JP7345727B2 - ハードコート用樹脂組成物とその利用 - Google Patents
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Description
これによって、タックフリー性と硬化後の透明性とを高いレベルで両立させることができる。
これによって、硬化前のタックフリー性と、成形時の延伸性と、硬化後の耐擦過性とを高いレベルで両立させることができる。
これによって、硬化後の耐衝撃性や耐擦傷性を向上させることができる。
これによって、硬化後の光拡散性(HAZE)を低下させ、透明性に優れたハードコートを形成できる。
エネルギー硬化性樹脂と無機微粒子との比率を上述の範囲に調節することによって、硬化前のタックフリー性を高いレベルに維持すると共に、硬化後に好適な透明性を確保することができる。さらに、本態様によると、成形後のハードコート層のクラック抑制にも貢献することができる。
これにより、硬化後のハードコートの耐衝撃性や耐擦傷性をさらに好適に向上させることができる。
ここに開示される技術は、光硬化型のハードコート用樹脂組成物と、熱硬化型のハードコート用樹脂組成物の何れにも適用できる。光硬化型のハードコート用樹脂組成物を調製する場合には光重合開始剤を添加することが好ましく、熱硬化型のハードコート用樹脂組成物を調製する場合には熱重合開始剤を添加することが好ましい。
これにより、成形前のハードコート用樹脂組成物の硬化を抑制し、成形時の延伸性の低下を防止することができる。
本実施形態に係るハードコート用樹脂組成物は、樹脂基材の表面にハードコートを形成する際に使用される。このハードコート用樹脂組成物は、(1)無機微粒子と、(2)エネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有する。以下、ここに開示されるハードコート用樹脂組成物の成分について説明する。
無機微粒子は、硬化時の体積減少によるクラックの発生を抑制するために添加される。また、無機微粒子は、硬化後のハードコートの耐衝撃性や耐擦傷性を向上させる機能も有している。本実施形態に係るハードコート用樹脂組成物は、この無機微粒子として、少なくともシリカ(SIO2)粒子を含む。図1は、本実施形態に係るハードコート用樹脂組成物に含まれるシリカ粒子を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施形態において使用されるシリカ粒子は、複数の球状粒子12と、当該複数の球状粒子12を連結する連結部14とを有する連結シリカ粒子10である。かかる連結シリカ粒子10における連結部14による連結は、規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。一例として、図1に示す連結シリカ粒子10は、複数の球状粒子12が連結部14によって不規則に連結された樹枝状の連結シリカ粒子である。連結シリカ粒子の他の例として、連結部によって複数の球状粒子が直線的に連結された線状の連結シリカ粒子が挙げられる。なお、連結部14に連結される球状粒子12は、真球形である必要はなく、ラグビーボールのような楕円球形であってもよいし、多面体や鱗片形などであってもよい。また、特に限定されないが、連結部14の太さは、球状粒子12の直径と同程度であってもよい。なお、球状粒子12は、その全てが連結部14を介して連結されている必要はなく、図1に示すように、連結部14を介さずに球状粒子12同士が直接連結している部分が存在していてもよい。なお、球状粒子12の球相当径(直径)は、例えば、5nm~20nm程度である。
データ取り込み回数 :100
反復回数 :50
粒子径基準 :散乱光強度
試料屈折率 :1.500~0.000i
分散媒屈折率 :1.378
分散媒粘度 :2.54(mPa・s)
測定温度 :23.3(23.2~23.4)(℃)
温度センサ :液センサ
散乱光強度(Static) :4.58
散乱光強度(Dynamic):8.67
ゲイン :HIGH
演算モード :標準
超音波動作 :なし
本実施形態に係るハードコート用樹脂組成物は、連結シリカ粒子以外の無機微粒子(ここでは、便宜上「他の無機微粒子」という)を含んでいてもよい。この他の無機微粒子としては、球形シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アンチモン(Sb2O3、Sb2O5等)、及びこれらの複合微粒子等が挙げられる。
