以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1Aは、実施例に係る分析装置100の構成の一例を示す。本例の分析装置100は、分析データ入力部10と、分析情報入力部20と、ノウハウ入力部30と、分析部40と、スコア設定部50と、表示部60と備える。また、分析装置100は、分析情報記憶部25およびノウハウ記憶部35をさらに備えてもよい。
分析データ入力部10は、分析データADを分析部40に入力する。分析データ入力部10は、分析者の指示により分析データADの入力を実行してもよい。
分析データADは、分析装置100が分析する対象となるデータである。一例において、分析装置100は、ある製品を製造する工場に設けられた複数のセンサが取得したデータ列を分析データADとして取得する。例えば、分析装置100は、分析データADを分析することにより、分析データADの変数間の相関算出や、品質シミュレーションや、異常診断等を実現する。
分析情報入力部20には、分析部40が分析データADを分析する場合に用いる分析情報ANが入力される。分析情報入力部20は、入力された分析情報ANを分析部40に出力する。本例の分析情報入力部20は、分析情報記憶部25に接続されている。
分析情報ANは、分析部40が分析データADを分析するために必要な情報を含む。例えば、分析情報ANは、分析者による分析結果を含む。分析情報ANは、分析手法AM、分析変数VAおよび種別マスタDB等の情報を含む。分析手法AMは、相関算出、品質シミュレーションおよび異常診断等の手法を含む。分析変数VAは、後述する変数1や変数2等の変数を含む。種別マスタDBは、事前情報として登録されるデータのタグに関する情報である。
また、分析情報ANには、熟練度等の分析者に関する情報が含まれる。分析情報ANには、分析者の経験年数、作業回数、および他者からの評価等が含まれてもよい。例えば、分析情報ANには、分析者のIDと熟練度との関係が含まれる。これにより、分析装置100は、システムログインした分析者の熟練度を知ることができる。
分析情報記憶部25は、分析情報ANを記憶する。分析情報記憶部25は、分析情報入力部20に分析情報ANを入力する。分析情報記憶部25は、分析情報入力部20の内部に設けられてもよいし、分析装置100の外部に設けられてもよい。
ノウハウ入力部30には、ノウハウデータNDが入力される。ノウハウ入力部30は、入力されたノウハウデータNDを分析部40に出力する。本例のノウハウ入力部30は、ノウハウ記憶部35に接続されている。
ノウハウデータNDは、分析情報AN等の過去のデータを蓄積したデータベースである。即ち、ノウハウデータNDは、分析者によるノウハウをデータベース化したものとして、分析データADの分析に用いられる。分析装置100は、ノウハウデータNDを用いることにより、初心者による分析を補助することができる。
ノウハウ記憶部35は、分析情報ANをノウハウデータNDとして記憶する。ノウハウ記憶部35は、ノウハウデータNDをノウハウ入力部30に入力する。ノウハウ記憶部35は、ノウハウ入力部30の内部に設けられてもよいし、分析装置100の外部に設けられてもよい。
分析部40は、入力された分析情報ANに基づいて、分析データADを分析する。分析部40には、分析データAD、分析情報ANおよびノウハウデータNDが入力される。
本例の分析部40は、分析情報記憶部25から分析情報ANを取得し、ノウハウ記憶部35からノウハウデータNDを取得する。なお、本例では、分析装置100が分析情報記憶部25およびノウハウ記憶部35を別々に備え、分析情報ANおよびノウハウデータNDが異なる記憶部に記憶される場合について説明したが、分析情報ANおよびノウハウデータNDが同一の記憶部に保存されていてもよい。
スコア設定部50は、分析者の熟練度に応じた熟練スコアSPを設定する。一例において、スコア設定部50は、ノウハウ記憶部35に記憶されたノウハウデータNDに、分析者の熟練スコアSPを設定する。例えば、スコア設定部50は、分析者が分析した分析結果毎に熟練スコアSPを設定する。
