JP7349660B2 - 蓄エネルギー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質を有する燃料電池本体を利用した蓄エネルギー装置に関する。
水素を燃料として放電するとともに、充電時に水を電気分解して水素を生成する可逆高温燃料電池が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の技術では、放電の際、燃料極に水素が供給され、充電の際、燃料極に水が供給される。
特表2018-517233号公報
水の電気分解は吸熱反応であるため、水の電気分解における熱中立電圧は、理論電解電圧よりも大幅に上回ってしまう。したがって、上記特許文献1のような可逆高温燃料電池は、充電の際に投入する電力の電圧を高くしなければならない。
本発明は、このような課題に鑑み、充電の際に投入される電力の電圧を低減することが可能な蓄エネルギー装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る蓄エネルギー装置は、燃料極と、空気極と、燃料極と空気極との間に設けられ、固体酸化物を含む電解質部とを有する燃料電池本体と、少なくとも水素を含む燃料ガスを燃料極に供給する燃料供給部と、少なくとも酸素を含む酸素含有ガスを空気極に供給する酸素供給部と、燃料極または空気極に水を供給する水供給部と、二酸化炭素および水素を少なくとも含む補助ガスを燃料極に供給する補助ガス供給部と、外部から受電して燃料電池本体によって水を電気分解する充電モードと、燃料電池本体を放電させる放電モードとを切り換えるモード切換部と、を備え、充電モードにおいて、水供給部によって水が供給され、補助ガス供給部によって補助ガスが供給されて、燃料電池本体において、水の電気分解とメタネーション反応とが並行して行われ、燃料電池本体を300℃以上550℃以下とする。
また、蓄エネルギー装置は、燃料供給部は、放電モードにおいて燃料ガスを供給し、酸素供給部は、放電モードにおいて酸素含有ガスを供給し、水供給部は、充電モードにおいて水を供給し、補助ガス供給部は、充電モードにおいて補助ガスを供給してもよい。
また、補助ガスは、バイオガスを含み、蓄エネルギー装置は、充電モードにおいて、燃料極から排気される燃料極排気ガスをメタン利用設備に送出する送出部を備えてもよい。
また、固体酸化物は、酸化物イオン伝導性を有し、水供給部は、燃料極に水を供給してもよい。
また、蓄エネルギー装置は、燃料極から排気される燃料極排気ガスから水、水素、二酸化炭素を分離する分離部を備えてもよい。
また、固体酸化物は、プロトン伝導性を有し、水供給部は、空気極に水を供給してもよい。
また、蓄エネルギー装置は、燃料極に供給されるガスと、燃料極から排気される燃料極排気ガスとを熱交換させる第1熱交換器を備えてもよい。
また、蓄エネルギー装置は、空気極に供給されるガスと、空気極から排気される空気極排気ガスとを熱交換させる第2熱交換器を備えてもよい。
本発明によれば、充電の際に投入される電力の電圧を低減することが可能となる。
第1の実施形態にかかる蓄エネルギー装置を説明する図である。 第1の実施形態の充電モードにおけるガスの流れを説明する図である。 水および水蒸気の電気分解における電圧を説明する図である。 メタネーション反応における反応エンタルピーを説明する図である。 第1の実施形態の放電モードにおけるガスの流れを説明する図である。 第2の実施形態にかかる蓄エネルギー装置を説明する図である。 第2の実施形態の充電モードにおけるガスの流れを説明する図である。 第2の実施形態の放電モードにおけるガスの流れを説明する図である。 シミュレーション結果を説明する図である。 変形例の送出部を説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
[第1の実施形態:蓄エネルギー装置100]
図1は、第1の実施形態にかかる蓄エネルギー装置100を説明する図である。図1に示すように、蓄エネルギー装置100は、燃料電池本体110と、燃料供給部120と、酸素供給部130と、水供給部140と、補助ガス供給部150と、第1排気部160と、第2排気部170と、第1熱交換器180と、第2熱交換器182と、第3熱交換器184と、中央制御部190とを含む。図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、図を簡明化するために、図1中、モード切換部192から、ブロワ124、134、144、154、164、174、開閉弁126、136、146、156への信号の流れを示す破線の図示を省略する。
燃料電池本体110は、キャリアを酸化物イオン(O2-)とする固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)である。燃料電池本体110は、燃料極112と、空気極114と、電解質部116とを含む。
燃料極112は、例えば、NiおよびNi化合物(例えば、NiO)のいずれか一方または両方を含むサーメット材料で構成される。燃料極112は、多孔体である。
空気極114は、電子伝導性を有する酸化物を含む。電子伝導性を有する酸化物は、例えば、ランタンマンガナイト(LSM)、ストロンチウムドープトランタンコバルタイトフェライト(LSCF)、および、ストロンチウムドープトランタンコバルタイト(LSC)のうち、少なくとも1つを含む。空気極114は、多孔体である。
電解質部116は、燃料極112と空気極114との間に設けられる。電解質部116は、酸化物イオン伝導性を有する固体酸化物(例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))を含む。
