JP2017088072A - 宇宙物体観測システム及び宇宙物体観測方法 - Google Patents

宇宙物体観測システム及び宇宙物体観測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ光を用いて宇宙物体を観測する技術の改良を提供する。【解決手段】宇宙物体観測システム1は、大気圏内に設けられた、照射レーザ光11aを出射するように構成されたレーザ装置と、照射レーザ光11aの宇宙物体2による反射によって生成された反射レーザ光11bを受光して観測する受光部と、宇宙物体2の観測によって得られた事前観測情報12a、13aを取得する事前観測情報取得手段と、制御手段とを具備する。制御手段25は、事前観測情報12a、13aに基づいて、ある観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域を算出し、該観測時刻において宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aの広がり角を宇宙物体推定位置領域に基づいて設定する。【選択図】図2

Description

本発明は、宇宙物体(space object)を観測するために用いられる宇宙物体観測システム及び宇宙物体観測方法に関する。
近年、スペースデブリや人工衛星のような宇宙物体(宇宙空間に位置する物体をいう。)の観測の必要性が高まっている。特に、近年では地球周辺のスペースデブリが増加しており、スペースデブリ対策は宇宙利用において急務になっている。スペースデブリへの対処のためには、スペースデブリを正確に観測することが望まれる。また、正確な観測の必要性は、スペースデブリのみならず人工衛星の観測においてもあてはまる。
宇宙物体の観測の方法としては、電波観測(例えばレーダー観測)と光学観測とが知られている。電波観測は、宇宙物体による電波の反射を利用する観測方法である。例えば、地上に設置したレーダサイトから電波(典型的にはマイクロ波)を宇宙空間に向かって放射し、該電波が宇宙物体によって反射されて発生した反射波を観測することで、該宇宙物体を観測することができる。一方、光学観測は、宇宙物体からの太陽光の反射光を観測する観測方法である。例えば、地上に設置した天体望遠鏡と撮像装置とを用いて宇宙物体の画像を取得することにより、宇宙物体を観測することができる。
しかしながら、電波観測及び光学観測は、いずれも、宇宙物体を観測するための技術としては十分なものではない。電波観測の一つの問題は、精度である。典型的には、電波観測の精度は、距離の分解能が300m、角度(方位角/仰角)の分解能が2.8°程度である。これらは、近年に求められる宇宙物体の観測の精度の要求に適合しない場合がある。
一方、光学観測は、方位角、仰角の特定の精度が高い(典型例では、分解能が0.001°)が、撮像による光学観測では、宇宙物体と観測装置との間の距離の情報を得ることができない。加えて、光学観測には、観測可能な時間の制約が強いという課題がある。図1は、光学観測の観測時間の制約を概念的に示す図である。図1から理解されるように、光学観測は、宇宙物体からの太陽光の反射光を観測する方法であるため、観測可能な時間は、日の出、日没前後に限られる。昼間は、撮像装置に太陽光が入射するため画像からは宇宙物体101Aの判別が不可能である。一方、夜間は、宇宙物体101Bに太陽光が当たらないため宇宙物体からの反射光が得られない。
レーザ光を用いて宇宙物体を観測する技術も提案されている。レーザ光を用いた宇宙物体の観測は、宇宙物体の観測の精度の向上に有効である。
例えば、特開2011−218834号公報は、人工衛星からレーザ光をスペースデブリの被測定空間に照射し、該人工衛星と同一の地球周回軌道上にある観測衛星に搭載したカメラにより該被測定空間を撮影し、撮影によって得られた画像の輝度情報から該被測定空間に存在するスペースデブリを特定する技術を開示している。
しかしながら、発明者の検討によれば、人工衛星からレーザ光を宇宙物体に照射し、人工衛星に搭載されたカメラにより宇宙物体を撮影する技術には、様々な実際上の問題が存在する。
特開2011−218834号公報
したがって、本発明の目的の一つは、レーザ光を用いて宇宙物体を観測する技術の改良にある。本発明の他の目的及び新規の特徴は、下記の開示から当業者には理解されるであろう。
以下では、[発明を実施するための形態]において使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。
本発明の一の観点では、宇宙空間に位置する宇宙物体を観測する宇宙物体観測システム(1、1A〜1C)が提供される。当該宇宙物体観測システム(1、1A〜1C)は、大気圏内に設けられた、照射レーザ光(11a、51a)を出射するように構成されたレーザ装置(21、22、11A、51)と、照射レーザ光(11a、51a)の宇宙物体(2)による反射によって生成された反射レーザ光(11b、51b)を受光して観測する受光部(24、43、72)と、宇宙物体(2)の観測によって得られた事前観測情報(12a、13a)を取得する事前観測情報取得手段と、制御手段(25、14、53)とを具備する。制御手段(25、14、53)は、事前観測情報(12a、13a)に基づいて、ある観測時刻において宇宙物体(2)が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域を算出し、該観測時刻において宇宙物体(2)に照射される照射レーザ光(11a、51a)の広がり角を宇宙物体推定位置領域に基づいて設定する。
一実施形態では、事前観測情報取得手段は、宇宙物体(2)の観測を行って前記事前観測情報(12a、13a)を取得する事前観測局(12、13)を具備してもよい。
好適な一実施形態では、事前観測局(12、13)は、宇宙空間に向かって電波を放射し、電波が宇宙物体(2)によって反射されて発生した反射波を観測する電波観測装置(12)と、宇宙物体(2)からの太陽光の反射光を観測する光学観測装置(13)とを含む。この場合、事前観測情報(12a、13a)は、電波観測装置(12)による反射波の観測によって得られる第1事前観測情報(12a)と、光学観測装置(13)による反射光の観測によって得られる第2事前観測情報(13a)とのうちの少なくとも一方を含む。
好適な一実施形態では、第1事前観測情報(12a)は、電波観測装置(12)によって得られた宇宙物体(2)までの距離を示す距離情報を含み、第2事前観測情報(13a)は、光学観測装置(13)によって得られた宇宙物体(2)の方位角及び仰角を示す第1方位角/仰角情報を含み、宇宙物体推定位置領域が、距離情報と第1方位角/仰角情報とに基づいて算出されてもよい。第1事前観測情報(12a)は、更に、電波観測装置(12)によって得られた宇宙物体(2)の方位角及び仰角を示す第2方位角/仰角情報を含んでいてもよく、この場合、宇宙物体推定位置領域が、距離情報と第1方位角/仰角情報と前記第2方位角/仰角情報に基づいて算出されることが好ましい。
制御手段(25、14、53)は、事前観測情報(12a、13a)に加え、当該宇宙物体観測装置システムの外部から得られた宇宙物体(2)の軌道に関する情報である外部事前観測情報に基づいて、宇宙物体推定位置領域を算出してもよい。この場合、制御手段(25、14、53)は、事前観測情報(12a、13a)と外部事前観測情報とに対して重み付けを行って宇宙物体推定位置領域を算出することが好ましい。
一実施形態では、受光部(24、43、72)によって受光された反射レーザ光(11b、51b)に基づいて、レーザ測距により宇宙物体(2)の3次元位置を特定する演算手段(25、14、53)を具備することが好ましい。この場合、制御手段(25、14、53)は、宇宙物体推定位置領域に基づいてレーザ測距における距離測定の測定範囲を設定する。
他の実施形態では、事前観測局(13)が宇宙物体(2)からの太陽光の反射光を観測する光学観測装置(13)を含む場合、光学観測装置(13)が、該受光部としても機能して反射レーザ光(11b、51b)の光学観測を行ってもよい。
一実施形態では、当該宇宙物体観測システム(1B)が、更に、少なくとも一の中継衛星(15)を含んでもよい。この場合、制御手段(25)が観測領域を設定し、中継衛星(15)は、レーザ装置(21、22)から出射される照射レーザ光(11a)の方向を変え、宇宙物体推定位置領域に基づいて設定された観測領域に導光するように構成された導光光学系(41)を備え、且つ、該受光部(43)が、中継衛星(15)に搭載されていてもよい。
中継衛星(15)は複数であってもよい。この場合、制御手段(25)は、観測領域に基づいて複数の中継衛星(15)のうちから選択中継衛星を選択し、レーザ装置(21、22)は、選択中継衛星に向けて照射レーザ光(11a)を出射し、選択中継衛星は、レーザ装置(21、22)から出射される照射レーザ光(11a)の方向を変えて観測領域に導光することが好ましい。このとき、レーザ装置(21、22)も複数であってもよい。この場合、制御手段(25)は、観測領域に基づいて複数のレーザ装置(21、22)のうちから選択レーザ装置を選択し、選択レーザ装置は、選択中継衛星に向けて照射レーザ光(11a)を出射することが好ましい。
中継衛星(15)は、宇宙物体(2)の観測を行わないときに、レーザ装置(21、22)から受け取った照射レーザ光(11a)から光電変換装置によって電力を発生して当該中継衛星(15)に搭載された蓄電装置を充電するように構成されてもよい。このとき、レーザ装置(21、22)は、照射レーザ光(11a)としてパルスレーザ光と連続波レーザ光とを選択的に生成可能に構成されていてもよい。この場合、宇宙物体(2)の観測を行う場合には、レーザ装置(21、22)が照射レーザ光(11a)としてパルスレーザ光を生成すると共に、中継衛星(15)がレーザ装置(21)から出射される照射レーザ光(11a)の方向を変えて観測領域に導光する。また、蓄電装置を充電する場合、レーザ装置(21、22)が照射レーザ光(11a)として連続波レーザ光を生成すると共に、中継衛星(15)が照射レーザ光(11a)から光電変換装置によって電力を発生して蓄電装置を充電する。
一実施形態では、当該宇宙物体観測システム(1C)が、更に、大気圏内を移動可能に構成された第1及び第2移動体(51、52)を具備し、レーザ装置が第1移動体(51)に搭載され、受光部(72)が第2移動体(52)に搭載されてもよい。
他の実施形態では、当該宇宙物体観測システム(1C)が、更に、大気圏内を移動可能に構成された移動体を具備し、レーザ装置及び受光部が、該移動体に搭載されてもよい。
