以下、図面を参照して、本発明に係る給電装置及び光無線給電システムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
まず、本開示の一実施形態に係る光無線給電システムの概要について説明する。図1に本開示の一実施形態に係る光無線給電システム300の概要を説明するための図を示す。光無線給電システム300は、給電装置100と、給電装置100から電力を受電する移動体200と、を有する。移動体(例えば、ドローン)200は、給電エリア400において充電することができる。移動体200は、移動体200を移動させるための電力が減少し充電が必要になった場合、あるいは、充電するよう指示を受け付けた場合などに、給電エリア400に移動して充電してよい。移動体200は、給電エリア400の位置を予め記憶しておいてよい。移動体200は、カメラ等の撮像部24を用いて給電装置100を撮像し、受光部21を給電装置100に対向させる。
給電エリア400には、例えば、鉄塔等の構造物500に設けられた給電装置100が配置されている。給電装置100は、カメラ等の撮像部5を備えており、移動体200を撮像し、撮像した画像に基づいて移動体200が給電対象であると判定した場合に、光源部1から移動体200の受光部21にレーザー光Lを照射する。光源部1には、複数の発光素子が設けられている。光源制御部4は、複数の発光素子のうち、移動体200の受光部21の大きさ及び形状に対応する発光素子を選択し、発光させて、レーザー光Lを照射する。移動体200の受光部21には太陽電池が設けられており、太陽電池は受光したレーザー光を電気エネルギーに変換し、蓄電部(図示せず)に蓄電する。移動体200は、蓄電した電力を利用して移動を継続することができる。
レーザー光は指向性が高く、給電装置100と移動体200との間の距離が、例えば、数km離れていてもビーム径は広がらないという性質を有する。一方、移動体200の受光部21を構成する太陽電池の大きさは、例えば、一辺が数cmから10cm程度の長方形である。太陽電池は、レーザー光が受光領域全体に均等に光が当たらないとエネルギー変換効率が低下する。本開示の実施形態に係る光無線給電システムを構成する給電装置100は、移動体200が移動した場合であっても、移動体200の太陽電池に均等にレーザー光が照射されるような構成を有している。以下、給電装置100の構成について説明する。
[実施例1]
まず、本開示の実施例1に係る給電装置について説明する。図2に、本開示の実施例1に係る給電装置100及び移動体200のブロック図を示す。光無線給電システム300は、給電装置100と、移動体200とを含む。図3に、本開示の実施例1に係る給電装置100が移動体200の受光部21にレーザー光Lを照射する様子を説明するための図を示す。図4に、本開示の実施例1に係る給電装置100の光源部1の平面図を示す。給電装置100は、光源部1と、取得部2と、位置制御部3と、光源制御部4と、を有する。給電装置100は、さらに、撮像部5と、画像認識部6と、検出部7と、通信部8と、記憶部9と、を有してよい。これらの構成は、バス10により接続されている。
光源部1は、アレイ状に配置され、それぞれが平行なレーザー光を出射する複数の発光素子を有する。発光素子として、例えば、垂直共振器型面発光レーザー(ビクセル(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser))を用いてよい。ただし、このような例には限られず、ビクセル以外の他のレーザー光源を用いてよい。ビクセルは、上面から垂直にレーザービームを放射する。1つのビクセルのサイズは、数~10μm程度と小型であるが、複数のビクセルをアレイ状、あるいは、2次元アレイ状に配置することにより、高出力の光源を構成することができる。レーザー光を出射する複数の発光素子として、ビクセルを用いることにより、光源部1を面発光レーザアレイとすることができる。
取得部2は、給電対象である移動体200の受光部21の位置、大きさ及び形状に関する情報を取得する。
位置制御部3は、受光部21の位置に関する情報に基づいて、受光部21と対向するように光源部1の向きを制御する。位置制御部3として、例えば、アクチュエータ及びこれを制御するCPU等のマイクロコンピュータ(マイコン)を用いてよい。位置制御部3は、移動体200の受光部21の位置に追従して、光源部1の向きを制御することができる。従って、位置制御部3は、光源部1がレーザー光を照射している状態で、給電装置100と移動体200の相対的な位置が変動した場合であっても、受光部21の位置をトラッキングし、光源部1から出射されたレーザー光を移動体200の受光部21に正確に照射させることができる。トラッキングとは、ここでは、検出した受光部21を継続して検出し続けることをいう。給電装置100は、電波、画像認識、センサ等の任意の手法により受光部21をトラッキングしてよい。
光源制御部4は、複数の発光素子のうち、受光部21の大きさ及び形状に対応する発光素子を選択し、発光させる。例えば、図3に示すように、光源部1が5つのビクセルV1~V5を備えている場合、光源制御部4は、複数の発光素子であるビクセルV1~V5のうち、移動体200の太陽電池を構成する受光部21の大きさ及び形状に対応する発光素子であるビクセルV2~V4を選択し、発光させる。ビクセルV2~V4によって、レーザー光Lが放射されて、受光部21に照射される。
ここで、光源部1の複数の発光素子が配置された領域は、受光部21の大きさより大きいことが好ましい。例えば、図4に示すように、光源部1の一点鎖線で示された領域S0に複数の発光素子が配置されている。図4には、発光素子が、縦方向に5個、横方向に5個配置されている例を示したが、このような例には限られない。
