JP7360799B2 - レジストパターンをシミュレーションする方法、レジスト材料の組成の最適化方法、及び放射線の照射条件又は目標パターンの最適化方法 - Google Patents

レジストパターンをシミュレーションする方法、レジスト材料の組成の最適化方法、及び放射線の照射条件又は目標パターンの最適化方法 Download PDF

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Description

本開示の例示的実施形態は、レジストパターンをシミュレーションする方法、レジスト材料及びその組成の最適化方法、並びに装置及び記録媒体に関するものである。
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、EUV(極紫外線光)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を利用するパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程において、極めて微細なパターン(例えば20nm以下)を形成できることが実証されている。
しかし、現時点で開発されているEUV光源は出力が低いため、露光処理に長時間を要し、その結果、EUVリソグラフィの実用化の大きな障壁になっているのが現状である。EUV光源の低い出力を補うために、レジスト材料(感光性樹脂)の感度を向上させることが考えられる(特許文献1参照)。EUVと同様の問題は電子線及びイオンビーム等を光源とするリソグラフィの出力と感度においても存在している。
特開2002-174894号公報
ところで、解像度と、レジストパターンエッジのラフネスと、レジスト材料の感度は、トレードオフの関係にあり、これらすべての特性を同時に改善することは難しいことが知られている。また、微細パターンの形成では、パターンの寸法のばらつきがデバイスの収率に影響するため、ばらつきを最小限に抑える必要がある。極めて微細なパターンを形成するために露光部と非露光部とを区別してEUV光を照射(パターン露光)しようとすると、パターン形成工程上の確率論的なばらつき(ストキャスティクス)が生じる。
このようなストキャスティクスの例として、光子のショットノイズが挙げられる。波長が大きく、比較的大きい面積に対して照射される放射線の場合には、ノイズがあってもその存在は放射線全体の出力に対してごく僅かであり、問題とならない。しかし、EUV光のように、波長及び出力が小さく、微小面積に対して照射される放射線の場合には、微小面積当たりに照射される光子は約数百から数千個になり、極めて少なくなる。この場合、光子全体に対するショットノイズの量が大きくなり、これによるレジスト寸法のばらつきが無視できなくなる。
ストキャスティクスの別の例としては、レジスト材料中の放射線に対する活性種の分布又は存在確率が挙げられる。波長が大きく、比較的大きい面積に対して照射される放射線の場合には、活性種はほぼ均一に分布しているとみなすことができ、問題とならない。しかし、波長及び出力が小さく、微小面積に対して照射される放射線の場合には、レジストパターンエッジにおける活性種の分布又は存在確率のレジスト寸法のばらつきに対する影響が無視できなくなる。
EUVリソグラフィでは、これらの光子又は活性種等の確率論的なばらつき(ストキャスティクス)に起因して生じるレジストパターンの寸法のばらつきがレジストパターンの欠陥にもつながり、これによるデバイスの歩留りが低下する。そこで、確率論的なばらつきを考慮に入れたシミュレーションによって、微細なパターンの形成条件の最適化の手法の構築が望まれてきた。しかし、従来のストキャスティクスシミュレータは、乱数を用いて揺らぎを含んだシミュレーションを1回ずつ繰り返し、統計的なパターン寸法のばらつきを導き出すために、膨大な試行と長時間を要し、パターン形成条件を効率的に最適化することが困難であった。
本開示は、確率論的なばらつき(ストキャスティクス)が生じ得る極めて微細なレジストパターンの形成においても適応可能なシミュレーションの方法、並びにレジスト材料の組成及びパターン形成条件を効率的に最適化する方法を提供する。また、本開示は、極めて微細なレジストパターンの形成に適したレジスト材料、並びに、最適化方法が適用された装置及び記録媒体を提供する。
本開示の一つの例示的実施形態は、レジスト材料から形成されるレジスト膜に対して、300nm以下の波長を有する放射線を目標パターンに沿って照射する工程を経て形成されるレジストパターンをシミュレーションする方法であり、
上記方法は、
(A)目標パターンに沿って上記放射線を照射した後の上記レジスト膜中の活性種の濃度の、上記放射線の照射位置に対する潜像を計算する工程と、
(B)上記潜像に基づき、上記目標パターンのエッジの上記照射位置に対する上記濃度の変化率を計算する工程と、
(C)上記目標パターンのエッジにおける確率論的ばらつきを計算する工程と、
(D)上記濃度の変化率と上記確率論的ばらつきとからパターンエッジラフネスのばらつきを計算する工程と、
を備える。
本開示によれば、確率論的なばらつき(ストキャスティクス)が生じ得る極めて微細なレジストパターンの形成においても適応可能なレジスト材料の組成及びパターン形成条件を効率的に最適化する方法が提供される。また、本開示によれば、極めて微細なレジストパターンの形成においても適応可能なレジスト材料、並びに、最適化方法が適用された装置及び記録媒体が提供される。
本開示の一実施形態に係る最適化方法の各工程を示すフローチャートである。 パターン露光において、目標パターンに沿って照射される放射線の光学像の一例を示す図である。 放射線照射後のレジスト膜中の化学種の濃度の分布の、本実施形態に係る方法における工程Aの部分のシミュレーション結果の一例を示す図である。 本開示の一実施形態に係る最適化方法において、レジスト材料中の光酸発生剤(PAG)と光分解型クエンチャ(PDB)の合計質量割合を変化させたときのノイズインデックスNindex(nm)の挙動の一例を示すグラフである。 本開示の一実施形態に係る最適化方法において、レジスト材料中の光酸発生剤(PAG)の分解速度に対する光分解型クエンチャ(PDB)の分解速度の比(C/C)を変化させたときのノイズインデックスNindex(nm)の挙動の一例を示すグラフである。 本開示の一実施形態に係る装置の構成を示すブロック図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第一実施形態]
第一実施形態として、化学増幅型レジスト材料及びその組成の最適化方法について説明する。本実施形態で想定する化学増幅型レジスト材料(以下、場合により単に「レジスト材料」という。)は、ベース成分と光酸発生剤(PAG)とクエンチャとを含む。レジスト材料は基板等の上に塗布され、レジスト膜となる。レジスト膜に対して、300nm以下の波長を有する放射線(電子線を含む、以下同じ)が形成すべきパターンに沿って照射され(パターン露光)、放射線が照射された部分のレジスト膜中でのみ酸が発生する。発生した酸が露光後のベーク(PEB)により、レジスト膜中のベース成分の酸不安定基(保護基)が外れて極性を変化させる(脱保護)。その後、レジスト膜を現像液で処理することにより、レジストパターンが形成される。ベース成分は、通常、保護基によって保護されたポリマーを含む。
光酸発生剤は、300nm以下の波長を有する放射線が照射されることにより、所定の分解速度で酸を発生する。その後、加熱に伴う酸触媒反応により、レジスト膜に含まれるベース成分の現像液への溶解性が変化し、レジスト膜の現像が可能となる。クエンチャは周囲の酸を捕捉する機能を有する。クエンチャは光分解型クエンチャ(PDB)であってもよい。光分解型クエンチャは、放射線が照射されることにより、所定の分解速度で分解されて酸を補足する機能を失うものである。本明細書において、光分解型でないクエンチャは、分解速度がゼロであるクエンチャととらえることができる。
