JP7353810B2 - 複合材、排ガス浄化用触媒及び複合材の製造方法 - Google Patents

複合材、排ガス浄化用触媒及び複合材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合材及びその製造方法、並びに複合材を用いた排ガス浄化用触媒に関し、特に、自動車、発電所等からの排ガスに含まれるNO、CO等の有害ガスの浄化において高い触媒活性を示す複合材及びこれを用いた排ガス浄化用触媒、並びに、このような複合材を低コストで簡便に製造可能な製造方法に関する。
近年、環境問題の観点から、自動車、発電所等からの排ガスに含まれる窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)等の有害ガスを浄化させるため、これらの有害ガスをCO、N等の有害ではないガスに効率的に変換可能な触媒が注目されている。
このような触媒として、例えば、特許文献1に開示されているような、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属が一般に用いられる(特許文献1)。しかしながら、これらの貴金属は高価であるとともに、資源の制約があり、流通量が少ない等の問題がある。そこで、近年では貴金属の使用量を削減するため、貴金属の低減又は代替の技術が開発されている。
特許文献2には、パラジウムを主成分として含む触媒層と、白金、ロジウムのような高価な貴金属を含む触媒層との複数層から構成される排気ガス浄化触媒を使用して、高価な白金の使用量を低減させる技術が開示されている。特許文献3には、コバルト含有酸化物からなる粒子上に、ケイ素、チタン、ジルコニウム等の酸化物と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等の酸化物とが分散された複合粒子を含む排気ガス浄化触媒を使用して、貴金属の代替技術が開示されている。
しかしながら、特許文献2に報告されている技術で使用されているPdも比較的高価であるため、コスト面において費用効果が高いとはいえない。また、特許文献3に報告されている技術で使用されている貴金属代替触媒では、貴金属触媒に匹敵する触媒性能を発揮することは困難である。そのため、排気ガス浄化触媒は、コスト面、性能面においてさらなる改善の余地がある。
従来の貴金属触媒は、一般的に、アルミナ、ゼオライト等の担体上に沈殿法又は含浸法によって担持させるため、単位重量当たりの表面積が大きくなるようナノサイズの微粒子として存在している。また、このような貴金属粒子は優れた触媒性能を発揮するものの、耐熱環境下ではナノ微粒子のシンタリング(凝集)が発生し、触媒活性面積が大きく減少するため、触媒性能が十分に発揮されないことが知られている。貴金属触媒における触媒活性面積の減少は、貴金属触媒量を増やすことである程度補填できるものの、貴金属の単価を考慮するとこのような方法は現実的ではない。
触媒活性の有効面積を増大させる技術として、特許文献4には、電気化学的方法により線状または粒子状のナノ触媒を担体としての多孔性フィルターの内部に分散させる方法が報告されている。しかしながら、結晶化したナノ触媒を電析法で形成させる方法は、ナノ触媒の析出位置に偏りが生じやすく、触媒活性が高い領域にバラつきがある。また、線状または粒子状のナノ触媒は、担体との密着性が低いといった問題がある。
特開平2-157042号公報 特開2014-144426号公報 特開2014-226646号公報 特表2016-521201号公報
本発明は、シンタリングの発生を抑制し、触媒活性に優れた複合材及びこれを用いた排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。また、本発明は、このような複合材を低コストで簡便に製造可能な方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題に対して鋭意検討を行った結果、触媒成分として、触媒活性を示す主表面をもつ薄片状の複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体である金属酸化物が、当該連結集合体を担持する基材上に層状に形成された複合材を、排ガス浄化用触媒として使用することにより、基材の一面全体が触媒活性を示す領域として機能し、また、触媒成分の層状構造が、シンタリングが発生しにくい構造であるとの知見を得た。その結果、このような複合材は、シンタリングの発生を抑制し、優れた触媒活性を示すことを見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
