JP7344242B2 - 凍結乾燥された緑茶飲料固化物 - Google Patents
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より具体的には、本発明は、水又はお湯と混合して香味のすぐれた緑茶飲料を調製するための凍結乾燥された緑茶飲料固化物に関する。
例として、特許文献1には、ペレット状の乾燥茶類が開示されている。また、特許文献2には、食材を小型化したミニブロック食品が開示されている。
また、特許文献2の技術は、お茶の抽出液に糖類と澱粉及び/又はデキストリンを添加するものである。特許文献2には、実際に、タピオカ澱粉と、ソルビトールと、デキストリンとを併用したものが記載されている(実施例1)。
そこで、本発明は、携帯に適し、水又はお湯と混合して香味のすぐれた無糖の緑茶飲料を簡便に調製できる、新規な緑茶飲料固化物を提供することを目的とする。
1.水又はお湯と混合して緑茶飲料を調製するための凍結乾燥された緑茶飲料固化物であって、
前記緑茶飲料固化物が、デキストリンと、茶原料の不溶性微粒子とを含み、
前記緑茶飲料固化物中の糖類の含有量が8.5質量%以下である、前記緑茶飲料固化物。
2.前記茶原料の不溶性微粒子が、茶の葉及び茎の少なくとも一方の微粉砕物である、1に記載の緑茶飲料固化物。
3.前記緑茶飲料固化物中の前記茶原料の不溶性微粒子の含有量が0質量%より多く30質量%以下である、1又は2に記載の緑茶飲料固化物。
4.前記茶原料の不溶性微粒子の積算体積90%の粒子径が200μm以下である、1~3のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
5.前記緑茶飲料固化物が、所定の量の水又はお湯に対する一回用量分ごとに一体化されたものである、1~4のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
6.前記緑茶飲料固化物中の前記デキストリンの含有量が0.5~40質量%である、1~5のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
7.前記デキストリンのデキストロース当量が2~30である、1~6のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
8.前記緑茶飲料固化物の密度が0.13g/cm3より大きく0.40g/cm3より小さい、1~7のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
9.前記緑茶飲料固化物の体積が4~50cm3である、1~8のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
10.前記緑茶飲料固化物が、耐湿性の包装材料により包装されたものである、1~9のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
11.1~10のいずれかに記載の緑茶飲料固化物を水又はお湯に混合してなる緑茶飲料。
12.緑茶飲料固化物の製造方法であって、
緑茶飲料抽出液を準備し、
前記緑茶飲料抽出液中にデキストリンと茶原料の不溶性微粒子とを混合し、
得られた混合液を凍結乾燥することを含み、
但し、製造方法全体を通して糖類を添加しない、前記製造方法。
13.前記茶原料の不溶性微粒子が、茶の葉及び茎の少なくとも一方の微粉砕物である、12に記載の緑茶飲料固化物の製造方法。
本明細書中において、一の特徴についての好ましい態様は、他の一又はそれより多い特徴の好ましい態様と任意に組み合わせることができる。また、「X~Y」と表記する数値範囲は、X以上Y以下の数値範囲を意味するものとし、各パラメータについて、下限値と上限値を任意に組み合わせて数値範囲とすることができる。
本発明の緑茶飲料固化物(以下、「飲料固化物」ともいう。)は、水又はお湯と混合して緑茶飲料を調製するための凍結乾燥された緑茶飲料固化物であって、前記緑茶飲料固化物がデキストリンと、茶原料の不溶性微粒子とを含み、前記緑茶飲料固化物中の糖類の含有量が8.5質量%以下であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、携帯に適し、水又はお湯と混合して香味のすぐれた無糖の緑茶飲料を簡便に調製できる、新規な緑茶飲料固化物を提供することができる。
本発明において「デキストリン」とは、デンプンを加水分解して麦芽糖に至るまでの種々の分解生成物をいうものとする。本発明において、デキストリンは、商業的に入手可能なものを使用することができる。
