JP7355128B2 - 被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法 - Google Patents

被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法 Download PDF

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本開示は、被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法に関するものである。被研削材は、特に黒皮付き金属材である。黒皮付き金属材は、特に黒皮付き鋼材(鋼板)である。
従来、金属材の一例としての鋼材の研削では、作業者がハンドグラインダ、ワゴングラインダなどの研削装置を鋼材上でハンドリングしながら、砥石などの研削装置の研削工具を鋼材に体重をかけて、又は手で押付けて作業を行う。このとき、作業者は研削状態を目で確認しながら、研削状態に応じて研削工具の押付荷重及び押付時間などを調整する。
そのため、黒皮(表面の酸化被膜)付きの鋼材の手入れにおいて、黒皮の厚さ(スケール厚)に個体差があっても、作業者の経験と勘に基づき、研削状態を目で確認しながら研削工具の押付荷重、押付時間及び工具の送り速度を調整することによって、高精度な研削加工作業が可能である。
ここで、研削状態は、研削加工中の被研削材の状態である。研削状態は、黒皮を研削中であること、地金を研削中であること、研削工具が被研削材を擦っているだけで研削していないこと、これらの場合における研削の火花の量、形状、色、火花に含まれる破裂部の多寡といった特徴を含む。表面状態は、特に被研削材の研削される表面についての研削状態を意味する。
また、高精度な研削加工作業とは、手入れ後の鋼材において段差、うねり、ビビり(チャターマーク)等のない滑らかな研削面が得られ、かつ手入れ対象の疵の深さなどから決定される所望の研削深さでの加工をできるだけ効率よく短時間で終えることのできる作業である。従来、高精度な研削加工作業には、熟練技術者による目視確認、判断、加工精度が要求される。
ここで、研削加工作業は、火花及び研削粉屑が舞う中での重筋作業である。そのため、研削作業を自動で行う自動研削機械が提案されている。一般的に自動研削機械では、次のような二つの方法が採られる。
(A)あらかじめ有している研削深さと研削工具の周速と押付荷重、押し付け時間及び工具の送り速度のテーブルをもとに、所望の研削深さを実現できる周速と押付荷重とを所定の時間、保持する方法。
(B)研削工具の押し付け伸展距離が研削深さに等しいと仮定して、研削工具の押し付け伸展距離制御を行う方法。
また、類似の研削制御の方法として、例えば下記の特許文献1に示すように、カメラを用いて火花量を測定し、押し付け力を調整するベルト研削方法が挙げられる。この方法では、押し付け力を一定にすることができるが、研削深さをコントロールするため事前に押し付け保持時間を調査して決定する必要がある。つまり、上記(A)と考え方は同様である。またこの方法では、黒皮付き鋼材のスケール厚といった被研削材の個体差を想定していないため、これに起因する研削深さのバラツキ、過研削、研削不良(黒皮残り)が生じ得る。
特開平7-164318号公報
上記(A)に関して、研削反力が所定の値になるようにするには、あらかじめ研削深さと反力、時間のテーブルを持つ必要がある。さらに、被研削材の種類(鋼種)別にこのテーブルを持つ必要がある。上記の特許文献1のベルト研削方法でも同様のテーブルを持つ必要がある。
上記(A)及び特許文献1のベルト研削方法は、被研削材の種類(鋼種)及び成分といった研削加工前に得られる事前情報に基づいて該当するテーブルを選択する必要があり、種類(鋼種)別のテーブルなどの複数のテーブルを用意するために極めて多くの事前実験が必要になる。
また、同一の抗張力、品種及び成分を狙って圧延された被研削材(鋼材)も、実際には誤差が所定の範囲内に収められているだけである。つまり、実際の被研削材において、個々の黒皮のスケール厚、表面性状、許容誤差範囲内での抗張力、成分、厚さの個体差が認められる。これらの個体差は、研削前に被研削材の事前情報として容易に得られるわけではなく、個別に試験又は計測を実行する必要がある。
そのため、上記(A)及び特許文献1のベルト研削方法は、極めて多くの事前実験で複数のテーブルを用意したとしても、個体差に起因して研削結果がまちまちとなる。例えば被研削材の事前情報から砥石などの研削工具の回転数及び押付荷重といった研削パラメータを選択しても、個体差に起因して研削状態に差が出て、研削できないこともあり得る。従来の機械による自動化された研削加工では、研削状態に差が生じても研削加工状態を知る術がなく、熟練技術者のような調整ができない。
ここで、上記の特許文献1の技術では、火花量を計測することで押付力の制御をしているが、下記のような問題がある。
(1)火花量のみを計測しているために、例えば黒皮を研削中であるか、地金を研削中であるかといった研削状態を推定することができない。
(2)そのため、例えば硬さなどが異なる黒皮と地金のそれぞれに応じた研削工具の押付荷重、押付時間及び工具の送り速度を調整(切り替え)することができないので、高効率で高精度な研削加工作業を実現できない。また、黒皮研削時と地金研削時の研削深さのテーブルも用意されておらず、所望の研削深さを実現するにあたって被研削材のスケール厚の個体差を加味して研削条件(研削パラメータ)を設定することができない。
(3)特許文献1の技術の画像処理では、火花が密集している部分が明るく、点在している部分が暗く写ってしまうために、火花量を定量的に表現できない。
