JP7354480B1 - レーザー光透過側成形品用樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、ポリカーボネート樹脂やポリスチレン樹脂又はポリアミド樹脂等に比べて、レーザー光透過性が低くレーザー溶着に適していない。そこで、ポリアルキレンテレフタレート樹脂をレーザー溶着に適応させるための技術として、ポリブチレンテレフタレート樹脂にポリカーボネート樹脂又はスチレン系樹脂を配合してアロイ化する方法等がある(例えば、特許文献1)。
さらに、ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、湿熱環境下で長時間使用されると加水分解を起こしやすい。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の耐加水分解性を高める技術として、樹脂組成物にエポキシ樹脂やカルボジイミド化合物を添加する方法がある。例えば、特許文献2には、熱可塑性ポリエステル系樹脂と所定量かつ所定の組成を有する染料と所定量のカルボジイミド化合物とを含むレーザー溶着用樹脂組成物が記載されている。
本発明者は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂に、ポリカーボネート樹脂、カルボジイミド化合物及び無機リン化合物を配合することで、樹脂組成物の熱安定性、成形品のレーザー光透過性、及びレーザー溶着品におけるレーザー溶着部分の耐加水分解性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の別の課題は、樹脂組成物成形品のレーザー光透過性を向上させる方法を提供することにある。
[1]ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部と、ポリカーボネート樹脂(B)10~100質量部と、カルボジイミド化合物(C)0.1~3質量部と、無機充填剤(D)0~100質量部と、無機リン化合物(E)と、を含む、レーザー光透過側成形品用樹脂組成物。
[2]JIS K7121に基づき、示差走査熱量測定により、50℃から昇温速度10℃/分で280℃まで昇温後、降温速度-10℃/分にて50℃まで降温する操作を3サイクル繰り返したときの、1サイクル目の結晶化温度と3サイクル目の結晶化温度との差が5℃以下である、「1]に記載の樹脂組成物。
[3]エポキシ樹脂(F)をさらに含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4][1]から[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、レーザー光透過側用成形品。
[5][1]から[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を含むレーザー光透過側成形品と、レーザー光吸収側成形品と、を含む複合成形品。
[6][1]から[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む第1の成形品の少なくとも一部と、ポリアルキレンテレフタレート樹脂及びレーザー光吸収剤を含む樹脂組成物を含む第2の成形品の少なくとも一部とを重ね合わせ、第1の成形品側からレーザー光を照射して第1の成形品の少なくとも一部と第2の成形品の少なくとも一部とを溶着する、複合成形品の製造方法。
[7]樹脂組成物成形品のレーザー光透過性を向上させる方法であり、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部、ポリカーボネート樹脂(B)10~100質量部、無機充填剤(D)0~100質量部、及び無機リン化合物(E)を含む樹脂組成物に、カルボジイミド化合物(C)を0.1~3質量部配合することを含む、方法。
本実施形態に係るレーザー光透過側成形品用樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部と、ポリカーボネート樹脂(B)10~100質量部と、カルボジイミド化合物(C)0.1~3質量部と、無機充填剤(D)0~100質量部と、無機リン化合物(E)と、を含む。
「レーザー光透過側成形品用」とは、レーザー溶着用の成形品のうち、レーザー光透過側に用いられる成形品の製造に用いられることを意味している。
ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)は、ジカルボン酸化合物及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオール化合物及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジオール成分との反応により得られる熱可塑性ポリエステル樹脂のうち、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、ジオール成分としてアルキレングリコール及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするものである。
樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(B)を、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して10~100質量部含む。ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)に、ポリカーボネート樹脂(B)を配合し、さらに後述するカルボジイミド化合物(C)を添加することによって、樹脂組成物の滞留時の熱安定性、成形品のレーザー光透過率、及びレーザー溶着成形品の溶着部の耐加水分解性を高めることができることが分かった。
一実施形態において、樹脂組成物中の熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂から選択される少なくとも1つのポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)、並びにポリカーボネート樹脂(B)のみからなり得る。一実施形態において、樹脂組成物中の熱可塑性樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂であるポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)及びポリカーボネート樹脂(B)のみからなり得る。
樹脂組成物は、カルボジイミド化合物(C)を、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0.1~3質量部含む。ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とのアロイ材を用いたレーザー溶着用樹脂組成物において、カルボジイミド化合物(C)を添加することによって、溶融時の熱安定性の向上効果、成形品のレーザー光透過率の向上効果、及びレーザー溶着部の耐加水分解性の向上効果が確認された。
また、無機リン化合物を含むと成形品のレーザー光透過率が低下することがあるが、カルボジイミド化合物(C)を含むことにより、無機リン化合物を含む場合でも成形品のレーザー光透過率を向上させることができる。さらに、着色剤を含む場合は成形品のレーザー光透過率が低下する傾向にあるが、カルボジイミド化合物(C)を含むことにより、着色剤を含む樹脂組成物においても、カルボジイミド化合物(C)を含まない成形品に比べてレーザー光透過率をさせることができる。
図1,2に、樹脂組成物中のポリカーボネート樹脂(B)の分散状態を確認するための走査電子顕微鏡写真(10,000倍)を示す。図1は、実施例2の成形品サンプルを、室温で有機溶媒(クロロホルム)中に浸漬させてポリカーボネート樹脂(B)を抽出した後、真空乾燥し、その後、成形品の破断面を、スパッタリング処理して走査電子顕微鏡(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、製品名「Phenom Pro X」)で観察した写真である。図2は、比較例2の樹脂組成物を用いて同様の操作をした後、走査電子顕微鏡で観察した写真である。図1,2において黒い影として観察される部分は、ポリカーボネート樹脂(B)が存在していた箇所を示している。
図1に示すように、実施例2の樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(B)は、小さい粒状となって均一に分散している。図1の視野において、黒い影として観察される部分の最大径(最大の直線距離)は500nm程度であり、レーザー光の波長(940nm)よりも短い。図2に示すように、比較例2の樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂(B)は、線状又は粒状に凝集しており、かつ分散状態は不均一になっている。
中でも、成形品のレーザー光透過率をより向上できる点で、芳香族カルボジイミド化合物を含有することが好ましい。
樹脂組成物は、得られる成形品の機械的物性を向上させる目的で、無機充填剤(D)を含んでいてもよい。無機充填剤(D)としては、繊維状充填剤、板状充填剤、又は粉粒状充填剤が挙げられる。
繊維状充填剤としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、アルミニウムシリケート繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、ウィスカー(アルミナ、窒化珪素等のウィスカー)等の無機質繊維;脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル等のアクリル樹脂、レーヨン等で形成された繊維等の有機質繊維が挙げられる。板状充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、ガラスフレーク等が挙げられる。