デキストロース当量が上記の数値範囲内で低い場合は、低分子化が進んでおらず、デキストリンの分子量は大きいことを意味する。そのため、低デキストロース当量のデキストリンの方が、デキストリンを含有する飲料抽出液の凝固点降下が起こりにくく、これを凍結乾燥する場合において、得られる飲料固化物の発泡や膨張を起こしにくい。すなわち、成型性や保形性を損なうことがない。加えて、低デキストロース当量のデキストリンは、甘味を呈することがないため、無糖飲料を調製するうえで好ましい。一方、低デキストロース当量のデキストリンは溶解性が悪く、得られる飲料固化物の即溶性の点で不利となる。DE値が6以上、好ましくは10以上であれば、この低デキストロース当量のデメリットは回避することができる。また、たとえ低デキストロース当量のデキストリンであっても、デキストロース当量が好適範囲にある他のデキストリンと組み合わせて使用することにより、即溶性にすぐれた飲料固化物を調製することができる。
可溶性固形分は、茶の葉や茎等の緑茶飲料原材料から常法にしたがい抽出液を得て、必要に応じて濃縮することにより得ることができる。また、可溶性固形分は、商業的に入手可能なエキス(液体又は濃縮液)や、スプレードライ等により乾燥させたものを使用することもできる。
これにより、飲料固化物を水又はお湯と混合して調製する緑茶飲料の香味をすぐれたものとすることができる。
茶原料の不溶性微粒子は、具体的には、茶の葉及び茎の少なくとも一方の微粉砕物である。微粉砕物は、茶の葉や茎を既知の手段により粉砕することにより調製することができる。
緑茶飲料固化物中の茶原料の不溶性微粒子の含有量は、好ましくは、0質量%より多く30質量%以下であり、より好ましくは、0.05質量%以上30質量%以下である。
測定装置:MT3100II(マイクロトラックベル社)
分散溶媒:純水
溶媒屈折率:1.333
粒子形状:非球形
粒子屈折率:1.81
本発明において「糖類」とは、単糖類、二糖類、糖アルコールをいうものとする。多糖類、特にデキストリンは、本発明における「糖類」には含まれないものとする。
本発明の飲料固化物は、飲料固化物中の糖類の濃度が8.5質量%以下であることにより、飲料固化物の質量に対して30~300倍の量の水又はお湯と混合した場合に、得られる緑茶飲料中の糖類の濃度は、飲料100g中、0.5質量%未満となり、食品表示基準に定めるいわゆる無糖の緑茶飲料を調製することができる。
本発明の飲料固化物は、飲料固化物中の糖類の濃度が、好ましくは、8.0質量%以下であり、より好ましくは、7.5質量%以下であり、さらにより好ましくは、7.0質量%以下である。
一態様において、本発明の飲料固化物は、特に、ソルビトール、乳糖、麦芽糖を含まないことが好ましく、また、その製造過程において、飲料を調製するための材料から同伴される場合を除いて、ソルビトール、乳糖、麦芽糖を添加しないことが好ましい。
本発明の飲料固化物において、密度の下限は、例えば、0.14g/cm3以上、0.15g/cm3以上、0.16g/cm3以上、0.17g/cm3以上、0.18g/cm3以上であることができ、密度の上限は、例えば、0.39g/cm3以下、0.38g/cm3以下、0.37g/cm3以下、0.36g/cm3以下、0.35g/cm3以下、0.34g/cm3以下、0.33g/cm3以下であることができる。
本発明の緑茶飲料固化物は、飲料固化物を構成する材料の混合液を凍結乾燥することにより製造することができる。
具体的には、緑茶飲料の抽出液、デキストリン、茶原料の不溶性微粒子、及び任意の添加物を混合して混合液を調製し、この混合液を適当な容器又は型枠に充填し、大気圧下、-20~-40℃で一晩静置することにより凍結する。次いで、凍結した混合液が融けないように、容器又は型枠ごと130Pa以下の圧力下で、30~70℃にて一晩静置することにより乾燥させる。
但し、本発明の飲料固化物の製造方法においては、製造方法全体を通して糖類は添加しないこととする。
容器又は型枠は、凍結乾燥後の飲料固化物が粘着しないで取り出せることを条件として、任意の材質のものを使用することができる。例えば、金属製又はプラスチック製等のものを使用できる。
本発明の緑茶飲料は、上記説明した本発明の飲料固化物を水又はお湯に混合してなるものである。
飲料固化物を溶解して緑茶飲料を調製する際の水又はお湯の量は、飲用者の嗜好により、調製すべき飲料の濃さに応じて、適宜調整することができる。
商業的に入手可能な緑茶葉から熱水を用いて可溶性固形分を抽出し、それを濃縮することで、可溶性固形分濃度(Brix)が20%である緑茶抽出液を準備した。次いで、この緑茶抽出液と、デキストリン(三和澱粉工業株式会社、サンデック#150、デキストロース当量:15~18)とを、表2に示す配合にしたがって混合して、緑茶飲料を調製した。
