以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る燃料電池システム10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池システム10は、大きく分けて、燃料電池ユニット12と、熱源機ユニットの一例である給湯ユニット14との2ユニットで構成されている。なお、燃料電池ユニット12は、後述する貯湯タンク48を収容する貯湯タンクユニットを別体としてもよく、この場合、3ユニットで構成される。
燃料電池ユニット12は、燃料ガス及び水を用いて発電を行う。また、貯湯タンク48を備え、発電により生じた熱を熱交換で回収する伝熱媒体としての水を貯湯タンク48に蓄える。給湯ユニット14は、燃料電池ユニット12で加熱された上水を目的の温度まで加熱して供給する。なお、貯湯タンク48には、一例として、開放式のタンクを用いているが、加圧式のタンクを用いてもよい。
燃料電池ユニット12は、発電を行う燃料電池の一例である燃料電池モジュール20を備えている。燃料電池モジュール20は、ガス供給路21を介して、ガス継手22に接続されており、ガス継手22には、ガス供給管24が接続されている。ガス供給管24は、後述する給湯ユニット14のバーナ150へ向かう流路と燃料電池モジュール20へ向かう流路とに分岐されている。当該分岐を分岐部24Aと称する。
ガス供給管24は、ガス本管(図示省略)に接続されており、ガス供給管24には、炭化水素原料の一例であるメタンを主成分とする都市ガスが供給される。ガス供給路21には、脱硫部26が設けられており、都市ガスに含まれた硫黄分や硫黄化合物が脱硫部26で除去されて燃料電池モジュール20に供給される。
また、燃料電池モジュール20は、供給ポンプ28を有する改質水流入路30を介して貯留槽32に接続されており、燃料電池モジュール20には、貯留槽32に貯留された改質水が供給ポンプ28で供給される。この燃料電池モジュール20には、空気ブロワ211が設けられた酸化ガス管212が接続されており、酸化ガス管212を介して、酸化ガス(外部の空気)が供給される。この燃料電池モジュール20は、都市ガスと改質水とを改質反応させて水素を生成する水素生成部(改質器)を備えている。
図2は、第1の実施形態に係る燃料電池モジュール20の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、燃料電池モジュール20は、筐体201の内部に、改質触媒202、バーナ203、及び燃料電池スタック205を主要な構成として備えている。
改質触媒202は、ガス供給路21と接続されている。この改質触媒202には、脱硫部26にて硫黄化合物が吸着除去された都市ガスがガス供給路21を通じて供給される。この改質触媒202は、供給された都市ガスを、改質水流入路30を通じて供給された改質水(凝縮水)を利用して水蒸気改質する改質器である。
バーナ203には、後述する排出路34が接続されている。このバーナ203は、スタック排ガス管207を通じて供給されたバーナガス(スタックから排出されるガス)を燃焼し、改質触媒202を加熱する。そして、この改質触媒202では、脱硫部26から供給された都市ガスから、水素ガスを含む燃料ガスが生成される。この燃料ガスは、燃料ガス管204を通じて後述する燃料電池スタック205の燃料極206に供給される。
燃料電池スタック205は、例えば、固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セル208(図2では1つのみ図示)を有している。各燃料電池セル208は、電解質層209と、この電解質層209の表裏面にそれぞれ積層された燃料極206と空気極210とを有している。
空気極210(カソード極)には、空気ブロワ211が設けられた酸化ガス管212を通じて酸化ガス(外部の空気)が供給される。この空気極210では、下記式(1)で示されるように、酸化ガス中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。この酸素イオンは、電解質層209を通って燃料極206に到達する。
(空気極反応)
1/2O2+2e- →O2- ・・・(1)
一方、燃料極206では、下記式(2)及び式(3)で示されるように、電解質層209を通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)及び二酸化炭素と、電子が生成される。燃料極206で生成された電子は、外部回路を通って空気極210に到達する。そして、このようにして電子が燃料極206から空気極210に移動することにより、各燃料電池セル208において発電される。また、各燃料電池セル208は、発電時に上記反応に伴って発熱する。
(燃料極反応)
H2 +O2- →H2O+2e- ・・・(2)
CO+O2- →CO2+2e- ・・・(3)
燃料電池スタック205に接続されたスタック排ガス管207の上流側は、燃料極排ガス管214及び空気極排ガス管215に分岐されており、この燃料極排ガス管214及び空気極排ガス管215は、燃料極206及び空気極210にそれぞれ接続されている。燃料極206から排出された燃料極排ガスと、空気極210から排出された空気極排ガスとは、燃料極排ガス管214及び空気極排ガス管215を通じて排出されると共に、スタック排ガス管207内にて混合されてスタック排ガスとされる。このスタック排ガスは、燃料極排ガスに含まれる未反応の水素ガスを含んでおり、上述の通り、バーナ203にバーナガスとして供給される。なお、このバーナ203に、バーナ排ガスを排気熱交換器36へ排出する排出路34が接続されている。
燃料電池モジュール20には、水素生成部での改質反応促進の為に利用した燃焼排ガスを排出する排出路34が接続されている。排出路34には、排気熱交換器36が設けられており、排気熱交換器36より下流側が貯留槽32に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、排気熱交換器36で後述する伝熱媒体50との熱交換により冷却され、含有されている水蒸気が凝縮される。これにより、燃焼排ガスは、水とガスとに分けられ、水は貯留槽32へ送られて改質水として再利用される。また、ガスは、排気口(図示省略)より排気される。
