(1)概要
(1.1)管理方法
本実施形態に係る管理方法は、図1~図3に示すように、対象物B0に第1識別子I1(図4B参照)を付与することにより、第1識別子I1を用いて対象物B0を管理するために用いられる方法である。本実施形態では、対象物B0は、電子部品を保持するテープB11(図4A参照)が巻き付けられ、少なくとも一部に貫通孔B12が設けられたリールB1である。以下、「対象物B0」を「リールB1」ともいう。
本開示でいう「第1識別子」は、対象物B0を他の対象物B0と区別するための対象物B0に固有の情報である。一例として、第1識別子I1が付与された対象物B0が工場に出荷される場合、第1識別子I1は、出荷先の工場にて対象物B0を他の対象物B0と区別するための対象物B0に固有の情報であって、かつ、出荷先の工場に専用の情報である。
また、本開示でいう「第1識別子の付与」は、例えば識別媒体L0(本実施形態では、第1ラベルL1)を対象物B0に貼り付ける等して、対象物B0に実体として視認可能な第1識別子I1を付与することをいう。
管理方法は、保持工程と、第1移動工程と、認識工程と、付与工程と、を有している。本実施形態では、これらの工程は、後述する管理システム100により実行される。
保持工程は、第1エリアA1にある対象物B0を第1保持機構1Aで保持する工程である。本実施形態では、第1エリアA1は、複数の対象物B0を収容可能な上面を開口した箱状の第1バケットD1の内部である。また、本実施形態では、第1保持機構1Aは、管理システム100が適用される環境に設置された第1ロボット2Aの有するアーム21に取り付けられるエンドエフェクタである。
第1移動工程は、第1保持機構1Aにより保持した対象物B0を第1エリアA1から第2エリアA2に移動させる工程である。本実施形態では、第2エリアA2は、対象物B0に第1ラベルL1を貼り付けるために対象物B0が一時的に配置されるステージC31である。つまり、第1移動工程は、第1バケットD1に積まれている1以上のリールB1から1つのリールB1を第1保持機構1Aによりピッキング(保持)し、第1保持機構1Aを移動させることにより、このリールB1を第1バケットD1からステージC31へ移動させる工程である。
認識工程は、対象物B0を認識して対象物B0に対応する第1識別子I1を特定する工程である。認識工程においては、第1識別子I1を特定できる程度まで、対象物B0の固有の特徴を認識できればよい。本実施形態では、対象物B0の固有の特徴は、第1バケットD1に収容されたリールB1にあらかじめ付された第2識別子I2である。第2識別子I2は、第1識別子I1とは異なる識別子であって、かつ、第1識別子I1と1対1に対応する情報である。一例として、第2識別子I2は、リールB1を販売するベンダがリールB1に第2ラベルL2を貼り付けることで、リールB1に付されている。この場合、第2識別子I2は、ベンダにてリールB1を他のリールB1と区別するためのリールB1に固有の情報であって、かつ、ベンダに専用の情報である。つまり、本実施形態では、認識工程は、対象物B0にあらかじめ付された第2識別子I2を認識する工程を含んでいる。
付与工程は、認識工程で特定された第1識別子I1を、第2エリアA2に配置された対象物B0に付与する工程である。本実施形態では、認識工程で認識された第2識別子I2をデータベースにて照合することにより、リールB1と1対1に対応する第1識別子I1を特定する。そして、付与工程においては、印刷装置5(図1及び図2参照)により印刷された第1識別子I1を含む識別媒体L0(第1ラベルL1)が、ステージC31に配置されたリールB1に貼り付けられる。つまり、本実施形態では、付与工程は、第2識別子I2に対応した第1識別子I1を、第2エリアA2に配置された対象物B0に付与する工程である。
上述のように、本実施形態では、保持工程、第1移動工程、認識工程、及び付与工程を例えばロボット(マニピュレータ)を含むシステムに実行させることにより、対象物B0に識別子(第1識別子I1)を付与する作業の自動化を図ることができる。したがって、本実施形態では、対象物B0に識別子を付与する作業を人が行う場合と比較して、対象物B0に識別子を付与する手間を軽減することができる、という利点がある。
(1.2)制御システム
本実施形態に係る制御システム200は、図1~図3に示すように、対象物B0を保持する保持機構1(ここでは、第1保持機構1A)を制御するためのシステムである。制御システム200は、保持機構1(第1保持機構1A)と、保持機構1を制御する制御部33と、を備えている。本実施形態では、制御部33は、保持機構1とは別の場所に設けられている。つまり、制御部33は、保持機構1を遠隔制御する。
保持機構1(第1保持機構1A)は、保持部11(第1保持部11A)と、取得部12と、を有している。
保持部11は、対象物B0を保持する。本実施形態では、保持部11(第1保持部11A)は、第1ロボット2Aの第1保持機構1Aの外郭を構成する構造物10の一端(図1における下端)に設けられている。
取得部12は、保持部11を有する構造物10に設けられて、構造物10の内部から保持部11の間を通して対象物B0の画像を取得する。本実施形態では、取得部12は、構造物10の内部に設けられている。そして、取得部12は、構造物10の内部から、構造物10の一端に設けられた保持部11の間を通して、構造物10の外部にある対象物B0の画像を撮像する(取得する)。ここで、「保持部の間」とは、保持部11で囲まれる空間をいう。
上述のように、本実施形態では、取得部12は、構造物10の内部から保持部11の間を通して対象物B0の画像を取得する。このため、本実施形態では、構造物10の外部から対象物B0の画像を取得する場合と比較して、保持機構1が対象物B0を保持して移動させる工程において保持機構1の動作を妨げない。したがって、本実施形態では、対象物B0を保持して移動させる工程の円滑化を図ることができる、という利点がある。
(2)詳細
以下、本実施形態の管理システム100及び制御システム200について図1~図3を参照して詳しく説明する。本実施形態では、制御システム200は、管理システム100に組み込まれていることとして説明するが、管理システム100とは別のシステムとして構成されていてもよい。また、本実施形態では、管理システム100は、ベンダから納品されたリールB1(対象物B0)を工場へ出荷するための物流センターに導入されていると仮定する。
(2.1)管理システムの概要
まず、管理システム100の概要について説明する。管理システム100は、保持機構1と、認識部31と、付与部32と、制御部33と、を備える。本実施形態では、管理システム100は、保持機構1として、第1保持機構1Aと、第2保持機構1Bと、を備えている。
保持機構1は、リールB1(対象物B0)を保持する。本実施形態では、保持機構1は、第1ロボット2Aが備える第1保持機構1A、及び第2ロボット2Bが備える第2保持機構1Bである。第1ロボット2A、第2ロボット2B、第1保持機構1A、及び第2保持機構1Bの詳細については後述する。
認識部31は、対象物B0を認識する。本実施形態では、認識部31は、第1コンピュータ3A及び読取装置4である。第1コンピュータ3A及び読取装置4の詳細については後述する。
付与部32は、第1識別子I1を対象物B0に付与する。本実施形態では、付与部32は、第1識別子I1を含む識別媒体L0(第1ラベルL1)をリールB1に付与することで、第1識別子I1がリールB1に付与される。本実施形態では、付与部32は、第2保持機構1Bである。
制御部33は、保持機構1(第1保持機構1A)により第1エリアA1にある対象物B0を第2エリアA2に移動させる機能を有する。つまり、制御部33は、上述の保持工程及び第1移動工程を実行する機能を有している。また、制御部33は、付与部32により第1識別子I1を第2エリアA2に配置された対象物B0に付与させる機能を有する。つまり、制御部33は、上述の付与工程を実行する機能を有している。本実施形態では、制御部33は、第2コンピュータ3Bが有している。また、本実施形態では、制御部33は、制御システム200の制御部にも相当する。
(2.2)作業環境
次に、管理システム100が適用される作業環境について図1及び図2を用いて説明する。本実施形態において、管理システム100が適用される作業環境には、第1作業台C1と、第2作業台C2と、第3作業台C3と、第4作業台C4と、第5作業台C5と、が配置されている。なお、作業環境においては、本実施形態のように5つの作業台C1~C5が配置されている必要はなく、1以上の作業台が配置されていればよい。さらに言えば、作業環境は、管理システム100を適用可能な環境であればよく、作業台が配置されていなくてもよい。