一実施形態では、制御手段(25、14、53)は、宇宙物体推定位置領域に基づいて設定された観測領域(33)を照射レーザ光(11a、51a)が走査するようにレーザ装置を制御してもよい。
本発明の他の観点では、中継衛星(15)が、レーザ装置(11A)から出射される照射レーザ光(11a)の方向を変えて観測領域に導光するように構成された導光光学系(41)と、照射レーザ光(11a)の宇宙物体(2)による反射によって生成された反射レーザ光(11b、51b)を受光して観測する受光部(43)とを具備する。導光光学系(41)は、導光光学系(41)から出射されて観測領域に照射される照射レーザ光(11a)の広がり角を調節可能に構成されている。
本発明の更に他の観点では、宇宙空間に位置する宇宙物体(2)を観測する宇宙物体観測方法が提供される。当該宇宙物体観測方法は、宇宙物体(2)の事前観測情報(12a、13a)を得るステップと、事前観測情報(12a、13a)に基づいて、ある観測時刻において宇宙物体(2)が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域を算出するステップと、大気圏内に設けられたレーザ装置から照射レーザ光(11a、51a)を出射するステップと、照射レーザ光(11a、51a)の宇宙物体(2)による反射によって生成された反射レーザ光(11b、51b)を受光して観測するステップとを具備する。該観測時刻において宇宙物体(2)に照射される照射レーザ光(11a、51a)の広がり角は、算出された宇宙物体推定位置領域に基づいて設定される。
本発明によれば、レーザ光を用いて宇宙物体を観測するための技術の改良が提供される。
光学観測における観測時刻の制約を説明する図である。 第1の実施形態における宇宙物体観測システムの構成を示す概念図である。 第1の実施形態におけるレーザ観測装置の構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施形態におけるレーザ観測装置の構成の他の例を示すブロック図である。 第1の実施形態における宇宙物体の観測手順の具体例を示すフローチャートである。 宇宙物体の観測における照射レーザ光の走査を示す概念図である。 第2の実施形態における宇宙物体観測システムの構成を示す概念図である。 第2の実施形態における光学観測の信号−ノイズ比(SN比)の日内変動の例を概念的に示すグラフである。 第3の実施形態における宇宙物体観測システムの構成を示す概念図である。 第3の実施形態におけるレーザ観測装置の構成を示すブロック図である。 第3の実施形態における中継衛星の構成を示すブロック図である。 第4の実施形態における宇宙物体観測システムの構成を示す概念図である。 第3の実施形態におけるレーザ照射機体の構成を示すブロック図である。 第3の実施形態における観測機体の構成を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の宇宙物体観測システムの実施形態を説明する。なお、添付図面において、同一又は類似の構成要素は、同一又は対応する参照番号で参照されることがある。
以下に述べられる実施形態の宇宙物体観測システムは、大気圏内(例えば、地上、空中、海上)に設けられたレーザ装置から照射レーザ光を宇宙物体に照射し、該照射レーザ光が宇宙物体によって反射されて生成された反射レーザ光を用いて該宇宙物体を観測するように構成される。このような構成の当該宇宙物体観測システムは、宇宙物体の観測の精度を向上するために好適である。例えば、宇宙物体からの反射レーザ光を用いてレーザ測距を行えば、該宇宙物体の位置を正確に特定することができる。また、このような構成の宇宙物体観測システムは、観測時間の制約を緩和するためにも有用である。レーザ光を宇宙物体に照射する構成によれば、太陽光に起因する観測時間の制約を緩和することができる。
発明者の検討によれば、宇宙物体の観測に用いるレーザ光を発生するレーザ装置は、大気圏内に設置することが好ましい。これは、上述の人工衛星に搭載されたレーザ装置を用いて宇宙物体を観測する技術(例えば、特開2011−218834号公報参照)には、実際上の問題が様々に存在するからである。
第1に、宇宙物体の観測に使用されるレーザ装置の光学系は、精密であるため衝撃に弱いという問題がある。例えば、宇宙空間に人工衛星を打ち上げる衝撃によりレーザ装置の光学系に狂いが生じると、レーザ装置が所望の通りに動作しない。第2に、人工衛星のシステム規模には制約があるため、大出力のレーザ装置を人工衛星上で運用することは困難である。宇宙物体の観測に用いられるような大出力のレーザ装置は電力消費が大きく、大出力のレーザ装置を動作可能な電源を人工衛星に搭載することは難しい。加えて、宇宙物体の観測に用いられるような大出力のレーザ装置を人工衛星に搭載すると人工衛星の寿命が短くなってしまうという問題もある。大出力のレーザ装置を運用すると電源に蓄積された電力が早く枯渇し、人工衛星の寿命が尽きてしまう。人工衛星の寿命が尽きると該人工衛星そのものがスペースデブリになってしまうので、これは、スペースデブリへの対策のためにスペースデブリの観測を行うシステムの運用としては好ましくない。
宇宙物体の観測に用いるレーザ光を発生するレーザ装置を大気圏内に設置すれば、これらの問題を回避することができる。レーザ装置を大気圏内に設置すれば、レーザ装置を宇宙に打ち上げる必要がなく、システム規模の制約が軽減され、また、レーザ装置の運用寿命が過ぎても、当該レーザ装置を含むシステムがスペースデブリになることはない。
宇宙物体の観測に用いるレーザ光を発生するレーザ装置を大気圏内に設置する構成について発明者が見出した課題は、宇宙物体に照射されるレーザ光のエネルギー密度は、宇宙物体の高度、大きさ、材質等に応じて適切に設定される必要があるが、レーザ装置と宇宙物体との間の距離が増大するため、宇宙物体に照射されるレーザ光のエネルギー密度が低いという問題である。以下に述べられる実施形態では、宇宙物体に照射されるレーザ光のエネルギー密度が低いという問題に対応するための宇宙物体観測システムの構成及び動作が提示される。
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態の宇宙物体観測システム1の構成を示す概念図である。本実施形態の宇宙物体観測システム1は、宇宙空間に位置する宇宙物体2、例えば、スペースデブリ2aや人工衛星2bを観測するように構成されている。なお、以下においては、スペースデブリ2aや人工衛星2bを区別せずに宇宙物体2と総称する。
本実施形態の宇宙物体観測システム1は、地上に設置されたレーザ観測装置11と、電波観測装置12と、光学観測装置13とを備えている。
レーザ観測装置11は、宇宙物体2に照射する照射レーザ光11aを出射し、照射レーザ光11aが宇宙物体2によって反射されて得られた反射レーザ光11bを受光し、反射レーザ光11bに基づいて宇宙物体2の観測、例えば、宇宙物体2の位置の特定を行う。レーザ観測装置11によってレーザ測距を行えば、宇宙物体2までの距離、方位角及び仰角の特定、言い換えれば、宇宙物体2の3次元位置の特定を行うことができる。ここで、方位角とは、宇宙物体2が位置する方向の水平面内の角度であり、仰角とは、宇宙物体2が位置する方向の鉛直面内の角度である。
電波観測装置12及び光学観測装置13も、宇宙物体2を観測するために用いられる。電波観測装置12は、電波(典型的にはマイクロ波)を宇宙空間に向かって放射し、該電波が宇宙物体2によって反射されて発生した反射波を観測する。電波観測装置12としては、例えば、レーダが使用され得る。一方、光学観測装置13は、宇宙物体2からの太陽光の反射光を観測する。一実施形態では、光学観測装置13は、地上に設置した天体望遠鏡と撮像装置と備えており、該撮像装置によって宇宙物体2の画像を取得することにより、宇宙物体2を観測することができる。
本実施形態では、電波観測装置12及び光学観測装置13はいずれも、レーザ観測装置11による観測領域を決定するために用いられる事前観測情報を得るための事前観測局として用いられる。図2において、電波観測装置12によって得られた事前観測情報は、符号12aで示されており、光学観測装置13によって得られた事前観測情報は、符号13aで示されている。
図3Aは、レーザ観測装置11の構成の一例を示すブロック図である。一実施形態では、レーザ観測装置11は、レーザ発振器21と、照射光学系22と、分離ミラー23と、レーザ光受光部24と、制御演算装置25とを備えている。
レーザ発振器21と照射光学系22とは、照射レーザ光11aを出射するためのレーザ装置を構成している。詳細には、レーザ発振器21は、宇宙物体2に照射すべき照射レーザ光11aを発生する。レーザ発振器21によって発生された照射レーザ光11aは、分離ミラー23を通過して照射光学系22に入射される。本実施形態では、レーザ発振器21としてパルスレーザ光を発生し、パルスエネルギーとパルス繰り返し周波数が調節可能であるパルスレーザが用いられる。
一方、照射光学系22は、レーザ発振器21から受け取った照射レーザ光11aを宇宙空間に向けて出射すると共に、宇宙物体2による照射レーザ光11aの反射によって生成される反射レーザ光11bを受光して分離ミラー23に向けて出射する。照射光学系22は、一実施形態では、鏡筒及び該鏡筒を駆動する駆動部を備えていてもよい。該駆動部は、制御演算装置25によって制御され、これにより、鏡筒の向き、即ち、照射レーザ光11aの照射方向(照射レーザ光11aの光軸の方向)が制御される。加えて、照射光学系22は、照射光学系22から出射される照射レーザ光11aの広がり角が調節可能であるように構成される。
分離ミラー23は、照射レーザ光11aと反射レーザ光11bの分離のために用いられる。分離ミラー23は、照射レーザ光11aを通過させると共に、反射レーザ光11bを反射してレーザ光受光部24に入射する。
レーザ光受光部24は、反射レーザ光11bを受光して撮像する。本実施形態では、レーザ光受光部24として、レーザ発振器21が発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティング(active range gating)を実行する撮像装置が用いられる。レーザ発振器21が発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティング(active range gating)を実行することで、レーザ測距を行うことができる。
制御演算装置25は、レーザ観測装置11の全体を制御すると共に、レーザ観測装置11による観測に必要な様々な演算を行う制御/演算手段として動作する。例えば、制御演算装置25は、レーザ光受光部24によって撮像された反射レーザ光11bの撮像画像に対し、宇宙物体2の観測のための画像処理を行う。
