JP7348523B2 - スラグ成形体およびスラグ成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明の一実施形態に係るスラグ成形体について、図面などを参照して詳細に説明する。なお、以下の記載は発明の趣旨をよりよく理解させるものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上B以下」を意味する。
本発明の一実施形態に係るスラグ成形体は、製鋼スラグと、炭素材料と、バインダーと、を含む。上述のスラグ成形体は、脱臭性と、吸湿性および放湿性(以降、「調湿性」と称する)とを有する。
製鋼スラグは、製鋼工程において発生するスラグであり、例えば、転炉スラグ、予備処理スラグ、二次精錬スラグおよび電気炉スラグなどである。
炭素材料は、スラグ成形体の脱臭性および調湿性を向上させる成分である。炭素材料は、特に限定されないが、木炭、竹炭およびコークスの少なくともいずれか1種類以上であることが好ましく、竹炭であることがより好ましい。炭素材料として、木炭、竹炭およびコークスの少なくともいずれか1種類以上を用いることにより、炭素材料に形成される細孔の作用によって、上述のスラグ成形体が効果的に脱臭性および調湿性を発揮できる。また、竹炭は、木炭およびコークスと比較して、内部構造が複雑で表面積が非常に大きい。このため、炭素材料として竹炭を用いるスラグ成形体は、一層効果的に脱臭性および調湿性を発揮できる。なお、炭素材料は、単独で用いてもよく、複数の炭素材料を組み合わせて用いてもよい。
バインダーは、製鋼スラグおよび炭素材料を、ペレットまたはブリケットなどの扱いやすいスラグ成形体に成形しやすくする成分である。バインダーは、一般に無機系のバインダー(以降、「無機バインダー」と称する)と、有機系のバインダー(以降、「有機バインダー」と称する)とに大別される。本発明の一実施形態に係るスラグ成形体は、有機バインダーを用いることが好ましい。有機バインダーを用いることにより、無機バインダーを用いる場合に比べバインダーの使用量を低減した場合であっても、十分な強度を有するスラグ成形体が得られる。
本発明の一実施形態に係るスラグ成形体の脱臭性の評価方法について、図1を参照して説明する。
本発明の一実施形態に係るスラグ成形体の調湿性は、JIS A1470-1に準じて評価できる。スラグ成形体の調湿性を評価する方法の一例を図2に示す。
スラグ成形体の圧潰強度は、特に限定されないが、乾燥時における圧潰強度が0.40kN以上であることが好ましく、0.45kN以上であることがより好ましい。スラグ成形体の乾燥時における圧潰強度が0.40kN以上であることにより、輸送時、貯蔵時または取扱い時にスラグ成形体が崩壊して粉化することを抑制でき、扱いやすいスラグ成形体が得られる。
本発明の一実施形態に係るスラグ成形体の製造方法について、図3を参照して説明する。図3の<混練>は、混練機10による混練工程の一例を示す。また、図3の<造粒>は、造粒機20による造粒工程の一例を示す。混練工程および造粒工程については後述する。混練機10は、円筒形の容器11内に製鋼スラグと、炭素材料と、バインダーと、水とを加え、容器11中央の回転軸に接続されたマラー12を回転させることにより、混練物を作製する装置である。造粒機20は、混練物をブリケットなどのスラグ成形体2に成形するブリケットマシンである。
混練工程では、製鋼スラグと、平均粒子径が1mm以下かつBET比表面積が30m2/g以上の炭素材料と、バインダーとを、炭素材料の含有量が、製鋼スラグおよび炭素材料の合計質量に対して40質量%以下となるように混練する。それにより、脱臭性および調湿性を備える脱臭剤および調質剤として用いることができるスラグ成形体が得られる。さらに、このようなスラグ成形体は、リン、カルシウムおよび鉄など植物の育成にとって必要となる元素を植物に供給する、施肥剤としても用いることができる。例えば、スラグ成形体をプランターなどの土中に層状に堆積させることにより、調湿性を有する施肥剤としてスラグ成形体を用いてよい。またスラグ成形体をプランターなどの土の表面に配置することにより、水に植物の育成にとって必要となる元素を溶け出させる、施肥剤としてスラグ成形体を用いてもよい。
造粒工程は、混練物を塊成物に成形する。混練物を塊成物に成形する方法は、混練物を所望の形状に成形できれば特に限定されず、例えばブリケットマシンまたはパンペレタイザーなどを用いることができる。
本発明の一実施形態に係るスラグ成形体の製造方法は、さらに、混練工程の前に製鋼スラグを粉砕する工程を含んでよい。製鋼スラグを混練前に粉砕することにより、混練工程に要する時間を短縮できる。また、製鋼スラグを混練前に粉砕することで、製鋼スラグの粒子径を均一にすることが容易となり、これにより混練物の均一性を向上できる。
