JP2018088324A - 複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラム - Google Patents

複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】バイオガスを原燃料とするSOFCを備えた複合発電システムにおいて、メタン濃度の不安定なバイオガスの組成の変化に対応し安定したSOFCの稼働を行う複合発電システムの制御装置を提供することを目的とする。【解決手段】燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ライン304とを備え、バイオガス20を燃料原料ガスとする燃料電池10と、燃料電池10から排出される排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービン80と、バイオガス20中の二酸化炭素濃度もしくはメタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計21と、を備えた複合発電システム1の制御装置70であって、燃料極109に供給される燃料原料ガスの二酸化炭素濃度もしくはメタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて再循環ライン304への供給流量を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、メタン濃度変動ガスを用いた複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムに関するものである。
燃料電池は、電気化学反応による発電方式を利用した発電装置であり、優れた発電効率及び環境対応等の特性を有している。このうち、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」という。)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、水素および一酸化炭素、メタンなどの炭化水素系ガス、石炭など炭素質原料のガス化設備により製造したガス、都市ガス、天然ガス、あるいはこれらのうち複数の成分を含む混合ガスなどを燃料原料ガスとして運転される燃料電池である。このようなSOFCは、例えばマイクロガスタービン(以下、「MGT」という。)等の内燃機関と組み合わせた複合発電システムが開発されており、圧縮機から吐出される圧縮空気をSOFCの空気極に供給するとともに、SOFCから排出される高温の排燃料原料ガスをMGTの燃焼器に供給して燃焼させ、燃焼器で発生した燃焼ガスでタービンを回転させることで、発電効率の高い発電が可能とされている。
近年、SOFCの燃料原料ガスとして、上述したものに代えてバイオガスを用いることが検討されている。バイオガスとは、例えば下水に由来するガスであり、下水からメタン発酵処理して得られ、主な成分はメタン及び二酸化炭素である。一般的に、バイオガス中のメタン濃度は約60体積%、二酸化炭素濃度は約40体積%とされているが、バイオガスのメタン濃度は一定ではなく、特に時間帯や季節により変化する。
例えばバイオガスのメタン濃度が低下すると、二酸化炭素濃度は上昇する。二酸化炭素濃度が上昇すると、SOFCの起電力が低下するため、SOFCの出力は低下する。このとき、SOFCの起電力低下分が電気への変換ロスとして熱エネルギとなるため、SOFCの温度が上昇するという影響が発生するころが判明した。
そこで、SOFCにおいて、バイオガス中のメタン濃度の変化に対応する方法として、特許文献1には燃料電池へ供給する前段階において前処理装置を用いてバイオガス中のメタンガス成分を濃縮しメタン濃度を一定にした後供給することが開示されている。また、特許文献2には、メタン濃度に基づいて必要な燃料原料ガス供給量を演算し供給量を制御することが開示されている。また、特許文献3には、バイオガスを吸着貯蔵容器に貯蔵し二酸化炭素を吸着しつつ、組成の変動に対してはSOFCの出力を変動させることで対応することが開示されている。
特開平11−126629号公報 特開2003−331897号公報 特開2008−153149号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された発明では、メタンガス成分の濃縮には動力源や前処理装置の設置、及びそのスペースが必要であるなどコストがかかるという問題があった。
また、上記特許文献2に開示された発明では、燃料原料ガスであるバイオガスのメタン濃度に応じて供給流量を調整しても、例えば燃料極側の排燃料原料ガスの一部を再循環するSOFCでは、メタン濃度の変化によって再循環ガスの組成が変化するため、内部改質用のS/C(スチームカーボン比、水蒸気炭素比)が変化し、安定した運転が困難であるという問題があった。SOFC燃料極の入口のS/Cは内部改質のためには量論的には1.0以上が必要で、更にS/Cが低くなる領域が発電部にあると炭素が析出する恐れがある。炭素析出防止と改質率促進のためにS/C≧2が好ましい。S/Cが多すぎると、最終的に系外に排出される排ガス中の水蒸気含有量が増加し、この潜熱分が無駄な熱量として系外に排出されてシステム効率が低下する。この為、S/Cの運転状態に合わせて最少量のS/Cを設定できることが望まれており、例えばS/Cが3.0〜5.0、好ましくは3.5〜5.0となるよう設定されている。
また、上記特許文献3に開示された発明では、バイオガスのメタン濃度の変化に対しSOFCの出力を変動させて対応することから、SOFCの出力が安定しないという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、メタン濃度変動ガスを原燃料とするSOFCを備えた複合発電システムにおいて、メタン濃度の不安定なメタン濃度変動ガスの組成の変化に対応し安定したSOFCの稼働を行う複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムは以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る複合発電システムの制御装置は、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、を備えた複合発電システムの制御装置であって、前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて前記再循環ラインへの供給流量を制御する。
本構成によれば、燃料極側の排燃料原料ガスの少なくとも一部を再循環する固体電解質型燃料電池などの燃料電池において、燃料極に供給される燃料原料ガスの二酸化炭素濃度またはメタン濃度に応じてあらかじめ設定した第1補正係数を用いて再循環ラインへの排燃料原料ガスの少なくとも一部を再循環させた再循環ガスの供給流量を制御する。これにより、燃料原料ガスであるメタン濃度変動ガスのメタン濃度が変化しても、再循環流量を調整し二酸化炭素濃度上昇時の再循環ガス中の水蒸気分圧の低下によるS/C(スチームカーボン比)の低下を防ぎ、S/Cを安定させ、複合発電システムを安定稼働することができる。
燃料極側の排燃料原料ガスを再循環し内部改質している燃料電池は、メタン濃度変動ガス中のメタン濃度が変化すると、再循環ガスの組成が変化する。これによりS/Cが変化することとなる。
またメタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度が上がると、メタン濃度変動ガス中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでS/Cが低下するとともに燃料電池の起電力が下がる。これにより、燃料電池の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室の温度が上がることとなる。
そこで、再循環流量を増やすことでS/Cの変動を低減し、燃料電池の起電力を維持することで電圧低下を防ぎ、起電力低下により発熱量が増加していた燃料電池の発電室の温度上昇を抑制する。これにより、燃料電池の出力を維持し、燃料電池の安定稼働を継続することができる。
