JP7343805B2 - 冷凍サイクル装置における冷媒としての使用 - Google Patents

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Description

冷凍サイクル装置における冷媒としての使用に関する。
従来より、冷凍装置には、HFC冷媒より地球温暖化係数(Global Warming Potential:以下、単にGWPという場合がある。)の低いハイドロフルオロオレフィン(HFO冷媒)が注目されており、例えば、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)もGWPの低い冷媒として特許文献1(特開2019-196312号公報)で検討されている。
このようなHFO冷媒は、GWPが低いものの、安定性が低いことから、一定条件下において分解し、腐食性の強いフッ化水素を生じさせてしまうおそれがある。
第1観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、冷凍サイクル装置における、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、の少なくともいずれかの冷媒としての使用である。冷凍サイクル装置は、圧縮機を有する冷媒回路を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、冷凍機油が貯留される油溜め部と、を有する。冷媒回路の内部の空気の圧力は667Pa以下である。冷凍機油は、3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有する。油溜め部における冷凍機油の温度が120℃以下に維持される。
なお、冷凍機油における酸捕捉剤の含有割合は、冷凍機油を100重量部とした場合の割合である。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用によれば、冷媒の分解を抑制することができ、冷媒回路における腐食の発生を抑制することができる。
第2観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、冷凍サイクル装置における、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、の少なくともいずれかの冷媒としての使用である。冷凍サイクル装置は、圧縮機を有する冷媒回路を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、冷凍機油が貯留される油溜め部と、を有する。冷媒回路の内部の空気の圧力は1333Pa以下である。冷凍機油は、酸捕捉剤を含有しないか、または、3.0重量%未満の酸捕捉剤を含有する。油溜め部における冷凍機油の温度が100℃以下に維持される。
なお、冷凍機油における酸捕捉剤の含有割合は、冷凍機油を100重量部とした場合の割合である。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用によれば、冷媒の分解を抑制することができ、冷媒回路における腐食の発生を抑制することができる。
第3観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、冷凍サイクル装置における、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、の少なくともいずれかの冷媒としての使用である。冷凍サイクル装置は、圧縮機を有する冷媒回路を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、冷凍機油が貯留される油溜め部と、を有する。冷媒回路の内部の空気の圧力は2000Pa以下である。冷凍機油は、3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有する。油溜め部における冷凍機油の温度が100℃以下に維持される。
なお、冷凍機油における酸捕捉剤の含有割合は、冷凍機油を100重量部とした場合の割合である。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用によれば、冷媒の分解を抑制することができ、冷媒回路における腐食の発生を抑制することができる。
第4観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、冷凍サイクル装置における、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、の少なくともいずれかの冷媒としての使用である。冷凍サイクル装置は、圧縮機を有する冷媒回路を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、冷凍機油が貯留される油溜め部と、を有する。冷媒回路の内部の空気の圧力は2000Pa以下である。冷凍機油は、酸捕捉剤を含有しないか、または、3.0重量%未満の酸捕捉剤を含有する。油溜め部における冷凍機油の温度が80℃以下に維持される。
なお、冷凍機油における酸捕捉剤の含有割合は、冷凍機油を100重量部とした場合の割合である。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用によれば、冷媒の分解を抑制することができ、冷媒回路における腐食の発生を抑制することができる。
第5観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、冷凍サイクル装置における、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、の少なくともいずれかの冷媒としての使用である。冷凍サイクル装置は、圧縮機を有する冷媒回路を備える。圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、冷凍機油が貯留される油溜め部と、を有する。冷媒回路の内部の空気の圧力は4000Pa以下である。冷凍機油は、3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有する。油溜め部における冷凍機油の温度が80℃以下に維持される。