貯留槽32には、排水ポンプ100を有した排水路102が接続されており、排水路102は、排水継手102aに接続された排水管104を介して下水道に接続されている。排水ポンプ100は、貯留槽32の水が所定量以上になった際に作動し、貯留槽32内の水を、排水管104を介して下水道に排出する。
燃料電池モジュール20は、上述したように、水素生成部で生成した水素を利用して発電を行う燃料電池スタック205を備えている。燃料電池モジュール20の燃料電池スタック205で発電された電力は、インバータ回路38によって交流に変換された後、接続端子40aに接続された供給線92aを介して外部へ供給される。
排気熱交換器36には、伝熱媒体50を排気熱交換器36と貯湯タンク48との間で循環させる熱回収循環路42が接続されている。排気熱交換器36と貯湯タンク48とを接続する熱回収循環路42の一方の流路である第一流路42aには、熱回収ポンプ44及びラジエータ46が設けられている。この第一流路42aのラジエータ46より上流側は、貯湯タンク48に接続されている。貯湯タンク48には、伝熱媒体50が貯留されており、伝熱媒体50としては、一例として水が使用されている。貯湯タンク48の上部は大気開放されている。また、貯湯タンク48には、貯湯タンク内の上水の水位を計測する水位センサ52が設けられている。
この第一流路42aは、貯湯タンク48の下部に接続されており、貯湯タンク48の下部に貯留された伝熱媒体50が優先的に排気熱交換器36へ送られる。貯湯タンク48から熱回収循環路42の第一流路42aに供給された伝熱媒体50は、ラジエータ46で冷却された後、熱回収ポンプ44によって排気熱交換器36へ送られる。なお、ラジエータ46は、供給される伝熱媒体50が高温の際など必要に応じてファンモータが作動する。
貯湯タンク48から第一流路42aを介して排気熱交換器36へ送られた伝熱媒体50は、熱回収循環路42の他方の流路である第二流路42eを介して貯湯タンク48に戻される。第二流路42eは、貯湯タンク48の上部に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスの熱は、排気熱交換器36によって伝熱媒体50へ移動され、この熱で加熱された伝熱媒体50は、貯湯タンク48の上部に戻される。これにより、燃料電池モジュール20で発生した熱により貯湯タンク48内の伝熱媒体50が加熱される。
貯湯タンク48に貯留された伝熱媒体50は、熱回収循環路42と異なる熱供給循環路58を介して、燃料電池ユニット12に設けられた上水熱交換器54に供給される。これにより、貯湯タンク48の伝熱媒体50は、熱供給循環路58に設けられた上水熱交換器54を経て貯湯タンク48へ戻される。
熱供給循環路58の上水熱交換器54よりも上流側の第一流路58aには、熱供給ポンプ56が設けられている。熱供給ポンプ56は、貯湯タンク48の伝熱媒体50の熱を利用して上水等を加熱する際に作動する。
第一流路58aの上流端は、貯湯タンク48の上部に接続されており、貯湯タンク48の上部に貯留された伝熱媒体50が第一流路58aへ送出される。第一流路58aの下流端は、上水熱交換器54と接続され、貯湯タンク48の上部に貯留された伝熱媒体50が上水熱交換器54へ供給される。熱供給循環路58の下流側の第二流路58eは、貯湯タンク48の下部に接続されており、上水熱交換器54で熱が奪われた伝熱媒体50は、貯湯タンク48の下部側に戻される。
上水熱交換器54には、流入側分岐点60aを有する流入路60が接続されている。流入路60は、入側管継手62に接続されている。入側管継手62は、例えば水道管の給水管64に接続されており、流入路60には、上水が供給される。流入路60から分岐して貯留槽32へ上水を供給する上水供給路93には、補水弁94が設けられている。補水弁94を開動作することで、上水を貯留槽32に供給することができる。
上水熱交換器54には、流入路60からの上水が熱交換後に流出する流出路66が接続されている。流出路66には、流出側分岐点66aが設けられており、流出側分岐点66aには、補水弁68を有した補水路71が接続されている。補水路71は、熱供給循環路58の第一流路58aに接続されており、補水弁68を開作動することで、上水を伝熱媒体50として、上水熱交換器54の上流側から貯湯タンク48へ供給することができる。
流出路66の流出側分岐点66aの下流には、混合弁72が設けられている。混合弁72は、バイパス路74を介して流入側分岐点60aに接続されている。混合弁72は、流入路60からの上水と上水熱交換器54からの上水とを混合する弁であり、例えば流出温度が予め定められた設定温度となるように、流入路60からの上水と上水熱交換器54からの上水との混合比を調整する。
流出路66の混合弁72より下流側は、出側継手76に接続されており、出側継手76は、出湯管78を介して、給湯ユニット14の入水継手80に接続されている。また、燃料電池ユニット12の筐体には、操作用インターフェース(以下、「操作用I/F」という。)95が設けられている。操作用I/F95は、作業担当者が試運転、エラー確認等を行う際に使用する本体敷設の操作部である。
また、給湯ユニット14のガス継手82には、ガス供給管24が接続されており、給湯ユニット14のバーナ150には、ガス供給管24からの都市ガスが供給される。バーナ150の燃焼熱により、熱交換器154を通過する水が加熱される。
給湯ユニット14の給湯継手84には、給湯管86が接続されており、給湯管86は、お湯が利用される給湯箇所へ配索されている。そして、給湯ユニット14に接続された排水管88は、下水道に接続されている。