ここで、本実施形態では、制御演算装置25は、電波観測装置12及び光学観測装置13による観測によって得られた事前観測情報12a、13aから、レーザ観測装置11による観測領域を決定し、当該観測領域を観測するようにレーザ発振器21、照射光学系22及びレーザ光受光部24を制御する。制御演算装置25は、決定した観測領域に適合するように照射光学系22から出射される照射レーザ光11aの広がり角及び照射方向を制御する。加えて、制御演算装置25は、レーザ発振器21の動作タイミングを制御すると共に、決定した当該観測領域に適合するように、アクティブレンジゲーティングにおいてレーザ光受光部24が反射レーザ光11bを受光するタイミングを決定する。
このような構成のレーザ観測装置11は、宇宙物体2までの距離を特定するレーザ測距を実行可能である。加えて、レーザ観測装置11は、照射レーザ光11aの照射方向(一実施形態では、鏡筒の向きに一致する)及び撮像画像から宇宙物体2の位置の方位角及び仰角が特定可能であり、宇宙物体2までの距離と方位角及び仰角から、宇宙物体2の3次元位置を特定可能である。
照射レーザ光11aを宇宙空間にむけて出射するための光学系と、反射レーザ光11bを受光するための光学系とが分離されてもよい。図3Bは、このような構成のレーザ観測装置11を図示するブロック図である。図3Bのレーザ観測装置11は、図3Aのレーザ観測装置11と同様に構成されているが、分離ミラー23ではなく受光光学系26を備えている。
図3Bのレーザ観測装置11では、照射光学系22がレーザ発振器21から受け取った照射レーザ光11aを宇宙空間に向けて出射し、受光光学系26が宇宙物体2による照射レーザ光11aの反射によって生成される反射レーザ光11bを受光してレーザ光受光部24に入射する。一実施形態では、照射光学系22と受光光学系26のそれぞれは、鏡筒及び該鏡筒を駆動する駆動部を備えていてもよい。照射光学系22及び受光光学系26それぞれの該駆動部は、制御演算装置25によって制御され、これにより、照射光学系22と受光光学系26それぞれの鏡筒の向きが制御される。図3Bのレーザ観測装置11のその他の構成及び動作は、図3Aのレーザ観測装置11と同様である。
続いて、本実施形態の宇宙物体観測システム1による宇宙物体2の観測の概略について説明する。本実施形態の宇宙物体観測システム1は、地上に設置されたレーザ観測装置11を用いたレーザ測距により宇宙物体2の観測を行う。レーザ測距を行うことで、宇宙物体2の観測の精度、即ち、宇宙物体2の3次元位置の特定の精度を向上させることができる。
一つの問題は、地上に設置されたレーザ観測装置11を用いる場合には、レーザ観測装置11と宇宙物体2との間の距離が増大するため、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度が低くなることである。宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度が低いと、レーザ測距を行うために十分な光強度を有する反射レーザ光11bが得られない事態が生じ得る。
このような問題に対処するために、本実施形態では、電波観測装置12及び光学観測装置13(これらは、いずれも事前観測局として機能する)による観測によって得られた事前観測情報に基づいて、レーザ観測装置11による観測を行おうとする観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域が算出される。当該観測時刻におけるレーザ観測装置11による観測では、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせてレーザ観測装置11から出射される照射レーザ光11aのパラメータ、より具体的には、照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角が決定され、決定された照射方向及び広がり角で照射レーザ光11aがレーザ観測装置11から出射される。このような動作によれば、照射レーザ光11aの広がり角をなるべく狭くしながらレーザ観測装置11による観測を行うことができ、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度の低下の問題を緩和することができる。
以下、宇宙物体観測システム1による宇宙物体2の観測手順の具体例を説明する。図4は、本実施形態における宇宙物体2の観測手順の具体例を示すフローチャートである。
レーザ観測装置11による観測に先立ち、電波観測装置12及び光学観測装置13による観測が行われ、事前観測情報12a、13aが取得される(ステップS01)。一実施形態では、電波観測装置12によって得られた事前観測情報12aは、宇宙物体2までの距離を示す距離情報、及び、宇宙物体2の方位角及び仰角を示す方位角/仰角情報を含んでおり、光学観測装置13によって得られた事前観測情報13aは、宇宙物体2の方位角及び仰角を示す方位角/仰角情報を含んでいるが、距離情報を含まない。電波観測装置12及び光学観測装置13によって取得された事前観測情報12a、13aは、レーザ観測装置11に送信される。
電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測における観測領域は、例えば、他事業者から得た観測情報である外部事前観測情報によって決めてもよい。外部事前観測情報に宇宙物体2の推定軌道範囲31(即ち、宇宙物体2の軌道が存在すると推定される範囲)が示されている場合には、推定軌道範囲31から電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測の観測時刻において宇宙物体2が存在すると推定される位置の範囲が算出され、算出された当該範囲に合わせて電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測の観測領域が決定されてもよい。また、外部事前観測情報に直接に宇宙物体2の推定軌道範囲31が示されていない場合には、該外部事前観測情報から推定軌道範囲31が算出されてもよい。
続いて、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、レーザ観測装置11の制御演算装置25によって宇宙物体2の推定軌道範囲32が算出される(ステップS02)。ステップS01における電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測において宇宙物体2の推定軌道範囲31が用いられる場合、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づく宇宙物体2の推定軌道範囲32は、推定軌道範囲32の精度が推定軌道範囲31の精度が高くなるように算出される。図2には、電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測に用いられた推定軌道範囲31よりも精度が高い推定軌道範囲32が、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて算出されることが概念的に図示されている。
更に、ステップS02で算出された宇宙物体2の推定軌道範囲32に基づいて、宇宙物体2の観測を行おうとする観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域が、制御演算装置25によって算出される(ステップS03)。宇宙物体推定位置領域は、例えば、該観測時刻においてその内部に宇宙物体2が存在する確率が所定値以上である(例えば90%以上である)領域として算出されてもよい。
続いて、ステップS02で算出された宇宙物体推定位置領域に基づいて、レーザ観測装置11による観測を行う観測領域が、制御演算装置25によって設定される(ステップS04)。一実施形態では、観測領域は、ステップS02で算出された宇宙物体推定位置領域の全体が該観測領域の内部に位置するように設定される。
更に、設定された観測領域についてレーザ観測装置11による観測が行われる(ステップS05)。ステップS05における観測では、設定された観測領域に適合するように、レーザ観測装置11から出射される照射レーザ光11aの照射方向(照射レーザ光11aの光軸の方向)、照射レーザ光11aの広がり角、及び、レーザ測距における距離測定の測定範囲が、制御演算装置25によって設定される。レーザ測距においては、一般に、距離の測定範囲が設定され、測定対象が当該測定範囲にあるものとして距離測定が行われることに留意されたい。観測領域は宇宙物体推定位置領域に基づいて設定されるので、照射レーザ光11aの照射方向、広がり角及び距離測定の測定範囲は、宇宙物体推定位置領域に基づいて設定されることになる。設定された照射レーザ光11aの照射方向、広がり角及び距離測定の測定範囲を用いてレーザ観測装置11によるレーザ測距が行われ、これにより、宇宙物体2の観測、具体的には、宇宙物体2の3次元位置の特定が行われる。
照射レーザ光11aの広がり角を一層に狭くするためには、レーザ観測装置11による観測において、照射レーザ光11aを走査しながら(即ち、照射レーザ光11aの照射方向を逐次に変更しながら)観測を行ってもよい。図5は、照射レーザ光11aを走査しながら行われる宇宙物体2の観測を概念的に示す図である。図5においては、ある時間の観測について設定された観測領域が符号33で示されており、照射レーザ光11aのビームが符号34で示されている。
照射レーザ光11aを走査する場合、照射レーザ光11aの広がり角は、任意の照射方向で照射レーザ光11aを出射しても照射レーザ光11aが照射される領域が観測領域33の全体を包含しない程度に狭く設定される。広がり角が狭い照射レーザ光11aを使用しても、照射レーザ光11aを走査すれば、設定された観測領域33の全体の観測することができる。照射レーザ光11aを走査している間に、照射レーザ光11aが観測領域33に位置する宇宙物体2に照射レーザ光11aが照射されれば、宇宙物体2を観測することができる。照射レーザ光11aを走査しながらの観測は、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度を増大させるために好適である。
また照射レーザ光11aを走査する場合、事前観測情報(事前観測情報12a、13a及び外部事前観測情報)から予想される宇宙物体2の高度、大きさ、材質等に応じてパルスエネルギーを設定してもよい。さらに、算出した観測領域と設定したビーム広がり角に応じてパルス繰返し周波数を設定してもよい。これらを適切に設定した走査は、走査の効率の向上に好適である。