なお、冷凍機油における酸捕捉剤の含有割合は、冷凍機油を100重量部とした場合の割合である。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用によれば、冷媒の分解を抑制することができ、冷媒回路における腐食の発生を抑制することができる。
第6観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、第1観点から第5観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用において、油溜め部における冷凍機油の温度は、下記式に冷媒回路の内部の空気の圧力を代入して得られる値以下に維持される。
0.1=((8×10-5×133.322×空気の圧力(Pa))+0.0017)×(冷凍機油の温度(℃))+(-0.0032×133.322×空気の圧力(Pa)-0.15)
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用によれば、冷媒の分解をより抑制することができ、冷媒回路における腐食の発生が十分に抑制される。
第7観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、第1観点から第6観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用において、冷凍機油には、ポリビニルエーテルとポリオールエステルの少なくともいずれかが含まれる。
第8観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、第1観点から第7観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用において、冷媒回路の内部の水分量は、冷媒回路に封入される冷媒の量に対して300ppm以下である。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用では、冷媒回路における水分の存在による腐食が抑制される。
第9観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、第1観点から第8観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用において、冷媒回路は、ニードル部を有する膨張弁を有している。ニードル部は、SUS製または真鍮製である。
SUSとしては、例えば、クロム含有量が10.5質量%以上、炭素含有量が1.2質量パーセント以下の鋼であるステンレス鋼であってよい。
真鍮としては、例えば、銅と亜鉛の合金で、亜鉛が20質量%以上であるものであってよい。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用では、SUS製または真鍮製のニードル部が用いられていても、その腐食が抑制される。
第10観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、第1観点から第9観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用において、冷媒は、1,2-ジフルオロエチレンとR32からなる冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR1234yfからなる冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfからなる冷媒、R1234yfとR1234zeとR1233zdとハイドロフルオロカーボンからなる冷媒、のいずれかである。
第11観点に係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用は、第1観点から第10観点のいずれかに係る冷凍サイクル装置における冷媒としての使用において、冷凍サイクル装置は、油溜め部における冷凍機油の温度を検知する温度検知部を備えている。冷凍サイクル装置では、温度検知部の検知結果に基づいて圧縮機の回転数が制御される。
なお、冷凍サイクル装置は、温度検知部の検知結果を把握し、当該検知結果に基づいて圧縮機の回転数を制御するプロセッサ等を有する制御部を備えていてもよい。
この冷凍サイクル装置における冷媒としての使用では、冷媒の分解を容易に抑制することができる。
空気調和装置の概略構成図である。 空気調和装置の概略ブロック構成図である。 圧縮機の概略断面構成図である。 膨張弁の概略断面構成図である。 酸補足剤が3wt%配合された場合における空気圧力毎の吐出ガス温度と酸価との関係を示すグラフである。 酸補足剤が2wt%配合された場合における空気圧力毎の吐出ガス温度と酸価との関係を示すグラフである。 他の実施形態Jに係る空気調和装置の概略構成図である。 他の実施形態Jに係る圧縮機の概略断面構成図である。 他の実施形態Jに係る圧縮機のフローティング部材の周辺の拡大図である。 他の実施形態Jに係る冷媒回路を対象とする空気圧力が異なる場合の吐出ガス温度と酸価との関係を示すグラフである。
以下、冷媒回路の概略構成図である図1、概略制御ブロック構成図である図2を参照しつつ、本実施形態に係る冷凍サイクル装置としての空気調和装置1について説明する。
(1)空気調和装置1の概要
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、対象空間の空気を調和させる装置である。
