JP7354895B2 - 高分子組成物、キット、及び、物質吸着膜の形成方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
前記ディスペンサが、前記高分子組成物を吐出できるノズルと、前記ノズルと接続され、前記ノズルを通さずに前記高分子組成物を収納されることができる容器と、を備え、
前記高分子組成物の25℃における粘度が、1mPa・sec~8000mPa・secであり、
前記高分子組成物が、前記高分子化合物及び溶媒を含み、
前記溶媒が、1013hPaにおける沸点が110℃~250℃であり、且つ、20℃における蒸気圧が0.001kPa~1.0kPaである第一溶媒を含む、高分子組成物。
〔2〕 前記第一溶媒の1013hPaにおける沸点が、170℃~250℃であり、且つ、
前記第一溶媒の20℃における蒸気圧が、0.001kPa~0.5kPaである、〔1〕に記載の高分子組成物。
〔3〕 前記溶媒の総量100質量%に対する前記第一溶媒の量が、30質量%~100質量%である、〔1〕又は〔2〕に記載の高分子組成物。
〔4〕 前記高分子組成物100質量%に対する高分子化合物の量が、1質量%~70質量%である、〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の高分子組成物。
〔5〕 前記センサー素子が、匂い物質又はガス分子の検出用のセンサー素子である、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の高分子組成物。
〔6〕 前記ディスペンサが、エアパルス式ディスペンサまたはメカニカル式ディスペンサである、〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の高分子組成物。
〔7〕 前記ディスペンサが、エアパルス式ディスペンサである、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の高分子組成物。
〔8〕 前記ノズルの内径が、20μm~1000μmである、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の高分子組成物。
〔9〕 高分子化合物を含む物質吸着膜と、前記物質吸着膜を表面に備え前記物質吸着膜への物質の吸着によって生じる物理パラメータの変化を検出できるトランスデューサ部と、を備えるセンサー素子の前記物質吸着膜を、ディスペンサを用いて形成するためのキットであって、
前記ディスペンサが、容器を取り付けられることができる容器取付部と、前記容器取付部に取り付けられた前記容器と接続されることができるノズルと、を備え、
前記キットが、前記容器と、前記容器に前記ノズルを通さずに収納された〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の高分子組成物と、を備える、キット。
〔10〕 高分子化合物を含む物質吸着膜と、前記物質吸着膜を表面に備え前記物質吸着膜への物質の吸着によって生じる物理パラメータの変化を検出できるトランスデューサ部と、を備えるセンサ素子の、前記物質吸着膜の形成方法であって、
〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の高分子組成物を、ディスペンサを用いて、前記トランスデューサ部の表面に塗布する工程と、
塗布された高分子組成物を乾燥させる工程を含み、
前記ディスペンサが、前記高分子組成物を吐出できるノズルと、前記ノズルと接続され、前記ノズルを通さずに前記高分子組成物を収納された容器と、を備える、物質吸着膜の形成方法。
本発明の一実施形態に係る高分子組成物は、高分子化合物及び溶媒を含む。また、この高分子組成物は、所定の範囲の粘度を有する。さらに、溶媒は、所定の範囲の沸点を有し且つ所定の範囲の蒸気圧を有する第一溶媒を含む。
以下の説明では、ディスペンサが備える前記の容器を、適宜「収納容器」と呼ぶことがある。また、以下の説明では、前記のノズル及び収納容器を備えるディスペンサを、適宜「非吸引型ディスペンサ」と呼ぶことがある。
高分子化合物としては、無機化合物を用いてもよいが、有機化合物を用いることが好ましい。高分子化合物としては、適切な繰り返し単位を有する規則性の高い高分子化合物が好ましい。このような高分子化合物を用いた場合、センサー素子によって検出したい物質(以下、適宜「目的物質」ということがある。)の適切な検出が可能な物質吸着膜を得やすい。
高分子化合物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
溶媒は、所定の範囲の沸点を有し且つ所定の範囲の蒸気圧を有する第一溶媒を含む。