(4)スケール厚が大きい場合、及び、黒皮の表面性状によって難削材である場合に、この黒皮を研削加工するための研削パラメータでは、地金研削に移行した後に過研削となりがちである。
また、上記(B)に関して、機械剛性によるたわみなどの外乱により、伸展距離と研削深さが等しくならない場合があり、目標とする研削深さの補正が必要である。補正の値を正確に求めるためには、上記(A)と同様に、多くの事前実験が必要になる。
以上の問題を解決すべくなされた本開示の目的は、黒皮を研削中であるか地金を研削中であるかを含む被研削材の状態を判定し、高精度に研削深さを制御することが可能な被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法を提供することにある。
本開示の一実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法は、
被研削材としての黒皮付き金属材を研削工具で研削する際に、カメラによって前記被研削材の表面と前記研削工具との接触により発生する研削火花を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像した画像を画像処理する画像処理工程と、
前記画像処理工程で画像処理した前記画像から、少なくとも前記研削工具が研削している前記被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する表面状態判定工程と、
を有する。
また、本開示の一実施形態に係る被研削材の表面状態判定装置は、
被研削材としての黒皮付き金属材を研削工具で研削する際に、前記被研削材の表面と前記研削工具との接触により発生する研削火花を撮像するカメラと、
前記カメラで撮像した画像を画像処理し、画像処理した前記画像から、少なくとも前記研削工具が研削している前記被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する画像処理装置と、
を有する。
また、本開示の一実施形態に係る研削装置は、
上記の被研削材の表面状態判定装置と、
所与の周速で回転しながら前記被研削材の表面に接触することで前記被研削材を研削する研削工具と、
前記研削工具を前記被研削材に所与の押付荷重で押し付ける上下スライドアクチュエータと、
前記研削工具を前記被研削材の表面に沿って走査させる走査アクチュエータと、
前記走査アクチュエータの走査、前記上下スライドアクチュエータの押付荷重及び前記研削工具の周速を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記画像処理装置が判定した前記被研削材の表面状態に基づいて、前記上下スライドアクチュエータ及び前記走査アクチュエータへの指令値を、予め用意した黒皮研削時の設定値又は地金研削時の設定値に設定する。
また、本開示の一実施形態に係る被研削材の研削方法は、
上記の研削装置によって被研削材を研削する際に、位置測定手段からの情報に基づいて前記研削装置の自己位置を測定し、前記自己位置に基づいて前記研削装置を被研削材の上で移動させる。
また、本開示の一実施形態に係る金属材の製造方法は、
上記の研削装置を用いて前記金属材の表面の黒皮を研削する。
一実施形態に係る研削装置について具体的に述べると、研削装置は黒皮付き鋼材を研削するものであってよい。また、研削装置の具体的な構成は、研磨布紙、砥石などの研削工具と、この研削工具を回転させるモータなどの回転機構と、研削工具を被研削材の表面に押し付ける直動シリンダなどの上下スライドアクチュエータと、上下スライドアクチュエータを駆動することで押付荷重を制御する制御部と、研削工具と被研削材の表面の接触部分から発生する火花を検出するカメラなどの撮像装置と、撮像装置によって撮像された画像から火花量(輝度値)と火花特徴を検出する画像処理装置を有してよい。このような構成の研削装置は、火花量(輝度値)と火花特徴から研削状態を判定(推定)し、砥石などの研削工具の回転数及び押付荷重といった研削パラメータをこの研削状態に応じて変更させるものであってよい。研削装置は、連続使用が可能となるように、研磨布紙をディスク状にくりぬいた研磨布紙ディスクを複数枚積層させることによって構成された研削工具を有するものであってよい。
本開示によれば、黒皮を研削中であるか地金を研削中であるかを含む被研削材の状態を判定し、高精度に研削深さを制御することが可能な被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法を提供することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る研削システムの一例を示す概要図である。 図2は、本開示の一実施形態に係る研削装置の一例を示す概要図である。 図3は、本開示の一実施形態に係る研削装置の一例を示すブロック図である。 図4は、本開示の一実施形態に係る被研削材の研削方法の処理の一例を示すフローチャートである。 図5は、図4の被研削材の研削方法における黒皮研削の処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、図4の被研削材の研削方法における地金研削の処理の一例を示すフローチャートである。 図7は、研削火花率の定義を説明するための図である。 図8は、破裂部及び破裂密度の定義を説明するための図である。 図9は、研削の実験結果の一例における研削火花率と研削深さを示す図である。 図10は、研削の実験結果の一例における破裂密度と鋼材の炭素含有量を示す図である。 図11は、研削の実験結果の一例における破裂密度と湿度を示す図である。 図12は、研削の実験結果の一例における破裂密度と鋼材の酸素含有量を示す図である。 図13は、被研削材が黒皮付き鋼材の場合の研削の実験結果の一例における、研削条件変更前の往復量と研削量を示す図である。 図14は、被研削材が黒皮付き鋼材の場合の研削の実験結果の一例における、研削条件変更後の往復量と研削量を示す図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法が説明される。