以上に説明されているように、本実施形態では、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、所望の観測時刻における宇宙物体2の宇宙物体推定位置領域が算出される。当該観測時刻におけるレーザ観測装置11による観測では、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせてレーザ観測装置11から出射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角が設定される。このような動作によれば、レーザ観測装置11による観測において照射レーザ光11aの広がり角を狭くすることができ、よって、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度を高くすることができる。
なお、上述の実施形態では、ステップS02における宇宙物体2の推定軌道範囲32の算出において、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aの両方が用いられているが、一方のみが推定軌道範囲32の算出に用いられてもよい。この場合でも、照射レーザ光11aの広がり角を狭くできるという効果は得られる。
ただし、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aの組み合わせは、推定軌道範囲32の精度の向上、即ち、宇宙物体推定位置領域の精度の向上に有効である。光学観測装置13で得られる方位角/仰角情報は、相当に精度が高い一方で、電波観測装置12による観測においても、一定程度の距離情報の分解能(例えば、300m)が得られる。即ち、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aの組み合わせでは、一定程度の精度を有する宇宙物体2の方位角/仰角情報と距離情報とを得ることができる。言い換えれば、一定程度の精度で宇宙物体2の3次元位置の情報を得ることができる。よって、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aの組み合わせは、推定軌道範囲32の精度の向上、即ち、宇宙物体推定位置領域の精度の向上に有効である。
また、ステップS02における宇宙物体2の推定軌道範囲32の算出においては、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに加え、他事業者から得た観測情報である外部事前観測情報が用いられてもよい。また、推定軌道範囲32の算出においては、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aの一方の代わりに宇宙物体観測システム1の運用者以外の他事業者から得た外部事前観測情報を用いてもよい。
また、他の実施形態では、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られる事前観測情報12a、13aを用いずに、宇宙物体観測システム1の運用者以外の他事業者から得た外部事前観測情報に基づいて宇宙物体推定位置領域の算出に用いられる推定軌道範囲32の算出が行われてもよい。この場合でも、照射レーザ光11aの広がり角を狭くできるという効果が得られる。
ただし、宇宙物体観測システム1の運用者以外の他事業者から得られる外部事前観測情報は、必ずしも精度が高いとは限らないことに留意すべきである。他事業者から得られる外部事前観測情報の精度は、当該他事業者が保有する観測装置に依存するし、また、事情によっては当該他事業者が精度のよい外部事前観測情報を提供しないこともある。
加えて、他事業者から得た外部事前観測情報は、レーザ観測装置11による観測を行おうとする観測時刻において使用するためには古すぎる場合がある。ある宇宙物体の観測は、観測装置の上空に当該宇宙物体が位置する時間帯にしかできないから、他事業者の観測装置が宇宙物体2を観測可能な時間帯は、レーザ観測装置11の観測時刻からずれていることがある。この場合、他事業者から得た外部事前観測情報は、宇宙物体2の3次元位置についての最新情報として不十分であることがある。宇宙物体2の3次元位置についての最新情報が得られないことは、観測しようとする宇宙物体2が、その軌道を変更する機能を有している場合(例えば、観測しようとする宇宙物体2が、高度を変更可能であるように構成された人工衛星である場合)に問題になり得る。
したがって、好ましい一実施形態は、レーザ観測装置11と同一のタイムゾーンに設置された電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られる事前観測情報12a、13aを推定軌道範囲32の算出、即ち、宇宙物体推定位置領域の算出に用いることである。ここでいう「タイムゾーン」とは、共通の標準時を用いる地域のことをいう。電波観測装置12及び光学観測装置13がレーザ観測装置11と同一のタイムゾーンに設置されていることにより、レーザ観測装置11の観測時刻に近い時刻に取得された事前観測情報12a、13aを推定軌道範囲32の算出、即ち、宇宙物体推定位置領域の算出に用いることができる。
他の実施形態では、推定軌道範囲32の算出、即ち、宇宙物体推定位置領域の算出において、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aと他事業者から得られた外部事前観測情報との間で重み付けを行ってもよい。事前観測情報12a、13aと外部事前観測情報とのうち、精度が高いと考えられるものに大きな重みを与えながら推定軌道範囲32が算出され、更に、算出された推定軌道範囲32に基づいて宇宙物体推定位置領域が算出される。例えば、光学観測装置13によって得られた事前観測情報13aに含まれる方位角/仰角情報は精度が高いので、光学観測装置13によって得られた方位角/仰角情報に大きな重みを与えながら推定軌道範囲32が算出されてもよい。このような方法によれば、推定軌道範囲32の算出、即ち、宇宙物体推定位置領域の算出の精度を高くすることができる。
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態における宇宙物体観測システム1Aの構成を示す概念図である。第2の実施形態の宇宙物体観測システム1Aは、地上に設置されたレーザ装置11Aと、電波観測装置12と、光学観測装置13と、指令センター装置14とを備えている。レーザ装置11Aは、宇宙物体2の観測に用いられる照射レーザ光11aを出射する。電波観測装置12は、宇宙物体2の電波観測を行うように構成され、光学観測装置13は、宇宙物体2の光学観測を行うように構成される。指令センター装置14は、宇宙物体2の観測において、レーザ装置11A、電波観測装置12及び光学観測装置13を統括的に制御し、また、宇宙物体2の観測のための様々な演算を行う演算装置(コンピュータ)である。
本実施形態では、レーザ装置11Aから出射された照射レーザ光11aが宇宙物体2によって反射された反射光を、光学観測装置13を用いて観測することで宇宙物体2の観測が行われる。一般的な光学観測では太陽光の反射光が用いられるが、本実施形態では、宇宙物体2による照射レーザ光11aの反射光を用いて光学観測が行われることに留意されたい。本実施形態では、レーザ装置11Aは、照射レーザ光11aを出射する機能を有している一方で、宇宙物体2によって照射レーザ光11aが反射されて生成される反射光を観測する機能を有していないことに留意されたい。
以下、本実施形態の宇宙物体観測システム1Aによる宇宙物体2の観測について詳細に説明する。
レーザ装置11A及び光学観測装置13を用いた光学観測に先立ち、電波観測装置12及び光学観測装置13による観測が行われ、事前観測情報12a、13aが取得される。電波観測装置12及び光学観測装置13による事前観測情報12a、13aの取得は、第1の実施形態と同様の方法によって行ってもよい。取得された事前観測情報12a、13aは、指令センター装置14に送信される。
続いて、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、宇宙物体2の推定軌道範囲32が、指令センター装置14により算出される。事前観測情報12a、13aに基づく推定軌道範囲32の算出は、第1の実施形態における推定軌道範囲32の算出と同様の方法で行ってもよい。電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測において宇宙物体2の推定軌道範囲31が用いられる場合、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づく宇宙物体2の推定軌道範囲32は、推定軌道範囲32の精度が推定軌道範囲31の精度が高くなるように算出される。図5には、電波観測装置12及び光学観測装置13それぞれによる観測に用いられた推定軌道範囲31よりも精度が高い推定軌道範囲32が、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて算出されることが概念的に図示されている。
更に、宇宙物体2の推定軌道範囲32に基づいて、宇宙物体2の観測を行おうとする観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域が、指令センター装置14によって算出される。宇宙物体推定位置領域は、例えば、該観測時刻においてその内部に宇宙物体2が存在する確率が所定値以上である(例えば90%以上である)領域として算出されてもよい。
続いて、算出された宇宙物体推定位置領域に基づいて、レーザ装置11A及び光学観測装置13による光学観測を行う観測領域が、指令センター装置14によって設定される。一実施形態では、観測領域は、宇宙物体推定位置領域の全体が該観測領域の内部に位置するように設定される。
更に、設定された観測領域についてレーザ装置11A及び光学観測装置13を用いた光学観測が行われる。この光学観測では、設定された観測領域に適合するように、レーザ装置11Aから出射される照射レーザ光11aの照射方向(照射レーザ光11aの光軸の方向)および照射レーザ光11aの広がり角が、指令センター装置14によって設定される。設定された照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角は、制御指令14aによってレーザ装置11Aに通知される。更に、設定された観測領域が、制御指令14bによって光学観測装置13に通知され、光学観測装置13は、該観測領域について光学観測を行う。これにより、レーザ装置11Aによって宇宙物体2に照射された照射レーザ光11aの反射光が光学観測装置13によって観測されることになる。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、所望の観測時刻における宇宙物体2の宇宙物体推定位置領域が算出され、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせてレーザ装置11Aから出射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角が設定される。このような動作によれば、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度を高くできることは上述の通りである。
