特許文献1記載のオイル管理システムによれば、オイル貯留部内のオイルを交換すべきなのか、オイル貯留部内にオイルを補充すべきなのか、オイルの交換及びオイルの補充が不要なのか、オイルを補充する場合にはどの程度の量を補充する必要があるのかといったメンテナンス時に必要となる保守情報を得ることができる。しかしながら、保守情報に含まれる補充に必要なオイル量は、単にオイル量センサーの検知結果だけを基に算出されたものである。そのため、保守情報に基づいて必要量のオイルを補充するメンテナンスを行う場合に、メンテナンス後のオイルタンク内のオイルの劣化度が十分に回復しないような事態が生じる虞がある。したがって、特許文献1記載のオイル管理システムには、メンテナンス作業の正確性という面で改善の余地がある。
また、特許文献1記載のオイル管理システムによって保守情報を得たとしても、当該保守情報を基にメンテナンス作業を行う際には、オイルの供給やオイルの排出、オイルの供給量の調整等に必要な作業を作業者自身で行う必要がある。したがって、メンテナンス作業の簡素化という面でも改善の余地がある。
一方、特許文献2記載の潤滑油供給装置は、潤滑油消費量及び潤滑油劣化度を基に、潤滑油の給油・排油を自動で行うものであるが、定期的に行われるメンテナンス作業における正確性の向上や簡素化を図ったものではない。
このように、メンテナンス作業における正確性の向上や簡素化という点に改善の余地がある、或いはそもそもメンテナンス作業における正確性の向上や簡素化を図っていないといった実情があり、メンテナンス作業を高精度且つ簡単に行うことができるシステムの開発が切望されている。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、メンテナンス作業を高精度且つ簡単に行うことができるオイル管理システムの提供を、その目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るオイル管理システムの特徴構成は、オイル貯留部内へのオイルの供給及び前記オイル貯留部内からの前記オイルの排出を行う供給排出手段と、
メンテナンス作業開始前の時点での前記オイル貯留部内の前記オイルの劣化度を算定する劣化度算定手段と、
前記メンテナンス作業開始前の時点での前記オイル貯留部内の前記オイルの消費量を算定する消費量算定手段と、
制御手段とを備えたオイル管理システムであって、
前記制御手段は、
前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度と前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量とを基に、前記オイル貯留部への対応として、前記オイルの供給及び前記オイルの排出を行わない第1対応、前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量に相当する量の前記オイルの供給を行う第2対応、対応後の前記オイル貯留部内の前記オイルの劣化度が所定値以下となるように、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度に基づき算定される補充量分の前記オイルの供給を行う第3対応、対応後の前記オイル貯留部内の前記オイルの劣化度が所定値以下となるように、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度に基づき算定される抜取り量分の前記オイルの排出、並びに前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度に基づき算定され、前記抜取り量分を含む補充量分の前記オイルの供給を行う第4対応のうちいずれの対応を選択すべきかを判定する保守対応判定部と、
前記保守対応判定部での判定結果を基に、前記第1対応、前記第2対応、前記第3対応及び前記第4対応のいずれかを実行するように、前記供給排出手段の動作を制御する制御部とを備えた点にある。
上記特徴構成によれば、メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部内のオイルの劣化度及び消費量を基に、メンテナンス作業(保守対応)として、第1対応から第4対応のうちいずれの対応を選択すべきかを保守対応判定部によって判定する。そして、この保守対応判定部での判定結果を基にして、メンテナンス作業として第1対応から第4対応のいずれかを実行するように、供給排出手段の動作を制御部が制御する。
メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部内のオイルの劣化度が所定値以下であり、消費量も少ないような場合には、オイルの供給及びオイルの排出が不要である。したがって、このような場合には、保守対応判定部は第1対応を選択すべきと判定する。
メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部内のオイルの消費量が所定値以上であるような場合には、消費量分のオイルを供給する必要がある。したがって、このような場合には、保守対応判定部は第2対応を選択すべきと判定する。
メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部内のオイルの消費量が所定値未満であっても劣化度が所定値を超えているような場合には、オイルの劣化度を所定値以下まで回復させる必要がある。したがって、このような場合には、保守対応判定部は第3対応を選択すべきと判定する。
メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部内のオイルの劣化度が、単にオイルの消費量分を供給するだけでは所定値以下まで回復させることができないような値である場合がある。この場合には、オイル貯留部内のオイルの劣化度を所定値以下まで回復させるために消費量分以上のオイルを供給する必要があり、そのためにはオイル貯留部内から劣化しているオイルの一部を抜き取る必要がある。したがって、このような場合には、保守対応判定部は第4対応を選択すべきと判定する。
このように、上記特徴構成によれば、オイルの劣化度及びオイルの消費量に基づいて、メンテナンス作業として選択すべき適切な対応を判定できる。そして、選択された対応(判定結果)を、オイルの供給やオイルの排出、オイルの供給量の調整等の作業をメンテナンス作業者自身が行うことなく自動的に実行できる。したがって、メンテナンス作業を高精度且つ簡単に行うことができる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記保守対応判定部は、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度、前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量、並びに、前記オイルの劣化度と前記オイルの消費量との関係を示す予め定められた第1管理レベル及び第2管理レベルを基に、前記第1対応、前記第2対応、前記第3対応及び前記第4対応のうちいずれの対応を選択すべきかを判定し、
前記第1管理レベルは、前記第2管理レベルよりも前記オイルの劣化度が低くなるように予め定められている点にある。
上記のように、保守対応判定部において、上記4つの対応のうちのいずれを選択すべきか判定する際には、劣化度算定手段で算定されたオイルの劣化度と、消費量算定手段で算定されたオイルの消費量とを使用するため、オイルの劣化度とオイルの消費量との関係を予め規定しておくことが好ましい。また、算定された消費量が少ない場合には、オイルの劣化度が低ければオイルを供給する必要がなく、劣化度が高ければオイルを供給する必要があり、劣化度が更に高ければオイルの排出及びオイルの供給が必要となる。したがって、第1対応を選択すべきなのか、第3対応を選択すべきなのか、第4対応を選択すべきなのかを精度良く判定するためには、オイルの劣化度とオイルの消費量との関係を少なくとも2つ規定しておくことが好ましい。
そこで、上記特徴構成では、オイルの劣化度とオイルの消費量との関係を示す予め定められた2つの管理レベル(第1管理レベル及び第2管理レベル)と、劣化度算定手段で算定されたオイルの劣化度及び消費量算定手段で算定されたオイルの消費量とを基にして、上記4つの対応のうちいずれの対応を選択すべきかを判定することができる。したがって、オイル貯留部への対応として上記4つの対応のうちのいずれを選択すべきかを精度良く判定することができる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記保守対応判定部は、
前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量が第1閾値未満であり、且つ、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度が前記第1管理レベル以下である場合に、前記第1対応を選択し、
前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量が前記第1閾値以上であり、且つ、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度が前記第2管理レベル以下である場合に、前記第2対応を選択し、
前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量が前記第1閾値未満であり、且つ、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度が前記第1管理レベルを超え且つ前記第2管理レベル以下である場合に、前記第3対応を選択し、
前記消費量算定手段で算定された前記オイルの消費量が前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満であり、且つ、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度が前記第2管理レベルを超えている場合に、前記第4対応を選択する点にある。
上記特徴構成によれば、オイル貯留部への対応として第1対応から第4対応のうちのいずれの対応を選択すべきかを精度良く判定することができる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記第1管理レベル及び前記第2管理レベルは、前記オイルの劣化度が前記第2管理レベルである場合に、当該オイルの劣化度に対応した前記オイルの消費量に相当する量の前記オイルを前記オイル貯留部に供給することで、前記オイルの劣化度が前記第1管理レベル以下になる関係となるように予め定められている点にある。
上記特徴構成によれば、第4対応を行う際に、オイルの抜取り量及び補充量を容易に算定することができる。即ち、第4対応では、劣化度算定手段で算定されたオイルの劣化度と同等となる第2管理レベルにおける劣化度に対応するオイルの消費量から、消費量算定手段で算定されたオイルの消費量を減算した量をオイルの抜取り量とし、この抜取り量に消費量算定手段で算定されたオイルの消費量を加算した量が補充量となる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記第1管理レベル及び前記第2管理レベルは、前記オイル貯留部内の前記オイルの全量が未使用オイルである状態からの前記第2対応、前記第3対応及び前記第4対応の総実行回数に応じて調整されたものである点にある。
