JP7353798B2 - 予備加工装置、加工装置および加工状態検出装置 - Google Patents

予備加工装置、加工装置および加工状態検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、予備加工装置、加工装置および加工状態検出装置に関する。
たとえばウェハなどを個片に切り出す技術において、回転砥石を用いる切削装置としてのダイサーが知られている。たとえばダイサーによる切断において、切削痕などの加工痕(カーフ)にチッピング(欠けを含む)が発生する。その原因としては、切削条件の不適合や砥石の摩耗等が考えられる。
所定のサイズを超えるチッピングは、切削加工後に個片にされて完成した電子部品においては、不良となる。従来、チッピングは切断が全て完了したウェハ等をオフラインで顕微鏡によって確認することが一般的であった。切断最中にチッピングを確認できれば、その後のチッピングの発生を未然に防ぐことができる。
なお、特許文献1では切断中のカーフを撮像装置で撮像するダイサーを開示している。しかし、常に切削水がかかる環境での加工痕のオンライン撮像は困難であり、欠陥につながるチッピングをリアルタイムで精度良く検出することは困難であった。
特開2015-205388号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することを可能とする予備加工装置、加工装置および加工状態検出装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る予備加工装置は、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を駆動する駆動軸と、
前記ワークを保持する保持部材と、
前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
を有する。
本発明の第1の観点に係る予備加工装置は、撮像手段を有していてもよいが、必ずしも有する必要は無い。たとえば予備加工装置とは別の撮像手段を用いて、加工具によるワークの加工痕を撮像することができる。なお、予備加工装置は、実際の加工装置と同じでものであっても良いが、データを作成するための専用装置でも良い。撮像手段により撮像は、加工の後に行ってもよいが、加工と同時に行ってもよい。加工と同時に行う場合には、撮像手段により加工痕を撮像しやすいように、通常の加工とは異なり、切削液や研磨液などの加工用液体を除去しながら、撮像してもよい。加工用液体を除去するための手段としては、加工中に加工具による加工痕が見やすいように、切断痕の周囲の加工用液体を吹き飛ばすなどの手段が考えられる。
たとえば撮像手段により撮像した加工痕の撮像データから、加工痕の時間変化に関連する加工痕変化データを作成することができる。また、振動検出手段では、加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出することができる。さらに振動検出手段により検出したデータから、振動の時間変化に関連する振動変化データを作成することができる。
加工痕変化データと振動変化データとを比較することで、これらの相関関係を求めることができる。欠陥につながるチッピングなどの加工痕の変化データと、振動の変化データを関連させることで、逆に振動の変化データから、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良を判断することが可能になる。
たとえば本発明の第1の観点の予備加工装置では、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動変化データから検出することが可能になる。なお、従来では、振動検出センサの検出信号を用いて100μm程度のチッピングなどの加工不良を検出することはできたが、数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動検出信号から検出することが困難であった。
本発明の第1の観点の予備加工装置により得られる振動変化データと加工不良との相関データを、実際の加工装置に用いることで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
加工痕変化データと振動変化データとの比較は、たとえば予備加工装置の照合手段で行われる。好ましくは、予備加工装置は、照合手段で求められた相関関係に基づき、加工痕変化データから、加工具によるワークの加工不良に対応する加工不良データを求め、前記加工不良データに対応する振動変化データの特殊変化データを抽出する抽出手段をさらに有する。
好ましくは、予備加工装置は、前記振動変化データが閾値以上の場合には、前記加工具による前記ワークの加工不良が発生していると判断させるように、前記抽出手段で求められた特殊変化データに閾値を設定する閾値決定手段をさらに有する。
好ましくは、予備加工装置は、前記閾値決定手段で決定された閾値を記憶する記憶手段をさらに有する。
本発明の第2の観点に係る予備加工装置は、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を駆動する駆動軸と、
前記ワークを保持する保持部材と、
前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
前記加工具による前記ワークの加工痕を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像した前記加工痕の位置変化に関連する加工痕変化データを作成する加工跡変化データ作成手段と、
前記振動検出手段により検出した振動の一次データより求めた振動変化データを作成する振動変化データ作成手段と、
前記加工跡変化データと前記振動変化データとを照合する照合手段と、有する。
本発明の第2の観点に係る予備加工装置では、本発明の第1の観点に係る予備加工装置と同様に、加工痕変化データと振動変化データとを比較(照合)することで、これらの相関関係(照合結果)を求めることができる。欠陥につながるチッピングなどの加工痕の変化データと、振動の変化データを関連させることで、逆に振動の変化データから、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良を判断することが可能になる。
たとえば本発明の第2の観点の予備加工装置では、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動変化データから検出することが可能になる判別基準を見つけることができる。
本発明の第2の観点の予備加工装置により得られる振動変化データと加工不良との相関データを、実際の加工装置に用いることで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
加工痕変化データと振動変化データとの比較(照合)は、たとえば予備加工装置の照合手段で行われる。好ましくは、予備加工装置は、前記照合手段で求められた相関関係(照合結果)に基づき、前記加工具による前記ワークの加工不良に関連性が高い前記振動変化データの特殊変化データを抽出して、前記振動変化データから前記ワークの加工不良を見つけ出す判別基準を算出する演算手段をさらに有する。
本発明の第2の観点に係る予備加工装置では、演算手段を用いて、「複数種類の振動変化データ中で、いずれの振動変化データのいずれの特殊変化データが、ワークの加工不良の有無に直接に関連するかを高精度で見つけることができる」などの判別基準を算出する。判別基準としては、プログラムの論理式などが例示される。本発明の第2の観点では、必ずしも特殊変化データに閾値を設ける必要はなくなる。
好ましくは、前記演算手段は、機械学習により、前記特殊変化データを抽出して判別基準を算出する機械学習手段を有する。機械学習手段を演算手段に組み込むことで、上記のような判別基準を、効率的に見つけ出すことができる。
好ましくは、前記機械学習手段のアルゴリズムはランダムフォレストまたはディープラーニングである。この種の機械学習手段を用いることで、多数の特殊変化データの中から判別基準を効率的に見つけ出すことが容易になる。