本実施形態に係る最適化方法は、上記のようにして使用される化学増幅型レジスト材料の組成及びパターン形成条件を最適化するためのものである。図1は本実施形態に係る最適化方法の各工程を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る方法は、下記工程A~工程Dを備え、場合により工程Eを備える。各工程について以下に詳細に説明する。各工程は、コンピュータによって実行することができる。
(工程A)
工程Aは、目標パターンに沿って上記放射線を照射した後の上記レジスト膜中の酸の濃度の、上記放射線の照射位置に対する潜像を計算する工程である。図2は、パターン露光において、目標パターンに沿って照射される放射線の光学像の一例を示す図である。図2では、目標パターンの位置において放射線の線量を小さくし、目標パターン以外の位置において放射線の線量を大きくしている。上記レジスト膜に上記放射線が照射されると、光酸発生剤から酸が発生し、光分解型クエンチャが分解する。ただし、クエンチャが光分解型でない場合には分解しない。発生した酸の一部は、分解せずに残ったクエンチャにより捕捉される。
図3は、放射線照射後のレジスト膜中の化学種の濃度の分布の、本実施形態に係る方法における工程(A)の部分のシミュレーション結果の一例を示す図である。任意の照射位置xにおいて、放射線照射後に光酸発生剤から発生した酸の濃度をA(x)、放射線照射後に残ったクエンチャの濃度をB(x)とすると、放射線照射後に残った酸の濃度T(x)は下記式(1)のように表される。式(1)では、酸とクエンチャが全て中和すると仮定している。
Figure 0007360799000001
さらに、本実施形態において、A(x)及びB(x)はそれぞれ下記式(2a)及び(2b)のように挙動すると想定している。A(x)及びB(x)は、図3においては、それぞれ破線で示されている。
Figure 0007360799000002

Figure 0007360799000003
ここで、式(2a)及び(2b)中のE(x)は放射線の線量のプロファイルであり、下記式(2c)のように近似される。図2はこの放射線の線量を下記式(2c)のように近似したプロファイルを視覚化したものである。放射線の線量のプロファイルは矩形に近いプロファイルであることが望ましいが、本実施形態では、放射線の線量のプロファイルを下記式(2c)(すなわち、図2)のように近似している。式(2a)~(2c)において、Aはレジスト膜中の光酸発生剤の放射線照射前の数(含有量又は濃度)(個/nm)であり、Bはレジスト膜中のクエンチャの放射線照射前の数(含有量又は濃度)(個/nm)であり、aはオフセットパラメータであり、bは信号の振幅を規定するコントラストパラメータであり、Cは放射線による光酸発生剤からの酸発生速度(cm/mJ)であり、Cは放射線によるクエンチャの分解速度(cm/mJ)であり、Eは露光機で設定される放射線の露光量(mJ/cm)であり、Pはパターンピッチ(隣り合うレジストパターンの中心間距離(図3も参照))(nm)である。A及びBはレジスト材料の組成に基づき、光酸発生剤及びクエンチャの含有量(質量%)等から換算できる。C及びCはそれぞれ光酸発生剤及びクエンチャとして使用される化合物固有の速度定数である。Cがゼロを超える値をとる場合、クエンチャは光分解型クエンチャであることを意味する。なお、上記光酸発生剤の酸発生速度及び光分解型クエンチャの分解速度は、波長13.5nmの放射線(EUV)が照射されたときの値である。
Figure 0007360799000004
なお、放射線の線量のプロファイルは本来、高次回折光をも考慮して求められるべきである。しかし、極めて微細なパターンでは高次の回折光は露光レンズを透過できないと考えらえることから、上述の放射線の線量のプロファイルの近似は低次回折光(0次光及び1次光)のみを考慮した簡易的フィッティングにより行っている。一方で、より精度を上げるためには、高次光を含む光の分布形状を考慮してフィッティングしてもよい。オフセットパラメータであるaと、コントラストパラメータであるbは、露光機で設定される照明形状等の光学条件(例えば、NA及びσ値等)によって決定される。
したがって、本実施形態において、目標パターンに沿って上記放射線を照射した後の上記レジスト膜中の、上記放射線の照射位置に対する酸の濃度の分布(酸の潜像)は下記式(3)のように計算される。T(x)は、図3においては、実線で示されている。
Figure 0007360799000005
本実施形態では、放射線照射後に光酸発生剤から発生した酸の濃度A(x)と、放射線照射後に残った光分解型クエンチャの濃度B(x)とが、上記式(2a)~(2c)のように挙動すると想定している。すなわち、EUVリソグラフィで発生する二次電子の発生と発生した二次電子を酸発生剤又はクエンチャが補足して分解する場合を考慮していないため、より効率的な最適化が可能となる。なお、計算速度上問題ない場合には、通常のリソグラフィシミュレータで用いられる、二次電子の反応も考慮した連続体モデルの濃度計算を使っても差し支えない。
(工程B)
工程Bは、工程Aで計算した潜像に基づき、目標パターンのエッジの照射位置に対する放射線照射後に残った上記酸の濃度の変化率を計算する工程である。任意の照射位置xにおける放射線照射後に残った酸の濃度T(x)の変化率は、T(x)をxで微分した(dT/(x))/dxであるから、下記式(4)のように計算される。
Figure 0007360799000006
次に、例えば図2の例では、目標パターンのパターンエッジの位置を仮に-P/4に設定している。この場合x=-P/4となるから、目標パターンT(-P/4)は下記式(5)のように計算される。
Figure 0007360799000007
ここで、A(-P/4)をA、B(-P/4)をBとすると、下記式(6a)及び(6b)のとおりとなり、T(-P/4)をTとすると、下記式(6c)のとおりとなる。
Figure 0007360799000008

Figure 0007360799000009

Figure 0007360799000010
したがって、放射線照射後に残った酸の濃度T(=A-B)に規格化された、酸の濃度の変化率(Acid ILS)は下記式(7a)のように計算される。また、放射線照射前の光酸発生剤の濃度Aに規格化された、酸の濃度の変化率(Acid ILSA0)は下記式(7b)のように計算される。
Figure 0007360799000011

Figure 0007360799000012
パターンサイズで規格化した酸の濃度の変化量は、上記式(7a)においてパターンサイズ(P/2)をかけることにより、下記式(8a)のように表すことができる。同様に、パターンサイズで規格化した酸の濃度の変化量は、上記式(7b)においてパターンサイズ(P/2)をかけて、下記式(8b)のように表すことができる。
Figure 0007360799000013

Figure 0007360799000014
本実施形態では、放射線照射後の酸の濃度の変化率が、簡易的に上記のように挙動すると想定している。ただし、これらのばらつきを考慮しない化学物質の平均濃度の潜像又は変化率の計算は、それほど高負荷の計算を要求しない。よって、従来のレジスト膜内の化学物質に関する各種シミュレーション手法(たとえば市販の、KLA社のPROLITHやシノプシス社のS-Lithoなど)と同様のシミュレーション手法を用いて計算してもよい。計算速度上問題がない場合には、物質の拡散に関するパラメータ、二次電子の発生効率、中和反応の速度定数、及び脱保護反応に関するパラメータまで含めた解析を行ってもよい。また、露光後ベーク(PEB)の後のベース成分の極性変化後の像(極性基又は非極性基の像)の傾きの評価で行ってもよい。
