特許文献1の長尺体カバー(配設路形成装置)では、突出係止部を上側に回動させて切除容易とするために突出係止部に弱化部が形成されていることにより、突出係止部の不要時に元の位置から簡単に除去させることができる。しかしながら、設置に際して、突出係止部を退避させるべく一旦回動させると、突出係止部が弱化部を介して簡単に切除されてしまうので、突出係止部の本来の仮止め機能を発揮することができなくなる。つまり、突出係止部を故意または不意に一旦回動させると、再度、直管側ベース部材を仮支持させることができなくなり、その後の作業に支障が生じる虞があることが問題であった。すなわち、継手筒部(接続カバー)と直管筒部(保護カバー)との接続作業の改善が本発明の課題として挙げられる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、設置面に配線・配管材の配設路を容易に構築することを可能とする接続カバーを提供することにある。
請求項1に記載の接続カバーは、配線・配管材の配設路を設置面上に構築するべく、配線・配管材を収容する筒状の保護カバーの底板とともに前記設置面に固定され、前記保護カバーを前記設置面上で接続する接続カバーであって、
前記設置面に固定される底壁、および、前記保護カバーの端部を接続する接続口を有する中空筒状の接続カバー本体と、
前記接続口から接続方向外側へ突出するように前記底壁に形成され、前記保護カバーの端部が前記接続口に接続されるときに、前記保護カバーの内部に延在して前記底板内面に当接するように構成された突出片と、を備え、
前記突出片は、少なくとも前記突出片の基端側に形成され、前記底壁の垂直方向に波状に屈曲する波状屈曲部と、前記波状屈曲部の先端側に形成され、前記底板内面に係合するための係合部とを備え、
前記係合部は、前記波状屈曲部の変形により、前記係合部が前記底板内面に係合可能である第1位置、および、前記突出片が前記設置面から離隔する方向に回動した第2位置に相互に変位可能であることを特徴とする。
請求項2に記載の接続カバーは、請求項1に記載の接続カバーにおいて、前記接続カバー本体は、前記設置面に固定される前記底壁を有する基台と、前記基台に組み付けられる蓋体とからなることを特徴とする。
請求項3に記載の接続カバーは、請求項1又は2に記載の接続カバーにおいて、前記突出片の所定の回動角度以上の回動を規制する回動規制機構をさらに備えることを特徴とする。
請求項4に記載の接続カバーは、請求項3に記載の接続カバーにおいて、前記回動規制機構は、前記波状屈曲部において、前記底壁の内面側に開放された凹溝を形成する一対の対向壁を有し、前記突出片の回動に従って前記一対の対向壁が互いに近接し、前記一対の対向壁が互いに当接することによって、前記突出片の回動が所定の回動角度で規制されることを特徴とする。
請求項5に記載の接続カバーは、請求項1から4のいずれか一項に記載の接続カバーにおいて、前記波状屈曲部は、前記突出片の前記設置面から離隔する方向への回動に従って破断せずに塑性変形するように構成されており、外力を付加しない状態で前記係合部が前記第2位置に維持されることを特徴とする。
請求項6に記載の接続カバーは、請求項1から5のいずれか一項に記載の接続カバーにおいて、前記波状屈曲部は、前記突出片の突出方向に亘って同一の肉厚を有することを特徴とする。
請求項7に記載の接続カバーは、請求項1から6のいずれか一項に接続カバーにおいて、前記接続口を形成する前記底壁の端面には、前記保護カバーの端部と当接する当接面が形成され、前記波状屈曲部は、前記当接面よりも接続方向内側に配置されていることを特徴とする
請求項8に記載の接続カバーは、請求項7に記載の接続カバーにおいて、前記第2位置では、前記突出片が前記当接面から接続方向外側に突出しないことを特徴とする。
請求項9に記載の接続カバーは、請求項1から8のいずれか一項に記載の接続カバーにおいて、前記第2位置は、前記突出片が90度以上の回動角度で回動した位置であることを特徴とする。
請求項10に記載の接続カバーは、請求項1から9のいずれか一項に記載の接続カバーにおいて、前記保護カバーの底板内面に形成された長手方向に延びる基準線、および、前記設置面に形成された長手方向に延びる罫書き線の少なくとも一方を用いて、前記接続カバー本体の固定位置を位置決めをするための位置決め機構をさらに備え、
前記位置決め機構は、
前記基準線または前記罫書き線と位置合わせ可能であるように前記突出片の先端に形成された第1指標部と、
前記基準線または前記罫書き線を前記接続カバー本体の内面側から視認可能であるように、前記突出片の先端よりも接続方向内側で開口する窓部と、
前記基準線または前記罫書き線の長手方向に沿って前記第1指標部から離隔した位置で、前記窓部を通して前記基準線または前記罫書き線と位置合わせ可能であるように、前記突出片または前記底壁に形成された第2指標部と、を備えることを特徴とする。