空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、室外ユニット2と室内ユニット3を接続する液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管5と、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7と、を有している。
空気調和装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮、凝縮または放熱、減圧、蒸発した後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。
(冷媒)
冷媒回路10に充填される冷媒は、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、の少なくともいずれかの冷媒である。1,2-ジフルオロエチレンまたは他のハイドロフルオロオレフィンは、GWPを低いため、地球の温暖化が抑制される。また、1,2-ジフルオロエチレンや他のハイドロフルオロオレフィンは、安定性が低く、不均化反応等により分解が生じやすく、特に高温の冷凍機油と共に存在することで分解や劣化が生じやすいが、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa以下であり、冷凍機油が3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有しており、後述の油溜め部における冷凍機油の温度が120℃以下に維持されるため、冷媒の劣化や分解が抑制される。
なお、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒としては、例えば、1,2-ジフルオロエチレンとR32を含む混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32のみからなる混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfとを含むなる混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfとのみからなる混合冷媒が挙げられる。
また、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒としては、例えば、1,2-ジフルオロエチレンとR1234yfを含む混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR1234yfのみからなる混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfとを含むなる混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfとのみからなる混合冷媒が挙げられる。
1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒としては、例えば、R1234yfとR1234zeとR1233zdとハイドロフルオロカーボンとを含む混合冷媒、R1234yfとR1234zeとR1233zdとハイドロフルオロカーボンのみからなる混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfとを含むなる混合冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfとのみからなる混合冷媒が挙げられる。
が挙げられる。
なお、ハイドロフルオロカーボンとしては、R32、R134a、R410A等が挙げられるが、なかでもR32が好ましい。
(冷凍機油)
冷媒回路10には、当該冷媒と共に冷凍機油が封入される。上記冷媒と共に用いられる冷凍機油としては、エーテル油またはエステル油であることが好ましい。エーテル油としては、例えば、ポリビニルエーテル油(PVE)、ポリオキシアルキレン油等が挙げられる。エステル油としては、例えば、二塩基酸と1価アルコールとの二塩基酸エステル油、ポリオールと脂肪酸とのポリオールエステル油、またはポリオールと多価塩基酸と1価アルコール(又は脂肪酸)とのコンプレックスエステル油、ポリオール炭酸エステル油等が挙げられる。なお、冷凍機油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態では、冷凍機油に3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤が配合される。これにより、上記冷媒が分解して生じうる酸による冷媒回路10の腐食が抑制される。なお、酸捕捉剤の配合量は、例えば、運転停止中の空気調和装置1の冷媒回路10において、圧縮機11の油溜め部37に貯留されている冷凍機油を対象として測定して得られる値とすることができる。このような酸捕捉剤としては、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシド、エポキシ化大豆油などのエポキシ化合物、カルボジイミド等を用いることができる。なお、これらのうち、相溶性の観点から、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシドが好ましい。これらの炭素数は、3以上30以下であればよく、4以上24以下であればより好ましい。また、α-オレフィンオキシドは、全炭素数が4以上50以下であればよく、4以上24以下であればより好ましい。酸捕捉剤は、1種だけを用いてもよく、複数種類を併用することも可能である。
また、冷凍機油には、さらに、添加剤として、極圧剤、および、酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種以上を含ませることができる。これらの添加剤は、例えば、冷凍機油中に3wt%以下配合させることが好ましい。酸化防止剤や酸捕捉剤の配合量を調節することで、冷媒と冷凍機油を含む流体中の水分含有量を調節しやすくなる。