貯留されたオイルの全量が未使用オイルである状態(初めてオイルが充填された状態やオイルの全量が新品のオイルに交換された状態)のオイル貯留部に対して、オイルの供給を伴うメンテナンス作業を行うたびに、メンテナンス作業後におけるオイル貯留部内のオイルの状態が変化する。そのため、上記4つのうちいずれの対応を選択するかを精度よく判定する上で、判定に使用する第1管理レベル及び第2管理レベルをメンテナンス作業の回数に応じて調整することが好ましい。上記特徴構成では、第1管理レベル及び第2管理レベルがオイルの供給やオイルの排出を伴う対応(第2対応、第3対応及び第4対応)の総実行回数に応じて調整されたものであるため、保守対応判定部における判定の精度を高められる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記第1管理レベル及び前記第2管理レベルは、前記オイルの種類ごとに予め定められたものである点にある。
オイルの種類に応じて、オイルの劣化度とオイルの消費量との関係が変化する。したがって、保守対応判定部での判定を精度良く行うためには、第1管理レベル及び第2管理レベルがオイルの種類ごとに予め定められたものであることが好ましい。上記特徴構成によれば、第1管理レベル及び第2管理レベルがオイルの種類ごとに予め定められたものであるため、保守対応判定部における判定の精度を高められる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記第1管理レベル及び前記第2管理レベルは、オイル管理システムが搭載された装置に設けられたメンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間に応じて調整されたものである点にある。
このオイル管理システムが搭載された装置については、当該装置を構成する各種機器の調整や部品の交換といったメンテナンス作業が必要になる。オイルのメンテナンス作業を行うタイミングと機器の調整や部品の交換といったメンテナンス作業を行うタイミングとが異なると、作業者が装置の設置個所に赴かなければならない回数が増えてしまう。また、オイルのメンテナンス作業を行うタイミングを機器の調整等のメンテナンス作業を行うタイミングに合わせた場合、オイルの劣化度が使用限界を超えている状態で装置を使用し続けることになる虞がある。しかしながら、上記特徴構成によれば、例えば、メンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間が比較的長い場合には、上記4つのいずれかの対応を実施した後のオイル貯留部内のオイルの劣化度が低めになるように、第1管理レベル及び第2管理レベルが調整されたものとなる。そのため、オイルのメンテナンス作業と機器の調整や部品の交換といったメンテナンス作業とを同じタイミングで行っても、オイル貯留部内のオイルの劣化度が使用限界を超えている状態で装置を使用し続けるような事態が生じ難い。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記保守対応判定部は、前記劣化度算定手段で算定された前記オイルの劣化度が予め定められた使用上限レベル以上である場合に、前記オイルの供給及び前記オイルの排出を行って前記オイル貯留部内に残っている前記オイルの全量を排出した後、前記オイル貯留部内に規定量の前記オイルが供給された状態となるように前記オイルを供給する第5対応を選択する点にある。
上記特徴構成によれば、オイルの劣化度が使用に適さないような状態である場合に、オイルの消費量にかかわらず、オイル貯留部内を規定量分の新品のオイルが供給された状態にすることができる。
また、本発明に係るオイル管理システムの更なる特徴構成は、前記供給排出手段は、
一端が前記オイル貯留部に接続された供給管と、
前記供給管の他端に接続可能な新油タンクと、
前記供給管に介装され、前記制御部により動作が制御される供給量調整部と、
一端が前記オイル貯留部に接続された排出管と、
前記排出管の他端に接続可能な廃油タンクと、
前記排出管に介装され、前記制御部により動作が制御される排出量調整部とを備えている点にある。
上記特徴構成によれば、新油タンク及び廃油タンクを供給管及び排出管の他端に接続した上で、保守対応判定部が第1対応から第4対応のいずれを選択すべきかを判定し、制御部がその判定結果を基に供給量調整部及び排出量調整部の動作を制御する。これにより、新油タンク内のオイルが供給管を通してオイル貯留部に供給され、オイル貯留部内のオイルが排出管を通して廃油タンクに排出され、上記第1対応から第4対応のいずれかを行うことができる。
また、新油タンク及び廃油タンクが供給管及び排出管の他端に接続可能であり、これらをメンテナンスのタイミングで適宜接続すればよいため、オイル管理システムが搭載される装置の内部や当該装置の周辺に新油タンク及び廃油タンクを常設しておくためのスペースが必要ない。したがって、装置構成の制約や装置の設置スペースの制約を緩和できる。
以下、図面を参照して実施形態に係るオイル管理システムについて説明する。尚、本実施形態に係るオイル管理システムは、ガスエンジンを用いてヒートポンプ運転を行う空調システムについて、ガスエンジンに用いるエンジンオイルを管理するためのシステムに本発明に係るオイル管理システムを適用したものである。
図1は、この空調システムの一部と本実施形態に係るオイル管理システムを示し、空調システムの一部として、ガスエンジン1とガスエンジン1の下部でエンジンオイル2を貯留しておくオイルパン3と、オイル管4によりオイルパン3と接続されたオイルタンク5を示しており、本実施形態においては、オイルパン3、オイル管4及びオイルタンク5によりオイル貯留部Tが形成されている。即ち、空調システムにおいて、エンジンオイル2は、オイルパン3、オイル管4及びオイルタンク5の間で自由に行き来できる状態で、これらオイルパン3、オイル管4及びオイルタンク5によって貯留されている。したがって、オイルパン3からエンジンオイル2が消費されるに伴い、オイルパン3とオイルタンク5との両者でエンジンオイル2の液面の位置が同じになる状態を保って、オイルパン3とオイルタンク5とにおけるエンジンオイル2の液面の位置が徐々に下がっていくようになっており、また、オイルパン3内のエンジンオイル2、オイル管4内のエンジンオイル2及びオイルタンク5内のエンジンオイル2の状態(例えば劣化具合)は同じとなるようになっている。