本発明の一形態の配設路形成装置は、請求項1から10のいずれか一項に記載の接続カバーと、前記接続カバーの接続口に接続される複数の保護カバーと、を備え、配線・配管材の配設路を前記設置面上に構築することを特徴とする。
請求項1に記載の接続カバーによれば、突出片の基端側に設けられた波状屈曲部が破断せずに変形し、突出片が、設置面から離隔する方向に回動し、且つ、元の位置に復帰するように回動することが可能である。すなわち、係合部は、係合部が保護カバーの底板内面に係合可能である第1位置、および、突出片が設置面から離隔する方向に回動した第2位置に相互に変位可能である。例えば、保護カバーと接続カバーとの接続作業において、突出片(または係合部)が邪魔である場合、係合部を第2位置に変位させて突出片を邪魔にならない位置に一旦退避させておき、保護カバーを接続口への接続位置に配置してから、係合部を第1位置に戻すことにより、保護カバーを設置面に対して仮支持させるといった作業が可能となる。したがって、本発明の接続カバーは、接続カバーと保護カバーとの接続作業を改善し、設置面に配線・配管材の配設路を容易に構築することを可能とするものである。
請求項2に記載の接続カバーによれば、請求項1の発明の効果に加え、基台を設置面に固定した上で蓋体を組み付けることによって、接続カバーを設置面に容易に設置することが可能である。
請求項3に記載の接続カバーによれば、請求項1又は2の発明の効果に加え、回動規制機構によって、波状屈曲部の変形による突出片の回動が所定の回動角度で規制されることによって、突出片が過度に折り曲げられて破断することが抑えられる。
請求項4に記載の接続カバーによれば、請求項3の発明の効果に加え、回動規制機構を波状屈曲部に設けて、一対の対向壁が係合するという簡易な機構によって、突出片の回動を所定の回動角度に規制することができる。
請求項5に記載の接続カバーによれば、請求項1から4のいずれかの発明の効果に加え、波状屈曲部が破断せずに塑性変形するように構成されていることにより、突出片の退避状態を維持させるために手などで外力を付加し続ける必要がなくなり、保護カバーの接続口への接続作業が容易となる。
請求項6に記載の接続カバーによれば、請求項1から5のいずれかの発明の効果に加え、波状屈曲部が突出片の突出方向に亘って同一の肉厚を有することにより、突出片を回動させた際、波状屈曲部の一部分に力が集中し、そこから破断することを防ぐことができる。すなわち、突出片は、折り曲げたときの破断に対してより高い耐性を有する。
請求項7に記載の接続カバーによれば、請求項1から6のいずれかの発明の効果に加え、接続カバー本体の底壁端面の当接面と保護カバーの底板端面とを当接させることにより、接続口に対する保護カバーの接続方向における位置決めを容易に行うことができる。また、波状屈曲部が当接面よりも接続方向内側に配置されていることにより、突出片を当接面から奥まった位置で折り曲げ変形させることができ、突出片が接続の邪魔になることを抑えることができる。
請求項8に記載の接続カバーによれば、請求項7の発明の効果に加え、第2位置では、突出片が当接面から接続方向外側に突出しないことにより、突出片が接続の邪魔になることを極力抑えることができる。
請求項9に記載の接続カバーによれば、請求項1から8のいずれかの発明の効果に加え、突出片を90度以上の回動角度で回動した位置に退避させることにより、突出片が接続の邪魔になることを抑えることができる。
請求項10に記載の接続カバーによれば、請求項1から9のいずれかの発明の効果に加え、第1指標部および第2指標部の2点で、基準線および/または罫書き線に対して位置合わせすることにより、接続カバーを保護カバーおよび/または設置面に対して正確に位置決めして設置することができる。特には、接続カバー本体を設置面に宛がった状態で、基準線および/または罫書き線が窓部から接続カバー本体の底壁内面側に臨むことから、作業者は、第2指標部と基準線および/または罫書き線との位置関係を目視で確認しながら位置合わせを行うことが可能である。すなわち、本発明の位置合わせ機構は、接続カバーと保護カバーとの接続作業を改善し、設置面に配線・配管材の配設路を容易に構築することを可能とするものである。
本発明の一形態の配設路形成装置によれば、請求項1から10のいずれかの発明の効果を配設路形成装置として発揮することができる。すなわち、本発明の配設路形成装置は、接続カバーと保護カバーとの接続作業を改善し、設置面に配線・配管材の配設路を容易に構築することを可能とするものである。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
本発明の一実施形態の配線・配管材の配設路形成装置11は、配線・配管材の配設経路(配線・配管図)に沿って、構造体の壁面や天井面などの設置面に配線・配管材(図示略)の配設路を形成し、当該配設路の内部に配線・配管材を収容および保護するものである。配設路形成装置11は、配線・配管材を収容する直状の複数の保護カバー150と、これら複数の保護カバー150を直線的または所定の屈折角で接続するための接続カバー100とを備えてなる。そして、配設路形成装置11が設置面に設置されることにより、配線・配管材のための配設路を有する設置構造10が構築される。