好ましくは、本発明の第2の観点に係る予備加工装置は、前記演算手段で算出された判別基準を記憶する判別基準記憶手段と、前記判別基準記憶手段に記憶してある前記判別基準を出力する出力手段をさらに有する。判別基準記憶手段には、「多数種類の振動変化データの中から加工不良などに関する特殊変化データを検出するための」判別基準(たとえば論理式などの検出アルゴリズム)として、ソフトウエア(プログラム)などの形式で保存することができる。
この判別基準は、LANやインターネット通信手段などに出力したり、他の記憶デバイスに出力して保存することもできる。出力された判別基準は、実際の加工装置で用いられ、加工に際して、リアルタイムで、検出された振動データから多数種類の振動変化データを作りだし、それらの中から加工不良などに関する特殊変化データを検出することができる。
好ましくは、前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データをフーリエ変換するデータ変換手段を有する。フーリエ変換することで、振動の一次データでは見つけることができなかった加工不良などに関する特殊変化データを検出し易くなる。
好ましくは、前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データを、所定の基準周波数(f)のm倍(mは自然数)の周波数で、所定の変換式を用いてデータ変換するデータ変換手段を有する。複数の周波数毎に、振動変化データを作成することで、振動の一次データでは見つけることができなかった加工不良などに関する特殊変化データを検出し易くなる。
好ましくは、前記データ変換手段は、前記所定の基準周波数(f)のm倍(mは自然数)の周波数毎に加えて、前記振動の一次データを、前記所定の基準周波数(f)の(m+0.5)倍(mは自然数)毎にも、所定の変換式でデータ変換する。このように構成することで、加工不良などに関する特殊変化データの検出精度が向上する判断基準を見つけやすくなる。
好ましくは、前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データにフィルタリング処理を行い、ノイズデータとの関連を示すノイズ関連データを作成するフィルタリング手段を有する。複数種類の振動変化データの一例として、ノイズ関連データも加えることで、加工不良などに関する特殊変化データの検出精度が向上する判断基準を見つけやすくなる。
好ましくは、前記基準周波数は、前記加工具の動きに関連する周波数である。このような基準周波数の整数倍、またはそれらの中間の周波数でデータ変換を行うことで、加工不良などに関する特殊変化データの検出精度が向上する判断基準を見つけやすくなる。
好ましくは、前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データ、または前記振動の一次データから求めた二次データを、所定範囲のウィンドウ毎にヒストグラム化するウィンドウ手段をさらに有する。振動データをウィンドウ毎にヒストグラム化することで、加工不良などに関する特殊変化データの検出精度が向上する判断基準を見つけやすくなる。
前記ウィンドウ手段は、隣接する前記ウィンドウをオーバラップさせて、前記振動の一次データ、または前記二次データを、ウィンドウ毎にヒストグラム化する。このように構成することで、加工不良などに関する特殊変化データの検出精度が向上する判断基準を見つけやすくなる。
前記加工具としては、特に限定されないが、たとえば切削工具である場合に、特に有効である。
本発明の第2の観点に係る予備加工装置は、
前記加工具による前記ワークの加工に際して、前記振動検出手段と前記振動変化データ作成手段により得られる振動変化データから、前記演算手段で得られた判別基準に基づき、前記特殊変化データを判別し、前記加工具による加工状態を判別する判別手段を、さらに有してもよい。
判別手段を有することで、本発明の第2の観点に係る予備加工装置も、第1の観点と同様に、通常の加工装置として用いることも可能である。
本発明の第1の観点に係る加工装置は、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を駆動する駆動軸と、
前記ワークを保持する保持部材と、
前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段で検出された振動の一次データから得られる振動変化データを、上記のいずれかに記載の予備加工装置で得られたデータと比較する比較手段と、を有する。
好ましくは、前記ワークを切削加工することができるように、前記加工具が切削工具であり、前記比較手段は、前記ワークの切削箇所における前記ワークのチッピングの有無を検出可能である。
本発明の第1の観点に係る加工装置は、前記比較手段で異常が検出された場合には、アラームを出力する警告手段をさらに有してもよい。
また本発明の第1の観点に係る加工装置は、前記比較手段で異常が検出された場合には、異常が検出された前記ワークの加工位置を記憶する記憶手段をさらに有していても良い。
本発明の第2の観点に係る切削装置などの加工装置は、上記のいずれかに記載の予備加工装置を有していても良い。
本発明の第3の観点に係る加工装置は、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を駆動する駆動軸と、
前記ワークを保持する保持部材と、
前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段で検出された振動の一次データから得られる振動変化データが、閾値を超えているか否かを判断する比較手段と、を有する。
本発明の第3の観点に係る加工装置では、振動変化データが閾値を超えているか否かを比較手段で判断することにより、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動の特殊変化データから検出することが容易になる。
本発明の第3の観点に係る加工装置は、前記加工具による前記ワークの加工痕を撮像する撮像手段をさらに有してもよい。
また、本発明の第3の観点に係る加工装置は、
前記振動検出手段で検出された振動の一次データから得られる振動変化データと、撮像された前記加工具による前記ワークの加工痕の時間変化を示す加工痕変化データとに基づき、閾値を算出する閾値算出手段を、さらに有してもよい。
また、本発明の第4の観点に係る加工装置は、
ワークを加工する加工具と、
前記加工具を駆動する駆動軸と、
前記ワークを保持する保持部材と、
前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
上記のいずれかに記載の予備加工装置の前記照合手段で求められた相関関係(照合結果)から得られる判別基準に基づき、前記振動検出手段から得られたデータを判別する判別手段と、を有する。
本発明の第4の観点に係る加工装置では、予備加工装置の照合手段で求められた相関関係(照合結果)から得られる判別基準に基づき、振動検出手段から得られたデータを判別する。その結果、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動の特殊変化データから検出することが容易になる。
好ましくは、本発明の第4の観点に係る加工装置は、予備加工装置からの判別基準を記憶する判別基準記憶手段を、さらに有する。予備加工装置からは、有線または無線の通信で、直接またはインターネットなどを介して、判別基準のデータ(論理式、アルゴリズムあるいはプログラムなどを含む)が送信されてくる。あるいは、予備加工装置から、着脱自在な記憶手段を介して、判別基準のデータが加工装置の記憶手段に移されてきても良い。
好ましくは、本発明の第4の観点に係る加工装置は、
前記振動検出手段により検出した振動の一次データより求めた振動の二次データに関連する振動変化データを作成する振動変化データ作成手段を、さらに有し、
前記判別手段では、前記加工具による前記ワークの加工に際して、前記振動検出手段と前記振動変化データ作成手段により得られる振動変化データから、前記判別基準に基づき、特殊変化データを判別し、前記加工具による加工状態を判別する。