なお、「メタン濃度変動ガス」とは、運転中にメタン濃度が変動するガスを意味し、例えば、有機性廃棄物の嫌気性発酵処理(メタン発酵)によるメタン発酵ガス、下水汚泥の嫌気性処理による消化ガスなどを由来とするバイオガス、再生可能エネルギー由来等の水素をメタンに混ぜたハイタンなどが挙げられる。
上記第一態様では、前記燃料電池は、前記燃料極から排出される前記排燃料原料ガスを前記ガスタービンへ供給する燃料極燃料原料ガス排出ラインを備え、前記燃料極燃料原料ガス排出ラインに設けられたブロアの回転数によって前記再循環ラインへの前記排燃料原料ガスの供給流量を制御するとしてもよい。
本構成によれば、燃料極燃料原料ガス排出ラインに設けられたブロアの回転数によって再循環ラインへの排燃料原料ガスの供給流量を制御することから、燃料原料ガスであるメタン濃度変動ガスのメタン濃度が変化しても、再循環量を調整し二酸化炭素濃度上昇時の再循環ガス中の水蒸気分圧の低下によるS/C(スチームカーボン比)の低下を防ぎ、S/Cを安定させ、複合発電システムを安定稼働することができる。
本発明の第二態様に係る複合発電システムの制御装置は、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、を備えた複合発電システムの制御装置であって、前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの二酸化炭素濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて前記空気極に供給される前記酸化性ガスの供給流量または温度を制御する。
本構成によれば、燃料極に供給される燃料原料ガスの二酸化炭素濃度またはメタン濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて酸化性ガスの供給流量または温度を制御する。
例えばメタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度が上がると、メタン濃度変動ガス中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでS/Cが低下するとともに燃料電池の起電力が下がる。これにより、燃料電池の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室の温度が上がることとなる。例えば燃料電池の発電室の温度上昇を防止する場合は、空気極に供給される酸化性ガスの供給流量を増やす又は温度を下げる制御を行う。酸化性ガスの供給流量が増えることで、熱伝達により発電室の温度を下げることができる。また、酸化性ガスの温度を下げることで、発電室の温度を下げることができる。
上記第二態様では、前記ガスタービンは、熱交換により前記酸化性ガスに熱エネルギーを与える熱交換器を備え、前記ガスタービンから排出される前記酸化性ガスが前記熱交換器をバイパスする熱交換器バイパスラインと、該熱交換器バイパスラインに設けられた第1流量調整弁と、を備え、前記第1流量調整弁を調整することによって前記酸化性ガスの温度を制御するとしてもよい。
メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度が上がると、メタン濃度変動ガス中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでS/Cが低下するとともに燃料電池の起電力が下がる。これにより、燃料電池の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室の温度が上がることとなる。
本構成によれば、燃料電池の発電室の温度上昇を防止するために、熱交換器をバイパスして温度上昇していない酸化性ガスを燃料電池の空気極へ供給する。よって、燃料電池の温度上昇が抑制され、燃料電池の出力を維持することができる。
上記第二態様では、前記ガスタービンから排出される前記酸化性ガスが前記燃料電池をバイパスして前記ガスタービンの燃焼器へ供給される燃料電池バイパスラインと、該燃料電池バイパスラインに設けられた第2流量調整弁と、を備え、前記第2流量調整弁を調整することによって前記酸化性ガスの供給流量を制御するとしてもよい。
メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度が上がると、メタン濃度変動ガス中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでS/Cが低下するとともに燃料電池の起電力が下がる。これにより、燃料電池の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室の温度が上がることとなる。
本構成によれば、燃料電池の発電室の温度上昇を防止するために、燃料電池をバイパスしていた酸化性ガスの供給を停止し、空気極への酸化性ガスの供給流量を増加させる。よって、熱伝達により燃料電池の温度上昇が抑制され、燃料電池の出力を維持することができる。
上記第一態様または第二態様では、前記燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であるとしてもよい。
本発明の第三態様に係る複合発電システムは、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、上述したいずれかに記載の制御装置とを備える。
本発明の第四態様に係る複合発電システムの制御方法は、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、を備えた複合発電システムの制御方法であって、前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて前記再循環ラインへの供給流量を制御する。
本発明の第五態様に係る複合発電システムの制御方法は、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、を備えた複合発電システムの制御方法であって、前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて前記酸化性ガスの供給流量または温度を制御する。
本発明の第六態様に係る複合発電システムの制御プログラムは、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、を備えた複合発電システムの制御プログラムであって、前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて前記再循環ラインへの供給流量を制御する。
本発明の第七態様に係る複合発電システムの制御プログラムは、燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを燃料原料ガスとする燃料電池と、前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、を備えた複合発電システムの制御プログラムであって、前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて前記酸化性ガスの供給流量または温度を制御する。
本発明によれば、SOFCを備えた複合発電システムにおいて、メタン濃度の不安定なメタン濃度変動ガスの組成の変化に対応し、SOFCの温度上昇を抑制し、SOFCの出力を維持することで、SOFCの安定稼働を行うことができる。
本発明の実施形態に係る複合発電システムを示した概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係る複合発電システムの制御装置における補正制御のフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る複合発電システムの制御装置における第1補正係数と二酸化炭素濃度との関係を表したグラフである。 本発明の第2実施形態に係る複合発電システムの制御装置における補正制御のフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る複合発電システムの燃料電池におけるセルスタックの一態様を示すものである。 本発明の一実施形態に係る複合発電システムの燃料電池におけるSOFCモジュールの一態様を示すものである。 本発明の一実施形態に係る複合発電システムの燃料電池におけるSOFCカートリッジの断面の一態様を示すものである。