粉粒状充填剤としては、例えば、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバー等)、ウォラストナイト(珪灰石)等が挙げられる。なお、ウォラストナイトは、板状、柱状、繊維状等の形態であってもよい。無機充填剤(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらののうち、安価であり入手しやすいこと等から、無機充填剤(D)はガラス繊維を含むことが好ましい。
なお、繊維状充填剤の平均径及び平均繊維長、並びに板状又は粉粒状充填剤の平均一次粒子径は、樹脂組成物中に配合される前の繊維状充填剤、板状又は粉粒状充填剤について、CCDカメラで撮影した画像を解析し、加重平均により算出した値であり、例えば、株式会社セイシン企業製、製品名「動的画像解析法/粒子(状態)分析計PITA-3」等を用いて算出することができる。
樹脂組成物は、無機リン化合物(E)を含む。ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)にポリカーボネート樹脂(B)及びカルボジイミド化合物(C)を配合した樹脂組成物において、無機リン化合物(E)をさらに含むことにより、樹脂組成物の滞留時の熱安定性をさらに高めることができる。
一実施形態において、無機リン化合物(E)は、第一リン酸カルシウム(Ca(H2PO4)2)を含むことが好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物は、無機リン化合物(E)のみからなるリン系化合物を含むことが好ましい。
樹脂組成物は、樹脂組成物自体の耐加水分解性をより高めるために、エポキシ樹脂(F)を含んでいてもよい。エポキシ樹脂(F)としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、2種以上のエポキシ樹脂を任意に組み合わせて使用してもよい。エポキシ当量は、150~1500g/当量(g/eq)であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂組成物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
樹脂組成物には、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、難燃剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、染顔料等の着色剤、分散剤、可塑剤、核剤等を添加してもよい。この場合の添加物の含有量は、例えば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、0質量部を超え20質量部以下とすることができる。なお、着色剤については、意匠面の要求から、レーザー光吸収側成形品と同様の色目、特に黒色系への着色が必要となる場合、レーザー光透過性を損なわないよう、染料系の着色剤を用いるか、あるいはレーザー光透過率を損なわない顔料(例えば、BASF社のルモゲン(登録商標)ブラックなど)を用いることが望ましい。
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、1軸又は2軸押出機等の溶融混練装置を用いて、各成分を溶融混練して押出すことによりペレットとする方法や、組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製しそのペレットを所定量混合する方法等が挙げられる。
本実施形態に係る成形品(単に「成形品」ともいう)は、上記した樹脂組成物を含む、レーザー光透過側用成形品である。成形品は、上記樹脂組成物を含むので、成形時の滞留による熱分解が抑えられているとともに、レーザー光透過率が向上している。また、レーザー溶着された場合にレーザー溶着部分の耐加水分解性が優れている。
本実施形態に係る複合成形品(以下、単に「複合成形品」ともいう)。は、上記した樹脂組成物を含むレーザー光透過側成形品(以下、「第1の成形品」ともいう)と、レーザー光吸収側成形品(以下、「第2の成形品」ともいう)と、を含む。レーザー光透過側成形品については、上記のレーザー光透過側用成形品と同じである。
本実施形態に係るレーザー光透過性向上方法は、樹脂組成物成形品のレーザー光透過性を向上させる方法であり、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部、ポリカーボネート樹脂(B)10~100質量部、無機充填剤(D)0~100質量部、及び無機リン化合物(E)を含む樹脂組成物に、カルボジイミド化合物(C)を0.1~3質量部配合することを含む。本発明者の研究により、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)とのアロイ材を用いたレーザー溶着用樹脂組成物において、カルボジイミド化合物(C)を添加することによって、樹脂組成物を含む成形品のレーザー光透過率が向上することが確認された。そのメカニズムは現段階では明らかではないが、図1,2に示すように、カルボジイミド化合物(B)の添加によって、樹脂組成物中におけるポリカーボネート樹脂(B)の分散径が小さくなり、かつ均一に分散される。これにより、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)とポリカーボネート樹脂(B)界面の光の散乱が減少し、樹脂組成物の成形品のレーザー光透過性が向上すると考えられる。