上記した通り、本実施形態に係るハードコート用樹脂組成物は、エネルギー硬化性樹脂を含む。本明細書における「エネルギー硬化性樹脂」は、典型的には液状であり、光(典型的には紫外線)や熱などのエネルギーを加えられた際に重合(又は架橋)する官能基を有する有機化合物を指す。かかる重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。エネルギー硬化性樹脂は、上述した重合性官能基を有する有機化合物であれば、特に限定されず、従来公知の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂を特に制限なく使用することができる。かかるエネルギー硬化性樹脂の具体例として、上述の重合性官能基(典型的には、ビニル基または(メタ)アクリロイル基)を分子内に複数含む多官能モノマー、多官能オリゴマー、多官能ポリマー等が挙げられる。これらのエネルギー硬化性樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。例えば、多官能(メタ)アクリレートモノマーと、多官能(メタ)アクリレートポリマーを混合したものをエネルギー硬化性樹脂として用いることによって、容易に硬化するハードコート用樹脂組成物を得ることができる。
ここに開示されるハードコート用樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲において、従来公知の添加剤を特に制限なく添加することができる。かかる添加剤の一例として、重合開始剤、重合禁止剤、防汚剤、消泡剤、滑剤、紫外線吸収剤、安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電剤などが挙げられる。
以上、本発明の一実施形態に係るハードコート用樹脂組成物について説明した。次に、かかるハードコート用樹脂組成物を用いて樹脂成形体を製造する方法を説明する。この製造方法は、(1)未硬化層形成工程と、(2)成形工程と、(3)硬化工程とを備えている。
本工程では、本実施形態に係るハードコート用樹脂組成物を樹脂基材の表面に付与して未硬化層を形成する。樹脂基材は、ハードコート層が形成され得る樹脂製の部材であれば特に限定されない。かかる樹脂基材の一例として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂基材が挙げられる。また、ハードコート用樹脂組成物を付与する手段も特に限定されず、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート、フローコート、キャップコート、ナイフコート、ダイコート、ロールコート、グラビアコート法、スクリーン印刷、刷毛塗り等の従来公知の手段を採用できる。また、ハードコート用樹脂組成物を付与する前の樹脂基材に対して種々の表面処理(例えば、コロナ放電、プラズマ処理など)を行ってもよい。これによって、ハードコートと樹脂基材との密着性を向上させることができる。
本工程では、未硬化基材を所望の形状に成形する。本工程における成形手段は、特に限定されず、折り曲げ成形などの一般的な手段を採用できる。このとき、本実施形態に係る未硬化基材100は、未硬化層40が硬化していないため、大きな湾曲面や凹凸を有する複雑な形状に成形する場合でも、クラックなどを生じさせることなく容易に成形することができる。さらに、この未硬化基材100は、未硬化層40が優れたタックフリー性を有しているため、成形時に異物や指紋が付着して品質が低下することを防止できる。