本実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法によれば、研削時の研削火花を例えばハイスピードカメラ等で撮影し、その撮影画像に画像処理を行うことで研削火花の量と火花の破裂の多寡といった特徴を定量的に抽出し、研削状態と被研削材の成分などを推定することができる。
また、被研削材の代表的な種類(鋼種)に対する黒皮研削時及び地金研削時における研削工具の回転数及び押付荷重といった研削パラメータと研削深さとの関係を示す1組のテーブルを事前実験で準備しておけば、上記の推定が可能である。
詳細は後述するが、推定される研削状態に応じて、研削される被研削材の種類(鋼種)及び必要な研削深さに対応する研削条件と往復回数が設定される。ここで、研削毎に研削火花の量と火花の破裂の多寡が測定されて、研削条件に反映される。このように、研削毎に研削状態に応じて研削条件が適切に調整されるため、初期条件を設定するためのテーブル(例えば黒皮及び地金のそれぞれについての1組のテーブル)を用意するだけで、高精度に所望の研削深さを実現することができる。ここで、例えば製品の出荷前検査などで被研削材の板厚の実測などが行われる場合は、研削火花の量、火花の破裂の多寡、研削パラメータ及び板厚の実測値を関連付けた学習データを用いて、機械学習が実行されてよい。そして、膨大な事前実験ではなく、機械学習の結果を、研削パラメータと研削深さとの関係を示すテーブルに反映させることによって、さらに研削の精度を高めることが可能である。
<研削システムの全体構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る研削装置300を含む研削システム100の一例を示す斜視図である。図1に示すように、研削システム100は、位置測定手段としての屋内位置測定システム200と、研削装置300と、を有する。
本実施形態において用いる屋内位置測定システム200は、研削装置300の位置測定手段を構成し、三角測量の原理に基づいて屋内空間における研削装置300の自己位置の測定を行うものである。具体的には、屋内位置測定システム200は、屋内に設置された複数の航法用送信機11と、航法用受信機12と、位置演算用ソフトウェアを含むホストコンピュータ13とから構成される。
研削装置300は、被研削材としての鋼材10上を自走(走行)して鋼材10の表面を研削する。研削装置300は、例えば鋼材10の表面の微小な疵(欠陥)の研削除去(疵取り)も実行してよい。研削装置300は、鋼材10上を移動する(走行する)台車14と、台車14に搭載されて鋼材10を研削する研削工具22と、研削装置300を所定の目標位置に自律走行させるための制御系とを備える。また、研削装置300は、台車14を走行させる走行用駆動機構と、研削工具22を駆動する研削用駆動機構も備える。制御系は上記ホストコンピュータ13の一部を含む。研削装置300の詳細な構成は後述する。
屋内位置測定システム200には、例えばIGPS(Indoor Global Positioning System)を適用することができる。IGPSは、衛星航法システム(GPS:Global Positioning System)を屋内位置測定システム200に適用したものである。IGPSについては、例えば米国特許第6501543号明細書に詳細に記載されている。
屋内位置測定システム200にIGPSを適用する場合に、各航法用送信機11は、回転ファンビーム(扇形ビーム)を射出する。回転ファンビームはレーザファンビームであってよく、他の光放射手段であってよい。航法用受信機12は研削装置300の台車14に搭載され、航法用送信機11から射出される回転ファンビームを受信する。このとき、回転ファンビームは所定の角度でずれており、これを受信する航法用受信機12の3次元座標値、すなわち位置又は高さを測定することができる。航法用受信機12が受信した受信情報はホストコンピュータ13に無線伝送され、ホストコンピュータ13により、三角測量の原理に従って、航法用受信機12の位置を演算する。複数の航法用送信機11から受信した信号を用いて、また演算を繰り返すことにより、航法用受信機12を搭載した走行中の研削装置300の位置情報をリアルタイムで得ることができる。
このように、本実施形態では、研削装置300を自走式とすることで、例えば一人で複数台の研削装置300を運用することが可能となる。
<研削装置の構成>
図2及び図3に示すように、研削装置300は、被研削材としての鋼材10を研削する研削工具22と、研削工具22を駆動するための駆動系と、研削火花を撮像するカメラ23とその画像処理装置33で構成される。研削工具22の駆動系は、研削工具22を鋼材10の表面(研削面)に沿った一軸方向に走査させる走査アクチュエータ15と、研削工具22を鋼材10に接離させるために昇降させる上下スライドアクチュエータ16と、制御部19とを有する。
図3に示すように、研削装置300を所定の目標位置に自律走行させるための制御系は、I/Oボード17と、搭載コンピュータ18とを有する。I/Oボード17は、ホストコンピュータ13と搭載コンピュータ18との間の信号の授受を行う。制御系の一部としても機能するホストコンピュータ13は、上述した屋内位置測定システム200の航法用受信機12(図1参照)の位置を演算するための現在位置演算用ソフトウェア31と、目標研削位置、経路情報を設定し、また搭載コンピュータ18からの研削状態、研削位置情報を評価する設定ソフトウェア32とを有する。ここで、研削装置300の制御系として、ホストコンピュータ13を用いずに、搭載コンピュータ18のみが制御するようにしてよい。
