JP7358892B2 - 通信装置、及び通信方法 - Google Patents

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Description

本開示は、通信装置、及び通信方法に関する。
非特許文献1、2には、全二重(FD:Full Duplex)通信又はMIMO(Multiple Input and Multiple Output)通信のために、複数のアンテナを用いる技術が開示されている。非特許文献1、2では、複数位相でアンテナの回り込み信号をキャンセルしている。
Mohammad A. Khojastepour, et. al., "The Case for Antenna Cancellation for Scalable Full-Duplex Wireless Communications" Hotnets ’11, November 14-15, 2011, Cambridge, MA, USA. Ehsan Aryafar, et. al., "MIDU: Enabling MIMO Full Duplex" MobiCom’12, August 22-26, 2012, Istanbul, Turkey.
全二重無線通信装置又は無線中継装置では、送信用のアンテナが信号を送信している間に、受信用のアンテナが信号を受信する。送信と受信の周波数が同一、又は近接している場合、送信から受信への回り込みが発生する。つまり、送信用のアンテナから空間に放射された電波が、受信側で干渉となり、受信特性が劣化してしまうという課題がある。また、無線通信機の設置の自由度を確保するため、オムニ指向性が要求されることがある。
本開示の目的は、オムニ指向性を有し、かつ受信特性の優れた通信装置、及び通信方法を提供することにある。
本開示にかかる通信装置は、第1の方向を向いて配置され、第1の偏波の信号を送受信する第1の指向性アンテナと、前記第1の方向の反対方向である第2の方向を向いて配置され、前記第1の偏波の信号を送受信する第2の指向性アンテナであって、前記第1の指向性アンテナとともに第1のペアとなる第2の指向性アンテナと、前記第2の方向を水平方向に90°又は180°回転した第3の方向を向いて配置され、前記第1の偏波に直交する第2の偏波の信号を送受信する第3の指向性アンテナと、前記第3の方向の反対方向である第4の方向を向いて配置され、前記第2の偏波の信号を送受信する第4の指向性アンテナであって、前記第3の指向性アンテナとともに第2のペアとなる第4の指向性アンテナと、前記第1の指向性アンテナに設けられた第1の給電点と、前記第2の指向性アンテナに設けられ、前記第1の給電点と同相となるように配置された第2の給電点と、前記第3の指向性アンテナに設けられた第3の給電点と、前記第4の指向性アンテナに設けられ、前記第3の給電点と逆相となるように配置された第4の給電点と、を備え、前記第1のペア又は前記第2のペアで受信した受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調する受信回路と、を備えている。
本開示にかかる通信方法は、第1の給電点を有する第1の指向性アンテナと、第2の給電点を有する第2の指向性アンテナとを含む第1のペアを用いて、送信及び受信の一方を行うステップと、第3の給電点を有する第3の指向性アンテナと、第4の給電点を有する第4の指向性アンテナとを含む第2のペアを用いて、送信及び受信の他方を行うステップと、前記第1のペア、又は第2のペアで受信した受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調するステップと、を備え、前記第1の指向性アンテナ、及び第2の指向性アンテナが、第1の偏波の信号を送受信し、前記第3の指向性アンテナ、及び第4の指向性アンテナが、前記第1の偏波に直交する第2の偏波の信号を送受信し、前記第1の指向性アンテナが、第1の方向を向いて配置され、前記第2の指向性アンテナが、第1の方向と反対方向の第2の方向を向いて配置され、第3の指向性アンテナが、前記第2の方向を水平方向に90°又は180°回転した第3の方向を向いて配置され、第4の指向性アンテナが、前記第3の方向の反対方向である第4の方向を向いて配置され、前記第1の給電点と前記第2の給電点が同相となるように配置され、前記第3の給電点と前記第4の給電点が逆相となるように配置されている。
本開示によれば、オムニ指向性を有し、かつ受信特性の優れた通信装置、及び通信方法を提供することができる。
通信装置のアンテナ装置の構成を模式的に示す図である。 第1アンテナであるパッチアンテナの構成を模式的に示すYZ断面図である。 1つのアンテナでのアイソレーション特性を示す図である。 2つのアンテナの受信信号を合成した場合のアイソレーション特性を示す図である。 アンテナ装置の方位角の指向性のシミュレーション結果を示す図である。 本実施の形態にかかる通信装置を示すブロック図である。 復調信号処理回路の一例を示すブロック図である。 変形例に係る通信回路を示すブロック図である。 可変分配回路を示す模式図である。 実施の形態2において、第3アンテナ3及び第4アンテナ4の配置を模式的に示す斜視図である。 実施の形態2において、第3アンテナ3及び第4アンテナ4の配置を模式的に示す斜視図である。 その他の実施の形態にかかるアンテナ装置の構成を模式的に示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明を省略する。
本実施の形態に係る通信装置は、例えば、フェムトセル通信用の無線中継装置に用いられるものである。無線中継装置は、端末との通信機能と、基地局との通信機能との両方を有している。よって、無線中継装置は、端末に向けて無線信号を送信するとともに、基地局からの無線信号を受信することがある。あるいは、無線中継装置は、基地局に向けて無線信号を送信するとともに、端末からの無線信号を受信することがある。この場合、送信信号が受信側に回り込んで、受信特性が劣化する。
ところで、通信装置のアンテナ装置は、オムニ指向性を有していることが好ましい。つまり、アンテナ装置は、0°~360°の方位角をカバーすることが好ましい。例えば、オムニ指向性を有していないアンテナ装置の場合、設置角度や方向が制限されてしまう。これに対して、アンテナ装置がオムニ指向性を有している場合、どのような角度に設置した場合でも無線通信が可能となる。特に、家庭等に無線中継局として、アンテナ装置を設置する場合、オムニ指向性を有することが要求される。本実施の形態では、オムニ指向性を有し、かつ、回り込みによる受信特性の劣化を抑制することができるアンテナ装置を提供することができる。
実施の形態1.