本発明の第4の観点に係る加工装置では、複数種類の振動変化データ中から、予備加工装置により見つけられた判別基準に基づき、特殊変化データを検出することで、ワークの加工不良を高精度で見つけることができる。
好ましくは、前記加工具が切削工具であり、前記判別手段では、前記ワークの切削箇所における前記ワークのチッピングの有無を判別することが可能である。
本発明の第4の観点に係る加工装置は、前記判別手段で異常が検出された場合には、異常が検出された前記ワークの加工位置を記憶する異常位置記憶手段をさらに有する。異常位置記憶手段に記憶してあるデータに基づき、異常の原因などの特定などの検査に用いることができる。
本発明の第1の観点に係る加工状態検出装置は、
加工具によるワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段で検出された信号から得られる振動変化データが、閾値を超えているか否かを判断する比較手段と、を有し、
前記比較手段の比較結果に基づき信号を出力することを特徴とする。
本発明の第1の観点に係る加工状態検出装置を、一般的な加工装置に取り付けることで、振動変化データが閾値を超えているか否かを比較手段で判断することにより、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動の特殊変化データから検出することが容易になる。
本発明の第2の観点に係る加工状態検出装置は、
加工具によるワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段で検出された振動の一次データから得られる振動変化データと、撮像された前記加工具による前記ワークの加工痕の時間変化を示す加工痕変化データとに基づき、閾値を算出する閾値算出手段と、を有する。
本発明の第2の観点に係る加工状態検出装置を、一般的な加工装置に取り付けることで、上述した本発明に係る予備加工装置を実現することができる。
本発明の第3の観点に係る加工状態検出装置は、
加工具によるワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
上記のいずれかに記載の予備加工装置の前記照合手段で求められた相関関係(照合結果)から得られる判別基準に基づき、前記振動検出手段から得られたデータを判別する判別手段と、を有する。
本発明の第3の観点に係る加工状態検出装置を、一般的な加工装置に取り付けることで、振動変化データに特定の特殊変化データが含まれているか否かを判別手段で判断することにより、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動の特殊変化データから検出することが容易になる。
好ましくは、本発明の第3の観点に係る加工状態検出装置は、上記のいずれかに記載の予備加工装置からの前記判別基準を記憶する判別基準記憶手段を、さらに有する。予備加工装置からは、有線または無線の通信で、直接またはインターネットなどを介して、判別基準のデータ(論理式、アルゴリズムあるいはプログラムなどを含む)が送信されてくる。あるいは、予備加工装置から、着脱自在な記憶手段を介して、判別基準のデータが記憶手段に移されてきても良い。
好ましくは、本発明の第3の観点に係る加工状態検出装置は、
前記振動検出手段により検出した振動の一次データより求めた振動変化データを作成する振動変化データ作成手段を、さらに有し、
前記判別手段では、前記加工具による前記ワークの加工に際して、前記振動検出手段と前記振動変化データ作成手段により得られる振動変化データから、前記判別基準に基づき、特殊変化データを判別し、前記加工具による加工状態を判別する。
本発明の第3の観点に係る加工状態検出装置では、複数種類の振動変化データ中から、予備加工装置により見つけられた判別基準に基づき、特殊変化データを検出することで、ワークの加工不良を高精度で見つけることができる。
本発明の第1の観点に係る加工状態検出方法は、
加工具による前記ワークの加工痕を撮像する工程と、
前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する工程と、
前記加工痕の時間変化を示す加工痕変化データと、前記振動の時間変化を示す振動変化データと、を比較する工程と、
前記加工痕変化データから、前記加工具による前記ワークの加工不良に対応する加工不良データを求め、前記加工不良データに対応する前記振動変化データの特殊変化データを抽出する工程と、を有する。
本発明の第1の観点に係る加工状態検出方法によれば、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動の特殊変化データから検出することが容易になる。すなわち、本発明の加工状態検出方法により得られる特殊変化データによれば、実際の加工装置の加工による振動変化と特殊変化データとを比較することで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
好ましくは、本発明の第1の観点の加工状態検出方法は、
前記振動変化データが閾値以上の場合には、前記加工具による前記ワークの加工不良が発生していると判断させるように、前記特殊変化データに閾値を設定する工程と、
振動検出手段で検出された信号から得られる振動変化データが、前記閾値を超えているか否かを判断する工程と、をさらに有する。
振動検出手段で検出された信号から得られる振動変化データが、特定の閾値を超えているか否かを判断するのみで、容易に、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
本発明の第2の観点に係る加工状態検出方法は、
加工具によるワークへの加工時の振動を検出する工程と、
前記加工具による前記ワークの加工痕を撮像する工程と、
撮像した前記加工痕の位置変化に関連する加工痕変化データを作成する工程と、
検出した振動の一次データより求めた振動変化データを作成する工程と、
前記加工跡変化データと前記振動変化データとを比較して見つけられた相関関係(照合結果)に基づき、前記加工具による前記ワークの加工不良に関連性が高い前記振動変化データの特殊変化データを抽出して、前記振動変化データから前記ワークの加工不良を見つけ出す判別基準を算出する工程と、を有する。
本発明の第2の観点に係る加工状態検出方法を、一般的な加工装置に適用することで、振動変化データに特定の特殊変化データが含まれているか否かを判断することにより、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動の特殊変化データから高精度で検出することが容易になる。
本発明のワークの加工方法は、上記に記載の加工状態検出方法を有する。
図1は本発明の一実施形態に係る加工装置としての切削装置の正面図である。 図2は図1に示す切削装置の側面図である。 図3は第1切削状態検出装置と第2切削状態検出装置との関係を示すブロック図である。 図4(A)は図3に示すカメラで得られた切削痕画像データの一例を示す概略図、図4(B)は図4(A)に示す切削痕画像データを信号処理して得られる加工痕変化データの一例を示すタイムチャート図、図4(C)は図3に示す振動センサで得られる振動検出の一次データの一例を示すタイムチャート図、図4(D)は図4(C)に示す振動検出の一次データを信号処理して得られる振動変化データのタイムチャート図である。 図5は本発明の他の実施形態に係る第1加工状態検出装置と第2加工状態検出装置との関係を示すブロック図である。 図6Aは図5に示すカメラで得られた加工痕画像データの一例を示す概略図である。 図6Bは図5に示すカメラで得られた加工痕画像データの他の一例を示す概略図である。 図7Aは図6Aに示す加工痕画像データを信号処理して得られる加工痕変化データの一例を示す加工方向に沿った切削エッジの位置変化を示すグラフである。 図7Bは図6Bに示す加工痕画像データを信号処理して得られる加工痕変化データの一例を示す加工方向に沿った切削エッジの位置変化を示すグラフである。 図8は図7Aに示す切削エッジの位置変化を示すデータを、全域にわたり得られたグラフである。 図9は図8に示す両側の切削エッジの位置変化を示すデータを加算して得られたグラフである。 図10は図5に示す振動センサで得られる振動検出の一次データ推移の一例であり、横軸は加工位置を示すグラフである。 