熟練スコアSPとは、分析者の熟練度に応じて重みづけされたスコアである。例えば、熟練スコアSPは、分析者の経験年数、作業回数、他者からの評価、作業の難易度等に応じて設定される。熟練スコアSPは、所定のスコアに熟練度に応じた係数で調整したものでもよい。例えば、熟練スコアSPは、後述の分析者スコアSA、分類スコアSCおよび評価スコアSEに基づいて決定される。
表示部60は、分析部40による分析結果を表示する。表示部60は、後述するノウハウ分析結果および自己分析結果の両方を同時に表示してもよい。また、表示部60は、ノウハウ分析結果として複数の類似分析事例を表示してもよい。この場合、表示部60は、複数の類似分析事例を熟練スコアSPの高い順に表示させてもよい。なお、表示部60は、分析結果を表示するディスプレイを有してもよいし、出力した信号により、外部のディスプレイ等に分析結果を表示してもよい。
ノウハウ分析結果は、ノウハウデータNDに基づいて分析された類似分析事例である。即ち、ノウハウ分析結果は、過去の分析者によるノウハウに基づいて分析された分析結果である。ノウハウ分析結果に用いられるノウハウデータNDは、入力された分析情報ANに基づいて決定されてもよい。
自己分析結果は、分析情報ANに基づいて分析された分析結果である。即ち、自己分析結果は、ノウハウデータNDに基づかず、分析者自らの判断によって分析した分析結果である。自己分析結果は、ノウハウデータNDを用いずに分析されるので、過去の分析者のノウハウに基づいていない。
ここで、表示部60は、ノウハウ分析結果と自己分析結果との相違部分を強調表示してもよい。例えば、表示部60は、ノウハウ分析結果と自己分析結果との相違部分を強調表示することにより、過去の分析者(例えば、熟練者)による分析結果と、現在の分析者による分析結果との相違部分を強調表示して、現在の分析者に知らせることができる。
図1Bは、スコア設定部50の構成の一例を示す。本例のスコア設定部50は、スコア付与部52と、カテゴリ設定部54と、スコア調整部56とを備える。
スコア付与部52は、分析結果をノウハウ記憶部35に記録する際に、自己分析結果に対する熟練スコアSPを付与する。スコア付与部52は、分析者の熟練度に応じた分析者スコアSAを設定する。
分析者スコアSAは、熟練スコアSPの一例である。一例において、スコア付与部52は、熟練者の場合に高い分析者スコアSAを設定して、初心者の場合により低い分析者スコアSAを付与する。例えば、スコア付与部52は、各熟練度の分析者スコアSAを、次の通りに設定する。
熟練者の分析者スコアSA:5.0点
経験者の分析者スコアSA:2.0点
初心者の分析者スコアSA:1.0点
カテゴリ設定部54は、分類用のカテゴリをノウハウデータNDに設定する。例えば、カテゴリ設定部54は、分析者が自己分析結果をノウハウ記憶部35に記録する際に、自己分析結果にカテゴリを設定する。一例において、カテゴリには、共有カテゴリ、参考カテゴリおよび無効カテゴリが含まれる。カテゴリ設定部54は、分析結果を他の分析者と積極的に共有したい場合に「共有」カテゴリを設定する。カテゴリ設定部54は、分析結果を積極的な共有は行わないが表示は有効にしたい場合には「参考」カテゴリを設定する。カテゴリ設定部54は、分析結果を他の分析者と共有する必要がない場合には「無効」カテゴリを設定する。スコア設定部50は、自己分析結果の熟練スコアSPを、設定されたカテゴリに応じて調整する。
また、カテゴリ設定部54は、カテゴリに応じた分類スコアSCを用いて熟練スコアSPを調整する。一例において、カテゴリ設定部54は、重要なカテゴリの場合に高い分類スコアSCを設定して、重要でないカテゴリの場合により低い分類スコアSCを付与する。例えば、カテゴリ設定部54は、各カテゴリの分類スコアSCを、次の通りに設定する。
共有カテゴリの分類スコアSC:3.0点
参考カテゴリの分類スコアSC:1.0点
無効カテゴリの分類スコアSC:0.0点
ここで、カテゴリ分類を考慮した熟練スコアSPが次式で示される。
熟練スコアSP=分析者スコアSA×分類スコアSC
例えば、共有カテゴリの場合の熟練スコアSPが分析者スコアSA×3.0点となる。この場合、最小値が3.0点となり、最大値が15.0点となる。参考カテゴリの場合の熟練スコアSPがSA×1.0点となる。この場合、最小値が1.0点となり、最大値が5.0点となる。同様に、無効カテゴリの場合の熟練スコアSPがSA×0.0点となる。この場合、熟練スコアSPが固定値(即ち、0.0点)となる。表示部60は、カテゴリの設定により熟練スコアSPが0.0点となった場合、ノウハウデータNDからの表示を無効にしてもよい。