本工程では、成形後の未硬化基材100に硬化処理を施して未硬化層40を硬化させる。本工程における硬化処理は、エネルギー硬化性樹脂を硬化させることができれば、特に限定されない。かかる硬化処理の一例として、光硬化処理と熱硬化処理が挙げられる。光硬化処理を行う場合には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線などの光を未硬化層40に照射する。これによって、エネルギー硬化性樹脂が光重合し、未硬化層40が硬化することによって、樹脂基材20の表面にハードコートが形成される。一方、熱硬化処理を行う場合には、未硬化基材100に熱処理を加える。このときの加熱温度は、樹脂基材20と未硬化層40の溶融温度のうち、低い方の温度よりも10℃~50℃低い温度に設定することが好ましい。これによって、樹脂基材20やハードコートに熱劣化が生じることを抑制した上で、ハードコート用樹脂組成物を適切に硬化させることができる。なお、ハードコート用樹脂組成物の重合開始温度は、熱重合開始剤の種類によって調節することができる。なお、未硬化層形成工程における乾燥処理で未硬化層40の硬化が開始して延伸性が低下する可能性や、熱硬化処理において樹脂基材20が熱劣化する可能性等を考慮すると、本工程においては光硬化処理を採用した方が好ましい。
以下、本発明に関する試験例を説明するが、かかる試験例は本発明を限定することを意図したものではない。
本試験では、10種類のハードコート用樹脂組成物を準備し、各々のハードコート用樹脂組成物の硬化前のタックフリー性について評価した。
(1)サンプル1
サンプル1では、連結シリカ粒子を無機微粒子として含むハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、エネルギー硬化性樹脂として、59gの多官能ウレタンアクリレートモノマー(共栄社化学株式会社製、型式:UA-306H、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)と、228gのアクリロイル基付与ポリマー(共栄社化学株式会社製、型式:SMP-220A、溶剤:メチルイソブチルケトン、樹脂成分:50wt%)とを室温にて攪拌混合したものを使用した。そして、連結シリカ粒子の含有量が20wt%の連結シリカ分散液(日産化学工業株式会社製、型式:MEK-ST-UP、溶媒:メチルエチルケトン)をエネルギー硬化性樹脂に添加した。このとき、188.2gの連結シリカ粒子が含まれるように、上述の連結シリカ粒子分散液の添加量を941gに調節した。なお、この連結シリカ分散液に含まれる連結シリカ粒子のBET平均粒子径は、9nm~15nmである。また、本サンプルでは、エネルギー硬化性樹脂と無機微粒子以外の添加物として、10gの光ラジカル重合開始剤(IGM Resins B.V.社製、オムニラッド184)と、2gのフッ素系防汚剤(信越化学工業社製、X-71-1203M)を添加した。
サンプル2では、連結シリカ粒子と球形アルミナ粒子の混合物を無機微粒子として含むハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、サンプル1と同様の組成のエネルギー硬化性樹脂に、連結シリカ含有量が20wt%の連結シリカ分散液(日産化学工業株式会社製、型式:IPA-ST-UP、溶媒:イソプロパノール)と、球状アルミナ粒子の含有量が30wt%の球形アルミナ分散液(CIKナノテック株式会社製、ALMIBK30WT%-M47、溶媒:メチルイソブチルケトン)とを添加した。このとき、48.2gの連結シリカ粒子が含まれるように、連結シリカ分散液の添加量を321gに調節すると共に、140gの球状アルミナ粒子が添加されるように球形アルミナ分散液の添加量を467gに調節した。なお、本サンプルで使用した球状アルミナ粒子の平均一次粒子径は、10nmである。また、サンプル2では、ラジカル重合禁止剤(キシダ化学株式会社製、メチルハイドロキノン)も添加した。なお、上述の条件を除いてサンプル1と同じ条件に設定した。
サンプル3では、エネルギー硬化性樹脂の組成と、球状アルミナ粒子の平均一次粒子径を異ならせた点を除いてサンプル2と同じ条件のハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、エネルギー硬化性樹脂として、59gの多官能ウレタンアクリレートモノマー(共栄社化学株式会社製、型式:UA-510H、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)と、228gのアクリロイル基付与ポリマー(共栄社化学株式会社製、型式:SMP-220A)とを攪拌混合したものを使用した。さらに、平均一次粒子径が15nmの球状アルミナ粒子を含む球形アルミナ分散液(CIKナノテック株式会社製、ALMIBK30WT%-H06、溶媒:メチルイソブチルケトン、Al2O3含有量:30wt%)を使用した。