以下に、本発明に係る複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムの概略構成が示されている。
図1に示されるように、複合発電システム1は、固体酸化物形燃料電池(以下、SOFCとする。)(燃料電池)10、マイクロガスタービン(以下、MGTとする。)(ガスタービン)80、発電機86、及び制御装置70を主な構成として備えている。本実施形態の複合発電システム1は、燃料原料ガスとして運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガス20を用いる。メタン濃度変動ガス20としては、例えば、有機性廃棄物の嫌気性発酵処理(メタン発酵)によるメタン発酵ガス、下水汚泥の嫌気性処理による消化ガスなどを由来とするバイオガス、再生可能エネルギー由来等の水素をメタンに混ぜたハイタンなどが挙げられるが、本実施形態ではバイオガス20を用いるものとする。また、本実施形態の複合発電システム1は、起動用燃料として所定燃料ガス30を用いる。所定燃料ガス30とは、予め発熱量が略一定に調整された所定の燃料ガスを意味し、例えばメタン濃度が略一定に調整された都市ガスが挙げられ、本実施形態では都市ガス30を用いるものとする。
MGT80は、圧縮機84、燃焼器81、タービン83、発電機86及び再生熱交換器(熱交換器)85を備えており、圧縮機84とタービン83と発電機86は、一体回転可能に同軸に連結されている。圧縮機84は、取り込んだ空気5を圧縮する。燃焼器81は、圧縮機84から排出され再生熱交換器85、第2流量調整弁18、及び酸化性ガス排出ライン305を通して供給された圧縮空気と、SOFC10の空気極113から排出され酸化性ガス排出ライン305及び遮断弁13を通して供給された排空気(排酸化性ガス)と、SOFC10の燃料極109から排出され燃料極燃料原料ガス排出ライン303及び流量調整弁15を通して供給された排燃料原料ガスと、ガスタービン用燃料原料ガス供給ライン309及び流量調整弁62を通して供給されたバイオガス20または流量調整弁63を通して供給された都市ガス30とを混合して燃焼する。酸化性ガス排出ライン305には、燃焼器81の近傍に燃焼器入口空気温度T0を測定する燃焼器入口温度センサ14が設けられている。タービン83は、燃焼器81から供給された排ガス(燃焼ガス)が断熱膨張することにより回転する。発電機86は、タービン83と同軸上に設けられており、タービン83が回転駆動することで発電する。タービン83の近傍には、排ガス温度を測定するタービン入口温度センサ82が設けられている。再生熱交換器85は、タービン83から排出された排ガスと圧縮機84から排出された圧縮空気との間で熱交換を行う。圧縮空気との熱交換で冷却された排ガスは、煙突90を通して外部に放出される。
燃焼器81には、ガスタービン用燃料原料ガス供給ライン309を通して起動用燃料が供給される。本実施形態においてMGT80の起動用燃料はバイオガス20と都市ガス30である。ガスタービン用燃料原料ガス供給ライン309は、バイオガス20を供給するガスタービン用メタン濃度変動ガス供給ライン(以下、ガスタービン用バイオガス供給ラインという。)307と、都市ガス30を供給するガスタービン用所定燃料ガス供給ライン(以下、ガスタービン用都市ガス供給ラインという。)308が合流したラインである。ガスタービン用バイオガス供給ライン307は、後述するメタン濃度変動ガス供給ライン(以下、バイオガス供給ラインという。)310から分岐し、バイオガス20の流れ方向に沿って上流側から順に遮断弁52及びバイオガス20の供給量を調整可能な流量調整弁62が設けられている。ガスタービン用都市ガス供給ライン308は、後述する所定燃料ガス供給ライン(以下、都市ガス供給ラインという。)311から分岐し、都市ガス30の流れ方向に沿って上流側から順に遮断弁53及び都市ガス30の供給量を調整可能な流量調整弁63が設けられている。
図1に示されるSOFC10は、詳細については後述するが、図5及び図6に示されるように圧力容器205内に空気極113と固体電解質111と燃料極109とが収容されて構成される。空気極113には、図1で示されるように圧縮機84で圧縮された一部の圧縮空気が酸化性ガスとして空気極酸化性ガス供給ライン306を通して供給され、燃料極109には、例えば都市ガスやバイオガスなどの発電反応に寄与する燃料原料ガスが燃料極燃料原料ガス供給ライン301を通して供給されることで発電を行う。また、SOFC10は発電室215及び発電室215の発電室温度T1を計測する発電室温度センサ11を備えている。
SOFC10にて用いられる酸化性ガスは、酸素を略15%乃至30%含むガスであり、代表的には空気が好適であるが、空気以外にも燃焼排ガスと空気の混合ガスや、酸素と空気の混合ガスなどが使用可能である。
SOFC10には空気極酸化性ガス供給ライン306が連結され、圧縮機84が圧縮した一部の圧縮空気が空気極113の導入部に供給される。この空気極酸化性ガス供給ライン306には、圧縮空気の流れ方向に沿って上流側から順に後述する熱交換器バイパスライン313への分岐点、再生熱交換器85、後述する燃料電池バイパスライン312への分岐点、圧縮空気の供給量を調整可能な流量調整弁17、熱交換器バイパスライン313との合流点及び後述する空気極燃料原料ガス供給ライン302との合流点が設けられている。また、再生熱交換器85の上流側分岐点から流量調整弁17の下流側合流点へ再生熱交換器85をバイパスするラインである熱交換器バイパスライン313が設けられており、このライン上には圧縮空気のバイパス量を調整可能な第1流量調整弁16が設けられている。燃料電池バイパスライン312は、再生熱交換器85から排出された圧縮空気の一部をSOFC10をバイパスして燃焼器81に供給するラインであり、圧縮空気の供給量を調整可能な第2流量調整弁18が設けられている。
SOFC10には、空気極113で用いられた排空気(排酸化性ガス)を排出する酸化性ガス排出ライン305が連結されている。この酸化性ガス排出ライン305は、燃焼器81の導入部に連結されており、空気極113で用いられた排空気を燃焼器81へ供給する。酸化性ガス排出ライン305には、排空気の流れ方向に沿って上流側から順に遮断弁13、燃料電池バイパスライン312の合流点、及び燃焼器入口温度センサ14が設けられている。
また、SOFC10には、燃料極109の導入部にSOFC10に燃料原料ガスを供給する燃料極燃料原料ガス供給ライン301が連結されている。燃料極燃料原料ガス供給ライン301は、バイオガス20を供給するバイオガス供給ライン310と、都市ガス30を供給する都市ガス供給ライン311が合流したラインである。バイオガス供給ライン310には、バイオガス20の流れ方向に沿って上流側から順に濃度計21、ガスタービン用バイオガス供給ライン307との分岐点及び遮断弁22が設けられている。濃度計21は、バイオガス20中のメタン濃度の濃度計測を行う。都市ガス供給ライン311には、都市ガス30の流れ方向に沿って上流側から順に空気極燃料原料ガス供給ライン302への分岐点、ガスタービン用都市ガス供給ライン308への分岐点及び遮断弁35が設けられている。また、燃料極燃料原料ガス供給ライン301には、燃料原料ガスの流れ方向に沿って上流側から順に脱硫器23、空気極燃料原料ガス供給ライン302への分岐点、流量調整弁24、及び後述する再循環ライン304との合流点が設けられている。