第一溶媒としては、例えば、n-ヘプタノール(176℃、0.0015kPa)、ジメチルスルホキシド(189℃、0.059kPa)、デカヒドロナフタレン(190℃、0.13kPa)、安息香酸メチル(200℃、0.05kPa)、N-メチルピロリドン(202℃、0.032kPa)、γ-ブチロラクトン(204℃、0.15kPa)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(207℃、0.034kPa)、カルビトールアセテート(218℃、0.0056)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(220℃、0.2kPa)、ブチルカルビトール(230℃、0.003kPa)、安息香酸プロピル(230℃、0.0181kPa)、ジエチレングリコール(245℃、0.007kPa)、4-tert-ブチル安息香酸メチル(247℃、0.0019kPa)、ブチルカルビトールアセテート(247℃、0.0053kPa)、1-ブタノール(119℃、0.7kPa)、2-ペンタノール(119℃、0.8kPa)、メチルセロソルブ(125℃、0.8kPa)、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(146℃、0.5kPa)、乳酸エチル(155℃、0.21kPa)、メチルアミルケトン(149℃、0.285kPa)、シクロヘキサノン(156℃、0.07kPa)、ジメチルアセトアミド(165℃、0.33kPa)、メシチレン(165℃、0.24kPa)、などが挙げられる。中でも、1013hPaにおける沸点が170℃~250℃、且つ、20℃における蒸気圧が0.001kPa~0.5kPaの条件を満たす、n-ヘプタノール、ジメチルスルホキシド、デカヒドロナフタレン、安息香酸メチル、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、カルビトールアセテート、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ブチルカルビトール、安息香酸プロピル、ジエチレングリコール、4-tert-ブチル安息香酸メチル、ブチルカルビトールアセテートが好ましく、特にn-ヘプタノール、デカヒドロナフタレン、γーブチロラクトン、カルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートが好ましい。また、第一溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
高分子組成物は、上述した高分子化合物及び溶媒に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
高分子組成物の25℃における粘度は、通常1mPa・sec以上、好ましくは2mPa・sec以上であり、通常8000mPa・sec以下、好ましくは3000mPa・sec以下、より好ましくは1000mPa・sec以下である。高分子組成物が前記範囲の粘度を有することで、物質吸着膜の形成の再現性、及び測定再現性を良好にできる。
高分子組成物は、例えば、高分子化合物及び溶媒、並びに、必要に応じて任意の成分を混合して製造できる。各成分の混合の順番は、任意である。また、高分子化合物の溶媒への溶解又は分散を促進するため、撹拌処理、熱処理等の任意の処理を施してもよい。
上述した高分子組成物は、センサー素子の物質吸着膜の形成用の組成物である。この高分子組成物は、トランスデューサ部の表面に物質吸着膜を形成する形成方法において用いられる。この形成方法によれば、センサー素子を得ることができる。以下、この高分子組成物を用いた物質吸着膜の形成方法の一実施形態を説明する。
トランスデューサ部として、通常は、当該トランスデューサ部の表面に形成された物質吸着膜への物質の吸着によってその物質吸着膜が生じる物理パラメータの変化を検出できる素子を用いる。前記の物理パラメータは、特に制限は無く、例えば、表面応力、応力、表面張力、圧力、質量、弾性、ヤング率、ポアソン比、共振周波数、周波数、体積、厚み、粘度、密度、磁力、磁気量、磁場、磁束、磁束密度、電気抵抗、電気量、誘電率、電力、電界、電荷、電流、電圧、電位、移動度、静電エネルギー、キャパシタンス、インダクタンス、リアクタンス、サセプタンス、アドミッタンス、インピーダンス、コンダクタンス、プラズモン、屈折率、吸収波長、吸光度、光度、温度などが挙げられる。
トランスデューサ部を用意した後で、そのトランスデューサ部の表面に高分子組成物を塗布する工程を行う。高分子組成物の塗布は、非吸引型ディスペンサを用いて行われる。非吸引型ディスペンサは、収納容器及びノズルを備える。収納容器とノズルとは接続されていて、収納容器に収納された高分子組成物をノズルが吐出できる。また、非吸引型ディスペンサの収納容器は、ノズルを通さずに高分子組成物を収納できるように設けられている。収納容器への高分子組成物の収納方法は、ノズルを通さない任意の収納方法を採用しうる。
また、例えば、収納容器の内外に開口する管としての供給管を、ノズルとは別に設け、この供給管を通して収納容器に高分子組成物を収納してもよい。この供給管は、収納容器に高分子組成物を収納した後で、必要に応じて、塞いでもよく、除去してもよい。
収納容器への高分子組成物の収納は、収納容器とノズルとを接続する前に行ってもよく、後に行ってもよい。また、収納容器は、収納容器の外部の大気に開放されていない密閉容器であることが好ましい。