第1作業台C1には、複数の第1バケットD1が一列に並んで配置されている。各第1バケットD1には、ベンダから納品された複数のリールB1(対象物B0)が収容されている。リールB1は、円板状であって、その外周にテープB11が巻き付けられている(図4A参照)。テープB11は、例えばパンチテープ、プレステープ、又はエンボステープであって、自動実装用の複数の電子部品が保持されている。ここでいう「保持」は、テープB11に電子部品が固定されている状態の他、テープB11に設けられた凹所に電子部品がテープB11から落下しない態様で収容されている状態を含む。したがって、電子部品がテープB11に保持されている状態においては、電子部品がテープB11に固定されて動かない状態である必要はなく、例えば凹所内で電子部品が自由に動ける状態であってもよい。リールB1は、その厚さ方向に貫通する複数(図4Aでは、5つ)の貫通孔B12が設けられている。複数の貫通孔B12には、リールB1の中央部に設けられたリール穴B121が含まれる。
リールB1の表面(上面)には、第2ラベルL2が貼り付けられている。第2ラベルL2は、ベンダが貼ったラベルであって、第2識別子I2を含む識別媒体L0である。第2識別子I2は、リールB1に巻き付けられたテープB11に保持されている電子部品の種類、数、及び性能等を表す情報を含む。本実施形態では、第2ラベルL2には、第2識別子I2として一次元コード(バーコード)が印字されている。
本実施形態では、第1バケットD1の内部は、複数(ここでは、7つ)の仕切りD11により複数(ここでは、6つ)の領域に区分けされている。そして、第1バケットD1の内部における各領域に、複数のリールB1が第1バケットD1の高さ方向に沿って積まれている。第1バケットD1に収容されるリールB1の数及びリールB1の積まれ方は、第1バケットD1ごとに異なっていてもよい。本実施形態では、複数の第1バケットD1のうち第1ロボット2A(後述する)に最も近い位置にある第1バケットD1の内部が第1エリアA1に相当する。
第2作業台C2には、第2バケットD2が配置されている。第2バケットD2には、工場へ出荷する複数のリールB1(対象物B0)が収容される。第2バケットD2に収容されるリールB1は、第1バケットD1から移し替えられたリールB1である。第2バケットD2の内部は、第1バケットD1と同様に、複数(ここでは、7つ)の仕切りD21により複数(ここでは、6つ)の領域に区分けされている。そして、第2バケットD2の内部における各領域に、複数のリールB1が第1バケットD1の高さ方向に沿って積まれる。本実施形態では、第2バケットD2の内部が第3エリアA3に相当する。
第3作業台C3には、ステージC31と、印刷装置5と、透過照明装置C32と、第1コンピュータ(ここでは、ラップトップ)3Aと、が配置されている。また、第3作業台C3には、複数本の支柱C34により組み立てられた直方体状のフレームC33が配置されている。フレームC33のうちステージC31と対向する第1支柱C341には、読取装置4が取り付けられている。また、フレームC33のうち第1支柱C341とは異なる第2支柱C342には、信号灯C35が取り付けられている。さらに、フレームC33のうち第1支柱C341及び第2支柱C342とは異なる第3支柱C343には、操作パネルC36が取り付けられている。
ステージC31は、第3作業台C3に固定されており、その一面(上面)にリールB1(対象物B0)を載せ置くことができるように構成されている。ステージC31は、第3作業台C3において、第1保持機構1Aの移動可能な範囲、及び第2保持機構1Bの移動可能な範囲の両方に重なる位置に固定されている。
印刷装置5は、ラベルを印刷するプリンタである。印刷装置5は、例えば感熱式又は熱転写式のラベルプリンタである。印刷装置5は、リールB1(対象物B0)の認識結果に応じた第1ラベルL1を印刷する。具体的には、認識部31により認識されたリールB1の第2識別子I2と1対1に対応する第1識別子I1を、第1コンピュータ3Aから受け取り、受け取った第1識別子I1を表す一次元コードを印字した第1ラベルL1を印刷する。つまり、第1ラベルL1は、第1識別子I1を含む識別媒体である。
印刷装置5は、印刷された第1ラベルL1を排出する排出口51と、排出口51から排出された第1ラベルL1が載せ置かれる排出台52と、を有している。本実施形態では、排出台52は、第2保持機構1Bが排出台52に載せ置かれた第1ラベルL1を保持する際に、第2保持機構1Bが印刷装置5の本体に接触して移動を阻害されないように、排出口51が設けられた壁面に対して傾斜している。
透過照明装置C32は、第3作業台C3において、第1バケットD1(第1エリアA1)とステージC31との間に位置するように配置されている。透過照明装置C32は、第1保持機構1Aが透過照明装置C32の上方に位置している状態で、第1保持機構1Aに向けて光を照射する。つまり、透過照明装置C32は、第1保持機構1Aの構造物10の外部から内部に向けて光を照射する。透過照明装置C32は、光源からの光を壁面に反射させて光を外部へと照射させるエッジ型のバックライトであってもよいし、光源からの光を直接外部へと照射させるダイレクト型のバックライトであってもよい。
読取装置4は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子を有する。読取装置4は、リールB1(対象物B0)がステージC31に載せ置かれた状態で、リールB1を撮像する。そして、読取装置4は、撮像した画像に対して適宜の画像処理を実行することにより、リールB1に貼り付けられている第2ラベルL2に印字された一次元コードを読み取る。これにより、読取装置4は、第2識別子I2を取得する。読取装置4で取得された第2識別子I2は、有線通信又は無線通信により、第1コンピュータ3Aへ送信される。なお、上記の画像処理は、読取装置4ではなく、第1コンピュータ3Aで実行されてもよい。この場合、読取装置4は、撮像した画像を第1コンピュータ3Aへ送信すればよい。
第1コンピュータ3Aは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この第1コンピュータ3Aでは、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、第1コンピュータ3Aのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第1コンピュータ3Aは、例えば内蔵HDD(Hard Disk Drive)又は外付けのHDD等の記憶装置30を備えている。記憶装置30には、複数のリールB1(対象物B0)の各々について、第1識別子I1と第2識別子I2とが1対1に紐付けられたデータベースが保存されている。データベースの内容は、例えばキーボード又はマウス等の入力インタフェースを用いることで、作業者が更新してもよい。
第1コンピュータ3Aは、読取装置4から第2識別子I2を取得すると、データベースを参照して、取得した第2識別子I2と1対1に対応する第1識別子I1を探索する。第2識別子I2に対応する第1識別子I1が存在する場合、第1コンピュータ3Aは、第1識別子I1を印刷装置5へ送信する。一方、第2識別子I2に対応する第1識別子I1が存在しない場合、第1コンピュータ3Aは、エラー情報を第2コンピュータ3Bへ送信する。つまり、本実施形態では、第1コンピュータ3A及び読取装置4は、対象物B0を認識して対象物B0に対応する第1識別子I1を特定する認識部31に相当する。
信号灯C35は、複数のランプをタワー状に並べて構成されている。信号灯C35は、管理システム100の動作状況を周囲に視覚的に報知するために用いられる。一例として、信号灯C35は、緑色に発光する第1ランプ、黄色に発光する第2ランプ、及び赤色に発光する第3ランプを有している。そして、信号灯C35は、一例として、管理システム100が正常に動作している場合は第1ランプを、管理システム100を一時的に停止する場合は第2ランプを、管理システム100に異常が発生している場合は第3ランプを点灯する。
操作パネルC36は、例えばタッチパネル型のディスプレイである。操作パネルC36は、例えば作業環境にいる作業者が、管理システム100の動作状況を把握したり、管理システム100の動作を変更したりする場合等に用いられる。
第4作業台C4には、第2コンピュータ3Bと、第1ロボット2Aと、第2ロボット2Bと、第1真空装置61と、第2真空装置62と、第3真空装置63と、第4真空装置64と、気圧測定部60と、が配置されている。本実施形態では、第2コンピュータ3B、真空装置61~64、及び気圧測定部60は、いずれも第4作業台C4の内部に収容されている。
第1ロボット2A及び第2ロボット2Bは、いずれもアーム21を備えている。本実施形態では、第1ロボット2A及び第2ロボット2Bは、いずれも第4作業台C4に固定されているが、例えばレール上を移動可能に構成されていたり、車輪により自律走行するように構成されていたりしてもよい。