[1] 基材と、該基材上に層状に形成された金属酸化物とを有し、
前記金属酸化物が、複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体であり、
前記複数のナノ結晶片の形状が、特定の結晶面が表出している主表面をもつ薄片状であることを特徴とする複合材。
[2] 前記連結集合体が、50μm以下の厚さの被膜構造を有する[1]に記載の複合材。
[3] 前記連結集合体が、周期表第4周期の金属を含む[1]又は[2]のいずれかに記載の複合材。
[4] 前記連結集合体の表面粗さRaが、0.1μm以上である[1]乃至[3]のいずれかに記載の複合材。
[5] 前記基材の厚さが、0.01mm以上である[1]乃至[4]のいずれかに記載の複合材。
[6] [1]乃至[5]のいずれかに記載の複合材を有する排ガス浄化用触媒。
[7] 前記連結集合体を電析法により形成する[1]乃至[5]のいずれかに記載の複合材の製造方法。
本発明の態様によれば、触媒活性を示す主表面をもつ薄片状の複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体である金属酸化物が、基材上に層状に形成された複合材を、例えば、NO、CO等を含む排ガスの浄化用触媒として使用することにより、基材の一面全体を、触媒活性を示す領域として有効に機能させることができる。また、触媒成分としての金属酸化物が層状構造を有するため、シンタリングが発生しにくくなる。その結果、排ガスの浄化において、シンタリングの発生を抑制し、優れた触媒活性を示す複合材及びこれを用いた排ガス浄化用触媒を提供することが可能である。また、このような複合材は、金属酸化物の連結集合体を電析法により形成できるため、低コストで簡便に製造することができる。
本発明の態様によれば、連結集合体が、50μm以下の厚さの被膜構造を有することにより、基材との密着性を高めることができる。
本発明の態様によれば、連結集合体が、周期表第4周期の金属を含むことにより、触媒成分として高価な白金等の貴金属を使用しなくとも、高い触媒性能を示す複合材を提供することができる。
本発明の態様によれば、連結集合体の表面粗さRaが、0.1μm以上であることにより、触媒活性を示す領域の表面積が増大し、触媒性能をより高めることができる。
図1は、本発明に従う複合材の代表的な実施形態を示す概略図である。 図2は、複数ナノ結晶片の形状が薄片状である各複合材を、倍率20,000倍で観察した際のSEM画像であり、図2(a)は、複数のナノ結晶片の形状が幅狭の薄片状(第1の薄片形状)である複合材のSEM画像、図2(b)は、複数のナノ結晶片の形状が幅広の薄片状(第2の薄片形状)である複合材のSEM画像、図2(c)は、複数のナノ結晶片の形状が、幅狭の薄片状と幅広の薄片状との複合形状(第3の薄片形状)である複合材のSEM画像を示す。 図3は、実施例3で作製した複合材において、長手方向に沿った断面を倍率5,000倍で観察した際のSEM画像である。 図4は、比較例4で作製した複合材の表面を、倍率20,000倍で観察した際のSEM画像である。
以下、図面を参照しながら、本発明にしたがう複合材及び排ガス浄化用触媒の実施形態について説明する。図1は、本発明に従う複合材の代表的な実施形態を示す概略断面図である。
<複合材>
図1に示すように、本発明の実施形態の複合材1は、基材10と、基材10上に層状に形成された金属酸化物20とを有する。金属酸化物20は、触媒活性を示す複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体である。複数のナノ結晶片の連結状態は、特に限定されず、複数のナノ結晶片が連結して集合体を形成していればよい。複数のナノ結晶片は所定の形状を有しており、連結集合体に連結されている複数のナノ結晶片は、その主表面に触媒活性が高い特定の結晶面を有する。ここで、ナノ結晶片の主表面とは、各形状のナノ結晶片を構成する外面のうち、表面積が広い面のことであって、表面積が狭い端面(側面)の上下端縁を区画形成する両表面を意味する。このような金属酸化物20が基材10上に層状に形成されることにより、複合材1において、基材10の一面全体が触媒活性を示す領域として機能する。また、触媒成分である金属酸化物20が粒状形態でなく層状構造を有することにより、粒子形態に起因するシンタリングが発生しにくくなるため、触媒活性を示す領域の極端な低下が抑制され、触媒活性の低下が防止される。その結果、複合材1は、シンタリングの発生を抑制すると共に、優れた触媒活性を発揮する。
