JP7349858B2 - テレビ共聴設備とその改修方法 - Google Patents
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Description
この図において、1a,1bは受信アンテナ、2はテレビ電波を増幅する増幅器(以下、「共用増幅器」)、3a,3bはテレビ電波を2以上に分配する分配器(以下、「共用分配器」と「住戸内分配器」)、4は各住戸、5は各住戸内のテレビ端子である。
対応周波数が770MHzまでのテレビ放送は、例えば、VHF放送(90~222MHz)やUHF放送(470~710MHz)である。
対応周波数が770MHzを超え2150MHzまでのテレビ放送は、BS放送(1032~1489MHz)やCS放送(1532~2150MHz)である。
これに対し、図1(B)の住戸完結系統では、機器交換、共用部配線の組み換えで、3224MHzまでの電波伝送に対応することができた。
しかし、図1(A)の住戸貫通系統の場合、以下の問題があり、4K8K衛星放送への切換えが遅れている。
住戸貫通系統の既設の同軸ケーブル(品番5C-2V)は対応周波数(伝送保証周波数)が770MHzまでであり、4K8K衛星放送の周波数(3224MHz)を伝送すると減衰が大きく、下層階の受信電波が弱くなりすぎ、一部の住戸で正常に受信できなかった。
住戸貫通系統において、4K8K衛星放送(3224MHz)の受信電波が弱い場合、系統途中の住戸内に増幅器を設ける必要がある。しかし、従来の増幅器は、大型(例えば、住宅用分電盤相当)であり、系統途中(例えば、住戸内の和室)に設置すると専有部に大型の共用機器を設置することとなり、居室の利便性が損なわれ居住者にとって看過できなかった。また、仮に住戸内に増幅器を設置できても、その電源(電力)を特定の住戸内から取る(供給する)と、居住者同士の電力負担にアンバランスが生じ、共有部と専有部の電源契約範囲に混同が生じてしまう。
既設の前記テレビ共聴設備は、共有部と専有部とに区分された集合住宅において、配線方式が複数の前記専有部のテレビ端子が同軸ケーブルを介して直列に接続された住戸貫通方式であり、
前記同軸ケーブルの少なくとも1つに設けられ、入力側から電源供給しテレビ電波を増幅する住戸内増幅器と、
前記共有部に設けられ、前記住戸内増幅器に前記同軸ケーブルを介して電源を供給する共用電源装置と、を備え、
前記住戸内増幅器は、ラインブースタ、又は、入力側に減衰器を有する前記ラインブースタであり、
前記ラインブースタは、出力側のみに電流阻止フィルタを有する、テレビ共聴設備が提供される。
既設の前記テレビ共聴設備は、共有部と専有部とに区分された集合住宅において、配線方式が複数の前記専有部のテレビ端子が同軸ケーブルを介して直列に接続された住戸貫通方式であり、
前記同軸ケーブルの少なくとも1つに、入力側から電源供給しテレビ電波を増幅する住戸内増幅器を設け、
前記住戸内増幅器は、ラインブースタ、又は、入力側に減衰器を有する前記ラインブースタであり、
前記ラインブースタは、出力側のみに電流阻止フィルタを有し、
前記共有部に、前記住戸内増幅器に前記同軸ケーブルを介して電源を供給する共用電源装置を備える、テレビ共聴設備改修方法が提供される。
従って、住戸内増幅器の電源を共有部から供給することができ、共有部と専有部の電源契約範囲に混同が生じることなく、住戸貫通方式の既設のテレビ共聴設備を、4K8K衛星放送を受信可能に改修することができる。
この例において、この集合住宅は、共有部Sと専有部Pとに区分された4階建てのマンションであり、共有部Sに共用増幅器2と共用分配器3aが設置され、専有部Pの各住戸では配線を分岐して各住戸の2か所にテレビ端子5を設置している。
また、この例でテレビ端子5は上下階住戸の同じ位置(和室柱方等)にあり、上下階のテレビ端子5を連結する同軸ケーブル7は、それを通す金属配管6で保護されている。
また、各住戸内(専有部P)において、親端子5Aから分岐された4つのテレビ端子5を分岐端子5Bと呼び、1階から4階までの分岐端子5Bを順に1F分岐端子5B1,2F分岐端子5B2,3F分岐端子5B3,及び、4F分岐端子5B4と呼ぶ。