本実施の形態1にかかる通信装置に用いられるアンテナ装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、アンテナ装置100の構成を模式的に示す斜視図である。アンテナ装置100が基地局との通信機能及び端末との通信機能を有する無線中継局に用いられるものとして説明を行う。図1では説明の明確化のためにXYZ3次元直交座標系を示している。例えば、Y方向は鉛直方向であり、XZ平面は水平面となっている。XZ平面内での方向が方位角となる。
アンテナ装置100は第1アンテナ1~第8アンテナ8を備えている。第1アンテナ1~第8アンテナ8は指向性を有するパッチアンテナである。第1アンテナ1~第8アンテナ8は、誘電体基板111に形成された表面導体112及び裏面導体113を有している。なお、パッチアンテナの構成については後述する。
パッチアンテナは放射素子の向き、つまり、表面導体112の向きに応じた指向性を有している。第1アンテナ1~第8アンテナ8は、平面状に形成された平面アンテナである。第1アンテナ1~第8アンテナ8はXY平面と平行に配置されている。
第1アンテナ1、第2アンテナ2、第5アンテナ5、及び第6アンテナ6が、基地局との通信機能用のアンテナである。第1アンテナ1、第2アンテナ2、第5アンテナ5、及び第6アンテナ6を用いることで、基地局との無線通信が可能となる。第3アンテナ3、第4アンテナ4、第7アンテナ7、及び第8アンテナ8が端末との通信機能用のアンテナである。第3アンテナ3、第4アンテナ4、第7アンテナ7、及び第8アンテナ8を用いることで、端末との無線通信が可能となる。
第1アンテナ1、第2アンテナ2、第5アンテナ5、及び第6アンテナ6が、V偏波(垂直偏波)の無線信号を送受信する。第3アンテナ3、第4アンテナ4、第7アンテナ7、及び第8アンテナ8が、H偏波(水平偏波)の無線信号を送受信する。
第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7は、同一のXY平面上に配置されている。つまり、第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7のZ位置は同じである。第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7は-Z方向を向いて配置されている。第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7は-Z軸方向を中心とする方位に指向性を有している。
同様に、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は同一のXY平面上に配置されている。つまり、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8のZ位置は同じである。第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は+Z方向を向いて配置されている。第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は+Z軸方向を中心とする方位に指向性を有している。
例えば、第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7は0°~180°の方位角の範囲に感度を有し、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8が180°~360°の範囲に感度を有しているとする。
第1アンテナ1と第2アンテナ2とは、反対方向を向いて配置されている。第1アンテナ1の受信信号と第2アンテナ2の受信信号とが合成される。また、送信信号は分岐されて、第1アンテナ1及び第2アンテナ2から空間に放射される。互いに反対向きに配置された第1アンテナ1と第2アンテナ2とがペアとなってオムニ指向性を実現することができる。第1アンテナ1と第2アンテナ2のペアを第1のペアとする。第1アンテナ1と第2アンテナ2とはXY平面において重複するように配置されている。第1アンテナ1と第2アンテナ2とはXY平面における位置が一致している。
第3アンテナ3と第4アンテナ4とは、反対方向を向いて配置されている。同様に、第3アンテナ3と第4アンテナ4とがペアとなっている。第3アンテナ3と第4アンテナ4のペアを第2のペアとする。第3アンテナ3の受信信号と第4アンテナ4の受信信号とが合成される。また、送信信号は分岐されて、第3アンテナ3及び第4アンテナ4から空間に放射される。また、第3アンテナ3の給電点13と第4アンテナ4の給電点14は、互いに鏡像関係となる位置に配置されている。互いに反対向きに配置された第3アンテナ3と第4アンテナ4とがペアとなってオムニ指向性を実現することができる。第3アンテナ3と第4アンテナ4とはXY平面において重複するように配置されている。第3アンテナ3と第4アンテナ4とはXY平面における位置が一致している。第3アンテナ3は、第2アンテナ2の方向を水平方向(Y軸周り)に180°回転した方向を向いて配置されている。
第5アンテナ5と第6アンテナ6とは、反対方向を向いて配置されている。同様に、第5アンテナ5と第6アンテナ6とがペアとなっている。第5アンテナ5と第6アンテナ6のペアを第3のペアとする。第5アンテナ5の受信信号と第6アンテナ6の受信信号とが合成される。また、送信信号は分岐されて、第5アンテナ5及び第6アンテナ6から空間に放射される。互いに反対向きに配置された第5アンテナ5と第6アンテナ6とがペアとなってオムニ指向性を実現することができる。第5アンテナ5と第6アンテナ6とはXY平面において重複するように配置されている。第5アンテナ5と第6アンテナ6とはXY平面における位置が一致している。
第7アンテナ7と第8アンテナ8とは、反対方向を向いて配置されている。同様に、第7アンテナ7と第8アンテナ8とがペアとなっている。第7アンテナ7と第8アンテナ8のペアを第4のペアとする。第7アンテナ7の受信信号と第8アンテナ8の受信信号とが合成される。また、送信信号は分岐されて、第7アンテナ7及び第8アンテナ8から空間に放射される。また、第7アンテナ7の給電点17と第8アンテナ8の給電点18は、互いに鏡像関係となる位置に配置されている。互いに反対向きに配置された第7アンテナ7と第8アンテナ8とがペアとなってオムニ指向性を実現することができる。第7アンテナ7と第8アンテナ8とはXY平面において重複するように配置されている。第7アンテナ7と第8アンテナ8とはXY平面における位置が一致している。第7アンテナ7は、第6アンテナ6の方向を水平方向(Y軸周り)に180°回転した方向を向いて配置されている。