加えて、照射レーザ光11aが宇宙物体2によって反射された反射光を観測する本実施形態の光学観測は、宇宙物体2による太陽光の反射光を観測する光学観測と比較すると、観測時間の制約が緩いという利点がある。上述のように、宇宙物体による太陽光の反射光を観測する光学観測は、日の出、日没前後の時間帯しか実施できないが、本実施形態における光学観測は、日の出、日没前後の時間帯以外の時間帯においても実施可能である。
特に、本実施形態の光学観測は、夜間における宇宙物体2の観測に有効である。光学観測装置13の位置において夜間である時間帯においては、太陽光は宇宙物体2に照射されないから、宇宙物体による太陽光の反射光を観測する光学観測は実施できない。しかしながら、本実施形態では、照射レーザ光11aが宇宙物体2に照射されるので、宇宙物体2による照射レーザ光11aの反射光を観測することで、夜間においても光学観測を行うことができる。加えて、照射レーザ光11aの波長及び出力を適切に設定すれば、光学観測装置13の位置において昼間である時間帯においても光学観測を行うことができる。
図7は、第2の実施形態における光学観測の信号−ノイズ比(SN比)の日内変動の例を概念的に示すグラフである。宇宙物体2による太陽光の反射光を観測する光学観測(即ち、照射レーザ光11aを照射しない光学観測)では、夕方(日没前後)及び朝方(日の出前後)においてのみ、光学観測が可能なSN比が得られる。一方で、照射レーザ光11aを宇宙物体2に照射することで光学観測のSN比を向上させ、光学観測が可能な時間帯を増やすことができる。図6に示されている例では、光学観測装置13の測定系(例えば、光学系、撮像装置及び信号処理回路等)が、SN比がSNR以上である光学観測に対応している場合には、夕方及び朝方のみならず、夜間においても宇宙物体2の観測が可能である。加えて、光学観測装置13の測定系が、SN比がSNR以上である光学観測に対応している場合には、終日、宇宙物体2の観測が可能である。
なお、図6に図示されている第2の実施形態の宇宙物体観測システム1Aにおいては、レーザ装置11Aから出射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角の設定に用いられる事前観測情報13aを取得する光学観測装置13が、宇宙物体2に照射レーザ光11aを照射して行う光学観測にも使用されるが、事前観測情報13aを取得する光学観測装置13とは別に光学観測を行う光学観測装置が設けられてもよい。
また、レーザ装置11Aとしてパルスレーザを使用し(即ち、照射レーザ光11aとしてパルスレーザ光を発生し)、レーザ装置11Aが発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティングを光学観測装置13において実行すれば、第1の実施形態と同様に、レーザ測距を行うこともできる。これにより、宇宙物体2の方位角、仰角のみならず光学観測装置13と宇宙物体2の間の距離を特定でき、よって、宇宙物体2の3次元位置を特定できる。一実施形態では、例えば、GPS(global positioning system)によって得られる位置情報と時刻情報を用いることで、レーザ装置11Aと光学観測装置13の同期を実現してもよい。
更に、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、照射レーザ光11aを走査しながら(即ち、照射レーザ光11aの照射方向を逐次に変更しながら)観測を行ってもよい。
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態の宇宙物体観測システム1Bの構成を示す概念図である。本実施形態の宇宙物体観測システム1Bは、地上に設置されたレーザ観測装置11Bと、宇宙空間に設置された少なくとも一の中継衛星15とを備えている。図8には、2つの中継衛星15が図示されている。
第3の実施形態の宇宙物体観測システム1Bは、中継衛星15を用いて宇宙物体2を観測するように構成されている。レーザ観測装置11Bは、中継衛星15に向けて照射レーザ光11aを出射する。中継衛星15は、例えば、中継ミラーによって照射レーザ光11aの進行方向を変え、観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域に基づいて設定された観測領域に照射レーザ光11aを導光する。中継衛星15は、更に、照射レーザ光11aが宇宙物体2によって反射されて生成される反射レーザ光11bを観測する。中継衛星15は、反射レーザ光11bに対して光学観測を行うように構成されてもよく、後述のように、レーザ観測装置11Bと中継衛星15との間で同期を確立できる場合には、レーザ測距を行うように構成されてもよい。
なお、第3の実施形態においても、電波観測装置12及び光学観測装置13が設けられ、電波観測装置12及び光学観測装置13からレーザ観測装置11Bに事前観測情報12a、13aが送信されるが、図8には電波観測装置12及び光学観測装置13は図示されていない。本実施形態においても、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて所望の観測時刻における宇宙物体2の宇宙物体推定位置領域を算出し、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせて中継衛星15から宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角が設定される。このような動作によれば、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度を高くできることは上述の通りである。
図9Aは、本実施形態におけるレーザ観測装置11Bの構成を示すブロック図である。レーザ観測装置11Bは、レーザ発振器21と、照射光学系22と、制御演算装置25と、通信装置27とを備えている。
レーザ発振器21と照射光学系22とは、照射レーザ光11aを出射するためのレーザ装置を構成している。詳細には、レーザ発振器21は、宇宙物体2に照射すべき照射レーザ光11aを発生する。レーザ発振器21によって発生された照射レーザ光11aは、照射光学系22に入射される。照射光学系22は、レーザ発振器21から受け取った照射レーザ光11aを中継衛星15に向けて出射する。照射光学系22は、一実施形態では、鏡筒及び該鏡筒を駆動する駆動部を備えていてもよい。該駆動部は、制御演算装置25によって制御され、これにより、鏡筒の向き、即ち、照射レーザ光11aの照射方向(照射レーザ光11aの光軸の方向)が制御される。
制御演算装置25は、レーザ観測装置11Bの全体を制御すると共に、レーザ観測装置11Bの動作に必要な様々な演算を行う制御/演算手段として動作する。通信装置27は、中継衛星15と通信し、宇宙物体2の観測に必要な様々な情報やデータを中継衛星15と交換する。
図9Bは、本実施形態における中継衛星15の構成を示すブロック図である。中継衛星15は、ミラー光学系41と、受光光学系42と、レーザ光受光部43と、通信装置44と、制御演算装置45とを備えている。
ミラー光学系41は、中継ミラーを備えており、レーザ観測装置11Bから送られてくる照射レーザ光11aの方向を変え、宇宙物体2に向けて導光する導光光学系として用いられる。ミラー光学系41は、中継衛星15から出射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角(即ち、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角)を調節可能であるように構成される。なお、中継ミラーを用いることは必須ではなく、ミラー光学系41の代わりに適宜の光学素子によって照射レーザ光11aの方向を変えて宇宙物体2に向けて出射するように構成された適宜の導光光学系をミラー光学系41の代わりに用いることもできる。
受光光学系42は、宇宙物体2による照射レーザ光11aの反射によって生成される反射レーザ光11bを受光してレーザ光受光部43に向けて出射する。受光光学系42は、一実施形態では、鏡筒及び該鏡筒を駆動する駆動部を備えていてもよい。該駆動部は、制御演算装置45によって制御され、これにより、鏡筒の向きが制御される。レーザ光受光部43は、反射レーザ光11bを受光して撮像する。
通信装置44は、レーザ観測装置11Bと通信し、宇宙物体2の観測に必要な様々な情報やデータをレーザ観測装置11Bと交換する。
制御演算装置45は、中継衛星15の全体を制御すると共に、中継衛星15の動作に必要な様々な演算を行う制御/演算手段として動作する。例えば、制御演算装置45は、レーザ光受光部43によって撮像された反射レーザ光11bの撮像画像に対し、宇宙物体2の観測のための画像処理を行ってもよい。
図8を再度に参照して、以下では、本実施形態の宇宙物体観測システム1Bによる宇宙物体2の観測について詳細に説明する。
レーザ観測装置11B及び中継衛星15を用いた宇宙物体2の観測に先立ち、電波観測装置12及び光学観測装置13による観測が行われ、事前観測情報12a、13aが取得される。電波観測装置12及び光学観測装置13による事前観測情報12a、13aの取得は、第1の実施形態と同様の方法によって行ってもよい。取得された事前観測情報12a、13aは、レーザ観測装置11Bに送信される。
続いて、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、宇宙物体2の推定軌道範囲が、レーザ観測装置11Bの制御演算装置25により算出される。事前観測情報12a、13aに基づく推定軌道範囲の算出は、第1及び第2の実施形態における推定軌道範囲32の算出と同様の方法で行ってもよい。