また、図1に示すように、本実施形態に係るオイル管理システムは、エンジンオイル2の温度、電気抵抗及び残オイル量を測定する複合センサー6を備えている。
複合センサー6は、微小な間隔を隔てて対向した2つの電極部が配置されたセンサー基板6aと、センサー基板6aに接続されたセンサー検出回路(図示せず)とを備えており、センサー基板6aからの信号を基に、エンジンオイル2の温度、電気抵抗及び液面の位置を測定することができるセンサーである。そして、複合センサー6は、オイル貯留部Tとしてのオイルタンク5に設けられており、本実施形態では、複合センサー6は、エンジンオイル2が基準量にあるときのオイルタンク5内でのオイル液面の高さ位置にセンサー基板6aの下端部が位置し、且つオイルタンク5の上部に形成された補給口に挿通された状態で、キャップとしての機能を兼ね備えたセンサーガイド7によって支持されている。この複合センサー6によれば、センサー基板6aがエンジンオイル2に浸かると、電極間に電気が流れ、当該エンジンオイル2の電気抵抗を測定することができる。また、エンジンオイル2に浸かる電極部が増えるごとに静電容量が増加するため、静電容量を基にエンジンオイル2の液面の位置を検知することができ、検知された液面の位置を基に残オイル量を測定することができる。本実施形態においては、この複合センサー6は、後述する劣化度算定部24と併せて劣化度算定手段として機能し、且つ、後述する消費量算定部25と併せて消費量算定手段として機能する。
更に、図1に示すように、本実施形態に係るオイル管理システムは、オイル貯留部Tの一部であるオイルタンク5内へエンジンオイル2を供給するとともに、オイル管4を通してオイル貯留部T外にエンジンオイル2を排出するための供給排出手段8を備えている。
本実施形態において、供給排出手段8は、一端がオイルタンク5に接続された供給管9と、供給管9の他端に接続可能な新油タンク10と、供給管9に介装され、後述する制御装置のポンプ制御部27により動作が制御される供給ポンプ11(供給量調整部)とを備えている。また、供給排出手段8は、一端がオイル管4に接続された排出管12と、排出管12の他端に接続可能な廃油タンク13と、排出管12に介装され、ポンプ制御部27により動作が制御される排出ポンプ14(排出量調整部)とを備えている。
尚、供給管9は、一端がオイルタンク5に接続され、他端が室外機Sの筐体S1に形成された開口部に接続された供給配管9aと、一端が筐体S1に形成された開口部を介して供給配管9aに接続され、他端が新油タンク10に接続された供給ホース9bとからなる。供給ホース9bは、供給配管9a及び新油タンク10に対して着脱自在になっている。また、同様に、排出管12は、一端がオイル管4に接続され、他端が室外機Sの筐体S1に形成された開口部に接続された排出配管12aと、一端が筐体S1に形成された開口部を介して排出配管12aに接続され、他端が廃油タンク13に接続された排出ホース12bとからなる。排出ホース12bは、排出配管12a及び廃油タンク13に着脱自在になっている。したがって、エンジンオイル2のメンテナンス作業を行う際には、供給ホース9b及び排出ホース12bを使用して新油タンク10及び廃油タンク13をオイルタンク5と連通するように接続することができ、メンテナンス作業を行っていないときは、新油タンク10及び廃油タンク13を室外機Sの傍から移動させることができる。よって、室外機Sの近傍に新油タンク10及び廃油タンク13を常設するためのスペースが不要となる。
また、図1に示すように、本実施形態に係るオイル管理システムは、制御装置20(制御手段)と、メンテ用PC30とを備えている。制御装置20は、複合センサー6、供給ポンプ11、排出ポンプ14及びメンテ用PC30との間で信号を送受信可能に接続されており、各種処理を実行するように構成されている。
図2に示すように、制御装置20は、有線又は無線でデータを送受信可能な通信部21と、各種データを記憶する記憶部22と、各種のデータ処理を行う演算部23と、供給ポンプ11及び排出ポンプ14の動作を制御するポンプ制御部27(制御部)とを備えている。尚、制御装置20は、情報の演算処理機能及び情報の入出力機能及び情報の記憶機能などを備える1台又は複数台のコンピュータ装置などを用いて実現される。また、本実施形態では、制御装置20としてのマイコンを空調システムに用いられている室外機Sに組み込んだ形態で用いられており、空調システムの運転制御も併せて行うものとしてある。
記憶部22は、オイルの劣化度とオイルの消費量との関係を示す予め定められた第1管理レベル及び第2管理レベル、並びにオイルの消費量に関する第1閾値及び第2閾値が記憶されている。尚、本実施形態においては、エンジンオイル2の種類ごとに予め定められた複数組の第1管理レベル及び第2管理レベルが記憶されている。
本実施形態において、第1管理レベル及び第2管理レベルは、図3に示すように、オイルの劣化度とオイルの消費量との直線関係を示すものである。また、第1管理レベル及び第2管理レベルは、エンジンオイル2の劣化度が第2管理レベルである場合に、このエンジンオイル2の劣化度に対応したエンジンオイル2の消費量に相当する量のエンジンオイル2をオイルタンク5に供給することで、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベルに達する関係となるように予め定められたものである。