アーム21は、多関節のロボットアームであり、所定の範囲内を移動可能に構成されている。本実施形態では、第1ロボット2Aにおける所定の範囲は、第1保持機構1Aが第1バケットD1(第1エリアA1)に対向する領域と、第1保持機構1Aが透過照明装置C32に対向する領域と、第1保持機構1AがステージC31に対向する領域と、が含まれる。また、本実施形態では、第2ロボット2Bにおける所定の範囲は、第2保持機構1BがステージC31に対向する領域と、第2保持機構1Bが印刷装置5の排出台52に対向する領域と、第2保持機構1Bが第2バケットD2(第3エリアA3)に対向する領域と、が含まれる。
アーム21の先端には、用途に応じた種々のエンドエフェクタを取り付けることが可能である。本実施形態では、第1ロボット2Aのアーム21の先端には、エンドエフェクタとして第1保持機構1Aが取り付けられている。また、第2ロボット2Bのアーム21の先端には、エンドエフェクタとして第2保持機構1Bが取り付けられている。
第1真空装置61は、第1保持機構1Aに設けられた一対の第1吸気管611(後述する)を介して、一対の第1吸着部141の各々の吸引孔140の内部を排気する。つまり、第1真空装置61は、制御部33に制御されることで、一対の第1吸着部141の各々の有する吸引孔140の内部を排気することにより、吸引孔140の内部の気圧を大気圧より低下させる。これにより、一対の第1吸着部141にリールB1(対象物B0)が吸着されるので、第1保持部11A(後述する)にリールB1が保持されることになる。
第2真空装置62は、第1保持機構1Aに設けられた一対の第2吸気管621(後述する)を介して、一対の第2吸着部142の各々の吸引孔140の内部を排気する。つまり、第2真空装置62は、制御部33に制御されることで、一対の第2吸着部142の各々の有する吸引孔140の内部を排気することにより、吸引孔140の内部の気圧を大気圧より低下させる。これにより、一対の第2吸着部142にリールB1(対象物B0)が吸着されるので、第1保持部11AにリールB1が保持されることになる。
第3真空装置63は、第2保持機構1Bに設けられた一対の第3吸気管631(後述する)を介して、一対の第3吸着部143の各々の有する吸引孔140の内部を排気する。つまり、第3真空装置63は、制御部33に制御されることで、一対の第3吸着部143の各々の有する吸引孔140の内部を排気することにより、吸引孔140の内部の気圧を大気圧より低下させる。これにより、一対の第3吸着部143に第1ラベルL1又はリールB1(対象物B0)が吸着されるので、第2保持部11B(後述する)に第1ラベルL1又はリールB1が保持されることになる。
第4真空装置64は、第2保持機構1Bに設けられた第4吸気管641(後述する)を介して、第4吸着部144の吸引孔140の内部を排気する。つまり、第4真空装置64は、制御部33に制御されることで、第4吸着部144の有する吸引孔140の内部を排気することにより、吸引孔140の内部の気圧を大気圧より低下させる。これにより、第4吸着部144にリールB1(対象物B0)が吸着されるので、第2保持部11BにリールB1が保持されることになる。
気圧測定部60は、4つの真空計を有している。4つの真空計は、それぞれ一対の第1吸気管611の内部の気圧、一対の第2吸気管621の内部の気圧、第3吸気管631の内部の気圧、及び第4吸気管641の内部の気圧を測定し、測定結果を第2コンピュータ3Bへ送信する。つまり、気圧測定部60は、一対の第1吸気管611とつながっている一対の第1吸着部141の各々の吸引孔140の内部の気圧、及び一対の第2吸気管621とつながっている一対の第2吸着部142の各々の吸引孔140の内部の気圧を測定する。
第2コンピュータ3Bは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この第2コンピュータ3Bでは、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、第2コンピュータ3Bのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第2コンピュータ3Bは、制御部33と、姿勢認識部34と、判定部35と、を有している。具体的には、第2コンピュータ3Bは、1以上のプロセッサにより所定のプログラムを実行することで、制御部33、姿勢認識部34、及び判定部35の各々の機能を実現する。
制御部33は、第1保持機構1Aを含めた第1ロボット2A、及び第2保持機構1Bを含めた第2ロボット2Bを制御する。具体的には、制御部33は、第1ロボット2A及び第2ロボット2Bの各々のアーム21を制御することにより、第1保持機構1A及び第2保持機構1Bの各々を所定の範囲内で移動させたり、軸方向と直交する平面に沿って回転させたりする。本実施形態では、制御部33は、第1ロボット2A及び第2ロボット2Bを互いに独立して制御可能である。
また、制御部33は、真空装置61~64を制御することで、保持部11を制御する。具体的には、制御部33は、第1真空装置61及び第2真空装置62を制御することにより、一対の第1吸気管611及び一対の第2吸気管621の内部の気圧を増減させる。これにより、制御部33は、第1保持部11AにリールB1(対象物B0)を保持させたり、リールB1の保持を解除させたりする。同様に、制御部33は、第3真空装置63及び第4真空装置64を制御することにより、第3吸気管631及び第4吸気管641の内部の気圧を増減させる。これにより、制御部33は、第2保持部11BにリールB1(対象物B0)を保持させたり、リールB1の保持を解除させたりする。
姿勢認識部34は、取得部12(後述する)での取得結果に基づいて、リールB1(対象物B0)の姿勢を認識する。具体的には、姿勢認識部34は、第1保持機構1Aの取得部12にて撮像されたリールB1の画像に適宜の画像処理を実行することにより、リールB1の特徴点(ここでは、貫通孔B12)を認識する。そして、姿勢認識部34は、取得部12の取得結果から求まるリールB1の特徴点を、あらかじめ記憶しているリールB1の基準特徴点と比較することにより、リールB1の姿勢を認識する。本開示でいう「姿勢」は、第1保持機構1AがリールB1を保持した場合、又は第1保持機構1AがリールB1を保持したと仮定した場合におけるリールB1の姿勢である。そして、「姿勢」は、リールB1の第1保持機構1A(第1保持部11A)に対する相対的な位置、又はリールB1の第1保持機構1A(第1保持部11A)に対する相対的な向き(回転角度を含む)等を含み得る。
判定部35は、気圧測定部60の測定結果に基づいて、保持部11による対象物B0の保持状態を判定する。具体的には、判定部35は、一対の第1吸気管611、一対の第2吸気管621、第3吸気管631、及び第4吸気管641の各々の内部の気圧と大気圧との差分に基づいて、第1保持部11A及び第2保持部11Bの各々がどの程度の吸着力で対象物B0を保持しているかを判定する。
第5作業台C5には、収容台C51が設けられている。収容台C51は、底板C511と、底板C511から上方に突出する一対の突片C512と、で構成されている。底板C511と、一対の突片C512とで覆われる空間には、複数のリールB1が収容可能である。収容台C51には、認識部31により第1識別子I1を特定することができなかったリールB1が収容される。つまり、収容台C51は、認識部31によりリールB1(対象物B0)を認識できないことから第1識別子I1が付与されないリールB1を、正規の工程(ここでは、上述の付与工程及び第2移動工程(後述する))から退避させる退避エリアA4に相当する。
(2.3)保持機構
次に、保持機構1について説明する。まず、第1保持機構1Aについて図5~図7を用いて説明し、その後、第2保持機構1Bについて図8を用いて説明する。なお、第2保持機構1Bの構成は、基本的に第1保持機構1Aの構成と同じである。したがって、以下では、第2保持機構1Bの構成については、第1保持機構1Aの構成との相違点を説明し、その他の共通する構成については説明を省略する。また、以下では、保持板101と取付板104とが並ぶ方向を前後方向とし、取付板104から見て保持板101側を「前」、その逆を「後」として説明する。
第1保持機構1Aは、図5~図7に示すように、構造物10と、第1保持部11Aと、取得部12と、距離測定部13と、を備えている。図6及び図7では、カバー105(後述する)の図示を省略している。また、図5では、破断したカバー105を図示している。
構造物10は、保持板101と、一対の側板102と、支持板103と、取付板104と、を組み合わせて構成されている。本実施形態では、保持板101、一対の側板102、支持板103、及び取付板104は、それぞれ組立ねじを用いてねじ止めされることで、互いに機械的に結合されている。また、構造物10は、カバー105を更に有している。