給湯ユニット14の入水継手80には、入水路152が接続されており、入水路152は、熱交換器154に接続されている。熱交換器154は、混合弁156を有する給湯路158を介して給湯継手84に接続されており、混合弁156は、バイパス路160を介して入水路152の入水側分岐点152aに接続されている。また、入水継手80と入水側分岐点152aとの間には、流量制御弁53が設けられている。
混合弁156は、入水路152からの上水と熱交換器154からの上水とを混合する弁であり、入水路152からの上水と熱交換器154からの上水との混合比を調整する。
なお、給湯ユニット14には、暖房用の暖房管や、ふろ追焚き用のふろ管などが配策されており、各々循環路を構成すると共に、熱交換器154での熱交換により循環路内の水が加熱される。これら暖房管、ふろ管については図示を省略している。
給湯ユニット14は、燃料電池ユニット12で加熱された上水、暖房管、ふろ管内を流れる水を必要に応じて加熱するバックアップ用の熱源機として機能する。
ガス供給管24の分岐部24Aよりも上流側には、マイコンメータ70が取り付けられている。マイコンメータ70は、供給するガスの流量を計測すると共に、ガスの供給における異常を監視する複数の機能を有している。主たる監視機能としては、異常流出監視機能、感震機能、圧力監視機能、及び長時間使用監視機能等がある。
燃料電池ユニット12には、コントローラとしての制御装置110が設けられている。制御装置110により、燃料電池システム10の動作が制御される。制御装置110は、燃料電池ユニット12及び給湯ユニット14の各々に設けられた各種電装部品の制御を行う。また、制御装置110には、リモコン装置51が接続されている。リモコン装置51は、ユーザからの操作入力を受け付けると共に、燃料電池システム10の状態情報、エラー情報等の各種の情報を表示する。
図3は、第1の実施形態に係る制御装置110の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る制御装置110は、CPU(Central Processing Unit)111と、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、入出力インターフェース(I/O)114と、記憶部115と、外部インターフェース(以下、「外部I/F」という。)116と、を備えている。
CPU111、ROM112、RAM113、及びI/O114は、バスを介して各々接続されている。I/O114には、記憶部115と、外部I/F116と、を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/O114を介して、CPU111と相互に通信可能とされる。
記憶部115としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部115には、燃料電池システム10の動作を制御するための制御プログラム115Aが記憶される。なお、この制御プログラム115Aは、ROM112に記憶されていてもよい。
制御プログラム115Aは、例えば、制御装置110に予めインストールされていてもよい。制御プログラム115Aは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布して、制御装置110に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
外部I/F116には、例えば、リモコン装置51、補水弁94、操作用I/F95、水位センサ52、流量制御弁53、及び補水弁68が接続されている。これらのリモコン装置51、補水弁94、操作用I/F95、水位センサ52、流量制御弁53、及び補水弁68は、外部I/F116を介して、CPU111と通信可能に接続される。
ところで、上述したように、燃料電池システム10では、施工時及びメンテナンス時にユーザにより水張りが行われるが、この水張り中に給湯が実施されると、給湯ラインの圧力損失が低いために、水張り流量が低下してしまう場合がある。この場合、一定時間(例えば、20分)以内で水張りが完了せずに水張りタイムアウトエラーの警告が出てしまう。
このため、本実施形態に係る制御装置110のCPU111は、記憶部115に記憶されている制御プログラム115AをRAM113に書き込んで実行することにより、図4に示す各部として機能する。
図4は、第1の実施形態に係る制御装置110の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係る制御装置110のCPU111は、計時部111A及び水張り制御部111Bとして機能する。なお、水張り制御部111Bは、制御部の一例である。
本実施形態に係る計時部111Aは、水張り開始からの経過時間をカウント(計測)する計時カウンタである。計時部111Aは、水張り開始から一定時間(例えば、20分)をカウントする。なお、この一定時間は、20分に限定されるものではなく、燃料電池システム10の仕様等に基づいて適切な値が設定される。この一定時間は、例えば、10分以上30分以内の範囲で設定される。
本実施形態に係る水張り制御部111Bは、燃料電池ユニット12の水張り対象部に対して、補水弁68及び補水弁94を開にして、水張りを行う。ここで、水張り対象部とは、燃料電池ユニット12において上水による水張りの対象とされる配管及びタンクを含む部分である。上述の図1の例の場合、水張り対象部には、貯留槽32、上水供給路93、改質水流入路30、熱回収循環路42、熱供給循環路58、流入路60、バイパス路74、貯湯タンク48、補水路71、及び流出路66が含まれる。なお、水張り対象部に含まれる配管及びタンクは、これらに限定されるものではなく、燃料電池システム10の構成に応じて各種の形態が適用され得る。