(工程C)
工程Cは、上記目標パターンのエッジにおける確率論的ばらつき(ストキャスティクス)を計算する工程である。まず、本実施形態において、光子(フォトン)のショットノイズは下記式(9)のように単純化される。式(9)中、σは光子のばらつきの標準偏差であり、<N>は特定領域内に入射するフォトンの個数の平均値であり、Vはある特定領域の体積である。
Figure 0007360799000015
ここで、光子のばらつきにより発生する酸の濃度のばらつきに比例関係が存在すると近似すると、光子のばらつきに起因する酸の濃度のばらつきの標準偏差を、反応の閾値の酸の濃度で規格化した値は下記式(9a)のように表すことができる。
Figure 0007360799000016
同様に、光子のばらつきにより発生するクエンチャの分解濃度のばらつきに比例関係が存在すると近似すると、光子のばらつきに起因するクエンチャの濃度のばらつきの標準偏差を、反応の閾値の酸の濃度で規格化した値は下記式(9b)のように表すことができる。
Figure 0007360799000017
以上の取り扱いでは、計算の簡略化のために、酸発生及びクエンチャの分解のばらつきが光子のばらつきに線形的に応答するよう近似している。その結果、レジスト膜が現像される酸の閾値の位置における酸濃度のばらつきは、酸とクエンチャの濃度のばらつきの影響から、下記式(9c)のように表すことができる。
Figure 0007360799000018
また、放射線照射後の光酸発生剤の濃度の分布又は存在確率(ばらつき)に起因する酸の濃度のばらつきの標準偏差を、反応の閾値の酸の濃度で規格化した値は下記式(10a)のように表すことができる。また、放射線照射後のクエンチャの濃度の分布又は存在確率(ばらつき)に起因するクエンチャの濃度のばらつきの標準偏差を、反応の閾値の酸の濃度で規格化した値は下記式(10b)のように表すことができる。
Figure 0007360799000019

Figure 0007360799000020
したがって、放射線照射後の酸の濃度の分布又は存在確率は、酸の濃度とクエンチャの濃度のどちらにも影響を受けるとして、下記式(10c)のように単純化される。
Figure 0007360799000021
以上より、光子のショットノイズ及び放射線照射後の酸の濃度の分布又は存在確率によるばらつき(ストキャスティクス)をまとめると下記式(11)のように計算される。
Figure 0007360799000022
ストキャスティクスを上記のように、計算することにより、乱数を用いたストキャスティクスシミュレーションを多数行うことなく、平均的な値として酸の濃度ばらつきを求めることができる。
(工程D)
工程Dでは、工程Bで計算した上記濃度の変化率と工程Cで計算した上記確率論的ばらつきとからパターンエッジラフネスのばらつき(パターン寸法ばらつき)が計算される。すなわち、下記式(12)のとおり、工程Cの確率論的ばらつきを工程Bの変化率で除して、確率論的ばらつきの次元を放射線の照射位置の次元に変換することにより、確率論的ばらつきに起因する寸法ばらつきの指標であるノイズインデックスがパターンエッジラフネスのばらつきとして計算される。ここで、Nindexはノイズインデックスである。また、係数nは、標準偏差の何倍を基準にするパターン寸法で議論するかを規定するものである。通例n=3で議論されることが多い。
Figure 0007360799000023
工程Dで得られた評価関数であるノイズインデックスNindexがある閾値以下であれば、設定したパターン形成条件はストキャスティクスを考慮しても、パターンエッジラフネスのばらつきが十分低減されたと判断することができる。上記閾値には、所望の値が適宜選択されてよく、例えば、n=3の時には、3.0nm又は1.5nm等であることができる。また、本手法であれば計算を高速化できる。従来の手法であれば、1回の試行(ある1つの条件におけるノイズインデックスを計算する試行)に数分間から数時間がかかっていたところ、上記工程A~Dでは、数秒もかからず計算できる。
(工程E)
本実施形態では、工程Dにおいて各パラメータの変動範囲を規定した上で、工程Eにおいて、その変動範囲の中でより小さいノイズインデックスNindexが得られるように再計算し、レジスト材料の組成及びパターン形成条件等の最適化が実施される。本開示における最適化とは、ラフネスの評価関数Nindexが最も小さくなるようなパラメータの組み合わせを見つける手法をいう。この評価関数にはノイズに関する尺度だけでなく、プロセスウィンドウ(露光量裕度又はフォーカス裕度)などの別な評価指標を適用してもよい。つまり、露光量、フォーカス及びマスク寸法等の値を放射線の照射条件として変更した入力値を含めた、CD(限界寸法)誤差の評価関数が最小になるように最適化を行うこともできる。言い換えると、レジスト材料の組成、又は放射線の照射条件を変更してパターンエッジラフネスのばらつきを再計算し、パターンエッジラフネスのばらつきが目標値以下となる放射線の照射条件の範囲がより広くなるレジスト材料の組成を選択することにより、レジスト材料の組成を最適化してもよい。最適化の手法としては、例えば、最急降下法、遺伝的アルゴリズム、PatternSearch法、及びGRG非線形法等の勾配を用いる最適化アルゴリズムを用いることが可能である。
工程Eは、レジスト材料の組成又は放射線の照射条件を変更してパターンエッジラフネスのばらつきの計算を繰りかえし、より小さいパターンエッジラフネスのばらつきの計算結果が得られたレジスト材料の組成を選択する工程である。変更するレジスト材料の組成のパラメータとしては、光酸発生剤の放射線照射前の数A、光分解型クエンチャの放射線照射前の数B、放射線による光酸発生剤からの酸生成の反応速度(酸発生速度)C、及び放射線によるクエンチャの分解速度C等が挙げられる。また、変更する放射線照射条件のパラメータとしては、放射線の露光量E等が挙げられる。計算速度上問題がない限りにおいて、物質の拡散に関するパラメータ、二次電子の発生効率、中和反応の速度定数、及びベース成分の脱保護反応に関するパラメータまでを考慮した解析を行ってもよい。また、脱保護後の親水性基(又は脱保護していない保護基の数)のばらつきの評価を行ってもよい。工程Eにおける計算方法は工程Dと同様である。各パラメータは、実験値を参照したキャリブレーションによって、シミュレーション値と実験値の誤差を予め最小化することで得られた値であることができる。
[第二実施形態]
第二実施形態として、光増感化学増幅型レジスト材料及びその組成の最適化方法について説明する。光増感化学増幅型レジスト材料(以下、場合により単に「レジスト材料」という。)は、ベース成分(保護基によって保護されたポリマー)、光酸発生剤及び光分解型クエンチャの他に、光増感剤前駆体を更に含む。レジスト材料は基板等の上に塗布され、レジスト膜となる。レジスト膜に対して、300nm以下の波長を有する放射線が形成すべきパターンに沿って照射される(パターン露光)。300nm以下の波長を有する放射線が照射されることにより、レジスト膜中で酸が発生し、その酸による反応で、光増感剤前駆体が所定の速度で分解することによって光増感剤が発生する。その後、300nmを超える波長を有する放射線をレジスト膜の全面に照射される(全体露光(一括露光ともいう))。パターン露光で発生した光増感剤は、全体露光において増感反応により光酸発生剤を分解し、さらなる酸の発生を誘発する。したがって、パターン露光された部分のみが選択的に増感されレジスト材料の感度が飛躍的に高められる。同様に、パターン露光で発生した光増感剤は、全体露光において増感反応により光分解型クエンチャを分解し、光増感剤の存在するエリアで活性な酸の量を増やすこともできる。この結果、パターン露光された部分とパターン露光されていない部分との間での酸の潜像のコントラストが改善し、解像度、レジストパターンエッジのラフネス、及び、レジスト材料の感度を同時に改善できる。