燃料供給部120は、燃料極112に燃料ガスFを供給する。燃料ガスFは、少なくとも水素(H)を含む。本実施形態において、燃料ガスFは、水素およびメタン(CH)を含む。燃料供給部120は、燃料供給管122と、ブロワ124と、開閉弁126とを含む。燃料供給管122は、燃料ガスFの供給源と、燃料極112の供給口(または、供給マニホールド)とを接続する。ブロワ124は、燃料供給管122に設けられる。ブロワ124は、吸入側が燃料ガスFの供給源に接続され、吐出側が燃料極112に接続される。開閉弁126は、燃料供給管122におけるブロワ124と燃料極112との間に設けられる。開閉弁126は、燃料供給管122に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
酸素供給部130は、空気極114に酸素含有ガスSを供給する。酸素含有ガスSは、少なくとも酸素(O)を含む。本実施形態において、酸素含有ガスSは、空気である。酸素供給部130は、酸素供給管132と、ブロワ134と、開閉弁136とを含む。酸素供給管132は、酸素含有ガスSの供給源と、空気極114の供給口(または、供給マニホールド)とを接続する。ブロワ134は、酸素供給管132に設けられる。ブロワ134は、吸入側が酸素含有ガスSの供給源に接続され、吐出側が空気極114に接続される。開閉弁136は、酸素供給管132におけるブロワ134と空気極114との間に設けられる。開閉弁136は、酸素供給管132に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
水供給部140は、燃料極112に水蒸気(水(HO))Wを供給する。水供給部140は、水蒸気供給管142と、ブロワ144と、開閉弁146とを含む。水蒸気供給管142は、水蒸気Wの供給源と、燃料供給管122における開閉弁126および燃料極112の間とを接続する。つまり、水蒸気供給管142は、水蒸気Wの供給源と、燃料極112の供給口とを接続する。ブロワ144は、水蒸気供給管142に設けられる。ブロワ144は、吸入側が水蒸気Wの供給源に接続され、吐出側が燃料極112に接続される。開閉弁146は、水蒸気供給管142におけるブロワ144と燃料極112との間に設けられる。開閉弁146は、水蒸気供給管142に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
補助ガス供給部150は、燃料極112に補助ガスAを供給する。補助ガスAは、二酸化炭素(CO)および水素を少なくとも含む。補助ガス供給部150は、補助ガス供給管152と、ブロワ154と、開閉弁156とを含む。補助ガス供給管152は、補助ガスAの供給源と、燃料供給管122における開閉弁126および燃料極112の間とを接続する。つまり、補助ガス供給管152は、補助ガスAの供給源と、燃料極112の供給口とを接続する。ブロワ154は、補助ガス供給管152に設けられる。ブロワ154は、吸入側が補助ガスAの供給源に接続され、吐出側が燃料極112に接続される。開閉弁156は、補助ガス供給管152におけるブロワ154と燃料極112との間に設けられる。開閉弁156は、補助ガス供給管152に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
第1排気部160は、燃料極112から燃料極排気ガスEX1を排気する。第1排気部160は、第1排気管162と、ブロワ164と、開閉弁166とを含む。第1排気管162は、燃料極112の排気口(または、排気マニホールド)と、燃料極排気ガスEX1の貯留部168とを接続する。ブロワ164は、第1排気管162に設けられる。ブロワ164は、吸入側が燃料極112に接続され、吐出側が貯留部168に接続される。開閉弁166は、第1排気管162におけるブロワ164と貯留部168との間に設けられる。開閉弁166は、第1排気管162に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
第2排気部170は、空気極114から空気極排気ガスEX2を排気する。第2排気部170は、第2排気管172と、ブロワ174と、開閉弁176とを含む。第2排気管172は、空気極114の排気口(または、排気マニホールド)と、空気極排気ガスEX2の貯留部178とを接続する。ブロワ174は、第2排気管172に設けられる。ブロワ174は、吸入側が空気極114に接続され、吐出側が貯留部178に接続される。開閉弁176は、第2排気管172におけるブロワ174と貯留部178との間に設けられる。開閉弁176は、第2排気管172に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
第1熱交換器180は、燃料極112に供給されるガス(燃料ガスF、水蒸気W、補助ガスA)と、燃料極112から排気される燃料極排気ガスEX1とを熱交換させる。本実施形態において、第1熱交換器180は、燃料供給管122を通過するガスと、第1排気管162を通過する燃料極排気ガスEX1とを熱交換させる。
第2熱交換器182は、空気極114に供給される酸素含有ガスSと、空気極114から排気される空気極排気ガスEX2とを熱交換させる。本実施形態において、第2熱交換器182は、酸素供給管132を通過する酸素含有ガスSと、第2排気管172を通過する空気極排気ガスEX2とを熱交換させる。
第3熱交換器184は、空気極114から排気される空気極排気ガスEX2と、水供給部140によって供給される水蒸気Wとを熱交換させる。本実施形態において、蓄エネルギー装置100は、第2排気管172における空気極114と第2熱交換器182との間に三方弁186を備える。また、蓄エネルギー装置100は、第2排気管172における第2熱交換器182とブロワ174との間と、三方弁186とを接続するバイパス管188を備える。そして、第3熱交換器184は、バイパス管188に設けられる。第3熱交換器184は、第2排気管172を通過する空気極排気ガスEX2と、水蒸気供給管142を通過する水蒸気とを熱交換させる。
中央制御部190は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部190は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部190は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して蓄エネルギー装置100全体を管理および制御する。本実施形態において、中央制御部190は、モード切換部192として機能する。