水張り制御部111Bは、通常の水張り動作において、水張りが一定時間(例えば、20分)以内に完了しない場合、水張りタイムアウトエラーの警告を行い、かつ、水張り動作を停止する制御を行う。警告先は、備え付けのリモコン装置51でもよいし、作業担当者の端末装置(図示省略、以下、「作業者端末」という。)でもよいし、リモコン装置51及び作業者端末の両方でもよい。警告先は、本体に配置された操作用I/F95でもよい。なお、水張りが完了したか否かの判定は、例えば、貯湯タンク48の水位が所定の水位に達しているか否かを、水位センサ52を用いて検知することで行う。
水張り制御部111Bは、水張り中に給湯が実施された場合に、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントを停止する制御を行う。但し、このとき、水張り動作は継続される。
次に、図5を参照して、第1の実施形態に係る制御装置110の作用について説明する。
図5は、第1の実施形態に係る制御プログラム115Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
燃料電池システム10の施工時又はメンテナンス時において、作業担当者による操作に従って、CPU111により記憶部115に記憶されている制御プログラム115Aが起動され、以下に示す各ステップが実行される。
図5のステップ300では、CPU111が、水張り開始の指示を受け付けたか否かを判定する。なお、水張り開始の指示は、リモコン装置51又は作業者端末から入力される。水張り開始の指示を受け付けたと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ301に移行し、水張り開始の指示を受け付けていないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ300で待機となる。
ステップ301では、CPU111が、補水弁68及び補水弁94を開として水張りを開始し、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントを開始する。
ステップ302では、CPU111が、給湯が有るか否か(つまり、給湯が実施されたか否か)を判定する。なお、給湯の有無は、リモコン装置51からの給湯の指示、あるいは給湯ユニット14に取り付けられた流量計の計測値に基づいて判定される。給湯有りと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ303に移行し、給湯なしと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ306に移行する。
ステップ303では、CPU111が、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントを停止する。なお、カウントは停止しても水張り動作は継続される。
ステップ304では、CPU111が、給湯が終了したか否かを判定する。給湯が終了したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ305に移行し、給湯が終了していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ304で給湯の終了待ちとなる。
ステップ305では、CPU111が、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントを再開する。例えば、水張り開始から10分カウントした後に、給湯で5分カウントが停止した場合、10分のカウントから再開される。
ステップ306では、CPU111が、水張りが完了したか否かを判定する。なお、水張りの完了は、上述したように、貯湯タンク48の水位が所定の水位に達しているか否かを、水位センサ52を用いて検知することで判定される。水張りが完了したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ307に移行し、水張りが完了していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ308に移行する。
ステップ307では、CPU111が、水張り完了の通知を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行い、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。
一方、ステップ308では、CPU111が、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)が経過したか否かを判定する。一定時間が経過したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ309に移行し、一定時間が経過していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ302に戻り処理を繰り返す。
ステップ309では、CPU111が、水張りタイムアウトエラーの警告を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行うと共に、補水弁68及び補水弁94を閉として水張り動作を停止し、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。
このように本実施形態によれば、水張り中に給湯が実施された場合に、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントが停止される。これにより、水張りタイムアウトエラーの警告を出難くし、水張り動作の停止が防止される。
[第2の実施形態]
本実施形態では、水張り中に給湯が実施された場合に、水張りタイムアウトエラーのエラー警告条件を変更する形態について説明する。
なお、本実施形態に係る制御装置は、上記第1の実施形態で説明した制御装置110と同様の構成を有しているものとし、その繰り返しの説明は省略し、上述の図4を参照して、相違点のみを説明する。