スコア調整部56は、分析者による評価に応じて熟練スコアSPを調整する。例えば、スコア調整部56は、好評だった場合に、ノウハウ分析結果の熟練スコアSPを増幅する。一方、スコア調整部56は、不評だった場合に、ノウハウ分析結果の熟練スコアSPを減衰させる。スコア調整部56は、ノウハウデータNDから表示された分析結果が参考になったか否か(好評か不評か)のフィードバックを分析者から収集する。これにより、スコア調整部56は、優れた分析結果に対する熟練スコアSPをより高く調整する。
また、スコア調整部56は、フィードバックを行う分析者の熟練度に応じて、増幅率αや減衰率βを調整してもよい。即ち、スコア調整部56は、より熟練度の高い分析者がフィードバックする場合に増幅率αおよび減衰率βを大きくする。一方、スコア調整部56は、より熟練度の低い分析者がフィードバックする場合に増幅率αおよび減衰率βを小さくする。これにより、より熟練度の高い分析者のフィードバックの影響を大きくし、より熟練度の低い分析者のフィードバックの影響を小さくすることができる。
一例において、熟練者、経験者および初心者のそれぞれについて、「好評」である場合の熟練度に応じた増幅率αを次に示す。
熟練者による増幅率:αA
経験者による増幅率:αB
初心者による増幅率:αC
ここで、0≦αC≦αB≦αA≦1を満たす。
また、一例において、熟練者、経験者および初心者のそれぞれについて、「不評」である場合の熟練度に応じた減衰率βを次に示す。
熟練者による減衰率:βA
経験者による減衰率:βB
初心者による減衰率:βC
ここで、-1≦βA≦βB≦βC≦0を満たす。
ここで、分析装置100は、分類スコアSCおよび評価スコアSEを用いて熟練スコアSPを調整する。評価スコアSEは、分析者のフィードバックに基づく調整値である。この場合の熟練スコアSPは、次式で示される。
熟練スコアSP=分析者スコアSA×分類スコアSC×評価スコアSE
そして、評価スコアS
Eは、次式で示される。
iは、分析結果が「好評」と判断された分析者の数である。jは、分析結果が「不評」と判断された分析者の数である。Lは、A、B、Cのいずれかを示す。
このように、分析装置100は、分析者スコアSAに加えて、分類スコアSCおよび評価スコアSEを用いて、熟練スコアSPを調整するので、カテゴリおよび分析者によるフィードバックに基づいて、ノウハウデータNDを更新することができる。これにより、分析装置100は、分析の効率と質を向上することができる。
なお、熟練スコアSPは、分析者スコアSAおよび評価スコアSEに基づいて、設定されてもよい。即ち、分析装置100は、分類スコアSCを用いずに熟練スコアSPを算出してもよい。この場合、熟練スコアSPは、次式で示される。
熟練スコアSP=分析者スコアSA×評価スコアSE
図2Aは、分析装置100の動作のフローチャートの概要を示す。分析装置100は、ステップS10~ステップS50を実行することにより、分析データADを分析する。但し、各ステップの順番はこれに限定されない。
ステップS10において、分析データADが入力される。ステップS20において、分析データADを分析するための分析情報ANが入力される。ステップS30において、分析情報ANを蓄積したノウハウデータNDが入力される。ステップS40において、分析データADを分析する。例えば、分析情報ANに基づいて、分析データADを分析する。ステップS50において、分析者の熟練度に応じた熟練スコアSPを、分析者による分析結果に設定する。
図2Bは、分析終了後の熟練スコアSPの設定に関するフローチャートの一例を示す。本例のフローチャートは一例であり、これに限定されない。
ステップS100において、分析者がシステムにログインする。分析者がシステムにログインすることにより、分析者のIDと分析情報ANとを関連付けることができる。これにより、分析者の熟練度情報を取得することができる。
ステップS102において、分析情報ANから分析者の熟練度情報が取得される。例えば、熟練度情報には、熟練者、経験者および初心者等の分析者の熟練度を示す情報が含まれる。また、分析装置100は、分析者による装置の使用履歴から分析者の熟練度を判断してもよい。ステップS104において、データ分析が実施される。