モード切換部192は、燃料電池本体110の運転モードを充電モードと、放電モードとに切り換える。以下、本実施形態の充電モードおよび放電モードについて詳述する。
[充電モード]
図2は、第1の実施形態の充電モードにおけるガスの流れを説明する図である。図2中、実線の矢印は、ガスの流れを示す。また、図2中、開閉弁126、136、三方弁186の閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。充電モードは、外部から受電して燃料電池本体110によって水を電気分解する運転モードである。
図2に示すように、運転モードを充電モードに設定する場合、モード切換部192は、水供給部140、補助ガス供給部150、第1排気部160、および、第2排気部170を駆動する。具体的に説明すると、モード切換部192は、開閉弁146、156、166、176を開弁し、ブロワ144、154、164、174を駆動する。また、モード切換部192は、三方弁186を第2排気管172とバイパス管188とを接続する(第2熱交換器182をバイパスさせる)位置に移動させる。つまり、モード切換部192は、空気極排気ガスEX2が第3熱交換器184を通過するように三方弁186を切り換える。また、モード切換部192は、電力供給源10から燃料電池本体110に電力を供給させる。つまり、モード切換部192は、燃料電池本体110と電力供給源10とを通電させる。電力供給源10は、例えば、太陽光発電装置、水力発電装置、風力発電装置等の再生可能エネルギーを利用した発電装置である。
そうすると、燃料極112に水蒸気Wが供給され、受電した電力によって、下記式(1)に示す反応が進行する。
O + 2e → H + O2- …式(1)
そして、酸化物イオン(O2-)が電解質部116を伝導(移動)することにより、空気極114において、下記式(2)に示す反応が進行する。
2- → 1/2O + 2e …式(2)
また、燃料極112に補助ガスA(二酸化炭素および水素)が供給され、下記式(3)に示す反応が進行する。
CO + 4H → CH + 2HO …式(3)
こうして、充電モードにおいて、燃料極112で水素、メタン、および、水(水蒸気)が生成される(上記式(1)、式(3))。なお、平衡反応により、二酸化炭素と水素の一部は、一酸化炭素(CO)に変換される(CO + H → CO + HO)。燃料極112で生成された水素、メタン、一酸化炭素、および、水蒸気は、燃料極排気ガスEX1としてブロワ164によって吸引され、後述する放電モードにおいて、燃料ガスFとして利用される。なお、燃料極排気ガスEX1には、燃料極112において未反応であった水蒸気Wおよび補助ガスAも含まれる。
また、上記したように、充電モードにおいて、空気極114で酸素が生成される(上記式(2))。空気極114で生成された酸素は、空気極排気ガスEX2としてブロワ174に吸引され、第3熱交換器184を通過した後、貯留部178に導かれる。貯留部178に導かれた酸素は、放電モードにおいて、酸素含有ガスSとして利用される。また、第3熱交換器184は、空気極排気ガスEX2が有する熱を、水の気化器および水蒸気Wのいずれか一方または両方に付与することができる。したがって、蓄エネルギー装置100は、水蒸気Wの発生(気化熱)および水蒸気Wの加熱(予熱)のいずれか一方または両方に要するエネルギーを削減することが可能となる。
続いて、充電モードにおける補助ガスAの効果について説明する。図3は、水および水蒸気の電気分解における電圧を説明する図である。なお、図3中、横軸は温度[℃]を示し、縦軸は電解電圧[V]を示す。また、図3中、実線は理論電解電圧を示し、破線は熱中立電圧を示す。
水および水蒸気の電気分解は吸熱反応であるため、図3に示すように、水および水蒸気の電気分解における熱中立電圧は、理論電解電圧よりも大幅に上回る。具体的に説明すると、水蒸気の電気分解において、100℃を上回ると、温度が上昇するに従って、理論電解電圧と熱中立電圧との差が大きくなる。したがって、燃料電池本体110によって水蒸気のみを電気分解する場合、投入される電力の電圧を熱中立電圧(例えば、1.3V程度)まで高くしなければならない。
そこで、上記したように、本実施形態の蓄エネルギー装置100は、充電モードにおいて、水蒸気Wに加えて、補助ガスAを燃料極112に供給する。これにより、上記式(1)の反応に加えて上記式(3)の反応(メタネーション反応(サバティエ反応))が進行する。
図4は、メタネーション反応における反応エンタルピーを説明する図である。なお、図4中、横軸は温度[℃]を示し、縦軸は反応エンタルピーdrH[kJ/mol]を示す。
図4に示すように、上記式(3)のメタネーション反応は、690℃程度の境界温度に到達するまでは、発熱反応である。一方、境界温度を上回ると、メタネーション反応は、吸熱反応となる。
したがって、蓄エネルギー装置100は、充電モードを300℃以上700℃以下の所定の温度で実行する、すなわち、水蒸気Wの電気分解およびメタネーション反応を300℃以上700℃以下の所定の温度で行うことにより、水蒸気Wの電気分解に要する熱(吸熱)をメタネーション反応で生じる熱(発熱)で補うことができる。
これにより、蓄エネルギー装置100は、熱中立電圧を理論電解電圧に近づけることが可能となる。したがって、蓄エネルギー装置100は、充電モードにおいて、燃料電池本体110に投入する電力の電圧を低減することができる。
また、水の電気分解の際に電力供給源10から供給される電流密度が高い場合、燃料電池本体110の温度が高くなる。しかし、図4に示すように、メタネーション反応は、温度が上昇するに従って吸熱量が大きくなる。したがって、充電モードにおいて、水蒸気Wの電気分解と並行してメタネーション反応を行うことにより、蓄エネルギー装置100は、電力供給源10から供給される電流密度が高い場合でも燃料電池本体110を所定の温度に維持することが可能となる。