本実施形態に係る記憶部115には、水張り中に所定の圧力下(例えば、100kPa)で給湯を行ったときの水張り完了までにかかる時間を検証して得られた複数の検証時間が記憶されている。
本実施形態に係る水張り制御部111Bは、水張り中に給湯が実施された場合に、水張りにかかる一定時間を表す設定値(例えば、20分)を、記憶部115に記憶された複数の検証時間の最大値(例えば、1時間)に変更する制御を行う。つまり、水張りタイムアウトエラーのエラー警告条件を変更する。例えば、エラー警告条件を20分から1時間に変更する。
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る制御装置110の作用について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る制御プログラム115Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
燃料電池システム10の施工時又はメンテナンス時において、作業担当者による操作に従って、CPU111により記憶部115に記憶されている制御プログラム115Aが起動され、以下に示す各ステップが実行される。
図6のステップ310では、CPU111が、水張り開始の指示を受け付けたか否かを判定する。なお、水張り開始の指示は、上述したように、リモコン装置51又は作業者端末から入力される。水張り開始の指示を受け付けたと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ311に移行し、水張り開始の指示を受け付けていないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ310で待機となる。
ステップ311では、CPU111が、補水弁68及び補水弁94を開として水張りを開始し、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントを開始する。
ステップ312では、CPU111が、給湯が有るか否か(つまり、給湯が実施されたか否か)を判定する。なお、給湯の有無は、上述したように、リモコン装置51からの給湯の指示、あるいは給湯ユニット14に取り付けられた流量計の計測値に基づいて判定される。給湯有りと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ313に移行し、給湯なしと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ318に移行する。
ステップ313では、CPU111が、水張りタイムアウトエラーのエラー警告条件を変更する。つまり、水張りにかかる一定時間を表す設定値(例えば、20分)を、記憶部115に記憶された複数の検証時間の最大値(例えば、1時間)に変更する。なお、水張り開始からカウントされた時間はそのまま継続される。例えば、変更後の設定値を1時間とした場合、水張り開始から10分経過していれば、エラー警告まで残り50分とされる。
ステップ314では、CPU111が、水張りが完了したか否かを判定する。なお、水張りの完了は、上述したように、貯湯タンク48の水位が所定の水位に達しているか否かを、水位センサ52を用いて検知することで判定される。水張りが完了したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ316に移行し、水張りが完了していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ317に移行する。
ステップ315では、CPU111が、水張り完了の通知を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行い、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。
一方、ステップ316では、CPU111が、水張りにかかる一定時間(例えば、1時間)が経過したか否かを判定する。一定時間が経過したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ317に移行し、一定時間が経過していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ314に戻り処理を繰り返す。
ステップ317では、CPU111が、水張りタイムアウトエラーの警告を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行うと共に、補水弁68及び補水弁94を閉として水張り動作を停止し、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。
一方、ステップ318では、CPU111が、水張りが完了したか否かを判定する。水張りが完了したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ319に移行し、水張りが完了していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ320に移行する。
ステップ319では、CPU111が、水張り完了の通知を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行い、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。
一方、ステップ320では、CPU111が、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)が経過したか否かを判定する。一定時間が経過したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ321に移行し、一定時間が経過していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ312に戻り処理を繰り返す。
