JP7360845B2 - スパッタ粒子防着板及びイオンビームスパッタ装置 - Google Patents
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Description
なお、図7には、イオンビーム(イオンビーム束)IBの中心のみを破線で図示した。また、以後の各図では、奥行き方向をx軸、水平方向をy軸、垂直方向をz軸とする。
移動機構は、第1筐体及び第2筐体が結合して筐体となると共に、筐体が第1筐体及び第2筐体に分離するように、第1筐体及び第2筐体の少なくとも一方を移動させる。
開口部は、第1筐体及び第2筐体に亘って形成されており、第1筐体及び第2筐体が結合して筐体となったときに、開口部の内周と選択したスパッタターゲットの外周との隙間を遮蔽し、スパッタ粒子が隙間に入り込まないように形成されている。
そして、イオンビームの照射時、開口部の内周とスパッタターゲットの外周との隙間を遮蔽するため、複数のスパッタターゲットを切り替えてスパッタする場合でも、スパッタ粒子の回り込み再付着を防止できる。さらに、ターゲットホルダユニットの回転時、ターゲットホルダユニットを収容している筐体が第1筐体及び第2筐体に分離するため、スパッタターゲットが筐体の内壁面に接触することもない。
以下、本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材及び手段には同一の符号を付し、説明を省略した。
イオン源1は、イオンビームIBをスパッタターゲットTに照射するものである。イオン源1は、公知のイオンビームスパッタ装置9(図7)に搭載されるイオン源である。例えば、イオン源1としては、カウフマン型(フィラメント)、ホローカソード型、RF型、バケット型、デュオプラズマトロン型等があげられる。イオン源1は、その全体が筐体に収納されて外形が円柱、あるいは角柱を呈し、一方の底面(前面)から柱体の軸方向に沿ってイオンビームIBを照射する。本実施形態では、この柱体の軸方向、すなわちイオンビームの射線方向をイオン源1の向きと表し、図1のイオン源1では水平な状態となっている。なお、図1において、イオンビームIBの中心のみを破線で図示している。
処理室2は、公知のイオンビームスパッタ装置9の真空処理装置に適用されるものと同様の構造である。処理室2は、公知の排気系3によって所望の圧力(真空状態)に制御され、これを保持する。また、処理室2には、基板Wの出し入れの際の処理室2の真空状態や雰囲気の変化を抑制するために、開閉可能なシャッタ(図示省略)を隔てて予備室が接続され、この予備室は排気系3とは別の排気系で圧力を制御される。
排気系3は、処理室2を真空(減圧)状態に排気するものであり、メインバルブ31と、真空ポンプ32とを備える。
基板自転機構4は、基板Wを所望の高さに保持し、製膜時に基板Wを回転(自転)させるものである。基板自転機構4は、公知のイオンビームスパッタ装置9に搭載されるものと同様の構成であり、基板Wを保持する高さを設定できる。すなわち、基板自転機構4は、基板Wを保持する基板ステージ41と、モータ等の回転手段42と、回転手段42の回転運動を基板ステージ41へ伝達する直進回転導入機43とを備える。基板ステージ41は、表面(基板Wの設置面、下面)で基板Wを保持することのできる構造とし、表面近傍にヒータを内蔵して基板Wを所望の温度に加熱したり、水冷や液体窒素等で基板Wを冷却する構造としてもよい。直進回転導入機43は、真空処理装置に一般に適用されるものであって、回転運動及び垂直方向の直線移動を、処理室2の外から内へ処理室2の壁面(天井)に固定されたフランジ7を介して伝達するものである。基板自転機構4は、このような構成によって、基板Wを所望の高さに保持し、また、必要に応じて、製膜時に基板Wを膜形成面(表面)の面内で回転(自転)させることができる。そのため、イオンビームIBの入射角にかかわらず、スパッタ粒子が自転する基板Wに付着して、基板Wの表面に均一に薄膜が形成される。
ターゲットホルダユニット5は、複数のスパッタターゲットTを保持すると共に、イオンビームIBの照射対象となるスパッタターゲットT1を選択して開口部62に配置するものである。ターゲットホルダユニット5は、スパッタターゲットTを保持するターゲットホルダ51が側面に配置され、側面に直交する両端面に回転軸を有している。ターゲットホルダユニット5は、4つの側面を連続させた四角筒状の基台52を有し、4枚のスパッタターゲットTを装着するために、4個のターゲットホルダ51が基台52の各側面に固定されている。また、ターゲットホルダユニット5は、イオンビームIBの照射対象となるスパッタターゲットT1が斜め上45°に向くように配置される。ターゲットホルダユニット5は、回転導入機(回転軸)53を介して、モータ(不図示)からの回転運動が処理室2の外から伝達され、時計回り又は反時計回りに回転する。