極圧剤には、例えば、リン酸エステル類を含むもの、モノスルフィド類、ポリスルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオスルフィネート類、硫化油脂、チオカーボネート類、チオフェン類、チアゾール類、メタンスルホン酸エステル類等の有機硫黄化合物系の極圧剤、チオリン酸トリエステル類等のチオリン酸エステル系の極圧剤、高級脂肪酸、ヒドロキシアリール脂肪酸類、多価アルコールエステル類、アクリル酸エステル類等のエステル系の極圧剤、塩素化パラフィン等の塩素化炭化水素類、塩素化カルボン酸誘導体等の有機塩素系の極圧剤、フッ素化脂肪族カルボン酸類、フッ素化エチレン樹脂、フッ素化アルキルポリシロキサン類、フッ素化黒鉛等の有機フッ素化系の極圧剤、高級アルコール等のアルコール系の極圧剤、ナフテン酸塩類(ナフテン酸鉛等)、脂肪酸塩類(脂肪酸鉛等)、チオリン酸塩類(ジアルキルジチオリン酸亜鉛等)、チオカルバミン酸塩類、有機モリブデン化合物、有機スズ化合物、有機ゲルマニウム化合物、ホウ酸エステル等の金属化合物系の極圧剤が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系の酸化防止剤やアミン系の酸化防止剤を用いることができる。フェノール系の酸化防止剤には、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(DBPC)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ビスフェノールA等がある。また、アミン系の酸化防止剤には、N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、N.N’-ジ-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジ(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン等がある。
冷媒回路10の内部の水分含有量は、1,2-ジフルオロエチレンおよび他のハイドロフルオロオレフィンの分解を抑制させる観点から、300ppm以下であることが好ましい。
冷媒回路10の内部の空気の圧力は、1,2-ジフルオロエチレンおよび他のハイドロフルオロオレフィンの分解を抑制させる観点から、667Pa(5Torr)以下である。
なお、冷媒回路10の内部の水分含有量と空気の圧力は、例えば、運転停止状態の空気調和装置1の冷媒回路10のうち、冷媒の凝縮器として機能している熱交換器(室内熱交換器18または室外熱交換器13)の出口における流体、または、後述の高圧レシーバ8の出口における流体を対象とした場合の値とすることができる。
(1-1)室外ユニット2
室外ユニット2は、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管5を介して室内ユニット3と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。室外ユニット2は、主として、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁9と、高圧レシーバ8と、低圧レシーバ14と、室外ファン15と、液側閉鎖弁17と、ガス側閉鎖弁16と、を有している。
圧縮機11は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機11としては、例えば、ロータリ式やスクロール式等の圧縮要素が圧縮機モータによって回転駆動される圧縮機を用いることができ、本実施形態の圧縮機11の詳細は後述する。圧縮機モータは、容量を変化させるためのものであり、インバータにより運転周波数の制御が可能である。なお、圧縮機11は、例えば、冷房運転時には所定の目標蒸発温度を目標値として回転数が制御され、暖房運転時には所定の目標凝縮温度を目標値として回転数が制御される。
四路切換弁12は、冷媒回路10における接続状態を切り換えることで、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13とを接続しつつ圧縮機11の吸入側とガス側閉鎖弁16とを接続する第1接続状態(図1の実線参照)と、圧縮機11の吐出側とガス側閉鎖弁16とを接続しつつ圧縮機11の吸入側と室外熱交換器13とを接続する第2接続状態(図1の点線参照)と、を切り換えることができる。
室外熱交換器13は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器または放熱器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器13は、冷媒が中を流れる複数の伝熱管(図示せず)と、互いの隙間を空気が流れる複数の伝熱フィン(図示せず)とを含んでいる。複数の伝熱管が上下方向に並んでおり、各伝熱管は実質的に水平方向に延びている。上下方向に延びた複数の伝熱フィンは、互いに所定の間隔をあけて、伝熱管が延びる方向に沿って並んでいる。各伝熱フィンを複数の伝熱管が貫通するように、複数の伝熱フィンと複数の伝熱管とが組み合わされている。
室外ファン15は、室外ユニット2内に室外の空気を室外熱交換器13に供給し、室外熱交換器13において冷媒と熱交換させた後に、室外ユニット2の外部に排出するための空気流れを生じさせる。室外ファン15は、室外ファンモータによって回転駆動される。
膨張弁9は、室外熱交換器13の液側端部と高圧レシーバ8との間に設けられている。膨張弁9は、例えば、制御により弁開度を調節可能な電子膨張弁であり、詳細は後述する。
高圧レシーバ8は、膨張弁9と液側閉鎖弁17との間に設けられている。高圧レシーバ8は、余剰冷媒を液冷媒として貯留することが可能な冷媒容器である。
低圧レシーバ14は、圧縮機11の吸入側と四路切換弁12の接続ポートの1つとの間に設けられており、冷媒回路10における余剰冷媒を液冷媒として貯留することが可能な冷媒容器である。