カルボジイミド化合物(C)を含むことにより、無機リン化合物(E)を含む場合でも、樹脂組成物成形品のレーザー光透過率を向上させることができる。カルボジイミド化合物(C)を含むことにより、着色剤を含む場合でも、樹脂組成物成形品の樹脂組成物のレーザー光透過率を向上させることができる。
実施例及び比較例で使用した材料は、以下のとおりである。
A:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(PBT)
A-1:ポリプラスチックス(株)製、ポリブチレンテレフタレート、固有粘度(IV):0.69dL/g
A-2:ポリプラスチックス(株)製、イソフタル酸12.5モル変性ポリブチレンテレフタレート
B:ポリカーボネート樹脂(PC)
帝人株式会社製、製品名「パンライト(登録商標)」、溶融粘度:0.27kPa・s
C:カルボジイミド化合物
ランクセス社製、芳香族カルボジイミド、製品名「Stabaxol(登録商標) P-100」
D:無機充填剤(GF)
日本電気硝子(株)製、ガラス繊維、製品名「T-127」、平均繊維径:13μm
E:リン系化合物
E-1:第一リン酸カルシウム
E-2:(株)ADEKA製、製品名「アデカスタブ(登録商標)AX-71」(モノ-及びジ-ステアリルアシッドホスフェートの混合物)
E-3:(株)ADEKA社、製品名「アデカスタブPEP-36」(ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト)
F:エポキシ樹脂
三菱ケミカル(株)製、製品名「エピコート1004」
G:酸化防止剤
BASFジャパン(株)製、「Irganox(登録商標) 1010」
H:核剤
窒化硼素
I:着色剤
I-1:Pigment Blue 15.3
I-2:Pigment Yellow 181
I-3:Pigment Red 149
J:エラストマー
東洋紡(株)製、ポリエステルエラストマー、製品名「ペルプレン(登録商標)P-90BD」
K:滑剤
理研ビタミン(株)製、製品名「リケマール(登録商標) B-74」
表1,2に示す材料を表1,2に示す含有割合で、2軸押出機(日本製鋼所株式会社製、30mmφ)により260℃にて混錬し、樹脂組成物ペレットを作製した。なお、実施例3及び比較例8は、着色剤を含む場合の例である。
実施例及び比較例の樹脂組成物ペレットについて、以下の物性を測定及び評価した。結果を表1,2に示す。
樹脂組成物ペレットをシリンダー温度260℃、金型温度80℃で射出成形して、試験片(80mm×80mm×厚み2mm)を得た。得られた試験片について、光路長2.0mmにおける波長940nmにおけるレーザー光透過率を、分光光度計(日本分光(株)製、製品名「V770」)を用いて測定した。
実施例又は比較例で得られた樹脂組成物ペレットを140℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で射出成形して、ISO3167に準拠した1Aタイプの引張試験片を作製した。得られた試験片について、ISO527-1,2に準拠し、引張強さの測定をした。
次に上記試験片を恒温恒湿槽で湿熱処理し(85℃、湿度85%、1000時間)、湿熱処理後の引張強さをISO527-1,2に準拠して測定した。湿熱処理前後の強度保持率[(湿熱処理後の引張強さ/湿熱処理前の引張強さ)×100(%)]を算出した。
実施例2及び比較例2で得られた樹脂組成物ペレットを、それぞれ、140℃で3時間乾燥した後、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で射出成形して、ISO3167に準拠した1Aタイプの引張試験片を得た。得られた成形品を、ビューラー社製のダイヤモンドカッター(製品名「アイソメット1000」)を使用して、標線間において垂直方向に切断した。得られた切断品のうちの一つの切断面をミクロトームで切削し、有機溶媒(クロロホルム)を用いて室温で浸漬することにより、ポリカーボネート樹脂(B)を抽出した。その後、真空乾燥、スパッタリング処理して、走査電子顕微鏡(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、製品名「Phenom Pro X」)を用いて10,000倍で観察した。図1,2に走査電子顕微鏡写真(10,000倍)を示す。
実施例又は比較例で得られた樹脂組成物ペレットをレーザー光透過材料として使用した。その樹脂組成物ペレットに、カーボンブラック濃度が20質量%のPBTマスターバッチを、樹脂組成物とPBTマスターバッチとの質量比(樹脂組成物:PBTマスターバッチ)が19:1となる割合で添加した樹脂組成物を吸収材料として使用した。