第5アンテナ5は、第1アンテナ1の+X側に配置されている。第3アンテナ3は、第1アンテナ1の-Y側に配置されている。第7アンテナ7は、第3アンテナ3の+X側かつ、第5アンテナの-Y側に配置されている。よって、第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7は、同一XY平面上において、2×2のアレイ状に配置されている。同様に、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は、同一XY平面上において、2×2のアレイ状に配置されている。
第1アンテナ1には給電点11が設けられている。給電点11は、第1アンテナ1に給電する。同様に第2アンテナ2~第8アンテナ8には給電点12~18が設けられている。給電点12~18は、それぞれ第2アンテナ2~第8アンテナ8に給電する。隣接するアンテナが近距離にある場合、送信信号が受信側に回り込み、干渉となるおそれがある。以下に、干渉を抑制するための構成を説明する。
ペアとなる2つのアンテナの給電点のXY位置は一致している。例えば、XY平面視において、第1アンテナ1の給電点11と第2アンテナ2の給電点12とは一致している。同様に、XY平面視において、第3アンテナ3の給電点13と第4アンテナ4の給電点14の位置は一致している。XY平面視において、第5アンテナ5の給電点15と第6アンテナ6の給電点16の位置は一致している。XY平面視において、第7アンテナ7の給電点17と第8アンテナ8の給電点18の位置は一致している。
ここで、パッチアンテナの構成について説明する。図2は、パッチアンテナである第1アンテナ1の構成を示す断面図である。具体的には、図2は、YZ平面に沿った断面図を示している。なお、第2アンテナ2~第8アンテナ8の基本的な構成は、第1アンテナ1と同様の構成となっているため、詳細な説明を省略する。第1アンテナ1は、誘電体基板111と、表面導体112と、裏面導体113と、給電線114と、コネクタ115と、を備えている。ここでコネクタ115は同軸ケーブルでもよい。この場合、半田付けなどにより、同軸ケーブルを表面導体112に接続することができる。
誘電体基板111は、例えば、絶縁性樹脂などの誘電体材料により形成された平行平板である。誘電体基板111の-Z側の面には、表面導体112が形成され、+Z側の面には裏面導体113が形成されている。つまり、誘電体基板111の表面(おもてめん)には、表面導体112が形成されている。誘電体基板111の裏面には、裏面導体113が形成されている。なお、表面導体112が形成された面側をアンテナ面側とし、裏面導体113が形成された面側を接地面側とする。
表面導体112、及び裏面導体113は、例えば、銅箔などの導電材料により形成されている。表面導体112は、直線偏波を放射する放射素子となる。表面導体112は、送受信信号の周波数や誘電体基板111の誘電率等に応じた大きさの矩形パターンとなっている。裏面導体113は、コネクタ115を除いた誘電体基板111のほぼ全面に形成されている。裏面導体113は、接地されている。
コネクタ115は、誘電体基板111の裏面側に接続されている。コネクタ115は、誘電体基板111にケーブル(不図示)を接続する。ケーブルは、例えば同軸ケーブルであり、その内導体が給電線114となる。給電線114は、誘電体基板111に設けられて貫通穴111aを介して、表面導体112まで到達している。給電線114と表面導体112とが電気的に接続するため、給電を行うことができる。表面導体112への給電線114の接続位置が給電点11となる。
第2アンテナ2~第8アンテナ8の基本的な構成は、第1アンテナ1と同様である。第3アンテナ3、第5アンテナ5、第7アンテナ7は、第1アンテナ1と同じ向きで配置される。つまり、第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、第7アンテナ7は、-Z方向を向いて配置される。第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は、第1アンテナ1と反対向きに配置される。つまり、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は、+Z方向を向いて配置される。ペアとなる2つのアンテナ、例えば、第1のペアの第1アンテナ1と第2アンテナ2は、裏面導体113同士が向かい合うように対向配置されている。
図1の説明に戻る。第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7は、-Z側の面がアンテナ面となっている。第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は、+Z側の面がアンテナ面となっている。つまり、第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7のアンテナ面と、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8のアンテナ面が逆向きに配置されている。第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、及び第7アンテナ7が0°~180の方位角の範囲に電波を放射することができる。一方、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8は、180°~360°の方位角の範囲に電波を放射することができる。第1アンテナ1と第2アンテナ2、第3アンテナ3と第4アンテナ、第5アンテナ5と第6アンテナ6、第7アンテナ7と第8アンテナ8を適切な位相関係で合成することによりオムニ指向性を実現することができる。
なお、第1アンテナ1と第5アンテナ5とは、誘電体基板111として共通の基板を用いることができる。つまり、1つの誘電体基板111の表面に2つの矩形パターンを形成する。そして、一方の矩形パターンを第1アンテナ1の表面導体112として用い、他方の矩形パターンを第5アンテナ5の表面導体112として用いることができる。同様に、第2アンテナ2、及び第6アンテナ6とで、誘電体基板111として共通の基板を用いることができる。第3アンテナ3、及び第7アンテナ7とで、誘電体基板111として共通の基板を用いることができる。第4アンテナ4、及び第8アンテナ8とで、誘電体基板111として共通の基板を用いることができる。