更に、事前観測情報12a、13aに基づいて算出された宇宙物体2の推定軌道範囲に基づいて、レーザ観測装置11B及び中継衛星15による観測を行おうとする観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域が、レーザ観測装置11Bの制御演算装置25によって算出される。宇宙物体推定位置領域は、例えば、該観測時刻においてその内部に宇宙物体2が存在する確率が所定値以上である(例えば90%以上である)領域として算出されてもよい。
続いて、算出された宇宙物体推定位置領域に基づいて、レーザ観測装置11B及び中継衛星15による観測を行う観測領域が、レーザ観測装置11Bの制御演算装置25によって設定される。一実施形態では、観測領域は、宇宙物体推定位置領域の全体が該観測領域の内部に位置するように設定される。
更に、設定された観測領域についてレーザ観測装置11B及び中継衛星15を用いた宇宙物体2の観測が行われる。
当該宇宙物体観測システム1Bが複数の中継衛星15を有している場合には、宇宙物体2の観測に実際に用いられる中継衛星15が、設定された観測領域に応じて選択される。設定された観測領域の観測に最も適した中継衛星15が選択される。中継衛星15の選択においては、例えば、下記の要素が考慮されることが好ましい。
(1)観測対象である宇宙物体2と中継衛星15の距離
(2)中継衛星15から宇宙物体2への方向(宇宙物体2の撮像画像の背景に太陽が存在することは、宇宙物体2の観測に好ましくない。)
(3)レーザ観測装置11Bと中継衛星15との間の経路の状態(例えば、照射レーザ光11aを遮る雲がレーザ観測装置11Bと中継衛星15との間に存在することは好ましくない。)
(4)宇宙物体2と中継衛星15との間の経路の状態(例えば、観測対象の宇宙物体2と中継衛星15との間に、他の宇宙物体が存在することは好ましくない。)
本実施形態の宇宙物体観測システム1Bには、上述の構成のレーザ観測装置11Bを複数設置してもよい。この場合、宇宙物体2の観測に使用するレーザ観測装置11B及び中継衛星15の組み合わせを、設定された観測領域に応じて選択してもよい。この場合、設定された観測領域の観測に最も適したレーザ観測装置11B及び中継衛星15の組み合わせが選択される。レーザ観測装置11B及び中継衛星15の組み合わせの選択においても、上記の要素(1)〜(4)が考慮されることが好ましい。
このようにして選択された中継衛星15(及びレーザ観測装置11Bが選択される場合には選択されたレーザ観測装置11B)を用いて宇宙物体2の光学観測が行われる。レーザ観測装置11Bは、選択された中継衛星15に向けて照射レーザ光11aを出射する。中継衛星15のミラー光学系41は、レーザ観測装置11Bから入射する照射レーザ光11aの進行方向を変え、照射レーザ光11aを設定された観測領域に導光する。中継衛星15の受光光学系42及びレーザ光受光部43は、照射レーザ光11aが宇宙物体2によって反射されて生成される反射レーザ光11bを受光して光学観測を行う。
この光学観測においては、設定された観測領域に適合するように、中継衛星15から出射される照射レーザ光11aの照射方向(中継衛星15から出射される照射レーザ光11aの光軸の方向)及び照射レーザ光11aの広がり角が、レーザ観測装置11Bの制御演算装置25によって設定される。照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角は、通信によって中継衛星15に通知され、中継衛星15のミラー光学系41は、設定された照射方向及び広がり角で照射レーザ光11aが出射されるように設定される。
更に、レーザ観測装置11Bの制御演算装置25によって設定された観測領域は、通信によって中継衛星15に通知され、中継衛星15の受光光学系42とレーザ光受光部43は、該観測領域について光学観測を行うように設定される。これにより、照射レーザ光11aが宇宙物体2によって反射されて生成される反射レーザ光11bによる宇宙物体2の光学観測を行うことができる。
第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、所望の観測時刻における宇宙物体2の宇宙物体推定位置領域が算出され、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせて宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角が設定される。このような動作によれば、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度を高くできることは上述の通りである。
また、本実施形態の宇宙物体観測システム1Bでは、宇宙空間に位置する中継衛星15を利用して宇宙物体2の観測を行うため、宇宙物体2から近い位置で観測が可能である。これは、高いエネルギー密度の反射レーザ光11bを観測できる点で好適である。
加えて、複数の中継衛星15のうちから最適な中継衛星15を選択する構成では、レーザ観測装置11Bと中継衛星15との間の経路及びレーザ観測装置11Bと中継衛星15との間の経路として、良好な状態の経路を選択できるという利点がある。例えば、図8に図示されているように、本実施形態の宇宙物体観測システム1Bでは、レーザ観測装置11Bと宇宙物体2の間に雲16が存在するような場合でも、中継衛星15を利用して観測することで宇宙物体2の観測が可能である。加えて、宇宙物体2の観測方向についても、良好な方向を選択できるという利点がある。例えば、適切な中継衛星15を選択すれば、宇宙物体2の撮像画像の背景に太陽が入らないような観測方向で宇宙物体2の観測することができる。このような利点は、複数のレーザ観測装置11Bのうちから最適なレーザ観測装置11Bを選択するような構成を採用した場合により顕著になる。
なお、本実施形態において、レーザ観測装置11Bのレーザ発振器21としてパルスレーザを使用し(即ち、照射レーザ光11aとしてパルスレーザ光を発生し)、レーザ発振器21が発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティングを中継衛星15のレーザ光受光部43において実行すれば、第1の実施形態と同様に、レーザ測距を行うこともできる。これにより、宇宙物体2の方位角、仰角のみならず中継衛星15と宇宙物体2の間の距離を特定でき、よって、宇宙物体2の3次元位置を特定できる。一実施形態では、例えば、GPS(global positioning system)によって得られる位置情報と時刻情報を用いることで、レーザ観測装置11Bのレーザ発振器21と中継衛星15のレーザ光受光部43の同期を実現してもよい。
更に、第3の実施形態においても、第1及び第2の実施形態と同様に、照射レーザ光11aを走査しながら観測を行ってもよい。この場合、中継衛星15のミラー光学系41は、ミラー光学系41から出射される照射レーザ光11aを走査可能であるように(即ち、照射レーザ光11aの照射方向を逐次に変更可能であるように)構成される。
また、第3の実施形態において、レーザ観測装置11Bから中継衛星15にレーザ光を供給し、当該レーザ光による中継衛星15への電力伝送を行ってもよい。一実施形態では、中継衛星15に光電変換装置(図示されない)が設けられ、中継衛星15への電力伝送を行う場合に、中継衛星15のミラー光学系41が、レーザ観測装置11Bから中継衛星15に供給されたレーザ光を該光電変換装置に導入する。該光電変換装置は、導入されたレーザ光から電力を発生し、中継衛星15に設けられた蓄電装置(図示されない)を充電する。このような動作によれば、中継衛星15の寿命を延長することができる。このとき、電力伝送に使用するレーザ光は連続波レーダ光が好ましいので、例えばレーザ測距を行う場合のように、宇宙物体2の観測においてレーザ観測装置11Bのレーザ発振器21によって発生したパルスレーザ光を使用する場合には、中継衛星15への電力伝送においては、レーザ観測装置11Bのレーザ発振器21の動作が、連続波レーザ光を発生するように切り替えられてもよい。このような動作によれば、中継衛星15の電力伝送の効率を向上させることができる。また、レーザ測距用のレーザ発振器21とは別に電力伝送用のレーザ発振器が設けられてもよく、レーザ測距用のレーザ発振器21とは別に電力伝送用のレーザ発振器が設けられる場合には、更に、レーザ測距用の照射光学系22とは別に電力伝送用の照射光学系が設けられてもよい。
(第4の実施形態)
図10は、本発明の第4の実施形態の宇宙物体観測システム1Cの構成を示す概念図である。本実施形態の宇宙物体観測システム1Cは、レーザ照射機体51と、少なくとも一の観測機体52と、指令センター装置53とを備えている。図10には、2つの観測機体52が図示されている。
第4の実施形態の宇宙物体観測システム1Cは、レーザ照射機体51と観測機体52とを用いて宇宙物体2を観測するように構成されている。詳細には、レーザ照射機体51は、宇宙物体2に照射すべき照射レーザ光51aを出射する機器を搭載した飛行体(例えば、有人航空機やUAV(unmanned air vehicle))である。観測機体52は、照射レーザ光51aが宇宙物体2によって反射されて生成された反射レーザ光51bを観測する機器を搭載した飛行体である。指令センター装置53は、レーザ照射機体51及び観測機体52に観測に関する様々な指令を送信すると共に、レーザ照射機体51及び観測機体52によって得られた情報をレーザ照射機体51及び観測機体52から受信する演算装置(コンピュータ)である。
なお、第4の実施形態においても、電波観測装置12及び光学観測装置13が設けられ、電波観測装置12及び光学観測装置13から指令センター装置53に事前観測情報12a、13aが送信されるが、図10には電波観測装置12及び光学観測装置13は図示されていない。本実施形態においても、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて所望の観測時刻における宇宙物体2の宇宙物体推定位置領域を算出し、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせてレーザ照射機体51から宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aの照射方向及び広がり角が設定される。このような動作によれば、宇宙物体2に照射される照射レーザ光11aのエネルギー密度を高くできることは上述の通りである。
図11Aは、本実施形態において、レーザ照射機体51に搭載される機器の構成を示すブロック図である。レーザ照射機体51には、レーザ発振器61と、照射光学系62と、通信装置63と、制御演算装置64とが搭載される。
レーザ発振器61と照射光学系62とは、照射レーザ光51aを出射するためのレーザ装置を構成している。詳細には、レーザ発振器61は、宇宙物体2に照射すべき照射レーザ光51aを発生する。本実施形態では、レーザ発振器61としてパルスレーザ光を発生するパルスレーザが用いられる。レーザ発振器61によって発生された照射レーザ光51aは、照射光学系62に入射される。