ステップS106において、分析結果をノウハウデータNDに記録するか否かを決定する。分析結果をノウハウデータNDに記録するか否かの決定は、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。分析者は、自己分析結果をノウハウデータNDに記録してもよいし、ノウハウデータNDに記録されたノウハウ分析結果を更新してもよい。分析結果をノウハウデータNDに記録する場合、ステップS108に進む。一方、分析結果をノウハウデータNDに記録しない場合、ステップS116に進む。
ステップS108において、分析結果に対して、分析者の熟練度に応じた熟練スコアSPを付与する。例えば、自己分析結果に対して熟練スコアSPが付与される。
ステップS110において、ノウハウデータNDに応じた類似分析事例の表示に関するカテゴリを設定する。例えば、自己分析結果に対してカテゴリが設定される。ステップS112において、カテゴリに応じて熟練スコアSPを調整する。
ステップS114において、自己分析結果をノウハウデータNDとして記録する。ステップS116において、データ分析を終了するか否かを決定する。データ分析を終了するか否かの決定は、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。データ分析を終了する場合、ステップS118に進み、システムからログアウトする。データ分析を終了しない場合、ステップS104に戻る。これにより、分析データADの分析が繰り返されてもよい。
図3は、自己分析結果とノウハウ分析結果を同時に表示する画面の一例を示す。表示部60は、表示領域102を表示する。表示領域102は、結果表示領域110および結果表示領域120を含む。
結果表示領域110は、今回の自己分析結果111を表示する領域である。自己分析結果111は、分析者が分析情報ANに基づいて自ら分析データADを分析した結果である。本例の自己分析結果111は、振動[dB]と圧力[Pa]の関係を示すグラフを表示している。
分析条件112は、自己分析結果111で用いられた分析条件を示す。本例の分析条件112では、「変数1」として圧力が、「変数2」として振動が、「分析手法」として相関算出がそれぞれ設定されている。
共有情報113は、自己分析結果111に表示された分析事例の内容を補足する情報である。分析者は、自己分析結果111を検討した後に、自ら共有情報113を入力してもよい。スコア設定部50は、ノウハウデータNDとして、共有情報113をノウハウ記憶部35に登録してもよい。本例の共有情報113には、「部品Pについて、圧力と振動の間には強い相関が見受けられる。」ことが登録されている。なお、補足情報として共有情報113に登録する情報は、これに限定されない。
記録ボタン114は、自己分析結果111をノウハウデータNDとして記録することを分析者が決定するためのボタンである。記録ボタン114が押された場合、ノウハウ記憶部35は、自己分析結果111を記録する。一方、記録ボタン114が押されなかった場合、ノウハウ記憶部35は、自己分析結果111を記録しない。これにより、分析者は、自己分析結果をノウハウ記憶部35へ記録することができる。
結果表示領域120は、ノウハウ分析結果121を表示する領域である。ノウハウ分析結果121は、ノウハウデータNDに記憶された類似分析事例から選択されたいずれの分析事例を示す。本例のノウハウ分析結果121は、振動[dB]と圧力[Pa]の関係を示すグラフを表示している。
分析条件122は、ノウハウ分析結果121で用いられた分析条件を示す。本例の分析条件122では、「変数1」として圧力が、「変数2」として振動が、「分析手法」として相関算出がそれぞれ設定されている。
共有情報123は、ノウハウ分析結果121に表示された類似分析事例の内容を補足する情報である。スコア設定部50は、ノウハウデータNDとして、共有情報123をノウハウ記憶部35に登録してもよい。本例の共有情報123には、「部品Pについて、圧力と振動の間には強い相関が見受けられる。」ことが登録されている。なお、補足情報として共有情報123に登録する情報は、これに限定されない。