光増感化学増幅型レジストの場合も、通常のレジストと同様に、パターン寸法ばらつきの傾向を推定できる。つまり、クエンチャによる酸の捕捉(中和)後の酸濃度(又は、露光後ベークの後も脱保護されずに保護されたポリマー濃度)の傾きで、酸の濃度の平均的なばらつきを割った値を用いることで、その傾向を推定できる。本実施形態では、パターン露光により発生し、中和されずに残存している酸の量に、全体露光で生成する酸の量を足して求めることもできる。すなわち、第一実施形態で上述した工程Aを、パターン露光と全体露光とで繰り返し、これらを足し合わせることで求めることができる。その際に、工程Aで光学像として用いた上記式(2c)の像をパターン露光後に光増感剤前駆体から発生した光増感剤の潜像として認識し、全体露光時の酸発生を予測することもできる。あるいは、シミュレーションをさらに簡略化し、パターン露光と全体露光とをまとめて、第一実施形態と同様に予測することでも、レジスト材料の組成の最適化の方向性を予測することができる。つまり、例えば、光子のばらつきより求めた酸濃度のばらつきにパターン露光後に発生する光増感剤の濃度のばらつきが比例すると考えることで、全体露光時の酸発生量の光子のばらつきによるばらつきを想定できる。
光増感化学増幅型レジスト材料を用いたレジストパターンの形成方法は、例えば、光増感化学増幅型レジスト材料を含むレジスト膜に対して300nm以下の波長を有する放射線を目標パターンに沿って照射する工程(パターン露光)と、レジスト膜をベークする工程(1回目のベーク)と、レジスト膜を全体露光する工程と、レジスト膜を再度ベークする工程(2回目のベーク)と、レジスト膜の現像によりレジストパターンを形成する工程とをこの順に含む。パターン露光によって、レジスト膜の目標パターンに沿った部分において光酸発生剤が分解して酸を生成し、光分解型クエンチャも分解する。1回目のベークにおいて、光増感剤前駆体が酸によって分解し、光増感剤を生成する。また、クエンチャが酸によって中和され得る。パターン露光後、ベークのためのレジスト膜の加熱を必要とすることなく、パターン露光によって発生した熱等によって光増感剤が充分に生成することがある。その場合、1回目のベークを省略し、パターン露光後のレジスト膜を、全体露光までの間、加熱することなく放置してもよい。この場合、後述される各成分の濃度とそのばらつきの計算は、パターン露光終了時から全体露光までの間の反応を、1回目のベークの反応とみなして実施される。全体露光により、光酸発生剤からの酸の生成及び光分解型クエンチャの分解が光増感剤によって促進される。2回目のベークにより、光酸発生剤から生成した酸の存在下で、保護されたポリマーからの保護基の脱離が進行する。また,光酸発生剤から生成した酸の一部はクエンチャの中和のために消費される。現像液を用いた現像処理により、脱保護されたポリマーを閾値以上の濃度で含む部分がレジスト膜から除去され、それによりレジストパターンが形成される。この方法の場合に、保護基で保護されたポリマーの、目標パターンのエッジにおける濃度の変化率及び濃度の確率論的ばらつきに基づいて、光増感化学増幅型レジスト材料の組成を最適化することができる。この方法の例について以下に説明する。
工程A
工程Aでは、2回目のベーク後、保護基によって保護されたポリマーの濃度の放射線の照射位置に対する潜像が計算される。ここでは1回目のベーク及び2回目のベークにおいて進行する脱保護反応が考慮される。そのために、各工程における各成分の濃度が以下のように順次計算される。
パターン露光後の酸の濃度の潜像H(x)は、第一実施形態の式(2a)と同様の考え方で下記式(20a)により表される。したがって、目標パターンのエッジ(x=-P/4)の位置における酸の濃度Heが、下記式(21a)のように計算される。Gは光酸発生剤の初期濃度(EUV照射前の濃度)、Ch1はEUV照射による酸発生剤からの酸生成の反応速度(又は反応速度定数)である。E(x)は放射線の線量のプロファイル、Eh0は酸発生剤が吸収する放射線量である。aはオフセットパラメータ、bは信号の振幅を規定するコントラストパラメータ、Pは目標パターンのパターンピッチである。
Figure 0007360799000024
パターン露光後のクエンチャの濃度Q(x)(潜像)は、第一実施形態の式(2b)と同様の考え方で下記式(20b)により表される。したがって、目標パターンのエッジの位置(x=-P/4)におけるクエンチャの濃度Qeが下記式(21b)のように計算される。Qは光酸発生剤の初期濃度(パターン露光前の濃度)である。Cq1はクエンチャ生成(クエンチャ分解の逆反応)の反応速度定数である。E(x)は放射線の線量のプロファイルで、Eq0はクエンチャが吸収する放射線量である。aはオフセットパラメータ、bは信号の振幅を規定するコントラストパラメータ、Pはパターンピッチである。
Figure 0007360799000025
パターン露光後の酸発生剤の濃度G(x)(潜像)は、下記式(20c)により表される。したがって、目標パターンのエッジの位置(x=-P/4)における酸発生剤の濃度Geが下記式(21c)のように計算される。Gは光酸発生剤の初期濃度(パターン露光前の濃度)である。Ch1はEUV照射による酸発生剤からの酸生成の反応速度定数である。E(x)は放射線の線量のプロファイルで、Eh0は酸発生剤が吸収する放射線量である。aはオフセットパラメータ、bは信号の振幅を規定するコントラストパラメータ、Pはパターンピッチである。
Figure 0007360799000026
二次電子による酸発生剤及びクエンチャの分解反応を考慮して、Eh0及びEq0を下記式(22a)及び(22b)によって補正してもよい。EはEUVの放射線量、Gは酸発生剤の初期濃度(パターン露光前の濃度)、Qはクエンチャの初期濃度(パターン露光前の濃度)である。Rは酸発生剤分解の反応速度定数であり、通常は1程度である。Rはクエンチャ分解の反応速度定数であり、通常は1程度で、クエンチャがアミンであるときは0である。式(22a)及び(22b)においてR=Rであると仮定し、光発生剤及び光分解型クエンチャが吸収する放射線量Eh0,Eq0が、光酸発生剤及び光分解型クエンチャの初期濃度G,Qの比率と同じ比率で、放射線が光酸発生剤及び光分解型クエンチャに分配された量であると近似してもよい。
Figure 0007360799000027
1回目のベークにおいて、酸の濃度Hは下記式(23a)の速度でHeから減少し、クエンチャの濃度Qは下記式(23b)の速度でQeから減少する。kn1は、クエンチャと酸との中和反応の反応速度定数である。1回目のベークにおける保護されたポリマーの濃度Mは、下記式(23c)の速度で初期濃度Mから減少する。kx1はポリマーの脱保護反応の反応速度定数である。これら式とHe、Q及びMから、有限差分法によって1回目のベーク終了時の酸の濃度H、クエンチャの濃度Q、及びポリマーの濃度Mが計算される。
Figure 0007360799000028
1回目のベークにおいて、光増感剤前駆体の分解により光増感剤が生成し、光増感剤の濃度Sが下記式(23d)の速度で初期濃度の0から増加する。ks1は光増感剤前駆体の分解による光増感剤の生成の反応速度定数、Pは光増感剤前駆他の濃度、Hは酸の濃度である。1回目のベーク終了時の光増感剤の濃度Sが有限差分法により計算される。
Figure 0007360799000029