同様に、水の電気分解の際に電力供給源10から供給される電流密度が低い場合、燃料電池本体110の温度が低くなる。しかし、図4に示すように、メタネーション反応は、温度が下降するに従って発熱量が大きくなる。したがって、充電モードにおいて、水蒸気Wの電気分解と並行してメタネーション反応を行うことにより、蓄エネルギー装置100は、電力供給源10から供給される電流密度が低い場合でも燃料電池本体110を所定の温度に維持することが可能となる。
つまり、蓄エネルギー装置100は、水蒸気Wの電気分解と並行してメタネーション反応を行うことにより、電力供給源10から供給される電流密度が変動した場合でも燃料電池本体110を所定の温度に維持することができる。
[放電モード]
図5は、第1の実施形態の放電モードにおけるガスの流れを説明する図である。図5中、実線の矢印は、ガスの流れを示す。また、図5中、開閉弁146、156、三方弁186の閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。放電モードは、燃料電池本体110を放電させる運転モードである。
図5に示すように、運転モードを放電モードに設定する場合、モード切換部192は、燃料供給部120、酸素供給部130、および、第1排気部160を駆動する。具体的に説明すると、モード切換部192は、開閉弁126、136、166を開弁し、ブロワ124、134、164、174を駆動する。また、モード切換部192は、三方弁186を第2排気管172と第2熱交換器182とを接続する(第3熱交換器184をバイパスさせる)位置に移動させる。つまり、モード切換部192は、空気極排気ガスEX2が第2熱交換器182を通過するように三方弁186を切り換える。また、モード切換部192は、燃料電池本体110を負荷12に接続する。
そうすると、燃料極112に燃料ガスFが供給されて、下記式(4)、式(5)に示す反応が進行する。
+ O2- → HO + 2e …式(4)
CH + 2HO → CO + 4H …式(5)
また、空気極114に酸素含有ガスSが供給されて、下記式(6)に示す反応が進行する。
1/2O + 2e → O2- …式(6)
そして、酸化物イオン(O2-)が電解質部116を伝導(移動)することにより、燃料電池本体110が発電する。こうして、発電された電力は、燃料電池本体110に接続された負荷12に供給される。
また、放電モードにおいて、燃料極112で水(水蒸気)、二酸化炭素、および、水素が生成される(上記式(4)、式(5))。燃料極112で生成された水蒸気、二酸化炭素、および、水素は、燃料極排気ガスEX1としてブロワ164によって吸引される。吸引された燃料極排気ガスEX1は、不図示の冷却器(分離部)および気液分離装置(分離部)で、二酸化炭素および水素と、水とに分離される。そして、分離された水は、充電モードにおいて、水蒸気Wとして利用される。また、分離された二酸化炭素および水素は、水素吸蔵合金(分離部)、または、Li系ゼオライト(分離部)によって分離される。こうして、分離された水素は、充電モードにおいて補助ガスAとして利用されたり、放電モードにおいて燃料ガスFとして利用されたりする。また、分離された二酸化炭素は、充電モードにおいて補助ガスAとして利用される。なお、燃料極排気ガスEX1には、燃料極112において未反応であった燃料ガスFも含まれる。
また、放電モードにおいて、空気極114から排気される空気極排気ガスEX2には、空気極114において未反応であった酸素含有ガスSが含まれる。空気極排気ガスEX2は、ブロワ174に吸引され、第2熱交換器182を通過した後、貯留部178に導かれる。
以上説明したように、本実施形態の蓄エネルギー装置100は、充電モードにおいて、水蒸気Wに加えて、補助ガスAを燃料極112に供給する。これにより、蓄エネルギー装置100は、充電の際に投入される電力の電圧を低減することができる。
また、上記したように、蓄エネルギー装置100は、第1熱交換器180を備える。これにより、第1熱交換器180は、燃料極排気ガスEX1が有する熱を、燃料ガスF、水蒸気W、および、補助ガスAに付与することができる。したがって、蓄エネルギー装置100は、燃料ガスF、水蒸気W、および、補助ガスAの加熱に要するエネルギーを削減することが可能となる。
同様に、蓄エネルギー装置100は、第2熱交換器182を備える。これにより、第2熱交換器182は、空気極排気ガスEX2が有する熱を酸素含有ガスSに付与することができる。したがって、蓄エネルギー装置100は、酸素含有ガスSの加熱に要するエネルギーを削減することが可能となる。
[第2の実施形態:蓄エネルギー装置200]
図6は、第2の実施形態にかかる蓄エネルギー装置200を説明する図である。図6に示すように、蓄エネルギー装置200は、燃料電池本体210と、燃料供給部120と、酸素供給部130と、水供給部240と、補助ガス供給部150と、第1排気部160と、第2排気部170と、第1熱交換器280と、第2熱交換器282と、中央制御部290とを含む。図6中、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、図を簡明化するために、図6中、モード切換部292から、ブロワ124、134、244、154、164、174、開閉弁126、136、246、156への信号の流れを示す破線の図示を省略する。
また、上記蓄エネルギー装置100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
燃料電池本体210は、キャリアをプロトン(H)とする固体酸化物形燃料電池(PCFC:Proton-conducting Ceramic-electrolyte Fuel Cell)である。燃料電池本体210は、燃料極112と、空気極114と、電解質部216とを含む。