例えば、共有情報123は、今回の分析者によって修正される。この場合、今回の分析者には、共有情報123の原文の修正を禁止して、共有情報123への情報の追記のみを許可してもよい。共有情報123に情報を追記した場合、追記した分析者の情報や更新された年月日が表示されてもよい。なお、今回の分析者とは、自己分析結果111を取得した分析者である。
スコア調整ボタン124は、分析者によって熟練スコアSPを調整するためのボタンである。スコア調整ボタン124の好評ボタンが押された場合、スコア調整部56は、ノウハウ分析結果121の熟練スコアSPを増幅する。スコア調整ボタン124の不評ボタンが押された場合、スコア調整部56は、ノウハウ分析結果121の熟練スコアSPを減衰させる。これにより、分析者は、ノウハウ分析結果121に対する評価をフィードバックすることができる。
表示部60は、自己分析結果111とノウハウ分析結果121とを同一画面上に表示する。また、表示部60は、複数の類似分析事例を表示する場合、各分析事例に付与されているスコアの高い順に表示してもよい。これにより、分析者は、表示領域102において、画面をポインタなどでスクロールさせて自由に閲覧することができる。
なお、自己分析結果111およびノウハウ分析結果121は、分析条件112と分析条件122とが同一の場合、同一のグラフを示してもよい。但し、分析データに対する操作(例えば、移動平均、時間シフトおよび欠損補完等)が加わるので、分析条件が同一であっても、結果のグラフが異なる場合がある。また、分析条件112と分析条件122とが同一のノウハウ分析結果121が存在する場合であっても、分析条件の異なる他の類似するノウハウ分析結果121を次の候補として表示してもよい。
図4は、図3の表示画面における操作のフローチャートの一例を示す。本例のフローチャートは一例であり、図3の画面の操作方法はこれに限定されない。
ステップS200において、分析条件が設定される。例えば、分析条件122では、「変数1」として圧力が、「変数2」として振動が、「分析手法」として相関算出がそれぞれ設定される。ステップS202において、ステップS200で設定された分析条件112に応じた分析処理を実行する。
ステップS204において、設定された分析条件に基づいてノウハウデータNDから類似分析事例を取得する。ノウハウデータNDの類似分析事例には、熟練スコアSPが付与されている。ステップS206において、類似分析事例を熟練スコアSPに基づいて降順に並べ替える。
ステップS208において、自己分析結果111およびノウハウ分析結果121を画面に表示する。本例では、複数の類似分析事例から選択されたノウハウ分析結果121が表示されている。
ステップS210において、当該分析結果をノウハウデータNDに記録するか否かを決定する。当該分析結果とは、自己分析結果111とノウハウ分析結果121との両方を指す。当該分析結果をノウハウデータNDに記録するか否かの決定は、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。例えば、分析者は、自己分析結果をノウハウデータNDに記録する。ノウハウデータNDを記録する場合、ステップS212に進む。一方、ノウハウデータNDを記録しない場合、ステップS218に進む。
ステップS212において、当該分析結果について共有情報123を記録するか否かを決定する。共有情報123を記録するか否かの決定は、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。共有情報123を記録する場合、ステップS214に進む。一方、共有情報123を記録しない場合、ステップS216に進む。
ステップS214において、共有情報123を編集する。共有情報123の編集は、ユーザーである分析者によって実行される。ステップS216において、スコア付与に関する処理を実施する。例えば、自己分析結果111に分析者スコアSAおよび分類スコアSCが付与される。
