JP7354006B2 - ロボットハンド及び農業用ロボット - Google Patents

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Description

本発明は、ロボットハンド及び農業用ロボットに関する。
従来、特許文献1に開示されたロボットが知られている。このロボットは、対象物(物品)を吸着により把持可能な把持部を有している。把持部は、昇降可能なアームに取り付けられ、アームを下降させることで、載置部上の対象物に対して接触して該対象物を吸着により把持する。
特開2019-151421号公報
ところで、吸着により対象物を把持する把持部を備えたロボットを、例えば、対象物としての作物を把持するのに使用した場合、作物がツタ等で覆われていると、把持部と作物との間にツタ等が入って吸着の邪魔になる場合がある。また、地上の作物を把持する場合にあっては、把持部で作物を把持する際に作物が把持部と地面との間に挟まれるので、把持部が作物に当たった際の衝撃により作物が傷む場合がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、作物を好適に吸着することができると共に、作物に与える衝撃を抑制することができるロボットハンド及び農業用ロボットを提供すること目的とする。
本発明の一態様に係るロボットハンドは、昇降可能なアームに取り付けられるロボットハンドであって、作物を吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドとは別体に構成された払い除け機構であって前記吸着パッドで前記作物を吸着する際に前記作物の周辺物を払い除ける払い除け機構とを有する把持部と、前記把持部が前記作物に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部と、を備えている。
また、前記アームを下降させることで、前記払い除け機構が前記作物の周辺物を払い除ける払い除け動作をすると共に前記吸着パッドが前記作物に接触して該作物を吸着可能となる
また、前記把持部は、前記吸着パッドが取り付けられると共に前記アームに支持されるハンドフレームを有し、前記払い除け機構は、前記周辺物を払い除ける払い除け部と、前記払い除け部を支持すると共に前記ハンドフレームに揺動可能に取り付けられたリンク機構とを有している
また、前記緩衝部は、伸縮可能なバネ部材と、前記バネ部材と並設され前記バネ部材の伸縮方向に伸縮自在な伸縮リンク機構とを有している。
また、前記アームに取り付けられる取付部を備え、前記緩衝部は、前記取付部と、前記取付部の下方に配置された前記把持部との間に設けられており、前記把持部は、前記バネ部材及び前記伸縮リンク機構を介して前記取付部に吊り下げられている
また、前記バネ部材は、上下方向に延伸する軸心を有するコイルバネによって構成され、上端側が前記取付部に取り付けられ下端側が前記把持部に取り付けられ、前記伸縮リンク機構は、上端側が前記取付部に連結され下端側が前記把持部に連結されていて前記バネ部材の伸縮をガイドする
また、前記伸縮リンク機構は、前記コイルバネの軸心に直交する方向で前記コイルバネを挟んで配置された第1リンク機構及び第2リンク機構を有し、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構とは、各々、一端側が前記取付部に枢支連結された第1リンクと、一端側が前記第1リンクの他端側に枢支連結され他端側が前記把持部に枢支連結された第2リンクとを有している
また、前記吸着パッドは、前記作物を吸着する吸盤であって伸縮可能な吸盤を有し、前記吸盤は、前記緩衝部を構成している。
また、前記吸盤は、蛇腹構造によって伸縮可能に構成されている。
また、ロボットハンドは、昇降可能なアームに取り付けられるロボットハンドであって、作物を吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドで前記作物を吸着する際に前記作物の周辺物を払い除ける払い除け機構とを有する把持部と、前記把持部が前記作物に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部と、を備え、前記払い除け機構は、前記吸着パッドの下方にオーバーラップして配置される部位を含む払い除けアームを有し、前記払い除けアームは、前記部位が前記吸着パッドの下方範囲の外側に移動するように揺動可能である。
また、ロボットハンドは、昇降可能なアームに取り付けられるロボットハンドであって、作物を吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドで前記作物を吸着する際に前記作物の周辺物を払い除ける払い除け機構とを有する把持部と、前記把持部が前記作物に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部と、を備え、前記払い除け機構は、前記吸着パッドが吸着する部分である作物の吸着部分の周辺物を払い除ける払い除けアームと、前記払い除けアームを前記作物に押しつける方向に付勢する付勢部材とを有し、前記払い除けアームは、前記把持部を下降させた際に前記作物に押しつけられることで前記作物からの反力によって前記付勢部材の付勢力に抗して前記作物の表面に沿って前記吸着部分の範囲外に移動する。
また、本発明の一態様に係る農業用ロボットは、上記構成のロボットハンドを備えている。
また、農業用ロボットは、前記作物を吸着する伸縮可能な吸盤であって前記緩衝部を構成する吸盤を含む前記吸着パッドを有するロボットハンドと、前記吸盤内の空気を吸引するポンプと、前記ポンプの吸引及び前記アームの昇降を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記アームを下降させて前記吸盤を前記作物に接触させ、該接触させた状態で前記ポンプによって前記吸盤内の空気を吸引して前記吸盤を収縮させる。
また、前記制御装置は、持ち上げた前記作物を前記アームを下降して載置部に載置する
際において、前記載置部に前記作物が接触する前に前記アームの下降を停止すると共に、前記作物に対する吸引力を徐々に下げることで前記吸盤を伸ばして前記作物を前記載置部に載置させる。
上記の構成によれば、吸着パッドで作物を吸着する際に、作物の周辺物を払い除け機構によって払い除けることで作物を好適に吸着することができると共に、把持部が作物に勢いよく当たっても緩衝部が収縮することで作物に与える衝撃を抑制することができる。
農業用ロボットの側面図である。 農業用ロボットの平面図である。 機体及びマニピュレータの斜視図である。 機体及びマニピュレータの側面図である。 走行装置の平面図である。 走行装置の側面図である。 マニピュレータの装着部の側面断面図である。 アームの平面図である。 装着部の斜視図である。 機体後部の平面図である。 作業姿勢の状態の農業用ロボットの側面図である。 作業姿勢での回動規制を説明する平面図である。 収納姿勢の位置決めを示す平面図である。 システム構成を示す構成図である。 作物の収穫作業を説明するための平面図である。 ロボットハンドの側面図である。 ロボットハンドの平面図である。 把持部及び緩衝部を示す図である。 ガイド機構の一部を示す図である。 ガイド機構の一部を示す平面図である。 ガイドアームの取付部分を示す図である。 ガイドアームの取付部分の分解図である。 払い除け機構の一部の平面図である。 作物の把持動作を説明する側面図である。 作物の把持動作を説明する側面図である。 作物の把持動作を説明する側面図である。 作物の把持動作を説明する側面図である。 ガイド機構の動作を示す図である。 他の実施形態に係るロボットハンドの側面図である。 他の実施形態に係るロボットハンドの側面一部断面図である。 他の実施形態に係るロボットハンドの動作を示す図である。 他の実施形態に係るロボットハンドの動作を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1、図2は、作物2の収穫用の農業用ロボット1を例示している。農業用ロボット1は、例えば、スイカ、メロン、カボチャ、キャベツ等の比較的重量のある作物2である重量野菜、果実等の収穫に採用される。農業用ロボット1は、自律型の収穫ロボットである。即ち、農業用ロボット1は、自律走行し且つ収穫すべき作物2を自律判断により判別して収穫する。
なお、収穫する作物2としては、上記した作物2に限定されることはない。また、農業用ロボット1は、収穫用に限定されることはない。例えば、作物2を運搬車から降ろす作業等の作物2の移動作業に用いてもよい。また、農業用ロボット1は、オペレータ(作業
者)がリモコンで操縦するリモートコントロール型のロボットであってもよい。
以下の説明において、図1、図2に矢印A1で示す方向を前方、矢印A2で示す方向を後方、矢印A3で示す方向を前後方向として説明する。したがって、図2に矢印B1で示す方向(図1の手前側)が左方であり、図2に矢印B2で示す方向(図1の奥側)が右方である。また、前後方向A3に直交する水平方向を機体幅方向(図2の矢印B3方向)として説明する。
図1に示すように、農業用ロボット1は、自律走行する走行体3と、走行体3に装着されたマニピュレータ4と、撮像装置(カメラ)5とを有している。
走行体3は、機体6と、機体6を走行可能に支持する走行装置7とを有している。
図3、図4に示すように、機体6は、メインフレーム6Aと、原動機フレーム6Bとを有している。メインフレーム6Aは、機体幅方向B3で間隔をあけて配置された一対の第1フレーム6Aaと、各第1フレーム6Aaの下方に間隔をあけて配置された一対の第2フレーム6Abとを有している。第1フレーム6Aaと第2フレーム6Abとは、複数の縦フレーム6Acによって連結されている。縦フレーム6Acは、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの前部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの前部間、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの後部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの後部間に設けられている。
左の第1フレーム6Aaと右の第1フレーム6Aaとは、第1フレーム6Aa間に配置された第1横フレーム6Ad~第5横フレーム6Ahによって連結されている。第1横フレーム6Ad~第5横フレーム6Ahは、第1フレーム6Aaの前端から後端にわたって前後方向A3で間隔をあけて並行状に配置されている。
第2フレーム6Abの前部同士は、第6横フレーム6Ajによって連結され、第2フレーム6Abの後部同士は、第7横フレーム6Akによって連結されている。
原動機フレーム6Bは、メインフレーム6Aの下方側に配置されている。原動機フレーム6Bは、前フレーム6Baと、後フレーム6Bbと、複数の連結フレーム6Bcと、複数の取付フレーム6Bdとを有している。前フレーム6Baは、上部が、左及び右の第2フレーム6Abの前部に取り付けられている。後フレーム6Bbは、上部が、左及び右の第2フレーム6Abの前部に取り付けられている。複数の連結フレーム6Bcは、前フレーム6Baと後フレーム6Bbの下部間を連結している。複数の取付フレーム6Bdは、連結フレーム6Bcの前後方向A3中央部に固定されている。