SOFCには、燃料極109で用いられた排燃料原料ガスを排出する燃料極燃料原料ガス排出ライン303が連結されている。この燃料極燃料原料ガス排出ライン303は、燃焼器81の導入部に連結されており、燃料極109で用いられた排燃料原料ガスを燃焼器81へ供給する。燃料極燃料原料ガス排出ライン303には、排燃料原料ガスの流れ方向に沿って上流側から順にブロア12、再循環ライン304への分岐点、排燃料原料ガスの供給量を調整可能な流量調整弁15が設けられている。再循環ライン304は、燃料極燃料原料ガス排出ライン303から燃料極燃料原料ガス供給ライン301へと連結している。燃料極109から排出された排燃料原料ガスを燃料極109へ再循環させることで、排燃料原料ガスに含まれる未反応分の燃料原料ガスを再利用すると共に、内部改質時の原料となる水を供給し、さらには排燃料原料ガスの顕熱は燃料極109へ供給される燃料原料ガスの昇温に用いられる。再循環ライン304には、燃料原料ガスの内部改質に利用する原料の水が不足する場合に、純水相当の上水40を系外から供給する改質用水供給ライン314が合流している。改質用水供給ライン314には、上水40の流れ方向に沿って上流側から順に改質用水供給装置41及びブロア42が設けられている。
また、空気極燃料原料ガス供給ライン302は、都市ガス供給ライン311から分岐し、空気極酸化性ガス供給ライン306に合流する。空気極燃料原料ガス供給ライン302には、都市ガス及び燃料原料ガスの流れ方向に沿って上流側から順に遮断弁31、脱硫器32、燃料極燃料原料ガス供給ライン301からの合流点、及び都市ガス30またはバイオガス20の供給量を調整可能な流量調整弁34が設けられている。燃料極燃料原料ガス供給ライン301と空気極燃料原料ガス供給ライン302とを連結するライン上には、遮断弁33が設けられている。
制御装置70は、例えば、濃度計21及び各温度センサ11、14、82の計測値等に基づき、各遮断弁及び各流量調整弁の制御を行う。
制御装置70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
次に、本実施形態における複合発電システムの制御装置における補正制御について図2を用いて説明する。
図2には、本実施形態に係る複合発電システムの制御装置における補正制御のフローチャートが示されている。
制御装置70に対し、外部(図示せず)から複合発電システム1に対する電流負荷指令が指示される(ステップS201)。
制御装置70は、電流負荷指令に対応する必要なメタン(CH4)流量を計算する(ステップS202)。制御装置70は、予めメタン流量を電流負荷の一次関数で設定している。
また、メタン濃度が100%(すなわち二酸化炭素濃度が0%)の場合における、再循環ライン304の再循環流量Frを計算する(ステップS203)。制御装置70は、再循環流量Frについても予め電流負荷の一次関数で設定している。
上述した各関数は、実機によるデータ取得、モデル、シミュレーションなどを用いて設定されるが、その手段は問わない。
次に、稼働中の複合発電システム1におけるバイオガス20の組成を計測する(ステップS204)。
バイオガス20は、一般的にその組成においてメタン濃度が約60体積%、二酸化炭素濃度が約40体積%とされており、約±10体積%の範囲でそれぞれ変動する。すなわち、バイオガス20のメタン濃度を計測することにより、同時に二酸化炭素濃度も計測できることになる。
バイオガス20の組成は、メタン濃度を計測する濃度計21により計測する。また、二酸化炭素濃度は「100−(メタン濃度)(体積%)」で表される。
次に、計測されたメタン濃度に基づき、SOFC10に供給される燃料原料ガスであるバイオガス20の供給流量を決定する(ステップS205)。ステップS202で計算された必要メタン流量、及び計測されたメタン濃度とから、制御装置70によってバイオガス20の供給流量が決定される。制御装置70は、決定されたバイオガス20の供給流量に基づき、流量調整弁24等の制御を行う。
また、バイオガス20を用いた際の排燃料原料ガスからの再循環流量Frを第1補正係数である二酸化酸素濃度により補正する(ステップS206)。制御装置70は、第1補正係数をバイオガス組成(本実施形態の場合、二酸化炭素濃度)の一次関数で設定している。関数は、実機によるデータ取得、モデル、シミュレーションなどを用いて設定されるが、その手段は問わない。
具体的には、バイオガス20を用いた際の排燃料原料ガスの再循環流量Frに対し、二酸化炭素濃度に応じた第1補正係数(第1補正係数≧1)をかけ合わせることにより、二酸化炭素濃度により補正された再循環流量Frが導出される。
図3には、本実施形態に係る複合発電システムの制御装置における第1補正係数と二酸化炭素濃度との関係がグラフに示されている。
同図において、縦軸は第1補正係数、横軸は二酸化炭素濃度である。
図3に示されるように、第1補正係数はバイオガス組成の二酸化炭素濃度の一次関数で設定されており、二酸化炭素の濃度に応じてその値が設定される。本実施形態では、バイオガス20の二酸化炭素濃度が0%であるもの(ステップS203)が、80体積%へと増加した際に、再循環流量Frは、例えば、1.1倍に設定されることを示している。
制御装置70は、補正された再循環流量Frに基づき、燃料極燃料原料ガス排出ライン303上に設けられたブロア12の回転数を制御し、補正された再循環流量Frを供給させる。
また、再循環流量Frの供給流量の制御については、再循環ライン304上に流量計を設置し、計測される再循環ガスの流量に基づき制御を行うとしてもよい。
ここで、本実施形態に係るSOFC10について、以下に説明する。
以下においては、説明の便宜上、紙面を基準として「上」及び「下」の表現を用いて各構成要素の位置関係を特定するが、鉛直方向に対して必ずしもこの限りである必要はない。例えば、紙面における上方向が鉛直方向における下方向に対応してもよい。また、紙面における上下方向が鉛直方向に直行する水平方向に対応してもよい。
また、以下においては、SOFC10のセルスタックとして円筒形を例として説明するが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。
まず、図5を参照して本実施形態に係る円筒形セルスタックについて説明する。ここで、図5は、本実施形態に係るセルスタックの一態様を示すものである。セルスタック101は、円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを備える。燃料電池セル105は、燃料極109と固体電解質111と空気極113とが積層して形成されている。また、セルスタック101は、基体管103の外周面に形成された複数の燃料電池セル105の内、基体管103の軸方向において最も端の一端に形成された燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されたリード膜115を備え、最も端の他端に形成された燃料電池セル105の燃料極109に電気的に接続されたリード膜(不図示)を備える。
基体管103は、多孔質材料からなり、例えば、CaO安定化ZrO(CSZ)、CSZと酸化ニッケル(NiO)との混合物(CSZ+NiO)、又はY安定化ZrO2(YSZ)、又はMgAlなどを主成分とされる。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持すると共に、基体管103の内周面に供給される燃料を基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料極109に拡散させるものである。
燃料極109は、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で構成され、例えば、Ni/YSZが用いられる。燃料極109の厚さは50〜250μmである。この場合、燃料極109は、燃料極109の成分であるNiが燃料原料ガスに対して触媒作用を備える(触媒燃焼)。この触媒作用(触媒燃焼)は、基体管103を介して供給された燃料原料ガス、例えば、メタン(CH)と水蒸気との混合ガスを反応させ、水素(H)と一酸化炭素(CO)に改質するものである。また、燃料極109は、改質により得られる水素(H)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111を介して供給される酸素イオン(O2−)とを固体電解質111との界面付近において電気化学的に反応させて水(HO)及び二酸化炭素(CO)を生成するものである。なお、燃料電池セル105は、この時、酸素イオンから放出される電子によって発電する。