<基材>
基材10は、金属酸化物20の層状構造が密着した状態を支持する支持体として機能する。基材10の材質は、例えば、コージライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素等のセラミック、銅、ステンレス鋼等の金属から選択することができる。基材10の厚さは、特に限定されるものではないが、金属酸化物20を確実に支持するため、0.01mm(10μm)以上であることが好ましい。また、後述する電析法により基材10に金属酸化物20を直接形成することが困難な場合、無電解めっきにより基材10の表面に導電性皮膜として下地層を形成してもよい。下地層を形成する材料は、特に限定されるものではないが、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及び亜鉛(
Zn)からなる群から選択される1種以上の金属又はこれらの群から選択される1種以上の金属を含む合金であることが好ましい。
<金属酸化物>
連結集合体である金属酸化物20は、触媒成分として機能する。金属酸化物20が有する複数のナノ結晶片の形状は、特定の結晶面が表出している主表面をもつ薄片状であり、このような形状により、高い触媒活性を示す特定の結晶面が表出される。図2に、複数ナノ結晶片の形状が薄片状である各複合材を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際の画像を示す。図2(a)は、複数のナノ結晶片の形状が幅狭の薄片状(第1の薄片形状)である複合材1のSEM画像であり、図2(b)は、複数のナノ結晶片の形状が幅広の薄片状(第2の薄片形状)である複合材1のSEM画像であり、図2(c)は、複数のナノ結晶片の形状が、幅狭の薄片状と幅広の薄片状との複合形状(第3の薄片形状)である複合材1のSEM画像である。このように、触媒反応に使用される複合材1では、主表面に特定の結晶面が表出しており、特定の結晶面が表出している主表面が、高い触媒活性を示す触媒活性面となる。そのため、主表面の表面積が大きいほど、触媒反応をより効率的に行うことができる。
ナノ結晶片の主表面の最小寸法は、0.01μm以上10.0μm以下であることが好ましい。例えば、ナノ結晶片の形状が第1の薄片形状である場合、ナノ結晶片の主表面の最小寸法は、0.01μm以上0.04μm以下であることが好ましく、ナノ結晶片の形状が第2の薄片形状である場合、ナノ結晶片の主表面の最小寸法は、0.04μmを超え10.0μm以下であることが好ましい。最小寸法が0.01μm(10nm)未満であると、従来の粒構造と同様にナノ結晶片同士でシンタリングが生じやすくなり、高い触媒活性が発揮されないおそれがある。また、主表面の最小寸法が10.0μmより大きい場合、ナノ結晶片同士のシンタリングは生じないものの、ナノ結晶片が衝撃等により壊れやすくなり、安定性が低下するおそれがある。また、ナノ結晶片を高密度で連結させることが困難となる傾向にある。また、ナノ結晶片の平均厚さ(側面の平均厚さ)は、特に限定はされないが、主表面の最小寸法の1/10以下であることが好ましい。これにより、ナノ結晶片の主表面の面積が側面の面積に比べて約10倍以上広くなり、連結集合体の単位量当たりの触媒活性が、ナノ粒子の単位量当たりの触媒活性と比べて向上する。例えば、ナノ結晶片の平均厚さは、1.0nm以上1000nm以下であることが好ましく、1.0nm以上100nm以下であることがより好ましい。なお、ナノ結晶片21の主表面の寸法は、ナノ結晶片の形状を損なわないように連結集合体から分離したナノ結晶片を、個別のナノ結晶片として測定することにより求めることができる。測定法の具体例としては、ナノ結晶片の主表面に対し、外接する最小面積の長方形を描き、長方形の短辺および長辺を、ナノ結晶片の最小寸法および最大寸法として、それぞれ測定する。