また、研削工具22は、研磨布紙を有している。研磨布紙とは、基材(布又は紙)に砥粒を接着剤で固定した研削材をいう。研削工具22は、研磨布紙を鋼材10の表面に接触させて鋼材10を研削する。研磨布紙は可撓性を有するため、研削部分の深さの違いによる段差を軽減できる利点がある。
研削工具22は、例えば研磨布紙をディスク状にくりぬいた薄い研磨布紙ディスクを、研削方向に対して垂直方向に複数枚積層し、複数枚積層した研磨布紙ディスクを両側からフランジで挟圧させて固定した構成とすることができる。このような構成の研削工具22を支持部に回転可能に取り付け、研削工具22をモータなどの図示しない回転機構により回転させることにより鋼材10が研削される。このようにすることにより、研削工具22を小型かつ長寿命とすることができる。別の例として、研磨布紙をエンドレスベルト状にして研削工具22が構成されてよい。ただし、この場合は、上記構成よりも大型となり、また研削工具22の寿命も短くなり得る。
研削装置300は、上下スライドアクチュエータ16を下降させて研削工具22を鋼材10に接触させる。この状態で、走査アクチュエータ15により研削工具22を鋼材10表面に沿った任意の方向に走査させることにより、鋼材10表面が研削される。この際に、制御部19は、走査アクチュエータ15の走査速度(移動速度)、すなわち研削工具22の移動速度を、所与の一定速度となるように制御する。
実際に、引張強度600MPa級、板厚12mmの鋼材(金属材の一例)の表面を研削装置300により研削したところ、表1、表2に示される研削パラメータでの研削試験に対して、研削深さ[mm]、研削火花率及び破裂密度に関する結果が得られた。
Figure 0007355128000001
Figure 0007355128000002
ここで、表1、表2に示される用語は、以下のように定義される。図7に示すように、カメラ23で撮像した研削火花に対して、研削点から所定の距離に所定の視野幅及び被写界深度を有する撮像ラインが設定される。この例では、研削点から150mmの距離(実際の距離)に当たる位置において1800ピクセル分の幅(実際における図中の高さ方向の約130mmの幅に相当)をもつ撮像ラインが設定された。
この撮像ラインは以下において定直線と称される。定直線の長さ(ピクセル)のうち定直線を通る火花の本数(細線化処理を行い、一本を1ピクセルとしておく)を研削火花の量として、研削火花率[単位なし]が定義される。研削火花率は、研削火花の多さを数値で表した火花量の一例である。火花量としては、別の例として、所定のサイズの領域含まれる火花の本数が用いられてよい。
また、図8に示すように、任意の画像範囲において研削火花の短直線が所定数(一例として3)以上密集している箇所を破裂部として、先の定直線を通る研削火花の本数のうち破裂部を持つ火花の本数が占める割合を破裂密度(単位なし)と定義する。本実施例では、定直線から左右800ピクセルずつの範囲(1600*1600ピクセル)においての破裂部を検出し、破裂密度を算出した。破裂密度は、破裂部の多寡を数値で表した破裂量の一例である。破裂量としては、別の例として、画像全体における破裂部の数が用いられてよい。
この例では、研削点から150mmの距離に1800ピクセル分の幅をもつ撮像ライン(定直線)を設定して火花の本数(量)を算出し、定直線から左右800ピクセルずつの範囲においての破裂部を検出した。しかし、研削火花を含む研削火花領域から、画像に含まれる複数の画素ライン(横又は縦のピクセルライン)のうち少なくとも1つの画素ライン(ピクセルライン)について、研削火花の本数及び研削火花に対する破裂部の密度を算出すればよく、どの範囲の火花を対象とするかは限定されない。
<研削手順>
以下、図4、図5及び図6のフローチャートを用いて本実施形態の研削シーケンス(研削手順)が詳細に説明される。
まず、被研削材としての黒皮付き鋼材(金属材の一例)の研削手順の概要は以下のとおりである。図4に示すように、研削が開始されるとステップS01において鋼種などの事前情報及び黒皮材のテーブルを用いて黒皮研削条件及び研削工具22の往復回数などが決定される。そして、ステップS01で決定された条件で黒皮が研削される(ステップS02)。その後、黒皮の研削が終了したら(ステップS03がYesの場合)、ステップS04において地金のテーブルを用いて地金研削条件及び研削工具22の往復回数などが決定される。そして、ステップS04で決定された条件で地金が研削される(ステップS05)。その後、地金の研削が終了したら(ステップS06がYes)、研削完了となる。