保持板101は、円板状であって、矩形状の開口101Aを有している。保持板101には、4つのボールスプライン106が周方向に沿って等間隔に設けられている。4つのボールスプライン106の各々は、保持板101を貫通しており、これらの一端(前端)が保持板101の前側に突出している。各ボールスプライン106の一端には、緩衝部材107を介して吸着部14(後述する)が取り付けられている。つまり、保持板101には、4つのボールスプライン106を介して4つの吸着部14が取り付けられている。緩衝部材107は、例えばコイルスプリングであって、各吸着部14がリールB1(対象物B0)に接触する際の衝撃を吸収する。4つのボールスプライン106の各々は、空洞を有しており、空洞が吸気管(第1吸気管611及び第2吸気管621)の一部を構成している。
一対の側板102の各々は、前後方向に長い矩形状である。一対の側板102の各々は、一端(前端)が保持板101に固定されており、他端(後端)が取付板104に固定されている。つまり、一対の側板102の各々は、保持板101と取付板104とを互いに機械的に連結している。一対の側板102は、保持板101の径方向に沿って互いに対向している。
支持板103は、前後方向から見て八角形の枠となる形状であって、一対の側板102の前後方向における中間部に固定されている。支持板103は、構造物10の前後方向における中間部において、構造物10を補強する。
取付板104は、円板状である。取付板104における構造物10の内部に位置する面(前面)には、取得部12が取り付けられている。また、取付板104における構造物10の外部に位置する面(後面)は、第1ロボット2A(又は第2ロボット2B)のアーム21の先端に着脱自在に取り付けられるようになっている。つまり、取付板104をアーム21の先端に取り付けることにより、第1保持機構1A(又は第2保持機構1B)が第1ロボット2A(又は第2ロボット2B)に取り付けられることになる。
カバー105は、円筒状であって、一対の側板102、支持板103、及び取付板104を覆う。つまり、本実施形態では、カバー105の内側の空間が、構造物10の内部の空間を構成している。カバー105は、遮光性を有する材料で形成されており、構造物10の外部から構造物10の内部へと向かう光を遮る。つまり、カバー105は、構造物10の外部から、構造物10の内部にある取得部12へ向かう光を遮る。
第1保持部11A(保持部11)は、リールB1(対象物B0)を保持する。本実施形態では、第1保持部11Aは、リールB1(対象物B0)を吸引するための吸引孔140を有する吸着部14を備えている。吸着部14は、複数の吸引孔140を有する平板状のパッドであって、いわゆる真空パッドである。また、吸着部14は、リールB1(対象物B0)における吸着部14と接触する表面に凹凸がある場合にもリールB1を吸着しやすくするために、弾性を有している。本実施形態では、第1保持部11Aは、4つの吸着部14を有している。つまり、吸着部14は、複数である。
4つの吸着部14のうち第1方向E1(図7における上下方向)に並ぶ2つの吸着部14が一対の第1吸着部141であって、前後方向から見て、保持板101の開口101Aを挟んで配置されている。また、4つの吸着部14のうち第2方向E2(図7における左右方向)に並ぶ2つの吸着部14が一対の第2吸着部142であって、前後方向から見て、保持板101の開口101Aを挟んで配置されている。ここで、前後方向から見て、保持板101の開口101Aの内側は、後述するように、取得部12による撮像範囲に相当する。つまり、複数の吸着部14のうち一対の第1吸着部141は、取得部12の取得範囲(撮像範囲)の中心を挟んで第1方向E1に並ぶように配置されている。また、複数の吸着部14のうち一対の第2吸着部142は、取得部12の取得範囲の中心を挟んで、第1方向E1と交差する第2方向E2に並ぶように配置されている。そして、第1保持部11Aは、取得部12の視野(つまり、撮像範囲)を遮らない箇所に設けられている。
本実施形態では、一対の第1吸着部141は、それぞれ一対の第1吸気管611を介して第1真空装置61に接続されている。具体的には、第1真空装置61に直接つながっている1本の吸気管610を、第1分岐管612により一対の第1吸気管611に分岐させ、分岐した一対の第1吸気管611をそれぞれ一対の第1吸着部141に接続させている。また、本実施形態では、一対の第2吸着部142は、それぞれ一対の第2吸気管621を介して第2真空装置62に接続されている。具体的には、第2真空装置62に直接つながっている1本の吸気管620を、第2分岐管622により一対の第2吸気管621に分岐させ、分岐した一対の第2吸気管621をそれぞれ一対の第2吸着部142に接続させている。
本実施形態では、1つの第1真空装置61が一対の第1吸気管611の各々を排気することで、一対の第1吸着部141にそれぞれ略均一な吸引力が発生する。同様に、1つの第2真空装置62が一対の第2吸気管621の各々を排気することで、一対の第2吸着部142にそれぞれ略均一な吸引力が発生する。つまり、リールB1(対象物B0)の径方向に沿って並ぶ一対の第1吸着部141(又は一対の第2吸着部142)が、それぞれ略均一な吸引力によりリールB1を吸着するので、リールB1を傾けることなく安定して保持しやすい、という利点がある。
距離測定部13は、例えばレーザ変位計であって、構造物10の内部に設けられている。本実施形態では、距離測定部13は、一対の側板102のうちの一方の側板102に取り付けられている。距離測定部13は、構造物10の内部から、保持板101の開口101A及び第1保持部11Aの4つの吸着部14で囲まれる空間を通して、リールB1(対象物B0)に向けてレーザ光を投射する。つまり、距離測定部13は、構造物10の内部から第1保持部(保持部11)の間を通してリールB1(対象物B0)までの距離を測定する。距離測定部13による測定のタイミングは、第2コンピュータ3Bの制御部33により制御される。
取得部12は、例えばCCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を有する。取得部12は、取付板104の前面に取り付けられることにより、構造物10の内部に設けられている。また、取得部12には、保持板101の開口101Aに向かって突出するレンズ(マクロレンズ)121が取り付けられている。取得部12は、図7に示すように、構造物10の内部から、保持板101の開口101A及び第1保持部11Aの4つの吸着部14で囲まれる空間を通して、リールB1(対象物B0)を撮像する。つまり、取得部12は、構造物10の内部から第1保持部11A(保持部11)の間を通して対象物B0の画像を取得する。図6におけるドットで示される領域は、取得部12の撮像範囲を表している。本実施形態では、レンズ121の中心が構造物10の中心軸と一致するように、取得部12及びレンズ121が配置されている。このため、本実施形態では、取得部12にて取得した画像に対して位置を補正する処理を実行する必要がなく、画像解析に要する処理負荷の低減を図ることができる。取得部12による撮像のタイミングは、第2コンピュータ3Bの制御部33により制御される。
第2保持機構1Bは、図8に示すように、構造物10と、第2保持部11Bと、を備えているが、取得部12を備えていない点で、第1保持機構1Aと相違する。また、第2保持機構1Bは、第2保持部11Bの構成が4つの吸着部14ではなく3つの吸着部14を備えている点で、第1保持機構1Aの第1保持部11Aと相違する。図8では、破断したカバー105を図示している。
第2保持部11Bは、リールB1(対象物B0)又は第1ラベルL1を保持する。本実施形態では、第2保持部11Bは、3つの吸着部14を有している。3つの吸着部14は、いずれも一方向(保持板101の径方向)に並んでいる。3つの吸着部14のうちの一対の第3吸着部143と、残りの1つの第4吸着部144とは、前後方向から見て、保持板101の開口101Aを挟んで配置されている。一対の第3吸着部143は、互いに隣接しており、リールB1又は第1ラベルL1を吸着する際に用いられる。第4吸着部144は、一対の第3吸着部143と共にリールB1を吸着する際に用いられる。
本実施形態では、一対の第3吸着部143は、それぞれ一対(図示では1つ)の第3吸気管631を介して第3真空装置63に接続されている。具体的には、第3真空装置63に直接つながっている1本の吸気管を、第3分岐管632により一対の第3吸気管631に分岐させ、分岐した一対の第3吸気管631をそれぞれ一対の第3吸着部143に接続させている。また、本実施形態では、第4吸着部144は、第4吸気管641を介して第4真空装置64に接続されている。
(3)動作
