JP7349898B2 - コーティング剤及びそれを用いた剥離紙原紙並びに剥離紙 - Google Patents
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Description
[1]変性ビニルアルコール系重合体(A)及び酢酸ナトリウムを含有し、変性ビニルアルコール系重合体(A)は、けん化度が68モル%以上99.9モル%未満であり、粘度平均重合度が200以上5000未満であり、側鎖にエステル化剤由来の二重結合を0.01モル%以上0.50モル%未満有し、前記エステル化剤が炭素-炭素二重結合を有するカルボン酸及び/又はその誘導体であり、高速液体クロマトグラフィーで測定されるピークにおける、ベースラインから5%の高さ位置でのピーク幅W0.05hが2.85分以上3.70分未満であり、
酢酸ナトリウムの含有量が変性ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であるコーティング剤。
[2]前記エステル化剤が、脂肪族不飽和モノカルボン酸及び/又はその誘導体、及び脂肪族不飽和ジカルボン酸及び/又はその誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載のコーティング剤。
[3]前記エステル化剤が、炭素-炭素二重結合を1個有する脂肪族不飽和モノカルボン酸及び/又はその誘導体、及び炭素-炭素二重結合を1個有する脂肪族不飽和ジカルボン酸及び/又はその誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載のコーティング剤。
[4]前記エステル化剤が、(i)イタコン酸及び/又はその誘導体、及び(ii)(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、[1]に記載のコーティング剤。
[5]変性ビニルアルコール系重合体(A)が、さらにエチレン単位を主鎖に有し、該エチレン単位の含有率が変性ビニルアルコール系重合体(A)の全単量体単位に対して1モル%以上10モル%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のコーティング剤。
[6]変性ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度が72モル%以上99.0モル%未満である、[1]~[5]のいずれかに記載のコーティング剤。
[7]変性ビニルアルコール系重合体(A)の高速液体クロマトグラフィーで測定されるピークにおける、ベースラインから5%の高さ位置でのピーク幅W0.05hが、2.99分以上3.40分未満である、[1]~[6]のいずれかに記載のコーティング剤。
[8][1]~[7]のいずれかに記載のコーティング剤を基材に塗工してなる、剥離紙原紙。
[9]前記基材が、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙、板紙、及び白板紙からなる群より選ばれる1種以上である、[8]に記載の剥離紙原紙。
[10][8]又は[9]に記載の剥離紙原紙と、該剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する、剥離紙。
[11]前記剥離層が、付加型シリコーン(C)と白金(D)とを含有し、白金(D)の含有量が付加型シリコーン(C)100質量部に対して0.001質量部以上0.05質量部以下である、[10]に記載の剥離紙。
本開示の変性ビニルアルコール系重合体(A)(以下、「変性PVA(A)」と略記することがある)は、けん化度が68モル%以上99.9モル%未満であり、粘度平均重合度が200以上5000未満であり、側鎖にエステル化剤由来の二重結合を0.01モル%以上0.50モル%未満有し、前記エステル化剤が炭素-炭素二重結合を有するカルボン酸及び/又はその誘導体であり、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略記することがある)で測定されるピークにおける、ベースラインから5%の高さ位置でのピーク幅W0.05hが2.85分以上3.70分未満である。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
試料濃度:5mg/mL
試料溶媒:水
注入量:30μL
検出器:蒸発光散乱検出器ELSD-LTII(株式会社島津製作所製)
カラム温度:45℃
移動相:A;イオン交換水、B;エタノール(99.5%)
移動相流量:0.4mL/分
カラム:Shimpack G-ODS(4)、内径4mm×長さ1cm、粒径5μm、株式会社島津製作所製
グラジエント条件:移動相Aとしてイオン交換水、及び移動相Bとしてエタノールを使用し、試料溶液注入前の時点においては、HPLCシステムのカラム内部は移動相A/移動相Bが体積比で95/5の混合溶媒で満たされた状態である。この状態で試料溶液を注入する。そして、試料溶液注入の直後から5分間、移動相A/移動相Bが体積比で95/5の液を流し、それから20分かけて移動相における移動相Bの割合を一定速度で増加させ、試料溶液注入から25分後に移動相Bの割合が100%となるようにする。