スパッタ粒子防着板6は、イオンビームIBの照射対象となるスパッタターゲットT1から飛散したスパッタ粒子が、他のスパッタターゲットTに付着することを防止するものである。スパッタ粒子防着板6は、任意の材料で形成可能であり、例えば、処理室2と同一の材料(ステンレス鋼等の金属)で形成できる。図2(a)及び図2(b)に示すように、スパッタ粒子防着板6は、ターゲットホルダユニット5を内部に収容可能な筐体61を有する。筐体61は、箱状の形状であり、ターゲットホルダユニット5を収容可能なサイズの内部空間を有する。つまり、筐体61は、後記する開口部62を除き、ターゲットホルダユニット5の周囲を覆っている。
なお、図2では、図面を見やすくするために、スパッタ粒子防着板6を斜めにせずに図示した。
図1に戻り、制御部13について説明する。
制御部13は、移動機構63を制御するものである。つまり、制御部13は、歯車66を回転させるモータ(不図示)を駆動し、筐体61の開閉を制御する。また、制御部13は、回転導入機53に接続されたモータ(不図示)を駆動し、ターゲットホルダユニット5の回転を制御する。なお、図1では、図面を簡略化するため、制御部13が回転導入機53及び歯車66に接続されているように図示している。
図4を参照し、制御部13の動作として、ターゲットホルダユニット5の回転制御を説明する。なお、図4では、図面を見やすくするため、一部符号のみを図示した。
図4(a)に示すように、ステップS1において、制御部13は、歯車66を反時計回りに回転させ、筐体61を筐体61R,61Lに分離する。すると、図4(b)に示すように、全てのスパッタターゲットTが筐体61の内壁面に接触しないように、筐体61が開いた状態となる。
ステップS2において、制御部13は、回転導入機53を介して、ターゲットホルダユニット5を例えば反時計回りに回転させる。
ターゲットホルダユニット5の回転が完了していない場合(ステップS3でNo)、制御部13は、ステップS2の処理に戻る。つまり、制御部13は、イオンビームIBを照射できる位置にスパッタターゲットT1が到達するまで、ターゲットホルダユニット5を回転させる。
ステップS4において、制御部13は、歯車66を時計回りに回転させ、筐体61R,61Lを筐体61として結合する。すると、図4(d)に示すように、選択したスパッタターゲットT1のみが開口部62(図3)から露出するように、筐体61が閉じた状態となる。
以上のように、第1実施形態に係るイオンビームスパッタ装置10は、スパッタ粒子防着板6により、スパッタ粒子の回り込み再付着を防止し、スパッタターゲットTの汚染を防止することができる。
図5を参照し、第2実施形態に係るスパッタ粒子防着板6Bについて、第1実施形態と異なる点を説明する。なお、イオンビームスパッタ装置10(図1)は、第1実施形態と同様のため、説明及び図示を省略する。
図6を参照し、第3実施形態に係るスパッタ粒子防着板6Cについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
図6(a)に示すように、スパッタ粒子防着板6Cは、筐体61の内部に板状部材69を形成した点が第1実施形態と異なる。この板状部材69は、上面60Uからターゲットホルダユニット5に向けて所定の幅で斜めに突出させる。例えば、板状部材69は、上面60U及び側面60R,60Lに対して、上面60Uの端から斜め45°で突出する。板状部材69は、開口部62の隙間と、スパッタターゲットT1の隣に位置する他のスパッタターゲットTとの間に位置する。なお、隣に位置する他のスパッタターゲットTとは、スパッタターゲットT1の左右に位置する2個のスパッタターゲットTのことである。また、板状部材69は、筐体61の内部で手前側から奥側まで設けられ、回転するターゲットホルダユニット5に接触しないサイズである。また、板状部材69は、筐体61と同様の材料で形成できる。
以上、本発明の各実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した各実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