ステップ321では、CPU111が、水張りタイムアウトエラーの警告を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行うと共に、補水弁68及び補水弁94を閉として水張り動作を停止し、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。
このように本実施形態によれば、水張り中の所定の圧力(例えば、100kPa)下で給湯を行ったときの水張り完了までにかかる時間を検証し、検証結果の最大値(例えば、1時間)が水張りにかかる一定時間として別に設定される。このため、水張りタイムアウトエラーの警告を出難くすることができる。
[第3の実施形態]
本実施形態では、水張り動作の開始時に、流量制御弁を閉じることで、給湯を禁止し、水張りを優先的に行う形態について説明する。
なお、本実施形態に係る制御装置は、上記第1の実施形態で説明した制御装置110と同様の構成を有しているものとし、その繰り返しの説明は省略し、上述の図4を参照して、相違点のみを説明する。
本実施形態に係る流量制御弁53(図1参照)は、給湯ユニット14に設けられ、かつ、給湯ユニット14内の熱交換器154へ供給される上水の流量を制御するための制御弁である。なお、流量制御弁53は、燃料電池ユニット12に設けられていてもよい。
本実施形態に係る水張り制御部111Bは、水張りを行う際に流量制御弁53を閉じ、水張りが完了する、又は、水張りタイムアウトエラーの警告が出るまで給湯を禁止する制御を行う。つまり、水張り動作を開始した際に流量制御弁53を閉じることで、仮に給湯栓が開けられても給湯は行われない。そして、水張り動作が完了、又は、水張りタイムアウトエラーの警告が出た場合に、流量制御弁53を開き、給湯を利用可能な状態にする。この際、流量制御弁53が閉じられてから開くまでの間、給湯ができない旨をリモコン装置51に表示することが望ましい。
次に、図7を参照して、第3の実施形態に係る制御装置110の作用について説明する。
図7は、第3の実施形態に係る制御プログラム115Aによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
燃料電池システム10の施工時又はメンテナンス時において、作業担当者による操作に従って、CPU111により記憶部115に記憶されている制御プログラム115Aが起動され、以下に示す各ステップが実行される。
図7のステップ330では、CPU111が、水張り開始の指示を受け付けたか否かを判定する。なお、水張り開始の指示は、上述したように、リモコン装置51又は作業者端末から入力される。水張り開始の指示を受け付けたと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ331に移行し、水張り開始の指示を受け付けていないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ330で待機となる。
ステップ331では、CPU111が、流量制御弁53を閉とし、給湯ユニット14への上水の流入を禁止する。
ステップ332では、CPU111が、補水弁68及び補水弁94を開として水張りを開始し、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)のカウントを開始する。
ステップ333では、CPU111が、水張り中のため給湯できない旨をリモコン装置51に通知する。リモコン装置51では、例えば、「水張り中のため給湯できません。」等のメッセージを表示する。
ステップ334では、CPU111が、水張りが完了したか否かを判定する。なお、水張りの完了は、上述したように、貯湯タンク48の水位が所定の水位に達しているか否かを、水位センサ52を用いて検知することで判定される。水張りが完了したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ335に移行し、水張りが完了していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ337に移行する。
ステップ335では、CPU111が、水張り完了の通知を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行う。
ステップ336では、CPU111が、流量制御弁53を開とし、給湯ユニット14への上水の流入を許可し、本制御プログラム115Aによる一連の処理を終了する。なお、この際、給湯が可能になった旨を示すメッセージをリモコン装置51に表示することが望ましい。
一方、ステップ337では、CPU111が、水張りにかかる一定時間(例えば、20分)が経過したか否かを判定する。一定時間が経過したと判定した場合(肯定判定の場合)、ステップ338に移行し、一定時間が経過していないと判定した場合(否定判定の場合)、ステップ334に戻り処理を繰り返す。
ステップ338では、CPU111が、水張りタイムアウトエラーの警告を、リモコン装置51又は作業者端末又は操作用I/F95に行うと共に、補水弁68及び補水弁94を閉として水張り動作を停止し、ステップ336に移行する。
このように本実施形態によれば、水張り動作の開始時に、流量制御弁を閉じることで、給湯が禁止され、水張りが優先的に行われる。このため、水張りタイムアウトエラーの警告を出難くすることができる。
以上、上記実施形態として、燃料電池システム及び制御装置を例示して説明したが、実施形態は、制御装置が備える各部の機能をコンピュータに実行させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、このプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
その他、上記実施形態で説明した燃料電池システム及び制御装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。