まず、図1乃至図7を参照して、本実施形態の接続カバー100の構成を説明する。図1は、本実施形態の接続カバー100の概略斜視図である。図2は、該接続カバー100の部分拡大斜視図である。図3(a)~(d)は、該接続カバー100の平面図、正面図、側面図及び底面図である。図4は、該接続カバー100のA-A断面図である。図5(a),(b)は、該接続カバー100の突出片110を示す平面図および断面図である。図6(a),(b)は、図5の突出片110を変形させた形態を示す平面図および断面図である。図7は、該接続カバー100の分解斜視図である。
本実施形態の接続カバー100は、接続口105を両端部に有する中空筒状の接続カバー本体101と、該接続カバー本体101の接続口105から外部に突出する突出片110とを備える。この接続カバー100は、自身で配線・配管材を収容可能であるとともに、配線・配管材を収容する筒状の保護カバー150とともに設置面に固定され、各端部の接続口105に長尺直状の保護カバー150を接続することで、配線・配管材のための配設路を構築するものである。
接続カバー本体101は、エルボ状に平面視略直角に屈折した中空筒形状を有している。接続カバー本体101は、図7に示すように、設置面に固定される基台102と、該基台102に組み付けられる蓋体104とから構成される。そして、接続カバー本体101をなす基台102および蓋体104の両端に接続口105がそれぞれ設けられている。すなわち、接続カバー100は、保護カバー150を接続口105を介して約90度の屈折角で接続することができる。
基台102は、コ字状の断面形状を有し、設置面に固定される板状の底壁103と、底壁103から立設した一対の側壁とを有する。底壁103は、内面および外面を有し、内面が接続カバー本体101の内部に面し、外面が設置面側に配置される。底壁103には、設置面にビスで固定するための複数のビス孔が貫通形成されている。また、接続口105を形成する底壁103の端面には、保護カバー150の端部(底板152端面)と当接する当接面106が形成されている。そして、当接面106の幅方向中央には、接続方向内側に後退した凹部107が設けらている。この凹部107には、突出片110の基端側の一部が収容される。なお、本実施形態では、基台102は硬質な合成樹脂材料で一体成形されたものであるが、金属板などの種々の材料が選択されてもよい。
蓋体104は、コ字状の断面形状を有し、頂壁と、該頂壁から立設した一対の側壁とを有する。そして、基台102および蓋体104は、着脱自在に組み付けられるように構成される。特には、基台102および蓋体104の側壁端面同士が合わさって両係合爪が係合することにより、基台102および蓋体104が着脱自在に嵌着される。なお、本実施形態では、蓋体104は硬質な合成樹脂材料で一体成形されたものであるが、金属板などの種々の材料が選択されてもよい。
基台102および蓋体104が組み付けられた接続カバー本体101において、当接面106は、側壁および頂壁の端面よりも接続方向内側に位置する。つまり、接続カバー本体101の接続口105に保護カバー150の端部を接続する際、接続カバー本体101の当接面106が保護カバー150の端部を係止する一方で、側壁および頂壁の端縁が保護カバー150の端部外面に重なるように配置される。
接続カバー本体101の各接続口105における底壁103端縁には、突出片110が接続口105から接続方向外側へ突出するように形成されている。なお、接続方向は、接続口105の軸心に沿って保護カバー150の端部が接続される方向を意味する。図5(a),(b)に示すとおり、突出片110は、底壁103の当接面106から後退した凹部107から接続方向外側に延在している。突出片110は、底壁103端縁に連結された基端部111と、該基端部111先端に連設され、底壁103の垂直方向に波状に屈曲する波状屈曲部112と、該波状屈曲部112先端から平面状に延びる係合部115とからなる。
基端部111及び波状屈曲部112は、突出片110の基端側の部位をなし、当接面106よりも接続方向内側の凹部107内に配置され、係合部115が当接面106から接続方向外側に突出している。基端部111は、底壁103の厚みの略半分の厚みを有し、その内面が底壁103内面と連続して平面状に延びている。この基端部111が、突出片110と底壁103との間の境界(突出片110の付け根)を定める。すなわち、波状屈曲部112の始点は、底壁103の厚み方向において、底壁103の外面(または設置面)から離隔して位置する。