金属酸化物である連結集合体は、周期表第4周期の金属を含んでいることが好ましい。連結集合体を構成する金属酸化物が、周期表第4周期の金属を含むことにより、金属酸化物のナノ結晶片が形成されやすく、複合材に高い触媒性能を付与することができる。金属酸化物としては、例えば、周期表第4周期の遷移金属の酸化物、それらの合金の酸化物、複合酸化物等が挙げられる。これらの金属酸化物のうち、遷移金属の群から選択される1種または2種以上の金属を含む金属酸化物が好ましい。遷移金属の金属酸化物は、金属資源として地球上に豊富に存在しており、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属に比べて安価であるため、生産コストを低減することができる。遷移金属のうち、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種以上の金属を含む金属酸化物であることが好ましく、このような金属酸化物は、少なくとも銅を含むことがより好ましい。また、銅を含む金属酸化物としては、例えば、酸化銅、Ni-Cu酸化物、Cu-Pd酸化物等が挙げられ、酸化銅(CuO)が特に好ましい。
連結集合体は、50μm以下の厚さの被膜構造を有することが好ましい。基材10上に層状に形成された金属酸化物20において、連結集合体を構成する複数のナノ結晶片の主表面が触媒反応の活性点として作用する。そのため、触媒性能の観点からは、被膜構造の厚さは特に限定されるものではないが、被膜構造が50μmより厚くなると、基材10に対する密着性が低下し、基材10から層状の金属酸化物20が剥離しやすくなる。被膜構造の厚さが50μm以下であることにより、密着性にも優れた複合材1を提供することができる。一方、被膜構造の厚さの下限値は、ナノ結晶片形成の観点から0.01μm以上であることが好ましい。また、連結集合体の表面粗さRaは、0.1μm以上であることが好ましい。表面粗さRaが0.1μm以上であることにより、触媒反応を示す表面積が増大し、反応効率を高めることができる。
<主表面の結晶方位>
本発明の複合材1が排ガス浄化用触媒として使用される場合、ナノ結晶片において特定の結晶面が表出している主表面が触媒活性面となるために、主表面が特定の結晶方位を有するように構成される。
ナノ結晶片の主表面が還元性の触媒活性面となるように構成するには、ナノ結晶片を構成する金属酸化物において、触媒活性を発揮する金属原子の面を、主表面に位置するように配向させて、主表面を金属原子面で構成すればよい。具体的には、主表面に存在する金属酸化物を構成する、金属原子及び酸素原子に占める金属原子の個数割合を80%以上とすることが好ましい。
一方、ナノ結晶片の主表面が酸化性の触媒活性面となるように構成するには、ナノ結晶片を構成する金属酸化物において、触媒活性を発揮する酸素原子の面を、主表面に位置するように配向させて、主表面を酸素原子面で構成すればよい。具体的には、主表面に存在する金属酸化物を構成する、金属原子及び酸素原子に占める酸素原子の個数割合を80%以上とすることが好ましい。
触媒活性面の役割に応じて、ナノ結晶片の主表面に存在する金属酸化物を構成する、金属原子及び酸素原子に占める金属原子又は酸素原子の個数割合を調整することにより、主表面の触媒活性機能を高めることができる。このようなナノ結晶片を有する複合材1は、十分な触媒活性を発揮できる。
また、ナノ結晶片の主表面が特定の結晶方位を有するとしたのは、ナノ結晶片を構成する金属酸化物の種類に応じて、主表面に多く存在する結晶方位が異なるためである。そのため、主表面の結晶方位は具体的には記載はしないが、例えば、金属酸化物が酸化銅(CuO)である場合には、主表面を構成する単結晶の主な結晶方位、すなわち、触媒活性面としての特定の結晶面は、(001)結晶面であることが好ましい。
主表面を金属原子面とする構成としては、金属原子面と酸素原子面が規則的に交互に積層され、原子の並び方に規則性を有する規則構造として、主表面に金属原子面が位置するように、金属酸化物の結晶構造を構成することが好ましい。具体的には、主表面が、同じ配向をもつ単結晶の集合体で構成された構造の場合だけではなく、異なる結晶構造や異なる配向をもつ単結晶の集合体、結晶粒界や多結晶を含んだ集合体で構成された構造であっても、主表面に金属原子面が存在する場合が含まれる。
<複合材の用途>
本発明の実施形態である複合材1は、自動車、発電所等からの排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒として使用することができ、特に、NO、CO等をCO、N等の有害で
はないガスに転換させる還元反応における排ガス浄化用触媒としての使用に有益である。
<複合材の製造方法>
次に、本発明の複合材の製造方法例について説明する。複合材1において、金属酸化物20である連結集合体は電析法により形成することが好ましい。電析法は貴金属触媒で用いられるような含侵法などと異なり、基材10の表面全域に触媒活性を付与させることができ、また大量生産にも適した方法である。そのため、複合材1は、低コストで簡便に製造することができる。