照射光学系62は、レーザ発振器61から受け取った照射レーザ光61aを宇宙物体2に向けて出射する。
照射光学系62は、一実施形態では、鏡筒及び該鏡筒を駆動する駆動部を備えていてもよい。該駆動部は、制御演算装置64によって制御され、これにより、鏡筒の向き、即ち、照射レーザ光51aの照射方向(照射レーザ光51aの光軸の方向)が制御される。加えて、照射光学系62は、照射光学系62から出射される照射レーザ光51aの広がり角が調節可能であるように構成される。
通信装置63は、指令センター装置53と通信し、宇宙物体2の観測に必要な様々な情報やデータを指令センター装置53と交換する。加えて、通信装置63は、GPS衛星54からGPS信号を受信する機能も有している。後述されるように、GPS衛星54から受信したGPS信号は、レーザ照射機体51の位置の特定と、レーザ照射機体51と観測機体52との同期(時刻合わせ)に用いられる。
制御演算装置64は、レーザ発振器61、照射光学系62及び通信装置63を制御すると共に、レーザ発振器61、照射光学系62及び通信装置63の動作に必要な様々な演算を行う制御/演算手段として動作する。
図11Bは、本実施形態における観測機体52の構成を示すブロック図である。観測機体52は、受光光学系71と、レーザ光受光部72と、通信装置73と、制御演算装置74とを備えている。
受光光学系71は、宇宙物体2による照射レーザ光51aの反射によって生成される反射レーザ光51bを受光してレーザ光受光部72に向けて出射する。受光光学系71は、一実施形態では、鏡筒及び該鏡筒を駆動する駆動部を備えていてもよい。該駆動部は、制御演算装置74によって制御され、これにより、鏡筒の向きが制御される。
レーザ光受光部72は、反射レーザ光51bを受光して撮像する。本実施形態では、レーザ光受光部72として、レーザ照射機体51のレーザ発振器61が発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティング(active range gating)を実行する撮像装置が用いられる。レーザ光受光部72においてレーザ発振器61が発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティング(active range gating)を実行することで、レーザ測距を行うことができる。
通信装置73は、指令センター装置53と通信し、宇宙物体2の観測に必要な様々な情報やデータを指令センター装置53と交換する。加えて、通信装置73は、GPS衛星54からGPS信号を受信する機能も有している。後述されるように、GPS衛星54から受信したGPS信号は、観測機体52の位置の特定と、レーザ照射機体51と観測機体52との同期(時刻合わせ)に用いられる。
制御演算装置74は、受光光学系71、レーザ光受光部72及び通信装置73を制御すると共に、宇宙物体2の観測に必要な演算を行う制御/演算手段として動作する。例えば、制御演算装置74は、レーザ光受光部72によって撮像された反射レーザ光51bの撮像画像に対し、宇宙物体2の観測のための画像処理を行ってもよい。
図10を再度に参照して、以下では、本実施形態の宇宙物体観測システム1Bによる宇宙物体2の観測について詳細に説明する。
レーザ照射機体51及び観測機体52を用いた宇宙物体2の観測に先立ち、電波観測装置12及び光学観測装置13による観測が行われ、事前観測情報12a、13aが取得される。電波観測装置12及び光学観測装置13による事前観測情報12a、13aの取得は、第1の実施形態と同様の方法によって行ってもよい。取得された事前観測情報12a、13aは、指令センター装置53に送信される。
続いて、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、宇宙物体2の推定軌道範囲が、指令センター装置53により算出される。事前観測情報12a、13aに基づく推定軌道範囲の算出は、第1及び第2の実施形態における推定軌道範囲32の算出と同様の方法で行ってもよい。
更に、事前観測情報12a、13aに基づいて算出された宇宙物体2の推定軌道範囲に基づいて、宇宙物体2の観測を行おうとする観測時刻において宇宙物体2が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域が、指令センター装置53によって算出される。宇宙物体推定位置領域は、例えば、該観測時刻においてその内部に宇宙物体2が存在する確率が所定値以上である(例えば90%以上である)領域として算出されてもよい。
続いて、算出された宇宙物体推定位置領域に基づいて、レーザ観測装置11B及び中継衛星15による観測を行う観測領域が、指令センター装置53によって設定される。一実施形態では、観測領域は、宇宙物体推定位置領域の全体が該観測領域の内部に位置するように設定される。
更に、設定された観測領域についてレーザ照射機体51と観測機体52とを用いた宇宙物体2の観測が行われる。
当該宇宙物体観測システム1Cが複数の観測機体52を有している場合には、宇宙物体2の観測に実際に用いられる観測機体52が、設定された観測領域に応じて選択される。設定された観測領域の観測に最も適した観測機体52が選択される。観測機体52の選択においては、例えば、下記の要素が考慮されることが好ましい。
(1)観測対象である宇宙物体2と観測機体52の距離
(2)観測機体52から宇宙物体2への方向(宇宙物体2の撮像画像の背景に太陽が存在することは、宇宙物体2の観測に好ましくない。)
(3)宇宙物体2と観測機体52との間の経路の状態(例えば、観測対象の宇宙物体2と観測機体52との間に、他の宇宙物体が存在することは好ましくない。)
このようにして選択された観測機体52を用いて宇宙物体2の観測が行われる。本実施形態では、宇宙物体2のレーザ測距が行われる。具体的には、設定された観測領域に適合するように、レーザ照射機体51から出射される照射レーザ光51aの照射方向(照射レーザ光51aの光軸の方向)、照射レーザ光51aの広がり角、及び、レーザ測距における距離測定の測定範囲が、指令センター装置53によって設定される。レーザ測距においては、一般に、距離の測定範囲が設定され、測定対象が当該測定範囲にあるものとして距離測定が行われることに留意されたい。観測領域は宇宙物体推定位置領域に基づいて設定されるので、照射レーザ光51aの照射方向、広がり角及び距離測定の測定範囲は、宇宙物体推定位置領域に基づいて設定されることになる。設定された照射レーザ光51aの照射方向、広がり角及び距離測定の測定範囲は、通信により、指令センター装置53からレーザ照射機体51及び観測機体52に通知される。
レーザ照射機体51のレーザ発振器61及び照射光学系62は、宇宙物体2に向けて照射レーザ光51aを出射する。照射レーザ光51aは、指令センター装置53によって設定された照射方向及び広がり角で出射される。観測機体52の受光光学系71及びレーザ光受光部72は、照射レーザ光51aが宇宙物体2によって反射されて生成される反射レーザ光51bを受光する。レーザ光受光部72により受光された反射レーザ光51bに基づいてレーザ測距が行われ、これにより、宇宙物体2の観測、具体的には、宇宙物体2の3次元位置の特定が行われる。
本実施形態では、レーザ測距を行うために、レーザ照射機体51のレーザ発振器61が発生するパルスレーザ光に同期したアクティブレンジゲーティングがレーザ光受光部72において実行される。アクティブレンジゲーティングの実行のためのレーザ発振器61とレーザ光受光部72の同期には、レーザ照射機体51及び観測機体52がGPS衛星54から受け取ったGPS信号が利用される。このGPS信号を用いてレーザ発振器61とレーザ光受光部72との間で時刻合わせが行われ、これにより、レーザ測距におけるアクティブレンジゲーティングがレーザ光受光部72において実施される。
宇宙物体2の3次元位置の特定のための演算は、指令センター装置53によって行われる。詳細には、レーザ照射機体51の制御演算装置64は、GPS衛星54から受け取ったGPS信号からレーザ照射機体51の位置を示す位置情報を生成し、同様に、観測機体52の制御演算装置74は、GPS衛星54から受け取ったGPS信号から観測機体52の位置を示す位置情報を生成する。レーザ照射機体51の位置を示す位置情報は、レーザ照射機体51から指令センター装置53に送信され、同様に、観測機体52の位置を示す位置情報は、観測機体52から指令センター装置53に送信される。更に、観測機体52によって撮像された画像の撮像画像データが観測機体52から指令センター装置53に送信される。指令センター装置53は、レーザ照射機体51及び観測機体52の位置を示す位置情報と観測機体52によって撮像された画像の撮像画像データとに対してレーザ測距のための演算を行い、これにより、宇宙物体2の観測、具体的には宇宙物体2の3次元位置の特定が行われる。
第4の実施形態においても、第1乃至第3の実施形態と同様に、電波観測装置12及び光学観測装置13によって得られた事前観測情報12a、13aに基づいて、所望の観測時刻における宇宙物体2の宇宙物体推定位置領域が算出され、算出された宇宙物体推定位置領域に合わせて宇宙物体2に照射される照射レーザ光51aの照射方向及び広がり角が設定される。このような動作によれば、宇宙物体2に照射される照射レーザ光51aのエネルギー密度を高くできることは上述の通りである。
また、本実施形態の宇宙物体観測システム1Cでは、照射レーザ光51aの出射及び反射レーザ光51bの観測が飛行体に搭載された機器で行われるので、天候の影響を抑制しながら宇宙物体2の観測を行うことができる。例えば、レーザ照射機体51及び観測機体52を雲の上の高度で飛行させれば、天候の影響を受けずに宇宙物体2の観測を行うことができる。加えて、本実施形態の宇宙物体観測システム1Cは、移動体であるレーザ照射機体51及び観測機体52を用いて宇宙物体2を観測するので、宇宙物体2を最適な位置から観測することができるという利点もある。更に、本実施形態の宇宙物体観測システム1Cは、第3の実施形態の宇宙物体観測システム1Bとは異なり、人工衛星(第3の実施形態では、中継衛星15)を打ち上げる必要がないので、スペースデブリが増加しないという利点もある。