燃料原料ガスがセルスタック101に供給されると、前述した改質反応により吸熱反応が起こる。これにより、燃料原料ガスを増加させると発電室温度T1は低下する。
SOFC10の燃料極109に供給し利用できる燃料原料ガスとしては、水素(H)および一酸化炭素(CO)、メタン(CH)などの炭化水素系ガス、都市ガス、天然ガスのほか、石油、メタノール、石炭ガス化ガスなどの炭素質原料をガス化設備により製造したガスなどが挙げられる。
固体電解質111は、ガスを通しにくい気密性と、高温で高い酸素イオン導電性とを備えるYSZが主として用いられる。この固体電解質111は、空気極113で生成される酸素イオン(O2−)を燃料極109に移動させるものである。燃料極109の表面上に位置する固体電解質111の膜厚は10〜100μmである。
空気極113は、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で構成される。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される空気等の酸化性ガス中の酸素を解離させて酸素イオン(O2−)を生成するものである。空気極113は2層構成とすることもできる。この場合、固体電解質111側の空気極層(空気極中間層)は高いイオン導電性を示し、触媒活性に優れる材料で構成される。空気極中間層上の空気極層(空気極導電層)は、Sr及びCaドープLaMnOで表されるペロブスカイト型酸化物で構成されても良い。こうすることにより、発電性能をより向上させることができる。
インターコネクタ107は、SrTiO系などのM1−xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物から構成される。インターコネクタ107は、燃料原料ガスと酸化性ガスとが混合しないように緻密な膜となっていて、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した耐久性と電気導電性を備える。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極109とを電気的に接続し、隣り合う燃料電池セル105同士を直列に接続するものである。リード膜115は、電子伝導性を備えること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で構成されている。このリード膜115は、インターコネクタ107により直列に接続される複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出すものである。
次に、図6と図7とを参照して本実施形態に係るSOFCモジュール及びSOFCカートリッジについて説明する。ここで、図6は、本実施形態に係るSOFCモジュールの一態様を示すものである。また、図7は、本実施形態に係るSOFCカートリッジの一態様の断面図を示すものである。
SOFCモジュール201は、図6に示すように、例えば、複数のSOFCカートリッジ203と、これら複数のSOFCカートリッジ203を収納する圧力容器205とを備える。
なお、図6には円筒形のSOFCのセルスタックを例示しているが、必ずしもこの限りである必要はなく、例えば平板形のセルスタックであってもよい。
また、SOFCモジュール201は、燃料原料ガス供給管207と複数の燃料原料ガス供給枝管207a及び燃料原料ガス排出管209と複数の燃料原料ガス排出枝管209aとを備える。更にSOFCモジュール201は、酸化性ガス供給管(不図示)と酸化性ガス供給枝管(不図示)及び酸化性ガス排出管(不図示)と複数の酸化性ガス排出枝管(不図示)とを備える。
燃料原料ガス供給管207は、圧力容器205の外部に設けられ、SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の燃料原料ガスを供給する燃料原料ガス供給部に接続されると共に、複数の燃料原料ガス供給枝管207aに接続されている。この燃料原料ガス供給管207は、上述の燃料原料ガス供給部から供給される所定流量の燃料原料ガスを、複数の燃料原料ガス供給枝管207aに分岐して導くものである。また、燃料原料ガス供給枝管207aは、燃料原料ガス供給管207に接続されると共に、複数のSOFCカートリッジ203に接続されている。この燃料原料ガス供給枝管207aは、燃料原料ガス供給管207から供給される燃料原料ガスを複数のSOFCカートリッジ203に略均等の流量で導き、複数のSOFCカートリッジ203の発電性能を略均一化させるものである。
燃料原料ガス排出枝管209aは、複数のSOFCカートリッジ203に接続されると共に、燃料原料ガス排出管209に接続されている。この燃料原料ガス排出枝管209aは、SOFCカートリッジ203から排出される排燃料原料ガスを燃料原料ガス排出管209に導くものである。また、燃料原料ガス排出管209は、複数の燃料原料ガス排出枝管209aに接続されると共に、一部が圧力容器205の外部に配置されている。この燃料原料ガス排出管209は、燃料原料ガス排出枝管209aから略均等の流量で導出される排燃料原料ガスを圧力容器205の外部に導くものである。
圧力容器205は、内部の圧力が0.1MPa〜約1MPa、内部の温度が大気温度〜約550℃で運用されるので、耐力性と酸化性ガス中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性を保有する材質が利用される。例えばSUS304などのステンレス系材が好適である。
ここで、本実施形態においては、複数のSOFCカートリッジ203が集合化されて圧力容器205に収納される態様について説明しているが、これに限られず例えば、SOFCカートリッジ203が集合化されずに圧力容器205内に収納される態様とすることもできる。
SOFCカートリッジ203は、図7に示す通り、複数のセルスタック101と、発電室215と、燃料原料ガス供給室217と、燃料原料ガス排出室219と、酸化性ガス供給室221と、酸化性ガス排出室223とを備える。更にSOFCカートリッジ203は、上部管板225aと、下部管板225bと、上部断熱体227aと、下部断熱体227bとを備える。なお、本実施形態においては、SOFCカートリッジ203は、燃料原料ガス供給室217と燃料原料ガス排出室219と酸化性ガス供給室221と酸化性ガス排出室223とが図7のように配置されることで、燃料原料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れる構造となっているが、必ずしもこの必要はなく、例えば、セルスタックの内側と外側とを平行して流れる、または酸化性ガスがセルスタックの長手方向と直交する方向へ流れるようにしても良い。
発電室215は、上部断熱体227aと下部断熱体227bとの間に形成された領域である。この発電室215は、セルスタック101の燃料電池セル105が配置された領域であり、燃料原料ガスと酸化性ガスとを電気化学的に反応させて発電を行う領域である。また、この発電室215のセルスタック101長手軸方向の中央部付近での温度は、温度センサ11などで監視され、SOFCモジュール201の定常運転時に、およそ700℃〜1000℃の高温雰囲気となる。
燃料原料ガス供給室217は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの上部に設けられた燃料原料ガス供給孔231aによって、燃料原料ガス供給枝管207aと連通されている。複数のセルスタック101は、上部管板225aとシール部材237aにより接合されており、燃料原料ガス供給室217は、燃料原料ガス供給枝管207aから燃料原料ガス供給孔231aを介して供給される燃料を、複数のセルスタック101の基体管103の内部に略均一流量で導き、複数のセルスタック101の発電性能を略均一化させる。