上述したテレビ端子5(親端子5Aと分岐端子5B)は、集合住宅の専有部Pに設置されている。
破線で示したこれらの分岐ケーブル7Bも、専有部Pの造作内天井裏等で固定された住戸内装隠ぺい配線であり交換はできない。
「同軸ケーブル」とは、軟銅線の中心導体(芯線7a)の外側に内部絶縁体7bがあり、その周りに外部導体7cのアルミ箔や編組が同心円状に配置されその外側にシースと呼ばれる外被7dがある構造のアンテナケーブルである。
これら3本の親ケーブル7Aは、上下階住戸に作業員が同時に入ることで、配管内の配線交換が可能である。
実線で示したこれらの同軸ケーブル7にも、既設の住戸貫通系統では、対応周波数が770MHzである5C-2Vケーブルが主として用いられている。
この図において、本発明によるテレビ共聴設備100は、図2と同様に、共有部Sと専有部Pとに区分された集合住宅において、複数の専有部Pにそれぞれ設けられたテレビ端子5に、同軸ケーブル7を介して直列にテレビ電波を送信する。
この例で、住戸内増幅器10は、増幅レベルが1000MHzで3~4dBμV、3224MHzで13~14dBμVのラインブースタ10a(以下、「低利得ラインブースタ10a」)であるのがよい。
なお、この増幅レベルを以下、3~4/13~14dBμV(1000/3224MHz)と表示する。その他の増幅レベルも同様である。
この図において、テレビ端子5は、住戸貫通方式用の直列ユニット(中継端子)であり、入力端子5-1、出力端子5-2、室内端子5-3の3つの端子を有する。
なお、住戸内増幅器10の設置位置は、この例に限定されず、その他の位置でもよい。
この場合、ラインブースタ10aは、端子箱8から壁面内に突出してもよい。
後述するラインブースタ10bも同様である。
従来のラインブースタ(例えば、日本アンテナ株式会社製の型式CSBE24)は、直流電源(例えばDC15V電源)を要する。従来のラインブースタはテレビ側(ラインブースタ出力側)から電源を取っており、系統側(ラインブースタ入力側)には電流阻止フィルタを設けている。そのため、従来のラインブースタは、入力側端子10-1から電源供給し、テレビ電波を増幅することはできない。
この構成により、住戸内増幅器10の入力側端子10-1から電源供給し、テレビ電波を増幅することができる。
後述するラインブースタ10bも同様である。
この場合、上述した電流阻止フィルタ11を住戸貫通方式用の直列ユニット(中継端子)の室内端子5-3に挿入し、ラインブースタ10aには電流阻止フィルタ11を内蔵しないことが好ましい。
この構成により、入力端子5-1と出力端子5-2を介して、上部から下部に2以上の住戸内増幅器10に電源供給することができる。
この場合の同軸ケーブル7は、住戸内増幅器10の上流側に位置する親ケーブル7A(図3において、2F親ケーブル7A2,3F親ケーブル7A3,及び、4F親ケーブル7A4)である。
定電圧装置22は、ラインブースタ10aに必要な直流電圧(例えばDC15V)を出力する。定電圧装置22の正極(+端子)は、同軸ケーブル7の芯線7aに接続され、負極(-端子)は、アース23又は同軸ケーブル7の外部導体7cに接続されている。
この構成により、芯線7aを流れるテレビ電波の電圧を定電圧装置22の出力電圧分(例えばDC15V)だけ上昇させて、同軸ケーブル7を介して住戸内増幅器10に電源(電力)を供給することができる。
衛星放送対応ケーブルは、4K8K衛星放送の周波数(3224MHz)に対応可能であり、例えば、品番S-5C-FBの同軸ケーブルである。
この方法では、上述した住戸内増幅器10を、テレビ電波の出力レベルが所定の閾値以下となるテレビ端子5の端子箱8に設ける。所定の閾値は、例えば60~70dBμVである。
この例では、上述した住戸内増幅器10(ラインブースタ10a)を2階のテレビ端子5(2F親端子5A2)の端子箱8に設ける。
住戸内増幅器10は、増幅後のテレビ電波の出力レベルとC/N比を、1000MHz以上、3224MHz以下の範囲で所定範囲になるように調整することが好ましい。