以下、接触式ディスペンサの収納容器としてのシリンジ及びノズルとしてのニードルを簡略化して示した図面を用いて、非吸引型ディスペンサを用いた高分子組成物の塗布について説明する。
トランスデューサ部の表面に高分子組成物を塗布する工程の後で、塗布された高分子組成物を乾燥させる工程を行う。乾燥により、トランスデューサ部の表面の高分子組成物から溶媒が除去されて、高分子化合物を含む物質吸着膜が形成される。これにより、トランスデューサ部及び物質吸着膜を備えるセンサー素子が得られる。
本実施形態に係る高分子組成物は、複数の物質吸着膜を形成する場合の再現性に優れる。よって、この利点を活用して、センサー素子上に、複数枚の物質吸着膜を形成することが好ましい。
上述した方法で形成される物質吸着膜を備えたセンサー素子は、物質吸着膜に吸着できる目的物質を検出するためのセンサー素子として用いうる。具体的には、物理吸着膜への目的物質の吸着によって生じる物理パラメータの変化を検出することにより、当該目的物質を検出するためのセンサー素子として用いうる。特に、前記のセンサー素子は、高い再現性で物質吸着膜が形成されるので、物理パラメータの変化への応答性に優れ、更に、物理パラメータの変化量の再現性(測定再現性)に優れる。したがって、目的物質を、一定の高い感度で検出することが可能である。そこで、このような利点を活用して、センサー素子は、匂い物質又はガス分子の検出用のセンサー素子として用いることが好ましい。
例えば、トランスデューサ部(図4では図示せず。)が圧電素子である場合、その圧電素子は、通常、物質吸着膜の物理パラメータの変化を、当該圧電素子の振動周波数の変化として検出できる。よって、素子装着部310は、この周波数の変化を取り出すために、圧電素子を振動させるために交流電圧を印加するための配線、圧電素子の振動周波数を測定するための周波数計、などを備えていてもよい。
また、例えば、トランスデューサ部が表面プラズモン共鳴素子である場合、表面プラズモン共鳴素子は、通常、物質吸着膜の物理パラメータの変化を、共鳴角の変化として検出できる。よって、素子装着部310は、この共鳴角の変化を取り出すために、表面プラズモン共鳴素子に光を照射するための光源、表面プラズモン共鳴素子での反射光を検出するための光検出器、などを備えていてもよい。
上述した高分子組成物は、通常、適切な容器に収納された状態で保存及び運搬される。非吸引型ディスペンサへの高分子組成物の供給を容易に行うためには、前記の容器として非吸引型ディスペンサに装着可能なシリンジ等の収納容器を採用することが好ましい。この場合、シリンジ等の収納容器と、この収納容器に収納された高分子組成物とを備えるキットを提供できる。収納容器には、通常、ノズルと接続されるよりも前に高分子組成物が収納されるので、その収納容器への高分子組成物の収納は、ノズルを通さずに行われうる。また、このキットにおいて、高分子組成物は、好ましくは品質維持等の観点から、密封されたシリンジ等の収納容器の内部に封入される。この際、シリンジ等の収納容器には、高分子化合物の種類及び量、溶媒の種類及び量、高分子組成物によって形成される物質吸着膜の適切な径及び厚み、その物質吸着膜が吸着可能な目的物質の種類、等の情報が記載されたラベルが設けられていてもよい。
高分子組成物の粘度は、E型粘度計を用い、温度25±2℃において測定した。E型粘度計としては、粘度0mPa・sec以上500mPa・sec以下では東機産業社製「RE-85U」(1°24×R24コーン)を用い、粘度500mPa・sec以上8000mPa・sec以下では東機産業社製「RE-80U」(3°×R9.7コーン)を用いた。回転数は、いずれも100rpmとした。
シリンジ(武蔵エンジニアリング社製、型番PSY-10E-M、容量10ml)、及び、このシリンジの先端に接続されたニードル(武蔵エンジニアリング社製、型番SNA-32GB、内径0.1mm、針長13mm)を備えるニードル付シリンジを用意した。シリンジの後端に形成された開口を通して、シリンジに高分子組成物を充填した。
更に、シリンジを5分間静置させた後、シリンジの静置前と同様の手順で、前記シリコン基板の異なる箇所に塗布を100回行った。
更に、シリンジを10分間静置させた後、シリンジの静置前と同様の手順で、前記シリコン基板の異なる箇所に塗布を100回行った。
その後、100℃で60min乾燥を行うことにより、シリコン基板上に複数の物質吸着膜を得た。顕微鏡(キーエンス社製「VK-X1100」)を用いて、レーザーコンフォーカルの形状測定モードにて各物質吸着膜を観察し、物質吸着膜それぞれの面積の平均値及び標準偏差を算出した。
前記[高分子組成物の塗布安定性の評価方法]と同じ方法により、シリンジの静置を行うことなく、シリコン基板上に高分子組成物の塗布を100回行い、その後乾燥を行って、シリコン基板上に複数の物質吸着膜を得た。顕微鏡(キーエンス社製「VK-X1100」)を用いて、レーザーコンフォーカルの形状測定モードにて各物質吸着膜を観察し、物質吸着膜それぞれの面積の平均値及び標準偏差を算出した。
(1-1.QCMセンサー素子上への物質吸着膜の形成)