燃料原料ガス排出室219は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bとに囲まれた領域であり、下部ケーシング229bに備えられた燃料原料ガス排出孔231bによって、燃料原料ガス排出枝管209aと連通されている。複数のセルスタック101は、下部管板225bとシール部材237bにより接合されており、燃料原料ガス排出室219は、複数のセルスタック101の基体管103の内部を通過して燃料原料ガス排出室219に供給される排燃料原料ガスを集約して、燃料原料ガス排出孔231bを介して燃料原料ガス排出枝管209aに導くことができる。
SOFCモジュール201の発電量に対応して所定ガス組成と所定流量の酸化性ガスを酸化性ガス供給枝管へと分岐して、複数のSOFCカートリッジ203へ供給する。酸化性ガス供給室221は、SOFCカートリッジ203の下部ケーシング229bと下部管板225bと下部断熱体227bとに囲まれた領域であり、り、下部ケーシング229bの側面に設けられた酸化性ガス供給孔233aによって、図示しない酸化性ガス供給枝管と連通されている。この酸化性ガス供給室221は、図示しない酸化性ガス供給枝管から酸化性ガス供給孔233aを介して供給される所定流量の酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを介して発電室215に略均一流量で導くことができる。
酸化性ガス排出室223は、SOFCカートリッジ203の上部ケーシング229aと上部管板225aと上部断熱体227aとに囲まれた領域であり、上部ケーシング229aの側面に設けられた酸化性ガス排出孔233bによって、図示しない酸化性ガス排出枝管と連通されている。この酸化性ガス排出室223は、発電室215から、酸化性ガス排出隙間235bを介して酸化性ガス排出室223に供給される排空気を、酸化性ガス排出孔233bを介して図示しない酸化性ガス排出枝管に導くことができる。
上部管板225aは、上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとの間に、上部管板225aと上部ケーシング229aの天板と上部断熱体227aとが略平行になるように、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また上部管板225aは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この上部管板225aは、複数のセルスタック101の一方の端部をシール部材及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料原料ガス供給室217と酸化性ガス排出室223とを隔離するものである。
下部管板225bは、下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとの間に、下部管板225bと下部ケーシング229bの底板と下部断熱体227bとが略平行になるように下部ケーシング229bの側板に固定されている。また下部管板225bは、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応した複数の孔を有し、該孔にはセルスタック101が夫々挿入されている。この下部管板225bは、複数のセルスタック101の他方の端部をシール部材及び接着部材のいずれか一方又は両方を介して気密に支持すると共に、燃料原料ガス排出室219と酸化性ガス供給室221とを隔離するものである。
上部断熱体227aは、上部ケーシング229aの下端部に、上部断熱体227aと上部ケーシング229aの天板と上部管板225aとが略平行になるように配置され、上部ケーシング229aの側板に固定されている。また、上部断熱体227aには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。上部断熱体227aは、この孔の内面と、上部断熱体227aに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス排出隙間235bを備える。
この上部断熱体227aは、発電室215と酸化性ガス排出室223とを仕切るものであり、上部管板225aの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。上部管板225a等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、上部管板225a等が発電室215内の高温に晒されて上部管板225a等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、上部断熱体227aは、発電室215を通過して高温に晒された排酸化性ガスを、酸化性ガス排出隙間235bを通過させて酸化性ガス排出室223に導くものである。
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料原料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、排酸化性ガスは、基体管103の内部を通って発電室215に供給される燃料原料ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る上部管板225a等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて酸化性ガス排出室223に供給される。また、燃料原料ガスは、発電室215から排出される排酸化性ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温された燃料原料ガスを発電室215に供給することができる。
下部断熱体227bは、下部ケーシング229bの上端部に、下部断熱体227bと下部ケーシング229bの底板と下部管板225bとが略平行になるように配置され、下部ケーシング229bの側板に固定されている。また、下部断熱体227bには、SOFCカートリッジ203に備えられるセルスタック101の本数に対応して、複数の孔が設けられている。この孔の直径はセルスタック101の外径よりも大きく設定されている。下部断熱体227bは、この孔の内面と、下部断熱体227bに挿通されたセルスタック101の外面との間に形成された酸化性ガス供給隙間235aを備える。
この下部断熱体227bは、発電室215と酸化性ガス供給室221とを仕切るものであり、下部管板225bの周囲の雰囲気が高温化し強度低下や酸化性ガス中に含まれる酸化剤による腐食が増加することを抑制する。下部管板225b等はインコネルなどの高温耐久性のある金属材料から成るが、下部管板225b等が高温に晒されて下部管板225b等内の温度差が大きくなることで熱変形することを防ぐものである。また、下部断熱体227bは、酸化性ガス供給室221に供給される酸化性ガスを、酸化性ガス供給隙間235aを通過させて発電室215に導くものである。
本実施形態によれば、上述したSOFCカートリッジ203の構造により、燃料原料ガスと酸化性ガスとがセルスタック101の内側と外側とを対向して流れるものとなっている。このことにより、基体管103の内部を通って発電室215を通過した排燃料原料ガスは、発電室215に供給される酸化性ガスとの間で熱交換がなされ、金属材料から成る下部管板225b等が座屈などの変形をしない温度に冷却されて燃料原料ガス排出室219に供給される。また、酸化性ガスは排燃料原料ガスとの熱交換により昇温され、発電室215に供給される。その結果、ヒーター等を用いることなく発電に必要な温度に昇温された酸化性ガスを発電室215に供給することができる。
発電室215で発電された直流電力は、複数の燃料電池セル105に設けたNi/YSZ等からなるリード膜115によりセルスタック101の端部付近まで導出した後に、SOFCカートリッジ203の集電棒(不図示)に集電板(不図示)を介して集電して、各SOFCカートリッジ203の外部へと取り出される。前記集電棒によってSOFCカートリッジ203の外部に導出された直流電力は、各SOFCカートリッジ203の発電電力を所定の直列数および並列数へと相互に接続され、SOFCモジュール201の外部へと導出されて、図示しないパワーコンディショナ等の電力変換装置(インバータなど)により所定の交流電力へと変換されて、電力供給先(例えば、負荷設備や電力系統)へと供給される。