図3の例では、実線で示す金属配管6を通して配線された1階から3階までの同軸ケーブル7(1F親ケーブル7A1,2F親ケーブル7A2,及び、3F親ケーブル7A3)を衛星放送対応ケーブルに交換している。
この図において、本発明のテレビ共聴設備100は、図2と同様に、共有部Sと専有部Pとに区分された集合住宅において、複数の専有部Pにそれぞれ設けられたテレビ端子5に、同軸ケーブル7を介して直列にテレビ電波を送信する。
減衰器12は、-10dBの抵抗(アッテネータ)であるのがよい。
また、ラインブースタ10bは、増幅レベルが14/24dBμV(1000/3224MHz)の標準ラインブースタであるのがよい。
この場合、減衰器12とラインブースタ10bの組合せによる増幅レベルは、4/14dBμV(1000/3224MHz)である。
その他の構成は、図3及び図7(A)と同様である。
この方法では、第1実施形態の低利得ラインブースタ10aの代わりに、上述した入力側に減衰器12を有するラインブースタ10bを設置する。
その他の方法は、第1実施形態と同様である。
図2の4F親ケーブル7A4の長さを18mとした。
金属配管6を通して配線された同軸ケーブル7(1F親ケーブル7A1,2F親ケーブル7A2,及び、3F親ケーブル7A3)の長さを3mとした。また、この3本は、4K8K衛星放送の周波数(3224MHz)に対応可能な衛星放送対応ケーブル(品番S-5C-FB)に交換した。
分岐ケーブル7B(1F分岐ケーブル7B1,2F分岐ケーブル7B2,3F分岐ケーブル7B3,及び、4F分岐ケーブル7B4)の長さを12mとした。
共用増幅器2への入力信号として、BS-1(1049MHz)、BS-23(1471.44MHz)、ND-24(2053MHz)、ND-23(3206MHz)の4種を用いた。また各テレビ放送電波の信号レベルを101/113dBμV(1000/3224MHz)とした。
判定基準は、以下のように設定した。
出力レベル:54dBμV以上
C/N比:BS放送は17dB以上、ND-23,24は14dB以上
図2の既設の住戸貫通系統は、1000~2053MHzの電波は正常に受信可能であるが、3206MHzの電波は、受信できないテレビ端子5があった。
テレビ端子5における3206MHzの電波の受信レベルが、1階の1F親端子5A1で約53dBμV、1F分岐端子5B1で約41dBμV、2階の2F分岐端子5B2で約49dBμVであり、判定基準(54dBμV以上)を満たしていなかった。
以上の結果から、3206MHzに近い、4K8K衛星放送の電波(3224MHz)は、受信できないテレビ端子5があると判断できる。
図3の本発明の第1実施形態の住戸貫通系統では、ラインブースタ10aを2階の2F親端子5A2の端子箱8に収容し、共有部Sに共用電源装置20を設置し、同軸ケーブル7を介して住戸内増幅器10に電源(電力)を供給した。
ラインブースタ10aをこの位置(2階)に設置したのは、試験結果1から、1階のテレビ端子5(5A1、5B1)と2階のテレビ端子5(5B2)の3224MHzの電波の受信レベルが、判定基準(54dBμV以上)を満たしていなかったからである。
この場合、1階のテレビ端子5(5A1、5B1)と2階のテレビ端子5(5B2)の3206MHzの電波の受信レベルを、約66~74dBμVまで増幅できた。しかし、1階の1F分岐端子5B1のC/N比が約10であり、判定基準(14dB以上)を満たしていなかった。
その結果、1階のテレビ端子5(5A1、5B1)と2階のテレビ端子5(5B2)の3206MHzの電波の受信レベルが、約55~63dBμVであり、かつこれらのC/N比が約17~29となった。
以上の結果から、すべてのテレビ端子5が、1000MHz以上、3224MHz以下の範囲で判定基準(54dBμV以上、14dB以上)を満たすと判断できる。
図4において、図3と同様に、ラインブースタ10bとして増幅レベルが14/24dBμV(1000/3224MHz)の標準ラインブースタを用い、かつラインブースタ10bの入力側に減衰器12を設置した。