本開示のコーティング剤における酢酸ナトリウムの含有量は、変性PVA(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であることが重要である。酢酸ナトリウムの含有量が変性PVA(A)100質量部に対して0.01質量部未満である場合、コーティング剤(塗工液)のpHが低くなりすぎるため、塗工機の酸腐食が問題となる。酢酸ナトリウムの含有量は0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好ましい。一方、酢酸ナトリウムの含有量が変性PVA(A)100質量部に対して10質量部を超える場合、基材と剥離層との密着性を向上させることができない。酢酸ナトリウムの含有量は8質量部以下であることが好ましく、7質量部以下であることがより好ましく、6質量部以下であることがさらに好ましい。
本開示の変性PVA(A)は、例えば、前記所定のけん化度、及び粘度平均重合度を有する市販のPVA(B)を、溶媒、及びエステル化剤の存在下、熱処理し変性させる熱処理変性工程を含み、前記溶媒が、アセトン、メタノール及び酢酸メチルからなる群より選ばれる1種以上であり、前記エステル化剤が、炭素-炭素二重結合を有するカルボン酸及び/又はその誘導体である製造方法によって製造できる。また、原料として用いるPVA(B)は、例えば、ビニルエステル系単量体を重合してビニルエステル系重合体を得る重合工程、得られたビニルエステル系重合体をけん化してPVAを得るけん化工程を含む製造方法により製造できる。
本開示に用いられるコーティング剤には、本開示の効果が阻害されない範囲で、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウム以外の他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、SBRラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルジョン、(メタ)アクリルエステル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョンなどの水性分散性樹脂;小麦、コーン、米、馬鈴薯、甘しょ、タピオカ、サゴ椰子などから得られる生澱粉;酸化澱粉、デキストリンなどの生澱粉分解産物;エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;グルコース、フルクトース、異性化糖、キシロースなどの単糖類;マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、パラチノース、還元麦芽糖、還元パラチノース、還元乳糖などの二糖類;水飴、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳糖オリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、カップリングシュガー、シクロデキストリン化合物などのオリゴ糖類;プルラン、ペクチン、寒天、コンニャクマンナン、ポリデキストロース、キサンタンガムなどの多糖類;アルブミン、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アニオン変性PVA、アルギン酸ナトリウム、水溶性ポリエステル等が挙げられる。
本開示の剥離紙原紙は、側鎖にエステル化剤由来の二重結合を有する変性PVA(A)と、酢酸ナトリウムとを特定量含有するコーティング剤を基材に塗工してなるものである。本開示の剥離紙原紙は、透気速度が小さくシリコーンの目止め性に優れている。また、このような剥離紙原紙を用いることにより、剥離層における付加型シリコーンの硬化を促進させることができるとともに、剥離層との密着性を向上させることもできる。
本開示の剥離紙原紙は、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材に塗工してなる剥離紙原紙である。剥離紙原紙の製造方法は特に限定されないが、エステル化剤とPVA(B)とを反応させて変性PVA(A)を得る第1工程と、第1工程で得られた変性PVA(A)と、酢酸ナトリウムとを水に溶解させてコーティング剤を得る第2工程と、第2工程で得られたコーティング剤を基材に塗工する第3工程とを備える方法が好適である。
本開示の他の好適な実施形態としては、上記剥離紙原紙と、当該該剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する剥離紙が挙げられる。本開示の剥離紙としては、前記剥離層が、付加型シリコーン(C)と白金(D)とを含み、白金(D)の含有量が、付加型シリコーン(C)100質量部に対して0.001質量部以上0.05質量部以下であることが好ましい。白金(D)の含有量が前記範囲にあることで、シリコーン硬化性に優れた剥離紙を得ることができる。白金(D)の量が0.001質量部以上の場合、付加型シリコーン(C)の硬化が進行しやすく、高温での処理が不要となる。白金(D)の含有量は、付加型シリコーン(C)100質量部に対して0.002質量部以上であることが好ましく、0.004質量部以上であることがより好ましい。一方、白金(D)の含有量が0.05質量部以下であると、コストを抑えられるため経済的に有利である。白金(D)の量は、付加型シリコーン(C)100質量部に対して0.03質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以下であることがより好ましい。