なお、上述の第4の実施形態では、照射レーザ光51aを宇宙物体2に照射する機器(図11Aに図示された装置群)が飛行体に搭載された構成が提示されているが、照射レーザ光11aを宇宙物体2に照射する機器は、大気圏内で移動する移動体に搭載されてもよく、例えば、船舶のような海上航走体に搭載されてもよい。同様に、上述の第4の実施形態では、宇宙物体2からの反射レーザ光51bを観測する機器(図11Bに図示された装置群)が飛行体に搭載された構成が提示されているが、反射レーザ光51bを観測する機器は、大気圏内で移動する移動体に搭載されてもよく、例えば、船舶のような海上航走体に搭載されてもよい。
更に、第4の実施形態においても、第1乃至第3の実施形態と同様に、照射レーザ光11aを走査しながら観測を行ってもよい。この場合、中継衛星15のミラー光学系41は、ミラー光学系41から出射される照射レーザ光11aを走査可能であるように(即ち、照射レーザ光11aの照射方向を逐次に変更可能であるように)構成される。
以上には、本発明の実施形態が具体的に記載されているが、本発明が上記の実施形態に限定されると解釈してはならない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。
1、1A、1B、1C:宇宙物体観測システム
2 :宇宙物体
2a :スペースデブリ
2b :人工衛星
3 :宇宙物体
11、11B:レーザ観測装置
11A :レーザ装置
11a :照射レーザ光
11b :反射レーザ光
12 :電波観測装置
12a :事前観測情報
13 :光学観測装置
13a :事前観測情報
14 :指令センター装置
14a :制御指令
14b :制御指令
15 :中継衛星
16 :雲
21 :レーザ発振器
22 :照射光学系
23 :分離ミラー
24 :レーザ光受光部
25 :制御演算装置
26 :受光光学系
27 :通信装置
31 :推定軌道範囲
32 :事前観測情報に基づく推定軌道範囲
33 :観測領域
41 :ミラー光学系
42 :受光光学系
43 :レーザ光受光部
44 :通信装置
45 :制御演算装置
51 :レーザ照射機体
51a :照射レーザ光
51b :反射レーザ光
52 :観測機体
53 :指令センター装置
54 :GPS衛星
61 :レーザ発振器
61a :照射レーザ光
62 :照射光学系
63 :通信装置
64 :制御演算装置
71 :受光光学系
72 :レーザ光受光部
73 :通信装置
74 :制御演算装置

Claims (19)

  1. 宇宙空間に位置する宇宙物体を観測する宇宙物体観測システムであって、
    大気圏内に設けられた、照射レーザ光を出射するように構成されたレーザ装置と、
    前記照射レーザ光の前記宇宙物体による反射によって生成された反射レーザ光を受光して観測する受光部と、
    前記宇宙物体の観測によって得られた事前観測情報を取得する事前観測情報取得手段と、
    制御手段
    とを具備し、
    前記制御手段は、前記事前観測情報に基づいて、ある観測時刻において前記宇宙物体が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域を算出し、前記観測時刻において前記宇宙物体に照射される前記照射レーザ光の広がり角を前記宇宙物体推定位置領域に基づいて設定する
    宇宙物体観測システム。
  2. 請求項1に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記事前観測情報取得手段は、前記宇宙物体の観測を行って前記事前観測情報を取得する事前観測局を具備する
    宇宙物体観測システム。
  3. 請求項2に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記事前観測局は、
    宇宙空間に向かって電波を放射し、前記電波が前記宇宙物体によって反射されて発生した反射波を観測する電波観測装置と、
    前記宇宙物体からの太陽光の反射光を観測する光学観測装置
    とを含み、
    前記事前観測情報は、前記電波観測装置による前記反射波の観測によって得られる第1事前観測情報と、前記光学観測装置による前記反射光の観測によって得られる第2事前観測情報とのうちの少なくとも一方を含む
    宇宙物体観測システム。
  4. 請求項3に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記第1事前観測情報は、前記電波観測装置によって得られた前記宇宙物体までの距離を示す距離情報を含み、
    前記第2事前観測情報は、前記光学観測装置によって得られた前記宇宙物体の方位角及び仰角を示す第1方位角/仰角情報を含み、
    前記宇宙物体推定位置領域が、前記距離情報と前記第1方位角/仰角情報とに基づいて算出される
    宇宙物体観測システム。
  5. 請求項4に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記第1事前観測情報は、更に、前記電波観測装置によって得られた前記宇宙物体の方位角及び仰角を示す第2方位角/仰角情報を含み、
    前記宇宙物体推定位置領域が、前記距離情報と前記第1方位角/仰角情報と前記第2方位角/仰角情報に基づいて算出される
    宇宙物体観測システム。
  6. 請求項2に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記制御手段は、前記事前観測情報に加え、当該宇宙物体観測装置システムの外部から得られた前記宇宙物体の軌道に関する情報である外部事前観測情報に基づいて、前記宇宙物体推定位置領域を算出する
    宇宙物体観測システム。
  7. 請求項6に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記制御手段は、前記事前観測情報と前記外部事前観測情報とに対して重み付けを行って前記宇宙物体推定位置領域を算出する
    宇宙物体観測システム。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の宇宙物体観測システムであって、
    更に、前記受光部によって受光された前記反射レーザ光に基づいて、レーザ測距により前記宇宙物体の3次元位置を特定する演算手段を具備する
    宇宙物体観測システム。
  9. 請求項8に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記制御手段は、前記宇宙物体推定位置領域に基づいて前記レーザ測距における距離測定の測定範囲を設定する
    宇宙物体観測システム。
  10. 請求項2に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記事前観測局は、前記宇宙物体からの太陽光の反射光を観測する光学観測装置を含み、
    前記光学観測装置は、前記受光部として前記反射レーザ光の光学観測を行う
    宇宙物体観測システム。
  11. 請求項1に記載の宇宙物体観測システムであって、
    更に、少なくとも一の中継衛星を含み、
    前記制御手段は、前記宇宙物体推定位置領域に基づいて観測領域を設定し、
    前記中継衛星は、前記レーザ装置から出射される前記照射レーザ光の方向を変えて前記観測領域に導光するように構成された導光光学系を備え、
    前記受光部が、前記中継衛星に搭載された
    宇宙物体観測システム。
  12. 請求項11に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記中継衛星は複数であり、
    前記制御手段は、前記観測領域に基づいて前記複数の中継衛星のうちから選択中継衛星を選択し、
    前記レーザ装置は、前記選択中継衛星に向けて前記照射レーザ光を出射し、
    前記選択中継衛星は、前記レーザ装置から出射される前記照射レーザ光の方向を変えて前記観測領域に導光する
    宇宙物体観測システム。
  13. 請求項12に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記レーザ装置は複数であり、
    前記制御手段は、前記観測領域に基づいて前記複数のレーザ装置のうちから選択レーザ装置を選択し、
    前記選択レーザ装置は、前記選択中継衛星に向けて前記照射レーザ光を出射する
    宇宙物体観測システム。
  14. 請求項11に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記中継衛星は蓄電装置を備えており、
    前記中継衛星は、前記宇宙物体の観測を行わないときに、前記レーザ装置から受け取った前記照射レーザ光から光電変換装置によって電力を発生して前記蓄電装置を充電するように構成された
    宇宙物体観測システム。
  15. 請求項1に記載の宇宙物体観測システムであって、
    更に、大気圏内を移動可能に構成された第1及び第2移動体を具備し、
    前記レーザ装置が前記第1移動体に搭載され、
    前記受光部が前記第2移動体に搭載された
    宇宙物体観測システム。
  16. 請求項1に記載の宇宙物体観測システムであって、
    更に、大気圏内を移動可能に構成された移動体を具備し、
    前記レーザ装置及び前記受光部が、前記移動体に搭載された
    宇宙物体観測システム。
  17. 請求項1に記載の宇宙物体観測システムであって、
    前記制御手段は、前記宇宙物体推定位置領域に基づいて観測領域を設定し、前記照射レーザ光が前記観測領域を走査するように前記レーザ装置を制御する
    宇宙物体観測システム。
  18. レーザ装置から出射される照射レーザ光の方向を変えて観測領域に導光するように構成された導光光学系と、
    前記照射レーザ光の宇宙物体による反射によって生成された反射レーザ光を受光して観測する受光部
    とを具備し、
    前記導光光学系は、前記導光光学系から出射されて前記観測領域に照射される前記照射レーザ光の広がり角を調節可能に構成された
    中継衛星。
  19. 宇宙空間に位置する宇宙物体を観測する宇宙物体観測方法であって、
    前記宇宙物体の事前観測情報を得るステップと、
    前記事前観測情報に基づいて、ある観測時刻において前記宇宙物体が位置すると推定される領域である宇宙物体推定位置領域を算出するステップと、
    大気圏内に設けられたレーザ装置から照射レーザ光を出射するステップと、
    前記照射レーザ光の前記宇宙物体による反射によって生成された反射レーザ光を受光して観測するステップ
    とを具備し、
    前記観測時刻において前記宇宙物体に照射される前記照射レーザ光の広がり角が、前記宇宙物体推定位置領域に基づいて設定される
    宇宙物体観測方法。
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