ステップS218において、類似分析事例に対してフィードバックするか否かを決定する。類似分析事例に対してフィードバックするか否かの決定は、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。フィードバックする場合、ステップS220に進む。一方、フィードバックしない場合、処理を終了する。例えば、分析者が「好評」および「不評」のいずれも選択しなかった場合に、フィードバックしないと判断してもよい。
ステップS220において、「好評」または「不評」に応じて選択した類似分析事例の熟練スコアSPを増幅または減衰して調整する。なお、「好評」または「不評」の2段階に限られず、3段階以上の評価でフィードバックされてもよい。
図5は、熟練度に応じたスコア調整のフローチャートの一例を示す。本例のフローチャートは、図4のステップS220のより具体的なステップを示す。
ステップS221において、分析者の熟練度情報を取得する。一例において、分析者の熟練度情報は、分析情報ANとして分析情報記憶部25に記憶されている。
ステップS222において、選択した類似分析事例に対してフィードバックがあるか否かを判断する。フィードバックの有無は、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。フィードバックがある場合、ステップS223に進む。一方、フィードバックがない場合、スコア調整を終了してもよい。
ステップS223において、分析者からのフィードバックが「好評」であるか否かを決定する。「好評」であるか否かは、ユーザーである分析者によって決定されてもよい。「好評」である場合、ステップS224に進む。一方、「不評」である場合、ステップS225に進む。
ステップS224において、熟練度に応じた増幅率で類似分析事例の熟練スコアSPを増幅させる。ステップS225において、熟練度に応じた減衰率で類似分析事例の熟練スコアSPを減衰させる。このように、熟練度に応じた増幅率または減衰率で熟練スコアSPを調整することにより、分析者の熟練度を考慮したより正確なフィードバックを提供することができる。
ステップS226において、類似分析事例についてノウハウデータNDを更新する。また、ノウハウデータNDの更新を繰り返すことにより、より信頼性の高いノウハウデータNDを提供することができる。
図6Aは、分析結果が好評な場合のフィードバックで調整される熟練スコアSPの推移の一例を示す。縦軸は熟練スコアSPを示し、横軸はフィードバックの連続回数を示す。本例では、熟練スコアSPの初期スコアを1点~15点としている。
「好評」のフィードバックが連続して繰り返された場合の熟練スコアSPの推移を示している。例えば、初期スコアが1点のグラフは、分析者が初心者である分析結果に対して「好評」と連続して評価された場合を示す。初期スコアが2点のグラフは、分析者が経験者である分析結果に対して「好評」と連続して評価された場合を示す。初期スコアが5点のグラフは、分析者が熟練者である分析結果に対して「好評」と連続して評価された場合を示す。初期スコアが1点、2点、5点のグラフは、各分析者に対応する分析者スコアSAに分類スコアSCとして1点を乗じた場合である。なお、本例の増幅率αは1.5である。
また、例えば、図6Aの初期スコア3点のグラフは、初心者の分析者スコアSA(1点)に、分類スコアSC(3点)を乗じた場合のグラフである。図6Aの初期スコア6点のグラフは、経験者の分析者スコアSA(2点)に、分類スコアSC(3点)を乗じた場合のグラフである。図6Aの初期スコア15点のグラフは、熟練者の分析者スコアSA(5点)に、分類スコアSC(3点)を乗じた場合のグラフである。
なお、「好評」が連続した場合、スコアが発散する可能性がある。そのため、スコア調整部56は、「好評」が連続した場合の発散を防ぐために、熟練スコアSPの上限値を設定してもよい。
図6Bは、分析結果が不評な場合のフィードバックで調整される熟練スコアSPの推移の一例を示す。縦軸は熟練スコアSPを示し、横軸はフィードバックの連続回数を示す。本例では、熟練スコアSPの初期スコアを1点~15点としている。
「不評」のフィードバックが連続して繰り返された場合の熟練スコアSPの推移を示している。例えば、初期スコアが1点のグラフは、分析者が初心者である分析結果に対して「不評」と連続して評価された場合を示す。初期スコアが2点のグラフは、分析者が経験者である分析結果に対して「不評」と連続して評価された場合を示す。初期スコアが5点のグラフは、分析者が熟練者である分析結果に対して「不評」と連続して評価された場合を示す。初期スコアが1点、2点、5点のグラフは、各分析者に対応する分析者スコアSAに分類スコアSCとして1点を乗じた場合である。なお、本例の減衰率βは0.667である。