ここで、ステップS02の黒皮研削の手順の詳細は以下のとおりである。図5に示すように、まず黒皮の研削開始前に、黒皮材のテーブル及び目標研削深さ(「A」)に基づいて、初期条件(条件A、往復回数Nなど)が設定される(ステップS021)。そして、ステップS021で設定した条件で黒皮の研削を開始し、研削回数が所定回数(k回目)のとき(ステップS022)にカメラ23によって研削火花が測定される(ステップS023)。その後、ステップS023の測定で得られた撮像画像を画像処理装置33によって画像処理し、火花量と火花特徴の定量的抽出が行われる(ステップS024)。画像処理装置33による画像処理方法については後で詳述する。その後、ステップS025において、火花量が閾値(火花量閾値)以上か否かを判定する。そして、火花量が閾値未満の場合(ステップS025がNo)は、黒皮を研削できていないと判定し、黒皮研削パラメータを変更して再研削を行う。一方、火花量が閾値以上の場合(ステップS025がYes)は研削できていると判定し、ステップS026において火花の破裂量が閾値(破裂量閾値)以上か否かを判定する。そして、破裂量が閾値以上の場合(ステップS026がYes)は、研削工具22が黒皮を研削していると判定し、研削回数(k回)が初期条件として設定した往復回数(N回)であるか否か(N=k?)を判定する(ステップS027)。そして、研削回数が初期条件として設定した往復回数である場合(ステップS027がYes)は、黒皮の研削が完了となる。一方、研削回数が初期条件として設定した往復回数でない場合(ステップS027がNo)は、kにk+1を代入してステップS022へ戻り、ステップS022以降の手順を繰り返す。また、ステップS026において、破裂量が閾値未満である場合(ステップS026がNo)は、研削工具22が地金を研削していると判定し、所定回数(k回)の黒皮研削での研削深さを計算した後(ステップS028)、黒皮の研削が完了となる。
ここで、ステップS05の地金研削の手順の詳細は以下のとおりである。図6に示すように、まず地金の研削開始前に、地金のテーブル及びステップS028で計算された研削深さなどから算出された目標研削深さに基づいて、初期条件(条件A、往復回数Mなど)が設定される(ステップS051)。ここで、ステップS051の研削条件の算出に用いられる「地金研削での目標研削深さ」は、具体的に述べると、最初に設定された目標研削深さ(「B」)から黒皮研削において研削された分(「C」)を減算することで得られる。この計算によって、黒皮のスケール厚の個体差に関わらず、地金を研削する深さ(残りの研削深さ)を正確に求めることが可能である。
そして、ステップS051で設定した条件で地金の研削を開始し、研削回数が所定回数(m回目)のとき(ステップS052)にカメラ23によって研削火花が測定される(ステップS053)。その後、ステップS053の測定で得られた撮像画像を画像処理装置33によって画像処理し、火花量と火花特徴の定量的抽出が行われる(ステップS054)。その後、ステップS055において、火花量が閾値(火花量閾値)以上か否かを判定する。そして、火花量が閾値未満の場合(ステップS055がNo)は、地金を研削できていないと判定し、研削回数としてカウントせずに(ノーカウント)、ステップS052に戻り、ステップS052以降の手順を繰り返す。一方、火花量が閾値以上の場合(ステップS055がYes)は研削できていると判定し、ステップS056において火花の破裂量が閾値(破裂量閾値)以上か否かを判定する。そして、破裂量が閾値以上の場合(ステップS056がYes)は、研削工具22が地金ではなく黒皮を研削していると判定し、所定回数(m回)の黒皮研削での研削深さを計算した後(ステップS057)、地金研削での目標研削深さを改めて算出し、ステップS051に戻って、ステップS051以降の手順を繰り返す。一方、ステップS056において、破裂量が閾値未満である場合(ステップS056がNo)は、研削工具22が地金を研削していると判定し(ステップS058)、研削回数(m回)がステップS051で研削条件として設定した往復回数(M回)であるか否か(m=M?)を判定する(ステップS059)。そして、研削回数がM回である場合(ステップS059がYes)は、地金の研削が完了となる。一方、研削回数がM回でない場合(ステップS059がNo)は、mにm+1を代入してステップS052へ戻り、ステップS052以降の手順を繰り返す。
上記研削シーケンスにおいて、目標研削深さと研削条件の関係については、黒皮研削と地金研削の場合のそれぞれに対して表1、表2に示すテーブルが用いられる。これらのテーブルは中央制御装置(例えばホストコンピュータ13)に予め記憶されている。ここで、研削ができているか否かの指標としての火花量(図5のステップS025及び図6のS055)は、以下の画像処理方法により二値化を行い、撮像画像のうち研削火花に対する黒色画素の割合である研削火花率を用いることができる。ここで、黒皮又は地金を研削中であるか、研削工具22が被研削材を擦っているだけで研削していないか、を判定するために用いられる火花量閾値は、一例として0.05を用いることができる。また、黒皮研削状態か地金研削状態かの指標としての破裂量(図5のステップS026及び図6のS056)は、研削火花の本数に対する破裂の数の割合である破裂密度を用いることができる。ここで、黒皮研削状態か、地金研削状態か、を判定するために用いられる破裂量閾値は、一例として0.25を用いることができる。
ここで、黒皮研削状態か地金研削状態かを判定する際には、破裂密度(破裂部の密度)から被研削材の表面の酸素含有量を推定し、推定した酸素含有量から被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する構成としてよい。すなわち、地金の酸素含有量がおおよそ0.1%未満であるのに対し、黒皮の酸素含有量はおおよそ10%以上と明確に異なる。また、破裂密度は、酸素含有量によって数値が大きく異なる。このため、例えば酸素含有量が10%の場合の破裂量を閾値(破裂量閾値)に設定する。破裂量が閾値以上である場合は被研削材の表面の酸素含有量が10%以上であるため、「表面状態が黒皮である」と判定することができる。一方、破裂密度が閾値未満である場合は被研削材の表面の酸素含有量が10%未満であるため、「表面状態が地金である」と判定することができる。