液側閉鎖弁17は、室外ユニット2における液冷媒連絡配管6との接続部分に配置された手動弁である。
ガス側閉鎖弁16は、室外ユニット2におけるとガス冷媒連絡配管5との接続部分に配置された手動弁である。
室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外ユニット制御部71を有している。室外ユニット制御部71は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室外ユニット制御部71は、各室内ユニット3の室内ユニット制御部72と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
室外ユニット2には、吐出温度センサ75、吸入温度センサ76、室外熱交温度センサ77、外気温度センサ78、油温検知センサ79等が設けられている。これらの各センサは、室外ユニット制御部71と電気的に接続されており、室外ユニット制御部71に対して検出信号を送信する。吐出温度センサ75は、圧縮機11の吐出側と四路切換弁12の接続ポートの1つとを接続する吐出配管4dを流れる冷媒の温度を検出する。吸入温度センサ76は、圧縮機11の吸入側と四路切換弁12の接続ポートの1つとを接続する吸入流路のうち、低圧レシーバ14から圧縮機11の吸入側まで延びた吸入配管4eを流れる冷媒の温度を検出する。室外熱交温度センサ77は、室外熱交換器13のうち第3配管4cが接続されている側とは反対側である液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。外気温度センサ78は、室外熱交換器13を通過する前の屋外の空気温度を検出する。油温検知センサ79は、圧縮機11における油溜め部37に貯留されている冷凍機油の温度を検出する。
(1-2)室内ユニット3
室内ユニット3は、対象空間である室内の壁面や天井等に設置されている。室内ユニット3は、液冷媒連絡配管6およびガス冷媒連絡配管5を介して室外ユニット0と接続されており、冷媒回路10の一部を構成している。
室内ユニット3は、室内熱交換器18と、室内ファン19と、を有している。
室内熱交換器18は、液側が、液冷媒連絡配管6と接続され、ガス側端が、ガス冷媒連絡配管5とを接続されている。室内熱交換器18は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器または放熱器として機能する熱交換器である。
室内ファン19は、室内ユニット3内に空調対象空間である室内の空気を吸入して、室内熱交換器18において冷媒と熱交換させた後に、室内ユニット3の外部に排出するための空気流れを生じさせる。室内ファン19は、室内ファンモータによって回転駆動される。
また、室内ユニット3は、室内ユニット3を構成する各部の動作を制御する室内ユニット制御部72を有している。室内ユニット制御部72は、CPUやメモリ等を含むマイクロコンピュータを有している。室内ユニット制御部72は、室外ユニット制御部71と通信線を介して接続されており、制御信号等の送受信を行う。
室内ユニット3には、室内液側熱交温度センサ73、室内空気温度センサ74等が設けられている。これらの各センサは、室内ユニット制御部72と電気的に接続されており、室内ユニット制御部72に対して検出信号を送信する。室内液側熱交温度センサ73は、室内熱交換器18のうちガス冷媒連絡配管5が接続されている側とは反対側である液側の出口を流れる冷媒の温度を検出する。室内空気温度センサ74は、室内熱交換器18を通過する前の室内の空気温度を検出する。
(1-3)コントローラ7
空気調和装置1では、室外ユニット制御部71と室内ユニット制御部72が通信線を介して接続されることで、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7が構成されている。
コントローラ7は、主として、CPU(中央演算処理装置)等のプロセッサと、ROMやRAM等のメモリを有している。なお、コントローラ7による各種処理や制御は、室外ユニット制御部71および/又は室内ユニット制御部72に含まれる各部が一体的に機能することによって実現されている。
コントローラ7は、空気調和装置1の冷媒回路10のうち、油溜め部37に貯留されている冷凍機油の温度が120℃以下に維持されるように、冷媒回路10の構成要素を制御する。このような制御としては、例えば、油温検知センサ79の検知する冷凍機油の温度が120℃以下に維持されるように、圧縮機11の回転数を制御する。
(1-4)リモコン70
リモコン70は、空調対象空間である室内または空調対象空間を含む建物の特定の空間に配置されており、空気調和装置1の運転制御指令や運転状態の監視を行うためにユーザ等により使用される。
リモコン70は、ユーザ等により操作されることで情報の入力を受け付けるための操作ボタンやタッチパネル等の受付部70aと、各種情報を表示可能なディスプレイ70bを備えている。リモコン70は、室外ユニット制御部71および室内ユニット制御部72に対して通信線を介して接続されており、ユーザから受付部70aにおいて受け付けた情報をコントローラ7に供給することが可能となっている。また、コントローラ7から受信した情報を、ディスプレイ70bにおいて出力することが可能になっている。
ユーザ等から受付部70aが受け付ける情報としては、特に限定されないが、冷房運転モードを実行させる指令、暖房運転モードを実行させる指令、運転を停止させる指令、設定温度の指定等の各種情報が挙げられる。ディスプレイ70bに表示される情報としては、特に限定されないが、現在の運転モードの状態(冷房または暖房)、設定温度、各種の異常が生じていることを示す情報等が挙げられる。
(2)圧縮機11の構造
圧縮機11としては、例えば、図3に示すような、スクロール圧縮機を用いることができる。
この圧縮機11は、ケーシング20と、スクロール圧縮機構21と、駆動モータ24と、クランクシャフト25と、下部軸受26と、バランスウェイト30と、を備えている。