演算部23は、劣化度算定部24と、消費量算定部25と、オイル貯留部Tに対する対応として第1対応、第2対応、第3対応、第4対応及び第5対応のいずれの対応を選択するかを判定する保守対応判定部26とを有している。尚、本実施形態において、演算部23は、作業者がメンテ用PC30の適宜入力部にメンテナンス作業に必要な処理を開始させるための操作を行い、当該操作を受け付けたメンテ用PC30からメンテナンス作業に必要な処理を開始させる旨の信号を通信部21を介して受信した時点で各種必要な演算処理を開始する。
劣化度算定部24は、複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の電気抵抗を基にエンジンオイル2の劣化度を算定する機能部である。本実施形態において、劣化度算定部24は、複合センサー6から送信されるエンジンオイル2の電気抵抗値をエンジンオイル2の劣化度として算定する。
消費量算定部25は、複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の残オイル量を基にエンジンオイル2の消費量を算定する機能部である。具体的に、本実施形態においては、オイル貯留部T内を満タンにした際の量(規定量)から複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の残オイル量を差し引いた分が消費されたエンジンオイルの量である。本実施形態において、エンジンオイル2の消費量とは、オイル貯留部Tの規定量に対する消費されたエンジンオイル2の量の割合である。
保守対応判定部26は、劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度と、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量と、第1管理レベル、第2管理レベル、第1閾値、第2閾値及び使用上限レベルとを基にして、上記5つの保守対応のいずれを選択すべきかを判定する機能部である。
尚、本実施形態において、保守対応判定部26は、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の種類に応じて、記憶部22に記憶されている管理レベルの複数の組の中から適当な一組を選択して判定に使用する。オイル貯留部T内のエンジンオイル2の種類については、作業者によりその都度適宜選択されてもよいし、以前の作業時に選択され記憶されたものであってもよい。このように、エンジンオイル2の種類に応じて使用する管理レベルを変えることにより、判定の精度を高められる。
本実施形態において、保守対応判定部26は、図3に示すように、劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度と消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量とが、第1管理レベル、第2管理レベル、エンジンオイル2の消費量に関する第1閾値、第2閾値及び使用上限レベルとの関係でどのような条件を満たしているかによって、選択すべき対応を判定する。また、保守対応判定部26は、選択すべきと判定した対応において、オイルタンク5に供給すべきエンジンオイル2の量やオイル貯留部T外へ排出すべきエンジンオイル2の量を算定する。
メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が所定値以下であり、消費量も少ないような場合には、エンジンオイル2の供給及びエンジンオイル2の排出が不要である。そこで、保守対応判定部26は、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量が第1閾値未満であり、且つ、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量に対応する劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベル以下である場合(図3の領域A1)に第1対応を選択すべきと判定する。第1対応とは、エンジンオイル2の供給及びエンジンオイル2の排出を行わない対応である。
また、メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部T内のエンジンオイル2の消費量が所定値以上であるような場合には、消費量分のエンジンオイル2を供給する必要がある。そこで、保守対応判定部26は、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量が第1閾値以上であり、且つ、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量に対応する劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が第2管理レベル以下である場合(図3の領域A2)に第2対応を選択すべきと判定する。第2対応とは、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量に相当する量のエンジンオイル2をオイルタンク5に供給する対応である。