図11は図10に示す振動の一次データを、フーリエ変換して得られる周波数を横軸とした概念図である。 図12は図10に示す振動の一次データを、フーリエ変換して得られる周波数毎の一例のグラフである。 図13は図10に示す振動の一次データを、統計処理して得られる一例のグラフである。 図14は図12~図13で得られた振動変化データにウィンドウ処理を行うことを説明するためのグラフである。 図15は図14でウィンドウ処理された範囲のそれぞれのデータについてヒストグラム化することを説明するためのグラフである。 図16は図15でウィンドウ毎にヒストグラム化されたデータを用いて、特殊変化データを抽出することを説明するためのグラフである。 図17は図16でウィンドウ毎に抽出された特殊変化データに基づき、振動変化データから前記ワークの加工不良を見つけ出す判別基準を算出することを説明するための図である。 図18は加工痕変化データと振動変化データを照合して演算処理をしたことから得られる加工方向に沿った加工不良の有る無しを示すグラフである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1および図2に示す本発明の一実施形態に係る加工装置としての切削装置2は、図3に示す第1加工状態検出装置2aが取り付けられて親機としての予備加工装置となったり、図3に示す第2加工状態検出装置2bが取り付けられて子機としての実際の切削装置の内の少なくとも一つとして用いられる。まず、図1および図2に基づき、切削装置2について説明する。
切削装置2は、加工具としての円盤状砥石4を有する。砥石4は、駆動軸としてのスピンドル6によりY軸回りに回転可能になっている。スピンドル6は、スピンドル支持体8により保持してある。支持体8は、Z軸移動機構としてのZ軸レール20によりZ軸方向に移動可能に保持されている。
Z軸レール20は、Y軸移動機構としてのY軸レール22によりY軸方向に移動可能に保持してある。Y軸レール22は、固定ベース18の上に固定してある支持壁19に固定してある。なお、Y軸レール22対してZ軸レール20を固定し、支持体8を、たとえばY軸移動機構として機能させてもよく、スピンドル6をY軸に沿って移動可能に支持体8が支持してもよい。
固定ベース18の上には、X軸移動機構として機能するX軸レール16がX軸方向に沿って配置して固定してある。X軸レール16には、下テーブル14がX軸方向に移動自在に配置してある。下テーブル14の上には、保持部材としての上テーブル12がZ軸回り(θ方向)に回転自在に保持してある。上テーブル12の上には、ワーク10が着脱自在に固定してある。
上テーブル12の上にワーク10を着脱自在に保持するために、上テーブル12の上表面には、複数の真空吸着孔などが形成してあり、上テーブル12の上にワーク10を吸着保持可能になっている。なお、その他の手段により、上テーブル12の上にワーク10を着脱自在に保持してもよい。本実施形態では、X軸とY軸とZ軸とは、相互に垂直であり、Y軸が砥石4の回転軸(スピンドル6の回転軸)と略一致し、Z軸が上下方向に略一致する。
本実施形態では、下テーブル14がX軸レール16によりX軸方向に移動可能に保持してあることで、下テーブル14の上に装着してある保持部材としての上テーブル12が、加工具としての砥石4に対して、X軸方向に相対移動可能に保持してある。また、Y軸レール22にZ軸レール20がY軸方向に移動可能に保持してあることで、スピンドル6および砥石4は、ワーク10に対してY軸方向に相対移動可能になっている。また、Z軸レール20に対してスピンドル支持体8がZ軸方向に移動可能に保持してあることで、スピンドル6および砥石4は、ワーク10に対してZ軸方向に相対移動可能になっている。
スピンドル6により円盤状砥石4がY軸の回りに回転する。支持体8をZ軸レール20に沿ってZ軸下方に移動させることで、回転する砥石4がワーク10の表面に接触する。下テーブル14が上テーブル12と共に、X軸レール16に沿ってX軸方向に移動させられることで、ワーク10は、回転する砥石4によりX軸方向に沿って切削されて切断される。
なお、上テーブル12に砥石4が触れないように、ワーク10と上テーブル12の間には、不図示のシート等が存在し、砥石4はシート等の途中まで切削するようにZ方向に移動する。
図3に示すように、本実施形態に係る第1加工状態検出装置2aは、たとえば図1および図2に示す切削装置2に取り付けられ、撮像手段としてのカメラ30と、振動検出手段としての振動センサ40とを有する。カメラ30は、たとえば図1に示すように、スピンドル支持体8に取り付けられ、回転する砥石4がワーク10を切削する加工痕としての切削痕を切削後、または可能であればリアルタイムに撮像可能になっている。切削痕の一次データ32を図4(A)に示す。なお、一次データ32は、カメラ30にて得られた撮像画像データ自体である。
図3に示す振動センサ40は、たとえば図1および図2に示すように、ワーク10が着脱自在に固定される上テーブル12に取り付けられ、回転する砥石4がワーク10を切削する際の振動をリアルタイムで検出可能になっている。振動センサ40で検出された振動の一次データ42を図4(C)に示す。なお、一次データ42は、振動センサ40にて得られた検出信号自体の時間変化を示すデータである。
振動センサ40としては、本実施形態では、何らかの振動を検出可能なセンサであればよく、特に限定されず、変位センサ、速度センサ、加速度センサ、音響センサ、表面弾性波センサ(一例としてAEセンサ)なども含まれる。カメラ30としては、切削痕などの加工痕を撮像可能なものであれば特に限定されない。
図3に示すように、本実施形態の第1加工状態検出装置2aは、切削痕変化データ作成手段33を有する。切削痕変化データ作成手段33は、カメラ30で撮像された図4(A)に示す切削痕の一次データ32から図4(B)に示す切削痕の時間変化に関連する切削痕変化データ34を作り出す。切削痕変化データ34は、切削方向に略垂直な切削幅の変化の大きさを縦軸にとり、時間の経過と共に示したグラフである。切削幅が大きく変化した部分で、加工不良データ34aが表れる。加工不良データ34aの代表例としては、加工具としての砥石4によるワーク10の切削部のチッピングなど加工不良である。
図3に示すように、本実施形態の第1加工状態検出装置2aは、振動変化データ作成手段43を有する。振動変化データ作成手段43は、振動センサ40で検出された図4(C)に示す振動の一次データ42から図4(D)に示す振動の時間変化に関連する振動変化データ44を作り出す。
振動変化データ44は、振動の一次データ42を特定の信号処理することで得られ、信号の大きさを縦軸にとり、時間の経過と共に示したグラフである。図4(D)に示すように、特殊変化データ44aが、図4(B)に示す加工不良データ34aに対応して表れることを本発明者等は見出した。
図3に示すように、本実施形態の第1加工状態検出装置2aは、照合手段50を有する。照合手段50では、図4(B)に示す切削痕の時間変化に関連する切削痕変化データ34と、振動の時間変化に関連する振動変化データ44と、を比較する。具体的には、切削痕変化データ34の変化の開始時刻t1と変化の終了時刻t2を、振動変化データの時間軸(横軸)に対応させる。また、本実施形態の第1加工状態検出装置2aは、抽出手段52と、閾値決定手段54と、記憶手段56とを、さらに有する。
抽出手段52では、照合手段50で求められた変化の開始時刻t1と変化の終了時刻t2に基づき、図4(B)に示す加工不良データ34aに対応する図4(D)に示す振動変化データ44の特殊変化データ44aを抽出する。すなわち、照合手段50で求められた図4(B)と図4(D)の相関関係に基づき、特殊変化データ44aを抽出する。
図3に示す閾値決定手段54では、抽出手段52で抽出された図4(D)に示す振動変化データ44の特殊変化データ44aの最小値である閾値46を決定する。閾値46は、図4(D)に示す振動変化データ44が閾値46以上の場合には、砥石4によるワーク10のチッピングなどの加工不良(製品不良になる程度の加工不良)が発生していると判断できるように決定される。なお、図4(A)~図4(D)では、横軸が加工開始からの経過時間で示してあるが、経過時間は、加工方向である切削方向の切削位置に対応する。