以上、説明してきたように、本実施形態に係る複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
燃料原料ガスを再循環するSOFC10において、燃料極109に供給されるバイオガス20の二酸化炭素濃度もしくはメタン濃度に応じてあらかじめ設定した第1補正係数を用いて再循環ライン304へ排燃料原料ガスの少なくとも一部を再循環させた再循環ガスの供給流量を制御する。これにより、燃料原料ガスであるバイオガス20のメタン濃度が変化しても、再循環量を調整することで二酸化炭素濃度上昇時においても再循環ガス中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧の低下によるS/C(スチームカーボン比)の低下を防ぎ、S/Cを安定させ、複合発電システム1を安定稼働することができる。
本実施形態のSOFC10は燃料極側の排燃料原料ガスを再循環し内部改質しているため、バイオガス20中のメタン濃度が変化すると、再循環ガスの組成が変化する。これにより、S/Cが変化することとなる。
またバイオガス20中の二酸化炭素濃度が上がると、バイオガス20中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるためS/Cが低下するとともにSOFC10の起電力が下がる。これにより、SOFC10の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室215の温度が上がることとなる。
そこで、再循環流量を増やすことでS/Cの変動を低減し、SOFC10の起電力を維持することで電圧低下を防ぎ、SOFC10の発電室215の温度上昇を抑制する。これにより、SOFC10の出力を維持し、SOFC10の安定稼働を継続することができる。
また本実施形態によれば、燃料極燃料原料ガス排出ライン303に設けられたブロア12の回転数によって再循環ライン304への排燃料原料ガスの供給流量を制御することから、燃料原料ガスであるバイオガス20のメタン濃度が変化しても、再循環流量を調整し二酸化炭素濃度上昇時の再循環ガス中の水蒸気分圧の低下によるS/Cの低下を防ぎ、S/Cを安定させ、複合発電システム1を安定稼働することができる。例えばS/Cが3.0〜5.0、好ましくは3.5〜5.0となるよう再循環流量が調整される。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図1及び図4を用いて説明する。
上記した第1実施形態では、再循環ガスの供給流量を補正制御するとしたが、本実施形態では、酸化性ガスの供給流量または温度を補正制御するものである。その他の点については第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一符号を付しその説明は省略する。
図4には、本実施形態に係る複合発電システムの制御装置における補正制御のフローチャートが示されている。
制御装置70に対し、外部(図示せず)から複合発電システム1に対する電流負荷指令が指示される(ステップS401)。
制御装置70は、電流負荷指令に対応する必要なメタン(CH4)流量を計算する(ステップS402)。制御装置70は、予めメタン流量を電流負荷の一次関数で設定している。
また、メタン濃度が100%(すなわち二酸化炭素濃度が0%)の場合における、SOFC10の空気極113の入口の温度であるSOFC入口空気温度Tsの設定値を計算する(ステップS403)。制御装置70は、SOFC入口空気温度Tsの設定値についても予め電流負荷の一次関数で設定している。
上述した各関数は、実機によるデータ取得、モデル、シミュレーションなどを用いて設定されるが、その手段は問わない。
次に、稼働中の複合発電システム1におけるバイオガス20の組成を計測する(ステップS404)。
バイオガス20の組成は、メタン濃度を計測する濃度計21により計測する。また、二酸化炭素濃度は「100−(メタン濃度)(体積%)」で表される。
次に、計測されたメタン濃度に基づき、SOFC10に供給される燃料原料ガスであるバイオガス20の供給流量を決定する(ステップS405)。ステップS402で計算された必要メタン流量、及び計測されたメタン濃度とから、制御装置70によってバイオガス20の供給流量が決定される。制御装置70は、決定されたバイオガス20の供給流量に基づき、流量調整弁24等の制御を行う。
また、SOFC入口空気温度Tsの設定値を第2補正係数である二酸化酸素濃度により補正する(ステップS406)。制御装置70は、第2補正係数をバイオガス組成(本実施形態の場合、二酸化炭素濃度)の一次関数で設定している。関数は、実機によるデータ取得、モデル、シミュレーションなどを用いて設定されるが、その手段は問わない。
具体的には、SOFC入口空気温度Tsの設定値に対し、二酸化炭素濃度に応じた第2補正係数(第2補正係数≦1)をかけ合わせることにより、二酸化炭素濃度により補正されたSOFC入口空気温度Tsの設定値が導出される。
制御装置70は、補正されたSOFC入口空気温度Tsの設定値に基づき、熱交換器バイパスライン313上に設けられた第1流量調整弁16の開度を制御する。具体的には第1流量調整弁16の開度を開方向に調整することで、再生熱交換器85によって熱エネルギーを与えられていない低温の圧縮空気をSOFC10に供給することで、SOFC入口空気温度Tsを下げる。
また、SOFC入口空気温度Tsの制御については、燃料電池バイパスライン312上に設けられた第2流量調整弁18の開度の制御により実施するとしてもよい。この場合は、第2流量調整弁18の開度を閉方向に調整することで、SOFC10をバイパスしていた圧縮空気をSOFC10に供給することで、SOFC10に供給される酸化性ガスの総供給流量が増えることにより、SOFC入口空気温度Tsを下げる。また、第1流量調整弁16を開とし、第2流量調整弁18の開度を開方向に調整してもよい。SOFC10をバイパスする圧縮空気を増やすことで、SOFC10へ供給される酸化性ガスのうち、再生熱交換器85によって熱エネルギーを与えられていない低温の圧縮空気の割合を増やし、SOFC入口空気温度Tsを下げる。
以上、説明してきたように、本実施形態に係る複合発電システムの制御装置、複合発電システム、複合発電システムの制御方法および複合発電システムの制御プログラムによれば、以下の作用効果を奏する。
燃料極109に供給される燃料原料ガスの二酸化炭素濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて酸化性ガスの供給流量または温度を制御する。
例えばバイオガス20中の二酸化炭素濃度が上がると、バイオガス20中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでSOFC10の起電力が下がる。これにより、SOFC10の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室215の温度が上がることとなる。
例えばSOFC10の発電室215の温度上昇を防止する場合は、空気極113に供給される酸化性ガスの供給流量を増やす又は温度を下げる制御を行う。酸化性ガスの供給流量が増えることで、熱伝達により発電室215の温度を下げることができる。また、酸化性ガスの温度を下げることで、発電室215の温度を下げることができる。
また本実施形態によれば、熱交換器バイパスライン313に設けられた第1流量調整弁16を開方向に調整する。
バイオガス20中の二酸化炭素濃度が上がると、バイオガス20中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでSOFC10の起電力が下がる。これにより、SOFC10の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室215の温度が上がることとなる。SOFC10の発電室215の温度上昇を防止するために、再生熱交換器85をバイパスして温度上昇していない圧縮空気をSOFC10の空気極113へ供給する。よって、SOFC10の温度上昇が抑制され、SOFC10の出力を維持することができる。