ケーシング20は、上下が開口した略円筒状の円筒部材20aと、円筒部材20aの上端および下端にそれぞれ設けられた上蓋20bおよび下蓋20cとを有する。円筒部材20aと、上蓋20bおよび下蓋20cとは、気密を保つように溶接により固定される。ケーシング20には、スクロール圧縮機構21、駆動モータ24、クランクシャフト25、および下部軸受26を含む圧縮機11の構成機器が収容される。また、ケーシング20の内部の下端から所定高さまでの間には、油溜め部37が形成されている。油溜め部37は、スクロール圧縮機構21等を潤滑するための冷凍機油Oを溜めるための油溜まり空間Soを有している。油溜め部37には、貯留されている冷凍機油の温度を検出するための油温検知センサ79が設けられている。本実施形態では、油温検知センサ79は、油溜め部37に貯留されている冷凍機油の温度を検出するために、下蓋20cの外表面に取り付けられている。ケーシング20の上部には、冷媒回路10の冷凍サイクルにおける低圧ガス冷媒を吸入し、スクロール圧縮機構21にガス冷媒を供給する吸入配管4eが、上蓋20bを貫通して設けられる。吸入配管4eの下端は、スクロール圧縮機構21の固定スクロール22に接続される。吸入配管4eは、後述するスクロール圧縮機構21の圧縮室Scと連通する。ケーシング20の円筒部材20aの中間部には、ケーシング20外に吐出される冷媒が通過する吐出配管4dが設けられる。吐出配管4dは、ケーシング20の内部の吐出配管4dの端部が、スクロール圧縮機構21のハウジング27の下方に形成された高圧空間Shに突き出すように配置される。吐出配管4dには、スクロール圧縮機構21による圧縮後の、冷凍サイクルにおける高圧冷媒が流れる。
スクロール圧縮機構21は、主に、ハウジング27と、ハウジング27の上方に配置される固定スクロール22と、固定スクロール22と組み合わされて圧縮室Scを形成する可動スクロール23と、を有する。
固定スクロール22は、平板状の固定側鏡板22aと、固定側鏡板22aの前面から突出する渦巻状の固定側ラップ22bと、固定側ラップ22bを囲む外縁部22cとを有する。固定側鏡板22aの中央部には、スクロール圧縮機構21の圧縮室Scに連通する非円形形状の吐出口22dが、固定側鏡板22aを厚さ方向に貫通して形成される。圧縮室Scで圧縮された冷媒は、吐出口22dから吐出され、固定スクロール22およびハウジング27に形成された図示しない冷媒通路を通過して、高圧空間Shへ流入する。なお、この圧縮機11は、ケーシング20のうち、スクロール圧縮機構21の外側の領域において高圧冷媒が存在する高圧ドーム型の圧縮機となっている。
可動スクロール23は、平板状の可動側鏡板23aと、可動側鏡板23aの前面から突出する渦巻状の可動側ラップ23bと、可動側鏡板23aの背面から突出する、円筒状に形成されたボス部23cとを有する。固定スクロール22の固定側ラップ22bと、可動スクロール23の可動側ラップ23bとは、固定側鏡板22aの下面と可動側鏡板23aの上面とが対向する状態で組み合わされる。隣接する固定側ラップ22bと可動側ラップ23bとの間には、圧縮室Scが形成される。可動スクロール23が後述するように固定スクロール22に対して公転することで、圧縮室Scの体積が周期的に変化し、スクロール圧縮機構21において、冷媒の吸入、圧縮、吐出が行われる。ボス部23cは、上端の塞がれた円筒状部分である。ボス部23cの中空部に、後述するクランクシャフト25の偏心部25bが挿入されることで、可動スクロール23とクランクシャフト25とが連結される。ボス部23cは、可動スクロール23とハウジング27との間に形成される偏心部空間28に配置される。偏心部空間28は、後述するクランクシャフト25の給油経路39等を介して高圧空間Shと連通しており、偏心部空間28には高い圧力が作用する。この圧力により、偏心部空間28内の可動側鏡板23aの下面は、固定スクロール22に向かって上方に押される。この力により、可動スクロール23は、固定スクロール22に密着する。可動スクロール23は、「オルダムリング空間Sr」に配置されたオルダムリング29を介してハウジング27に支持される。オルダムリング29は、可動スクロール23の自転を防止し、公転させる部材である。オルダムリング29を用いることで、クランクシャフト25が回転すると、ボス部23cにおいてクランクシャフト25と連結された可動スクロール23が、固定スクロール22に対して自転することなく公転し、圧縮室Sc内の冷媒が圧縮される。
ハウジング27は、円筒部材20aの内側に圧入され、その外周面において周方向の全体に亘って円筒部材20aに固定されている。また、ハウジング27と固定スクロール22とは、ハウジング27の上端面が、固定スクロール22の外縁部22cの下面と密着するように、図示しないボルト等により固定されている。ハウジング27には、上面中央部に凹むように配置される凹部27aと、凹部27aの下方に配置される上部軸受部27bとが形成される。凹部27aは、可動スクロール23のボス部23cが配置される偏心部空間28の側面を囲む。上部軸受部27bには、クランクシャフト25の主軸25aを軸支する円筒形状の金属部材である上部軸受35が配置される。上部軸受35は、上部軸受35に挿入された主軸25aを回転自在に支持する。また、ハウジング27には、オルダムリング29が配置されるオルダムリング空間Srが形成される。
駆動モータ24は、円筒部材20aの内壁面に固定された環状のステータ33と、ステータ33の内側に、僅かな隙間(エアギャップ通路)を空けて回転自在に収容されたロータ32とを有する。ステータ33は、コイルを有して構成されている。ロータ32は、円筒部材20aの軸心に沿って上下方向に延びるように配置されたクランクシャフト25を介して可動スクロール23と連結される。ロータ32が回転することで、可動スクロール23は、固定スクロール22に対して公転する。