また、メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部T内のエンジンオイル2の消費量が所定値未満であっても劣化度が所定値を超えているような場合には、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度を所定値以下まで回復させる必要がある。そこで、保守対応判定部26は、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量が第1閾値未満であり、且つ、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量に対応する劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベルを超え且つ第2管理レベル以下である場合(図3の領域A3)に第3対応を選択すべきと判定する。第3対応とは、対応後のオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が所定値以下となるように、劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度に基づき補充量を算定し、この算定された補充量分のエンジンオイル2の供給を行う対応である。
また、メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が、単にエンジンオイル2の消費量分を供給するだけでは所定値以下まで回復させることができないような値である場合がある。このような場合には、オイル貯留部T内から劣化しているエンジンオイル2の一部を抜き取り、この抜き取った量に相当する量に消費量分を加えた量のエンジンオイル2を供給する必要がある。そこで、保守対応判定部26は、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量が第1閾値より大きい第2閾値未満であり、且つ、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量に対応する劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が第2管理レベルを超えている場合(図3の領域A4)に第4対応を選択すべきと判定する。第4対応とは、対応後のオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が所定値以下となるように、劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度に基づき補充量を算定するとともに、オイル貯留部Tから抜き取るエンジンオイル2の量(抜取り量)を算定し、この算定された抜取り量分のエンジンオイル2の排出と、算定された補充量分のエンジンオイル2の供給とを行う対応である。
また、メンテナンス作業開始前の時点でのオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が高すぎると、エンジンオイル2を補充しても劣化度を所定値以下に回復できない場合がある。そこで、本実施形態における保守対応判定部26は、劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が予め定められた使用上限レベル以上である場合(図3の領域A5)に第5対応を選択すべきと判定する。第5対応とは、エンジンオイル2の供給及びエンジンオイル2の排出を行って、オイル貯留部T内に残っているエンジンオイル2の全量を排出した後、オイル貯留部T内に規定量のエンジンオイル2が供給された状態となるようにエンジンオイル2を供給する対応である。
本実施形態における保守対応判定部26において、第3対応でオイルタンク5内に供給すべきエンジンオイル2の量(補充量)並びに、第4対応でオイルタンク5内に供給すべきエンジンオイル2の量(補充量)及びオイル貯留部Tから抜き取るべきエンジンオイル2の量(抜取り量)を算定する方法について、図4を参照しつつ説明する。本実施形態においては、以下の(式1)から導出される(式2)を基に、オイルタンク5に供給すべきエンジンオイル2の量を算定する。尚、本実施形態において、(式2)を基に算定されるエンジンオイル2の量は、オイル貯留部Tの満量に対する割合として算定される。したがって、算定された値にオイル貯留部Tの満量を乗じた値が実際に供給すべきエンジンオイル2の体積となる。また、(式1)及び(式2)において、yは供給すべきエンジンオイル2の量(割合)、aは新油の劣化度、b2は消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量に対応する第1管理レベルでの劣化度、cは劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度、Mはオイル貯留部Tの満量である。
(式1)
M×y×a+M×(1-y)×c=b2×M
(式2)
y=(b2-c)/(a-c)
図4に示すように、消費量算定部25で算定された消費量がXであり、劣化度算定部24で算定された劣化度c1が第1管理レベルでの劣化度b2を超え且つ第2管理レベルでの劣化度b1以下である場合(第3対応を選択すべき場合)、供給すべきエンジンオイル2の量から消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量を差し引いた値は負となる(即ち、実際の消費量の方が供給すべきエンジンオイル2の量よりも多くなる)。この場合、上記(式2)で算定された量が補充量となる。このようにして算定された補充量は、対応後のオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベルとなるように算定されたものである。尚、この場合、(式2)で算定された補充量によっては、第3対応後のオイル貯留部T内のオイル量が、オイル貯留部Tの規定量には達していないが、エンジンオイル2の消費量が第1閾値未満であるような状態になる場合がある。