連結集合体を電析法により形成する場合、前処理工程として基材を洗浄した後、基材上に、所定の液組成を有するめっき液を塗布し、所定の電析条件下で電析を行うことにより、複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体である金属酸化物が層状に形成される。電析を行う前に、必要に応じて基材上に下地めっきを行っていてもよい。めっき液の組成、電析条件は、連結集合体を構成する金属酸化物の種類によりは異なるものの、めっき液の組成と電析条件を適切に組合せることにより、所望とする連結複合材を基材上に形成することが可能となる。電析法により連結集合体を形成した後、必要に応じて熱処理を行ってもよい。こうして、基材10上に、複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体である金属酸化物20が層状に形成された複合材1を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1~10、比較例2~4>
前処理工程として基材を洗浄した後、必要に応じて下地めっきを行い、基材上に、複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体を電析法により形成し、複合材を作製した。前処理及び下地めっき処理の条件は下記の通りであり、各実施例及び比較例における複合材の電析条件は表1に示す通りである。得られた複合材の結果を表2に示す。尚、電析の処理時間は、連結集合体が表2に示す所定の厚さを有するように調整した。
<比較例1>
粒子状のPtをアルミナ上に含浸法により形成した。具体的には、塩化白金酸水溶液をアルミナ重量に対して5質量%のPtが担持されるよう調製し、500℃で3時間焼成し、アルミナ上にPt粒子が担持された複合材を作製した。得られた複合材の結果を表2に示す。尚、アルミナ上に担持されたPt粒子は連結集合体ではないが、便宜上、表2では連結集合体の種類として記載している。
(前処理条件)
[カソード電解脱脂]
脱脂液:水酸化ナトリウム60g/L
脱脂条件:2.5A/dm、温度60℃、脱脂時間60秒
[活性化]
活性化液:10%塩酸
活性化条件:浸漬30秒、室温(25℃)
(下地層)
[無電解Niめっき液]
液組成:硫酸ニッケル 30g/L
ホスフィン酸ナトリウム 10g/L
クエン酸ナトリウム 10g/L
条件:pH4、浴温90℃、処理時間10分
[無電解Cuめっき液]
液組成:硫酸銅 10g/L
エチレンジアミン四酢酸 30g/L
ホルムアルデヒド 3ml/L
ポリエチレングリコール 1ppm
条件:pH12、浴温70℃、処理時間20分
[電解Niめっき液]
液組成:塩化ニッケル 250g/L
塩酸 50g/L
条件:5A/cm、浴温40℃
Figure 0007353810000001
得られた各複合材に関して以下の試験を行い、各種特性を測定、評価した。
(連結集合体の構造解析及びナノ結晶片の形状の観察)
X線回折測定装置(株式会社リガク製、型式:Geigerflex RAD-B)を用いた、X線源としてCuKαを用いたX線回折測定により、得られた複合材における連結集合体の構造分析を行い、薄片状のナノ結晶片が形成されているかを確認した。また、連結集合体が有するナノ結晶片の形状について、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製、型式:TypeM)を用いて倍率20,000倍で観察した。表2において、複数のナノ結晶片の形状が幅狭の薄片状(第1の薄片形状)である場合を「A」、複数のナノ結晶片の形状が幅広の薄片状(第2の薄片形状)である場合を「B」、複数のナノ結晶片の形状が、幅狭の薄片状と幅広の薄片状との複合形状(第3の薄片形状)である場合を「C」、複数のナノ結晶片の形状が薄片状ではない場合を「D」で表す。
(連結集合体の被膜構造の厚さ測定)
連結集合体の被膜構造の厚さは、FIB-SIM(株式会社日立ハイテクサイエンス製、型式:SM13050TB)による断面観察で無作為に選択した10視野における平均値から算出した。
(連結集合体の表面粗さRaの測定)
連結集合体の表面粗さ(算術平均粗さ)Raは、表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、型式:サーフコーダSE3500)によって測定した。具体的には、触針先端半径2μm、測定力0.75N以下の測定条件において、複合材の表面層における算術平均粗さRaを測定した。
