(ii)可撓性の評価
各実施例及び各比較例のエナメル線のそれぞれについて、以下の方法で可撓性を評価した。エナメル線を20%伸長した後に、エナメル線の2倍径の治具にエナメル線を巻き付けた。次に、絶縁皮膜の表面を顕微鏡で観察した。絶縁皮膜の表面に亀裂、割れ等の欠陥が無ければ、可撓性が良好であると判断した。絶縁皮膜の表面に亀裂、割れ等の欠陥が有れば、可撓性が不良であると判断した。評価結果を表1に示す。表1における「○」は可撓性が良好であることを示す。
(iii)耐熱性の評価
各実施例及び各比較例のエナメル線のそれぞれについて、以下の方法で耐熱性を評価した。260℃の空気中でエナメル線を500時間保存する熱処理を行った。熱処理には恒温槽を用いた。熱処理を行った後における絶縁皮膜の絶縁破壊電圧が、熱処理を行っていない絶縁皮膜の絶縁破壊電圧の70%以上であれば、耐熱性が良好であると判断した。熱処理を行った後における絶縁皮膜の絶縁破壊電圧が、熱処理を行っていない絶縁皮膜の絶縁破壊電圧の70%未満であれば、耐熱性が不良であると判断した。評価結果を表1に示す。表1における「○」は耐熱性が良好であることを示し、「×」は耐熱性が不良であることを示す。
(iv)評価結果のまとめ
各実施例のエナメル線では、絶縁皮膜の膜厚が大きくなくても、PDIVが大きかった。また、各実施例のエナメル線は、可撓性及び耐熱性も良好であった。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
Claims (5)
- 導体と、
前記導体の周囲に設けられたポリイミドから成る絶縁皮膜と、
を備えるエナメル線であって、
前記ポリイミドは、下記式(1)で表される第1の繰り返し単位及び下記式(2)で表される第2の繰り返し単位が、
前記第1の繰り返し単位のモル数A1と、前記第2の繰り返し単位のモル数A2との合計モル数ATに対する前記モル数A1の比である比A1/ATについて0.6以上1.0以下となるように構成され、
前記式(1)又は前記式(2)におけるRは、下記式(3)~(6)のいずれかで示される第1の基及び下記式(7)で示される第2の基が、
前記第1の基のモル数B1と、前記第2の基のモル数B2との合計モル数BTに対する前記モル数B1の比である比B1/BTについて0.8以上1.0以下となるように構成されたエナメル線。
- 請求項1に記載のエナメル線であって、
前記絶縁皮膜の膜厚が40μmの場合の部分放電開始電圧が970Vp以上であるエナメル線。 - 請求項1又は2に記載のエナメル線であって、
前記エナメル線を20%伸長した後に、前記エナメル線の2倍径の治具に前記エナメル線を巻き付けた場合、前記絶縁皮膜に亀裂及び割れが生じないエナメル線。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載のエナメル線であって、
260℃の空気中で前記エナメル線を500時間保存する熱処理を行った後における前記絶縁皮膜の絶縁破壊電圧が、前記熱処理を行っていない前記絶縁皮膜の絶縁破壊電圧の70%以上であるエナメル線。 - ポリアミック酸を含む塗料であって、
前記ポリアミック酸は、下記式(8)で表される第1の繰り返し単位及び下記式(9)で表される第2の繰り返し単位が、
前記第1の繰り返し単位のモル数C1と、前記第2の繰り返し単位のモル数C2との合計モル数CTに対する前記モル数C1の比である比C1/CTについて、0.6以上1.0以下となるように構成され、
前記式(8)又は前記式(9)におけるRは、下記式(3)~(6)のいずれかで示される第1の基及び下記式(7)で示される第2の基が、
前記第1の基のモル数D1と、前記第2の基のモル数D2との合計モル数DTに対する前記モル数D1の比である比D1/DTについて0.8以上1.0以下となるように構成された塗料。
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