電解質部216は、燃料極112と空気極114との間に設けられる。電解質部216は、プロトン伝導性を有する固体酸化物を含む。プロトン伝導性を有する固体酸化物は、例えば、BaZrYbO3-δ、BaZrCeYAO3-δ(ただし、Aは、ランタノイド元素およびScのうち、いずれか1または複数である)、BaCeAO3-δ(ただし、Aは、ランタノイド元素およびScのうち、いずれか1または複数である)、BaSrCeZrAO3-δ(ただし、Aは、ランタノイド元素およびScのうち、いずれか1または複数である)、BaSrCeZrYAO3-δ(ただし、Aは、ランタノイド元素およびScのうち、いずれか1または複数である)、LaSrAO3-δ(ただし、Aは、ランタノイド元素およびScのうち、いずれか1または複数である)、および、LaWO3-δのうち、いずれか1または複数である。なお、上記固体酸化物における各元素の含有率に限定はない。
水供給部240は、空気極114に水蒸気(水(HO))Wを供給する。本実施形態において、水供給部240は、水蒸気供給管242と、ブロワ244と、開閉弁246とを含む。水蒸気供給管242は、水蒸気Wの供給源と、酸素供給管132における開閉弁136および空気極114の間とを接続する。つまり、水蒸気供給管242は、水蒸気Wの供給源と、空気極114の供給口とを接続する。ブロワ244は、水蒸気供給管242に設けられる。ブロワ244は、吸入側が水蒸気Wの供給源に接続され、吐出側が空気極114に接続される。開閉弁246は、水蒸気供給管242におけるブロワ244と空気極114との間に設けられる。開閉弁246は、水蒸気供給管242に形成される流路を開放したり、遮断したりする。
第1熱交換器280は、燃料極112に供給されるガス(燃料ガスF、補助ガスA)と、燃料極112から排気される燃料極排気ガスEX3とを熱交換させる。本実施形態において、第1熱交換器280は、燃料供給管122を通過するガスと、第1排気管162を通過する燃料極排気ガスEX3とを熱交換させる。
第2熱交換器282は、空気極114に供給されるガス(酸素含有ガスS、水蒸気W)と、空気極114から排気される空気極排気ガスEX4とを熱交換させる。本実施形態において、第2熱交換器282は、酸素供給管132を通過するガスと、第2排気管172を通過する空気極排気ガスEX4とを熱交換させる。
中央制御部290は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成される。中央制御部290は、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出す。中央制御部290は、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して蓄エネルギー装置200全体を管理および制御する。本実施形態において、中央制御部290は、モード切換部292として機能する。
モード切換部292は、燃料電池本体210の運転モードを充電モードと、放電モードとに切り換える。以下、本実施形態の充電モードおよび放電モードについて詳述する。
[充電モード]
図7は、第2の実施形態の充電モードにおけるガスの流れを説明する図である。図7中、実線の矢印は、ガスの流れを示す。また、図7中、開閉弁126、136の閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。充電モードは、外部から受電して燃料電池本体210によって水を電気分解する運転モードである。
図7に示すように、運転モードを充電モードに設定する場合、モード切換部292は、補助ガス供給部150、第1排気部160、第2排気部170、および、水供給部240を駆動する。具体的に説明すると、モード切換部292は、開閉弁156、166、176、246を開弁し、ブロワ154、164、174、244を駆動する。また、モード切換部292は、電力供給源10から燃料電池本体210に電力を供給させる。
そうすると、空気極114に水蒸気Wが供給され、受電した電力によって、下記式(7)に示す反応が進行する。
O → 1/2O + 2H + 2e …式(7)
そして、プロトン(H)が電解質部216を伝導(移動)することにより、燃料極112において下記式(8)に示す反応が進行する。
2H + 2e → H …式(8)
また、燃料極112に補助ガスA(二酸化炭素および水素)が供給され、下記式(3)に示す反応が進行する。
CO + 4H → CH + 2HO …式(3)
こうして、充電モードにおいて、燃料極112で水素、メタン、および、水(水蒸気W)が生成される(上記式(3)、式(8))。燃料極112で生成された水素、メタン、および、水蒸気Wは、燃料極排気ガスEX3としてブロワ164によって吸引され、放電モードにおいて、燃料ガスFとして利用される。
また、充電モードにおいて、空気極114で酸素が生成される(上記式(7))。空気極114で生成された酸素は、空気極排気ガスEX4としてブロワ174に吸引され、放電モードにおいて、酸素含有ガスSとして利用される。
[放電モード]
図8は、第2の実施形態の放電モードにおけるガスの流れを説明する図である。図8中、実線の矢印は、ガスの流れを示す。また、図8中、開閉弁156、246の閉弁状態を黒い塗りつぶしで示す。放電モードは、燃料電池本体210を放電させる運転モードである。
図8に示すように、運転モードを放電モードに設定する場合、モード切換部292は、燃料供給部120、酸素供給部130、第1排気部160、および、第2排気部170を駆動する。具体的に説明すると、モード切換部292は、開閉弁126、136、166、176を開弁し、ブロワ124、134、164、174を駆動する。また、モード切換部292は、燃料電池本体210を負荷12に接続する。
そうすると、燃料極112に燃料ガスFが供給されて、下記式(9)、および、下記式(5)に示す反応が進行する。
→ 2H + 2e …式(9)
CH + 2HO → CO + 4H …式(5)
また、空気極114に酸素含有ガスSが供給されて、下記式(10)に示す反応が進行する。
1/2O + 2H + 2e → HO …式(10)