以下、管理システム100の動作及び制御システム200の動作について図9~図14を用いて説明する。本実施形態では、第1ロボット2A(第1保持機構1A)の動作と、第2ロボット2B(第2保持機構1B)の動作とを連携させることにより、管理システム100の動作が実現される。また、制御システム200の動作は、第1ロボット2A(第1保持機構1A)の動作に含まれる。そこで、以下では、第1ロボット2Aの動作と、第2ロボット2Bの動作と、を分けて説明する。
(3.1)第1ロボットの動作
まず、第1ロボット2Aの動作について、主として図9を用いて説明する。以下の説明では、第1エリアA1は、第1ロボット2Aに最も近い位置にある第1バケットD1における複数の領域のうちの1つである、と仮定する。制御部33は、図11Aに示すように、第1ロボット2Aを制御することにより、第1保持機構1Aが第1エリアA1の上方に位置するように、第1保持機構1Aを移動させる(S1)。そして、制御部33は、リールB1を保持する前に、距離測定部13を制御することにより、距離測定部13に距離F1を測定させる(S2)。
ここでいう「距離」は、距離測定部13のレーザ光の投射口から反射物までの距離をいう。距離F1は、図13Aに示すように、第1エリアA1内にリールB1が存在する場合は、距離測定部13のレーザ光の投射口から第1保持機構1Aに最も近い位置にあるリールB1までの距離に相当する。また、距離F1は、図13Bに示すように、第1エリアA1内にリールB1が存在しない場合は、距離測定部13のレーザ光の投射口から第1バケットD1の内底までの距離に相当する。つまり、制御部33は、保持部11が対象物B0を保持していない状態において、対象物B0までの距離を距離測定部13に測定させる。
制御部33は、距離測定部13で測定された距離F1と、あらかじめ設定された閾値とを比較する(S3)。ここで、閾値は、第1エリアA1内にリールB1が1つのみ存在する場合の距離F1と、第1エリアA1内にリールB1が存在しない場合の距離F1との間の値に設定されている。距離F1が閾値以下であれば(S4:Yes)、第1エリアA1内にリールB1が存在しているので、制御部33は、第1ロボット2Aを制御することにより、第1保持機構1AにリールB1を保持させる(S5)。具体的には、制御部33は、第1ロボット2Aを制御することで、第1保持機構1Aの4つの吸着部14がリールB1の上面に接触する位置まで第1保持機構1Aを移動させる。そして、制御部33は、第1真空装置61及び第2真空装置62を制御することにより、一対の第1吸着部141及び一対の第2吸着部142の各々の吸引孔140の内部を排気させる。これにより、制御部33は、第1保持部11AにリールB1を保持させる。
一方、距離F1が閾値を上回っていれば(S4:No)、制御部33は、第1エリアA1にリールB1が存在しないと判定する。ここで、第1バケットD1の内部の全ての領域にて距離F1が閾値を上回っていれば(S6:Yes)、制御部33は、第1バケットD1が空であると判定し、第1ロボット2A及び第2ロボット2Bの動作を停止させる(S7)。そして、制御部33は、例えば信号灯C35を制御することにより、第1バケットD1が空である(つまり、第1エリアA1にリールB1が存在しない)ことを報知する(S8)。
信号灯C35を確認した作業者は、空になった第1バケットD1を排除し、次の第1バケットD1を空になった第1バケットD1が置かれていた所定位置に配置する。そして、作業者は、例えば操作パネルC36を操作することにより、管理システム100を再稼働させる。このとき、第1バケットD1を排除した作業者、又は他の作業者は、第2バケットD2を回収し、次の空の第2バケットD2を第2作業台C2に配置する。このように第2バケットD2を回収することで、回収した第2バケットD2に収容されるリールB1と、空になった第1バケットD1に収容されていたリールB1とが1対1に対応することになるので、出荷時にリールB1を管理しやすくなる。
一方、第1バケットD1の内部の全ての領域にて距離F1が閾値を上回っていなければ(S6:No)、制御部33は、第1バケットD1の内部における他の領域を第1エリアA1として、この他の領域まで第1保持機構1Aを移動させる(S9)。そして、制御部33は、ステップS2以降の処理を繰り返す。
第1保持機構1AにリールB1を保持させると(S5)、図11Bに示すように、制御部33は、第1ロボット2Aを制御することにより、第1保持機構1Aを透過照明装置C32の上方へと移動させる(S10)。そして、制御部33は、第1保持機構1Aに保持されたリールB1に対して、透過照明装置C32から光を構造物10の内部へ向けて照射させた状態で、リールB1の画像を取得(撮像)させるように取得部12を制御する(S11)。
ここで、後述するように、制御部33は、リールB1(対象物B0)の姿勢を認識する処理(姿勢認識工程)を実行するが、取得部12によるリールB1の画像を取得する処理は姿勢認識工程に含まれる。そして、取得部12によるリールB1の画像を取得する処理は、第1保持機構1Aを第1エリアA1から第2エリアA2まで移動させる第1移動工程の途中で実行されている。したがって、本実施形態では、姿勢認識工程は、第1移動工程の間に実行される。さらに言えば、姿勢認識工程は、リールB1(対象物B0)が第1保持機構1Aに保持された状態で実行される。言い換えれば、制御部33は、第1保持部11A(保持部11)がリールB1(対象物B0)を保持している状態で、取得部12にリールB1の画像を取得させる。このため、本実施形態では、リールB1(対象物B0)の画像を取得するためにリールB1を一旦仮置きする工程が不要であるため、姿勢認識工程の簡素化を図ることができる。言い換えれば、本実施形態では、リールB1(対象物B0)に識別子(第1識別子I1)を付与するまでの全工程に要する時間の短縮を図りやすい。
また、制御部33は、透過照明装置C32によりリールB1(対象物B0)が照らされた状態で、取得部12にリールB1の画像を取得させる。このため、本実施形態では、外部と比較して暗い構造物10の内部からでも、十分な光量を確保した状態でリールB1(対象物B0)の画像を取得することが可能である。ここでいう「十分な光量」とは、画像解析が実行可能な程度の画像を取得部12にて撮像するために必要な光量をいう。
制御部33は、取得部12で取得した画像に対して画像解析することにより、リールB1の姿勢を認識する(S12)。言い換えれば、認識工程は、リールB1(対象物B0)の姿勢を認識する姿勢認識工程を含んでいる。本実施形態では、制御部33は、取得部12で取得した画像を解析することにより、リールB1の貫通孔B12の形状及び位置を認識することで、保持部11に保持されたリールB1の姿勢を認識する。つまり、本実施形態では、姿勢認識工程は、貫通孔B12を認識することで、対象物B0の姿勢を認識する工程である。
特に、本実施形態では、第1保持機構1Aの第1保持部11A(保持部11)は、リールB1のうち貫通孔B12とは異なる箇所の少なくとも一部を保持している。したがって、取得部12は、リールB1の特徴点(ここでは、貫通孔B12)の少なくとも一部が保持部11により遮られていないリールB1の画像を取得することが可能である。つまり、制御部33は、第1保持部11Aにより保持されたリールB1の貫通孔B12を含む画像を取得部12に取得させている。このため、本実施形態では、リールB1(対象物B0)の特徴点(貫通孔B12)を含まない画像に対して画像解析を実行する場合と比較して、リールB1の姿勢を認識しやすい。
また、本実施形態では、第1保持機構1Aの第1保持部11Aは、リールB1のうち、貫通孔B12及び中心部(リール穴B121)を除いた箇所の少なくとも一部を保持している。したがって、取得部12の取得した画像には、リールB1の中心部が含まれるため、制御部33は、画像解析によりリールB1の中心位置を認識することが可能である。また、取得部12の取得した画像には、リールB1の貫通孔B12が含まれるため、制御部33は、画像解析により、リールB1の貫通孔B12の位置に基づいてリールB1の回転角度θ1(図4A参照)を認識することが可能である。ここでいう「回転角度」は、例えば図4Aに示すように、リールB1が基準姿勢にある場合の第2ラベルL2とリールB1の中心とを結ぶ第1直線G1と、取得部12により画像を取得された時点での第2ラベルL2とリールB1の中心とを結ぶ第2直線G2とがなす角度をいう。ここでいう「基準姿勢」は、リールB1がステージC31に載せ置かれているときのリールB1の姿勢である。つまり、取得部12は、リールB1の中心位置及び回転角度の少なくとも一方を認識するための画像を取得する。