クランクシャフト25は、駆動モータ24の駆動力を可動スクロール23に伝達する。クランクシャフト25は、円筒部材20aの軸心に沿って上下方向に延びるように配置され、駆動モータ24のロータ32と、スクロール圧縮機構21の可動スクロール23とを連結する。クランクシャフト25は、円筒部材20aの軸心と中心軸が一致する主軸25aと、円筒部材20aの軸心に対して偏心した偏心部25bとを有する。偏心部25bは、前述のように可動スクロール23のボス部23cに挿入される。なお、偏心部25bの径方向外側には、偏心部25bを軸支する円筒形状の金属部材であるピン軸受31が設けられている。主軸25aは、ピン軸受31、ハウジング27の上部軸受部27bの上部軸受35、および、後述する下部軸受26により、回転自在に支持される。主軸25aは、上部軸受35と下部軸受26との間で、駆動モータ24のロータ32に連結される。クランクシャフト25の内部には、スクロール圧縮機構21等に冷凍機油Oを供給するための給油経路39が形成される。主軸25aの下端は、ケーシング20の下部に形成された油溜め部37の油溜まり空間So内に位置し、油溜まり空間Soの冷凍機油Oは、給油経路39を通じてスクロール圧縮機構21等に供給される。
バランスウェイト30は、クランクシャフト25とは別部材であって環状を呈し、主軸25aに嵌め込まれている。バランスウェイト30は、円筒形状部分30aと、円筒形状部分30aの周方向の一部に形成された偏心部分30bと、を有する。円筒形状部分30aの重心はクランクシャフト25の軸心上にあり、軸方向視において円形状を呈している。偏心部分30bは、重心がクランクシャフト25の軸心から偏心しており、具体的には、クランクシャフト25の軸心から所定方向へと偏心している。これにより、バランスウェイト30全体の重心も、クランクシャフト25の軸心から所定方向へと偏心している。上述の通り、可動スクロール23は、その中心近傍がクランクシャフト25の偏心部25bによって摺動自在に支持される。これにより、可動スクロール23も、偏心部25bと同じ方向に偏心している。以上の構造により、所定方向を偏心部25bの偏心方向とは反対へと向けて、バランスウェイト30を主軸25aに配設することで、可動スクロール23とバランスをとることができるため、クランクシャフト25の振れが防止される。
下部軸受26は、駆動モータ24の下方に配置される。下部軸受26は、円筒部材20aの内側下方において固定される。下部軸受26は、クランクシャフト25の下端側の軸受を構成し、クランクシャフト25の主軸25aを回転自在に支持する円筒形状の金属部材である。
次に、圧縮機11の動作について説明する。
駆動モータ24が起動すると、ロータ32がステータ33に対して回転し、ロータ32と固定されたクランクシャフト25が回転する。クランクシャフト25が回転すると、クランクシャフト25に連結された可動スクロール23が固定スクロール22に対して公転する。そして、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が、吸入配管4eを通って、圧縮室Scの周縁側から、圧縮室Scに吸引される。可動スクロール23が公転するのに従い、吸入配管4eと圧縮室Scとは連通しなくなる。そして、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って、圧縮室Scの圧力が上昇し始める。
圧縮室Sc内の冷媒は、圧縮室Scの容積が減少するのに伴って圧縮され、最終的に高圧のガス冷媒となる。高圧のガス冷媒は、固定側鏡板22aの中心付近に位置する吐出口22dから吐出される。その後、高圧のガス冷媒は、固定スクロール22およびハウジング27に形成された図示しない冷媒通路を通過して、高圧空間Shへ流入する。高圧空間Shに流入した、スクロール圧縮機構21による圧縮後の、冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒は、吐出配管4dから吐出される。
(3)膨張弁9の構造
膨張弁9としては、例えば、図4に示すような、ニードル93bを有する弁体93を用いた電子膨張弁を用いることができる。
この膨張弁9は、コイル91、ロータ92、弁体93、ケーシング94、弁座部材95等を主として有している。
コイル91は、弁体93の長手方向を軸方向とした場合の周方向に設けられている。
ロータ92は、コイル91によって回転駆動される。ロータ92は、回転することで、ねじ軸方向に移動する。
弁体93は、シャフト93aとニードル93bにより構成されている。シャフト93aは円筒形状で上下に延びており、一端がロータ92に対して同軸状となるように取り付けられており、ロータ92と共に軸方向に移動する。ニードル93bは、シャフト93aの下端において下方を向いた円錐状に設けられている。ニードル93bは、後述の弁体側空間96内に突出している。
ケーシング94は、コイル91、ロータ92、弁体93のうちのシャフト93a等を内部に収容している。
弁座部材95は、ケーシング94の下方に設けられている。弁座部材95は、第1連結部97、第2連結部98と、第1連結部97と第2連結部98とを連通させるための弁体側空間96と、弁体側空間96と第1連結部97との間に設けられた弁座99と、を有している。弁座99は、弁体93のニードル93bを径方向外側の下方から対向するように、漏斗状に形成されている。
このようにして、第1連結部97または第2連結部98から流入した高圧液冷媒は、ニードル93bと弁座99との隙間を通過することによって減圧される。なお、その際における減圧の度合いは、ロータ92の回転によって弁体93を進退させて、ニードル93bと弁座99との隙間の大きさを変更することによって調整される。