波状屈曲部112は、基端部111から底壁103の外面側に屈曲してから内面側に屈曲し、U字またはV字形状をなしている。波状屈曲部112は、緩やかに弧状を描きながら突出方向に連続して延びる一対の対向壁112b,112bを有し、一対の対向壁112b,112bの間で底壁103内面側に開放された1つの凹溝112aを有する。また、波状屈曲部112は、底壁103の厚み方向において、外面から突出しないように屈曲している。特に、波状屈曲部112のU字状に屈曲した部位は、底壁103の外面と内面との間に収まっている。そして、波状屈曲部112は、突出片110に対して底壁103内側に折れ曲がる力が付加されたときに、その屈曲した形状によって突出片110の他の部位よりも力が集中し易く、突出片110全体において優先的に撓み変形する。さらに、この波状屈曲部112は、角部を形成することなく突出方向に弧状に湾曲して連続しているとともに、突出方向全体に亘って同一の肉厚を有することから、波状屈曲部112内で一点に力が集中することなく、全体として撓み変形可能である。
また、基端部111及び波状屈曲部112の幅方向の中央には、位置合わせ機構の一部として、平面視矩形状に開口した窓部122が設けられている。なお、本実施形態では、窓部122の(突出方向に直交する方向の)幅は、突出片110の底壁103への連結強度を低下させないように、突出片110の幅の半分以下に定められている。この窓部122は、基端部111から係合部115の一部にまで先端側に延在している。さらに、窓部122の基端側の開口縁には、位置合わせ機構の一部である第2指標部123として、V字状の切り欠きが形成されている。
係合部115は、突出片110の先端側の部位をなし、当接面106の接続方向外側で底壁103を略平行に延在する平板形状を有する。係合部115は、その外面(下面)が底壁103内面とほぼ同じ高さとなるように底壁103の内面側(上方)で延在している。すなわち、係合部115の外面(下面)が、保護カバー150の底板152内面に係合するように構成されている。なお、本実施形態では、保護カバー150の底板152の厚みが、底壁103の厚みとほぼ同等であるように設定された。また、係合部115の接続方向外側の先端縁には、位置合わせ機構の一部である第1指標部121として、V字状の切り欠きが形成されている。
図5(a),(b)に示す突出片110の当初形態では、突出片110が底壁103平面に対して略平行に延在し、係合部115が保護カバー150の底板151内面に係合可能である第1位置に位置する。そして、図6(a),(b)に示すように、突出片110が底壁103の内面側(設置面から離隔する方向)に回動することにより、係合部115は、第1位置から待避した第2位置に変位する。すなわち、突出片110が図5の形態と図6の形態との間で波状屈曲部112を介して変形可能であることから、係合部115は、第1位置および第2位置に相互に変位可能である。
図6(a),(b)に示す突出片110の形態では、突出片110が最大回動角度まで上方に回動変形している。この突出片110の回動は、回動規制機構(凹溝112a、一対の対向壁112b)によって所定の回動角度で規制される。具体的には、突出片110が上方に回動することで、突出片110の回動に従って一対の対向壁112b,112bが互いに近接して凹溝112aが次第に狭まっていき、一対の対向壁112b,112bが互いに当接することによって、突出片110がこれ以上回動できなくなり、突出片110が最大回動角度で規制される。最大回動角度は、90度以上であることが好ましく、本実施形態では、最大回動角度は約90度である。特に、図6(a),(b)に示すように、突出片110を90度以上の回動角度で回動させることにより、第2位置において、突出片110が当接面106から接続方向外側に突出しないように、突出片110を待避させることができる。
また、本実施形態では、波状屈曲部112は、突出片110の設置面から離隔する方向への回動に従って破断せずに塑性変形するように構成されており、外力を付加しない状態で係合部115が第2位置に維持され得る。すなわち、突出片110を回動させると、波状屈曲部112の一部(多くの場合、係合部115寄りのU字に湾曲した箇所の外面部位)が物理的に破壊されるが、所定の回動角度を超えて回動することが規制されるので、一部破壊に留まり、破断も弾性復帰もすることなく、その姿勢が回動したままで維持される。そして、係合部115を第1位置と第2位置との間で何度も往復させても、突出片110が波状屈曲部112で破断しないことが確認されている。すなわち、波状屈曲部112は、突出片1を板状とした場合(つまり、波状屈曲部112を設けない場合)と比べて、折り曲げに対する破断耐性を向上させるように機能する。