一方、図4に示すように、消費量算定部25で算定された消費量がXであり、劣化度算定部24で算定された劣化度c2が第2管理レベルでの劣化度b1を超えている場合(第4対応を選択すべき場合)、供給すべきエンジンオイル2の量から消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量を差し引いた値は正となる(即ち、実際の消費量よりも供給すべきエンジンオイル2の量が多くなる)。この場合、上記(式2)で算定された量が補充量となり、(式2)で算定された量から消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量を差し引いた値がオイル貯留部Tからの抜取り量となる。
また、本実施形態における保守対応判定部26は、空調システムに設けられたメンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間に応じて、選択すべき対応を判定する際に使用する第1管理レベル及び第2管理レベルを調整する。例えば、メンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間が比較的長い場合には、上記5つの対応を実施した後のオイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が低めになるように、第1管理レベル及び第2管理レベルを調整する。これにより、エンジンオイル2のメンテナンス作業と機器の調整や部品の交換といったメンテナンス作業とを同じタイミングで行っても、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が使用限界を超えている状態で空調システムを使用し続けるような事態が生じにくい。尚、メンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間は、例えば、作業者がメンテ用PC30の適宜入力部を操作し、次回メンテナンスまでの時間に関する情報を制御装置20に送信する態様を例示できる。
また、本実施形態における保守対応判定部26は、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の全量が未使用オイルである状態からの第2対応、第3対応及び第4対応の総実行回数に応じて、選択すべき対応を判定する際に使用する第1管理レベル及び第2管理レベルを調整する。具体的に、本実施形態においては、総実行回数が増加するほど第1管理レベル及び第2管理レベルを傾きを変えることなく全体として劣化度が上がるようにシフトさせている。このようにすれば、メンテナンス作業後におけるオイル貯留部T内のエンジンオイル2の状態の変化に応じて調整された管理レベルを使用することになるため、判定の精度を高められる。
ポンプ制御部27は、保守対応判定部26での判定結果(即ち、第1対応、第2対応、第3対応、第4対応及び第5対応のうち選択された対応、並びにエンジンオイル2の供給量(補充量)やエンジンオイル2の排出量(抜取り量))を基に、供給ポンプ11及び排出ポンプ14の動作を制御する。本実施形態において、ポンプ制御部27は、保守対応判定部26における判定結果、及び選択すべきと判定した対応において、オイルタンク5への供給量やオイル貯留部T外への排出量を自動的に取得するように構成されている。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るオイル管理システムにおいては、メンテナンス作業を行うために空調システムが設置された現場に作業者が赴き、メンテナンス作業を開始するにあたり、メンテナンス作業に必要な処理を開始させる旨の信号をメンテ用PC30を介して制御装置20に入力する。
制御装置20がメンテ用PC30から上記信号を受信した後、劣化度算定部24において、複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の電気抵抗を基にエンジンオイル2の劣化度が算定される。また、消費量算定部25において、複合センサー6により測定されたエンジンオイル2の残オイル量を基にエンジンオイル2の消費量が算定される。
そして、保守対応判定部26において、算定されたエンジンオイル2の劣化度及び消費量が、第1管理レベル、第2管理レベル、エンジンオイル2の消費量に関する第1閾値、第2閾値及び使用上限レベルとの関係でどのような条件を満たしているかによって、オイル貯留部Tに対する対応として選択すべき対応が判定されるとともに、選択された対応を実施する際のオイルタンク5への供給量やオイル貯留部T外への排出量が算定される。
しかる後、ポンプ制御部27によって供給ポンプ11及び排出ポンプ14の動作が制御され、第1対応、第2対応、第3対応、第4対応及び第5対応のうちのいずれかの対応が自動的に実行される。
このように、本実施形態に係るオイル管理システムによれば、エンジンオイル2の劣化度及び消費量に基づいて、メンテナンス作業として選択すべき適切な対応を判定できる。そして、エンジンオイル2の供給や排出のため操作、及び供給量や排出量を調整するための操作をメンテナンス作業者地震が行うことなく、選択された対応を自動的に実行できる。したがって、メンテナンス作業を高精度且つ簡単に行うことができる。
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、保守対応判定部26において4つの対応のいずれを選択すべきか判定する際に、エンジンオイル2の劣化度と消費量との関係を示す2つの管理レベル(第1管理レベル及び第2管理レベル)を使用するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、第1対応を選択すべきと判定する際に、第1管理レベル以下であるか未満であるかという判定基準に代えて、予め定めた一定値以下であるか未満であるかという判定基準を採用してもよい。