さらには、同じ方向を向いた4つのアンテナにおいて、誘電体基板111を共通の基板とすることも可能である。例えば、第1アンテナ1、第3アンテナ3、第5アンテナ5、第7アンテナ7で、誘電体基板111を共通化してもよい。また、第2アンテナ2、第4アンテナ4、第6アンテナ6、及び第8アンテナ8で誘電体基板111を共通化してもよい。
第1アンテナ1、第2アンテナ2、第5アンテナ5、第6アンテナ6がV偏波の送受信に用いられる。V偏波の場合、アンテナ面から見たXY平面視において、給電点が表面導体112の中心から-Y方向にずれている。第3アンテナ3、第4アンテナ4、第7アンテナ7、第8アンテナ8がH偏波の送受信に用いられている。H偏波の場合、アンテナ面から見たXY平面視において、給電点が表面導体の中心から-X方向にずれている。
第1アンテナ1と第2アンテナ2との間で、表面導体112のXY位置が一致している。つまり、XY平面視において、第1アンテナ1の表面導体112と第2アンテナ2の表面導体112とが同じ大きさ、かつ同じ形状で、同じ位置に配置される。第1アンテナ1の表面導体112と第2アンテナ2の表面導体112とは重複するように配置される。さらに、第1アンテナ1の給電点11と第2アンテナ2の給電点12とは、同じXY位置にある。
第1アンテナ1と第2アンテナ2とは、V偏波を送受信するため、上記の通り、給電点11、給電点12が表面導体112の中心からY方向にずれている。例えば、図1に示すように、-Z側から見たXY平面視において、給電点11、及び給電点12は、表面導体112の中心から-Y方向にずれている。よって、アンテナ面から見たXY平面視においても、給電点11、及び給電点12は、表面導体112の中心から-Y方向にずれている。
第3アンテナ3と第4アンテナ4との間で、表面導体112のXY位置が一致している。つまり、XY平面視において、第3アンテナ3の表面導体112と第4アンテナ4の表面導体112とが同じ大きさ、かつ同じ形状で、同じ位置に配置される。さらに、第3アンテナ3の給電点13と第4アンテナ4の給電点14とは、同じXY位置にある。
第3アンテナ3と第4アンテナ4とは、H偏波を送受信するため、給電点13、給電点14が表面導体112の中心からX方向にずれている。図1に示すように、-Z側から見たXY平面視において、給電点13、及び給電点14は、表面導体112の中心から-X方向にずれている。よって、アンテナ面から見たXY平面視において、給電点13、及び給電点14は、表面導体112の中心からずれる方向が反対となる。例えば、第3アンテナ3のアンテナ面側(-Z側)から見たXY平面視において、給電点13は、表面導体112の中心から左方向にずれている。第4アンテナ4のアンテナ面側(+Z側)から見たXY平面視において、給電点14は、表面導体112の中心から右方向にずれている。表面導体112の中心からの給電点13のずれ距離は、給電点14の表面導体112の中心からの給電点14のずれ距離は、同じである。
よって、V偏波のアンテナのペアでは、信号が同相となり、H偏波のアンテナのペアでは、信号が逆相となる。つまり、第1アンテナ1と第2アンテナ2は、送信信号を同じ位相で送信する。第3アンテナ3と第4アンテナ4は、信号を180°ずれた位相で送信する。給電点12は、給電点11と同相となるように配置され、給電点14は給電点13と逆相となるように配置されている。
なお、第5アンテナ5の給電点15と第6アンテナ6の給電点16の位置関係は、給電点11と給電点12の位置関係と同様である。よって、第5アンテナ5と第6アンテナ6とでは、送信信号が同相となる。第7アンテナ7の給電点17と第8アンテナ8の給電点18の位置関係は、給電点13と給電点14の位置関係と同様である。よって、第7アンテナ7と第8アンテナ8とでは、送信信号が逆相で送信される。
次に、送信信号の回り込みについて説明する。まず、第1アンテナ1及び第2アンテナ2の第1のペアが送信信号を送信している間に、第3アンテナ3及び第4アンテナ4の第2のペアが受信信号を受信している状態について説明する。
第1アンテナ1及び第2アンテナ2は、オムニ指向性を実現するため、共通の送信信号を送信する。つまり、送信信号が分配器で分岐されて、第1アンテナ1及び第2アンテナ2から空間に放射される。第1アンテナ1及び第2アンテナ2から送信される送信信号は同相となる。
第3アンテナ3と第1アンテナ1との間の位置関係は、第4アンテナ4と第2アンテナ2との間の位置関係と一致している。同様に、第4アンテナ4と第1アンテナ1との間の位置関係は、第3アンテナ3と第2アンテナ2との間の位置関係と一致している。このように、第1アンテナ1~第4アンテナ4の位置関係に対称性があるため、ペアに含まれる2つのアンテナでは、回り込みにより生じる干渉成分の振幅が等しくなる。つまり、第1のペアが送信及び受信の一方を行い、第2のペアが他方を行っている場合に、受信側のペアに含まれる2つのアンテナには、同じ大きさの干渉成分が生じる。
さらに、上記したように、第1アンテナ1及び第2アンテナ2から送信される送信信号は同相となる。アンテナ装置100は、第3アンテナ3で受信した受信信号と、第4アンテナ4で受信した受信信号を逆相で合成する。これにより、送信信号の回り込みをキャンセルすることができる。つまり、送信信号の回り込みによって、第3アンテナ3の受信信号と第4アンテナ4の受信信号とに干渉成分が発生するが、逆相での合成によって、2つの干渉成分が打ち消し合う。例えば、第3アンテナ3の受信信号には、第1アンテナ1の送信信号に起因する干渉成分が含まれ、第4アンテナ4の受信信号には、第2アンテナ2の送信信号に起因する干渉成分が含まれ、これらは同相となっている。第3アンテナ3の受信信号と第4アンテナ4の受信信号を逆相で合成することで、干渉成分が打ち消し合う。同様に、第3アンテナ3の受信信号には、第2アンテナ2の送信信号に起因する干渉成分が含まれ、第4アンテナ4の受信信号には、第1アンテナ1の送信信号に起因する干渉成分が含まれ、これらは同相となっている。第3アンテナ3の受信信号と第4アンテナ4の受信信号を逆相で合成することで、干渉成分が打ち消し合う。したがって、送信信号の回り込み干渉をキャンセルすることがきる。アンテナ装置100の受信特性を向上することができる。また、回り込みをキャンセルすることができるため、送信出力を上げることも可能となる。
なお、上記の説明では、第1のペアが送信信号を送信している場合の回り込みについて説明したが、他のペアが送信信号を送信している間の回り込みも同様にキャンセルすることができる。例えば、第3のペアが送信信号を送信している場合であっても、第3アンテナ3と第5アンテナ5との間の位置関係と、第4アンテナ4と第6アンテナ6との間の位置関係は同じである。第3アンテナ3と第6アンテナ6との間の位置関係と、第4アンテナ4と第5アンテナ5との間の位置関係は同じである。4つのアンテナの対称性によって、受信側への送信信号の回り込みをキャンセルすることができる。