サンプル4では、エネルギー硬化性樹脂の組成と、無機微粒子(連結シリカ粒子、球状アルミナ粒子)を分散させる分散液を異ならせた点を除いて、サンプル2と同じ条件のハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、エネルギー硬化性樹脂として、59gの多官能ウレタンアクリレートモノマー(共栄社化学株式会社製、型式:UA-306H、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)と、228gのアクリロイル基付与ポリマー(共栄社化学株式会社製、型式:SMP-250A、溶剤:メチルイソブチルケトン、樹脂成分:50wt%)とを混合したものを使用した。そして、このエネルギー硬化性樹脂に、連結シリカ分散液(日産化学工業株式会社製、型式:PGM-ST-UP、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル、連結シリカ含有量:20wt%)と、平均一次粒子径が10nmの球状アルミナ粒子の分散液(CIKナノテック株式会社製、ALPGM30WT%-H23、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル、Al2O3含有量:30wt%)とを添加した。
サンプル5では、無機微粒子(連結シリカ粒子、球状アルミナ粒子)を分散させる分散液を異ならせた点を除いて、サンプル2と同じ条件のハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、サンプル2と同様のエネルギー硬化性樹脂に、連結シリカ分散液(日産化学工業株式会社製、型式:MA-ST-UP、溶媒:メタノール、シリカ含有量:20wt%)と、平均一次粒子径が15nmの球状アルミナ粒子の分散液(CIKナノテック株式会社製、ALPGM30WT%-H27、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル、Al2O3含有量:30wt%)とを添加した。
サンプル6では、エネルギー硬化性樹脂の組成を異ならせた点を除いて、サンプル2と同じ条件のハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、サンプル6では、173gの多官能のウレタンアクリレートモノマー(共栄社化学株式会社製、型式:UA-306H、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー)のみをエネルギー硬化性樹脂として使用した。
サンプル7では、エネルギー硬化性樹脂の組成を異ならせた点を除いて、サンプル2と同じ条件のハードコート用樹脂組成物を調製した。サンプル7では、59gの多官能ウレタンアクリレートモノマー(根上工業株式会社製、型式:UN-3320HA)と、228gのアクリロイル基付与ポリマー(共栄社化学株式会社製、型式:SMP-220A、溶剤:メチルイソブチルケトン、樹脂成分:50wt%)とを混合したものをエネルギー硬化性樹脂として使用した。
サンプル8では、重合禁止剤を添加しなかったことを除き、サンプル2と同じ条件でハードコート用樹脂組成物を調製した。
サンプル9では、連結シリカ粒子を含まない無機微粒子を使用した点を除いて、サンプル2と同じ条件に設定した。具体的には、サンプル9では、無機微粒子として、サンプル2と同様の球状アルミナ粒子を含むアルミナ分散液(CIKナノテック株式会社製、ALMIBK30WT%-M47、溶媒:メチルイソブチルケトン)を使用した。なお、本サンプルでは、固形分(アルミナ粒子の含有量)が188.2gになるように、当該アルミナ分散液の添加量を調節した。
サンプル10では、連結シリカ粒子を球形シリカ粒子に変更した点を除き、サンプル2と同じ条件でハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、球形シリカ含有量が30wt%の球形シリカ分散液(日産化学工業株式会社製、型式:MIBK-ST、溶媒:メチルイソブチルケトン)と、球状アルミナ粒子(平均一次粒子径:10nm)の含有量が30wt%の球形アルミナ分散液(CIKナノテック株式会社製、ALMIBK30WT%-M47、溶媒:メチルイソブチルケトン)とをエネルギー硬化性樹脂に添加した。