例えば、図4に示すように、移動体200の受光部21である第1の太陽電池がS10で示した長方形の大きさ及び形状を有するものとする。このとき、第1の太陽電池に対してレーザー光を照射する場合は、光源部1の複数の発光素子のうち、S10で示した領域内のビクセルV11を含む2個のビクセルを選択し、発光させる。従って、この場合、光源部1の複数の発光素子が配置された領域S0は、受光部21の大きさS10より大きい。
また、図4に示すように、移動体200の受光部21である第2の太陽電池がS20で示した長方形の大きさ及び形状を有するものとする。このとき、第2の太陽電池に対してレーザー光を照射する場合は、光源部1の複数の発光素子のうち、S20で示した領域内のビクセルV21を含む12個のビクセルを選択し、発光させる。従って、この場合、光源部1の複数の発光素子が配置された領域S0は、受光部21の大きさS20より大きい。
このように、光源部1の複数の発光素子が配置された領域S0は、給電対象である太陽電池の大きさ及び形状に対応する領域(S10、S20)より大きいことが好ましい。このような構成とすることにより、光源部1の大きさ以下の太陽電池に対してレーザー光を照射する場合、光源部1の複数の発光素子のうちの太陽電池に対応する大きさ及び形状に対応する発光素子を選択し、発光させることにより、太陽電池の形状に合わせたレーザー光を照射し、給電することができる。
即ち、光源部1に含まれる複数の発光素子のうち、給電対象である太陽電池に対応する領域の外部の発光素子(例えば、V0)を発光させる必要が無いため、無駄な電力が生じず、給電効率を高めることができる。
また、光源部1の大きさ以下の任意の形状の太陽電池に合わせたレーザー光を照射することができる。さらに、後述するように、光源部1または受光部21が移動することにより、光源部1が照射可能な領域内で、光源部1と受光部21との相対的な位置が移動した場合であっても、発光させる発光素子の範囲を変更することにより、容易にトラッキングを行うことができる。
撮像部5は、給電対象である移動体200の受光部21を撮像する。撮像部5には、例えば、カメラを用いてよい。撮像部5は、移動体200の受光部21の周辺に設けられた1つまたは複数のマーカを撮像し、撮像したマーカの画像に基づいて、受光部21の位置を検出するようにしてよい。ここで、マーカは、移動体200に位置検出用として別途配置されたものである場合に限られず、画像認識処理により抽出可能な複数の特徴点をマーカの代わりに使用するようにしてもよい。
画像認識部6は、撮像部5が撮像した受光部21の画像に基づいて、受光部21の位置、大きさ及び形状を検出するために画像認識を行ってよい。画像認識を用いることにより、給電装置100は移動体200の受光部21の位置、大きさ及び形状を正確に把握することができる。画像認識の手法として、例えば、画像内で受光部が占める領域を認識するセグメンテーションを用いてよい。
検出部7は、受光部21の位置、大きさ及び形状を検出してよい。検出部7は、移動体200の位置に加えて、移動体200までの距離及び移動体200に対する角度の少なくともいずれかを検出してよい。検出部7には、LiDAR(Light Detection and Ranging)やレーダ等のセンサ、若しくは、これらの組み合わせを用いてよい。LiDAR等のセンサを用いることにより、移動体200の位置、給電装置100から移動体200までの距離、及び移動体200に対する角度を正確に検出することができる。
通信部8は、受光部21の位置、大きさ及び形状に関する情報を受信してよい。通信部8は、移動体200から、給電を要求する信号、蓄電部への蓄電が完了したことを示す情報、受光部における発電状況に関する情報等を受信してよい。
記憶部9は、例えば、半導体メモリや、コンピュータ読取可能な記憶媒体等であってよい。記憶部9は、移動体200の画像情報、移動体200に関する識別情報、及び給電装置100を制御するためのプログラムを格納してよい。
移動体200は、電気エネルギーを利用して移動するものであり、例えば、ドローンや電気自動車等であってよい。ただし、移動体200は、これらの例には限られない。移動体200は、受光部21と、蓄電部22と、駆動部23と、撮像部24と、検出部25と、制御部26と、通信部27と、記憶部28と、を有し、これらは、バス20により接続されている。
受光部21は、給電装置100の光源部1からのレーザー光Lを受光し、電力に変換する。受光部21には、シリコン太陽電池等の太陽電池を用いてよい。シリコン太陽電池を構成するシリコンは、単結晶、多結晶、非晶質(アモルファス)のいずれも利用可能であるが、電力変換効率が高い点で単結晶シリコンにより構成されていることが好ましい。受光部21には、多元素化合物半導体を用いた太陽電池(CIS(Copper Indium Selenium)太陽電池、CIGS(Copper Indium Gallium Selenium)太陽電池)や、III-V族多接合太陽電池(GaAs族太陽電池等)等を用いてもよい。
シリコン太陽電池の場合、起電圧は0.8V程度であるため、出力電圧を高くするためには、複数個のセルを直列に接続する必要がある。1つのシリコン太陽電池を複数個のセルに分割した場合、それぞれのセルの起電圧は均一であることが好ましいため、それぞれのセルに均一に光が照射されることが好ましい。そのため、給電装置100の光源部1は、移動体200の受光部21が均一な強度のレーザー光を受光できるように、均一な強度分布を有するレーザー光を照射することが好ましい。