次に、第2のペアが送信信号を送信している間に、第1のペアが受信信号を受信している状態について説明する。第3アンテナ3と第1アンテナ1との間の位置関係と、第4アンテナ4と第2アンテナ2との間の位置関係は同じである。第4アンテナ4と第1アンテナ1との間の位置関係と、第3アンテナ3と第2アンテナ2との間の位置関係は同じである。
給電点13と給電点14との位置関係によって、第3アンテナ3と第4アンテナ4とで、送信信号が逆相になる。よって、第1アンテナ1で受信した受信信号と、第2アンテナ2で受信した受信信号を同相で合成する。これにより、送信信号の回り込みをキャンセルすることができる。つまり、第1アンテナ1の受信信号に発生した回り込み成分と、第2アンテナ2の受信信号に発生した回り込み成分が打ち消し合う。したがって、送信信号の回り込み干渉をキャンセルすることがきる。
なお、送信側と受信側で偏波方向が直交するようにすれば、送信側のアンテナのペアと受信側のアンテナのペアは、適宜変更が可能である。つまり、第1~第4のペアのうちのいずれか1つを送信側、送信側のペアと偏波方向が直交する他の一つを受信側として用いることができる。上記のような位置関係により、送信信号の回り込みをキャンセルすることができる。また、アンテナ装置100は、送信側及び受信側のそれぞれで複数のアンテナを用いるレピータ通信や、全二重通信にも適用可能である。
図3は、受信側に回り込んだ回り込み成分のシミュレーション結果を示す図である。例えば、図3は、第1アンテナ1及び第2アンテナ2から送信信号を送信した場合に、第3アンテナ3でのアイソレーション特性をP1、第4アンテナ4でのアイソレーション特性をP2として示している。なお、アンテナ装置100が、2.6GHz(例)の周波数で設計されている。尚、設計周波数は任意に設定できる。
図4は、第2のペアが受信した受信信号を逆相で合成した場合のアイソレーション特性のシミュレーション結果を示す。図4に示すように、設計周波数である2.6GHz(例)で優れたアイソレーション特性を有している。尚、設計周波数は任意に設定できる。よって、本実施の形態によれば、簡易な構成で、送信信号の回り込みを抑制することができる。これにより、送信出力を高くすることができる。
図5は、アンテナ装置の方位角の指向性のシミュレーション結果を示す図である。図5の左側に、第1のペア(又は第3のペア)のアンテナパターンを示す。図5の右側に第2のペア(又は第4のペア)のアンテナパターンを示す。図5に示すように、いずれのペアも良好なオムニ指向性を有している。よって、本実施の形態によれば、簡易な構成で、オムニ指向性を実現することができる。よって、設置角度や方向などの自由度を高めることができる。
なお、上記の説明では、アンテナ装置100が、4つのペア、つまり、8つのアンテナを備えていたが、アンテナの数は特に限定されるものではない。具体的には、アンテナ装置100は、少なくとも2つのペア、例えば、第1アンテナ1~第4アンテナ4を有していればよい。これにより、送信及び受信を同時に行った場合でも回り込み干渉を抑制することができる。
次に、アンテナ装置100に用いられる通信回路について、図6を用いて説明する。図6は、アンテナ装置100を有する通信装置300の構成を模式的に示す図である。通信装置300は、アンテナ装置100と通信回路200とを備えている。通信回路200は、送信回路210と、受信回路220とを備えている。
送信回路210は、同相分配回路211と変調回路212とを備えている。同相分配回路211は、給電線114を介して、第1アンテナ1、及び第2アンテナ2に接続されている。同相分配回路211は、変調回路212に接続されている。変調回路212はアナログの送信信号を変調する。変調回路212は、変調した送信信号を同相分配回路211に出力する。
同相分配回路211は、変調回路212からの送信信号を分岐して、第1アンテナ1と第2アンテナ2に同相で供給する。具体的には、同相分配回路211は、送信信号を1:1に分配して、第1アンテナ1と第2アンテナ2に供給する。同相分配回路211としては、アナログの分配器を用いることができる。
受信回路220は、デジタル処理で受信信号を復調する。さらに、受信回路220は、第3アンテナ3及び第4アンテナ4からの受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調する。受信回路220は、LNA(Low Noise Amplifier)221、LNA222、ADC(Analog to Digital Converter)223、ADC224,及び復調信号処理回路225を備えている。
受信回路220は、給電線114を介して、第3アンテナ3、及び第4アンテナ4に接続されている。第3アンテナ3で受信された受信信号は、給電点13、及び給電線114を介して、LNA221に入力される。LNA221は、受信信号を増幅する。LNA221で増幅された受信信号は、ADC223に入力される。ADC223は、受信信号をA/D変換する。デジタル信号に変換された受信信号を単にデジタル信号とする。ADC223からのデジタル信号は、復調信号処理回路225に入力される。
同様に、第4アンテナ4で受信された受信信号は、給電点14、及び給電線114を介して、LNA222に入力される。LNA222は、受信信号を増幅する。LNA222で増幅された受信信号は、ADC224に入力される。ADC224は、受信信号をアナログからデジタルにA/D変換する。ADC224からのデジタル信号は、復調信号処理回路225に入力される。
復調信号処理回路225は、ADC223,224からのデジタル信号を復調する。復調信号処理回路225は、復調された復調信号の信号品質に基づいて、合成複素ウェイトを制御する。例えば、復調信号処理回路225は、SINR(Signal to Interference Noise Ratio)が最大となるように合成複素ウェイトを制御する。
図7は、復調信号処理回路225の回路例を示す図である。復調信号処理回路225は、ウェイト乗算器231,232、加算器233、復調処理部234、及び制御部235、を備えている。ウェイト乗算器231は、ADC223からのデジタル受信信号に合成複素ウェイトを乗じる。ウェイト乗算器232は、ADC224からのデジタル受信信号に合成複素ウェイトを乗じる。このように、ウェイト乗算器231、232は、合成複素ウェイトをデジタル受信信号に乗じることで、受信信号の振幅、及び位相を調整することができる。ウェイト乗算器231、232の合成複素ウェイトの値は可変となっている。