図4に示すように、取付フレーム6Bdには、原動機(エンジン)E1が取り付けられている。原動機E1には、油圧ポンプP1が取り付けられている。油圧ポンプP1は、原動機E1で駆動される。また、原動機フレーム6Bには、油圧ポンプP1から吐出する作動油を貯留する作動油タンク(図示省略)が搭載されている。
図2に示すように、メインフレーム6A(機体6)には、走行装置7を制御する複数のコントロールバルブ(第1コントロールバルブCV1~第4コントロールバルブCV4)が搭載されている。
図1、図2に示すように、走行装置7は、複数の車輪8を有する車輪型(4輪型)の走行装置7で構成されている。詳しくは、走行装置7は、機体6前部の左側に配置された第1車輪8La(左前輪)と、機体6前部の右側に配置された第2車輪8Ra(右前輪)と、機体6後部の左側に配置された第3車輪8Lb(左後輪)と、機体6後部の右側に配置された第4車輪8Rb(右後輪)とを備えている。なお、走行装置7は、クローラ型の走行装置7であってもよい。
走行装置7は、車輪8を支持する車輪支持体9を有している。車輪支持体9は、車輪8に対応する数設けられている。つまり、走行装置7は、第1車輪8Laを支持する第1車輪支持体9La、第2車輪8Raを支持する第2車輪支持体9Ra、第3車輪8Lbを支持する第3車輪支持体9Lb及び第4車輪8Rbを支持する第4車輪支持体9Rbを有している。
図5、図6に示すように、車輪支持体9は、走行フレーム10と、操向シリンダC1と、第1昇降シリンダC2と、第2昇降シリンダC3と、走行モータM1とを有している。
走行フレーム10は、主支持体10Aと、揺動フレーム10Bと、車輪フレーム10Cとを有している。主支持体10Aは、機体6に縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに可能に支持されている。詳しくは、主支持体10Aは機体6に固定された支持ブラケット11に上下方向に延伸する軸心を有する第1支軸12Aを介して回動可能に支持されている。
図2に示すように、第1車輪支持体9Laを枢支する支持ブラケット11は機体6の前部左側に設けられ、第2車輪支持体9Raを枢支する支持ブラケット11は機体6の前部右側に設けられ、第3車輪支持体9Lbを枢支する支持ブラケット11は機体6の後部左側に設けられ、第4車輪支持体9Rbを枢支する支持ブラケット11は機体6の後部右側に設けられている。
揺動フレーム10Bは、主支持体10Aに上下揺動可能に支持されている。詳しくは、揺動フレーム10Bは、上部が主支持体10Aに第2支軸12Bを介して横軸(機体幅方向B3に延伸する軸心)回りに回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの揺動フレーム10Bは前上部が主支持体10Aに枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの揺動フレーム10Bは後上部が主支持体10Aに枢支されている。
車輪フレーム10Cは、揺動フレーム10Bに上下揺動可能に支持されている。詳しくは、車輪フレーム10Cは、揺動フレーム10Bに第3支軸12Cを介して横軸回りに回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの車輪フレーム10Cは後部が揺動フレーム10Bの後部に枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの車輪フレーム10Cは前部が揺動フレーム10Bの前部に枢支されている。
操向シリンダC1、第1昇降シリンダC2及び第2昇降シリンダC3は、油圧シリンダによって構成されている。
操向シリンダC1は、機体6と主支持体10Aとの間に設けられている。詳しくは、操向シリンダC1の一端は、第1フレーム6Aaの前後方向A3中央部に固定されたシリンダブラケット14Aに枢支され、操向シリンダC1の他端は、主支持体10Aに固定されたシリンダブラケット14Bに枢支されている。操向シリンダC1を伸縮することにより走行フレーム10が第1支軸12A回りに揺動し、車輪8(第1車輪8La~第4車輪8Rb)の向きを変更する(操向する)ことができる。本実施形態の走行装置7にあっては、各車輪8を独立して操向可能である。
第1昇降シリンダC2は、一端が揺動フレーム10Bに枢支され、他端が第1リンク機構15Aに枢支されている。第1リンク機構15Aは、第1リンク15aと第2リンク15bとを有している。第1リンク15aの一端は、主支持体10Aに枢支され、第2リンク15bの一端は揺動フレーム10Bに枢支されている。第1リンク15aと第2リンク15bとの他端は、第1昇降シリンダC2の他端に枢支されている。第1昇降シリンダC2を伸縮することにより揺動フレーム10Bが第2支軸12B回りに上下揺動する。
第2昇降シリンダC3は、一端が揺動フレーム10Bの前部に枢支され、他端が第2リンク機構15Bに枢支されている。第2リンク機構15Bは、第1リンク15cと第2リンク15dとを有している。第1リンク15cの一端は、揺動フレーム10Bに枢支され、第2リンク15dの一端は車輪フレーム10Cに枢支されている。第1リンク15cと第2リンク15dとの他端は、第2昇降シリンダC3の他端に枢支されている。第2昇降シリンダC3を伸縮することにより車輪フレーム10Cが第3支軸12C回りに上下揺動する。
第1昇降シリンダC2による揺動フレーム10Bの上下揺動と、第2昇降シリンダC3による車輪フレーム10Cの上下揺動とを組み合わせることによって車輪8を平行状に昇降させることができる。
走行モータM1は、油圧モータによって形成されている。走行モータM1は、各車輪8に対応して設けられている。即ち、走行装置7は、第1車輪8Laを駆動する走行モータM1と、第2車輪8Raを駆動する走行モータM1と、第3車輪8Lbを駆動する走行モ
ータM1と、第4車輪8Rbを駆動する走行モータM1とを有している。走行モータM1は、車輪8の機体幅方向B3の内方に配置され、車輪フレーム10Cに取り付けられている。走行モータM1は、油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動され、正逆転可能である。走行モータM1を正逆転させることにより、車輪8の回転を正転方向と逆転方向とに切り換えることができる。
第2車輪支持体9Ra、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbは、第1車輪支持体9Laを構成する構成部品と同様の構成部品を有している。第2車輪支持体9Raは、第1車輪支持体9Laと左右対称に構成されている。第3車輪支持体9Lbは、第2車輪支持体9Raを機体6の中心を通る上下方向のセンタ軸心回りに180°回転させた形態を呈している。第4車輪支持体9Rbは、第1車輪支持体9Laをセンタ軸心回りに180°回転させた形態を呈している。
第1車輪支持体9Laに装備された油圧アクチュエータは、第1コントロールバルブCV1によって制御される。第2車輪支持体9Raに装備された油圧アクチュエータは、第2コントロールバルブCV2によって制御される。第3車輪支持体9Lbに装備された油圧アクチュエータは、第3コントロールバルブCV3によって制御される。第4車輪支持体9Rbに装備された油圧アクチュエータは、第4コントロールバルブCV4によって制御される。
したがって、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、それぞれ独立的に操向可能である。また、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、それぞれ独立的に昇降可能である。
上記走行装置7にあっては、第1車輪8La~第4車輪8Rbを操向操作することで走行体3を操向することができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを正転させることで走行体3を前進させることができ、逆転させることにより走行体3を後進させることができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することにより走行体3を昇降することができる。第1車輪8La及び第2車輪8Raを第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第2車輪8Raに対して昇降することにより、機体6を前傾または後傾させることができる。第1車輪8La及び第3車輪8Lbを第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第3車輪8Lbに対して昇降することにより、機体6を、機体幅方向B3の一側が他側よりも高い傾斜状にすることができる。
マニピュレータ4は、本実施形態では、少なくとも作物2の収穫を行うことが可能な装置である。図3、図4に示すように、マニピュレータ4は、走行体3(機体6)に着脱可能に装着された装着体16と、装着体16に取り付けられたアーム17と、アーム17に設けられていて作物2を把持可能なロボットハンド18とを備えている。
図1に示すように、装着体16は、本実施形態では、走行体3の後部に設けられている。なお、装着体16は、走行体3の前部に設けられていてもよい。つまり、走行体3における前後方向A3の中央部から一方側に偏倚して設けられていればよい。また、本実施形態では、農業用ロボット1は、走行体3を前方に進行させて収穫作業を行うので、装着体16は、進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設けられている。
図7に示すように、装着体16は、走行体3に着脱可能に装着される装着部19と、装着部19に縦軸回りに回動可能に支持された回動シャフト20と、回動シャフト20を回転駆動する回動モータM2と、回動シャフト20と一体回動する回動フレーム21とを有している。
図7、図9に示すように、装着部19は、本体部19Aが下方に開口する筺体で形成されている。本体部19Aの下部には、前部に第1プレート部材19Bが固定され、後部に第2プレート部材19Cが固定されている。第1プレート部材19Bは、装着部19の前面下部に固定された第1壁19aと、第1壁19aの下端から後方に延びる第2壁19bと、第2壁19bの後端から下方に延びる第3壁19cと、第3壁19cの下端から後方に延びる第4壁19dとを有している。第2プレート部材19Cは、装着部19の後面下部に固定された第1壁19eと、第1壁19eの下端から前方に延びる第2壁19fと、
第2壁19fの前端から下方に延びる第3壁19gと、第3壁19gの下端から前方に延びる第4壁19hとを有している。第4壁19dと第4壁19hは、複数の連結部材19Dによって連結されている。
図7に示すように、第3壁19c,19g、第4壁19d,19h及び複数の連結部材19Dによって、係合部19Eが構成されている。つまり、装着部19は、下部側に下方に突出する係合部19Eを有している。係合部19Eは、第4横フレーム6Ag(第1装着フレーム)と第5横フレーム6Ah(第2装着フレーム)との間に差し込み可能とされている。
図7、図10に示すように、第4横フレーム6Agの下面には、機体幅方向B3で並べて配置された一対の載置プレート22Aが後方突出状に固定されている。また、第5横フレーム6Ahの下面にも、機体幅方向B3で並べて配置された一対の載置プレート22Bが前方突出状に固定されている。載置プレート22Aと載置プレート22Bとは、連結プレート23によって連結されている。機体6上面側であって機体6の左部及び右部には、それぞれプレート部材6Dが固定されている。左及び右のプレート部材6D間であって且つ第4横フレーム6Agと第5横フレーム6Ahとの間が、係合部19Eを差し込む差し込み部6E(図10参照)とされている。