得られた緑茶飲料を、容積5.54cm3の樹脂製型枠に注ぎ、-35℃で一晩静置することにより凍結した。次いで、凍結した緑茶飲料が融けないように、密閉可能なチャンバーに型枠ごと入れ、チャンバーを密閉した。チャンバー内の圧力を10Pa以下、温度を25℃として、一晩静置して乾燥させ、緑茶固化物を得た。
デキストリン含有量は、試料中のデキストリンを酵素処理により加水分解し、分解されたグルコースの量を測定して、これを換算することにより求めた。具体的な手順を以下に説明する。
飲料固化物0.5gをイオン交換水50mLに溶解し、ろ紙(No.5B、東洋濾紙株式会社)を用いてろ過した。このろ液の5mLに99.5%エタノールを90mLと飽和食塩水2~3滴を加え、冷蔵で一晩静置した。
上清をガラス繊維ろ紙(GS-25、東洋濾紙株式会社)を用いてろ過し、90%エタノール40mLを加えて撹拌した後、2000rpmで10分間遠心分離した。上清をガラス繊維ろ紙(GS-25、東洋濾紙株式会社)を用いてろ過し、ろ液の一部を試料としてフェノール硫酸法により低分子糖反応を確認した。低分子糖反応がなくなるまでこの操作を繰り返して、試料から低分子糖を抽出、除去した。
ガラス繊維ろ紙の残渣をイオン交換水30mLに回収し、グルコアミラーゼ溶液(AMYLOGLUCOSIDASE(Megazyme,E-AMGDD)1.5gを0.2mol/L酢酸緩衝液(pH4.8)で100mLにして使用)10mLを加え、37℃で2時間酵素反応を行い、反応後の液をろ紙(No.5B、東洋濾紙株式会社)を用いてろ過し、ろ液を試料としてグルコース定量キット(グルコースCII-テストワコー、富士フィルム和光純薬株式会社:ブドウ糖標準溶液濃度0~80μg/mL)を用いてブドウ糖を定量した。測定したブドウ糖の含有量に基づき、以下の式により、デキストリン含有量(測定値)とした。
デキストリン含有量(測定値)=ブドウ糖含有量×0.9
緑茶固化物中の糖類(単糖類、二糖類、及び糖アルコール)の濃度は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。具体的な手順を以下に説明する。
飲料固化物1gを水(20~50mL)に溶解し、ろ過(メンブランフィルター)したあと、分析方法1にしたがって高速クロマトグラフィーにより測定した。
機種:Chromaster(株式会社日立ハイテクサイエンス)
検出器:蛍光検出器5440(株式会社日立ハイテクサイエンス)
カラム:Shodex Asahipack NH2P-50 4E,φ4.6mm×250mm(昭和電工株式会社)
カラム温度:40℃
移動相: A液:アセトニトリル、B液:水、C液:10%リン酸
グラジエント:
注入量:10μL
蛍光励起波長:330nm
蛍光測定波長:470nm
ポストカラム:反応液;リン酸、酢酸及びフェニルヒドラジンの混合液(220:180:6)
反応液流量;0.4mL/min
反応温度;150℃
機種:LC-20AD(株式会社島津製作所)
検出器:示差屈折計RID-20A(株式会社島津製作所)
カラム:Intersil NH2,φ3.0mm×150mm(ジーエルサイエンス株式会社)
カラム温度:25℃
移動相:アセトニトリル:水=80:20
流量:0.7mL/min
注入量:5μL
固化物ブロックの成型性は、任意に10個のブロックを選び、以下の基準により評価した。10個のブロックの評価に差はなかった。
〇:目視により形状を確認して、膨張や破裂がなく直方体状の形状を維持している。
×:目視により形状を確認して、膨張や破裂がみられ、直方体状の形状を維持していない。
固化物ブロック5個を65cmの高さから自然落下させ、これを5回行った。落下後のブロックのうち、体積の大きい順に5個を回収した。落下後のブロック5個の重量について、落下前の同じブロック5個の重量に対する重量割合を算出し、以下の基準により評価した。
◎:重量割合が90%以上である。
〇:重量割合が60%以上90%未満である。
×:重量割合が60%未満である。
固化物ブロックを、温度35℃、湿度60%の環境下に24時間静置し、一辺の長さを測定して、試験前における一辺の長さを基準とした収縮率について以下の基準により評価した。任意に3個のブロックを測定し、その平均値を算出した。
◎:収縮率が2%未満である。
〇:収縮率が2%以上5%未満である。
×:収縮率が5%以上である。
300mLビーカーに300gのRO水を入れ、撹拌機(CORNING社製、PC-420D)を用いて500rpmで撹拌しながら、固化物ブロック1個をビーカーに入れた。固化物ブロックが水に溶けて固形分が見えなくなるまでの時間を測定し、この溶解時間を以下の基準により評価した。ブロック2個について測定し、その平均値を算出した。