シリンジ(武蔵エンジニアリング社製、型番PSY-10E-M、容量10ml)、及び、このシリンジの先端に接続されたニードル(武蔵エンジニアリング社製、型番SNA-32GB、内径0.1mm、針長13mm)を備えるニードル付シリンジを用意した。シリンジの後端に形成された開口を通して、シリンジに高分子組成物を充填し、ニードル付シリンジをエアパルス式ディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製の高精度ディスペンサ「SuperΣxIII」)に取り付けた。このディスペンサを用いて、QCM(日本電波工業社製「PSA-SL-30001T」)上に、高分子組成物を吐出することにより、高分子組成物の塗布を行った。その後、乾燥炉で100℃、60分間乾燥を行うことにより、径約400μmの物質吸着膜が形成されたQCMセンサー素子を得た。
前記QCMセンサー素子を、水晶振動子測定システム(日本電波工業社製「NAPiCOS Lite」)のチャンバー内に取り付け、下記の手順により、匂い物質の測定を行った。
匂い物質サンプル(リナロール:東京化成工業社製、純度96%以上)を、200ml三角フラスコに100ml注ぎ、ガラス管を2本挿入した。この時、一方のガラス管の端はサンプルの液面より下になるように挿入し、もう一方のガラス管の端はサンプルの液面より上になるように挿入した。このガラス管を、前記水晶振動子測定システムに接続した。水晶振動子測定システムのポンプを用いて、400ml・minで空気を流すことでバブリングを行い、サンプルガス(揮発したリナロールを含む空気)を発生させた。このサンプルガスとエアーとを、前記水晶振動子測定システムのチャンバー内に180秒毎に切り替えて供給した。エアーが供給されている期間には、チャンバーにエアーが導入され、チャンバー内のサンプルガスが取り除かれた。また、サンプルガスが供給されている期間では、チャンバー内にサンプルガスが導入された。前記一連のエアー及びサンプルガスの導入を、QCMセンサー素子の周波数を測定しながら行った。この時、エアーを流している際の周波数からサンプルガスに切り替えた際の周波数変化量を測定した。
ポリビニルブチラール樹脂(PVB;積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度85mPa・secの高分子組成物が得られるように、n-ヘプタノールに溶解させて、高分子組成物を調製した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
シリコーン樹脂(信越化学工業社製「KR―216」)を、粘度72mPa・secの高分子組成物が得られるように、デカヒドロナフタレンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度34mPa・secの高分子組成物が得られるように、γ―ブチロラクトンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度316mPa・secの高分子組成物が得られるように、ブチルカルビトールに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度307mPa・secの高分子組成物が得られるように、ブチルカルビトールアセテートに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度3.6mPa・secの高分子組成物が得られるように、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)に溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度7980mPa・secの高分子組成物が得られるように、カルビトールアセテートに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度31mPa・secの高分子組成物が得られるように、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)に溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度30mPa・secの高分子組成物が得られるように、シクロヘキサノンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