図7に示すように、係合部19Eを第4横フレーム6Agと第5横フレーム6Ahとの間に差し込むことで、機体6(走行体3)は装着部19を保持可能である。詳しくは、第2壁19bは、第4横フレーム6Agの上面に載置され、第3壁19cは、第4横フレーム6Agの後面に当接する。第4壁19dは、載置プレート22Aに載置される。また、第2壁19fは、第5横フレーム6Ahの上面に載置され、第3壁19gは、第5横フレーム6Ahの前面に当接する。第4壁19hは、載置プレート22Bに載置される。これにより、機体6は、装着部19を保持する。言い換えると、装着部19を簡易に保持することができる。また、着脱も容易である。
連結部材19Dは、本実施形態では、アングル材によって形成され、上部にナット部材(図示省略)が固定されている。このナット部材に、連結プレート23、載置プレート22A,22B及び連結部材19Dを下方から貫通するボルトをねじ込むことにより、係合部19E(装着部19)を、該ボルトによって着脱可能に固定することができる。
以上のように、装着体16は、走行体3(機体6)に対して着脱可能である。
装着部19(装着体16)を機体6から取り外すことにより、マニピュレータ4を取り外すことができ、本実施形態のマニピュレータ4とは異なる形式のマニピュレータに交換することができる。
図7に示すように、装着部19には、回動シャフト20を支持するシャフト支持体24が立設されている。シャフト支持体24は、装着部19の上面に固定された中空状のベース部24Aと、ベース部24Aから上方に突出する支持筒24Bとを有している。
図7に示すように、回動シャフト20は、上下方向に延伸する軸心(回動軸心J1)を有し、支持筒24Bに挿入されると共に該支持筒24Bに回動軸心J1回りに回動可能に支持されている。
回動モータM2は、例えば、正逆転可能な電動モータによって構成されている。回動モータM2は、走行体3に搭載されたバッテリ(図示省略)から給電される電力によって作動する。なお、回動モータM2は、走行体3に搭載された油圧ポンプP1によって作動する油圧モータによって構成されていてもよい。
図7に示すように、回動モータM2は、装着部19の内部に収容され、装着部19の上壁19kに取り付けられている。回動モータM2は、装着部19から上方に突出する出力軸Maを有している。回動モータM2の出力軸Maは、回動シャフト20の下部に一体回動可能に連結されている。したがって、回動シャフト20は、回動モータM2から出力される回転動力によって、回動軸心J1回りに正逆転可能に駆動される。
図7に示すように、回動フレーム21は、シャフト支持体24に回動軸心J1回りに回動可能に支持されている。したがって、回動フレーム21は、装着部19に回動軸心J1回りに回動可能に取り付けられている。言い換えると、回動フレーム21は、機体6(走
行体3)に縦軸回りに回動可能に支持されている。詳しくは、回動フレーム21は、フレーム本体25と、アームブラケット26と、シリンダブラケット27とを有している。フレーム本体25は、回動部25Aを有している。回動部25Aは、支持筒24Bを取り囲むと共に軸受け28A及び軸受け28Bを介して支持筒24Bに回動軸心J1回りに回動可能に支持されている。また、回動部25Aは、回動シャフト20の上部にスプライン結合等によって連結される結合部25Aaを有していて回動シャフト20と一体回動する。つまり、回動フレーム21は、回動モータM2によって回動軸心J1回りに回動可能である。回動フレーム21を回動させることにより、ロボットハンド18を回動軸心J1を中心とする円周方向に移動(位置変更)させることができる。
図3に示すように、フレーム本体25は、回動軸心J1に直交する方向で回動部25Aを挟む一対のフレーム部材25Bを有している。各フレーム部材25Bは、回動部25Aに固定されている。図7に示すように、各フレーム部材25Bの上部は、回動部25Aから上方に突出している。一対のフレーム部材25Bの上部間には、アームブラケット26が上方突出状に固定されている。シリンダブラケット27は、アームブラケット26及び回動部25Aの前部に取り付けられている。シリンダブラケット27は、下部に、シリンダ取付部27aを有している。
図3、図4に示すように、アーム17は、回動フレーム21(アームブラケット26)に上下揺動可能に支持されると共に長手方向の中途部で屈伸可能である。アーム17は、メインアーム29とサブアーム30とを有している。
メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支され、屈伸可能である。詳しくは、メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされている。
第1アーム部31は、基部側31aがアームブラケット26に枢支されている。第1アーム部31は、図3、図8に示すように、第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rを有している。第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rは、機体幅方向B3で並べて配置され且つ連結パイプ31A等で相互に連結されている。第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの基部側31a間にアームブラケット26の上部が挿入され、機体幅方向B3に延伸する軸心を有するアーム枢軸33A(第1アーム枢軸という)を介して第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rの基部側31aがアームブラケット26に第1アーム枢軸33Aの軸心回りに回動可能に支持されている。
第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rは中空部材で形成されている。第1アーム部31の長さは、走行体3(機体6)の前後方向A3の長さよりも短く形成されている。
図4に示すように、第1アーム部31は、基部側31aであって且つ第1アーム枢軸33Aよりも先端側31c寄りに、シリンダ取付部31bを有している。このシリンダ取付部31bとシリンダブラケット27のシリンダ取付部27aとにわたって第1アームシリンダ(第1油圧シリンダ)C4が設けられている。第1アームシリンダC4は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第1アームシリンダC4を伸縮させることで第1アーム部31が上下揺動する。第1アーム部31(アーム17)を上下揺動させることにより、ロボットハンド18を昇降させることができる。第1アームシリンダC4には、第1アームシリンダC4のストロークを検出する第1ストロークセンサS1が設けられている。
図4に示すように、第1アーム部31の先端側31cには、枢支部材31Bが固定されている。詳しくは、枢支部材31Bは、基部31Baが第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの間に挿入されて第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rに固定されている。枢支部材31Bの基部31Baの下面側には、シリンダステー34が取り付けられている。枢支部材31Bの先端側31Bbは、第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rから前方に突出している。
図3、図8に示すように、第2アーム部32の長さは、第1アーム部31の長さよりも長く形成されている。第2アーム部32は、基部側32aが枢支部材31Bの先端側31Bbに枢支されている。第2アーム部32は、第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rを有している。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rは、機体幅方向B3で並べて配置され且つ複数の連結プレート35によって相互に連結されている。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rは中空部材で形成されている。第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの基部側32a間に枢支部材31Bの先端側31Bbが挿入されている。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32R(第2アーム部32)は、機体幅方向B3に延伸する軸心を有するアーム枢軸(第2アーム枢軸という)33Bによって枢支部材31Bに枢支されている。
第2アーム部32の基部側32aであって第2アーム枢軸33Bよりも先端側32b寄りには、シリンダ取付部32cが設けられている。このシリンダ取付部32cとシリンダステー34とにわたって第2アームシリンダ(第2油圧シリンダ)C5が設けられている。第2アームシリンダC5は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第2アームシリンダC5を伸縮させることで第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動し、メインアーム29(アーム17)が屈伸(曲げたり伸ばしたりすること)する。なお、本実施形態では、メインアーム29は、最も伸びた状態で直線状となるが、最も伸びた状態で若干曲がっていてもよい。
また、第2アームシリンダC5を伸縮させることで走行体3に対してロボットハンド18を遠近方向に移動させることができる。詳しくは、第2アームシリンダC5を伸長させることでロボットハンド18を走行体3から遠ざける方向に移動させることができ、第2アームシリンダC5を収縮させることでロボットハンド18を走行体3に近づける方向に移動させることができる。
図4に示すように、第2アームシリンダC5には、第2アームシリンダC5のストロークを検出する第2ストロークセンサS2が設けられている。
図4、図8に示すように、複数の連結プレート35は、本実施形態では、第2アーム部32の長手方向に直交し且つ第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとが対向する方向に直交する方向で対向配置された2枚で1組の連結プレート35を第2アーム部32の長手方向に間隔をあけて4組設けている。
本実施形態では、第1アーム部31及び第2アーム部32は、2枚の中空部材を繋いで構成することで、高剛性に形成されている。また、第1アーム部31を構成する第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rと、第2アーム部32を構成する第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rとを、中空部材で構成することにより、第1アームフレーム31L~第4アームフレーム32Rの内部に、油圧ホースやハーネス等の配策部材を配策することができる。これにより、油圧ホースやハーネスの破損防止を図ることができる。また、第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの間に第1アームシリンダC4のピストンロッドの先端側を挿入して連結すること、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの間に第2アームシリンダC5のピストンロッドの先端側を挿入して連結することによりコンパクトな構成にすることができる。