本発明の一実施形態に係るスラグ成形体は、脱臭性および調湿性を兼ね備えた、製鋼スラグと、炭素材料と、バインダーとの混合物である。また、前記スラグ成形体は、植物などの栄養源となるため、施肥剤としても活用できる。さらに、前記スラグ成形体は、保管時、輸送時およびハンドリング時などに崩壊しにくく、扱いやすい。
(原料)
本発明の実施例1に係るスラグ成形体は、製鋼スラグとして、平均粒子径が1.5mm以下となるように粉砕した製鋼スラグを用い、炭素材料として、平均粒子径が1mm以下の竹炭を用い、バインダーとして、パルプ廃液を用いた。製鋼スラグおよび炭素材料の合計を100質量%とした場合、製鋼スラグは90質量%となるように添加し、炭素材料は10質量%となるように添加した。
スラグ成形体は、製鋼スラグ、炭素材料、バインダーおよび水を加え、混練機(MGS-0L、新東工業株式会社製)を用いて混練することにより混練物を作製した。作製した混練物は、ブリケットマシン(BGS-1V、新東工業株式会社製)を用いてポケットサイズが28×26×6.5mmの大きさの、マセック型のブリケットに成形することによりスラグ成形体を製造した。
本発明の実施例2に係るスラグ成形体は、製鋼スラグおよび炭素材料の合計を100質量%とした場合、製鋼スラグは80質量%となるように添加し、炭素材料は20質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。本発明の実施例3に係るスラグ成形体は、平均粒子径が0.1mm以下である炭素材料を用いたこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
比較例1に係るスラグ成形体は、炭素材料を用いないこと以外は、実施例1と同様にして製造した。比較例2では、平均粒子径が20mm程度の製鋼スラグをスラグ成形体の代替として用いた(換言すれば、製鋼スラグを粉砕、混練および造粒せず単独で使用した)。
(脱臭性の評価)
まず、デシケータに実施例1~3および比較例1、4に係るスラグ成形体または比較例2に係る製鋼スラグ(以降、「スラグ成形体など」と称する)を入れ、減圧した。悪臭物質としてメチルメルカプタンを用い、空気にメチルメルカプタンを15vol ppm含むメチルメルカプタンガスを作製した。作製したメチルメルカプタンガスを、デシケータ内が略常圧になるまで、デシケータに導入した。メチルメルカプタンガスをデシケータに導入してから1分、10分、20分、30分、60分、90分および120分経過後に、それぞれデシケータ中の気体を採取し、GC/FPDでメチルメルカプタンのガス濃度を分析した。
まず、恒温恒湿槽にスラグ成形体などを入れ、相対湿度53%でスラグ成形体などが恒量となるまで保持した。そして、恒量となったスラグ成形体などの質量を測定した。なお、スラグ成形体などの質量は、電子上皿天秤により測定した。
圧潰強度は、JIS M 8718:2008に準拠して測定した。スラグ成形体の圧潰強度の値は、105℃で12時間以上乾燥させたスラグ成形体を10個測定した平均の値である。
図4に実施例1~3および比較例1、2、4の脱臭性を評価した結果を示す。図5に実施例1~3および比較例1、2、4の吸湿性を評価した結果を示す。表2に実施例1~3および比較例1、3~5の圧潰強度を測定した結果を示す。
Claims (4)
- 製鋼スラグと、平均粒子径が1mm以下かつBET(Brunnauer-Emmett-Teller)比表面積が30m2/g以上の炭素材料と、バインダーと、を含み、
前記炭素材料の含有量は、前記製鋼スラグおよび前記炭素材料の合計質量に対して5質量%以上40質量%以下であり、
前記バインダーは有機バインダーを含んでおり、
前記有機バインダーは、パルプ廃液、糖蜜、澱粉およびデキストリンの少なくともいずれか1種類以上を含み、
前記有機バインダーの含有量は、前記製鋼スラグおよび前記炭素材料の合計質量に対して10質量%以上20質量%以下である、スラグ成形体。 - 前記炭素材料は木炭、竹炭およびコークスの少なくともいずれか1種類以上を含む、請求項1に記載のスラグ成形体。
- 乾燥時における圧潰強度が0.40kN以上である、請求項1または2に記載のスラグ成形体。
- 製鋼スラグと、平均粒子径が1mm以下かつBET(Brunnauer-Emmett-Teller)比表面積が30m2/g以上の炭素材料と、バインダーと、を前記炭素材料の含有量が前記製鋼スラグおよび前記炭素材料の合計質量に対して5質量%以上40質量%以下となるように混練することにより混練物を作製する混練工程と、
前記混練物を塊成物に成形する造粒工程と、を含み、
前記バインダーは有機バインダーを含んでおり、
前記有機バインダーは、パルプ廃液、糖蜜、澱粉およびデキストリンの少なくともいずれか1種類以上を含み、
前記有機バインダーの含有量は、前記製鋼スラグおよび前記炭素材料の合計質量に対して10質量%以上20質量%以下である、スラグ成形体の製造方法。
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