全体露光において、1回目のベークにより生成した光増感剤の存在下、光酸発生剤が分解し、その濃度Gが下記式(24)で表される速度で減少する。Sは1回目のベーク終了時の光増感剤の濃度、Ch2は光増感剤の存在下での全体露光による光酸発生剤の分解(酸生成)の反応速度定数、Iは全体露光におけるUVの強度を示す。
Figure 0007360799000030
式(24)から、全体露光終了時、すなわち2回目のベークにおける光酸発生剤及び酸の初期濃度G2i及びH2iを算出する下記式(25a)及び(25b)が導かれる。Gは1回目のベーク終了時の光酸発生剤の濃度、Sは1回目のベーク終了時の光増感剤の濃度、Fは全体露光の露光量、Hは1回目のベーク終了時の酸の濃度である。
Figure 0007360799000031
全体露光においてクエンチャは光増感剤の作用によって分解し、クエンチャの濃度Qは下記式(26)で表される速度で減少する。式(26)から、全体露光終了時、すなわち2回目のベークにおける光酸発生剤及び酸の初期濃度Q2iを算出する下記式(27)が導かれる。Cq2は光増感剤の存在下でのクエンチャの分解の反応速度定数、IはUV露光強度、Sは1回目のベーク終了時の光増感剤の濃度、Fは全体露光の露光量である。
Figure 0007360799000032
2回目のベークにおいて、酸の濃度Hは、下記式(28a)で表される速度でH2iから減少し、クエンチャの濃度Qは下記式(28b)で表される速度でQ2iから減少する。kn2はクエンチャと酸との中和反応の反応速度定数である。
Figure 0007360799000033
2回目のベークにおける保護されたポリマーの濃度Mは、下記式(28)で表される速度で、1回目のベーク終了時の濃度から減少する。kX2はポリマーの脱保護反応の反応速度定数を示し、Hは酸の濃度を示す。
Figure 0007360799000034
式(28a)、(28b)及び(28c)と、M、H2i及びQ2iから、有限差分法によって2回目のベーク終了時の各位置における保護されたポリマーの濃度M(潜像)が計算される。各Mの値が、下記式(29)によって、規格化されたポリマーの濃度mに変換され、それにより規格化された濃度mの潜像を得ることができる。Mは保護されたポリマーの初期濃度である。
Figure 0007360799000035
規格化されたポリマーの濃度mを、下記式(30)により、添加剤によるポリマーの溶解性への影響を考慮した値mdevに補正してもよい。Δm、Δm、Δm、Δm、Δm、Δm、及びΔmは、それぞれ、光酸発生剤、光酸発生剤から生成した酸、クエンチャ、クエンチャの分解により生成した弱酸、光増感剤前駆体、光増感剤、保護されたポリマー、及び脱保護されたポリマーの各成分によるレジスト膜の現像液に対する溶解性への影響の程度を反映した値である。d、d、d、d、d、及びdは、それぞれ、各添加剤の現像への影響の程度を示す係数である。任意の成分Aの現像液への溶解性が、脱保護されたポリマーの現像液への溶解性よりも高い成分の場合、d<0である。任意の成分Aの現像液への溶解性が、脱保護されたポリマーの現像液への溶解性よりも低い成分の場合、d>0である。
Figure 0007360799000036
工程B
求められた各位置における規格化されたポリマーの濃度mの値から、目標パターンのエッジの位置におけるポリマーの濃度の変化率dm/dxが計算される。又は、mdevの値から補正された濃度の変化率dmdev/dxが計算される。
工程C
工程Cでは、目標パターンのエッジの位置における保護されたポリマーの濃度の確率論的ばらつきが計算される。そのために、まず、2回目のベークにおける中和反応後の酸の濃度の確率論的ばらつきが計算される。光酸発生剤及びクエンチャの濃度分布(濃度のばらつき)に起因する酸濃度の確率論的ばらつきは、第一実施形態の式(10c)と同様の考え方により、下記式(31a)で表される。ここでの確率論的ばらつきは、中和後の酸の濃度T(=H2i-Q2i)が脱保護反応の閾値Tであるときの値に規格化されている。
Figure 0007360799000037
光子のショットノイズに起因する酸の濃度の確率論的ばらつきは、第一実施形態の式(9c)と同様の考え方により、下記式(31b)で表される。Q1iはパター露光後のクエンチャの濃度、<N>は特定領域内に入射する光子の個数の平均値である。ここでも、確率論的ばらつきは、中和後の酸の濃度T(=H2i-Q2i)が脱保護反応の閾値Tであるときの値に規格化されている。
Figure 0007360799000038
次に、光増感剤の濃度分布(濃度のばらつき)に起因する酸の濃度の確率論的ばらつきについて検討する。光増感剤の濃度Sの標準偏差は、下記式(32)で表される。<Ns>は体積Vの特定領域における光増感剤の個数の平均値である。光増感剤の濃度のばらつきは下記式(33)で表される。<N>は体積Vの特定領域におけるクエンチャの個数の平均値である。
Figure 0007360799000039
光増感剤の濃度分布(濃度のばらつき)に起因する、全体露光により生成する酸の濃度H’のばらつきは、これが光子の個数のばらつきに比例すると仮定すると、下記式(34)で表される。Hは1回目のベーク終了時の酸濃度、H2iは全体露光後の酸濃度、Tは中和後の酸の濃度の脱保護反応に関する閾値である。
Figure 0007360799000040
光増感剤の濃度分布(濃度のばらつき)に起因する、全体露光により分解するクエンチャの濃度Q’のばらつきは、分解するクエンチャの量が光子の数に比例すると近似すると、下記式(35)で表される。Qは1回目のベーク後のクエンチャの濃度、Q2iは全体露光後のクエンチャの濃度である。
Figure 0007360799000041
全体露光により生成する酸の濃度及びクエンチャの分解を考慮した、光増感剤の濃度分布(濃度のばらつき)に起因する酸の濃度の確率論的ばらつきは、酸の濃度Tが脱保護反応の閾値Tであるとき、下記式(36)で表される。
Figure 0007360799000042
以上より、中和後の酸の濃度Tの閾値Tで規格化された確率論的ばらつきは、下記式(37)によって計算される。
Figure 0007360799000043
酸の濃度分布(濃度のばらつき)に起因する、脱保護されたポリマーの濃度Xの確率論的ばらつきは、これが酸濃度のばらつきに比例すると仮定すると、下記式(38)で表される。ここでは濃度Xが保護されたポリマーの初期濃度Mで規格化されている。保護されたポリマーの濃度Mの確率論的ばらつきが、脱保護されたポリマーの濃度Xの確率論的ばらつきと同じであるとすると、酸の濃度分布(濃度のばらつき)に起因する、保護されたポリマーの酸の確率論的ばらつきは、下記式(39)で計算される。
Figure 0007360799000044
脱保護されたポリマーの濃度Xの標準偏差は、下記(40)で表される。<N>は体積Vの特定領域内における脱保護されたポリマーの数の平均値である。ポリマーの濃度分布に起因する濃度Xの確率論的ばらつきは下記(41)で表される。
Figure 0007360799000045
保護されたポリマーの濃度Mの確率論的ばらつきが、脱保護されたポリマーの濃度Xのばらつきと同じであるとすると、2回目のベーク後の保護されたポリマーの濃度Mの確率論的ばらつきは、下記式(42)で表される。
Figure 0007360799000046
以上より、酸の濃度分布、及び保護されたポリマーの濃度分布に起因する、保護されたポリマーの濃度Mの確率論的ばらつきは、下記式(43)で計算される。σT/<N>は式(37)により計算される。
Figure 0007360799000047