加算器233は、合成複素ウェイトが乗じられたデジタル受信信号を加算する。復調処理部234は、加算器233からのデジタル信号に対して復調処理を行う。これにより、受信信号が復調される。制御部235は、受信信号の信号品質に応じて、ウェイト乗算器231、232の合成複素ウェイトを制御する。つまり、制御部235は、受信信号の信号品質に応じて、ウェイト乗算器231、232の合成複素ウェイトの値を変化させる。
具体的には、制御部235は、SINR(Signal to Interference Noise Ratio)が最大となるように合成複素ウェイトを制御する。これにより、送信信号の回り込みによる干渉成分をキャンセルすることができる。つまり、干渉成分が最小となるように、制御部235が合成複素ウェイトの値を調整することができる。
本実施の形態の構成によれば、オムニ指向性を有し、かつ受信特性の優れた通信装置を実現することができる。例えば、受信回路が2つの受信信号の振幅、位相を調整した後に、合成している。このようにすることで、より受信品質を向上することができる。例えば、第1アンテナ1及び第2アンテナ2が送信した送信信号が壁面や人などで反射して、第3アンテナ3、第4アンテナ4で受信されることがある。送信信号の反射を含めた干渉成分は、図1に示す構成をもってしても完全な逆相とならないため、受信信号の信号品質が劣化してしまうおそれがある。
これに対して、本実施の形態では、合成した受信信号の信号品質に応じて、制御部235が合成複素ウェイトを制御している。送信信号の反射を含めた干渉成分を打ち消すことができる。これにより、送信信号の回り込み干渉が抑制されるため、より高い受信品質を得ることができる。
また、給電点14は給電点13と逆相となるように配置されているため、第3アンテナ3、及び第4アンテナ4の受信信号の調整を容易に行うことができる。例えば、制御部235は、合成複素ウェイトの初期設定を、逆相で合成するような値(初期値)として、合成複素ウェイトの値を調整することができる。制御部235は、第3アンテナ3、及び第4アンテナ4の受信信号の位相差の初期値を180°とし、振幅差の初期値を0とする。制御部235は、復調した受信信号に基づいて、合成複素ウェイトを調整する。制御部235は、受信信号の信号品質が最も高くなるように合成複素ウェイトを最適化する。このようにすることで、良好な受信品質を容易に得ることができる。
なお、図6では、第3アンテナ3及び第4アンテナ4を含む第2のペアについての受信回路220を示したが、他のペアのアンテナについても同様の受信回路220を用いることができる。例えば、第1アンテナ1及び第2アンテナ2を含む第1のペアについても、受信回路220が受信信号の振幅及び位相を調整してもよい。また、第3のペア、及び第4のペアについても同様の受信回路220を用いることができる。
変形例1.
変形例1にかかる受信回路220について、図8を用いて説明する。図8は、アナログ処理で復調を行う受信回路220を示すブロック図である。アンテナ装置100、及び送信回路210については、上記と同様であるため説明を省略する。
受信回路220は、アナログ処理で受信信号を復調する。さらに、受信回路220は、第3アンテナ3及び第4アンテナ4からの受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調する。受信回路220は、可変移相器241,可変分配回路242、及び復調回路243を備えている。
可変移相器241は、第4アンテナ4の給電点14に接続されている。可変移相器241は、受信信号を遅延させることで、受信信号の位相を調整する。可変移相器241の出力は可変分配回路242に接続されている。よって、可変移相器241からの受信信号は、可変分配回路242に入力される。さらに、可変分配回路242は、第3アンテナ3の給電点13に接続されている。
可変分配回路242は、第3アンテナ3で受信した受信信号と、第4アンテナ4で受信した受信信号を合成する。また、可変分配回路242は、分配比率(合成比率)が可変となっている。つまり、可変分配回路242は、2つの受信信号の振幅を調整して、合成する。
図9は、可変分配回路242の一例を示す図である。可変分配回路242は、3dB90°ハイブリッド251、可変移相器252、3dB90°ハイブリッド253を備えている。可変分配回路242は、可変移相器252を用いて位相を調整することにより、一方の受信信号の振幅を変更する。これにより、分配比率を変更することができる。具体的には、制御回路244からの制御信号に基づいて位相を制御し、分配比率が変化する。3dB90°ハイブリッド253は、2つの信号を合成する。3dB90°ハイブリッド253の一方の出力が復調回路243に入力される。もちろん、可変分配回路242は、図9の構成に限られるものではない。
可変分配回路242で合成された受信信号は、復調回路243に入力される。復調回路243は、合成された受信信号を復調する。制御回路244は、復調回路243で復調された受信信号の信号品質に応じて、可変移相器241、及び可変分配回路242を制御する。つまり、受信信号の信号品質が最も高くなるように受信信号の位相及び振幅を最適化する。
制御回路244は、2つの受信信号の位相を制御するための制御信号を可変移相器241に出力する。可変移相器241が2つの受信信号の間に位相差を与える。具体的には、可変移相器241を可変遅延回路として、制御回路244は可変移相器241によって与えられる遅延時間を変化させればよい。また、制御回路244は、2つの受信信号の振幅を制御するための制御信号を可変分配回路242に出力する。制御回路244は、可変分配回路242における分配比率を変化させる。可変分配回路242は、2つの受信信号の振幅比率を変化させるもので、2つの受信信号の総受信電力は変化しない。
制御回路244は、SINR(Signal to Interference Noise Ratio)が最大となるように受信信号の位相及び振幅を制御する。これにより、送信信号の回り込みによる干渉成分をキャンセルすることができる。つまり、干渉成分が最小となるように、制御回路244が、2つの受信信号の位相及び振幅を調整することができる。