また、本実施形態の接続カバー100は、設置面および保護カバー150に対する接続カバー本体101の固定位置を位置決めをするための位置決め機構をさらに備える。位置決め機構は、突出片110の先端に形成された第1指標部121と、突出片110の先端よりも接続方向内側で開口する窓部122と、第1指標部121から接続方向内側に離間して底壁103端縁に形成された第2指標部123とを備える。第1指標部121および第2指標部123は、接続方向(接続口105の軸心)に沿った直線上に整列している。また、第2指標部123の切り欠きは窓部122と連通しており、当該窓部122を介して、第2指標部123、および、窓部122内部の対象(設置面の罫書き線、保護カバー150の基準線153)の相対位置を目視で参照することが可能である。後述するとおり、設置面の罫書き線(図19参照)、または、保護カバー150の基準線153(図18参照)を第1指標部121および第2指標部122に対して窓部122を介して視認して位置合わせすることにより、接続カバー100の設置位置を位置決めすることが可能である。
次いで、図8乃至図11を参照して、本実施形態の保護カバー150の構成を説明する。図8は、本実施形態の保護カバー150の概略斜視図である。図9は、該保護カバー150の分解斜視図である。図10(a)~(d)は、該保護カバー150の正面図、平面図、底面図及び側面図である。図11は、該保護カバー150のB-B断面図である。
保護カバー150は、所定の長さを有する直状のカバーとして配線・配管材を内部に配設可能に構成されている。図8乃至図11に示すように、保護カバー150は、ベース体151とカバー体152とを互いに上下方向に着脱式に組み合わせてなる。保護カバー150は、略同一断面形状が直線的に連続する長尺形状を有している。また、保護カバー150は、長手方向両端において開口している。この保護カバー150の長さは任意に定められ得る。そして、複数の保護カバー150を接続カバー100を介して長手方向に組み合わせることによって、長尺の配線・配管材の配設路を有する設置構造10を構築することができる。
ベース体151は、所定幅で長手方向に延びる底板152、及び、該底板152の幅方向両側から上方に所定高さで立設した一対の外側板153を備える。本実施形態では、ベース体151は、配線・配管材の配線経路に沿って構造体の設置面に固定される。底板152及び外側板153は、いずれも平板形状を有し、板バネのように弾性変形又は撓み変形可能である。また、一対の外側板153は、互いに対向し、上方に開口部を形成している。すなわち、図11の横断面視において、ベース体151は上方を向いたコ字状に形成されている。さらに、底板152内面の幅方向中央には、位置決めのための基準線152aが長手方向に延びる溝として形成されており、開口部を介して上方に臨んでいる。この基準線152aは、保護カバー150を設置面の所定位置に固定したり、保護カバー150を接続カバー100に連結したりする際の目印として機能する。
また、ベース体151は、外側板153に連結されるとともに外側板153よりも幅方向内側に位置する内側板154をさらに備える。特には、ベース体151の側板は、先端側において外側板153及び内側板154に二叉に分岐している。内側板154の先端と外側板153の先端との間には挿入口が形成されている。この挿入口を介して、カバー体155の連結片157を内側板154と外側板153との間に導入可能である。
カバー体155は、ベース体151に着設され、その内部を覆うように構成されている。カバー体155は、ベース体151の底板152に対向し、一対の外側板153間に架設される被覆部156を備える。被覆部156は、所定幅で長手方向に延びる平板状に延在している。被覆部156は、その内面が一対の外側板153の先端面に当接するのに十分な幅を有している。また、カバー体155は、外側板153と内側板154との間に挿入されるように延在する一対の連結片157をさらに備える。各連結片157は、その基端が被覆部121内面に一体的に連結され、先端が下方に向かって長手方向に連続して延びている凸条片である。つまり、各連結片157は、被覆部156の内面から下方に向けて延在している。一対の連結片157は、それぞれ、ベース体151の挿入口に対して上下方向において対向する位置に配置されている。すなわち、外側板153先端部分、内側板154及び連結片157が協働して、ベース体151及びカバー体155を連結し得る連結機構として機能する。なお、本実施形態では、ベース体151およびカバー体155は、それぞれ、硬質な合成樹脂材料で一体成形されたものであるが、金属板などの種々の材料が選択されてもよい。
図12は、本実施形態の配設路形成装置11の分解斜視図である。図12に示すとおり、配設路形成装置11は、接続カバー100および保護カバー150から構成される。配設路形成装置11は、配設経路に沿って設置面に設置されたときに、接続カバー100の接続口105に保護カバー150の端部が接続され、内部にL字状に屈折した配線・配管材のための配設路が形成される。
続いて、図13乃至図15を参照して、本実施形態の接続カバー100によって2つの保護カバー150をL字状に連結させて設置面13に固定した設置構造10について説明する。図13は、本実施形態の設置構造10の平面図(設置面13を正面から見た図)である。図14は、設置構造10のC-C断面図である。図15は、接続カバー100と保護カバ150の接続部分を示す部分拡大図である。なお、設置構造10のカバー内部に配設された配線・配管材の描写は説明の便宜上省略した。