記憶手段56では、閾値決定手段54で決定された閾値データが記憶される。記憶手段56に記憶された閾値データは、図3に示す複数(または単数)の第2加工状態検出装置2bの記憶手段56aにも記憶される。記憶手段56aと、記憶手段56とは、同じものでも異なっていても良い。たとえば本実施形態の第1加工状態検出装置2aを、図1および図2に示す切削装置2に取り付ければ、切削装置2は、親機としての切削予備装置となり、第2加工状態検出装置2bを、図1および図2に示す切削装置2に取り付ければ、切削装置2は、子機としての切削装置となる。親機の切削装置2と子機の切削装置2が同じものである場合には、記憶手段56と記憶手段56aとは、同じもので構成される。
第1加工状態検出装置2aが取り付けられる切削装置2と、第2加工状態検出装置2bが取り付けられる切削装置2とが異なる場合には、記憶手段56と記憶手段56aとを、無線または有線の通信手段で接続し、記憶手段56で更新された閾値46(図4(D)参照)のデータが記憶手段56aでも同時に更新可能にしても良い。また、記憶手段56と記憶手段56aの間にネットワークサーバ(不図示)を用意し、記憶手段56で更新された閾値46を、記憶手段56aにて必要に応じて更新可能としても良い。あるいは、記憶手段56に記憶された閾値データは、搬送可能な記憶媒体を用いて、記憶手段56aに移動させてデータを更新しても良い。閾値データが更新されることで、切削異常などの加工異常を、より正確に検出することが可能になる。
なお、記憶手段56,56aとしては、特に限定されず、コンピュータ(パソコン含む)などに付帯しているハードディスク、半導体メモリ、記録ディスク、記録テープなどが例示される。
図3に示す第1加工状態検出装置2aにおいて、切削痕変化データ作成手段33、振動変化データ作成手段43、照合手段50、抽出手段52および閾値決定手段54は、図1および図2に示す切削装置2の制御装置の一部を構成する専用回路で構成しても良いが、或いは個別のコンピュータのプログラムで構成することも可能である。また、切削痕変化データ作成手段33および振動変化データ作成手段43は、照合手段50または抽出手段52に含まれていてもよく、照合手段50は、抽出手段52に含まれていてもよい。また、閾値決定手段54は、照合手段50または抽出手段52に含まれていてもよい。
図3に示す第2加工状態検出装置2bは、たとえば図1および図2に示す切削装置2に取り付けられ、振動検出手段としての振動センサ40を有する。図3に示す第1加工状態検出装置2aとは異なり、カメラ30は、必ずしも具備されていなくても良いが、具備されていても良い。いずれにしても第2加工状態検出装置2bは前述する加工痕の画像データ32を必要としない。
図3に示す第2加工状態検出装置2bの振動センサ40は、第1加工状態検出装置2aの振動センサ40と同様であるが、必ずしも全く同一である必要は無い。振動センサ40は、たとえば図1および図2に示すように、ワーク10が着脱自在に固定される上テーブル12に取り付けられ、回転する砥石4がワーク10を切削する際の振動をリアルタイムで検出可能になっている。振動センサ40で検出された振動の一次データ42を図4(C)に示す。
第2加工状態検出装置2bは、振動変化データ作成手段43を有する。この振動変化データ作成手段43は、第1加工状態検出装置2aの振動変化データ作成手段43と同様な構成を有し、振動センサ40で検出された図4(C)に示す振動の一次データ42から図4(D)に示す振動の時間変化に関連する振動変化データ44を作り出す。
図3に示すように、本実施形態の第2加工状態検出装置2bは、比較手段60をさらに有する。比較手段60は、振動センサ40で検出された一次データを用いて振動変化データ作成手段43にて得られる振動変化データが、記憶手段56aにて記憶してある閾値46(図4(D)参照)を超えているか否かを判断する。比較手段60が、図4(D)に示すように、振動変化データ44に特殊変化データ44aが含まれており、そのデータ44aの出力信号が閾値46を超えている場合には、警告手段62を起動させる。
警告手段62では、例えば図1および図2に示すワーク10の切削箇所にチッピングなどの加工異常が生じたことを知らせるアラームなどの警告信号を出力する。警告信号は、警告音を発する信号であってもよく、警告画像を表示する信号であってもよい。警告画像は、たとえば第2加工状態検出装置2bの制御装置の表示装置画面に表示される。
警告手段62では、比較手段60で異常(チッピングなどの加工異常)が検出された場合には、異常が検出されたワーク10の加工位置を、記憶手段56aに記憶させても良い。第2加工状態検出装置2bにおいて、振動変化データ作成手段43、比較手段60および警告手段62は、図1および図2に示す切削装置2の制御装置の一部を構成する専用回路で構成しても良いが、その制御装置となるコンピュータのプログラムで構成してもよい。
本実施形態に係る第1加工状態検出装置2aでは、撮像手段としてのカメラ30を用いて、砥石4によるワーク10の切削痕を撮像することができる。なお、砥石4による切削加工時にオンラインで切削痕を撮像するには、カメラ30により切削痕を撮像しやすいように、切削液や研磨液などの加工用液体を除去しながら、撮像してもよい。
本実施形態の第1加工状態検出装置2aでは、たとえばカメラ30により撮像した切削痕の撮像一次データ32から、図3に示す切削痕変化データ手段33を用いて、切削痕の時間変化に関連する切削痕変化データ34を作成することができる。また、振動センサ40では、砥石4によるワーク10への切削加工時の振動を検出することができる。さらに、振動センサ40により検出したデータから、振動の時間変化に関連する振動変化データ44を作成することができる。
図3に示す照合手段50では、図4(B)に示す切削痕変化データ34と、図4(D)に示す振動変化データ44とを比較することで、これらの相関関係を求めることができる。本実施形態の加工状態検出装置では、製品の欠陥につながるチッピングなどの切削痕の変化データと、振動の変化データを関連させることで、逆に振動の変化データから、欠陥につながるチッピングなどに対応する切削痕の不良を判断することが可能になる。
本実施形態の第1加工状態検出装置2aおよび検出方法では、欠陥につながるチッピングなどに対応する切削痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の切削痕の不良を、図4(D)に示す振動変化データ44から検出することが可能になる。なお、従来では、振動検出センサの検出信号を用いて100μm程度のチッピングなどの加工不良を検出することはできたが、数十μm以下、好ましくは10μm以下の切削痕の不良を、振動検出信号(たとえば図4(C)に示す信号)から検出することが困難であった。
本実施形態の第1加工状態検出装置2aおよびそれを用いた方法により得られる振動変化データと加工不良との相関データを、閾値データとして記憶手段56に記憶する。記憶手段56に記憶してある閾値データを、記憶手段56aに記憶して、実際の加工装置としての切削装置2に用いることで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
本実施形態に係る加工状態検出装置2bによれば、実際の切削加工による振動変化と、第1加工状態検出装置2aにて得られた特殊変化データ44aとを比較することで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。すなわち、振動センサ40で検出された信号から得られる振動変化データが、特定の閾値を超えているか否かを判断するのみで、容易に、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る加工装置としての切削装置は、図1および図2に示す第1実施形態に係る切削装置2と基本的には同様である。第2実施形態の切削装置は、図5に示す第1加工状態検出装置2cが取り付けられて親機としての予備加工装置となったり、図5に示す第2加工状態検出装置2dが取り付けられて子機としての実際の切削装置の内の少なくとも一つとして用いられる。以下、前述した第1実施形態の説明と重複する部分の説明は、可能な限り省略し、第2実施形態に特有の構成と作用効果について、特に詳細に説明する。