更に、保護されたポリマーの濃度のばらつきを、現像されるレジスト膜に含まれる各成分の現像液に対する溶解性及び濃度のばらつきがレジスト膜の溶解性に与える影響を考慮して補正してもよい。任意の成分Aの濃度のばらつきがレジスト膜の現像性(溶解性)に与える影響の程度は、下記式(44)により表される。<N>は特定領域における成分Aの数の平均値、Δmは成分Aによるポリマーの濃度mへの影響の程度を示す値であり、dは、成分Aの現像への影響の程度を示す係数である。
Figure 0007360799000048
レジスト膜に成分のうち光増感剤については、更に、下記式(45)及び(46)により、光子のショットノイズに起因する濃度のばらつきの影響を考慮してもよい。
Figure 0007360799000049
以上より、レジスト膜に含まれる各成分のレジスト膜の現像性(溶解性)に対する影響を考慮した、規格化されたポリマーの濃度mの確率論的ばらつき(標準偏差)は、下記式(47)によって計算される。ここでは保護されたポリマー濃度Mのばらつき及び脱保護されたポリマーXの濃度のばらつきも考慮される。
Figure 0007360799000050
工程D
工程Dでは、工程Bで計算した濃度の変化率と工程Cで計算した確率論的ばらつきとからパターンエッジラフネスのばらつき(パターン寸法ばらつき)が計算される。下記式(48)のとおり、工程Cの保護されたポリマーの濃度の確率論的ばらつきを工程Bの保護されたポリマーの変化率で除して、確率論的ばらつきの次元を放射線の照射位置の次元に変換することにより、確率論的ばらつきに起因するパターンエッジラフネスのばらつきの指標であるノイズインデックスが計算される。ここで、Nindexはノイズインデックスである。係数nは、標準偏差の何倍を基準にするパターン寸法で議論するかを規定するものである。通例n=3で議論されることが多い。評価関数であるノイズインデックスNindexがある閾値以下であれば、設定したパターン形成条件が、ストキャスティクスを考慮しても、パターンエッジラフネスのばらつきが十分低減されたと判断することができる。
Figure 0007360799000051
(工程E)
第一実施形態と同様に、より小さいノイズインデックスNindexが得られるように再計算することにより、レジスト材料の組成及びパターン形成条件等の最適化が実施される。あるいは、レジスト材料の組成、又は放射線の照射条件を変更してパターンエッジラフネスのばらつきを再計算し、パターンエッジラフネスのばらつきが目標値以下となる放射線の照射条件の範囲がより広くなるレジスト材料の組成を選択することにより、レジスト材料の組成を最適化してもよい。
以上説明した方法において、光増感剤前駆体に関する部分を除いて計算することにより、第一実施形態と同様の化学増幅型レジスト材料の組成及びパターン形成条件等の最適化を実施することもできる。
第一実施形態又は第二実施形態において例示された工程A、工程B、工程C及び工程Dを含む方法によってレジストパターンをシミュレーションし、その結果を上述のレジスト材料の組成の最適化以外のために利用することもできる。例えば、レジストパターンのパターンエッジラフネスのばらつきを上記方法によって目標パターンの延在方向(目標パターンエッジに沿った方向)に沿って連続する位置で計算し、それによって二次元のパターンエッジラフネスのばらつきの計算結果を得ることと、得られた計算結果に基づいて、放射線の照射条件、又は目標パターンのうち少なくとも一方を最適化することとを含む方法によって、放射線の照射条件、又は目標パターンを最適化することができる。この方法により、例えば、放射線の光源の形状とパターン露光のためのマスクの形状とを同時に最適化してもよい。また、パターンエッジラフネスのばらつきを考慮しても短絡が生じないように目標パターンを設計するために、このシミュレーションの結果を利用してもよい。
<最適化された組成を有するレジスト材料>
上記最適化方法に従って導かれたレジスト材料の組成を以下に示す。
[化学増幅型レジスト材料]
第一の態様に係る化学増幅型レジスト材料(以下、場合により、単に「第一のレジスト材料」という。)は、ベース成分と、光酸発生剤と、光分解型クエンチャとを含み、当該レジスト材料の全質量基準で、光酸発生剤の含有量が3質量%以上であり、光分解型クエンチャの含有量が3質量%以上である。これらの含有量の上限は、レジスト材料が含有しても特性が大きく劣化しない範囲で決まり、およそ35質量%以下である。また、当該レジスト材料の全質量基準で、光酸発生剤と上記光分解型クエンチャとの含有量の合計割合が12質量%以上である。第一のレジスト材料の組成は、上記最適化方法において、酸発生剤、光分解型クエンチャの含有量を変化させ、ノイズ指数を計算することにより導かれたものである。
第一のレジスト材料の組成を最適化するシミュレーションにおいて設定したパラメータは下記表1に記載のとおりである。
Figure 0007360799000052
上記光酸発生剤の含有量は、上記レジスト材料の全質量基準で、3~35質量%であり、5~35質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましく、20~35質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内で、光酸発生剤の含有量が大きいほど、ノイズインデックスを低く抑えることができる。
また、上記光分解型クエンチャの含有量は、上記レジスト材料の全質量基準で、3~35質量%であり、5~35質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましく、20~35質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内で、光分解型クエンチャの含有量が大きいほど、ノイズインデックスを低く抑えることができる。また、第一のレジスト材料の組成を最適化するにあたり、パターン露光の露光量Eを30mJ/cmに設定している。この場合、光酸発生剤及び光分解型クエンチャの含有量が5質量%であることにより、パターン露光後に酸を十分残すことができ、パターン寸法のばらつきを低減することができる。
さらに、第一のレジスト材料では、当該レジスト材料の全質量基準で、光酸発生剤と光分解型クエンチャとの含有量の合計が12質量%以上である。図4は、上記最適化方法において、レジスト材料中の光酸発生剤(PAG)と光分解型クエンチャ(PDB)の合計質量割合を変化させたときのノイズインデックスNindex(nm)の挙動の一例を示すグラフである。図4のグラフから明らかなように、光酸発生剤と光分解型クエンチャの含有量の合計が大きくなるにしたがって、ノイズインデックスNindexが低下している。光酸発生剤と光分解型クエンチャとの含有量の合計が12質量%以上である場合にパターン寸法ばらつきが良好であるといえる。また、より低いノイズインデックスNindexを得る観点からは、光酸発生剤と光分解型クエンチャとの含有量の合計が15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが一層好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
上記ベース成分の含有量は、上記レジスト材料の全質量基準で、6~70質量%であることが好ましく、8~60質量%であることがより好ましく、10~50質量%であることがさらに好ましく、10~40質量%であることが特に好ましい。