そして、プロトン(H)が電解質部216を伝導(移動)することにより、燃料電池本体210が発電する。こうして、発電された電力は、燃料電池本体210に接続された負荷12に供給される。
また、放電モードにおいて、燃料極112で二酸化炭素および水素が生成される(上記式(5))。燃料極112で生成された二酸化炭素および水素は、燃料極排気ガスEX3としてブロワ164によって吸引され、充電モードにおいて補助ガスAとして利用されたり、放電モードにおいて燃料ガスFとして利用されたりする。
また、放電モードにおいて、空気極114で水(水蒸気)が生成される(上記式(10))。空気極114で生成された水は、空気極排気ガスEX4としてブロワ174によって吸引され、充電モードにおいて、水蒸気Wとして利用される。
以上説明したように、本実施形態の蓄エネルギー装置200は、充電モードにおいて、空気極114に水蒸気Wを供給すること加えて、燃料極112に補助ガスAを供給する。これにより、蓄エネルギー装置200は、充電の際に投入される電力の電圧を低減することができる。
また、上記したように、蓄エネルギー装置200は、第1熱交換器280を備える。これにより、第1熱交換器280は、燃料極排気ガスEX3が有する熱を、燃料ガスFおよび補助ガスAに付与することができる。したがって、蓄エネルギー装置200は、燃料ガスFおよび補助ガスAの加熱に要するエネルギーを削減することが可能となる。
同様に、蓄エネルギー装置200は、第2熱交換器282を備える。これにより、第2熱交換器282は、空気極排気ガスEX4が有する熱を水蒸気Wおよび酸素含有ガスSに付与することができる。したがって、蓄エネルギー装置200は、水蒸気Wおよび酸素含有ガスSの加熱に要するエネルギーを削減することが可能となる。
[シミュレーション]
上記蓄エネルギー装置100、200におけるラウンドトリップ効率をシミュレーションによって算出した。
図9は、シミュレーション結果を説明する図である。図9(a)は、蓄エネルギー装置100のシミュレーション結果を示す。図9(b)は、第1の比較例のシミュレーション結果を示す。図9(c)は、蓄エネルギー装置200のシミュレーション結果を示す。図9(d)は、第2の比較例のシミュレーション結果を示す。
なお、ラウンドトリップ効率は、下記式(11)で算出される。
ラウンドトリップ効率 = 発電電圧 / 電解電圧 …式(11)
第1の比較例は、蓄エネルギー装置100において補助ガス供給部150を備えない装置である。つまり、第1の比較例は、充電モードにおいて、水蒸気Wの電気分解のみを行う装置である。図9(b)に示すように、第1の比較例の放電モードにおける発電電圧は、燃料電池本体110の温度に拘わらず、0.85Vである。一方、充電モードにおいて、第1の比較例の電解電圧は、700℃の際1.284Vであり、600℃の際1.280Vであり、550℃の際1.278Vであり、500℃の際1.276Vであった。つまり、第1の比較例の電解電圧は、図3の熱中立電圧(1.3V程度)となる。
したがって、第1の比較例のラウンドトリップ効率は、700℃の際0.662であり、600℃の際0.664であり、550℃の際0.665であり、500℃の際0.666となった。つまり、第1の比較例では、燃料電池本体110の温度に拘わらず、ラウンドトリップ効率が0.66程度となることが確認された。
一方、図9(a)に示すように、充電モードにおいて、蓄エネルギー装置100の電解電圧は、700℃の際1.294Vであり、600℃の際1.21Vであり、550℃の際1.16Vであり、500℃の際1.12Vであった。蓄エネルギー装置100は、充電モードにおいて水蒸気Wの電気分解と並行してメタネーション反応を行うことができるため、第1の比較例と比較して、電解電圧を低減することが可能となることが確認された。
なお、蓄エネルギー装置100の放電モードにおける発電電圧は、第1の比較例と同様に、燃料電池本体110の温度に拘わらず、0.85Vである。したがって、蓄エネルギー装置100のラウンドトリップ効率は、700℃の際0.657であり、600℃の際0.702であり、550℃の際0.733であり、500℃の際0.759となった。
以上の結果から、蓄エネルギー装置100は、第1の比較例と比較して、ラウンドトリップ効率が高いことが確認された。
また、蓄エネルギー装置100では、燃料電池本体110の温度が低いほど、電解電圧が低くなり、ラウンドトリップ効率が高いことが分かった。ただし、燃料電池本体110の温度が低すぎると、過電圧が増加してしまう。したがって、蓄エネルギー装置100は、燃料電池本体110の温度を500℃程度に維持することが好ましいと推測される。
第2の比較例は、蓄エネルギー装置200において補助ガス供給部150を備えない装置である。つまり、第2の比較例は、充電モードにおいて、水蒸気Wの電気分解のみを行う装置である。図9(d)に示すように、第2の比較例の放電モードにおける発電電圧は、燃料電池本体210の温度に拘わらず、0.9Vである。一方、充電モードにおいて、第2の比較例の電解電圧は、700℃の際1.284Vであり、600℃の際1.280Vであり、550℃の際1.278Vであり、500℃の際1.276Vであった。つまり、第2の比較例の電解電圧は、図3の熱中立電圧(1.3V程度)となる。
したがって、第2の比較例のラウンドトリップ効率は、700℃の際0.701であり、600℃の際0.703であり、550℃の際0.704であり、500℃の際0.705となった。つまり、第2の比較例では、燃料電池本体210の温度に拘わらず、ラウンドトリップ効率が0.70程度となることが確認された。
一方、図9(c)に示すように、充電モードにおいて、蓄エネルギー装置200の電解電圧は、700℃の際1.294Vであり、600℃の際1.21Vであり、550℃の際1.16Vであり、500℃の際1.12Vであった。蓄エネルギー装置200は、充電モードにおいて水蒸気Wの電気分解と並行してメタネーション反応を行うことができるため、第2の比較例と比較して、電解電圧を低減することが可能となることが確認された。