本開示に用いる付加型シリコーン(C)は、SiH基と反応性を有する炭素-炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン(c1)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するオルガノ水素ポリシロキサン(c2)とが白金触媒の存在下でヒドロシリル化反応することにより得られるものである。
シリコーンの硬化には通常白金触媒が用いられるが、本開示に用いる白金触媒の種類は特に限定されない。ヒドロシリル化反応によって付加型シリコーン(C)を硬化するものが好適に用いられる。例えば、SP7077R、SRX212などの東レダウコーニング社製の白金触媒、CATA93Bなどの荒川化学工業社製の白金触媒などが挙げられる。これらの白金触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。白金触媒中の白金をICP発光分光分析装置等で定量することで白金(D)の量が求められる。
本開示の剥離紙の製造方法は特に限定されないが、変性PVA(A)及び酢酸ナトリウムを含有するコーティング剤を基材上に塗工し、当該基材上に目止め層を形成した後に、付加型シリコーン(C)と白金(D)の含有量が上記の範囲になるように調製した塗工液を、目止め層上に塗工して剥離層を形成する方法が好適に採用される。剥離層を形成する塗工液の塗工量は、特に限定されないが、固形分量で0.1~5g/m2であることが好ましい。塗工量が0.1g/m2以上であると剥離性が優れる。塗工量は、固形分量で0.3g/m2以上であることがより好ましい。塗工量が5g/m2以下であると、付加型シリコーン(C)及び白金(D)を含む剥離層と目止め層との密着性がより良好となる。塗工量は、固形分量で3g/m2以下であることがより好ましい。塗工方法は種々の方法が用いられるが、ブレードコーター、エアーナイフコーター、バーコーターなどが好適である。
PVAの粘度平均重合度はJIS K 6726:1994に準じて測定した。具体的には、けん化度が99.5モル%未満の場合には、けん化度99.5モル%以上になるまでけん化したPVAについて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](L/g)を用いて下記式により粘度平均重合度(P)を求めた。なお、エステル化剤由来の二重結合を有する変性PVAの粘度平均重合度は、PVAとエステル化剤との反応後に再沈精製して単離された変性PVAについて測定した値である。
P=([η]×104/8.29)(1/0.62)
PVAのけん化度は、JIS K 6726:1994に準じて測定した。なお、エステル化剤由来の二重結合を有する変性PVAのけん化度は、エステル化剤との反応後に再沈精製して単離された変性PVAについて測定した値である。
変性PVA(A)の側鎖の変性基の含有率の測定及び算出は以下の方法で行った。まず、変性PVA(A)の10質量%水溶液を調製した。次に、この水溶液を、500gの酢酸メチル/水=95/5の溶液中に5g滴下し変性PVA(A)を析出させ、回収し乾燥させ、単離された変性PVA(A)をDMSO-d6に溶解し、400MHzの1H-NMRを用いて測定することで、ビニルアルコール単位のメチン由来のピークは3.2~4.0ppm(積分値〔P〕)、側鎖の変性基由来のプロトンのピークは5.0~6.5ppm付近に何箇所か帰属され、任意のものを使用することができ(積分値〔Q〕)、各ピークから以下の式により側鎖の変性基の含有率を求めた。
側鎖の変性基の含有率(モル%)=〔Q〕/〔P〕×100
変性PVA(A)を製造後、空気中60℃下に1時間放置したのちに、変性PVA(A)の4質量%水溶液を100g作製し、200メッシュ(JIS標準篩のメッシュ換算では、目開き75μm;前記篩の目開きは、JIS Z 8801-1-2006の公称目開きWに準拠)の金網で全量ろ過し(ろ過前の金網の質量をa(g)とする)、金網ごと105℃で3時間乾燥した(絶乾後の金網と金網上に残存した物質の合計質量をb(g)とする)。下記式を用いて水不溶解分(ppm)を求めた。
水不溶解分(ppm)=1000000×(b-a)/4
変性PVA(A)を製造後、空気中60℃下に6ヶ月間放置したのちに、変性PVA(A)の4質量%水溶液を100g作製し、200メッシュ(JIS標準篩のメッシュ換算では、目開き75μm;前記篩の目開きは、JIS Z 8801-1-2006の公称目開きWに準拠)の金網で全量ろ過し(ろ過前の金網の質量をa(g)とする)、金網ごと105℃で3時間乾燥した(絶乾後の金網と金網上に残存した物質の合計質量をb(g)とする)。下記式を用いて水不溶解分(ppm)を求めた。
水不溶解分(ppm)=1000000×(b-a)/4
本開示における変性PVA(A)のW0.05hは以下のように測定した。
試料溶液調製:
耐圧試験管(φ18mm、長さ18cm)に試料25mgに水5mLを正確に加えて蓋を閉め、アルミブロック式マグネティックスターラーで撹拌した。このとき、変性PVA(A)のけん化度が80モル%未満の場合は1時間、20℃下で撹拌し溶解した。変性PVA(A)のけん化度が80モル%以上の場合は2時間、90℃下で撹拌し溶解した。