シリコン太陽電池の場合、シリコン(Si)のバンドギャップに相当する波長が約1.1μmであり、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーを持たない光は吸収されないため、照射するレーザー光は、バンドギャップに相当する波長より短い波長である必要がある。一方、バンドギャップに相当する波長よりも大幅に短い波長の光は、エネルギーの大半がシリコン太陽電池の発熱を引き起こし、エネルギー変換効率は低下する。従って、シリコン太陽電池においては、エネルギー変換効率を考慮すると、給電装置100の光源部1が照射するレーザー光の波長は、シリコンのバンドギャップに相当する波長である1.1μmよりも若干短波長の波長1μm程度であることが好ましい。また、波長1μmのレーザー光は、可視光の範囲よりも長波長であるため、人体に対しても安全と言える。
図3に示すように、受光部21は、反射板30により囲まれるようにしてよい。反射板30を設けることにより、受光部21に入射したレーザー光が外部に漏れるのを防ぐことができる。
蓄電部22は、受光部21が変換した電力を蓄電する。蓄電部22は二次電池等の蓄電池であってよい。蓄電池として、例えば、リチウムイオン電池や、リチウムポリマー電池等を用いてよい。
駆動部23は、蓄電部22が蓄電した電力を用いて動力装置を駆動する。駆動部23は、移動体200がドローンである場合は、回転翼を回転させるモータであってよい。あるいは、駆動部23は、移動体200が電気自動車である場合は、車輪を回転させるモータであってよい。
撮像部24は、レーザー光を送出する給電装置100の画像を撮像する。撮像部24には、例えば、カメラを用いてよい。
検出部25は、撮像部24が撮像した画像に基づいて給電装置100の位置を検出する。検出部25は、画像に含まれる給電装置100を画像認識により検出してよい。画像認識を用いることにより、移動体200は給電装置100の位置を正確に把握することができる。
制御部26は、給電装置100の光源部1に対して正対するように移動体200の受光部21の位置を制御する。この場合、制御部26は、受光部21のみの位置を制御してもよいし、移動体200全体の位置を制御してもよい。制御部26には、CPU等のマイクロコンピュータ(マイコン)を用いてよい。制御部26は、給電装置100の位置に追従して、受光部21の向きを制御することができる。従って、制御部26は、光源部1がレーザー光を照射している状態で、給電装置100と移動体200の相対的な位置が変動した場合であっても、給電装置100の位置をトラッキングし、光源部1から出射されたレーザー光を移動体200の受光部21に正確に照射させることができる。トラッキングとは、ここでは、検出した給電装置100を継続して検出し続けることをいう。移動体200は、電波、画像認識、センサ等の任意の手法により給電装置100をトラッキングしてよい。
通信部27は、給電装置100との間で情報を送受信する。通信部27は、給電装置100に対して、給電を要求する信号、蓄電部22への蓄電が完了したことを示す情報、受光部21における発電状況に関する情報等を送信してよい。
記憶部28は、例えば、半導体メモリであってよい。記憶部28は、給電エリア400の位置情報、給電装置100に関する識別情報、及び移動体200を制御するためのプログラム等を格納してよい。
図5に、本開示の一実施形態に係る給電装置100及び移動体200の動作を説明するためのシーケンス図を示す。ステップS101において、移動体200は、充電残量が少なくなった時、近くの給電エリア400(図1参照)に移動する。給電エリア400の位置は、移動体200の記憶部28に予め記憶されていてよい。
次に、ステップS102において、移動体200は、給電装置100を検知する。移動体200は、撮像部24を用いて給電装置100の画像を撮像し、撮像した画像に基づいて検出部25が給電装置100の位置を検出してよい。
次に、ステップS103において、移動体200は、受光部21である太陽電池の向きを制御する。移動体200は、給電装置100の位置を検出しているため、給電装置100の位置に対して太陽電池が正対するように制御部26が太陽電池の向きを制御することができる。制御部26は、移動体200の位置を変えずに太陽電池の向きのみを制御してもよいし、制御部26は、駆動部23を制御して、移動体200全体の向きを変えることにより、受光部21である太陽電池が給電装置100に対して正対するように制御してもよい。
次に、ステップS104において、移動体200は、給電装置100に対して給電を要求する。例えば、移動体200の通信部27が、給電装置100に対して、給電を要求する信号を送信することにより、給電を要求してよい。ただし、移動体200が給電エリア400内に入ったことを給電装置100が検知した時点で、自動的に移動体200に対して給電を実行するようにしてもよく、この場合は、移動体200は給電装置100に対して給電を要求しなくてもよい。
次に、ステップS105において、給電装置100が、移動体200の受光部21である太陽電池の位置、大きさ、形状を検知する。例えば、給電装置100の撮像部5が、移動体200の受光部21である太陽電池の画像を撮像し、撮像した画像に基づいて、画像認識部6が画像処理を行い、検出部7が受光部21である太陽電池の位置、大きさ、形状を検出してよい。ここで、例えば、図4に示すように、移動体200の受光部21である太陽電池がS20で示した長方形の大きさ及び形状を有することが検出されたものとする。