サブアーム30は、第2アーム部32に突出及び後退可能に設けられている。したがって、サブアーム30を突出及び後退させることにより、アーム17の長さが伸縮可能である。図4、図8に示すように、サブアーム30は、角パイプによって直線状に形成されている。サブアーム30は、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの先端側(前部)間に長手方向移動可能に支持されている。また、サブアーム30は、対向する連結プレート35の間に配置されていて連結プレート35にボルト等の固定具によって固定可能とされている。サブアーム30の一側面には、第3アームフレーム32Lに当接する突起30aが設けられ、他側面には、第4アームフレーム32Rに当接する突起30aが設けられている。突起30aによってサブアーム30のがたつきを抑制することができる。
サブアーム30は、最も後退させた位置(最後退位置)では、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの間に没入する。なお、サブアーム30は、最後退位置で第2アーム部32から若干突出していてもよい。
図4に示すように、サブアーム30の先端側には、接合フランジ30Aが固定されている。接合フランジ30Aには、取付フランジ36がボルト等によって取り付けられ、取付フランジ36には、吊りプレート37が固定されている。吊りプレート37にロボットハンド18が枢支され、吊り下げられる(図1参照)。つまり、ロボットハンド18は、サブアーム30の先端側に揺動可能に取り付けられる。第2アーム部32の先端側には、サブアーム30の第2アーム部32からの突出量を測定(検出)する第3ストロークセンサS3が設けられている。
サブアーム30は、例えば、第2アーム部32から最も突出させた位置(最突出位置)と、第2アーム部32に対して最も後退させた位置との2位置で使用される。なお、サブアーム30は、最突出位置と最後退位置との間で段階的に突出量を調整してもよく、また、最突出位置と最後退位置との間で任意の位置に固定できるようにしてもよい。また、サブアーム30を油圧シリンダによって突出及び後退させるようにしてもよい。
アーム17は、前後方向A3の一方側を向く作業姿勢W1(図11参照)と、前後方向A3の他方側を向くと共に屈曲させた収納姿勢W2(図1参照)とに姿勢変更可能である。本実施形態では、作業姿勢W1は、図11に示すように、走行体3の後方側を向く姿勢である。また、収納姿勢W2は、図1に示すように、走行体3の前方を向く姿勢である。
農業用ロボット1は、アーム17が作業姿勢W1にある状態で、作物2の収穫作業等の作業を行う。アーム17が作業姿勢W1にある状態で、回動フレーム21を左方または右方に回動させると共にアーム17を昇降及び屈伸させることにより、ロボットハンド18を任意の位置に移動させることができる。つまり、ロボットハンド18を作物2の上方に移動させると共に下降させて該ロボットハンド18によって作物2を把持することができる。
図1に示すように、収納姿勢W2では、アーム17は、第1アーム部31が走行体3の上方を前方に向かうにつれて上方に移行する傾斜方向に延伸しており、且つ第2アーム部32が走行体3の前後方向A3の中途部の上方から前方に向かうにつれて下方に移行する傾斜方向に延伸している。サブアーム30は、最後退位置に位置させている。
本実施形態にあっては、アーム17を回動可能に支持する回動フレーム21が走行体3の後部に設けられ、アーム17が後方側を向く作業姿勢W1にある状態で作物2の収穫作業を行うので、作業範囲を広くとることができる。
また、作業姿勢W1では、第1アーム部31の先端側31cが走行体3よりも後方側に位置しているのに対して、収納姿勢W2では、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3(機体6)の前端よりも後方に位置していて、第1アーム部31が走行体3の上方に位置している(図例では、第1アーム部31の先端側31cは、走行体3の前後方向の略中央部の上方に位置している)。これにより、移動時や格納時等の非使用時に、農業用ロボット1を前後方向A3にコンパクトにすることができる。
本実施形態の農業用ロボット1にあっては、アーム17を油圧シリンダによって揺動させる構成にすることにより、10kgを超えるスイカ等の重量作物を容易に持ち上げ搬送することができる。また、第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5の動力源(油圧源)として、走行体3に装備した油圧ポンプP1を利用する(走行体3側の油圧アクチュエータを駆動する動力源とマニピュレータ4側の油圧アクチュエータを駆動する動力源とが別々の動力源でない)ことから、コンパクトに構成することができる。
図12、図13に示すように、装着部19の上面側には、回動規制部材38と位置決め部材39とが設けられている。回動規制部材38及び位置決め部材39は、本実施形態では、それぞれ1本のピンによって形成されている。なお、回動規制部材38及び位置決め部材39は、ピンに限定されることはない。回動規制部材38は、アーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制する。アーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制することで、アーム17に配策される油圧ホース及
びハーネスが回動フレーム21に巻き付いたり、破損するのを防止することができる。位置決め部材39は、回動フレーム21の回動を規制してアーム17を収納姿勢W2に位置決めする。位置決め部材39で回動フレーム21の回動を規制することで、回動フレーム21を迅速且つ正確にアーム17の収納姿勢W2の位置に回動させることができる。
本実施形態では、図12に示すように、回動規制部材38は、回動フレーム21の右側方(側方)に配置されている。図12の上図に示すように、アーム17が回動フレーム21から後方に延伸する状態(後向き状態W3)から回動フレーム21を矢印Y3で示す第1回動方向(反時計方向)に90°回動すると、図12の下図に示すように、回動フレーム21(シリンダブラケット)は回動規制部材38に当接する。これにより、回動フレーム21の回動が規制される。
本実施形態では、図13に示すように、位置決め部材39は、回動フレーム21の前方側で且つ右寄りに配置されている。図13の上図に示すように、アーム17が後向き状態W3にある位置から回動フレーム21を矢印Y4で示す第2回動方向(時計方向)に180°回動すると、回動フレーム21は位置決め部材39に当接する。
以上のように、本実施形態では、回動フレーム21が回動規制部材38に当接した状態から時計回りに回動して位置決め部材39に当接するまでの回動範囲は、略270°に設定されている。なお、回動フレーム21の回動範囲は、270°に限定されることはない。
なお、回動規制部材38を回動フレーム21の左側方に配置し、回動フレーム21の第2回動方向Y4の回動でアーム17が作業姿勢W1にあるときの回動フレーム21の回動を規制するようにしてもよい。この場合、位置決め部材39は、回動フレーム21の前方側で且つ左寄りに配置され、回動フレーム21の第1回動方向Y3の回動でアーム17を収納姿勢W2に位置決めする。即ち、回動モータM2を正逆回転することで、回動フレーム21は、回動軸心J1回りの第1回動方向Y3と第1回動方向Y3の反対方向である第2回動方向Y4とに回動可能であり、回動規制部材38は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの一方の方向の回動を規制し、位置決め部材39は、回動フレーム21の第1回動方向Y3及び第2回動方向Y4のうちの他方の方向の回動を規制する。
図1に示すように、本実施形態では、撮像装置5は、回動フレーム21に取り付けられている。詳しくは、アームブラケット26の上部に支柱40を介して取り付けられている。これに限定されることはなく、撮像装置5は、走行体3等に取り付けてもよい。また、撮像装置5は複数箇所に設けられていてもよい。つまり、農業用ロボット1は、撮像装置5を複数有していてもよい。撮像装置5は、走行体3の周囲を撮影可能であって、走行体3の周囲の情報を撮影によって取得する。
撮像装置5は、例えば、ステレオカメラやレーザカメラ等の測距機能を有するカメラが採用される。ステレオカメラは、撮影した画像(イメージ)の視差データを生成し、カメラ(レンズ)と対象物(例えば、作物2や後述する運搬車48等の農業用ロボット1の周囲の物体や走行領域の境界等)までの距離を測定(計測)することができるカメラである。レーザカメラは、照明光として長距離まで届くレーザーを使用し、CCDカメラで撮影することでカメラと対象物までの距離を測定するカメラシステムである。
また、撮像装置5は、複数台のカメラで走行体3の周囲(前方、後方、左方及び右方)を撮影するものであってもよいし、1台で走行体3の周囲360°撮影することのできる全方位(360°)カメラで構成されていてもよい。
なお、作物2の品質をセンシングすることのできるカメラ(例えば、マルチスペクトルカメラ、遠赤外線カメラ、近赤外線分光カメラ等)をロボットハンド18や走行体3等に設けてもよい。これにより、作物2の品質をセンシングしながら収穫すべき作物2を選択して収穫することができる。
図14に示すように、農業用ロボット1は、制御装置41を有している。制御装置41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータを利用して構成
される。
制御装置41には、撮像装置5が接続されている。制御装置41は、撮像装置5が取得(検知)した情報(検知情報)を取得可能である。撮像装置5の検知情報によって、収穫すべき作物2、作物2との距離、作物2が栽培される栽培地と栽培地との間の通路と栽培地との境界、農業用ロボット1の周囲の様子等を制御装置41に把握(認識)させることができる。
制御装置41には、走行装置7が接続されている。制御装置41は、走行制御部41Aを有している。走行制御部41Aは、撮像装置5が取得した情報(検知情報)に基づいて、操向シリンダC1、第1昇降シリンダC2、第2昇降シリンダC3及び走行モータM1を制御する。即ち、走行制御部41Aは、走行装置7を制御する。走行制御部41Aが走行装置7の速度制御及び操向制御等を行うことで、走行体3が自律走行する。また、走行制御部41Aは、機体6の昇降、傾き等の制御を行う。
なお、走行体3を自律走行させるのに、ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)によって行ってもよい。ライダーは、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線等を照射し、跳ね返って戻ってくるまでの時間を測定することで、走行体3周辺の3Dマップを構築する光を用いたリモートセンシング技術である。