そして、図12Aに示すように、制御部33は、第1ロボット2Aを制御することにより、ステージC31(第2エリアA2)まで第1保持機構1Aを移動させる(S13)。そして、制御部33は、リールB1の姿勢の認識結果に基づいて、第1保持機構1Aを並行移動及び回転を組み合わせて移動させることで、リールB1の姿勢を基準姿勢に合わせる(S14)。その後、制御部33は、第1ロボット2Aを制御することにより、リールB1をステージC31に載せる(S15)。そして、制御部33は、第1真空装置61及び第2真空装置62を制御することにより、第1保持機構1AによるリールB1の保持状態を解除させる(S16)。これにより、ステージC31(第2エリアA2)には、リールB1が基準姿勢で配置されることになる。つまり、第1移動工程は、姿勢認識工程での認識結果に基づいて、目標の姿勢(基準姿勢)となるようにリールB1(対象物B0)をステージC31(第2エリアA2)に配置する工程を含んでいる。
その後、制御部33は、図12B及び図11Aに示すように、第1ロボット2Aを制御することにより、第1保持機構1Aが第1エリアA1の上方に位置するように、第1保持機構1Aを移動させる(S1)。以下、制御部33は、ステップS1~S16の処理を繰り返す。
ここで、第1コンピュータ3Aは、読取装置4を制御することにより、読取装置4にステージC31に配置されたリールB1を撮像させ、読取装置4に第2識別子I2を取得させる。そして、第1コンピュータ3Aは、読取装置4から取得した第2識別子I2が、記憶装置30に保存されたデータベースに登録されているか否かを判定する。
第2識別子I2がデータベースに登録されている場合、第1コンピュータ3Aは、この第2識別子I2に対応した第1識別子I1を特定し、特定した第1識別子I1を含む第1ラベルL1(識別媒体L0)を印刷装置5に印刷させる。
(3.2)第2ロボットの動作
次に、第2ロボット2Bの動作について、主として図10を用いて説明する。以下の説明では、第3エリアA3は、第2バケットD2における複数の領域のうちの1つである、と仮定する。制御部33は、図11A、図14A、及び図14Bに示すように、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1Bが印刷装置5の排出台52の情報に位置するように、第2保持機構1Bを移動させる(S17)。そして、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1Bに排出台52に排出された第1ラベルL1(識別媒体L0)を保持させる(S18)。具体的には、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することで、第2保持機構1Bの一対の第3吸着部143が第1ラベルL1に接触する位置まで第2保持機構1Bを移動させる。そして、制御部33は、第3真空装置63を制御することにより、一対の第3吸着部143の各々の吸引孔140の内部を排気させる。これにより、制御部33は、第2保持部11Bに第1ラベルL1を保持させる。
第2保持機構1Bに第1ラベルL1を保持させると(S18)、図11Bに示すように、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1BをステージC31(第2エリアA2)の上方へと移動させる(S19)。そして、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、ステージC31に配置されたリールB1の所定位置(ここでは、2つの第2ラベルL2のうち一方の第2ラベルL2)に、第1ラベルL1を貼り付ける(S20)。具体的には、制御部33は、第1ラベルL1を対象となる第2ラベルL2に押し当てるように第2保持機構1Bを移動させ、その後、第3真空装置63を制御することにより、第2保持機構1Bによる第1ラベルL1の保持を解除させる。
その後、図11Cに示すように、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1BをステージC31から離れた場所に移動させる(S21)。この状態で、第1コンピュータ3Aが、読取装置4を制御することにより、読取装置4にステージC31に配置されたリールB1を撮像させ、読取装置4に第1識別子I1を取得させる。
ここで、本実施形態では、第1コンピュータ3Aは、読取装置4が撮像したリールB1の画像に基づいて、第1ラベルL1の貼り付けが正常に行われたか否かを検査する検査工程を実行する。検査工程においては、第1コンピュータ3Aは、第1ラベルL1に印字された第1識別子I1を表すコードを読み取れるか否か、読み取れた場合には、コードの位置が第1ラベルL1が貼り付けられるべき位置の許容範囲内にあるか否か、を検査する。さらに、第1コンピュータ3Aは、読み取ったコードの内容(つまり、第1識別子I1)が、このリールB1にあらかじめ付与されている第2識別子I2と紐付けられた情報に一致しているか否かを検査する。そして、第1コンピュータ3Aは、上記の3つの条件を全て満たした場合に正常と判断し、少なくとも1つの条件を満たしていない場合に異常と判断する。
このように、本実施形態では、第1ラベルL1の貼り付けが正常に行われたか否かを検査する作業の自動化を図ることができる。そして、本実施形態では、検査工程を実行することにより、不良品であるリールB1を後述する退避工程により退避させることが可能である。ここでいう不良品は、例えば第1ラベルL1に印字したコードがかすれている、第1ラベルL1がリールB1に貼り付けられていない、第1ラベルL1の貼り付け位置が所定の範囲からずれている、又は第1ラベルL1に間違ったコードが印字されている等のリールB1である。
そして、第1コンピュータ3Aは、検査工程にて正常と判断した場合、読取装置4から取得した第1識別子I1と、このリールB1にあらかじめ付与されている第2識別子I2とを紐付けて記憶装置30に記憶させる(つまり、記憶装置30に出力する)。つまり、管理方法は、第1識別子I1と第2識別子I2とを紐付けた情報を出力する出力工程を更に有している。
その後、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1Bを再びステージC31の上方まで移動させ(S22)、ステージC31に配置されたリールB1を保持させる(S23)。具体的には、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することで、第2保持機構1Bの一対の第3吸着部143及び第4吸着部144がリールB1に接触する位置まで第2保持機構1Bを移動させる。そして、制御部33は、第3真空装置63及び第4真空装置64を制御することにより、一対の第3吸着部143及び第4吸着部144の各々の吸引孔140の内部を排気させる。これにより、制御部33は、第2保持部11BにリールB1を保持させる。
そして、図12Aに示すように、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1Bが第2バケットD2(第3エリアA3)の上方に位置するように、第2保持機構1Bを移動させる(S24)。そして、制御部33は、第3真空装置63及び第4真空装置64を制御することにより、第2保持機構1BによるリールB1の保持状態を解除させる(S25)。これにより、第1ラベルL1が貼り付けられたリールB1が第2バケットD2に収容される。ここで、第3エリアA3は、第2バケットD2の内部の複数の領域のうち、第1バケットD1にてリールB1が配置されていた領域と対応する領域であるのが好ましい。このように、第1バケットD1と第2バケットD2とで、リールB1の積み重なった状態(ただし、リールB1の積み重なる順番は逆転する)が同じとなるように、第2バケットD2にリールB1を収容するのが好ましい。
その後、制御部33は、図12B及び図11Aに示すように、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1Bが印刷装置5の排出台52の上方に位置するように、第2保持機構1Bを移動させる(S17)。以下、制御部33は、ステップS17~S25の処理を繰り返す。
このように、本実施形態では、管理方法は、第1識別子I1を付与されたリールB1(対象物B0)をステージC31(第2エリアA2)から第2バケットD2(第3エリアA3)に移動させる第2移動工程を更に有している。また、本実施形態では、第2移動工程は、ステージC31(第2エリアA2)にあるリールB1(対象物B0)を保持する第2保持機構1Bにより実行される。また、本実施形態では、付与工程は、第1識別子I1を含む第1ラベルL1(識別媒体L0)を第2保持機構1Bが保持し、保持した第1ラベルL1を第2保持機構1BがリールB1(対象物B0)に付与することで実行される。さらに、本実施形態では、付与工程は、リールB1(対象物B0)がステージC31(第2エリアA2)に配置されてから、次のリールB1がステージC31に配置されるまでの間に実行される。