本実施形態の設置構造10は、配設路形成装置11が設置面13に設置され、配線・配管材(図示せず)を収容して保護する配設路が設置面13に形成されたものである。本実施形態では、設置面13は構造体の壁面である。具体的には、図14に示すとおり、接続カバー本体101(基台102)の底壁103が設置面13にビスで固定されている。また、保護カバー150のベース体151の底板152も同様にビス(図示せず)で設置面13に固定されている。そして、基台102に蓋体104が装着され、且つ、ベース体151にカバー体155が装着されていることにより、配設路内部が外部に露出しないように閉塞されている。さらに、接続カバー100の接続口105に保護カバー150の先端が接続されている。このとき、ベース体151の底板152端面が、基台102の底壁103の当接面106に当接しているとともに、接続カバー本体101の側壁および頂壁が保護カバー150の外側板153および被覆部156外面に外部から当接している。
また、図15に示すように、接続カバー本体101の底壁103の端縁から突出片110が保護カバー150内部に突出し、保護カバー150の底板152内面の上に延在している。そして、突出片110の係合部115下面が底板152に係合し、係合部115と設置面13とが底板152を挟んでいる。このとき、窓部122から底板152上の基準線152aが臨んでいる。そして、基準線152aが第1指標部121上を通過し、基準線152a端部の延長線が第2指標部123にほぼ合致するように、接続カバー100および保護カバー150が正確な位置関係で接続されている。なお、設置構造10において、突出片110が折り取られてもよいが、突出片110を底壁103内面側に手で折り曲げただけでは容易に折り取ることができないので、突出片110の除去には切断用工具等が用いられることが好ましい。
続いて、配設路形成装置11により構造体の設置面13に設置構造10を構築する方法について説明する。
まず、配線・配管材の配設経路に沿って設置面13に罫書き線15を形成する。そして、垂直方向および水平方向に延びる罫書き線15が直角に交わる部位を、接続カバー100の設置位置に定め、接続カバー本体101の基台102を設置面13に宛がう。このとき、蓋体104が基台102から外れていることが好ましい。そして、位置合わせ機構を用いて、基台102の固定位置を正確に定める。具体的には、図16に示すように、接続カバー100の各開口端部において、罫書き線15が第1指標部121を通過することを突出片110の先端で視認でき、且つ、罫書き線15が第2指標部123を通過していることを窓部122を介して視認できるように、基台102の固定位置を調整する。そして、基台102の固定位置が定まったら、底壁103のビス孔を介してビスを設置面13に打ち込むことによって、基台102を正確な位置に固定することができる。
次に、接続カバー100の基台102に対して、保護カバー150のベース体151を連結するように設置面13に固定する。より具体的には、ベース体151の底板152の先端面を基台102の底壁103の当接面106に当接させるべく、固定された基台102に対してベース体151を接続方向に沿って近接させる。本実施形態では、第1位置の係合部115外面と設置面13との間の隙間が、底板152の厚みとほぼ同じであることから、突出片110が底板152に干渉して邪魔になることが想定される。そこで、図17(a)に示すように、突出片110を設置面13の手前側に手で折り曲げて、係合部115を第1位置から第2位置へと(少なくとも部分的に)退避させる。突出片110は、波状屈曲部112を介して回動し、手を離しても、その姿勢を維持し得る。この姿勢では、ベース体151の底板152が第1位置では係合部115が占有していた空間を通過する(または横切る)ように、ベース体151を設置面13に宛がうことが許容される。すなわち、突出片110の係合部115が第1位置から第2位置へと待避することで、突出片110が邪魔になることなく、底板152の先端面を底壁103の当接面106に確実に当接させることができる。
そして、底壁103の当接面106に底板152の先端面を係合させた後、図17(b)に示すように、突出片110を当初位置に復帰させるように回動させ、係合部115を第2位置から第1位置へと変位させることにより、係合部115の外面を底板152の内面に係合させる。これにより、底板152を係合部115と設置面13との間に挟持して、保護カバー150(ベース体151)を接続カバー100(基台102)に対して仮支持することが可能となる。この仮支持した状態では、ベース体151が設置面13から落下することが防止されるので、その作業性が改善する。