◎:溶解時間が30秒未満である。
〇:溶解時間が30秒以上180秒未満である。
×:溶解時間が180秒以上である。
微粉砕茶葉の含有量を変化させてデキストリンと共に配合して、表3に示す配合にしたがって、製造例1と同様に緑茶固化物を調製した。使用した微粉砕茶葉は、商業的に入手可能な緑茶葉を気流式粉砕機で処理をして得られたものである。粉砕基準は、粉砕物20gを2Lの水に分散させたのち、100メッシュを通してメッシュ上に残渣が残らないことである。この粉砕物の積算体積90%の粒子径(D90)は112μmである。得られた緑茶固化物について、1ブロックあたりの質量[g](ブロック10個の平均値)を測定するとともに、製造例1と同様に、デキストリンの含有量、及び単糖の含有量を測定し、成型性、保形性、耐湿性、及び即溶性について評価した。結果を表3に示す。
粒度の異なる微粉砕茶葉をデキストリンと共に配合して、表4に示す配合にしたがって、製造例1と同様に緑茶固化物を調製した。得られた緑茶固化物について、1ブロックあたりの質量[g](ブロック10個の平均値)を測定するとともに、製造例1と同様に、デキストリンの含有量、及び単糖の含有量を測定し、成型性、保形性、耐湿性、及び即溶性について評価した。また、製造例2と同様に、得られた緑茶固化物から緑茶飲料を調製して、外観と香味を評価した。結果を表4に示す。
製造例3により、緑茶固化物において微粉砕茶葉の積算体積90%の粒子径が233μmの場合(試験16)、緑茶飲料の外観と香味が好ましくない評価となった。一方、微粉砕茶葉の積算体積90%の粒子径が19~112μmの場合(試験13~15)は、緑茶固化物の成型性、耐久性、耐湿性、即溶性は好適であり、緑茶飲料の外観と香味もすぐれることが分かった。
容器材料に使用する資源の浪費を低減しようとする環境保全の考えが拡がりをみせるなか、自分用の水筒等をマイボトルとして携帯し、マイボトルにおいて本発明の緑茶飲料固化物により緑茶飲料を調製すれば、環境にも資する点で産業上の利用可能性が高い。
Claims (11)
- 水又はお湯と混合して緑茶飲料を調製するための凍結乾燥された緑茶飲料固化物であって、
前記緑茶飲料固化物が、デキストリンと、茶原料の不溶性微粒子とを含み、
前記緑茶飲料固化物中の前記茶原料の不溶性微粒子の含有量が0質量%より多く30質量%以下であり、
前記緑茶飲料固化物中の糖類の含有量が8.5質量%以下であり、
前記緑茶飲料固化物の体積が4~50cm3である、前記緑茶飲料固化物。 - 前記茶原料の不溶性微粒子が、茶の葉及び茎の少なくとも一方の微粉砕物である、請求項1に記載の緑茶飲料固化物。
- 前記茶原料の不溶性微粒子の積算体積90%の粒子径が200μm以下である、請求項1又は2に記載の緑茶飲料固化物。
- 前記緑茶飲料固化物が、所定の量の水又はお湯に対する一回用量分ごとに一体化されたものである、請求項1~3のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
- 前記緑茶飲料固化物中の前記デキストリンの含有量が0.5~40質量%である、請求項1~4のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
- 前記デキストリンのデキストロース当量が2~30である、請求項1~5のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
- 前記緑茶飲料固化物の密度が0.13g/cm3より大きく0.40g/cm3より小さい、請求項1~6のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
- 前記緑茶飲料固化物が、耐湿性の包装材料により包装されたものである、請求項1~7のいずれかに記載の緑茶飲料固化物。
- 請求項1~8のいずれかに記載の緑茶飲料固化物を水又はお湯に混合してなる緑茶飲料。
- 緑茶飲料固化物の製造方法であって、
緑茶飲料抽出液を準備し、
前記緑茶飲料抽出液中にデキストリンと茶原料の不溶性微粒子とを混合し、
得られた混合液を凍結乾燥することを含み、
但し、製造方法全体を通して糖類を添加しない、前記製造方法であって、
前記緑茶飲料固化物中の前記茶原料の不溶性微粒子の含有量が0質量%より多く30質量%以下であり、
前記緑茶飲料固化物の体積が4~50cm3である、前記製造方法。 - 前記茶原料の不溶性微粒子が、茶の葉及び茎の少なくとも一方の微粉砕物である、請求項10に記載の緑茶飲料固化物の製造方法。
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