ところで、上記の「(3.1)第1ロボットの動作」において、第2識別子I2がデータベースに登録されていない場合、又は第2識別子I2が認識できない場合、第1コンピュータ3Aは、エラーが発生したと判定する。また、「(3.2)第2ロボットの動作」において、検査工程にて異常と判断した場合も、第1コンピュータ3Aは、エラーが発生したと判定する。この場合、第1コンピュータ3Aは、エラーが発生した旨を第2コンピュータ3Bに通知する。通知を受け取ると、第2コンピュータ3Bの制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、ステージC31に配置されたリールB1を第2保持機構1Bに保持させ、収容台C51(退避エリアA4)まで第2保持機構1Bを移動させる。そして、制御部33は、第2ロボット2Bを制御することにより、第2保持機構1BによるリールB1の保持状態を解除させることで、リールB1を収容台C51に収容させる。このように、本実施形態では、管理方法は、認識工程にて対象物B0を認識できない場合に、付与工程を経ずにリールB1(対象物B0)を収容台C51(退避エリアA4)に移動させる退避工程を更に有している。退避工程は、検査工程にて異常と判断した場合にも実行される。
上述のように、本実施形態の管理方法では、保持工程、第1移動工程、認識工程、及び付与工程を例えばロボット(マニピュレータ)を含むシステムに実行させることにより、リールB1(対象物B0)に識別子(第1識別子I1)を付与する作業の自動化を図ることができる。したがって、本実施形態では、対象物B0に識別子を付与する作業を人が行う場合と比較して、対象物B0に識別子を付与する手間を軽減することができる、という利点がある。特に、本実施形態では、管理方法が認識工程を有しているため、付与すべき識別子(第1識別子I1)が互いに異なる複数のリールB1(対象物B0)に対しても、人による手作業を介さずに識別子を容易に付与することが可能である、という利点がある。
また、上述のように、本実施形態の制御システム200では、取得部12は、構造物10の内部から第1保持部11A(保持部11)の間を通してリールB1(対象物B0)の画像を取得する。このため、本実施形態では、構造物10の外部からリールB1の画像を取得する場合と比較して、第1保持機構1A(保持機構1)がリールB1を保持して移動させる工程において、第1保持機構1Aの動作を妨げない。例えば、構造物10の外部から取得部12がリールB1の画像を取得する場合、取得部12に第1保持機構1Aが干渉しないように第1保持機構1Aを制御する必要があるが、本実施形態では、このような制御は不要である。したがって、本実施形態では、リールB1を保持して移動させる工程の円滑化を図ることができる、という利点がある。
ここで、リールB1(対象物B0)を第1保持機構1A(保持機構1)で保持した状態において、リールB1の下方から取得した画像ではリールB1の姿勢を認識しにくい場合もあり得る。このような場合でも、本実施形態では、リールB1の上方から画像を取得することができるので、リールB1の姿勢を認識しやすい、という利点がある。また、このような場合に、本実施形態では、リールB1の上方からの画像を取得するためにリールB1を一旦仮置きしてから画像を取得するといった工程を経なくて済む、という利点がある。
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、管理方法及び管理システム100と同様の機能は、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。また、制御システム200と同様の機能は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上述の実施形態の管理方法を実行させる。
一態様に係る制御方法は、保持機構1(第1保持機構1A)を制御する方法である。保持機構1は、保持部11と、取得部12と、を有する。保持部11は、対象物B0を保持する。取得部12は、保持部11を有する構造物10に設けられて、対象物B0の画像を取得する。制御方法は、構造物10の内部から保持部11の間を通して取得部12に対象物B0の画像を取得させる方法である。
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、上述の実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における管理システム100(又は制御システム200)は、例えば、第2コンピュータ3B等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における管理システム100(又は制御システム200)としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、管理システム100(又は制御システム200)における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは管理システム100(又は制御システム200)に必須の構成ではない。管理システム100(又は制御システム200)の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、管理システム100(又は制御システム200)の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
上述の実施形態において、姿勢認識工程は、第1移動工程の間に実行されなくてもよい。また、上述の実施形態において、姿勢認識工程は、リールB1(対象物B0)が第1保持機構1Aに保持されていない状態で実行されてもよい。例えば、認識工程は、第1バケットD1に収容されたリールB1に第1保持機構1Aを対向させた時点で、つまり、第1保持機構1AがリールB1を保持する前に実行されてもよい。その他、姿勢認識工程は、第1保持機構1AがリールB1を保持し、第1バケットD1からステージC31へと移動する前に実行されてもよい。
上述の実施形態において、第1保持機構1A及び第2保持機構1Bの各々が制御部33を有していてもよい。この場合、一方の保持機構の動作タイミングを他方の保持機構が把握できるように、第1保持機構1A及び第2保持機構1Bの各々に双方向に通信可能な通信インタフェースを設けるのが好ましい。
上述の実施形態において、収容台C51(退避エリアA4)は設けられていなくてもよい。この場合、制御部33は、エラーと判定した時点で、エラーを報知して第1ロボット2A及び第2ロボット2Bを停止させればよい。そして、エラーを確認した作業者が、ステージC31(第2エリアA2)からリールB1(対象物B0)を排除し、システムを再稼働させればよい。
上述の実施形態において、管理システム100は、第2ロボット2B(第2保持機構1B)を備えていなくてもよい。つまり、付与工程及び第2移動工程は、第1ロボット2A(第1保持機構1A)に実行させてもよい。
上述の実施形態において、付与工程は、第1ラベルL1をリールB1(対象物B0)に貼付させる態様に限らない。例えば、付与工程は、レーザ光を用いて第1識別子I1に対応する文字列をリールB1に印字する態様であってもよいし、第1識別子I1を含むRFID(Radio Frequency Identifier)チップをリールB1に貼付する対応であってもよい。また、付与工程は、第1識別子I1に対応する磁気データをリールB1に書き込む態様であってもよい。また、第1識別子I1は、バーコードのような一次元コードに限らず、例えばQRコード(登録商標)のような二次元コードであってもよい。
上述の実施形態において、管理方法を適用し得るリールB1のサイズ(厚さを含む)は1種類に限られない。つまり、互いにサイズが異なる種々のリールB1が混在していたとしても、上述の実施形態の管理方法を適用することが可能である。
上述の実施形態において、対象物B0はリールB1に限られない。対象物B0は、例えば基板等の他の部品であってもよい。
上述の実施形態において、第2識別子I2は、第2ラベルL2によりリールB1(対象物B0)に付与されていなくてもよい。例えば、第2識別子I2は、第2識別子I2に対応する文字列が印字されることで、リールB1に付与されていてもよいし、第2識別子I2を含むRFIDチップが貼り付けられることで、リールB1に付与されていてもよい。また、第2識別子I2は、磁気データの書き込み等によりリールB1に付与されていてもよい。また、第2識別子I2は、バーコードのような一次元コードに限らず、例えばQRコード(登録商標)のような二次元コードであってもよい。
上述の実施形態において、リールB1(対象物B0)のどの位置に第1ラベルL1(第1識別子I1)を付与しても構わない場合、姿勢認識工程は不要である。