次に、ステップS106において、給電装置100が光源部1であるビクセルアレイの向きを制御する。給電装置100の位置制御部3は、光源部1のみを制御して、ビクセルアレイの向きを移動体200の受光部21である太陽電池に向けるようにしてもよく、給電装置100全体の向きを制御することにより、光源部1であるビクセルアレイの向きを移動体200の受光部21である太陽電池に向けるようにしてもよい。あるいは、位置制御部3は、レーザー光を反射するミラーの角度を制御することにより、レーザー光の向きを制御してもよい。
次に、ステップS107において、光源制御部4が、太陽電池の形状に合わせて発光させるビクセルを選択する。例えば、図4に示すように、S20で示した長方形の大きさ及び形状を有する太陽電池に対してレーザー光を照射する場合は、太陽電池の中心の位置と、領域S20に含まれる発光素子からのビームの中心の位置とが一致するように、光源部1の複数の発光素子のうち、S20で示した領域内のビクセルV21を含む12個のビクセルを選択する。
次に、ステップS108において、給電装置100が移動体200に向けてレーザー光を照射する。
次に、ステップS109において、レーザー光が受光部21である太陽電池全体に照射される。例えば、図4に示した例では、S20で示した領域内のビクセルV21を含む12個のビクセルから照射されたレーザー光は、太陽電池と同一の形状を有したビーム光となって、太陽電池全体に照射される。受光部21である太陽電池において、レーザー光のエネルギーが電気エネルギーに変換され、変換された電気エネルギーは蓄電部22に蓄電される。
以上のようにして、給電装置100の光源部1から照射されたレーザー光Lにより、移動体200への光無線給電が実行される。なお、移動体200の蓄電部22に十分電力が蓄電された場合には、移動体200の通信部27が、給電装置100の通信部8に対して、給電が完了したことを通知するようにしてよい。
(給電装置によるトラッキング)
次に、移動体200の受光部21が給電装置100に対して相対的に移動した場合における給電装置100によるトラッキング方法について説明する。給電装置100によるトラッキングは、給電装置100の光源制御部4が、移動体200の受光部21の相対的移動に応じて、光源部1の複数の発光素子のうち、発光させる発光素子を選択することにより実行される。図6に、本開示の実施例1に係る給電装置の動作手順を説明するためのフローチャートを示す。
まず、ステップS201において、給電装置100の撮像部5が、移動体200の受光部21である太陽電池の画像を撮像する。
次に、ステップS202において、給電装置100の取得部2が、太陽電池の位置、大きさ、形状に関する情報を取得する。
次に、ステップS203において、給電装置100の位置制御部3が、光源部1であるビクセルアレイと太陽電池とを正対させる。
次に、ステップS204において、給電装置100の光源制御部4が、光源部1であるビクセルアレイの発光領域を決定する。
次に、ステップS205において、給電装置100の光源制御部4が、ビクセルアレイを選択的に発光させる。
次に、ステップS206において、太陽電池に照射して給電を実行する。
次に、ステップS207において、給電装置100の画像認識部6が、撮像部5が撮像した太陽電池の画像から太陽電池が移動しているか否かを検知する。
ステップS207において、太陽電池の移動が検知されなかった場合は、ステップS204に戻って、太陽電池への給電を継続する。
一方、ステップS207において、太陽電池の移動が検知された場合は、ステップS208において、移動方向に合わせて発光させるビクセルの位置を調整する。
(光源部の発光制御による微小範囲のトラッキング)
図7に、本開示の実施例1に係る給電装置100が移動する受光部21にレーザー光を照射する様子を説明するための図を示す。図7(a)~(c)は、給電装置100の撮像部5が撮像した移動体200の受光部21である太陽電池を含む画像40の例である。図7(d)~(f)は、給電装置100の光源部1の平面図である。ここで、図7(a)~(c)に示した画像40に示された領域は、光源部1に含まれる複数の発光素子を全て発光させたときのレーザー光の照射範囲と一致しているものとする。
図7(a)に示すように、撮像部5が撮像した画像40において、太陽電池を構成する受光部21が左側に位置していた場合は、図7(d)に示すように、太陽電池を構成する受光部21と正対している光源部1の領域S30内のビクセルV31を含む、ハッチングを施した4個のビクセルを発光させ、受光部21の全体にレーザー光が照射される。
次に、図7(a)に示すように、画像40において、太陽電池を構成する受光部21が矢印A1の方向に移動し、図7(b)に示すように、太陽電池を構成する受光部21の位置が画像40において中央寄りに移動したものとする。この場合、図7(d)の領域S30内に含まれるビクセルを発光させると、移動後の受光部21の全体にはレーザー光が照射されない。そこで、図7(e)に示すように、移動後の太陽電池を構成する受光部21の位置に対応した領域S40内に含まれるビクセルV41を含む、ハッチングを施した4個のビクセルを発光させる。そうすると、領域S40内に含まれる4個のビクセルから照射されたレーザー光は、図7(b)に示した移動後の受光部21の全体に照射される。図7(e)における光源部1の位置は、図7(d)における光源部1の位置と同じである。光源制御部4は、光源部1の発光領域をS30からS40へ変更することにより、受光部21の移動に追従させて、受光部21の全体にレーザー光が照射されるようにトラッキングを行っている。