なお、蓄エネルギー装置200の放電モードにおける発電電圧は、第2の比較例と同様に、燃料電池本体210の温度に拘わらず、0.9Vである。したがって、蓄エネルギー装置200のラウンドトリップ効率は、700℃の際0.696であり、600℃の際0.744であり、550℃の際0.776であり、500℃の際0.804となった。
以上の結果から、蓄エネルギー装置200は、第2の比較例と比較して、ラウンドトリップ効率が高いことが確認された。また、蓄エネルギー装置200は、蓄エネルギー装置100と比較して、ラウンドトリップ効率が高いことが分かった。
また、蓄エネルギー装置200では、燃料電池本体210の温度が低いほど、電解電圧が低くなり、ラウンドトリップ効率が高いことが分かった。ただし、燃料電池本体210の温度が低すぎると、過電圧が増加してしまう。したがって、蓄エネルギー装置200は、燃料電池本体210の温度を500℃程度に維持することが好ましいと推測される。
[変形例] 上記実施形態において、蓄エネルギー装置100、200が第1排気部160を備える構成を例に挙げた。しかし、蓄エネルギー装置100、200は、第1排気部160に代えて、送出部360を備えてもよい。
図10は、変形例の送出部360を説明する図である。変形例において、補助ガス供給部150は、充電モードにおいて、補助ガスAとして、バイオガスおよび水素を燃料極112に供給する。バイオガスは、生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚泥、汚水、ゴミ、エネルギー作物等の発酵、または、嫌気性消化により発生するガスである。バイオガスは、二酸化炭素およびメタンを含む(例えば、含有率は、二酸化炭素:メタン=25%以上50%以下:50%以上75%以下)。
送出部360は、燃料極112から排気される燃料極排気ガスをメタン利用設備370に送出する。図10に示すように、送出部360は、第1排気管162と、ブロワ164と、開閉弁166と、貯留部168と、分岐管362と、開閉弁364とを含む。なお、上記蓄エネルギー装置100、200と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
分岐管362は、第1排気管162におけるブロワ164と開閉弁166との間から分岐され、メタン利用設備370に接続される。開閉弁364は、分岐管362に設けられる。開閉弁364は、分岐管362に形成される流路を開放したり、遮断したりする。メタン利用設備370は、例えば、ガス導管注入設備、ガスエンジン、コジェネレーションシステム、および、燃料電池の燃料極のいずれか1または複数である。ガス導管注入設備は、バイオガスを精製し、熱量調整を調整した後、付臭して都市ガス導管へ注入する設備である。
モード切換部192、292は、充電モードにおいて、開閉弁166を閉弁するとともに、開閉弁364を開弁して、ブロワ164を駆動する。
以上説明したように、変形例では、補助ガスAがバイオガスを含むことにより、バイオガス中の二酸化炭素をメタンに変換することができる(上記式(3)参照)。これにより、変形例では、バイオガス中のメタンの濃度を増加させて、メタン利用設備370に供給することが可能となる。つまり、バイオガスを含む補助ガスAを燃料極112に供給する補助ガス供給部150を備える蓄エネルギー装置100、200は、バイオガス中のメタンの濃度を増加させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、燃料ガスFがメタンと水素とを含む場合を例に挙げた。しかし、燃料ガスFは、水素のみを含んでいてもよい。
また、上記実施形態において、酸素含有ガスSが空気である場合を例に挙げた。しかし、酸素含有ガスSは、空気よりも高濃度の酸素を含んでいてもよい。酸素含有ガスSが空気よりも高濃度の酸素を含む場合、燃料電池本体110、210の発電効率を向上させることができる。
また、上記実施形態において、燃料供給部120と補助ガス供給部150とが別体で構成される場合を例に挙げた。しかし、燃料供給部120と補助ガス供給部150とは一体で構成されてもよい。つまり、蓄エネルギー装置100、200が、充電モードの際に補助ガスAを燃料極112に供給し、放電モードの際に水素、メタン、および、水を燃料極112に供給する構成を備えてもよい。
また、上記第1の実施形態において、燃料供給部120と、水供給部140と、補助ガス供給部150とが別体で構成される場合を例に挙げた。しかし、燃料供給部120と、水供給部140と、補助ガス供給部150とは一体で構成されてもよい。つまり、蓄エネルギー装置100が、充電モードの際に補助ガスAおよび水蒸気Wを燃料極112に供給し、放電モードの際に、水素、メタン、および、水蒸気Wを112に供給する構成を備えてもよい。
同様に、上記第2の実施形態において、酸素供給部130と水供給部240とが別体で構成される場合を例に挙げた。しかし、酸素供給部130と水供給部240とは一体で構成されてもよい。つまり、蓄エネルギー装置200が、充電モードの際に水蒸気Wを空気極114に供給し、放電モードの際に酸素含有ガスSを空気極114に供給する構成を備えてもよい。
また、上記実施形態において、蓄エネルギー装置100、200が第1熱交換器180、280、および、第2熱交換器182、282を備える場合を例に挙げた。しかし、第1熱交換器180、280、および、第2熱交換器182、282は、必須の構成ではない。
また、上記第1の実施形態において、蓄エネルギー装置100が第3熱交換器184を備える場合を例に挙げた。しかし、第3熱交換器184は、必須の構成ではない。
また、上記第1の実施形態において、蓄エネルギー装置100が、ブロワ124、134、144、154、164、174を備える構成を例に挙げた。しかし、蓄エネルギー装置100は、燃料極112の供給側または排気側にのみブロワを備え、空気極114の供給側または排気側にのみブロワを備えてもよい。例えば、蓄エネルギー装置100は、ブロワ124、144、154およびブロワ164のうちのいずれか一方と、ブロワ134およびブロワ174のうちのいずれか一方とを備えてもよい。