上記によって得られたレーザー溶着品(複合成形品)のレーザー溶着部分について、(株)島津製作所製、製品名「万能試験機オートグラフAG-X」を用いて、試験速度10mm/minにて、初期破壊強度を測定した。
次に、レーザー溶着品を恒温恒湿槽で湿熱処理し(85℃、湿度85%、1000時間)、上記と同じ条件でレーザー溶着部分の湿熱試験後の破壊強度を測定した。
湿熱処理前後での強度保持率[(湿熱処理後の引張強さ/湿熱処理前の引張強さ)×100(%)]を算出した。強度保持率が70%以上をAと判定し、70%未満をBと判定した。
実施例又は比較例で得られた樹脂組成物ペレットを、示差走査熱量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、製品名「DSC Q-1000」)を用い、280℃に加熱して溶融させてから、50℃まで降温し、その後、50℃から280℃まで10℃/分で昇温し、280℃環境下で5分間維持した後、50℃まで10℃/分で降温する操作を3サイクル繰り返した。1サイクル目に検出される結晶化温度Tc1と3サイクル目で検出される結晶化温度Tc3の差(Tc1-Tc3)をΔTcとして算出した。
ΔTcがいずれも5℃以下のものをAと判定性、ΔTcが5℃を超えるものをBと判定した。
カルボジイミド化合物(C)及び無機リン化合物(E)を含まない比較例3の樹脂組成物は、成形品のレーザー光透過率は高いものの、レーザー溶着品におけるレーザー溶着部分の耐加水分解性及び熱安定性が低い。比較例1と比較例3との対比から、カルボジイミド化合物(C)を含まない樹脂組成物では、無機リン化合物(E)を添加することでΔTcが小さくなり熱安定性は向上するものの、レーザー光透過率が82%から50%まで大きく低下することが分かる。これに対して、カルボジイミド化合物(C)を含む実施例1では、60%以上のレーザー光透過率を実現することができる。実施例1の樹脂組成物は、比較例1の樹脂組成物に比べて、波長940nmにおけるレーザー光透過率が向上している。
カルボジイミド化合物(C)の含有量が0.1質量部未満である比較例4の樹脂組成物は、成形品のレーザー光透過率が低く、レーザー溶着品におけるレーザー溶着部分の耐加水分解性が低い。
ポリカーボネート樹脂(B)、カルボジイミド化合物(C)及び無機リン化合物(E)を含まない比較例5の樹脂組成物は、熱安定性は高いものの、成形品のレーザー光透過率が低く、レーザー溶着品におけるレーザー溶着部分の耐加水分解性が低い。
無機リン化合物(E)に替えて有機リン化合物を含む比較例6,7の樹脂組成物は、熱安定性が低い結果となった。
2 レーザー光吸収側成形品
3 レーザーヘッド
4 レーザー光
Claims (7)
- ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部と、
ポリカーボネート樹脂(B)10~100質量部と、
カルボジイミド化合物(C)0.1~3質量部と、
無機充填剤(D)0~100質量部と、
第一リン酸カルシウムを含む無機リン化合物(E)と、
を含む、レーザー光透過側成形品用樹脂組成物。 - JIS K7121に基づき、示差走査熱量測定により、50℃から昇温速度10℃/分で280℃まで昇温後、降温速度-10℃/分にて50℃まで降温する操作を3サイクル繰り返したときの、1サイクル目の結晶化温度と3サイクル目の結晶化温度との差が5℃以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(F)をさらに含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含む、レーザー光透過側用成形品。
- 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含むレーザー光透過側成形品と、レーザー光吸収側成形品と、を含む複合成形品。
- 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含む第1の成形品の少なくとも一部と、ポリアルキレンテレフタレート樹脂及びレーザー光吸収剤を含む樹脂組成物を含む第2の成形品の少なくとも一部とを重ね合わせ、第1の成形品側からレーザー光を照射して第1の成形品の少なくとも一部と第2の成形品の少なくとも一部とを溶着する、複合成形品の製造方法。
- 樹脂組成物成形品のレーザー光透過性を向上させる方法であり、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部、ポリカーボネート樹脂(B)10~100質量部、無機充填剤(D)0~100質量部、及び第一リン酸カルシウムを含む無機リン化合物(E)を含む樹脂組成物に、カルボジイミド化合物(C)を0.1~3質量部配合することを含む、方法。
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