前記した第1実施形態では、イオンビームスパッタ装置の構成を説明したが、これに限定されない。
前記した各実施形態では、移動機構が第1筐体及び第2筐体の両方を移動させることとして説明したが、何れか一方のみを移動させてもよい。
2 処理室
3 排気系
4 基板自転機構
5 ターゲットホルダユニット
6,6B,6C スパッタ粒子防着板
10 イオンビームスパッタ装置
11 電源
12 マスフローコントローラ
13 制御部
51 ターゲットホルダ
52 基台
53 回転導入機(回転軸)
61 筐体
61R 筐体(第1筐体)
61L 筐体(第2筐体)
62 開口部
63 移動機構
64 ラックアンドピニオン
651,652 櫛歯(案内部)
66 歯車(移動部)
67 ガイド(案内部)
671 凸部
672 凹部
68 斜面
69 板状部材
71 直線導入機(移動部)
T スパッタターゲット
Claims (6)
- 複数のスパッタターゲットを保持するターゲットホルダユニットを回転軸により回転させ、選択した前記スパッタターゲットにイオンビームを照射するイオンビームスパッタ装置用のスパッタ粒子防着板であって、
前記ターゲットホルダユニットを内部に収容し、選択した前記スパッタターゲットを露出させる開口部が形成された上面と側面と下面とを有する箱状の筐体を有し、
前記筐体は、前記開口部を除いて前記ターゲットホルダユニットの周囲を覆っており、前記回転軸が挿通する側面と前記上面と前記下面とで第1筐体及び第2筐体に二分され、
前記第1筐体及び前記第2筐体が結合して前記筐体となると共に、前記筐体が前記第1筐体及び前記第2筐体に分離するように、前記第1筐体及び前記第2筐体の少なくとも一方を移動させる移動機構、を備え、
前記開口部は、前記第1筐体及び前記第2筐体に亘っており、前記第1筐体及び前記第2筐体が結合して前記筐体となったときに、前記開口部の内周と選択した前記スパッタターゲットの外周との隙間を遮蔽するように形成されていることを特徴とするスパッタ粒子防着板。 - 前記移動機構は、前記第1筐体及び前記第2筐体が分離又は結合するように前記第1筐体及び前記第2筐体を直線方向に案内する案内部と、前記案内部に沿って前記第1筐体及び前記第2筐体を移動させる移動部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のスパッタ粒子防着板。
- 前記筐体は、前記筐体の内容積が長方体のときよりも小さくなるように、前記上面と前記上面に隣接して前記回転軸に平行な側面とが斜面を介して接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタ粒子防着板。
- 前記筐体の内部において、前記上面から前記ターゲットホルダユニットに向けて突出する板状部材を有し、
前記板状部材は、前記隙間と選択した前記スパッタターゲットの隣に位置する他のスパッタターゲットとの間に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタ粒子防着板。 - 前記開口部の内周と選択した前記スパッタターゲットの外周とを近接又は当接させるように前記第1筐体及び前記第2筐体の少なくとも一方を前記移動機構が移動させることで、前記開口部が前記隙間を遮蔽することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のスパッタ粒子防着板。
- 複数のスパッタターゲットを保持するターゲットホルダが側面に配置され、両端面に回転軸を有するターゲットホルダユニットと、選択した前記スパッタターゲットにイオンビームを照射するイオン源と、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のスパッタ粒子防着板と、前記スパッタ粒子防着板の移動機構を制御する制御部と、を備えるイオンビームスパッタ装置であって、
前記制御部は、前記筐体を前記第1筐体及び前記第2筐体に分離した後、前記ターゲットホルダユニットを回転させ、前記ターゲットホルダユニットの回転が完了した後、前記第1筐体及び前記第2筐体を結合して前記筐体となるように前記移動機構を制御することを特徴とするイオンビームスパッタ装置。
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