なお、図8では可変分配回路242と第4アンテナ4との間に可変移相器241が配置されているが、可変分配回路242と第3アンテナ3との間に可変移相器241を配置してもよい。あるいは、可変分配回路242と第4アンテナ4との間、及び、可変分配回路242と第3アンテナ3との間の両方に可変移相器241が配置されていても良い。つまり、第3アンテナ3及び第4アンテナ4からの受信信号の少なくとも一方の位相を調整するように、可変移相器241が配置されていれば良い。

変形例1の構成においても、図5、及び図6の構成と同様に、オムニ指向性を有し、かつ受信特性の優れた通信装置を実現することができる。つまり、送信信号の反射成分がある場合でも、送信信号の回り込み干渉を抑制することができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかる通信装置のアンテナ装置100について、図10、及び図11を用いて説明する。図10は、第1アンテナ1~第4アンテナ4の配置を模式的に示すXZ平面図である。図11は、第3アンテナ3と第4アンテナの配置を示す斜視図である。本実施の形態2では、第3アンテナ3と第4アンテナ4の構成が実施の形態1と異なっている。実施の形態2にかかるアンテナ装置100では、第1アンテナ1と第2アンテナ2の構成は実施の形態1と同じとなっている。このため、図11では、第1アンテナ1と第2アンテナ2を省略している。
実施の形態1と比べて、第3アンテナ3、及び第4アンテナ4の設置角度が水平方向に90度回転している。第3アンテナ3は、-X方向を向いて配置され、第4アンテナ4は、+X方向を向いて配置されている。第3アンテナ3と第4アンテナ4はX方向に間隔を空けて配置されている。X方向において、第3アンテナ3と第4アンテナ4との間に、第1アンテナ1と第2アンテナ2とが配置されている。Y方向において、第1アンテナ1~第4アンテナ4の位置は同じとなっている。
実施の形態1と同様に、第1アンテナ1は-Z方向を向いて配置され、第2アンテナ2は+Z方向を向いて配置されている。Z方向において、第1アンテナ1と第2アンテナ2との間に第3アンテナ3及び第4アンテナが配置されている。したがって、XZ平面視において、正方形の各辺上に第1アンテナ1~第4アンテナがそれぞれ配置されている。第3アンテナ3の方向が、第2アンテナ2の方向から水平方向に90°回転している。つまり、第2アンテナ2が向いている方向をY軸周りに90°回転すると、第3アンテナ3が向いている方向となる。したがって、第1のペアの向きと、第2のペアの向きが90°異なっている。
第1アンテナ1~第4アンテナ4の位置関係に回転対称性がある。第3アンテナ3から第1アンテナ1までの距離が、第4アンテナ4から第2アンテナ2までの距離と等しくなっている。第3アンテナ3から第2アンテナ2までの距離が、第4アンテナ4から第1アンテナ1までの距離と等しくなっている。また、第3アンテナ3から第1アンテナ1までの距離が、第3アンテナ3から第2アンテナ2までの距離と等しくなっている。
実施の形態1と同様に、XY平面視において、第1アンテナ1の給電点11と第2アンテナ2の給電点12とは一致している。YZ平面視において、第3アンテナ3の給電点13と第4アンテナ4の給電点14とは一致している。つまり、第3アンテナ3の給電点13と第4アンテナ4の給電点14は、互いに鏡像関係となる位置に配置されている。
第1アンテナ1と第2アンテナ2はV偏波に用いられ、第3アンテナ3、第4アンテナ4はH偏波に用いられる。給電点11と給電点12との位置関係によって、第1アンテナ1の送信信号と、第2アンテナ2の送信信号とは同相となる。第3アンテナ3の受信信号と第4アンテナ4の受信信号を逆相で合成することで、干渉成分をキャンセルすることができる。また、給電点13と給電点14との位置関係によって、第3アンテナ3の送信信号と、第4アンテナ4の送信信号とは逆相となる。よって、第1アンテナ1の受信信号と第2アンテナ2の受信信号を同相で合成することで、干渉成分をキャンセルすることができる。本実施の形態の構成により、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。なお、受信回路については、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
その他の実施形態.
その他の実施の形態にかかる通信装置300について、図12を用いて説明する。なお、上記の実施の形態1と重複する内容については適宜説明を省略する。通信装置300は、第1アンテナ1、第2アンテナ2、第3アンテナ3、第4アンテナ4、及び受信回路220を備えている。
第1アンテナ1は、第1の方向を向いて配置され、第1の偏波の信号を送受信する第1の指向性アンテナである。第2アンテナ2は、第1の方向の反対方向である第2の方向を向いて配置され、第1の偏波の信号を送受信する第2の指向性アンテナである。第2アンテナ2は、第1アンテナ1とともに第1のペア31となる。第3アンテナ3は第2の方向を水平方向に90°又は180°回転した第3の方向を向いて配置され、第1の偏波に直交する第2の偏波の信号を送受信する第3の指向性アンテナである。第4アンテナは、第3の方向の反対方向である第4の方向を向いて配置され、第1の偏波に直交する第2の偏波の信号を送受信する第4の指向性アンテナである。第4アンテナ4は、第3アンテナ3とともに第2のペア32となる。第1アンテナ1には給電点11(第1の給電点)が設けられている。第2アンテナ2には、給電点11と同相となるように配置された給電点12(第2の給電点)が設けられている。第3アンテナ3には給電点13(第3の給電点)が設けられている。第4アンテナ4には、給電点13と逆相となるように配置された給電点14(第4の給電点)が設けられている。受信回路220は、第1のペア31又は第2のペア32で受信した受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調する。なお、2種類の偏波の一例としては、第1の偏波として垂直偏波、第2の偏波として水平偏波が適用可能である。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
100 アンテナ装置
1 第1アンテナ
2 第2アンテナ
3 第3アンテナ
4 第4アンテナ
5 第5アンテナ
6 第6アンテナ
7 第7アンテナ
8 第8アンテナ
11~18 給電点
111 誘電体基板
112 表面導体
113 裏面導体
114 給電線
115 コネクタ
200 通信回路
210 送信回路
211 同相分配回路
212 変調回路
220 受信回路
221 LNA
222 LNA
223 ADC
224 ADC
225 復調信号処理回路
241 可変移相器
242 可変分配回路
243 復調回路