さらに、図7(b)に示すように、画像40において、太陽電池を構成する受光部21が矢印A2の方向に移動し、図7(c)に示すように、太陽電池を構成する受光部21の位置が画像40において右側に移動したものとする。この場合、図7(e)の領域S40内に含まれるビクセルを発光させると、移動後の受光部21の全体にはレーザー光が照射されない。そこで、図7(f)に示すように、移動後の太陽電池を構成する受光部21の位置に対応した領域S50内に含まれるビクセルV51を含む、ハッチングを施した4個のビクセルを発光させる。そうすると、領域S50内に含まれる4個のビクセルから照射されたレーザー光は、図7(c)に示した移動後の受光部21の全体に照射される。図7(f)における光源部1の位置は、図7(e)における光源部1の位置と同じである。光源制御部4が、光源部1の発光領域をS40からS50へ変更することにより、受光部21の移動に追従させて、受光部21の全体にレーザー光が照射されるようにトラッキングを行っている。
以上のように、実施例1に係る給電装置においては、受光部21が光源部1に対して所定の方向に移動した場合に、光源制御部4が、受光部21の移動に追従して、複数の発光素子のうち、発光させる発光素子を選択するようにしているため、光源部1の位置を変えずに、移動する太陽電池に対してトラッキングを行うことができる。
なお、移動体200の受光部21の位置が、画像40の範囲を超えて移動した場合には、光源部1の位置を固定したままでは、移動後の受光部21の全体にレーザー光を照射することができなくなるため、光源部1の向きを変える等、光源部1自体の位置を調整することにより、トラッキングを行うようにしてよい。
図7(a)~(f)には、太陽電池を構成する受光部21の位置が画像40において水平方向に移動した場合におけるトラッキングの例を示したが、このような例には限られず、受光部21が画像40において任意の方向に移動した場合であっても、受光部21の位置に対応した発光素子を選択し、発光させることにより、トラッキングを行うことができる。このように、実施例1に係る給電装置100によれば、給電装置100に対して移動体200の受光部21の位置が移動した場合であっても、給電装置100の光源制御部4が、受光部21の移動前の位置と移動後の位置との間のズレを解消するように発光素子を選択することより、受光部21の全体にレーザー光を照射し、高い給電効率を維持することができる。
[実施例2]
以上の説明においては、移動体がドローンである場合を例にとって説明したが、移動体はドローンのような飛行体には限られない。例えば、移動体は、電気自動車等の移動体であってもよい。ここでは、移動体が電気自動車である場合を例にとって説明する。図8に、本開示の実施例2に係る光無線給電システムの概要を説明するための図を示す。光無線給電システム300は、給電装置100と、給電装置100から電力を受電する移動体である電気自動車600と、を有する。
まず、移動体である電気自動車600が給電エリア400に進入する。電気自動車600は、電気自動車600を移動させるための電力が減少し充電が必要になった場合、あるいは、充電するよう指示を受け付けた場合などに、給電エリア400に移動して充電してよい。電気自動車600は、電信柱700に設置された給電装置100が発している電波を受信して、光源部1の位置を把握し、電気自動車600に設けられている受光部21の向きを給電装置100に正対するように制御する。
給電装置100は、カメラ等の撮像部5を備えており、電気自動車600を撮像し、撮像した画像に基づいて受光部21の位置を検知する。光源部1には、複数の発光素子が設けられている。光源制御部4は、複数の発光素子のうち、電気自動車600の受光部21の大きさ及び形状に対応する発光素子を選択し、発光させて、レーザー光Lを照射する。電気自動車600の受光部21には太陽電池が設けられており、太陽電池は受光したレーザー光を電気エネルギーに変換し、蓄電部(図示せず)に蓄電する。電気自動車600は、蓄電した電力を利用して移動を継続することができる。以上のようにして、給電装置100から電気自動車600への光無線給電を実行することができる。
なお、給電装置100が電気自動車600に向けて給電を行っている際に、電気自動車600は、例えば、矢印A0に向けて移動していてもよい。給電装置100は電気自動車600の受光部21の位置をトラッキングしているため、電気自動車600が移動していても、光源部1から照射されたレーザー光Lを受光部21に照射することができるためである。この場合、給電装置100と電気自動車600とは互いにトラッキングし合っていてよい。
[実施例3]
次に、本開示の実施例3に係る光無線給電システムについて説明する。図9に、本開示の実施例3に係る光無線給電システムの概要を説明するための図を示す。実施例3に係る光無線給電システムは、光源部(1U、1D)が、移動体(200、800)の可動範囲に対応する位置に配置され、光源制御部(4U、4D)は、移動体(200、800)の受光部の位置と対応する位置に配置された発光素子を選択する点を特徴としている。ここでは、移動体200がドローンである場合を例にとって説明するが、移動体200はドローンには限られない。図9において、移動体200の可動範囲が建築物1000である例を示しているが、このような例には限られない。
図9において、建築物1000の天井及び床には給電装置(図示せず)が配置されている。また、建築物1000の天井には光源制御部4Uが配置され、床には光源制御部4Dが配置されている。同様に、建築物1000の天井には、光源部である複数のビクセルアレイ1Uが配置され、床には光源部である複数のビクセルアレイ1Dが配置されている。移動体200は、建築物1000内を移動することができる。即ち、光源部である複数のビクセルアレイ(1U、1D)は、移動体200の可動範囲である建築物1000内に配置されている。なお、図9において、複数のビクセルアレイ(1U、1D)は、横方向にアレイ状に配置されている例を示しているが、このような例には限られず、紙面と直交する方向を含めて2次元アレイ状に配置されてよい。