光酸発生剤及び光分解型クエンチャとしては、例えば、オニウム塩化合物、ジアゾメタン化合物、及びスルホンイミド化合物等が挙げられる。また、オニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩化合物、テトラヒドロチオフェニウム塩化合物、及びヨードニウム塩化合物等が挙げられる。光酸発生剤の酸発生速度及び光分解型クエンチャの分解速度は主に上記化合物のカチオン部分の構造に依存する。第一のレジスト材料における光酸発生剤の酸発生速度は、0.001~2cm/mJであってよく、0.01~0.1cm/mJであってよく、0.02~0.05cm/mJであってよい。また、第一のレジスト材料における光分解型クエンチャの分解速度は、0.001~2cm/mJであってよく、0.01~0.1cm/mJであってよく、0.02~0.05cm/mJであってよい。なお、上記光酸発生剤の酸発生速度及び光分解型クエンチャの分解速度は、波長13.5nmの放射線(EUV)が照射されたときの値である。
レジスト材料が複数種のオニウム塩化合物等を含む場合、これらの化合物が光酸発生剤として機能するか、光分解型クエンチャとして機能するかは、アニオン部分の種類によって決まる。すなわち、複数のオニウム塩化合物等のうちアニオンとしてより強い酸を有する化合物が光酸発生剤となり、より弱い酸を有する化合物が光分解型クエンチャとなる。アニオンとしては、スルホン酸基、ハロゲン原子で置換されたスルホン酸基、カルボン酸基、ハロゲン原子で置換されたカルボン酸基、ビス(アルキルスルホニル)アミド基、ハロゲン原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)アミド基、トリス(アルキルスルホニル)メチド基、及びハロゲン原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチド基等が挙げられる。アニオンがハロゲン原子で置換されている場合、特にフッ素原子で置換されている場合、より強い酸となる傾向がある。オニウム塩等が光酸発生剤であるためには、アニオンはレジスト膜中でも電離可能な超強酸であることが好ましい。
ベース成分としては、例えば、フェノール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン系樹脂、及びポリエステル樹脂等の高分子化合物が挙げられる。高分子化合物は極性基を有しており、上記極性基は酸不安定基で保護されていることが好ましい。
第一のレジスト材料は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により光増感剤を発生する光増感剤前駆体を含んでいてもよい。この場合、第一のレジスト材料は光増感化学増幅型レジスト材料となる。また、第一のレジスト材料は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤の機能と、当該放射線の照射により光増感剤を発生する光増感剤前駆体の機能とを併せ持つ、酸-光増感剤発生剤を含んでいてもよい。
第一のレジスト材料が光増感剤前駆体を含む場合の、光増感剤前駆体の含有量は、ベース成分100質量部に対して、例えば、0.1~30質量部であることができ、0.1~15質量部であることができ、0.1~5質量部であることができる。また、第一のレジスト材料が酸-光増感剤発生剤を含む場合の、酸-光増感剤前駆体の含有量は、ベース成分100質量部に対して、例えば、0.1~30質量部であることができ、0.1~15質量部であることができ、0.1~5質量部であることができる。
さらに、第一のレジスト材料は、光吸収シフト型光酸発生剤を含んでいてもよい。光吸収シフト型光酸発生剤は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により、酸を発生する光酸発生剤の機能と、酸により酸発生剤自体の吸収を変化させ、300nm以上の波長を用いた全体露光時に放射線の照射部位だけで酸発生剤の分解反応性が上がる機能とを併せ持つ。すなわち、第一のレジスト材料における上記光酸発生剤は光吸収シフト型光酸発生剤であってもよい。光吸収シフト型光酸発生剤は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により外れる酸不安定基を有する。上記酸不安定基が外れることにより300nmを超える波長を有する放射線の照射により酸を発生する。
第一のレジスト材料は、上記最適化方法の効果を阻害しない範囲で、架橋剤、添加剤、及び溶剤などを適宜含むこともできる。
レジスト材料が架橋剤を含む場合の架橋剤の含有量は、ベース成分100質量部に対し、例えば、40質量部以下、0.1~25質量部、又は0.2~10質量部である。
レジスト材料が架橋剤を含む場合の添加剤の含有量は、ベース成分100質量部に対し、例えば、30質量部以下であり、0.1~10質量部、又は0.2~5質量部である。
レジスト材料が架橋剤を含む場合の溶剤の含有量は、ベース成分100質量部に対し、例えば、200~10000質量部であり、又は、300~5000質量部である。
第二の態様に係る化学増幅型レジスト材料(以下、場合により、単に「第二のレジスト材料」という。)は、ベース成分と、光酸発生剤と、光分解型クエンチャとを含み、上記光分解型クエンチャの分解速度の上記光酸発生剤の分解速度に対する比が0.6~2.0である。第二のレジスト材料の組成は、上記最適化方法において、酸発生剤、光分解型クエンチャの分解速度を変化させ、ノイズ指数を計算することにより導かれたものである。なお、上記光酸発生剤及び光分解型クエンチャの分解速度は、波長13.5nmの放射線(EUV)が照射されたときの値である。
第二のレジスト材料の組成を最適化するシミュレーションにおいて設定したパラメータは下記表2に記載のとおりである。
Figure 0007360799000053
図5は、上記最適化方法において、レジスト材料中の光酸発生剤(PAG)の分解速度に対する光分解型クエンチャ(PDB)の分解速度の比(C/C)を変化させたときのノイズインデックスNindex(nm)の挙動の一例を示すグラフである。図5のグラフから明らかなように、比(C/C)が0.6~2.0の範囲内にあるときノイズインデックスNindex(nm)が低く、パターン寸法ばらつきが少ないことが確認できる。第二のレジスト材料によれば、パターンエッジ部でのクエンチャの濃度を下げることができ、クエンチャの濃度ばらつきによるパターン寸法のばらつきを抑えることができる。
光酸発生剤は、その化学構造に固有の分解速度を有しており、光吸収が大きいか電子捕捉能が高ければより高く、光吸収が小さいか電子捕捉能が低ければより低い分解速度を有する傾向がある。
光酸発生剤が、例えば、スルホニウム塩である場合、スルホニウムカチオン部分に電子吸引性の置換基を入れることで、還元電位が上がり、分解性が高くなる。
光分解型クエンチャも同様に、その化学構造に固有の分解速度を有しており、光吸収が大きいか電子捕捉能が高ければより高く、光吸収が小さいか電子捕捉能が低ければより低い分解速度を有する傾向がある。
光分解型クエンチャは、例えば、スルホニウム塩である場合、スルホニウムカチオン部分に電子吸引性の置換基を入れることで、還元電位が上がり、分解性が高くなる。
ベース成分には第一のレジスト材料と同様のものを用いることができる。
第二のレジスト材料中の上記光酸発生剤の含有量は、ベース成分100質量部に対し、好ましくは3~50質量部、より好ましくは15~40質量部である。光酸発生剤の含有量が3質量%以上であると十分な感度が得られやすく、他方、50質量部以下であると矩形のレジストパターンが得られやすい。
また、第二のレジスト材料中の上記光分解型クエンチャの含有量は、ベース成分100質量部に対し、好ましくは3~20質量部であり、より好ましくは5~40質量部である。光分解型クエンチャの含有量が3質量部以上とすることで、酸の潜像のコントラストが向上しやすくなる。
第二のレジスト材料は、上記最適化方法の効果を阻害しない範囲で、架橋剤、添加剤、及び溶剤などを適宜含むこともできる。含有量は第一のレジスト材料と同様である。