制御装置41には、第1ストロークセンサS1が接続されている。制御装置41は、第1ストロークセンサS1の検出情報を取得可能であり、第1ストロークセンサS1の検出情報によって制御装置41に第1アーム部31の揺動量を把握させることができる。また、制御装置41には、第2ストロークセンサS2が接続されている。制御装置41は、第2ストロークセンサS2の検出情報を取得可能であり、第2ストロークセンサS2の検出情報によって制御装置41に第1アーム部31に対する第2アーム部32の揺動量を把握させることができる。
なお、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動量は、ポテンショメータによって直接検出し、このポテンショメータのポテンショ値を制御装置41に送信するようにしてもよい。
図14に示すように、制御装置41には、回動モータM2、第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43が接続されている。制御装置41は、回動モータM2を制御することで回動フレーム21の回動を制御するフレーム制御部41Bを有している。フレーム制御部41Bは、回動規制部材38で規制された回動フレーム21の位置を基準(旋回原点)として回動フレーム21の回動を制御する。つまり、フレーム制御部41Bは、旋回原点を基準として回動フレーム21の回動位置を算出し、回動フレーム21の回動を制御する。したがって、収穫作業を開始する前(初期)に、回動フレーム21を一度回動規制部材38まで回動させておき、回動フレーム21の初期位置を制御装置41に把握させておく。
第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43は、例えば、パイロット式の電磁弁によって構成されている。第1シリンダ制御弁42は、第1アームシリンダC4を制御し第2シリンダ制御弁43は、第2アームシリンダC5を制御する。制御装置41は、第1シリンダ制御弁42、第2シリンダ制御弁43を制御することで第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動を制御するアーム制御部41Cを有している。つまり、制御装置41は、アーム17の昇降を制御する。
アーム制御部41Cは、第1シリンダ制御弁42の第1ソレノイド42a及び第2ソレノイド42bを励磁又は消磁させることによって、第1シリンダ制御弁42を中立位置42cから第1位置42d又は第2位置42eに切り換える。第1位置42dに切り換えると、第1アームシリンダC4が伸長し、これにより、第1アーム部31(アーム17)が上方揺動する。第2位置42eに切り換えると、第1アームシリンダC4が収縮し、これにより第1アーム部31(アーム17)が下方揺動する。また、アーム制御部41Cは、第2シリンダ制御弁43の第1ソレノイド43a及び第2ソレノイド43bを励磁又は消磁することによって、第2シリンダ制御弁43を中立位置43cから第1位置43d又は第2位置43eに切り換える。第1位置43dに切り換えると、第2アームシリンダC5
が伸長し、これにより、第2アーム部32が上方揺動する。第2位置43eに切り換えると、第2アームシリンダC5が収縮し、これにより、第2アーム部32が下方揺動する。
以上のように、制御装置41は、フレーム制御部41Bによって回動モータM2による回動フレーム21の回動を制御可能であり、アーム制御部41Cによって第1アームシリンダC4の伸縮による第1アーム部31の揺動及び第2アームシリンダC5による第2アーム部32の揺動を制御可能である。これによって、制御装置41は、ロボットハンド18を任意(所望)の位置に移動させることができる。詳しくは、回動フレーム21の回動による回動軸心J1を中心とする円周方向のロボットハンド18の移動、第1アーム部31の上下揺動によるロボットハンド18の昇降、第2アーム部32の揺動によるロボットハンド18の走行体3に対する遠近方向の移動によって、ロボットハンド18を目的の位置に移動させることができる。また、制御装置41は、撮像装置5の検知情報に基づいてロボットハンド18を収穫すべき作物2へロボットハンド18を移動させるようにマニピュレータ4を作動させる。
図14に示すように、制御装置41には、第3ストロークセンサS3が接続されている。制御装置41は、第3ストロークセンサS3の検出情報を取得可能であり、第3ストロークセンサS3の検出情報によって制御装置41にサブアーム30の突出量を把握させることができる。
ところで、回動フレーム21の回動位置、第1アーム部31及び第2アーム部32の揺動量が同じであっても、サブアーム30を突出させていない場合と、突出させている場合とでは、ロボットハンド18の位置は異なる。そこで、制御装置41は、サブアーム30の突出量を加味(考慮)してロボットハンド18の位置を制御する。
図14に示すように、第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5の油圧制御回路44には、圧力センサ45が設けられている。圧力センサ45は、第1シリンダ制御弁42と第1アームシリンダC4のロッド側(ピストンロッドが突出する側)の油室とを接続する第1接続油路44a、第1シリンダ制御弁42と第1アームシリンダC4のボトム側(ヘッド側)の油室とを接続する第2接続油路44b、第2シリンダ制御弁43と第2アームシリンダC5のロッド側の油室とを接続する第3接続油路44c、第2シリンダ制御弁43と第2アームシリンダC5のボトム側の油室とを接続する第4接続油路44dに設けられている。圧力センサ45の検出情報によって、アーム17(第1アームシリンダC4及び第2アームシリンダC5)に作用する負荷を検出することができる。
図14に示すように、各圧力センサ45は、制御装置41に接続されている。制御装置41は、各圧力センサ45の検出情報を取得可能である。制御装置41は、アーム17に作用する負荷(作物2の重さ)に応じて、油圧ポンプP1の出力を制御する力制御が可能である。
なお、圧力センサ45は、第1接続油路44aと第2接続油路44bとの両方に設ける必要はなく、いずれか一方に設けられていていればよい。また、圧力センサ45は、第3接続油路44cと第4接続油路44dとの両方に設ける必要はなく、いずれか一方だけに設けてもよい。
次に、図15を参照して、作物2を収穫する場合について説明する。図15は、作物2としてのスイカが栽培された圃場を示している。
図15に示すように、圃場には、作物2が栽培された栽培地46Aと該栽培地46Aに隣接する栽培地46Bとの間に通路47があり、作物2は、栽培過程で通路47側に寄せて育成される。走行体3は、通路47を走行する。走行体3の後方には、例えば、走行体3に追従して走行する追従型の自走式運搬車48が配置される。作物2が通路47側に寄せて育成されている場合は、アーム17は、サブアーム30を突出させない状態で使用する。
本実施形態の農業用ロボット1で作物2を収穫するにあたっては、走行体3は前進方向に進行し、マニピュレータ4は作業姿勢W1にした状態(例えば、アーム17を斜め後方に伸ばした状態)でロボットハンド18の位置制御を行って作物2の収穫を行う。収穫した作物2は、ロボットハンド18の位置制御を行って運搬車48に積み込む。なお、作物
2から延びるツタは、収穫作業をする前に切っておくか、或いは、ロボットハンド18またはアーム17の先端側に切断装置を装備しておき、該切断装置によって収穫作業時(ロボットハンド18で作物2を把持した際)に切断する。
また、作物2が通路47から遠い場所にある場合は、アーム17は、サブアーム30を突出させて延ばした状態で使用する。サブアーム30を突出または後退させてアーム17を伸縮させることにより、作物位置、作業形態に合わせたアーム寸法(アーム長さ)をとることができる。
なお、作物2を収穫した後に、ロボットハンド18の代わりにアーム17の先端側にレーキ(熊手)を取り付けて、収穫後にツタや葉を引き寄せる(かき寄せる)作業をすることもできる。この場合、アーム17は、サブアーム30を突出させて延ばした状態で使用することにより、通路47から遠い場所にあるツタや葉を引き寄せることができる。
なお、上記では、前進しながら作業をする場合を説明したが、後進しながら作業をすることもできる。
本実施形態の農業用ロボット1は、種々の設計変更が可能である。例えば、アーム17に、サブアーム30を設けない場合もある。即ち、アーム17を第1アーム部31と第2アーム部32とで構成することもできる。また、収穫した作物2が収容される運搬車48は、追従型の自走式運搬車でなくてもよく、走行体3に牽引される牽引式の運搬車であってもよい。つまり、走行体3の後方を走行体3の走行に伴って移動する運搬車48であればよい。また、収穫した作物2を収容する収容容器を機体6に装備してもよい。
次に、ロボットハンド18の構成を詳細に説明する。
以下の説明において、外方とは、ロボットハンド18の中心を通る上下方向に延伸する中心線L1から該中心線L1に直交する方向に離れる方向(図16の矢印L2方向)をいう。また、内方とは、外方とは反対の方向をいう。つまり、内方とは、中心線L1に近づく方向(図16の矢印L3方向)である。
図16に示すように、ロボットハンド18は、アーム17に取り付けられていて、アーム17を昇降することにより昇降可能である。また、ロボットハンド18は、吸引により作物2を把持する。
ロボットハンド18は、アーム17に取り付けられる取付部116と、作物2を把持する把持部117と、把持部117が作物2に与える衝撃を吸収する緩衝部118とを有している。図16に示す実施形態では、緩衝部118は、取付部116と把持部117との間に設けられている。つまり、把持部117は、緩衝部118を介して取付部116に取り付けられている。
取付部116は、プレート部材119と、一対のブラケット板64と、取付具66とを有している。プレート部材119は、把持部117の上方に間隔をあけて配置されている。一対のブラケット板64は、プレート部材119の上面に固定されている。また、一対のブラケット板64は、中心線L1に直交する方向で対向状に且つ中心線L1を挟んで配置されている。一対のブラケット板64には、中心線L1に直交する方向に延伸する軸心を有する支軸65が設けられている。取付具66は、支軸65に軸心回りに回動可能に支持されている。取付具66は、枢軸67を介してアーム17の先端側に設けられた吊りプレート37に軸心回りに回動可能に支持されている。枢軸67は、支軸65の軸心に直交する方向に平行な軸心を有している。したがって、ロボットハンド18は、アーム17に、支軸65の軸心回り及び枢軸67の軸心回りに揺動可能に支持されている。
図16に示すように、把持部117は、取付部116及び緩衝部118を介してアーム17に揺動可能に支持されるハンドフレーム63を有している。ハンドフレーム63は、図18にも示すように、上板63Aと、上板63Aの下方に配置された下板63Bと、上板63Aと下板63Bとの間に配置されて上板63Aと下板63Bとを連結する複数の連結板63Cとを有している。上板63A及び下板63Bは、中心線L1を中心とする円形状に形成されている。
図17、図18に示すように、下板63Bの中心部には、円形の開口69が形成されている。複数の連結板63Cは、開口69の周りに設けられている。本実施形態では、連結
板63Cは、8枚設けられ、中心線L1回りの周方向Y1に等間隔をあけて配置されている。
図23に示すように、下板63Bは、連結板63Cの下端側に固定されたステー片110にボルト111を介して取り付けられている。
図16に示すように、ロボットハンド18(把持部117)は、ハンドフレーム63に取り付けられる吸着パッド70を有している。