本実施形態における画像処理は以下のとおりである。カメラ23から得られた火花を含む画像はまず、二値化を行い、火花画像(火花が含まれる領域)を抽出した。それぞれのピクセル毎に各ピクセルの上下左右に隣接するピクセルの領域(十字の領域)内で中心画素以外の平均輝度値から中心画素の輝度値を引き、その値がある閾値より大きいとき、そのピクセルを黒とした。こうすることで、火花が点在している部分が暗く映ってしまい、密集しているところが明るく映ってしまうという、場所毎の輝度影響を除いて二値化を行った。次にいくつか用意した短直線サンプルでマッチングし、火花画像の流線をサンプル短直線の組み合わせで表現することによって、火花の総量と火花の流線の角度及び長さが定量的に求められた。ある領域において所定数以上の短直線が密集した場合、これが破裂部として抽出される。
被研削材(鋼材)の研削において、研削工具が被研削材の表面に押し付けられると、カメラ23が研削工具と被研削材の表面の接触部分から発生する火花を検出し、画像処理装置33によって研削状態が判定される。研削深さと研削条件の関係を黒皮研削と地金研削の場合においてテーブルとして記憶しておき、判定された研削状態とそれまでの研削の往復回数から、黒皮研削時と地金研削時の研削量(研削深さ)が算出される。被研削材の表面状態に応じて研削条件を適切に設定し、研削量(研削深さ)を調整することで、研削量のバラツキを抑えることが可能である。
ここで、テーブル作成時(事前実験)と研削中との火花量及び火花特徴を比較することで、被研削材の個体差(例えば炭素含有量のC%)による影響を考慮することができる。火花特徴は例えば火花の破裂密度である。また、研削条件と、研削終了時の研削深さの実績と、火花量及び火花特徴と、をデータベースに蓄積していくことによって、研削中の火花量及び火花特徴に基づいて、事前情報では得られない被研削材の個体差による影響を加味した研削条件を設定することができる。このような研削条件の設定にはAI技術を利用することも可能である。さらに、例えば画像処理装置33としてAIを用い、AIによって画像判定が行われる構成としてよい。その場合、研削状態に応じた画像データ、破裂部に相当する画像データなどを教師データとして予めAIに学習させておくことで、カメラで撮像した画像をAIによって画像処理し表面状態を判定することができる。画像処理装置33は、撮像した画像を画像処理する画像処理工程、画像処理した画像から少なくとも研削工具が研削している被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する表面状態判定工程などにおいて、AI技術を利用してよい。
実施態様としては、画像処理装置33、研削工具22の押付荷重及び送りを与えるアクチュエータを管轄する中央制御装置の制御ロジックに、図4、図5及び図6に示すフローチャート(被研削材の表面状態判定方法)を実装することが考えられる。ただし、上記のフローチャートは一例であり、上記の例に限るものではない。また、上記のカメラ23と、上記の画像処理と表面状態判定とを実行する画像処理装置33と、を備える、被研削材の表面状態判定装置が構成されてよい。また、金属材の製造方法において、上記の研削装置が製造ラインに組み込まれて黒皮を研削してよい。
また、上記において、鋼材10を例に被研削材としての黒皮付き金属材を説明したが、鋼材10以外にも黒皮、すなわち表面に酸化被膜が生じ易い炭素を含む種々の金属材に適用することが可能である。
直径200mm、幅75mmの砥石(研削工具の一例)を用い、ある研削条件で黒皮付き鋼材と酸洗材(黒皮を除去した鋼材)をそれぞれ所定の往復回数で研削した際の研削深さは図9のとおりであった。図9の事前実験に基づいて得られたテーブル(上記の表1及び表2)を用いて、図4、図5及び図6のフローチャートに従う被研削材の研削方法を実行することによって、ターゲットである研削深さ0.8mmに対して、スケール厚の個体差に関わらず、複数の黒皮付き鋼材を誤差200マイクロメートルの範囲内で研削することができた。
また、上記の二値化などの画像処理が実行された。本実施例において、グラインダ(研削工具22)が被研削材と接触する研削点から所定の距離(本例では150mm)に所定の視野幅・被写界深度を有する撮像ラインが設定された。
定直線を通る火花の本数がx本、定直線のピクセル数がnピクセルであるとする。二値化処理を行う際に、細線化処理を行い、すべての火花の太さが1ピクセルとなるように黒画素を外側から削り、線幅が1ピクセルになったらそれ以上削らない処理を行った。ここで研削火花率は、定直線を通る火花の本数(x)/定直線の長さであるピクセル数(n)で定められる。
また、本実施例では、定直線上の火花一本一本に対し、近隣の範囲を順に探索、短直線をマッチングした。
ここで、短直線は、太さが1ピクセルで角度が10°~360°(10°毎)の12ピクセル×12ピクセルのパターンである。図8のように、任意の画像範囲(本実施例では12ピクセル×12ピクセル)において短直線が所定数以上(本例では3本以上)密集している箇所を破裂部とした。短直線の長さ、太さ、パターンサイズはこの例に限定されない。また、画像範囲のサイズ及び破裂部を判定するための短直線の所定数はこの例に限定されない。
図9は、研削試行毎に、研削火花率と研削結果である研削深さを、超音波厚み計を用いて計測したものである。プロット時に、研削時に地金まで研削できたか(〇)、黒皮が残ってしまったか(△)、黒皮表面での摩擦に留まり研削できなかったか(×)が目視で判断されて、対応する記号が書き加えられている。研削火花率が0.05を超えたあたりで研削深さが0でなくなり、地金まで研削可能であった。本実施例において、火花量閾値は0.05とされた。