ここで、図18(a),(b)を参照して、底板152の厚みが変動した場合の突出片110の挙動について説明する。図18(a)に示すように、係合部115外面と設置面13との間の隙間に対して、底板152の厚みが十分に大きい場合、突出片110を設置面13の手前側に手で折り曲げて、係合部115を第1位置から第2位置へと退避させた上で、当接面106に底板152の先端面を当接させる。そして、係合部115を第2位置から第1位置へと変位させるように突出片110を回動させることにより、波状屈曲部112を底板152の厚みに合わせて変形させ、係合部115を底板152に係合させることができる。他方、図18(b)に示すように、係合部115外面と設置面13との間の隙間に対して、底板152の厚みが十分に小さい場合、第1位置の係合部115外面と設置面13との間に、底板152先端を差し込むことによって、当接面106に底板152の先端面を当接させる。この状態で、突出片110を底板152に対して押圧することによって、波状屈曲部112を塑性変形させ、係合部115を底板152表面に係合させることができる。すなわち、本実施形態の突出片110は、異なる厚みを有する底板152にも対応して、保護カバー150を接続カバー100および設置面13に対して仮支持することを可能とする。
次いで、保護カバー150を設置面13に対して仮支持した状態から、位置合わせ機構を用いて、保護カバー150が接続口105に対して所定位置にあるかどうかを目視で確認し、必要に応じて位置調整を行う。具体的には、保護カバー150の先端部を底壁103の当接部106に当接させて係合部115を第1位置に戻した上で、位置合わせ機構を用いて、相対位置の目視による確認と位置合わせを行う。図15(a)に示すように、保護カバー150の底板152上の基準線152aが第1指標部121と合致し、窓部122から外部に臨む基準線152aの端部の延長線が第2指標部122と合致することによって、基台102およびベース体151が所定の相対位置にあることを目視で確認することができる。これらが合致しない場合、庇護カバー150のベース体151をずらして合致するまで位置調整をすることができる。そして、ベース体151の固定位置が定まったら、ベース体151の底板152を貫通するようにビスを設置面13に打ち込んで、ベース体151を設置面13に固定する。
続いて、設置面13に固定された基台102およびベース体151に対して配線・配管材を配設しつつ、各ベース体151にカバー体155を装着し、そして、基台102に蓋体104を装着する。これにより、複数の保護カバー150を接続カバー100を介して設置面13上で接続し、設置面13に配線・配管材の配設路を形成する設置構造10を構築することができる。
以下、本発明に係る一実施形態の接続カバー100(および配設路形成装置10)の作用効果について説明する。
本実施形態の接続カバー100によれば、突出片110の基端側に設けられた波状屈曲部112が破断せずに塑性変形し、突出片110が、設置面13から離隔する方向に回動し、且つ、元の位置に復帰するように往復して回動することが可能である。すなわち、係合部115は、係合部115が保護カバー150の底板152内面に係合可能である第1位置、および、突出片110が設置面13から離隔する方向に回動した第2位置に相互に変位可能である。これにより、保護カバー150と接続カバー100との接続作業において、突出片110(または係合部115)が底板151に干渉して邪魔である場合、係合部115を第2位置に変位させて突出片110を邪魔にならない位置に一旦退避させておき、保護カバー150を接続口105への接続位置に配置してから、係合部115を第1位置に戻すことにより、保護カバー150を設置面13に対して仮支持させるといった作業が可能となる。したがって、本実施形態の接続カバー100および配設路形成装置10は、接続カバー100および保護カバー150の設置面13上での接続作業を改善し、設置面13に配線・配管材の配設路を容易に構築することを可能とするものである。
さらに、本実施形態の接続カバー100によれば、第1指標部121および第2指標部123の2点で、基準線152aおよび/または罫書き線15に対して位置合わせすることにより、接続カバー100を保護カバー150および設置面13の両方に対して正確に位置決めして設置することができる。特には、接続カバー本体101の基台102を設置面13に宛がった状態で、基準線152aおよび/または罫書き線15が窓部122から接続カバー本体101の底壁103内面側に臨むことから、作業者は、第2指標部123と基準線152aおよび/または罫書き線15との位置関係を目視で確認しながら位置合わせを行うことが可能である。すなわち、本実施形態の位置合わせ機構は、接続カバー100および保護カバー150の設置面13上での接続作業を改善し、設置面13に配線・配管材の配設路を容易に構築することを可能とするものである。