第二のレジスト材料は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により光増感剤を発生する光増感剤前駆体を含んでいてもよい。この場合、第二のレジスト材料は光増感化学増幅型レジスト材料となる。また、第二のレジスト材料は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤の機能と、当該放射線の照射により光増感剤を発生する光増感剤前駆体の機能とを併せ持つ、酸-光増感剤発生剤を含んでいてもよい。第二のレジスト材料が光増感剤前駆体又は酸-光増感剤発生剤を含む場合のこれらの含有量は、第一のレジスト材料における含有量の範囲と同様であることができる。
さらに、第二のレジスト材料は、光吸収シフト型光酸発生剤を含んでいてもよい。光吸収シフト型光酸発生剤は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により、酸を発生する光酸発生剤の機能と、酸により酸発生剤自体の吸収を変化させ、300nm以上の波長を用いた全体露光時に放射線の照射部位だけで酸発生剤の分解反応性が上がる機能とを併せ持つ。すなわち、第二のレジスト材料における上記光酸発生剤は光吸収シフト型光酸発生剤であってもよい。光吸収シフト型光酸発生剤は、300nm以下の波長を有する放射線の照射により外れる酸不安定基を有する。上記酸不安定基が外れることにより300nmを超える波長を有する放射線の照射により酸を発生する。
第二のレジスト材料も、第一のレジスト材料と同様に、上記最適化方法の効果を阻害しない範囲で、架橋剤、添加剤、及び溶剤などを適宜含むこともできる。第二のレジスト材料における上記材料の含有量の範囲は、第一のレジスト材料における含有量の範囲と同様であることができる。
<レジスト材料の組成等の最適化方法を行う演算部を備える装置>
レジスト材料の組成等の上記最適化方法を行う演算部を備える装置の一実施形態について以下に説明する。図6は本開示の一実施形態に係る装置の構成を示すブロック図である。図6に示すとおり、本実施形態に係る装置10は、調製装置2、塗布装置4、露光装置6、及び現像装置8を備え、調製装置2は供給部及び混合部を含み、塗布装置4は吐出部を含み、露光装置6は照射部を含み、現像装置8は現像部を含む。
装置10はさらに演算部及び制御部を含んでおり、演算部では上記最適化方法が実施される。演算部は、最適化されたレジスト材料の組成に関する情報に基づき、上記制御部に上記供給部を制御する指示を与える。演算部はまた、最適化された放射線照射条件に関する情報に基づき、上記制御部に上記照射部を制御する指示を与える。
制御部は、演算部からの指示に従い上記供給部及び上記照射部を制御する。これにより、最適化された組成を有するレジスト材料を用いて、最適化された放射線照射条件により、レジストパターンを形成することができる。
供給部は、制御部により制御されて、レジスト材料を構成する適切な材料を適切な量比で混合物に供給する。混合部は、供給部から供給された材料を混合する。混合によりレジスト材料が得られる。得られたレジスト材料は、塗布装置4に供給される。レジスト材料は吐出部より基板上に吐出される。形成された塗膜は、必要に応じて乾燥され、レジスト膜となる。レジスト膜が形成された基板は、露光装置6に供給される。照射部より上記レジスト膜に対して、300nm以下の波長を有する放射線が照射される。放射線照射後のレジスト膜は、必要に応じて加熱され、放射線照射により発生した酸によるベース成分の脱保護反応及び架橋反応等を促進する。放射線照射後のレジスト膜が形成された基板は、現像装置8に供給される。現像部にてレジスト膜を現像液に接触させることにより、放射線照射部又は未照射部のレジスト膜が選択的に溶解・除去される。装置10では、以上のようにして、レジスト材料が調製され、レジストパターンが形成される。
本開示における装置は、演算部と、制御部と、調製装置(供給部及び混合部)とを備えていればよく、塗布装置、露光装置及び現像装置を備えていなくても差し支えない。また、上記では、図6等で演算部及び制御部が調製装置等の外部にある場合を示したが、調製装置等に内蔵されていてもよい。
また、演算部は、上記最適化方法を実行するプログラムを記録した後述する記録媒体により、その機能を付与されるものであってもよい。この場合、装置は、記録媒体からプログラムを読み取る読取部(不図示)をさらに備える。
<最適化方法を実行するプログラムを記録した記録媒体>
上記最適化方法を実行するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の一実施形態について以下に説明する。記録媒体としては、例えば、ハードディスク、コンパクトディスク、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、メモリカード等が挙げられる。記録媒体には、上記工程A~工程Eを備える方法を実行させるためのプログラムが記録されているが、上記プログラムが実行する方法は上記工程Eを備えていなくても差し支えない。
2…調製装置、4…塗布装置、6…露光装置、8…現像装置、10…装置。

Claims (3)

  1. レジスト材料から形成されるレジスト膜に対して、300nm以下の波長を有する放射線を目標パターンに沿って照射する工程を経て形成されるレジストパターンをシミュレーションする方法であって、
    当該方法は、
    (A)目標パターンに沿って前記放射線を照射した後の前記レジスト膜中の活性種の濃度の、前記放射線の照射位置に対する潜像を計算する工程と、
    (B)前記潜像に基づき、前記目標パターンのエッジにおける前記照射位置に対する前記濃度の変化率を計算する工程と、
    (C)前記目標パターンのエッジにおける前記濃度の確率論的ばらつきを計算する工程と、
    (D)前記濃度の変化率と前記濃度の前記確率論的ばらつきとからパターンエッジラフネスのばらつきを計算する工程と、
    を備え、
    前記放射線が波長13.5nmのEUV光であり、
    前記レジスト材料が光酸発生剤及び光分解型クエンチャを含む化学増幅型レジスト材料であり
    前記(A)工程における前記活性種が酸であり、
    前記光酸発生剤及び前記光分解型クエンチャが吸収する放射線量が、前記放射線が前記レジスト膜に対して照射される前の前記光酸発生剤及び前記光分解型クエンチャの濃度の比率と同じ比率で、前記放射線が前記光酸発生剤及び前記光分解型クエンチャに分配された量であると近似する、方法。
  2. 前記レジスト材料は、前記光酸発生剤、光増感剤前駆体、及び前記光分解型クエンチャを含む光増感化学増幅型レジスト材料である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記レジスト材料が前記光酸発生剤、前記光分解型クエンチャ及び光増感剤前駆体を含み、
    前記光酸発生剤の前記放射線が照射される前の濃度、前記光分解型クエンチャの前記放射線が照射される前の濃度、前記放射線による前記光酸発生剤からの酸生成の反応速度、前記放射線による前記光分解型クエンチャの分解の反応速度、前記光増感剤前駆体の濃度、前記光増感剤前駆体の分解による光増感剤の生成の反応速度、前記光増感剤の存在下での300nmを超える波長を有する放射線による前記酸発生剤からの酸生成の反応速度、及び、前記光増感剤の存在下での300nmを超える波長を有する放射線による前記光分解型クエンチャの分解の反応速度のうち少なくとも一つのパラメータを含む計算式により、前記濃度の前記変化率、及び前記濃度の前記確率論的ばらつきが計算される、請求項1に記載の方法。
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