COP樹脂(ポリプラスチックス社製のシクロオレフィンポリマー「トーパス 6013S-C4」)を、粘度11mPa・secの高分子組成物が得られるように、1,3,5-トリメチルベンゼンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度44mPa・secの高分子組成物が得られるように、乳酸エチルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリアクリル酸(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;181285)を、粘度13mPa・secの高分子組成物が得られるように、1-ブタノールに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度6mPa・secの高分子組成物が得られるように、アセトンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度6mPa・secの高分子組成物が得られるように、メタノールに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度13mPa・secの高分子組成物が得られるように、エタノールに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度4mPa・secの高分子組成物が得られるように、メチルエチルケトン(MEK)に溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ウレタン樹脂(大成ファインケミカル社製「PU―1020」)を、粘度15mPa・secの高分子組成物が得られるように、シクロヘキサンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリアクリル酸(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;181285)を、粘度11mPa・secの高分子組成物が得られるように、イソプロパノール(IPA)に溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
フェノール樹脂(日本化薬社製「KAYAHARD 「GPH―65」)を、粘度3mPa・secの高分子組成物が得られるように、アセトニトリルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリスチレン(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;331651)を、粘度26mPa・secの高分子組成物が得られるように、酢酸イソプロピルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度5mPa・secの高分子組成物が得られるように、メチルイソプロピルケトン(MIPK)に溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度23mPa・secの高分子組成物が得られるように、1―プロパノールに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度32mPa・secの高分子組成物が得られるように、2-ブタノールに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度8mPa・secの高分子組成物が得られるように、プロピオン酸エチルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリアクリル酸(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;181285)を、粘度4mPa・secの高分子組成物が得られるように、水に溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度27mPa・secの高分子組成物が得られるように、1,4―ジオキサンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度5mPa・secの高分子組成物が得られるように、ジエチルケトンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度9mPa・secの高分子組成物が得られるように、酢酸プロピルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度9mPa・secの高分子組成物が得られるように、ギ酸ブチルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリスチレン(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;331651)を、粘度42mPa・secの高分子組成物が得られるように、トルエンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリスチレン(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;331651)を、粘度389mPa・secの高分子組成物が得られるように、1-エチルナフタレンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「KS-3」)を、粘度156mPa・secの高分子組成物が得られるように、ジベンジルエーテルに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