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の別実施形態を説明する。各実施形態において、下二桁の符番が共通する構成要素は、特定のない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
(1)本発明の接続カバーは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、1つの凹溝を有する波状屈曲部が突出片の基端近傍に設けられたが、本発明はこれに限定されない。図19は、別実施形態の接続カバー200の突出片210の態様を示している。図19に示すように、突出片210は、少なくとも突出片210の基端側に形成され、底壁203の垂直方向に波状に屈曲する波状屈曲部212と、該波状屈曲部212の先端側に形成され、保護カバーの底板内面に係合するための係合部215とを備える。本実施形態の接続カバー200では、波状屈曲部212は、複数(4つ)の凹溝212aおよび複数対(4対)の対向壁212b、212bを備え、波状屈曲部212が突出片210の基端側から先端近傍まで延在している。係合部215は、波状屈曲部212の変形により、係合部215が保護カバーの底板内面に係合可能である第1位置、および、突出片210が設置面から離隔する方向(底壁203の内面側)に回動した第2位置に相互に変位可能である。本実施形態では、係合部215を第2位置に変位させ、且つ、底壁203の当接面206に保護カバーの先端部を当接させた状態から、係合部215を第1位置に変位させると、係合部215と同様に、または、係合部215の代わりに、波状屈曲部212の先端側部位も底板内面に係合可能である。つまり、波状屈曲部212の一部も係合部として機能し得ることから、係合部の形態も平板状に限定されるものではない。なお、波状屈曲部212を複数の凹凸で形成したことにより、より破断に対する耐性が向上する。
(2)本発明の接続カバーは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、突出片に窓部および第2指標部が設けられたが、本発明はこれに限定されない。図20は、別実施形態の接続カバー300の突出片310の態様を示している。図20に示すように、突出片310は、少なくとも突出片310の基端側に形成され、底壁303の垂直方向に波状に屈曲する波状屈曲部312と、該波状屈曲部312の先端側に形成され、保護カバーの底板内面に係合するための係合部315とを備える。また、本実施形態の接続カバー300では、位置合わせ機構としての窓部および第2指標部が省略された一方で、突出片310の先端縁に第1指標部321が形成されている。この第1指標部321は、簡易的な位置合わせ機構として機能し得る。
(3)本発明の接続カバーは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、接続カバーの1つの接続口に対し、1つの突出片が設けられたが、図21(a)に示す接続カバー400のように、1つの接続口405に対して複数の突出片410が設けられてもよい。換言すると、突出片410は、基端部411から係合部415まで窓部422で分離されていてもよい。
(4)本発明の接続カバーは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、波状屈曲部の凹溝および一対の対向壁が回動規制機構として機能したが、本発明の回動規制機構は他の形態であってもよい。例えば、図21(b)に示す接続カバー500では、回動規制機構は、底壁503の先端近傍から内面側に立ち上がった突起508を備え、当該突起508が底壁503内面側に回動した突出片510(図21(b)の仮想線参照)を第2位置で係止してもよい。
(5)本発明の接続カバーは、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、波状屈曲部は、破断しない塑性変形可能な部位として形成されたが、他の部位よりも優先的に変形すれば、弾性変形する部位であってもよい。作業者は、係合部を第2位置に手で維持する必要があるが、同様に、係合部を第1位置および第2位置に相互に変位させることができる。
(6)本発明の配設路形成装置(接続カバーおよび保護カバー)は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を取り得る。上記実施形態では、接続カバーがエルボ形状に形成され、保護カバーが直線形状に形成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、接続カバーは、直状、三叉状、十字状など任意の形状を取り得る。同様に、保護カバーも、エルボ状、三叉状、十字状など任意の形状を取り得る。すなわち、接続カバーおよび保護カバーの形状は、配設経路に応じて自由に設計可能である。
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。