HPLC測定条件:
試料濃度:5mg/mL
試料溶媒:水
注入量:30μL
検出器:蒸発光散乱検出器ELSD-LTII(株式会社島津製作所製)
カラム温度:45℃
移動相:A;イオン交換水、B;エタノール(99.5%)
移動相流量:0.4mL/分
カラム:Shimpack G-ODS(4)、内径4mm×長さ1cm、粒径5μm、株式会社島津製作所製
グラジエント条件:移動相Aとしてイオン交換水、及び移動相Bとしてエタノールを使用し、試料溶液注入前の時点においては、HPLCシステムのカラム内部は移動相A/移動相Bが体積比で95/5の混合溶媒で満たされた状態である。この状態で試料溶液を注入する。そして、試料溶液注入の直後から5分間、移動相A/移動相Bが体積比で95/5の液を流し、それから20分かけて移動相における移動相Bの割合を一定速度で増加させ、試料溶液注入から25分後に移動相Bの割合が100%となるようにした。
PVA(A1)の製造
1Lのナスフラスコに粘度平均重合度800、けん化度72モル%の粉体のPVA(B)100部にメタノール5部、酢酸メチル15部、エステル化剤としてイタコン酸4部を加えた後、よく振り混ぜた後、110℃下4時間熱処理を行った。その結果、変性PVA(A)として粘度平均重合度が800であり、けん化度が72モル%であり、イタコン酸由来の二重結合を0.10モル%有し、W0.05hの値が3.20分であるPVA(A1)を得た。また、PVA(A1)の水不溶解分(a)は200ppmであり、水不溶解分(b)は450ppmであった。
剥離紙原紙の作製に用いたコーティング剤のpHを測定した。pHが低いほど塗工液が強酸性溶液であるため、塗工機の腐食が問題となる。pHとしては、3.5以上を合格とした。結果を表2に示す。
剥離紙原紙の透気度を、JIS P 8117(2009年)に準じて王研式透気度試験機を用いて測定することでシリコーンの目止め性の指標とした。透気度としては、2000sec以上を合格とした。結果を表2に示す。
付加型シリコーン(C)として東レダウコーニング社製のLTC1056Lを、白金触媒としてSRX212を用い、付加型シリコーン(C)と白金(D)との比が100/0.007になるように混合した塗工液を、得られた剥離紙原紙上に塗工固形分量1.5g/m2となるようにブレードコーターで塗工した。こうすることによって剥離紙原紙上にシリコーン層を形成させた。そして、110℃で熱処理してシリコーンが硬化するまでの時間を計測した。ここで、シリコーンが硬化するまでの時間とは、所定時間間隔でシリコーン層を指で強く10回擦り、シリコーン層が全く剥がれなくなるまでに要した時間(秒)のことをいう。結果を表2に示す。
付加型シリコーン(C)として東レダウコーニング社製のLTC1056Lを、白金触媒としてSRX212を用い、付加型シリコーン(C)と白金(D)との比が100/0.009になるように混合した塗工液を、得られた剥離紙原紙上に塗工固形分量1.5g/m2となるようにブレードコーターで塗工し、110℃で90秒熱処理し、剥離紙原紙上に剥離層(シリコーン層)が形成された剥離紙を得た。得られた剥離紙を下記の指標で評価した。結果を表2に示す。
A:40℃、90%RHの条件下で、1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれなかった。同じ条件下で、さらに1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれなかった。
B:40℃、90%RHの条件下で、1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれなかった。しかしながら、同じ条件下で、さらに1週間放置した後にシリコーン層を指で強く擦ったらシリコーン層は剥がれた。
C:40℃、90%RHの条件下で、1週間放置した後、シリコーン層を指で強く擦った。その結果、シリコーン層は剥がれた。
PVA(A2)~PVA(A12)の製造
使用するPVA(B)の粘度平均重合度、けん化度及びエチレン単位の含有率、使用溶媒の種類及び使用量、エステル化剤の種類及び使用量、及び熱処理温度を表1に記載のとおり変更した以外は実施例1と同様にしてPVA(A2)~PVA(A12)を製造した。側鎖の変性基の含有率及びW0.05hの測定結果並びに製造条件を表1に示し、水不溶解分の測定結果を表2に示す。また、酢酸ナトリウムの量を表2に変更する以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤、剥離紙原紙及び剥離紙を製造した。実施例1と同様にしてコーティング剤のpH、剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
PVA(A13)の製造
熱処理時に溶媒を使用しなかった以外は実施例1と同様にしてPVA(A13)を製造した。側鎖の変性基の含有率及びW0.05hの測定結果並びに製造条件を表1に示し、水不溶解分の測定結果を表2に示す。また、酢酸ナトリウムの量を表2に変更する以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤、剥離紙原紙及び剥離紙を製造した。実施例1と同様にしてコーティング剤のpH、剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