図5に示すように、本実施形態の第1加工状態検出装置2cは、加工痕変化データ作成手段33aを有する。加工痕変化データ作成手段33aは、カメラ30で撮像された図6Aに示す画像の一次データである加工痕の画像データから、まず、図7Aに示すように、切削方向の位置に沿った両側の切削エッジの所定位置のデータを作り出す。同様にカメラ30で撮像された図6Bに示す加工痕の画像データも、図7Bに示すように、切削方向の位置に沿った両側の切削エッジの他の位置のデータを作り出すことができる。
図5に示す加工痕変化データ作成手段33aは、図7Aに示す数値化データや図7Bに示す数値化データを繋いで、図8のような切削方向の位置に沿った両側の切削エッジの全領域に関する画像の二次データを作り出すこともできる。なお、図8の画像の二次データのチッピングの切削方向に垂直な方向(縦軸の方向)については倍率を強調して表してある。
さらに、図5に示す加工痕変化データ作成手段33aは、図8に示すデータに基づき、図9に示すように、両側の切削エッジのチッピングに関するデータを加算した画像の二次データを作成してもよい。
図5に示すように、本実施形態の第1加工状態検出装置2cは、AEセンサなどで構成してある振動センサ40を有する。AEセンサなどで構成してある振動センサ40で検出された図10に示す振動の一次データは、図8または図9に示す切削跡の画像データに対応するデータであり、図8または図9に示す切削加工を行った際にAEセンサから得られた一次データである。図10に示すAEセンサの検出一次データのみを分析しても、チッピングなどの加工不良が多いか少ないかは判別困難である。
本実施形態では、図5に示す振動変化データ作成手段43aは、AEセンサなどで構成してある振動センサ40で検出された図10に示す振動の一次データから、たとえば振動の二次データである図12に示す周波数毎にデータ変換された振動変化データを作り出すデータ変換手段を有しても良い。このデータ変換手段は、統計処理手段でもあり、図10に示す振動の一次データから、たとえば図13に示すように、各加工位置での振動データの平均値を加工方向の位置に沿ってプロットした振動変化データ、各加工位置での振動データの最小ピークから最大ピークまでの長さを示す振動変化データなどを作り出す。その他の統計処理データとしては、各加工位置での振動データの最大値を加工方向の位置に沿ってプロットした振動変化データ、各加工位置での振動データの最小値を加工方向の位置に沿ってプロットした振動変化データ、各加工位置での振動データのばらつきσを加工方向の位置に沿ってプロットした振動変化データなどが例示される。
振動変化データ作成手段43aのデータ変換手段では、図10に示す振動の一次データに基づきフーリエ変換を行うと、振動の二次データとして図11のように所定の基準周波数(f)のm倍(mは自然数)の周波数毎に振動変化データのピークが発生すると共に、所定の基準周波数(f)の(m+0.5)倍(mは自然数)毎に、振動変化データの谷が発生する。ここで所定の基準周波数とは、本実施形態では、たとえば加工具の動きに関連する周波数として定義することもでき、図1および図2に示す加工具としての砥石4の回転数に基づく振動周波数、あるいは下テーブル14のX方向移動モータの回転数に基づく振動周波数などが例示される。
一例として図1の加工具を回転させるスピンドル6の回転数が30000rpmである場合、スピンドル6の振動数は500Hzとなり、これを基準周波数とすると、図12のように、たとえば0Hzから500Hz毎に24500Hzまでで50個の周波数毎のデータを得ることができる。
さらに本実施形態では、図5に示す振動変化データ作成手段43aは、信号を強調させるフィルタリング手段を有していてもよい。フィルタリング手段は、AEセンサなどで構成してある振動センサ40で検出された図10に示す振動の一次データから求めた、たとえば図11に示す基準周波数(f)のm倍毎にデータ変換された振動変化データのピークを、所定バンド幅(例えば±125Hz)でフィルタリング処理を行って信号(S)とする。また、フィルタリング手段は、同様に基準周波数(f)の(m+0.5)倍毎にデータ変換された振動変化データの谷を所定のバンド幅(例えば±125Hz)でフィルタリング処理を行ってノイズ(N)とする。振動の二次データとしては、たとえば信号(S)をノイズ(N)で比率(S/N)を求めた振動変化データ、あるいは信号(S)からノイズ(N)を引いた信号(S-N)を求めた振動変化データなどが例示される。
さらに本実施形態では、図5に示す振動変化データ作成手段43aは、図12~図13に示す振動変化データに対して、図14に示すように、所定範囲のn個のウィンドウW~W毎に、データ処理を行うウィンドウ手段を有してもよい。ウィンドウの横軸幅は、特に限定されないが、加工方向に沿った所定長さ、あるいは加工開始時間からの加工時間の単位に対応する。
ウィンドウ手段は、隣接するウィンドウW~Wをオーバラップさせて、振動変化データを、図15に示すように、ウィンドウ毎にたとえばヒストグラム化などのデータ処理を行ってもよい。オーバラップの割合は、横軸(加工の進行方向位置)に沿って、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。
図15では、図14に示す多数種類の振動変化データに対して、重複したウィンドウ処理を行い、それぞれヒストグラムのデータを作成してもよい。
図5に示すように、本実施形態の第1加工状態検出装置2cは、照合手段50aと演算手段53とを有する。照合手段50aと演算手段53とは、別々の機能を持っていても良いが、一体化されていてもよい。照合手段50aでは、たとえば図14または図15に示す振動変化データと、図8または図9に示す加工痕の位置変化に関連する加工痕変化データとを比較して照合することで、これらの相関関係(照合結果)を求めることができる。
演算手段53は、機械学習手段を有する。機械学習手段は、たとえば、図8または図9に示す加工痕変化データと図12~図13に示す振動変化データを比較して照合することで、図16に示す複数種類の振動変化データ条件に対応するヒストグラムのデータの中から、特殊変化データ(図16で示す丸で囲まれたデータ)を見つけるための機械学習を行う。機械学習手段のアルゴリズムとしては、たとえばランダムフォレストまたはディープラーニングが例示される。
演算手段53は、たとえば、図8や図9に示すチッピングが生じる加工位置に対応する図15に示すヒストグラムのデータの中から、チッピングのタイミングで共通して生じる特殊変化データ(図16で示す楕円で囲まれたデータ)を見つけるための機械学習を行う。その機械学習を行うことで、演算手段53は、「いずれかの振動変化データのいずれかの特殊変化データ(図16で示す楕円で囲まれたデータ)を検出することで、ワークの加工不良の有無を高精度で見つけることができるか」などの判別基準を算出する。判別基準の一例を、図17に示す論理式のプログラムの一部に示す。
さらに、図5に示す演算手段53は、図8や図9に示す加工痕変化データと図12~図13に示す振動変化データに基づき、図18に示す異常変化データ63を作成する。この図18に示す異常変化データ63は、切削方向(加工方向)の位置(加工開始からの時間に対応する)を横軸とし、その位置で、チッピングなどの加工不良の有る無しを判断するグラフの形で示すこともできる。図18に示す異常変化データ63において、たとえば横軸の数字の0は、たとえば加工開始(切削開始)位置を示し、横軸の数字の100は、たとえば加工終了(切削終了)位置を示している。また、縦軸の数字の1は、その横軸の加工位置で、たとえば10μm以上のチッピングなどの加工異常があることを示し、数字の0は、その横軸の加工位置で、たとえば10μm以上のチッピングなどの加工異常が無いことを示している。
図17では、たとえば図18に示すチッピングが生じるタイミングで図5に示す演算手段53で見つけられた特殊変化データ(図16で示す丸で囲まれたデータ)に基づく判別基準に基づき、チッピングの有無を予測する論理式の一例が開示してある。この論理式プログラムは、図5に示す判別基準記憶手段56cに記憶される。