〔2〕上記実施形態では、第1対応、第2対応、第3対応及び第4対応を選択すべきと判定する際の条件の一例を示したが、これに限られるものではなく、劣化度算定部24及び消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の劣化度及び消費量が2つの管理レベル及び2つの閾値との間でどのような条件を満たした場合にどの対応を選択すべきと判定するかは適宜設定することができる。例えば、消費量算定部25で算定されたエンジンオイル2の消費量が第1閾値以上であっても、対応する劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベル以下である場合に第1対応を選択すべきと判定するようにしてもよい。
〔3〕上記実施形態では、保守対応判定部26において、第4対応での補充量及び抜取り量を算定する態様として、(式2)を基に算定する態様を採用したが、これに限られるものではない。
上記実施形態では、第1管理レベル及び第2管理レベルが、エンジンオイルの劣化度が第2管理レベルである場合に、このエンジンオイル2の劣化度に対応したエンジンオイル2の消費量に相当する量のエンジンオイル2をオイルタンク5に供給することで、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベルに達する関係となるように予め定められたものである。
したがって、例えば、図5に示すように、消費量算定部25で算定された消費量がwであり、劣化度算定部24で算定された劣化度c3が消費量がwである場合の第2管理レベルでの劣化度を超えている場合(第4対応を選択すべき場合)、第2管理レベルでの劣化度がc3となる場合のエンジンオイル2の消費量nから、消費量wを減算した量がエンジンオイル2の抜取り量となり、この抜取り量にエンジンオイル2の消費量wを加算した量が補充量となる。
〔4〕上記実施形態では、第1管理レベル及び第2管理レベルが、エンジンオイルの劣化度が第2管理レベルである場合に、このエンジンオイル2の劣化度に対応したエンジンオイル2の消費量に相当する量のエンジンオイル2をオイルタンク5に供給することで、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベルに達する関係となるように予め定められたものであるが、これに限られるものではない。例えば、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の劣化度が第1管理レベル以下になる関係となるように予め定められたものであってもよい。
〔5〕上記実施形態では、保守対応判定部26が、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の全量が未使用オイルである状態からの第2対応、第3対応及び第4対応の総実行回数に応じて、選択すべき対応を判定する際に使用する第1管理レベル及び第2管理レベルを調整する態様としたが、これに限られるものではなく、総実行回数に応じて調整しなくてもよい。
〔6〕上記実施形態では、エンジンオイル2の種類ごとに予め定められた複数組の第1管理レベル及び第2管理レベルが記憶部22に記憶されており、保守対応判定部26が、オイル貯留部T内のエンジンオイル2の種類に応じて、記憶部22に記憶されている管理レベルの複数の組の中から適当な一組を選択して判定に使用する態様としたが、これに限られるものではなく、エンジンオイル2の種類に応じて使用する管理レベルを変えなくてもよい。
〔7〕上記実施形態では、保守対応判定部26が、空調システムに設けられたメンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間に応じて、選択すべき対応を判定する際に使用する第1管理レベル及び第2管理レベルを調整する態様としたが、これに限られるものではなく、機器に関する次回メンテナンスまでの時間に応じて調整しなくてもよい。
〔8〕上記実施形態では、保守対応判定部26が、劣化度算定部24で算定されたエンジンオイル2の劣化度が予め定められた使用上限レベル以上である場合に第5対応を選択すべきと判定する態様としたが、これに限られるものではない。
〔9〕上記実施形態では、新油タンク10及び廃油タンク13が着脱自在な供給ホース9b及び排出ホース12bを介してオイルタンク5と連通するように接続可能な態様としたが、これに限られるものではない。新油タンク10及び廃油タンク13を常設するためのスペースの確保に困らないのであれば、新油タンク10及び廃油タンク13が常にオイルタンク5に接続した態様であってもよい。
〔10〕上記実施形態では、制御装置20との間で信号を送受信可能に接続されたメンテ用PC30を設け、作業者がメンテ用PC30の適宜入力部に必要な操作を行うことで、メンテナンス作業に必要な処理を開始させる旨を信号などが制御装置20に送信される態様としたが、これに限られるものではない。制御装置20に適宜入力部を設け、メンテナンス作業に必要な処理を開始させるための操作やエンジンオイル2を選択する操作、メンテナンスが必要となる機器に関する次回メンテナンスまでの時間を入力する操作などを行うようにすればよい。
〔11〕上記各実施形態では、制御装置20としてのマイコンを空調システムに用いられている室外機に組み込んだ形態で用いられている態様を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、制御装置20が担う処理機能を複合センサー6のセンサー検出回路に組み込むようにしても良いし、制御装置20が担う処理機能を外部の処理センタに持たせ、複合センサー6により測定される各種測定結果を外部の処理センタに送信するようにしても良い。
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。