減衰器12としては、-10dBの抵抗(アッテネータ)を用いた。
減衰器12とラインブースタ10bの組合せによる増幅レベルは、4/14dBμV(1000/3224MHz)である。
以上の結果から、すべてのテレビ端子5が、1000MHz以上、3224MHz以下の範囲で判定基準(54dBμV以上、14dB以上)を満たすと判断できる。
従って、住戸内増幅器10の電源を共有部Sから供給することができ、共有部Sと専有部Pの電源契約範囲に混同が生じることなく、住戸貫通方式の既設のテレビ共聴設備50を、4K8K衛星放送を受信可能に改修することができる。
この構成により、住戸内の壁面に露出するのは、既設の端子箱と同等の大きさの端子箱8のみであるので、居室の利便性を維持することができ、居住者にとって違和感なく許容されることが期待できる。
3a 共用分配器、3b 住戸内分配器、4 住戸、5 テレビ端子、
5A 親端子、5A1 1F親端子、5A2 2F親端子、5A3 3F親端子、
5A4 4F親端子、5B 分岐端子、5B1 1F分岐端子、
5B2 2F分岐端子、5B3 3F分岐端子、5B4 4F分岐端子、
5-1 入力端子、5-2 出力端子、5-3 室内端子、
6 金属配管、7 同軸ケーブル、7A 親ケーブル、
7A1 1F親ケーブル、7A2 2F親ケーブル、7A3 3F親ケーブル、
7A4 4F親ケーブル、7B 分岐ケーブル、7B1 1F分岐ケーブル、
7B2 2F分岐ケーブル、7B3 3F分岐ケーブル、7B4 4F分岐ケーブル、
7a 芯線、7b 内部絶縁体、7c 編組(外部導体)、7d 外被、
8 端子箱、10 住戸内増幅器、10a ラインブースタ(低利得ラインブースタ)、
10b ラインブースタ(標準ラインブースタ)、10-1 入力側端子、
11 電流阻止フィルタ、12 減衰器、20 共用電源装置、
22 定電圧装置、23 アース、50 既設のテレビ共聴設備、
100 本発明のテレビ共聴設備
Claims (5)
- 既設のテレビ共聴設備を改修したテレビ共聴設備であって、
既設の前記テレビ共聴設備は、共有部と専有部とに区分された集合住宅において、配線方式が複数の前記専有部のテレビ端子が同軸ケーブルを介して直列に接続された住戸貫通方式であり、
前記同軸ケーブルの少なくとも1つに設けられ、入力側から電源供給しテレビ電波を増幅する住戸内増幅器と、
前記共有部に設けられ、前記住戸内増幅器に前記同軸ケーブルを介して電源を供給する共用電源装置と、を備え、
前記住戸内増幅器は、ラインブースタ、又は、入力側に減衰器を有する前記ラインブースタであり、
前記ラインブースタは、出力側のみに電流阻止フィルタを有する、テレビ共聴設備。 - 既設のテレビ共聴設備を改修するテレビ共聴設備改修方法であって、
既設の前記テレビ共聴設備は、共有部と専有部とに区分された集合住宅において、配線方式が複数の前記専有部のテレビ端子が同軸ケーブルを介して直列に接続された住戸貫通方式であり、
前記同軸ケーブルの少なくとも1つに、入力側から電源供給しテレビ電波を増幅する住戸内増幅器を設け、
前記住戸内増幅器は、ラインブースタ、又は、入力側に減衰器を有する前記ラインブースタであり、
前記ラインブースタは、出力側のみに電流阻止フィルタを有し、
前記共有部に、前記住戸内増幅器に前記同軸ケーブルを介して電源を供給する共用電源装置を備える、テレビ共聴設備改修方法。 - 前記住戸内増幅器を、前記テレビ電波の出力レベルが所定の閾値以下となる前記テレビ端子の端子箱に設ける、請求項2に記載のテレビ共聴設備改修方法。
- 前記同軸ケーブルを、4K8K衛星放送の周波数に対応可能な衛星放送対応ケーブルに交換する、請求項2に記載のテレビ共聴設備改修方法。
- 増幅後の前記テレビ電波の出力レベルとC/N比を、1000MHz以上、3224MHz以下の範囲で所定範囲になるように調整する、請求項2に記載のテレビ共聴設備改修方法。
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