図5に示す第1加工状態検出装置2cは、図示省略してある出力手段を有し、判別基準記憶手段56cに記憶してある判別基準のデータ(プログラム含む/以下同様)を、たとえば通信手段を用いて、第2加工状態検出装置2dの判別基準記憶手段56dに出力する。判別基準記憶手段56cと判別基準記憶手段56dとは、相互に別々の記憶手段であってもよく、あるいは、単一の記憶手段であってもよい。
本実施形態の第1加工状態検出装置2cを、図1および図2に示す切削装置2に取り付ければ、切削装置2は、親機としての切削予備装置(予備加工装置)となり、第2加工状態検出装置2dを、図1および図2に示す切削装置2に取り付ければ、切削装置2は、子機としての切削装置(加工装置)となる。親機の切削装置2と子機の切削装置2が同じものである場合には、記憶手段56cと記憶手段56dとは、同じもので構成される。
第1加工状態検出装置2cが取り付けられる切削装置2と、第2加工状態検出装置2dが取り付けられる切削装置2とが異なる場合には、記憶手段56cと記憶手段56dとを、無線または有線の通信手段で接続し、記憶手段56cで更新された判別基準(図17参照)のデータが記憶手段56dでも同時に更新可能にしても良い。また、記憶手段56cと記憶手段56dの間にネットワークサーバ(不図示)を用意し、記憶手段56cで更新された判断基準を、記憶手段56dにて必要に応じて更新可能としても良い。あるいは、記憶手段56cに記憶された判別基準は、搬送可能な記憶媒体を用いて、記憶手段56dに移動させてデータを更新しても良い。判別基準が更新されることで、切削異常などの加工異常を、より正確に検出することが可能になる。
なお、記憶手段56c,56dとしては、特に限定されず、コンピュータ(パソコン含む)などに付帯しているハードディスク、半導体メモリ、記録ディスク、記録テープなどが例示される。
図5に示す第1加工状態検出装置2cにおいて、加工痕変化データ作成手段33a、振動変化データ作成手段43a、照合手段50aおよび演算手段53は、図1および図2に示す切削装置2の制御装置の一部を構成する専用回路で構成しても良いが、その制御装置となるコンピュータのプログラムで構成することも可能である。また、加工痕変化データ作成手段33aおよび振動変化データ作成手段43aは、照合手段50aまたは演算手段53に含まれていてもよく、照合手段50aは、演算手段53に含まれていてもよい。また、後述する判別手段61および/またはチッピング検出手段62aは、照合手段50aまたは演算手段53に含まれていてもよい。
図5に示す第2加工状態検出装置2dは、たとえば図1および図2に示す切削装置2に取り付けられ、振動検出手段としての振動センサ40を有する。図5に示す第2加工状態検出装置2dは、第1加工状態検出装置2cとは異なり、カメラ30は、必ずしも具備されていなくても良いが、具備されていても良い。いずれにしても第2加工状態検出装置2dは、前述した図6A~図9に示す実際の加工痕に関するデータは必要としない。
図5に示す第2加工状態検出装置2dの振動センサ40は、第1加工状態検出装置2cの振動センサ40と同様であるが、必ずしも全く同一である必要は無い。振動センサ40は、たとえば図1および図2に示すように、ワーク10が着脱自在に固定される上テーブル12に取り付けられ、回転する砥石4がワーク10を切削する際の振動をリアルタイムで検出可能になっている。たとえばAEセンサなどの振動センサ40で検出された振動の一次データを、たとえば図10に示す。
第2加工状態検出装置2dは、振動変化データ作成手段43aを有する。この振動変化データ作成手段43aは、第1加工状態検出装置2cの振動変化データ作成手段43aと同様な構成を有し、振動センサ40で検出された図10に示す振動の一次データから図15に示す振動の二次データに関連するヒストグラムから成る振動変化データを作り出す。
図5に示すように、本実施形態の第2加工状態検出装置2dは、判別手段61をさらに有する。判別手段61は、振動センサ40で検出された一次データを用いて振動変化データ作成手段43aにて得られる振動変化データ(たとえば図15に示すヒストグラム)が、記憶手段56dにて記憶してある判別基準の論理式(たとえば図17に示す)に適合するか否かを判断する。判別手段61が、たとえば図16に示すヒストグラムなどの振動変化データに特殊変化データ(たとえば楕円の部分)が含まれていると判別する場合には、チッピング検出手段62aを起動させる。
チッピング検出手段62aでは、図1および図2に示すワーク10の切削箇所にチッピングなどの加工異常が生じたことを知らせるアラームなどの警告信号を出力する。警告信号は、警告音を発する信号であってもよく、警告画像を表示する信号であってもよい。警告画像は、たとえば図5に示す第2加工状態検出装置2dの制御装置の表示装置画面に表示される。
チッピング検出手段62aでは、判別手段61で異常(チッピングなどの加工異常)が検出された場合には、異常が検出されたワーク10の加工位置を、記憶手段56dとは別の異常位置記憶手段に記憶させてもよい。あるいは、記憶手段56dが異常位置記憶手段を兼ねていてもよい。第2加工状態検出装置2dにおいて、振動変化データ作成手段43a、判別手段61およびチッピング検出手段62aは、図1および図2に示す切削装置2の制御装置の一部を構成する専用回路で構成しても良いが、その制御装置となるコンピュータのプログラムで構成してもよい。
本実施形態の第1加工状態検出装置2cを組み込んだ切削装置および検出方法では、第1実施形態と同様に、欠陥につながるチッピングなどの加工痕の変化データと、振動の変化データを関連させることで、逆に振動の変化データから、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良を判断することが可能になる。たとえば本実施形態では、欠陥につながるチッピングなどに対応する加工痕の不良、たとえば数十μm以下、好ましくは10μm以下の加工痕の不良を、振動変化データから検出することが可能になる判別基準を見つけることができる。
本実施形態の第1加工状態検出装置2cを組み込んだ切削装置およびそれを用いた方法により得られる振動変化データと加工不良との相関データを、判別基準として記憶手段56cに記憶する。記憶手段56cに記憶してある判別基準を、記憶手段56dに記憶させて、第2加工状態検出装置2dを実際の切削装置2に用いることで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
本実施形態に係る加工状態検出装置2dによれば、実際の切削加工により得られる振動の一次データから得られる振動変化データを、第1加工状態検出装置2cにて得られた特殊変化データに関連する判別基準で判断することにより、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。すなわち、振動センサ40で検出された信号から得られる振動変化データのみで、欠陥につながるチッピングなどの加工不良をリアルタイムで精度良く検出することが可能になる。
なお、上述した実施形態では、振動の一次データから、周波数処理や統計処理やノイズ処理などのデータ変換処理を行い、振動の二次データを作り出し、振動の二次データに対してウィンドウ処理を行ったが、これに限定されない。たとえば、振動の一次データにウィンドウ処理を行い、その後に、周波数処理や統計処理やノイズ処理などのデータ変換処理を行い、その後に、ヒストグラム化処理を行っても良い。
また、本実施形態では、図5に示す子機の切削装置に取り付けられる加工状態検出装置2dの判別手段61およびチッピング検出手段62aと同じものを、親機の切削装置に取り付けられる加工状態検出装置2cにも取り付けてもよい。その場合には、親機としての切削装置においても、振動センサ40で検出された検出データのみから、リアルタイムで、チッピングなどの加工不良を検出することも可能である。