図9において、移動体200は上部及び下部に受光部(21U、21D)を備えている。受光部21Uを構成する面のうち、天井に配置された複数のビクセルアレイ1Uと対向する面に太陽電池が配置されている。同様に、受光部21Dを構成する面のうち、床に配置された複数のビクセルアレイ1Dと対向する面に太陽電池が配置されている。
建築物1000の側面の上部及び下部には、撮像部(5U、5D)が設けられており、それぞれ、移動体200の受光部(21U、21D)を撮像する。給電装置の取得部(図示せず)は、撮像部(5U、5D)が撮像した画像から受光部(21U、21D)に設けられた太陽電池の位置、大きさ、形状に関する情報を取得することができる。
光源制御部(4U、4D)は、受光部(21U、21D)に設けられた太陽電池の位置、大きさ、形状に関する情報に基づいて、複数のビクセルアレイ(1U、1D)のうち、移動体200の受光部(21U、21D)の位置と対応する位置に配置された発光素子を選択する。例えば、図9に示した例では、天井に配置された光源制御部4Uは、複数のビクセルアレイ1Uの内の移動体200の受光部21Uの位置と対応する位置に配置された発光素子(V1、V2)を選択する。発光素子(V1、V2)から照射されたレーザー光(L1、L2)は移動体200の上部に配置された受光部21Uに照射される。同様に、床に配置された光源制御部4Dは、複数のビクセルアレイ1Dの内の移動体200の受光部21Dの位置と対応する位置に配置された発光素子(V3、V4)を選択する。発光素子(V3、V4)から照射されたレーザー光(L3、L4)は移動体200の下部に配置された受光部21Dに照射される。
また、移動体200が建築物1000内で異動した場合は、移動後の移動体の受光部(21U、21D)に対応する位置に配置された発光素子を選択し、発光させてよい。このような構成とすることで、移動体200が、移動体200の可動範囲である建築物1000内のどの位置に存在していても、給電装置は、移動体200の受光部(21U、21D)と対応する位置に配置された発光素子を発光させて、移動体200に対して給電を行うことができる。
また、移動体は、例えば、建築物1000の床面を走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)800であってよい。AGV800には、受光部210が設けられており、受光部210は、天井側の面及び床側の面の両方に太陽電池が設けられているものとする。ここで、図9に示すように、AGV800が矢印A3の方向に移動し、遮蔽物900の下に移動するものとする。この場合、AGV800が遮蔽物900によって遮られる前の位置においては、建築物1000の天井に配置された複数のビクセルアレイ1Uから受光部210の上面に照射されるレーザー光によって給電を行うことができる。一方、AGV800が遮蔽物900の下に移動した場合は、建築物1000の天井に配置された複数のビクセルアレイ1Uから放射されたレーザー光は、遮蔽物900によって遮られるため、受光部210の上面に照射させることができない。一方、建築物1000の床に配置された複数のビクセルアレイ1Dのうち、受光部210の形状に対応する位置に配置されているビクセル(V5、V6)は、受光部210の下面にレーザー光を照射することができ、AGV800に対して給電を行うことができる。このように、建築物1000の天井と床の両方に光源部を配置することにより、移動体の受光部が、遮蔽物によって、一方の光源部から遮蔽される場合であっても、遮蔽されない他方の光源部からレーザー光を照射することによって給電を行うことができる。
上記の説明において、光源部が、移動体の可動範囲である建築物1000の天井及び床に配置される例を示したが、このような例には限られず、光源部は、例えば、天井や床以外の側面等の他の面に配置するようにしてもよい。また、移動体と光源部との間に遮蔽物が存在する場合においても給電を実行できるように、光源部は、移動体の可動範囲である建築物1000の複数の面に配置されてよい。
以上のように、実施例3に係る光無線給電システムによれば、移動体は、可動範囲の任意の位置において、給電装置から受光部の形状に合わせたレーザー光を受光することができ、給電効率を高めることができる。
[実施例4]
次に、実施例4に係る光無線給電システムについて説明する。図10に、本開示の実施例4に係る光無線給電システムの概要を説明するための図を示す。実施例4に係る光無線給電システムは、移動体の受光部は複数のセルを備え、移動体は、複数のセルにおける起電圧を計測する電圧検出器を備え、給電装置の光源制御部は、複数のセルに照射する光の強度を調整することにより、移動体に対して移動方向を指示する点を特徴としている。
例えば、図10に示すように、移動体200の受光部は2つのセルからなり、一方のセルをC1とし、他方のセルをC2とする。セルC1には、ビクセルV1からレーザー光L1を照射し、セルC2には、ビクセルV2からレーザー光L2を照射する。2つのセル(C1、C2)は、発生した起電圧を計測する電圧検出器が設けられてよい。電圧検出器によって起電圧を計測することによって、2つのセル(C1、C2)に照射されたレーザー光の強度の大小を判定することができる。
給電装置の光源制御部4Uは、レーザー光L1の強度をレーザー光L2の強度より高くすることにより、移動体200を矢印Aの方向に移動させるように指示してよい。また、給電装置の光源制御部4Uは、レーザー光L2の強度をレーザー光L1の強度より高くすることにより、移動体200を矢印Bの方向に移動させるように指示してよい。このようなレーザー光の強度による移動体の移動方向の制御は、移動体の記憶部に格納したプログラムにより実行することができる。