図18に示すように、吸着パッド70は、作物2を吸着する吸盤72と、吸盤72が取り付けられる取付ベース73とを有している。吸盤72は、ゴム(例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム等)等の弾性材料によって形成されている。また、吸盤72は、作物2の表面形状に追従する柔軟な弾性材料によって形成されている。吸盤72には、下方にいくにしたがって大径となる截頭円錐形の内部穴74が上下方向に貫通状に形成されている。吸盤72は、取付ベース73の下面側に取り付けられている。取付ベース73は、下板63Bの下面側に配置され、下板63Bにボルト等の固定具によって取り付けられる。取付ベース73には、下板63Bの開口69と吸盤72の内部穴74とを連通する連通穴75を有している。連通穴75は、下部の大径穴75aと、上部の小径穴75bとを有している。
図18に示すように、吸盤72は、連通穴75及び吸引管路120等を介して、吸引ポンプ(ポンプ)76に接続されている。図14に示すように、吸引ポンプ76は、制御装置41に接続されている。制御装置41は、吸引ポンプ76を制御するポンプ制御部41Dを有している。つまり、制御装置41は、吸引ポンプ76の吸引を制御する。
図16に示すロボットハンド18にあっては、アーム17を下降させて吸盤72の下面側を作物2に接触させ、ポンプ制御部41Dによって吸引ポンプ76を駆動させて該吸引ポンプ76によって内部穴74内の空気を吸引して該内部穴74内を負圧にすることにより、ロボットハンド18(把持部117)は、作物2を吸着して把持する。
本実施形態の農業用ロボット1にあっては、ロボットハンド18をアーム17によって作物2の上方に移動させると共に下降させて作物2を吸着するが、図24に2点鎖線で示すように、作物2がロボットハンド18の真下位置から水平方向に位置ずれしていて、吸盤72の向きが作物2の中心O1に向いていないときには、作物2を良好に吸着するのが困難になる。そこで、本実施形態のロボットハンド18(把持部117)は、図16、図17に示すように、吸盤72が作物2に接触する前に作物2に当接して吸盤72が作物2に向くようにハンドフレーム63を揺動させるガイド機構77を備えている。
図16、図17に示すように、ガイド機構77は、複数のガイドアーム78と、各ガイドアーム78に対して設けられた複数の第1バネ部材79とを有している。本実施形態では、ガイドアーム78は、吸着パッド70(吸盤72)の周囲に8つ設けられている。したがって、第1バネ部材79も8つ設けられている。8つ(複数)のガイドアーム78は、吸着パッド70の周囲に周方向Y1に等間隔をあけて配置されている。
図19に示すように、ガイドアーム78は、上部が下板63Bにブラケット部材80を介して取り付けられ、下部は吸盤72よりも下方に突出するように設けられている。
図20、図21、図22に示すように、ブラケット部材80は、板材によって形成され、取付壁80aと、延出壁80bと、複数の支持壁80cと、バネ掛け壁80dとを有している。取付壁80aは、下板63Bの外周側に取り付けられる。取付壁80aの外方側の端部は、下板63B及び吸着パッド70から外方側にはみ出ている。延出壁80bは、取付壁80aの外方側端部から下方に延出されている。延出壁80bは、吸着パッド70の上部(取付ベース73)の外方側に対向状に位置している。複数の支持壁80cは、延出壁80bの周方向Y1の一端側から外方側に延出された第1支持壁80c1と、延出壁80bの周方向Y1の他端側から外方側に延出された第2支持壁80c2とを含む。バネ掛け壁80dは、取付壁80aの周方向Y1の一端側から上方に延出されて形成されている。
図19に示すように、ガイドアーム78は、ブラケット部材80に枢支される基部81と、基部81から下方に延出されたアーム部82と、アーム部82の下部に取り付けられ
た取付板83と、取付板83に取り付けられたローラ84とを有している。
図20、図22に示すように、基部81は、第1支持壁80c1の内側に配置される第1支持片81aと、第2支持壁80c2の内側に配置される第2支持片81bと、第1支持片81aと第2支持片81bの外方側端部同士を連結する連結壁81cとを有している。基部81は、回動支軸85によってブラケット部材80に枢支されている。回動支軸85は、第1支持壁80c1、第2支持壁80c2、第1支持片81a及び第2支持片81bを、板厚方向で貫通している。したがって、ガイドアーム78は、ハンドフレーム63にブラケット部材80を介して回動支軸85回りに揺動可能に支持されている。
図20、図21に示すように、基部81は、ブラケット部材80に当接することでガイドアーム78の内方側への揺動を規制する規制部81dを有している。規制部81dは、第1支持片81aの内方側に設けられている。規制部81dは、ブラケット部材80の延出壁80bの下端に当接することで、ガイドアーム78の内方側への揺動を規制する。したがって、ガイドアーム78は、図16に示す位置から外方側(複数のガイドアーム78が広がる方向)に揺動可能である。
図19、図21に示すように、第1支持片81aの下部には、バネ掛け部81eが形成されている。
図16、図19に示すように、アーム部82は、基部81の連結壁81cから下方に延出されている。詳しくは、アーム部82は、連結壁81cの下端から下方に向かうにつれて外方に移行する傾斜方向に延びた後、下方に向けて緩やかに屈曲している。
図19に示すように、取付板83は、上部がアーム部82の下部の外方側の面に取り付けられ、下部はアーム部82の下端から下方に突出している。取付壁80aの下部の内方側の面には、ローラブラケット86が固定されている。ローラ84は、ローラブラケット86に回転可能に枢支されている。複数(本実施形態では8つ)のローラ84は、中心線L1を中心とする同一円周上に配置されている。
図19、図20に示すように、第1バネ部材79は、ねじりコイルバネによって形成されている。第1バネ部材79のコイル部79aは、第1支持片81aと第2支持片81bとの間で回動支軸85の外側に嵌められている。第1バネ部材79の一端79bは、取付壁80a上に当接している。第1バネ部材79の他端79cは、バネ掛け部81eに引っ掛けられている。第1バネ部材79の付勢力は、ガイドアーム78を内方側へ揺動させる方向に作用している。
ロボットハンド18で収穫する作物2によっては、作物2がツタ(茎)や葉等の周辺物で覆われていることがある。作物2がツタや葉等で覆われていると、吸盤72(把持部117)と作物2との間にツタや葉等が入って吸着の邪魔になる場合がある。そこで、ロボットハンド18(把持部117)は、吸着パッド70で作物2を吸着する際に、作物2における吸盤72を接触させる部分である接触予定部分(吸着部分)87(図24、図25参照)のツタ等の周辺物を払い除ける払い除け機構88を備えている。
図16に示すように、払い除け機構88は、接触予定部分87のツタ等を払い除ける払い除けアーム89と、払い除けアーム89を付勢する第2バネ部材(付勢部材)90とを有している。
図17に示すように、本実施形態では、8つ(複数)の払い除けアーム89が設けられている。払い除けアーム89は、周方向Y1で隣接するガイドアーム78の間に設けられている。即ち、ガイドアーム78と払い除けアーム89とは、周方向Y1に交互に配置されている。
図18に示すように、払い除けアーム89は、ツタ等を払い除ける払い除けツメ(払い除け部)91と、払い除けツメ91を支持するリンク機構92とを有しており、ハンドフレーム63に揺動可能に取り付けられている。払い除けツメ91は、第1部位91aと、第2部位91bと、第3部位91cとを有している。第1部位91aは、吸着パッド70の外方側に配置され、上下方向に延伸している。第1部位91aの下部は、吸着パッド70よりも下方に突出している。第2部位91bは、第1部位91aの下端から内方(中心線L1)に向かうにつれて下方に移行する傾斜方向に延出されている。第3部位91cは、第2部位91
bの下端から下方に延出されている。第3部位91cは、中心線L1の近傍に位置している。言い換えると、第3部位91cは、吸着パッド70が作物2を吸着する前の状態(自然状態)で吸着パッド70の下方にオーバーラップして配置される。詳しくは、第3部位91cは、自然状態において平面視で吸着パッド70とオーバーラップしている。言い換えると、払い除けアーム89は、吸着パッド70の下方にオーバーラップして配置される部位(第3部位91c)を有している。第3部位91cの下端は、円弧状に形成され、且つローラ84(ガイドアーム78の下端)よりも上方に位置している(図16参照)。
図18に示すように、リンク機構92は、パラレルリンクによって構成されている。したがって、払い除けツメ91は、平行移動で移動するようにリンク機構92に支持されている。リンク機構92は、第1リンク92Aと、第2リンク92Bとを有している。第1リンク92Aは、直線状に形成され、連結板63Cの上部から払い除けツメ91の上部にかけて、下方に向かうにしたがって外方に移行する傾斜方向に延伸している。第1リンク92Aは、上部が連結板63Cの上部にピン93によって枢支連結され、下部は、払い除けツメ91の上部にピン94によって枢支連結されている。第1リンク92Aの上部には、バネ掛け片109が設けられている。バネ掛け片109は、バネ掛け壁80dの上方に位置している(図23参照)。
第2リンク92Bの上部は、連結板63Cの下部にピン95によって枢支連結されている。第2リンク92Bの中途部は、第1リンク92Aの下方に平行に配置されている。第2リンク92Bの下部は、中途部の下端から下方に向けて延出しており、第1部位91aと第2部位91bとのコーナ部にピン96によって枢支連結されている。
図18に示すように、バネ掛け片109とバネ掛け壁80dとにわたって第2バネ部材90が設けられている。第2バネ部材90は、引っ張りコイルバネによって形成されている。第2バネ部材90の付勢力は第1リンク92Aを引き下げる方向に付勢しており、第2リンク92Bが下板63Bに当接することでリンク機構92(払い除けアーム89)の下方揺動が規制されている。
なお、上記ロボットハンド18において、アーム部82を帯状のバネ板によって形成してもよい。この場合、第1バネ部材79を省略することができる。また、ガイドアーム78及び払い除けアーム89の数は、上記実施形態に限定されることはない。
図16、図18に示すように、緩衝部118は、伸縮可能なバネ部材121と、伸縮可能な伸縮リンク機構122とを有し、上下方向に伸縮可能である。把持部117は、伸縮可能な緩衝部118を介してアーム17に吊り下げられている。つまり、把持部117は、アーム17及び取付部116と、緩衝部118によって慣性的に分離されている。
バネ部材121は、本実施形態では、上下方向に延伸する軸心を有するコイルバネによって構成されている。バネ部材121は、把持部117の中心部の上方に配置されており、バネ部材121の軸心は、中心線L1と略同心状とされている。バネ部材121の一端側(上端側)は、取付部116に取り付けられている。詳しくは、バネ部材121の上端側は、プレート部材119の下面側に取り付けられている。バネ部材121の他端側(下端側)は、把持部117に取り付けられている。詳しくは、バネ部材121の下端側は、ハンドフレーム63の上板63Aの上面側に取り付けられている。