同様に、上記第2の実施形態において、蓄エネルギー装置200が、ブロワ124、134、154、164、174、244を備える構成を例に挙げた。しかし、蓄エネルギー装置200は、燃料極112の供給側または排気側にのみブロワを備え、空気極114の供給側または排気側にのみブロワを備えてもよい。例えば、蓄エネルギー装置200は、ブロワ124、154およびブロワ164のうちのいずれか一方と、ブロワ134、244およびブロワ174のうちのいずれか一方とを備えてもよい。
また、上記変形例において、補助ガスAに含まれる二酸化炭素が、バイオガス由来のものである場合を例に挙げた。しかし、補助ガスAに含まれる二酸化炭素に限定はない。補助ガスAに含まれる二酸化炭素は、例えば、ボンベに貯留された二酸化炭素、発電所等から排気された排気ガスに含まれる二酸化炭素、および、空気中に含まれる二酸化炭素のいずれか1または複数であってもよい。ボンベは、液化二酸化炭素を貯留する。排気ガスに含まれる二酸化炭素は、例えば、PSA(圧力スイング吸着)法等によって排気ガスから分離される。
空気中に含まれる二酸化炭素は、DAC(direct air capture)装置等によって分離される。DAC装置によって二酸化炭素を分離し、補助ガスAとして利用する場合、DAC装置は、充電モード以外のモード(例えば、放電モード)において空気中の二酸化炭素を吸収しておき、充電モードで二酸化炭素を放出する。
蓄エネルギー装置100がDAC装置を備える場合、DAC装置による二酸化炭素の吸収は、下記式(12)または式(13)によって示され、DAC装置からの二酸化炭素の放出は、下記式(14)によって示される。
CaO + CO → CaCO …式(12)
Ca(OH) + CO → CaCO + HO …式(13)
CaCO → CaO + CO …式(14)
蓄エネルギー装置200がDAC装置を備える場合、DAC装置による二酸化炭素の吸収は、下記式(15)または式(16)によって示され、DAC装置からの二酸化炭素の放出は、下記式(17)によって示される。
O + CO → KCO …式(15)
2KOH + CO → KCO + HO …式(16)
CO → KO + CO …式(17)
なお、DAC装置による二酸化炭素の吸収(上記式(12)、式(13)、式(15)、式(16))は、常温(例えば、25℃)以下の所定の温度範囲内で為される。
一方、DAC装置からの二酸化炭素の放出(上記式(14)、式(17))は、250℃以上800℃以下の所定の温度範囲内で為される。このため、DAC装置から二酸化炭素を放出させる場合、燃料電池本体110が生じる熱を利用するとよい。
本発明は、固体電解質を有する燃料電池本体を利用した蓄エネルギー装置に利用することができる。
100、200 蓄エネルギー装置
110、210 燃料電池本体
112 燃料極
114 空気極
116、216 電解質部
120 燃料供給部
130 酸素供給部
140、240 水供給部
150 補助ガス供給部
180、280 第1熱交換器
182、282 第2熱交換器
192、292 モード切換部
360 送出部

Claims (8)

  1. 燃料極と、空気極と、前記燃料極と前記空気極との間に設けられ、固体酸化物を含む電解質部とを有する燃料電池本体と、
    少なくとも水素を含む燃料ガスを前記燃料極に供給する燃料供給部と、
    少なくとも酸素を含む酸素含有ガスを前記空気極に供給する酸素供給部と、
    前記燃料極または前記空気極に水を供給する水供給部と、
    二酸化炭素および水素を少なくとも含む補助ガスを前記燃料極に供給する補助ガス供給部と、
    外部から受電して前記燃料電池本体によって水を電気分解する充電モードと、前記燃料電池本体を放電させる放電モードとを切り換えるモード切換部と、
    を備え
    前記充電モードにおいて、
    前記水供給部によって前記水が供給され、前記補助ガス供給部によって前記補助ガスが供給されて、前記燃料電池本体において、前記水の電気分解とメタネーション反応とが並行して行われ、
    前記燃料電池本体を300℃以上550℃以下とする蓄エネルギー装置。
  2. 記燃料供給部は、前記放電モードにおいて前記燃料ガスを供給し、
    前記酸素供給部は、前記放電モードにおいて前記酸素含有ガスを供給し、
    前記水供給部は、前記充電モードにおいて前記水を供給し、
    前記補助ガス供給部は、前記充電モードにおいて前記補助ガスを供給する請求項1に記載の蓄エネルギー装置。
  3. 前記補助ガスは、バイオガスを含み、
    前記充電モードにおいて、前記燃料極から排気される燃料極排気ガスをメタン利用設備に送出する送出部を備える請求項2に記載の蓄エネルギー装置。
  4. 前記固体酸化物は、酸化物イオン伝導性を有し、
    前記水供給部は、前記燃料極に水を供給する請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄エネルギー装置。
  5. 前記燃料極から排気される燃料極排気ガスから水、水素、二酸化炭素を分離する分離部を備える請求項4に記載の蓄エネルギー装置。
  6. 前記固体酸化物は、プロトン伝導性を有し、
    前記水供給部は、前記空気極に水を供給する請求項1から3のいずれか1項に記載の蓄エネルギー装置。
  7. 前記燃料極に供給されるガスと、前記燃料極から排気される燃料極排気ガスとを熱交換させる第1熱交換器を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の蓄エネルギー装置。
  8. 前記空気極に供給されるガスと、前記空気極から排気される空気極排気ガスとを熱交換させる第2熱交換器を備える請求項1から7のいずれか1項に記載の蓄エネルギー装置。
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