あるいは、光源制御部4Uは、他の移動体202の受光部の所定の領域(C3、C4)に対して光を照射するように発光素子を選択することにより、移動体200に対して移動方向を指示してよい。例えば、図10に示すように、移動体202の受光部が複数のセル(C3、C4)を備えているものとする。このとき、光源制御部4Uが、セルC3に対してレーザー光L7が照射されるように、ビクセルアレイ1Uの発光素子を選択した場合に、移動体202を矢印Cの方向に移動させてよい。一方、光源制御部4Uが、セルC4に対してレーザー光が照射されるように、ビクセルアレイ1Uの発光素子を選択した場合に、移動体202を矢印Dの方向に移動させてよい。
以上のように、移動体の受光部を複数のセルに分割しておき、受光部に照射するレーザー光の強度を調整することにより、移動体に対して移動方向を指示することができ、移動のための信号を別途送信する工程を省略することができる。
なお、上記の説明においては、移動体に対して、2次元平面上における移動方向を指示する例について説明したが、このような例には限られない。例えば、移動体の受光部に照射するレーザー光の強度や周期を変化させることによって、移動体の垂直方向の移動の制御を行うようにしてよい。
[実施例5]
次に、本開示の実施例5に係る光無線給電システム301について説明する。図11に、本開示の実施例5に係る光無線給電システム301を構成する給電装置101及び移動体201のブロック図を示す。実施例5に係る光無線給電システム301は、受光部21は、複数のセルを備え、移動体201が、複数のセルにおける起電圧を計測し、複数のセルにおける発電率を算出する発電率算出部29を備え、給電装置101が、複数のセルにおける発電率に基づいて、受光部21の位置と光源部1からのレーザー光の照射領域との間のズレ量を算出する算出部11を有する点を特徴としている。実施例1に係る給電装置100においては、撮像部5が撮像した画像に基づいて、給電対象の移動体200の受光部21の位置を決定している。従って、受光部21の位置が元の位置からズレているか否かは、撮像部5が撮像した画像に基づいて判断することができる。これに対して、実施例5に係る光無線給電システム301は、移動体201の受光部21における発電状況に関する情報を受信し、算出部11は、受信した情報に基づいて、受光部21の位置が元の位置からズレているか否かを判断し、ズレ量を算出する。
図12に、本開示の実施例5に係る光無線給電システム301において、移動体201からの発電状況に関する情報に基づいて、照射領域のズレの有無を判断する手順を説明するためのフローチャートを示す。ステップS301からS306までの手順は、図6に示したステップS201からS206までの手順と同様であるため、詳細な説明は省略する。上述したように、太陽電池は高い起電圧を出力するために、複数のセルを直列接続させている。そこで、太陽電池を構成する複数のセルのそれぞれに出力電圧を検出するための電圧検出器を設けておき、個々のセルの出力電圧を検出する。移動体201の通信部27は、個々のセルの発電状況に関する情報を給電装置101の通信部8に送信する。ステップS307において、給電装置101の通信部8は、移動体201の通信部27から太陽電池の個々のセルの発電状況に関する情報を受信する。
次に、ステップS308において、給電装置101の算出部11は、受信した受光部21である太陽電池の個々のセルのうち、発電率が100%ではない単位セルがあるか否かを判断する。即ち、個々のセルの発電量のうちで最大値を算出し、算出した最大値で個々のセルの発電量を規格化することにより、発電率が100%であるか否かを判断する。セルの発電率が100%ではないということは、セルを構成する太陽電池の一部の領域にはレーザー光が照射されていないことを意味している。ここで、太陽電池を構成する受光部21の受光領域全体の形状とレーザー光の照射領域の形状は同一形状であるため、一部にレーザー光が照射されていないセルが存在していれば、受光部21の位置とレーザー光の照射領域の位置がズレていることが分かる。
ステップS308において、発電率が100%ではない単位セルが無い場合(ステップS308でNo)、即ち、太陽電池の複数のセルのそれぞれの受光面全体にレーザー光が照射されている場合は、ズレはないものと判断し、ステップS304に戻ってレーザー光の照射を継続する。
一方、ステップS308において、発電率が100%ではない単位セルがある場合(ステップS308でYes)は、太陽電池を構成する受光部21の位置とレーザー光の照射領域の位置がズレていると判断し、ステップS309において、算出部11がズレ量を算出する。
図13に、本開示の実施例5に係る光無線給電システム301において、移動体201からの発電状況に関する情報に基づいて、給電装置101が照射領域のズレ量を算出する手順を説明するためのフローチャートを示す。図14に、本開示の実施例5に係る光無線給電システム301において、太陽電池を構成する受光部21に対して照射したレーザー光の照射領域が、太陽電池の受光領域に対して、水平方向及び垂直方向にズレている場合における太陽電池及びレーザー光の照射領域の例を示す。図15に、本開示の実施例5に係る光無線給電システム301において、受光部21に対して照射したレーザー光の照射領域が、太陽電池の受光領域に対して、ねじれている場合における太陽電池及びレーザー光の照射領域の例を示す。
まず、ステップS401において、給電装置101の光源部1が移動体201の受光部21に対してレーザー光を照射し、移動体201の電圧検出器が受光部21である太陽電池の個々のセルの発電量を検出する。