図16、図18に示すように、伸縮リンク機構122は、第1リンク機構123と、第2リンク機構124とを有している。第1リンク機構123と第2リンク機構124とは、バネ部材121を挟んで配置されている。第1リンク機構123は、第1リンク123Aと、第2リンク123Bとを有している。第1リンク123Aの一端側は、プレート部材119(取付部116)の下面に固定された固定片125Aに枢支連結されている。第1リンク123Aの他端側は、第2リンク123Bの一端側に枢支連結されている。第2リンク123Bの他端側は、上板63A(把持部117)の上面側に固定された固定片125Bに枢支連結されている。第2リンク機構124は、第1リンク124Aと、第2リンク124Bとを有している。第1リンク124Aの一端側は、プレート部材119(取付部116)の下面に固定された固定片125Cに枢支連結されている。第1リンク124Aの他端側は、第2リンク124Bの一端側に枢支連結されている。第2リンク124
Bの他端側は、上板63A(把持部117)の上面側に固定された固定片125Dに枢支連結されている。第1リンク123Aの一端側と第1リンク124Aの一端側とは、中心線L1に直交する方向でバネ部材121を挟んで間隔をあけて配置されている。第2リンク123Bの他端側と第2リンク124Bの他端側とは、中心線L1に直交する方向でバネ部材121を挟んで間隔をあけて配置されている。
本実施形態の緩衝部118は、バネ部材121及び伸縮リンク機構122が伸縮することで、把持部117がアーム17に対して相対的に上下動する。バネ部材121は、収縮することで、把持部117が作物2に与える衝撃を吸収する。伸縮リンク機構122は、バネ部材121の伸縮をガイドする。なお、緩衝部118は、伸縮リンク機構122を有していなくてもよい。
次に、スイカ等の地上(地面G1の上)に置かれた状態で栽培された作物2(図27参照)を収穫する場合のロボットハンド18の動作について説明する。なお、以下の動作は、作物2からのびるツタ(つる)の付け根を切断した状態で作物2を収穫する場合について述べる。
地上の作物2を収穫するには、ロボットハンド18を、図16に示す状態でアーム17によって作物2の上方に移動する。この図16に示す状態では、ロボットハンド18は、ガイドアーム78の規制部81dがブラケット部材80に当接し、払い除けアーム89が閉じた状態である。
先ず、作物2がロボットハンド18の真下に位置(図24に実線で示す位置)する状態の該作物2を収穫する場合について述べる。
図24に示すロボットハンド18が作物2の上方真上に位置する状態からアーム17を下降させてロボットハンド18を下げると、吸着パッド70が作物2に接触する前に、先ず、払い除け機構88の払い除けツメ91の第3部位91c(下端)が作物2における吸盤72を接触させる部分である接触予定部分87に当接する。
払い除けツメ91の下端が作物2に当接した後、さらにロボットハンド18が下降すると、図25に示すように、作物2からの反力によって第2バネ部材90の付勢力に抗して払い除けツメ91が作物2の表面に沿って外方に移動することによって開く。これにより、接触予定部分87にあるツタや葉等の周辺物を払い除けることができ、作物2と吸着パッド70との間にツタや葉等が咬み込まれることなく、吸盤72を作物2に好適に接触させることができる。また、作物2からの反力によって払い除けツメ91が開く際において、第2バネ部材90は、払い除けツメ91を作物2に押圧すると共に払い除ける反力によって払い除けツメ91が戻るのを抑制する。
ロボットハンド18が、さらに下降すると、図26に示すように、払い除けツメ91が作物2の表面に沿って接触予定部分87の範囲外(吸着パッド70の下方範囲の外側)に移動して、接触予定部分87にあるツタ等を払い除けた後、吸着パッド70(吸盤72)が接触予定部分87に接触する。
図27に示すように、吸着パッド70が作物2に接触し密着すると、作物2が吸着パッド70(把持部117)と地面G1との間に挟み込まれると共に把持部117から作物2に衝撃が加わる。このとき、緩衝部118が収縮することにより作物2に加わる衝撃が抑制される。詳しくは、吸着パッド70が作物2に接触した後、アーム17がさらに下降しても、緩衝部118が収縮することにより、アーム17の下降方向の力は大幅に低減されて把持部117(ハンドフレーム63及び吸着パッド70)に伝わる。これにより、把持部117が作物2に与える衝撃を抑制することができる。言い換えると、把持部117はアーム17と慣性的に分離されているので、把持部117(吸着パッド70)が作物2に勢いよく当接しても、把持部117が作物2に与える衝撃を緩衝部118によって吸収することができる。これにより、把持部117が作物2に与える衝撃力を抑制することができ、延いては、把持部117が作物2に当接することによる作物2の損傷を防止することができる。また、アーム17による把持部117の下降制御が精密でなかっても、作物2の損傷防止を図ることができる。
作物2に吸着パッド70を接触させた後は、吸引ポンプ76を作動させて吸引によって
作物2を吸着パッド70に吸着する。なお、吸引ポンプ76を作動させながら(吸引しながら)作物2に対して把持部117を下降させるようにしてもよい。
吸盤72によって吸着された作物2は、ロボットハンド18を上昇させることで持ち上げられる。ロボットハンド18が作物2を持ち上げると、緩衝部118は、元の状態に伸長する。作物2は、ロボットハンド18を所望の移動場所(追従型の自走式運搬車48等)へ移動させた後、吸引を解除することで解放される。
図27に示すように、持ち上げた作物2を載置部(載置場所)126に降ろす場合においても、アーム17の下降制御が精密でなかっても、緩衝部118が収縮することにより、把持部117が作物2に与える衝撃が吸収される(作物2に与える衝撃力を抑制することができる)。
作物2を解放した後は、ロボットハンド18を、次の収穫目標の作物2へ移動させ、上記した動作を繰り返すことにより、順次、作物2を収穫することができる。
一方、図24に2点鎖線で示すように、作物2がロボットハンド18の真下位置から水平方向に位置ずれしている場合、つまり、作物2の上方の真上位置からロボットハンド18水平方向に位置ずれしている場合にあっては、ロボットハンド18を作物2に向けて下降する際に、ガイド機構77は、吸盤72が作物2に接触するよりも先に作物2に当接し、吸盤72が作物2の中心O1に向くように把持部117(ハンドフレーム63)を揺動させる。詳しくは、図24に示すように、吸盤72の向きが作物2の中心O1を向いていない場合、複数のガイドアーム78(ローラ84)のうちの一部が作物2に当接し、複数のガイドアーム78(ローラ84)のうちの一部が作物2に当接しない状態となる。この図24に示す状態からさらにロボットハンド18が下降すると、該ロボットハンド18の下降により、図28に示すように、ガイド機構77は、すべてのガイドアーム78が作物2に当接するようにハンドフレーム63を揺動させ、吸盤72の向きを作物2の中心O1の方に向ける。これにより、吸盤72によって作物2を確実に吸着(吸引)することができる。
一方、ガイド機構77は、作物2の大きさが初期の状態(図16に示す状態)におけるローラ84が配置される円周の大きさよりも大きい場合、吸盤72を作物2に押し当てる過程で、ガイドの機能を保ったまま作物2の形状に合わせて逃げることができる。言い換えると、ガイド機構77は、ロボットハンド18の下降によって各ガイドアーム78が作物2に押しつけられると、図25、図26に示すように、各ガイドアーム78が作物2からの反力によって押圧されて外方に揺動することによって広がる。
図29~図32は、他の実施形態を示している。
この他の実施形態にあっては、緩衝部118は、取付部116と把持部117との間にはなく、把持部117に設けられている。また、この他の実施形態にあっては、取付部116は、プレート部材119を有していなく、一対のブラケット板64は、ハンドフレーム63の上板63Aの上面に固定されている。
図29、図30に示すように、この他の実施形態の吸着パッド70にあっては、吸盤72は、上下方向に延伸する軸心X1を有する筒状の蛇腹構造によって構成されている。詳しくは、吸盤72は、山部72aと谷部72bとが軸心X1方向に交互に連続して形成された蛇腹構造である。吸盤72は、上下が開口状の筒状に形成され、下端部に作物2に接触する接触口72cを有している。接触口72cは、山部72aよりも大径に形成されている。吸盤72は、上記の実施形態と同様に、ゴム(例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム等)等の柔軟な弾性材料によって形成されている。吸盤72は、上下方向(軸心X1方向)で隣接する山部72a同士が近接離反するように弾性変形することで上下方向(軸心X1方向)に伸縮可能である。この他の実施形態にあっては、吸盤72は、緩衝部118を構成している。
取付ベース73の下面側には、下方が開口状の筒状に形成された取付部73aが形成されている。取付部73aの外側に吸盤72の上端側が嵌められ且つ固着されている。なお、取付ベース73と吸盤72とは一体形成されていてもよい。
その他の構成は、図1~図28に示す実施形態と同様に構成される。
次に、この他の実施形態のロボットハンド18でスイカ等の作物2を収穫する場合の該ロボットハンド18の動作について説明する。なお、以下の動作は、作物2からのびるツタ(つる)を切断した状態で作物2を収穫する場合について述べる。
作物2を収穫するには、ロボットハンド18を、図30に示す状態でアーム17によって作物2の上方に移動する。この図30に示す状態では、ロボットハンド18は、ガイドアーム78の規制部81dがブラケット部材80に当接し、払い除けアーム89が閉じた状態である。また、吸盤72は、所定量伸びた状態である。
払い除け機構88及びガイド機構77の動作については、図1~図28に示す実施形態と同様であるので省略する。
図31に示すように、この他の実施形態にあっては、払い除け機構88の払い除けツメ91が作物2の表面に沿って接触予定部分87の範囲外に移動して、接触予定部分87にあるツタ等を払い除けた後、吸盤72が接触予定部分87に接触する。このとき、吸盤72が縮むことにより、把持部117が作物2に与える衝撃を、吸収し抑制することができる。
この他の実施形態にあっては、制御装置41は、アーム17を下降させて吸盤72を作物2に接触させ、該接触させた状態で吸引ポンプ76によって吸盤72内の空気を吸引して吸盤72を収縮させる。詳しくは、制御装置41は、先ず、ロボットハンド18を作物2に対して下降させる際に、吸盤72内の空気を吸引しながらロボットハンド18を降ろす。そして、ロボットハンド18が作物2に接近し、吸盤72が作物2に接触すると、吸盤72の内部の空気が吸引されることにより吸盤72内が負圧になって吸盤72が縮む。吸盤72が縮むと、図32に示すように、作物2が把持部117に引き寄せられて持ち上げられる。なお、作物2を吸着パッド70に吸着させる場合、吸盤72が作物2に接触した後に吸引ポンプ76を作動させて、吸盤72内の空気を吸引するようにしてもよい。
この他の実施形態にあっては、ロボットハンド18(アーム17)の制御が精密でなくても、把持部117が作物2に勢いよく当たる前に、伸びた吸盤72が縮むことにより、作物2がフワッと把持部117に引き寄せられるので、作物2に衝撃が加わるのを抑制することができる。