上述の実施形態において、第2コンピュータ3Bが第1コンピュータ3Aの機能を有する場合、第1コンピュータ3Aは不要である。
上述の実施形態において、保持部11は、複数の吸着部14ではなく、1つの吸着部14で構成されていてもよい。この場合、吸着部14は、取得部12の視野(撮像範囲)を遮らないように、例えば円環状であってもよい。
上述の実施形態において、保持機構1(第1保持機構1A)は、上記の制御システム200(管理システム100)に用いられる部材として、単独で市場に流通し得る。第2保持機構1Bも、上記の管理システム100に用いられる部材として、単独で市場に流通し得る。
上述の実施形態において、作業者による空の第1バケットD1を回収して新たな第1バケットD1を配置する工程、及び第2バケットD2を回収して新たな空の第2バケットD2を配置する工程は、いずれも作業者の手作業に限らず、ベルトコンベア等の適宜のバケット移動機構を用いて自動化されてもよい。
上述の実施形態において、「保持部の間を通して対象物の画像を取得する」とは、上述のように構造物10の内部にある取得部12により対象物の画像を取得する態様に限られない。例えば、構造物10の外部にある取得部12と、構造物10の内部にある反射鏡との組み合わせにより、保持部11の間を通して対象物B0の画像を取得する態様であってもよい。
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る管理方法は、保持工程と、第1移動工程と、認識工程と、付与工程と、を有する。保持工程は、第1エリア(A1)にある対象物(B0)を第1保持機構(1A)で保持する工程である。第1移動工程は、第1保持機構(1A)により保持した対象物(B0)を第1エリア(A1)から第2エリア(A2)に移動させる工程である。認識工程は、対象物(B0)を認識して対象物(B0)に対応する第1識別子(I1)を特定する工程である。付与工程は、認識工程で特定された第1識別子(I1)を、第2エリア(A2)に配置された対象物(B0)に付与する工程である。
この態様によれば、対象物(B0)に識別子(第1識別子(I1))を付与する作業を人が行う場合と比較して、対象物(B0)に識別子を付与する手間を軽減することができる、という利点がある。
第2の態様に係る管理方法は、第1の態様において、対象物(B0)の姿勢を認識する姿勢認識工程を更に有する。第1移動工程は、姿勢認識工程での認識結果に基づいて、目標の姿勢となるように対象物(B0)を第2エリア(A2)に配置する工程を含む。
この態様によれば、対象物(B0)の規定の位置に識別子を付与する精度が向上する、という利点がある。
第3の態様に係る管理方法では、第2の態様において、対象物(B0)は、電子部品を保持するテープ(B11)が巻き付けられ、少なくとも一部に貫通孔(B12)が設けられたリール(B1)である。姿勢認識工程は、貫通孔(B12)の形状を認識することで、対象物(B0)の姿勢を認識する工程である。
この態様によれば、リール(B1)の規定の位置に識別子を付与する精度が向上する、という利点がある。
第4の態様に係る管理方法では、第2又は第3の態様において、姿勢認識工程は、第1移動工程の間に実行される。
この態様によれば、対象物(B0)に識別子を付与するまでの全工程に要する時間の短縮を図りやすい、という利点がある。
第5の態様に係る管理方法では、第4の態様において、姿勢認識工程は、対象物(B0)が第1保持機構(1A)に保持された状態で実行される。
この態様によれば、対象物(B0)を第1保持機構(1A)で保持していない状態で姿勢認識工程を実行する場合と比較して、対象物(B0)に識別子を付与するまでの全工程に要する時間の短縮を図りやすい、という利点がある。
第6の態様に係る管理方法では、第1~第5のいずれかの態様において、認識工程は、対象物(B0)にあらかじめ付された第2識別子(I2)を認識する工程を含む。付与工程は、第2識別子(I2)に対応した第1識別子(I1)を、第2エリア(A2)に配置された対象物(B0)に付与する工程である。
この態様によれば、対象物(B0)にあらかじめ付された識別子を更新することができる、という利点がある。
第7の態様に係る管理方法は、第6の態様において、第1識別子(I1)と第2識別子(I2)とを紐付けた情報を出力する出力工程を更に有する。
この態様によれば、識別子の更新後において対象物(B0)の状態を追跡しやすい、という利点がある。
第8の態様に係る管理方法は、第1~第7のいずれかの態様において、第1識別子(I1)を付与された対象物(B0)を第2エリア(A2)から第3エリア(A3)に移動させる第2移動工程を更に有する。
この態様によれば、識別子が付与された対象物(B0)を他の場所(第3エリア(A3))に移す作業を人が行う場合と比較して、識別子が付与された対象物(B0)を他の場所に移す手間を軽減することができる、という利点がある。
第9の態様に係る管理方法では、第8の態様において、第2移動工程は、第2エリア(A2)にある対象物(B0)を保持する第2保持機構(1B)により実行される。
この態様によれば、第1保持機構(1A)が実行する工程と並行して第2移動工程を実行することができる、という利点がある。
第10の態様に係る管理方法では、第9の態様において、付与工程は、第1識別子(I1)を含む識別媒体(L0)を第2保持機構(1B)が保持し、保持した識別媒体(L0)を第2保持機構(1B)が対象物(B0)に付与することで実行される。
この態様によれば、例えば対象物(B0)に識別子を直接印字する場合と比較して、対象物(B0)に識別子を容易に付与することができる、という利点がある。
第11の態様に係る管理方法では、第10の態様において、付与工程は、対象物(B0)が第2エリア(A2)に配置されてから、次の対象物(B0)が第2エリア(A2)に配置されるまでの間に実行される。
この態様によれば、識別子が付与された対象物(B0)を他の場所に移すまでに要する時間を短縮することができる、という利点がある。
第12の態様に係る管理方法は、第1~第11のいずれかの態様において、認識工程にて第1識別子(I1)を特定できない場合に、付与工程を経ずに対象物(B0)を退避エリア(A4)に移動させる退避工程を更に有する。
この態様によれば、識別子が付与されない対象物(B0)を退避エリア(A4)に移す作業を人が行う場合と比較して、識別子が付与されない対象物(B0)を退避エリア(A4)に移す手間を軽減することができる、という利点がある。
第13の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第1~第12のいずれかの態様の管理方法を実行させる。
この態様によれば、対象物(B0)に識別子(第1識別子(I1))を付与する作業を人が行う場合と比較して、対象物(B0)に識別子を付与する手間を軽減することができる、という利点がある。
第14の態様に係る管理システム(100)は、保持機構(1)と、認識部(31)と、付与部(32)と、制御部(33)と、を備える。保持機構(1)は、対象物(B0)を保持する。認識部(31)は、対象物(B0)を認識して対象物(B0)に対応する第1識別子(I1)を特定する。付与部(32)は、第1識別子(I1)を対象物(B0)に付与する。制御部(33)は、保持機構(1)により第1エリア(A1)にある対象物(B0)を第2エリア(A2)に移動させる機能を有する。制御部(33)は、認識部(31)により対象物(B0)を認識させる機能を有する。制御部(33)は、付与部(32)により第1識別子(I1)を第2エリア(A2)に配置された対象物(B0)に付与させる機能を有する。
この態様によれば、対象物(B0)に識別子(第1識別子(I1))を付与する作業を人が行う場合と比較して、対象物(B0)に識別子を付与する手間を軽減することができる、という利点がある。
第2~第12の態様に係る方法については、管理方法に必須の方法ではなく、適宜省略可能である。
ところで、第1の態様に係る管理方法では、全ての対象物(B0)に同じ第1識別子(I1)を付与する場合には、付与工程は不要である。すなわち、第15の態様に係る管理方法は、保持工程と、第1移動工程と、姿勢認識工程と、を有する。保持工程は、第1エリア(A1)にある対象物(B0)を第1保持機構(1A)で保持する工程である。第1移動工程は、第1保持機構(1A)により保持した対象物(B0)を第1エリア(A1)から第2エリア(A2)に移動させる工程である。姿勢認識工程は、対象物(B0)の姿勢を認識する工程である。第1移動工程は、姿勢認識工程での認識結果に基づいて、目標の姿勢となるように対象物(B0)を第2エリア(A2)に配置する工程を含む。
この態様によれば、第2エリア(A2)にて対象物(B0)に識別子を付与する場合に、対象物(B0)の規定の位置に識別子を付与する精度が向上する、という利点がある。