上記サンプル1~10のハードコート用樹脂組成物を、厚さ3mmの透明なPMMA基材(旭化成テクノプラス株式会社製、デラグラス)の表面にバーコーターを用いて塗工した後、乾燥処理(80℃、5分間)を行うことによって未硬化基材を作製した。そして、未硬化基材の塗工面(未硬化層)を指先で触れて、塗工面に指先の跡が付くか否かを観察することによって、タックフリー性を評価した。本試験では、未硬化層の表面に触れた跡が全くつかないものを「優」、実用上問題ない程度の僅かな跡がつくものを「良」、触れた跡がつくものを「可」、未硬化樹脂層の表面に触れた跡がつき、かつ、指先に樹脂材料が付着したものを「不可」と評価した。評価結果を表1に示す。
本試験では、上述の第1の試験において、優れたタックフリー性が確認されたサンプル1~8の延伸性を評価した。
厚さ3mmの透明なPMMA基材の表面に10mm間隔で格子状の線を引き、当該PMMA基材の表面にサンプル1~8のハードコート用樹脂組成物を塗工した。そして、乾燥処理(80℃、5分間)を行うことによって試験用未硬化基材を作製した。
オーブンで試験用未硬化基材を加熱(140℃、30分間)し、PMMA基材を軟化させた後、加熱した金属柱に押し付けることによって山型に成形した。そして、成形後の基材に空気雰囲気化で紫外線(900mJ/cm2)を照射して未硬化層を硬化させた。そして、PMMA基材の表面に描いていた格子状の線のうち、最も間隔が広くなった部分を測定し、成形前の間隔(10mm)に対する成形後の間隔の比率(%)を計算し、これを延伸率とした。評価結果を表2に示す。
本試験では、アルミナ粒子とシリカ粒子との混合比を変えたサンプル11、12を加え、硬化後のハードコートに関する種々の性能について評価した。
アルミナ粒子とシリカ粒子との混合比を変更したことを除いて、サンプル2と同じ条件でサンプル11、12のハードコート用樹脂組成物を調製した。そして、上述した第2の試験と同じ手順に沿って、未硬化基材の作製、成形、未硬化層の硬化を行い、試験用のハードコート付基材を得た。
(1)鉛筆硬度試験
ハードコート付基材のハードコート付与面に対して、JIS-K-5600に従った鉛筆硬度試験を実施した。具体的には、円筒状の芯が5~6mm分露出するように鉛筆の木部分を削り取った後、研磨紙で芯の先端を平坦にし、芯がハードコートに対して45±1°の角度をなすように鉛筆を試験器に固定した。そして、鉛筆の芯をハードコートに接触させて、750±10gの荷重の維持しながら、試験器を7mm以上移動させた(移動速度:0.5~1mm/s)。本評価では、この試験を、3mm以上の傷跡が生じるまで鉛筆の芯の硬度を上げて繰り返し実施し、傷跡が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度とした。なお、鉛筆の芯は、下記の順で硬度が高くなるものを使用した。
(柔かい)6B・5B・4B・3B・2B・B・HB・F・H・2H・3H・4H・5H・6H(硬い)
ハードコート付基材のハードコート付与面をスチールウールで擦り、ハードコート表面に生じた傷を観察した。具体的には、#0000スチールウール(ボンスター販売株式会社製、ボンスター)を試験器に取り付け、1.5kg/cm2の荷重を掛けながら、ハードコートの表面をストローク長10cm、1往復/秒の条件で100往復させた。そして、最も多くの傷が形成された領域(5mm角)における傷の本数を目視で計測し、下記の評価基準に基づいて評価した。
傷なし :A
傷はないが曇りがある :AB
傷が1~5本 :B
傷が6~10本 :C
傷が11~15本 :D
傷が16~20本 :E
傷が21本以上 :F
ハードコート付基材のHAZE値をJIS K7105に基づいて測定し、透明性を評価した。なお、上記HAZE値は、値が小さくなるほど透明性が高いことを示す。
本試験では、上述のサンプル1~12と異なり、熱硬化性のハードコート用樹脂組成物を調製した。具体的には、光ラジカル重合開始剤の代わりに、熱ラジカル重合開始剤(キシダ化学株式会社製、アゾビスイソブチロニトリル)を使用したことを除いて、サンプル1と同じ組成でハードコート用樹脂組成物(サンプル13)を調製した。そして、このサンプル13について、第1の試験と同様の条件で、未硬化基材を作製してタックフリー性を評価した。サンプル1、13のタックフリー性の評価結果を表4に示す。
12 球状粒子
14 連結部
20 樹脂基材