また、図32に示すように、ロボットハンド18で作物2を持ち上げた状態から、載置部126に降ろす場合は、制御装置41は、持ち上げた作物2をアーム17を下降して載置部126に載置する際において、載置部126に作物2が接触する前にアーム17の下降を停止すると共に、作物2に対する吸引力を徐々に下げることで吸盤72を伸ばして作物2を載置部126に載置させる。これにより、ロボットハンド18(アーム17)の制御が精密でなくても、作物2が載置部126にフワッと接地するので、載置部126からの衝撃が作物2に加わることを抑制することができる。
また、この他の実施形態にあっては、吸盤72は、蛇腹構造であるので屈曲可能であり、屈曲することで下部(接触口72c)が首振り可能である。これにより、吸盤72の軸心X1と作物2の中心とが軸心X1に直交する方向に位置ずれしていても、吸盤72が作物2に接触した際に屈曲することで作物2の表面形状に沿って馴染み、作物2に密着する。
上記のロボットハンド18は、昇降可能なアーム17に取り付けられるロボットハンド18であって、作物2を吸着する吸着パッド70と、吸着パッド70で作物2を吸着する際に作物2の周辺物を払い除ける払い除け機構88とを有する把持部117と、把持部117が作物2に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部118と、を備えている。
この構成によれば、吸着パッド70で作物2を吸着する際に、作物2のツタ等の周辺物を払い除け機構88によって払い除けることで作物2を好適に吸着することができると共に、把持部117が作物2に勢いよく当たっても緩衝部118が収縮することで作物2に与える衝撃を抑制することができる。
また、アーム17に取り付けられる取付部116を備え、緩衝部118は、取付部116と把持部117との間に設けられている。
この構成によれば、作物2を把持する把持部117は、アーム17などの重量物と緩衝部118によって慣性的に分離されているので、把持部117が作物2に与える衝撃を好適に抑制することができる。
また、緩衝部118は、伸縮可能なバネ部材121を有している。
この構成によれば、吸着パッド70を作物2に当接させる際に、バネ部材121が収縮することにより把持部117が作物2に与える衝撃を抑制することができる。
また、緩衝部118は、伸縮可能な伸縮リンク機構122を有している。
この構成によれば、伸縮リンク機構122によって緩衝部118の伸縮をガイドすることができる。
また、吸着パッド70は、作物2を吸着する吸盤72であって伸縮可能な吸盤72を有し、吸盤72は、緩衝部118を構成している。
この構成によれば、吸着パッド70を作物2に当接させる際に、吸盤72が収縮することによりロボットハンド18が作物2に与える衝撃を抑制することができる。
また、吸盤72は、蛇腹構造によって伸縮可能に構成されている。
この構成によれば、吸盤72は、蛇腹構造であるので屈曲可能であり、作物2に接触させる際に屈曲することで作物2の表面形状に沿って馴染む。
また、払い除け機構88は、吸着パッド70の下方にオーバーラップして配置される部位(第3部位91c)を含む払い除けアーム89を有し、払い除けアーム89は、前記部位91cが吸着パッド70の下方範囲の外側に移動するように揺動可能である。
この構成によれば、払い除けアーム89が揺動して前記部位91cが吸着パッド70の下方から該吸着パッド70の下方範囲の外側に移動することで、作物2のツタ等を払い除けることができる。
また、払い除け機構88は、吸着パッド70が吸着する部分である作物2の吸着部分(接触予定部分87)のツタ等の周辺物を払い除ける払い除けアーム89と、払い除けアーム89を作物2に押しつける方向に付勢する付勢部材(第2バネ部材90)とを有し、払い除けアーム89は、把持部117を下降させた際に作物2に押しつけられることで作物2からの反力によって付勢部材90の付勢力に抗して作物2の表面に沿って吸着部分87の範囲外に移動する。
この構成によれば、払い除けアーム89が作物2の表面に沿って移動してツタ等を払い除ける際に、払い除けアーム89がツタ等からの反力によって押し返されるのを抑制することができる。
また、上記ロボットハンド18は、農業用ロボット1に採用することができる。
また、農業用ロボット1は、作物2を吸着する伸縮可能な吸盤72であって緩衝部118を構成する吸盤72を含む吸着パッド70を有するロボットハンド18と、吸盤72内の空気を吸引するポンプ76と、ポンプ76の吸引及びアーム17の昇降を制御する制御装置41と、を備え、制御装置41は、アーム17を下降させて吸盤72を作物2に接触させ、該接触させた状態でポンプ76によって吸盤72内の空気を吸引して吸盤72を収縮させる。
この構成によれば、伸びた状態で吸盤72を作物2に接触させ且つ接触させた状態でポンプ76によって吸盤72内の空気が吸引されると、吸盤72が収縮して作物2を持ち上げることができる。これにより、作物2に衝撃が加わるのを大幅に抑制することができる。
また、制御装置41は、持ち上げた作物2をアーム17を下降して載置部126に載置する際において、載置部126に作物2が接触する前にアーム17の下降を停止すると共に、作物2に対する吸引力を徐々に下げることで吸盤72を伸ばして作物2を載置部126に載置させる。
この構成によれば、ロボットハンド18によって持ち上げた作物2を載置部126に降ろす際に、載置部126からの衝撃が作物2に加わることを抑制することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記し
た説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 作物
17 アーム
18 ロボットハンド
41 制御装置
70 吸着パッド
72 吸盤
76 ポンプ
87 吸着部分(接触予定部分)
88 払い除け機構
89 払い除けアーム
90 付勢部材(第2バネ部材)
91c 部位(第3部位)
116 取付部
117 把持部
118 緩衝部
121 バネ部材
122 伸縮リンク機構
126 載置部

Claims (14)

  1. 昇降可能なアームに取り付けられるロボットハンドであって、
    作物を吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドとは別体に構成された払い除け機構であって前記吸着パッドで前記作物を吸着する際に前記作物の周辺物を払い除ける払い除け機構とを有する把持部と、
    前記把持部が前記作物に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部と、
    を備えているロボットハンド。
  2. 前記アームを下降させることで、前記払い除け機構が前記作物の周辺物を払い除ける払い除け動作をすると共に前記吸着パッドが前記作物に接触して該作物を吸着可能となる請求項1に記載のロボットハンド。
  3. 前記把持部は、前記吸着パッドが取り付けられると共に前記アームに支持されるハンドフレームを有し、
    前記払い除け機構は、前記周辺物を払い除ける払い除け部と、前記払い除け部を支持すると共に前記ハンドフレームに揺動可能に取り付けられたリンク機構とを有している請求項1または2に記載のロボットハンド。
  4. 前記緩衝部は、伸縮可能なバネ部材と、前記バネ部材と並設され前記バネ部材の伸縮方向に伸縮自在な伸縮リンク機構とを有している請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットハンド。
  5. 前記アームに取り付けられる取付部を備え、
    前記緩衝部は、前記取付部と、前記取付部の下方に配置された前記把持部との間に設けられており、
    前記把持部は、前記バネ部材及び前記伸縮リンク機構を介して前記取付部に吊り下げられている請求項に記載のロボットハンド。
  6. 前記バネ部材は、上下方向に延伸する軸心を有するコイルバネによって構成され、上端側が前記取付部に取り付けられ下端側が前記把持部に取り付けられ、
    前記伸縮リンク機構は、上端側が前記取付部に連結され下端側が前記把持部に連結されていて前記バネ部材の伸縮をガイドする請求項に記載のロボットハンド。
  7. 前記伸縮リンク機構は、前記コイルバネの軸心に直交する方向で前記コイルバネを挟んで配置された第1リンク機構及び第2リンク機構を有し、
    前記第1リンク機構と前記第2リンク機構とは、各々、一端側が前記取付部に枢支連結された第1リンクと、一端側が前記第1リンクの他端側に枢支連結され他端側が前記把持部に枢支連結された第2リンクとを有している請求項に記載のロボットハンド。
  8. 前記吸着パッドは、前記作物を吸着する吸盤であって伸縮可能な吸盤を有し、
    前記吸盤は、前記緩衝部を構成している請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットハンド。
  9. 前記吸盤は、蛇腹構造によって伸縮可能に構成されている請求項に記載のロボットハンド。
  10. 昇降可能なアームに取り付けられるロボットハンドであって、
    作物を吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドで前記作物を吸着する際に前記作物の周辺物を払い除ける払い除け機構とを有する把持部と、
    前記把持部が前記作物に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部と、
    を備え、
    前記払い除け機構は、前記吸着パッドの下方にオーバーラップして配置される部位を含む払い除けアームを有し、
    前記払い除けアームは、前記部位が前記吸着パッドの下方範囲の外側に移動するように揺動可能であるロボットハンド。
  11. 昇降可能なアームに取り付けられるロボットハンドであって、
    作物を吸着する吸着パッドと、前記吸着パッドで前記作物を吸着する際に前記作物の周辺物を払い除ける払い除け機構とを有する把持部と、
    前記把持部が前記作物に与える衝撃を収縮することで吸収する伸縮可能な緩衝部と、
    を備え、
    前記払い除け機構は、前記吸着パッドが吸着する部分である作物の吸着部分の周辺物を払い除ける払い除けアームと、前記払い除けアームを前記作物に押しつける方向に付勢する付勢部材とを有し、
    前記払い除けアームは、前記把持部を下降させた際に前記作物に押しつけられることで前記作物からの反力によって前記付勢部材の付勢力に抗して前記作物の表面に沿って前記吸着部分の範囲外に移動するロボットハンド。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載のロボットハンドを備えている農業用ロボット。
  13. 請求項に記載のロボットハンドを有する農業用ロボットであって、
    前記吸盤内の空気を吸引するポンプと、
    前記ポンプの吸引及び前記アームの昇降を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、前記アームを下降させて前記吸盤を前記作物に接触させ、該接触させた状態で前記ポンプによって前記吸盤内の空気を吸引して前記吸盤を収縮させる農業用ロボット。
  14. 前記制御装置は、持ち上げた前記作物を前記アームを下降して載置部に載置する際において、前記載置部に前記作物が接触する前に前記アームの下降を停止すると共に、前記作物に対する吸引力を徐々に下げることで前記吸盤を伸ばして前記作物を前記載置部に載置させる請求項13に記載の農業用ロボット。
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