また、例えば、図6Bの初期スコア3点のグラフは、初心者の分析者スコアSA(1点)に、分類スコアSC(3点)を乗じた場合のグラフである。図6Bの初期スコア6点のグラフは、経験者の分析者スコアSA(2点)に、分類スコアSC(3点)を乗じた場合のグラフである。図6Bの初期スコア15点のグラフは、熟練者の分析者スコアSA(5点)に、分類スコアSC(3点)を乗じた場合のグラフである。
なお、図6Aおよび図6Bでは、「好評」と「不評」のいずれかが連続する場合について示しているが、「好評」と「不評」が不連続にフィードバックされる場合も同様に熟練スコアSPを算出することができる。また、増幅率αおよび減衰率βは、フィードバックする分析者の熟練度に応じて、変化してもよい。
増幅率αおよび減衰率βの設定値は任意である。但し、本例の増幅率αおよび減衰率βの設定値は、同一の熟練度を有する分析者による「好評」と「不評」の数が等しい場合のスコアが、フィードバックによる調整前のスコアとおおよそ一致するように設定されている。即ち、同一の熟練度を有する分析者によって、「好評」と「不評」がそれぞれ1回ずつフィードバックされた場合、熟練スコアSPが調整前の熟練スコアSPとおおよそ一致する。例えば、増幅率αが1.5であり、減衰率βが0.667である。なお、増幅率αおよび減衰率βの小数点以下の桁数を増加させることにより、熟練スコアSPを調整前の熟練スコアSPとさらに近づけてもよい。
以上の通り、分析装置100は、分析者の熟練度に応じたフィードバックにより検索結果を最適化することができる。分析装置100は、データ分析業務の初心者に対して最適な分析ノウハウを重要度の高いものから順に提示することができる。その結果、提示された分析ノウハウから優れた気付きを得られやすくなり、分析の効率と質の向上を図ることができる。さらに、熟練者の代わりに初心者がデータ分析する場合であっても、熟練者のノウハウデータNDを正確に共有することができるので、分析者の養成の一助にもなり得る。
図7は、類似分析事例の抽出条件を選択するための画面の一例を示す。表示領域130は、分析条件132および抽出条件134を表示している。
分析条件132は、指定された条件を示す。分析条件132は、ユーザーによって適宜選択されてもよい。本例の分析条件132は、図3の実施例と同一である。即ち、分析条件132は、「変数1」として圧力が、「変数2」として振動が、「分析手法」として相関算出がそれぞれ設定されている。なお、変数の数は、分析手法に応じて任意に変更できるものとする。
抽出条件134は、分析条件132で指定された条件と共に、類似分析事例を抽出するために用いられる条件である。抽出条件134を設定することにより、より適切な類似分析事例を抽出することができる。本例の抽出条件134は、「設備」、「工程」および「種別」の項目を有するが、これに限定されない。抽出条件134として他の項目が追加されてもよい。一例において、「設備」、「工程」、「種別」として、「タービン」、「発電」、「機械」がそれぞれ選択される。抽出条件134の各項目の内容は、プルダウンメニューによってユーザーにより自由に選択されてもよい。
分析装置100は、分析条件132で指定した変数や分析手法の全てが一致していなくても、抽出条件134で設定された条件が類似する事例を類似分析事例として抽出してもよい。例えば、分析装置100は、抽出条件134で設定された条件の少なくとも1つが一致する場合に類似分析事例として抽出する。なお、分析装置100は、「設備」や「工程」ごとに、関係する情報を、分析情報記憶部25等の記憶部に記憶してもよい。
なお、分析条件132の変数や分析手法の一部が欠落していた場合であっても、抽出条件134で設定された条件が類似する事例を類似分析事例として抽出してもよい。これにより、変数の設定方法の分からない初心者であっても、熟練スコアSPに応じた抽出結果を取得することができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。