40 未硬化層
100 未硬化基材
Claims (12)
- 無機微粒子とエネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有し、
前記無機微粒子は、少なくともシリカ粒子を含み、
前記シリカ粒子は、複数の球状粒子と、当該複数の球状粒子を連結する連結部とを有する連結シリカ粒子を含み、
前記無機微粒子の総量を100wt%としたときの前記連結シリカ粒子の含有量が15wt%以上50wt%以下である、ハードコート用樹脂組成物。 - 無機微粒子とエネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有し、
前記無機微粒子は、少なくともシリカ粒子を含み、
前記シリカ粒子は、複数の球状粒子と、当該複数の球状粒子を連結する連結部とを有する連結シリカ粒子を含み、
前記無機微粒子は、アルミナ粒子をさらに含む、ハードコート用樹脂組成物。 - 前記アルミナ粒子は、球状のアルミナ粒子である、請求項2に記載のハードコート用樹脂組成物。
- 無機微粒子とエネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有し、
前記無機微粒子は、少なくともシリカ粒子を含み、
前記シリカ粒子は、複数の球状粒子と、当該複数の球状粒子を連結する連結部とを有する連結シリカ粒子を含み、
重合禁止剤を含有する、ハードコート用樹脂組成物。 - 前記連結シリカ粒子は、BET法に基づく比表面積から算出される平均粒子径が5nm以上20nm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のハードコート用樹脂組成物。
- 前記エネルギー硬化性樹脂の含有量を100wt%としたときの前記無機微粒子の含有量が80wt%以上140wt%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のハードコート用樹脂組成物。
- 前記エネルギー硬化性樹脂は、ビニル基または(メタ)アクリロイル基を分子内に複数含む多官能モノマーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のハードコート用樹脂組成物。
- 光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のハードコート用樹脂組成物。
- 樹脂基材と、前記樹脂基材の表面に付与された未硬化層とを備えた未硬化基材であって、
前記未硬化層は、
無機微粒子とエネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有し、
前記無機微粒子は、少なくともシリカ粒子を含み、
前記シリカ粒子は、複数の球状粒子と、当該複数の球状粒子を連結する連結部とを有する連結シリカ粒子を含み、
前記無機微粒子の総量を100wt%としたときの前記連結シリカ粒子の含有量が15wt%以上50wt%以下である、未硬化基材。 - 樹脂基材と、前記樹脂基材の表面に付与された未硬化層とを備えた未硬化基材であって、
前記未硬化層は、
無機微粒子とエネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有し、
前記無機微粒子は、少なくともシリカ粒子を含み、
前記シリカ粒子は、複数の球状粒子と、当該複数の球状粒子を連結する連結部とを有する連結シリカ粒子を含み、
前記無機微粒子は、アルミナ粒子をさらに含む、未硬化基材。 - 樹脂基材と、前記樹脂基材の表面に付与された未硬化層とを備えた未硬化基材であって、
前記未硬化層は、
無機微粒子とエネルギー硬化性樹脂とを少なくとも含有し、
前記無機微粒子は、少なくともシリカ粒子を含み、
前記シリカ粒子は、複数の球状粒子と、当該複数の球状粒子を連結する連結部とを有する連結シリカ粒子を含み、
重合禁止剤を含有する、未硬化基材。 - 請求項1~8のいずれか一項に記載のハードコート用樹脂組成物を樹脂基材の表面に付与して未硬化層を形成することによって未硬化基材を作製する工程と、
前記未硬化基材を所望の形状に成形する工程と、
前記未硬化層を硬化させる工程と
を備える、ハードコート付樹脂基材の製造方法。
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