PVA(A14)の製造
イタコン酸1部をメタノール200部に溶解させた溶液に、粘度平均重合度700、けん化度70モル%のPVA(B)100部を加えて膨潤させた後、減圧下40℃の温度で24時間乾燥を行った。次いで窒素雰囲気下にて120℃で4時間加熱処理を行った後、テトラヒドロフランを用いてソックスレー洗浄し、PVA(A14)を得た。側鎖の変性基の含有率及びW0.05hの測定結果並びに製造条件を表1に、水不溶解分の測定結果を表2に示す。また、酢酸ナトリウムの量を表2に変更する以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤、剥離紙原紙及び剥離紙を製造した。実施例1と同様にしてコーティング剤のpH、剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
PVA(A15)の製造
エステル化剤によるPVA(B)のエステル化を行わず、粘度平均重合度1700、けん化度88モル%のPVA(B)をそのままPVA(A15)として使用した。水不溶解分の測定結果を表2に示す。また、酢酸ナトリウムの量を表2に変更する以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤、剥離紙原紙及び剥離紙を製造した。実施例1と同様にしてコーティング剤のpH、剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。なお、比較例6では変性基を導入していないため、HPLCにおける測定では、ムラが無いように測定されW0.05hは2.80であった。
実施例1で使用したPVA(A2)を使用し、酢酸ナトリウムの量を表2に変更する以外は、実施例1と同様にして、コーティング剤、剥離紙原紙及び剥離紙を製造した。実施例1と同様にしてコーティング剤のpH、剥離紙原紙及び剥離紙の性能を評価した。結果を表2に示す。
Claims (11)
- 変性ビニルアルコール系重合体(A)及び酢酸ナトリウムを含有し、変性ビニルアルコール系重合体(A)は、けん化度が68モル%以上99.9モル%未満であり、粘度平均重合度が200以上5000未満であり、側鎖にエステル化剤由来の二重結合を0.01モル%以上0.50モル%未満有し、前記エステル化剤が炭素-炭素二重結合を有するカルボン酸及び/又はその誘導体であり、高速液体クロマトグラフィーで測定されるピークにおける、ベースラインから5%の高さ位置でのピーク幅W0.05hが2.85分以上3.70分未満であり、
酢酸ナトリウムの含有量が変性ビニルアルコール系重合体(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下であるコーティング剤。 - 前記エステル化剤が、脂肪族不飽和モノカルボン酸及び/又はその誘導体、及び脂肪族不飽和ジカルボン酸及び/又はその誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載のコーティング剤。
- 前記エステル化剤が、炭素-炭素二重結合を1個有する脂肪族不飽和モノカルボン酸及び/又はその誘導体、及び炭素-炭素二重結合を1個有する脂肪族不飽和ジカルボン酸及び/又はその誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載のコーティング剤。
- 前記エステル化剤が、(i)イタコン酸及び/又はその誘導体、及び(ii)(メタ)アクリル酸及び/又はその誘導体からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載のコーティング剤。
- 変性ビニルアルコール系重合体(A)が、さらにエチレン単位を主鎖に有し、該エチレン単位の含有率が変性ビニルアルコール系重合体(A)の全単量体単位に対して1モル%以上10モル%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のコーティング剤。
- 変性ビニルアルコール系重合体(A)のけん化度が72モル%以上99.0モル%未満である、請求項1~5のいずれかに記載のコーティング剤。
- 変性ビニルアルコール系重合体(A)の高速液体クロマトグラフィーで測定されるピークにおける、ベースラインから5%の高さ位置でのピーク幅W0.05hが、2.99分以上3.40分未満である、請求項1~6のいずれかに記載のコーティング剤。
- 請求項1~7のいずれかに記載のコーティング剤を基材に塗工してなる、剥離紙原紙。
- 前記基材が、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙、板紙、及び白板紙からなる群より選ばれる1種以上である、請求項8に記載の剥離紙原紙。
- 請求項8又は9に記載の剥離紙原紙と、該剥離紙原紙の表面に形成される剥離層とを有する、剥離紙。
- 前記剥離層が、付加型シリコーン(C)と白金(D)とを含有し、白金(D)の含有量が付加型シリコーン(C)100質量部に対して0.001質量部以上0.05質量部以下である、請求項10に記載の剥離紙。
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