さらに、上述した実施形態では、振動の一次データから求められた振動の二次データとして、周波数毎に変換したデータ、統計処理したデータ、ノイズ処理をしたデータなどを用いているが、これらに限定されない。たとえば、その他の振動の二次データとして、ローパスフィルタなどのフィルタを通した振動変化データなどを例示することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明の加工装置としては、ダイサーなどの切削装置に限定されず、スライサ、グラインダなどの精密加工装置にも適用することが可能である。また、ワーク10としては、半導体ウエハに限定されず、回路基板、グリーンシート積層体、ガラス基板なども例示される。
また、X軸移動機構、Y軸移動機構およびZ軸移動機構としては、上述した実施形態に限定されない。たとえばX軸移動機構としては、保持部材としての上テーブル12を、加工具としての砥石4に対してX軸方向に相対移動させる機構であれば、どのような機構であってもよい。たとえば砥石4を上テーブル12に対してX軸方向に移動させる機構でもよい。
また、Y軸移動機構としては、駆動軸としてのスピンドル6(加工具としての砥石4)をワーク10に対してY軸方向に相対移動させる機構であれば、どのような機構であってもよい。たとえばワーク10を保持する上テーブル12をスピンドル6に対してY軸方向に移動させる機構でもよい。さらに、Z軸移動機構としては、駆動軸としてのスピンドル6(加工具としての砥石4)をワーク10に対してZ軸方向に相対移動させる機構であれば、どのような機構であってもよい。たとえばワーク10を保持する上テーブル12をスピンドル6に対してZ軸方向に移動させる機構でもよい。
2… 切削装置(加工装置/予備加工装置)
2a,2c… 第1加工状態検出装置
2b,2d… 第2加工状態検出装置
4… 円盤状砥石(加工具)
6… スピンドル(駆動軸)
8… スピンドル支持体
10… ワーク
12… 上テーブル(保持部材)
14… 下テーブル
16… X軸レール(X軸移動機構)
18… 固定ベース
20… Z軸レール(Z軸移動機構)
22… Y軸レール(Y軸移動機構)
30… カメラ(撮像手段)
32… 切削痕の一次データ
33… 切削痕変化データ作成手段
33a… 加工痕変化データ作成手段
34… 切削痕変化データ
34a… 加工不良データ
40… 振動センサ(振動検出手段)
42… 振動の一次データ
43,43a… 振動変化データ作成手段
44… 振動変化データ
44a… 特殊変化データ
46… 閾値
50,50a… 照合手段
52… 抽出手段
53… 演算手段
54… 閾値決定手段
56… 記憶手段
56a,56c,56d… 記憶手段
60… 比較手段
61… 判別手段
62… 警告手段
62a… チッピング検出手段
63… 異常変化データ

Claims (17)

  1. ワークを加工する加工具と、
    前記加工具を駆動する駆動軸と、
    前記ワークを保持する保持部材と、
    前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
    前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
    前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
    前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
    を有する加工装置であって、
    前記加工具による前記ワークの加工痕を撮像する撮像手段をさらに有し、
    前記撮像手段により撮像した前記加工痕の時間変化を示す一次データまたはその一次データの加工データである加工痕変化データと、前記振動検出手段により検出した振動の時間変化を示す一次データまたはその一次データの加工データである振動変化データと、を比較する照合手段をさらに有する加工装置
  2. 前記加工痕変化データから、前記加工具による前記ワークの加工不良に対応する加工不良データを求め、前記照合手段で求められた相関関係に基づき、前記加工不良データに対応する前記振動変化データの特殊変化データを抽出する抽出手段をさらに有する請求項1記載の加工装置。
  3. 前記振動変化データが閾値以上の場合には、前記加工具による前記ワークの加工不良が発生していると判断させるように、前記抽出手段で求められた特殊変化データに閾値を設定する閾値決定手段をさらに有する請求項2に記載の加工装置。
  4. 前記閾値決定手段で決定された閾値を記憶する記憶手段をさらに有する請求項3に記載の加工装置。
  5. ワークを加工する加工具と、
    前記加工具を駆動する駆動軸と、
    前記ワークを保持する保持部材と、
    前記保持部材を前記加工具に対してX軸方向に相対移動させるX軸移動機構と、
    前記駆動軸を前記ワークに対してY軸方向に相対移動させるY軸移動機構と、
    前記駆動軸を前記ワークに対してZ軸方向に相対移動させるZ軸移動機構と、
    前記加工具による前記ワークへの加工時の振動を検出する振動検出手段と、
    前記加工具による前記ワークの加工痕を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像した前記加工痕の位置変化を示す一次データまたはその一次データの加工データである加工痕変化データを作成する加工痕変化データ作成手段と、
    前記振動検出手段により検出した振動の一次データより求めた振動変化データを作成する振動変化データ作成手段と、
    前記加工痕変化データと前記振動変化データとを照合する照合手段と、有する加工装置。
  6. 前記照合手段で求められた照合結果に基づき、前記加工具による前記ワークの加工不良に関連性が高い前記振動変化データの特殊変化データを抽出して、前記振動変化データから前記ワークの加工不良を見つけ出す判別基準を算出する演算手段をさらに有する請求項5に記載の加工装置。
  7. 前記演算手段で算出された判別基準を記憶する判別基準記憶手段と、前記判別基準記憶手段に記憶してある前記判別基準を出力する出力手段をさらに有する請求項6に記載の加工装置。
  8. 前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データをフーリエ変換するデータ変換手段を有する請求項5に記載の加工装置。
  9. 前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データをフーリエ変換し、所定の基準周波数(f)のm倍(mは整数の絶対値)の周波数における前記振動変化データを振動の二次データとして取得するデータ変換手段を有する請求項5に記載の加工装置。
  10. 前記データ変換手段は、前記所定の基準周波数(f)のm倍(mは整数の絶対値)の周波数に加えて、前記所定の基準周波数(f)の(m+0.5)倍(mは整数の絶対値)の周波数における前記振動変化データを振動の二次データとして取得する請求項9に記載の加工装置。
  11. 前記基準周波数は、前記加工具の動きに関連する周波数である請求項9または10に記載の加工装置。
  12. 前記振動変化データ作成手段は、前記振動の一次データ、または前記振動の一次データから求めた振動の二次データを、所定範囲に分割して演算するウィンドウ手段をさらに有する請求項5に記載の加工装置。
  13. 前記ウィンドウ手段によって作成されたウィンドウは、それぞれ隣接する前記ウィンドウとオーバラップし、前記振動の一次データまたは前記振動の二次データが、分割して演算される請求項12に記載の加工装置。
  14. 前記演算手段は、機械学習により、前記特殊変化データを抽出して判別基準を算出する機械学習手段を有する請求項6または7に記載の加工装置。
  15. 前記加工具が切削工具である請求項5に記載の加工装置。
  16. 前記加工具による前記ワークの加工に際して、前記振動検出手段と前記振動変化データ作成手段により得られる振動変化データから、前記演算手段で得られた判別基準に基づき、前記特殊変化データを判別し、前記加工具による加工状態を判別する判別手段を、さらに有する請求項6または7に記載の加工装置。
  17. 前記判別手段で異常が検出された場合には、異常が検出された前記ワークの加工位置を記憶する異常位置記憶手段をさらに有する請求項16に記載の加工装置。


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