図12は、研削試行毎に、画像処理にて得られた破裂密度に対して、鋼材の酸素含有量(O%)をプロットしたものである。被研削材である鋼材の成分はミルシート又は別途実施した成分分析試験から取得された。被研削材の黒皮部分については、黒皮の層の厚みが数μm~数十μm程度であるものもあり、直接的に成分分析で求めることが困難であった一部について計算値又は文献値が使用されている。それぞれの研削試行について、地金研削時のものか黒皮研削時のものかが目視で確認された。
図12に示すように、黒皮研削時(酸素含有量10%以上)と地金研削時(酸素含有量0.1%未満)とでは、破裂密度の多寡に一定のバラツキがあるものの、鋼材の酸素含有量毎にまとまりがあった。被研削材である鋼板の酸素含有量は、黒皮と地金とで3桁程度異なるが、破裂密度の多寡にも有意な差が見られた。具体的には、地金研削時のものか黒皮研削時のものかによって、0.25を境界として破裂密度は大きく異なることが分かった。本実施例において、破裂量閾値は0.25に設定された。
これらのテーブル及び閾値を用いて、図4、図5及び図6のフローチャートに従う被研削材の研削方法が実行された。その結果、上記のように、ターゲットである研削深さ0.8mmに対して、スケール厚の個体差に関わらず、複数の黒皮付き鋼材を誤差200マイクロメートルの範囲内で研削することができた。
以上のように、本実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法、被研削材の表面状態判定装置、研削装置300、被研削材の研削方法及び金属材の製造方法は、上記の構成及び工程によって、黒皮を研削中であるか地金を研削中であるかを含む被研削材の状態を判定する。そして、判定に応じて、黒皮を研削中の場合には黒皮材のテーブルを用いた黒皮研削条件に従って、地金を研削中の場合には地金のテーブルを用いた地金研削条件に従って、研削を実行する。そのため、黒皮の厚みなどの個体差に関わらず、被研削材の表面状態に合わせた適切な研削条件を自動で決定でき、高精度に研削深さを制御することが可能である。
上記のように、本実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法などでは、研削火花の画像から画像処理によって火花量などを定量的に抽出でき、定量的に抽出された火花量などから、黒皮を研削中であるか、地金を研削中であるか、研削工具22が黒皮を擦っているだけで研削していないか、といった研削状態を精度よく判定できる。また、図10は、研削試行毎に、画像処理にて得られた破裂密度に対して、鋼材の炭素含有量(C%)をプロットしたものである。鋼材のC%が高いほど破裂密度が大きくなること(図10参照)を考慮することで、被研削材の鋼材のC%に応じて、研削状態を判定する閾値を適切に設定することができ、表面状態(研削状態)をより精度よく判定することが可能である。また、図11は、研削試行毎に、画像処理にて得られた破裂密度に対して、湿度をプロットしたものである。研削時の湿度が高いほど破裂密度が小さくなること(図11参照)を考慮することで、研削時の湿度に応じて、研削状態を判定する閾値を適切に設定することができ、表面状態(研削状態)をより精度よく判定することが可能である。
また、本実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法などでは、上記のように被研削材の表面状態に合わせた適切な研削条件が自動で決定されるため、研削加工を短時間で実行することが可能になる。
次に、上記の実施例について、研削火花を活用して被研削材の表面状態が「黒皮であるか地金であるか」を判別し、その表面状態に応じて研削条件の変更を行った。まず、直径200mm、幅75mmの砥石を用い、研削条件変更前のある研削条件で黒皮付き鋼材を所定の往復回数で研削した際の研削深さは図13のとおりであった。それぞれの試行は36回ずつ行われ、その平均値及び±3σの範囲をエラーバーで表現した。図13に示されるように、研削量のバラつきが見られる。
通常、最初の何往復かで黒皮の研削が完了して地金の研削に移行するが、各試行の対象材が黒皮付き鋼材であることから、1~2往復の場合と同様に、複数の往復回数でも表層の黒皮の厚みの個体差が研削量にバラツキが残る原因と考えられる。
図13の黒皮付き鋼材の所定往復回数毎の平均値は、概ね往復回数毎に増加している傾向がある。黒皮の層の厚さ薄さの個体差が、同一条件での研削量のバラツキに寄与している可能性を考え、図4、図5及び図6のフローチャートに従う被研削材の研削方法が実行された。
ここで、表1、表2で示されるような研削条件と研削深さの関係に基づいて、被研削材が黒皮又は地金であると判定された際のそれぞれの1往復毎の研削深さが等しくなるように、黒皮研削時、地金研削時の研削条件がそれぞれ設定されてよい。このような設定によって、被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかの判別に応じて研削条件(研削パラメータ)を使い分けることで、単位時間1往復毎の研削量が等しくなるように調整される。
直径200mm、幅75mmの砥石を用いて、上記の通り、被研削材が黒皮又は地金であると判定された際のそれぞれの1往復毎の研削深さが等しくなるように、黒皮研削時、地金研削時の研削条件がそれぞれ設定(変更)された。この場合において、特に地金研削時に図13の研削条件と同等になるように設定したところ、黒皮付き鋼材を所定の往復回数で研削した際の研削深さは図14のとおりであった。それぞれの試行は36回ずつ行われ、その平均値及び±3σの範囲をエラーバーで表現した。
図14と図13のエラーバーの大小を比較すると、研削条件変更後の図14では、研削条件変更前の図13と比較して、被研削材の黒皮の層の厚みの個体差によらず、研削量を調整することができ、研削量のバラツキを抑えることができることが分かる。つまり、研削条件変更前の図13では研削量がバラついているところ、研削条件を適切に変更した後の図14では、黒皮又は地金に応じた研削が行われるため、研削量のバラツキが抑えられている。