244 制御回路
300 通信装置
31 第1のペア
32 第2のペア

Claims (12)

  1. 第1の方向を向いて配置され、第1の偏波の信号を送受信する第1の指向性アンテナと、
    前記第1の方向の反対方向である第2の方向を向いて配置され、前記第1の偏波の信号を送受信する第2の指向性アンテナであって、前記第1の指向性アンテナとともに第1のペアとなる第2の指向性アンテナと、
    前記第2の方向を水平方向に90°又は180°回転した第3の方向を向いて配置され、前記第1の偏波に直交する第2の偏波の信号を送受信する第3の指向性アンテナと、
    前記第3の方向の反対方向である第4の方向を向いて配置され、前記第2の偏波の信号を送受信する第4の指向性アンテナであって、前記第3の指向性アンテナとともに第2のペアとなる第4の指向性アンテナと、
    前記第1の指向性アンテナに設けられた第1の給電点と、
    前記第2の指向性アンテナに設けられ、前記第1の給電点と同相となるように配置された第2の給電点と、
    前記第3の指向性アンテナに設けられた第3の給電点と、
    前記第4の指向性アンテナに設けられ、前記第3の給電点と逆相となるように配置された第4の給電点と、を備え、
    前記第1のペア又は前記第2のペアで受信した受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調する受信回路と、を備え
    前記受信回路は、復調した受信信号の信号品質に基づいて、前記受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整する通信装置。
  2. 前記受信回路が、
    前記第1のペア又は第2のペアで受信した2つの受信信号をアナログからデジタルに変換するA/Dコンバータと、
    A/D変換された前記受信信号に合成複素ウェイトを乗算するウェイト乗算器と
    前記合成複素ウェイトが乗算された受信信号を加算する加算器と、
    積分された受信信号に対して復調処理を行う復調処理回路と、
    前記復調処理された受信信号の信号品質に基づいて前記合成複素ウェイトを制御する制御回路と、を備えている請求項に記載の通信装置。
  3. 前記受信回路が、
    前記第1のペア又は第2のペアで受信した2つの受信信号の位相を調整する移相器と、
    位相が調整された受信信号を合成する可変分配器と、
    前記可変分配器で合成された受信信号を復調する復調回路と、
    復調された受信信号の信号品質に基づいて、前記移相器及び前記可変分配器を制御する制御回路と、を備えた請求項に記載の通信装置。
  4. 前記第1~第4の指向性アンテナが、パッチアンテナである請求項1~3のいずれか1項に記載の通信装置。
  5. 前記第1の指向性アンテナのアンテナ面側から見た平面視において、前記第1の給電点と第2の給電点とが重複するように配置され、
    前記第3の指向性アンテナのアンテナ面側から見た平面視において、前記第3の給電点と第4の給電点とが重複するように配置されている請求項1~4のいずれか1項に記載の通信装置。
  6. 前記第1の指向性アンテナと前記第2の指向性アンテナとが互いに反対向きとなるように、対向配置されており、
    前記第3の指向性アンテナと前記第4の指向性アンテナとが互いに反対向きとなるように、対向配置されている請求項1~5のいずれか1項に記載の通信装置。
  7. 第1の給電点を有する第1の指向性アンテナと、第2の給電点を有する第2の指向性アンテナとを含む第1のペアを用いて、送信及び受信の一方を行うステップと、
    第3の給電点を有する第3の指向性アンテナと、第4の給電点を有する第4の指向性アンテナとを含む第2のペアを用いて、送信及び受信の他方を行うステップと、
    前記第1のペア、又は第2のペアで受信した受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、復調するステップと、を備え、
    前記第1の指向性アンテナ、及び第2の指向性アンテナが、第1の偏波の信号を送受信し、
    前記第3の指向性アンテナ、及び第4の指向性アンテナが、前記第1の偏波に直交する第2の偏波の信号を送受信し、
    前記第1の指向性アンテナが、第1の方向を向いて配置され、
    前記第2の指向性アンテナが、第1の方向と反対方向の第2の方向を向いて配置され、
    第3の指向性アンテナが、前記第2の方向を水平方向に90°又は180°回転した第3の方向を向いて配置され、
    第4の指向性アンテナが、前記第3の方向の反対方向である第4の方向を向いて配置され、
    前記第1の給電点と前記第2の給電点が同相となるように配置され、
    前記第3の給電点と前記第4の給電点が逆相となるように配置され
    復調した受信信号の信号品質に基づいて、前記受信信号の振幅及び位相の少なくとも一方が調整されている通信方法。
  8. 前記第1のペア又は第2のペアで受信した2つの受信信号をA/D変換し、
    A/D変換された前記受信信号に合成複素ウェイトを乗算し、
    前記合成複素ウェイトが乗算された受信信号を積分し、
    積分された受信信号に対して復調処理を行い、
    前記復調処理された受信信号の信号品質に基づいて前記合成複素ウェイトを制御する請求項7に記載の通信方法。
  9. 前記第1のペア又は前記第2のペアで受信した受信信号の位相を調整し
    位相が調整された前記受信信号を合成し、
    合成された前記受信信号を復調し、
    復調された前記受信信号の信号品質に基づいて、受信信号の位相又は振幅を制御する請求項に記載の通信方法。
  10. 前記第1~第4の指向性アンテナが、パッチアンテナである請求項7~9のいずれか1項に記載の通信方法。
  11. 前記第1の指向性アンテナのアンテナ面側から見た平面視において、前記第1の給電点と第2の給電点とが重複するように配置され、
    前記第3の指向性アンテナのアンテナ面側から見た平面視において、前記第3の給電点と第4の給電点とが重複するように配置されている請求項7~10のいずれか1項に記載の通信方法。
  12. 前記第1の指向性アンテナと前記第2の指向性アンテナとが互いに反対向きとなるように、対向配置されており、
    前記第3の指向性アンテナと前記第4の指向性アンテナとが互いに反対向きとなるように、対向配置されている請求項7~11のいずれか1項に記載の通信方法。
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