次に、ステップS402において、給電装置101の通信部8は、移動体201の通信部27から受光部21の個々のセルの発電量の検出結果を受信し、算出部11が全てのセルの発電量が同一であるか否かを判断する。
ステップS402において、全てのセルの発電量が同一である場合(ステップS402においてYes)、ステップS403において、ズレは無いものと判断する。
一方、ステップS402において、全てのセルの発電量が同一ではない場合、即ち、複数のセルのうち、発電量が他のセルと異なるものが含まれている場合(ステップS402においてNo)、受光部21の位置とレーザー光の照射領域とがズレており、太陽電池の全体に均一にレーザー光が照射されていないものと判断する。この場合、受光部21の位置とレーザー光の照射領域とが水平方向及び垂直方向にのみズレている場合と、このズレに加えて、受光部21に対してレーザー光の照射領域の位置が所定の角度でねじれている場合が考えられる。
次に、ステップS404において、算出部11が、移動体201の受光部21を構成する複数のセルのうち、発電量が最大値未満の隣接するセルであって、発電量が同一のセルが存在するか否かを判断する。
受光部21の位置とレーザー光の照射領域2000とが水平方向及び垂直方向にのみズレている場合は、受光部21の位置、及びレーザー光の照射領域2000は、例えば、図14に示すような位置関係になる。ここでは、太陽電池が3行3列の合計9個のセルR11~R33に分割されている場合を例にとって説明する。図14において、セルR11、R21、R31、R32、R33の一部にはレーザー光が照射されていないことが分かる。レーザー光が全体的に照射されているセルR12、R22、R13、R23の発電量を最大値とすると、一部にレーザー光が照射されていないセル(R11等)の発電量は、最大値未満である。さらに、隣接するセルR11とR21の発電量が同一である場合、セルR11におけるズレ量と、セルR21におけるズレ量は等しいことになり、受光部21の位置とレーザー光の照射領域2000とが水平方向及び垂直方向にのみズレており、ねじれてはいないことが分かる。
従って、このような場合、ステップS404において、発電量が最大値未満の隣接するセル(例えば、R11、R21、R31、R32、R33)で発電量が同一のセル(例えば、R11、R21)が存在する場合(ステップS404においてYes)、ステップS405において、ねじれはないものと判断し、水平または垂直方向のズレ量を算出する。
次に、ズレ量の算出方法について説明する。セルR11とR21の発電量が最大値未満であり、かつ、同一である場合は、垂直方向にズレが生じていることが分かる。セルR11の水平方向の長さをX0とし、垂直方向の長さをY0とする。セルR11における発電量が最大値のα%である場合、発電量はレーザー光の受光面積に比例するため、ズレ量ΔYは、ΔY=α/100×Y0と算出することができる。
同様に、セルR32とR33の発電量が最大値未満であり、かつ、同一である場合は、水平方向にズレが生じていることが分かる。セルR33の水平方向の長さをX0とし、垂直方向の長さをY0とする。セルR33における発電量が最大値のβ%である場合、発電量はレーザー光の受光面積に比例するため、ズレ量ΔXは、ΔX=β/100×X0と算出することができる。
次に、ステップS406において、給電装置101が、光源部1のズレ量を調整する。これにより、給電装置101の光源部1が、太陽電池を構成する受光部21の全体にレーザー光を照射することができる。
ステップS404において、発電量が最大値未満の隣接するセル(例えば、R11、R21、R31、R32、R33)であって、発電量が同一のセル(例えば、R11、R21)が存在しない場合(ステップS404においてNo)、レーザー光の照射領域は太陽電池の受光領域に対してねじれていることになるため、ステップS407において、ねじれている方向を決定する。
図15において、セルR11、R21、R31のそれぞれの発電率がD%、E%、F%であったとする。このとき、D>E>Fの関係にあれば、セルR11、R21、R31におけるレーザー照射領域は、この順で減少していることになる。即ち、レーザー光の照射領域は、太陽電池を構成する受光部21の位置に対して時計回りにねじれていることになる。
そこで、次に、ステップS408において、位置制御部3が、光源部1の角度を時計と反対方向に回転させる。その後、ステップS404に戻って、ねじれが解消しているか否かを判断する。
ステップS404において、太陽電池を構成する受光部21とレーザー光の照射領域との間にねじれが存在している場合(ステップS404においてNo)、ステップS407において、ねじれの回転方向を決定し、ステップS408においてねじれ角度を調整する。この場合、前回に行ったねじれ角度の調整結果を参照して調整するねじれ角度の大きさを決定するようにしてよい。その後、再度ステップS404に戻って、ねじれが解消しているか否かを判断する。
ステップS404において、太陽電池を構成する受光部21とレーザー光の照射領域との間にねじれが解消した場合(ステップS404においてYes)、ステップS406において、水平または垂直方向のズレ量を調整し、ステップS310において、ズレを解消するように発光領域を調整する。
以上のようにして、受光部21とレーザー光の照射領域との間にねじれが存在している場合は、まず、ねじれを解消させ、その次に、水平及び垂直方向のズレ量を調整する。このようにして、太陽電池の発電量に関する情報に基づいて、太陽電池を構成する受光部21とレーザー光の照射領域を整合させることにより、高効率な給電を実現することができる。