(密着性)
超音波洗浄器(株式会社SND製、型式:US-102)内にセットした1Lビーカーにイオン交換水を供給し、得られた複合材を浸漬させて3分間超音波洗浄を行った。試験後のビーカー内に沈降が確認されなかった場合を「〇」、確認された場合を「×」とし、「〇」であれば密着性が充分であると評価した。
(触媒性能の評価)
触媒を充填した反応管を反応装置内にセットした後、200℃に昇温し、5%の一酸化炭素(CO)と5%の一酸化窒素(NO)の混合ガス(アルゴンバランス)からなる原料ガスを、流量25mL/分で供給した。サンプリング時間は20分間とし、サンプリング前後に採取したガスをガスクロマトグラフ(株式会社島津製作所製、型式:GC-7A及びGC-2014)により窒素、一酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素及び亜酸化窒素の濃度をそれぞれ定量した。サンプリング前(初期)とサンプリング後の一酸化窒素(NO)と一酸化炭素(CO)の濃度から、Nガス及びCOガスへの転換率を算出した。NO転換率及びCO転換率がそれぞれ60%以上である場合を「◎」、NO転換率及びCO転換率がそれぞれ50%以上である場合を「〇」、NO転換率及びCO転換率のいずれかが50%以上である場合を「△」、NO転換率及びCO転換率がそれぞれ50%未満である場合を「×」とし、「△」以上であれば触媒活性に優れていると評価した。
Figure 0007353810000002
表2に示されるように、薄片状のナノ結晶片を有する連結集合体が形成された実施例1~10の複合材では、いずれもシンタリングが発生せず、触媒活性も優れていた。図3は、代表して実施例3で作製された複合材において、長手方向に沿った断面を倍率5,000倍で観察した際のSEM画像である。図3に示されるように、実施例3で作製された複合材は、基材10上に金属酸化物20の連結集合体が層状に形成されていることが確認できた。また、連結集合体が、酸化マンガン、酸化コバルト又は酸化銅である実施例1~3、5~10では、より優れた触媒活性を示し、特に、実施例1、3、7、9では、顕著に優れた触媒活性を示した。また、連結集合体の厚さが50μm以下である実施例1~8、10では密着性に優れていた。
一方、触媒としてPt粒子を使用した比較例1では、連結集合体は形成されず、Pt粒子のシンタリングが確認され、触媒活性も劣っていた。また、ナノ結晶片の形状が薄片状ではない比較例2~4では、シンタリングは発生しなかったものの、例えば、図4に示されるように、代表して比較例4で作製された複合材では、ナノ結晶片が特定の結晶面が表出した主表面を有していないため、優れた触媒活性を示さなかった。
1 複合材
10 基材
20 金属酸化物

Claims (5)

  1. 基材と、該基材上に層状に形成された金属酸化物とを有する複合材を備える排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    前記金属酸化物が、複数のナノ結晶片が相互に連結された連結集合体であり、
    前記複数のナノ結晶片の形状が、特定の結晶面が表出している主表面をもつ薄片状であり、
    前記金属酸化物が、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1種以上の金属を含む金属酸化物であり、
    前記連結集合体を電析法により形成することを特徴とする排ガス浄化用触媒の製造方法
  2. 前記連結集合体が、50μm以下の厚さの被膜構造を有する、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法
  3. 前記連結集合体の表面粗さRaが、0.1μm以上である請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法
  4. 前記基材の厚さが、0.01mm以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法
  5. 前記金属酸化物が酸化銅である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法
JP2019111716A 2019-06-17 2019-06-17 複合材、排ガス浄化用触媒及び複合材の製造方法 Active JP7353810B2 (ja)

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