また本実施形態によれば、燃料電池バイパスライン312に設けられた第2流量調整弁18を調整する。
バイオガス20中の二酸化炭素濃度が上がると、バイオガス20中のメタン濃度が低下して反応により生成される水蒸気分圧が下がるのでSOFC10の起電力が下がる。これにより、SOFC10の電圧が下がりその分の電圧が電気変換のロスとして熱となり発電室215の温度が上がることとなる。SOFC10の発電室215の温度上昇を防止するために、SOFC10をバイパスしていた酸化性ガスの供給を停止し、空気極113への酸化性ガスの供給流量を増加させる。よって、熱伝達によりSOFC10の温度上昇が抑制され、SOFC10の出力を維持することができる。また、SOFC10へ供給される酸化性ガスのうち、再生熱交換器85によって熱エネルギーを与えられていない低温の圧縮空気の割合を増やして、SOFC10の発電室215の温度上昇を抑制してもよい。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更なども含まれる。
たとえば、上述した各実施形態においては燃料ガスとして都市ガスを用いるとしたが、LPG等の予め発熱量が略一定に調整された他の燃料ガスを用いるとしてもよい。
また、上述した各実施形態においては各補正係数はバイオガス20の二酸化炭素濃度に応じた値であるとしたが、バイオガス20のメタン濃度に応じた値としてもよい。
また、上述した各実施形態の制御装置は、SOFC、ガスタービン及び蒸気タービンを組み合わせたトリプルコンバインドサイクル(Triple Combined Cycle:登録商標)に適用するとしてもよい。
また、濃度計21は、メタン濃度を計測するとしたが、二酸化炭素濃度を計測するものであってもよい。この場合、メタン濃度は、「100−(二酸化炭素濃度)(体積%)」で表される。
1 複合発電システム
10 SOFC(固体酸化物形燃料電池、燃料電池)
11 発電室温度センサ
14 燃焼器入口温度センサ
20 バイオガス(メタン濃度変動ガス)
21 濃度計
30 都市ガス(所定燃料ガス)
40 上水
70 制御装置
80 MGT(ガスタービン)
81 燃焼器
83 タービン
84 圧縮機
85 再生熱交換器(熱交換器)
86 発電機
90 煙突
109 燃料極
113 空気極
215 発電室
301 燃料極燃料原料ガス供給ライン
302 空気極燃料原料ガス供給ライン
303 燃料極燃料原料ガス排出ライン
304 再循環ライン
305 酸化性ガス排出ライン
306 空気極酸化性ガス供給ライン
307 ガスタービン用バイオガス供給ライン(ガスタービン用メタン濃度変動ガス供給ライン)
308 ガスタービン用都市ガス供給ライン(ガスタービン用所定燃料ガス供給ライン)
309 ガスタービン用燃料原料ガス供給ライン
310 バイオガス供給ライン(メタン濃度変動ガス供給ライン)
311 都市ガス供給ライン(所定燃料ガス供給ライン)
312 燃料電池バイパスライン
313 熱交換器バイパスライン
314 改質用水供給ライン

Claims (11)

  1. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスの少なくとも一部を再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    を備えた複合発電システムの制御装置であって、
    前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて前記再循環ラインへの供給流量を制御する複合発電システムの制御装置。
  2. 前記燃料電池は、前記燃料極から排出される前記排燃料原料ガスを前記ガスタービンへ供給する燃料極燃料原料ガス排出ラインを備え、
    前記燃料極燃料原料ガス排出ラインに設けられたブロアの回転数によって前記再循環ラインへの前記排燃料原料ガスの供給流量を制御する請求項1に記載の複合発電システムの制御装置。
  3. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスの少なくとも一部を再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    を備えた複合発電システムの制御装置であって、
    前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて前記空気極に供給される前記酸化性ガスの供給流量または温度を制御する複合発電システムの制御装置。
  4. 前記ガスタービンは、熱交換により前記酸化性ガスに熱エネルギーを与える熱交換器を備え、
    前記ガスタービンから排出される前記酸化性ガスが前記熱交換器をバイパスする熱交換器バイパスラインと、該熱交換器バイパスラインに設けられた第1流量調整弁と、を備え、
    前記第1流量調整弁を調整することによって前記酸化性ガスの温度を制御する請求項3に記載の複合発電システムの制御装置。
  5. 前記ガスタービンから排出される前記酸化性ガスが前記燃料電池をバイパスして前記ガスタービンの燃焼器へ供給される燃料電池バイパスラインと、該燃料電池バイパスラインに設けられた第2流量調整弁と、を備え、
    前記第2流量調整弁を調整することによって前記酸化性ガスの供給流量を制御する請求項3に記載の複合発電システムの制御装置。
  6. 前記燃料電池は、固体酸化物形燃料電池である請求項1から請求項5のいずれかに記載の複合発電システムの制御装置。
  7. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    請求項1から請求項6のいずれかに記載の制御装置と
    を備えた複合発電システム。
  8. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    を備えた複合発電システムの制御方法であって、
    前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて前記再循環ラインへの供給流量を制御する複合発電システムの制御方法。
  9. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    を備えた複合発電システムの制御方法であって、
    前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて前記酸化性ガスの供給流量または温度を制御する複合発電システムの制御方法。
  10. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    を備えた複合発電システムの制御プログラムであって、
    前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第1補正係数を用いて前記再循環ラインへの供給流量を制御する複合発電システムの制御プログラム。
  11. 燃料原料ガスが供給される燃料極と酸化性ガスが供給される空気極と前記燃料極から排出される排燃料原料ガスを再循環させる再循環ラインとを備え、運転中にメタン濃度が変動するメタン濃度変動ガスを前記燃料原料ガスとする燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される前記排燃料原料ガスを用いて運転されるガスタービンと、
    前記メタン濃度変動ガス中の二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度の少なくとも一方を測定する濃度計と、
    を備えた複合発電システムの制御プログラムであって、
    前記燃料極に供給される前記燃料原料ガスの前記二酸化炭素濃度もしくは前記メタン濃度に応じて予め設定した第2補正係数を用いて前記酸化性ガスの供給流量または温度を制御する複合発電システムの制御プログラム。
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