ポリスチレン(シグマアルドリッチジャパン社製、製品番号;331651)を、粘度870mPa・secの高分子組成物が得られるように、1-メトキシナフタレンに溶解させて、高分子組成物を調整した。得られた高分子組成物を用いて、上述した方法により、塗布安定性、塗布再現性及び匂い測定再現性の評価を行った。
実施例1~12及び比較例1~21の結果を、表1及び表2に示す。表中、「未実施」は、5分及び10分で判定が〇のため、評価を省略し、実施しなかったことを示す。また、表中「-」は、高分子組成物が吐出されず評価または判定が不可能であったことを示す。さらに、表中、「CV」は変動係数を表す。
表1から分かるように、所定の範囲の沸点及び蒸気圧を有する第一溶媒を含み、且つ、所定の範囲の粘度を有する高分子組成物を用いた実施例1~12は、物質吸着膜の形成の再現性、及び匂い物質の測定再現性に優れていた。さらに、実施例1~5、7は、塗布安定性にも優れていた。
他方、沸点及び蒸気圧のいずれかが上記範囲外となる溶媒を使用した高分子組成物は、比較例1~18のように、物質吸着膜の形状の再現性、匂い物質の測定再現性及び塗布安定性が悪いか、比較例19~21のように、匂い物質の測定再現性が高い物質吸着膜の形成ができなかった。
20 サンプルガス
100 ディスペンサ
110 シリンジ
120 ニードル
200 センサー素子
210 トランスデューサ部
220 物質吸着膜
300 センサー装置
310 素子装着部
320 出力部
Claims (10)
- 高分子化合物を含む物質吸着膜と、前記物質吸着膜を表面に備え前記物質吸着膜への物質の吸着によって生じる物理パラメータの変化を検出できるトランスデューサ部と、を備えるセンサー素子の前記物質吸着膜を形成するために、ディスペンサを用いて前記トランスデューサ部に塗布されるための高分子組成物であって、
前記ディスペンサが、前記高分子組成物を吐出できるノズルと、前記ノズルと接続され、前記ノズルを通さずに前記高分子組成物を収納されることができる容器と、を備え、
前記高分子組成物の25℃における粘度が、1mPa・sec~8000mPa・secであり、
前記高分子組成物が、前記高分子化合物及び溶媒を含み、
前記溶媒が、1013hPaにおける沸点が110℃~250℃であり、且つ、20℃における蒸気圧が0.001kPa~1.0kPaである第一溶媒を含み、
前記第一溶媒が、n-ヘプタノール、デカヒドロナフタレン、γ-ブチロラクトン、カルビトールアセテート、ブチルカルビトール及びブチルカルビトールアセテートからなる群より選ばれる1種類以上を含む、高分子組成物。 - 前記第一溶媒の1013hPaにおける沸点が、170℃~250℃であり、且つ、
前記第一溶媒の20℃における蒸気圧が、0.001kPa~0.5kPaである、請求項1に記載の高分子組成物。 - 前記溶媒の総量100質量%に対する前記第一溶媒の量が、30質量%~100質量%である、請求項1又は2に記載の高分子組成物。
- 前記高分子組成物100質量%に対する高分子化合物の量が、1質量%~70質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の高分子組成物。
- 前記センサー素子が、匂い物質又はガス分子の検出用のセンサー素子である、請求項1~4のいずれか一項に記載の高分子組成物。
- 前記ディスペンサが、エアパルス式ディスペンサまたはメカニカル式ディスペンサである、請求項1~5のいずれか一項に記載の高分子組成物。
- 前記ディスペンサが、エアパルス式ディスペンサである、請求項1~6のいずれか一項に記載の高分子組成物。
- 前記ノズルの内径が、20μm~1000μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の高分子組成物。
- 高分子化合物を含む物質吸着膜と、前記物質吸着膜を表面に備え前記物質吸着膜への物質の吸着によって生じる物理パラメータの変化を検出できるトランスデューサ部と、を備えるセンサー素子の前記物質吸着膜を、ディスペンサを用いて形成するためのキットであって、
前記ディスペンサが、容器と接続されて高分子組成物を吐出できるノズルを備え、
前記キットが、前記容器と、前記容器に前記ノズルを通さずに収納された請求項1~8のいずれか1項に記載の高分子組成物と、を備える、キット。 - 高分子化合物を含む物質吸着膜と、前記物質吸着膜を表面に備え前記物質吸着膜への物質の吸着によって生じる物理パラメータの変化を検出できるトランスデューサ部と、を備えるセンサ素子の、前記物質吸着膜の形成方法であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の高分子組成物を、ディスペンサを用いて、前記トランスデューサ部の表面に塗布する工程と、
塗布された高分子組成物を乾燥させる工程を含み、
前記ディスペンサが、前記高分子組成物を吐出できるノズルと、前記ノズルと接続され、前記ノズルを通さずに前記高分子組成物を収納された容器と、を備える、物質吸着膜の形成方法。
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