上記のように、本実施形態に係る被研削材の表面状態判定方法などでは、被研削材の表面状態(黒皮を研削中であるか地金を研削中であるか)を判定し、表面状態に合わせた適切な研削条件を決定できるため、被研削材の黒皮の層の厚みの個体差によらず、研削量を調整することができ、研削量のバラツキを抑えることができる。
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行されるプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
10 鋼材(被研削材)
11 航法用送信機
12 航法用受信機
13 ホストコンピュータ
14 台車
15 走査アクチュエータ
16 上下スライドアクチュエータ
17 I/Oボード、
18 搭載コンピュータ
19 制御部
22 研削工具
23 カメラ
33 画像処理装置
100 研削システム
200 屋内位置測定システム
300 研削装置

Claims (10)

  1. 被研削材としての黒皮付き金属材を研削工具で研削する際に、カメラによって前記被研削材の表面と前記研削工具との接触により発生する研削火花を撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程で撮像した画像を画像処理する画像処理工程と、
    前記画像処理工程で画像処理した前記画像から、少なくとも前記研削工具が研削している前記被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する表面状態判定工程と、
    を有する、被研削材の表面状態判定方法。
  2. 前記表面状態判定工程は、
    前記画像から前記研削火花を含む研削火花領域を検出する火花検出工程と、
    前記火花検出工程で検出した研削火花領域から、研削火花の破裂部を検出する破裂部検出工程と、
    前記火花検出工程で検出した前記研削火花領域から、前記画像に含まれる複数の画素ラインのうち少なくとも1つの画素ラインについて、前記研削火花に対する破裂部の密度を算出する破裂密度算出工程と、
    前記破裂密度算出工程で算出した前記破裂部の密度が破裂量閾値以上である場合、前記研削工具が研削している前記被研削材の表面状態が黒皮であると判定し、破裂量閾値未満である場合、前記研削工具が研削している前記被研削材の表面状態が地金であると判定する、破裂密度判定工程と、
    を有する、請求項1に記載の被研削材の表面状態判定方法。
  3. 前記破裂密度判定工程では、前記破裂部の密度から前記被研削材の表面の酸素含有量を推定し、推定した酸素含有量から前記被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する、請求項2に記載の被研削材の表面状態判定方法。
  4. 前記表面状態判定工程は、
    前記火花検出工程で検出した前記研削火花領域から、前記画像に含まれる複数の画素ラインのうち少なくとも1つの画素ラインについて、前記研削火花の本数を算出する火花本数算出工程と、
    前記火花本数算出工程で算出した前記研削火花の本数が火花量閾値以上である場合、前記研削工具による前記被研削材の研削ができていると判定し、前記研削火花の本数が前記火花量閾値未満である場合、前記研削工具による前記被研削材の研削ができていないと判定する火花量判定工程と、
    をさらに有する、請求項2又は3に記載の被研削材の表面状態判定方法。
  5. 被研削材としての黒皮付き金属材を研削工具で研削する際に、前記被研削材の表面と前記研削工具との接触により発生する研削火花を撮像するカメラと、
    前記カメラで撮像した画像を画像処理し、画像処理した前記画像から、少なくとも前記研削工具が研削している前記被研削材の表面状態が黒皮であるか地金であるかを判定する画像処理装置と、
    を有する、被研削材の表面状態判定装置。
  6. 前記画像処理装置は、前記研削工具が黒皮又は地金の研削ができているか否かを、さらに判定する、請求項5に記載の被研削材の表面状態判定装置。
  7. 請求項5又は6に記載の被研削材の表面状態判定装置と、
    所与の周速で回転しながら前記被研削材の表面に接触することで前記被研削材を研削する研削工具と、
    前記研削工具を前記被研削材に所与の押付荷重で押し付ける上下スライドアクチュエータと、
    前記研削工具を前記被研削材の表面に沿って走査させる走査アクチュエータと、
    前記走査アクチュエータの走査、前記上下スライドアクチュエータの押付荷重及び前記研削工具の周速を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記画像処理装置が判定した前記被研削材の表面状態に基づいて、前記上下スライドアクチュエータ及び前記走査アクチュエータへの指令値を、予め用意した黒皮研削時の設定値又は地金研削時の設定値に設定する、
    研削装置。
  8. 前記研削工具を搭載し、前記被研削材の上を移動する台車をさらに有する、請求項7に記載の研削装置。
  9. 請求項8に記載の研削装置によって被研削材を研削する際に、位置測定手段からの情報に基づいて前記研削装置の自己位置を測定し、前記自己位置に基づいて前記研削装置を被研削材の上で移動させる、被研削材の研削方法。
  10. 請求項7又は8に記載の研削装置を用いて前記金属材の表面の黒皮を研削する、金属材の製造方法。
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