上記ニードル93bを有する弁体93は、例えば、SUS製または真鍮製とすることができる。SUS製の弁体93としては、例えば、SUS304等のように、クロム含有量が10.5質量%以上、炭素含有量が1.2質量パーセント以下の鋼であるステンレス鋼で構成されるものが挙げられる。また、真鍮製の弁体93としては、例えば、亜鉛が20質量%以上である銅合金が挙げられる。ニードル93bを有する弁体93がこのような素材で構成されていても、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa以下であり、冷凍機油が3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有しており、油溜め部37における冷凍機油の温度が120℃以下に維持されるため、冷媒の分解が抑制され、分解物による弁体93の腐食が抑制される。
(4)実施形態の特徴
冷媒として用いられる1,2-ジフルオロエチレンや他のハイドロフルオロオレフィンは、不安定であり、分解が生じやすい。これに対して、本実施形態では、冷媒として、1,2-ジフルオロエチレンや他のハイドロフルオロオレフィンの単独冷媒を用いるのではなく、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、1種類以上のハイドロフルオロカーボンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒と、のいずれかの混合冷媒を用いている。これにより、1,2-ジフルオロエチレンや他のハイドロフルオロオレフィンの不均化反応を抑制することが可能となる。
また、1,2-ジフルオロエチレンや他のハイドロフルオロオレフィンは、高温環境において分解が生じやすく、冷媒回路の中でも特に高温の冷凍機油と共に存在する箇所において分解が生じやすいことが明らかになった。そして、このような冷媒の熱による分解によって生じる冷媒劣化物からフッ化水素酸等の酸が発生し、冷媒回路の構成要素を腐食させてしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10の内部の空気の圧力を667Pa以下としつつ、冷凍機油に3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有させるだけでなく、油溜め部37における冷凍機油の温度が120℃以下に維持されている。これにより、冷凍機油と共に存在している冷媒の分解が十分に抑制され、分解物からフッ化水素酸等の酸が発生することも抑制され、冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制される。特に、本実施形態では、油溜め部37における冷凍機油の温度を120℃まで高めることができるため、運転可能な条件範囲を広くすることができている。
なお、図5に、本実施形態の空気調和装置1が備える冷媒回路10を対象として、冷凍機油に酸捕捉剤を3.0重量%配合させ、空気圧力を違えた場合における圧縮機11から吐出される吐出ガス温度と酸価との関係を示す。ここでは、冷媒として1,2-ジフルオロエチレンとHFO-1234yfの混合冷媒(重量比が40質量部:60質量部)を用い、酸捕捉剤としてエポキシ系酸捕捉剤を3.0重量%配合させた冷凍機油(PVE)を用いて、定格運転を2000時間行った後の冷凍機油を対象として、JIS K 2211の規定に従って酸価を測定した。なお、酸価の値は、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数である。
また、冷凍機油に酸捕捉剤を2.0重量%配合させ、他の条件は図5に示す測定と同様にしつつ、空気圧力を違えた場合における圧縮機11から吐出される吐出ガス温度と酸価との関係を、図6に示す。ここでは、酸捕捉剤としてエポキシ系酸捕捉剤を2.0重量%配合させた冷凍機油(PVE)を用いた。
図5および図6に示すように、冷媒回路10中に含まれる空気の圧力が低いほど、酸価が小さく抑えられることが分かる。そして、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路10中の空気の圧力が667Pa以下であり、圧縮機11の吐出ガス温度が120℃以下に維持されるため、酸価を基準となる0.10(mgKOH/g)以下に抑えることができており、冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制されていることが分かる。なお、ここでは、油溜め部37に貯留されている冷凍機油は、圧縮機11の圧縮機構21よりも高圧側に位置し、高圧が作用することから、圧縮機11の吐出ガス温度が油温検知センサ79の検出温度に対応するものとしている。
(5)他の実施形態
(5-1)他の実施形態A
上記実施形態では、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa以下であり、冷凍機油が3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有しており、油溜め部37における冷凍機油の温度が120℃以下に維持される空気調和装置1を例として挙げて説明した。
これに対して、空気調和装置1としては、これに限られるものではなく、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が1333Pa以下であり、冷凍機油において酸捕捉剤が含有されていないか、または、3.0重量%未満の酸捕捉剤を含有しており、油溜め部37における冷凍機油の温度が100℃以下に維持される空気調和装置であってもよく、900℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。この場合は、冷凍機油において酸捕捉剤が1.0重量%以上2.5重量%以下含有されていてもよいし、2.0重量%含有されていてもよい。
この場合においても、図5および図6の試験結果に基づいて把握されるように、冷凍機油と共に存在している冷媒の分解が十分に抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制される。具体的には、図5と図6の比較によれば、冷凍機油における酸補足剤の配合量1.0重量%程度低い場合には、油溜め部37における冷凍機油の上限温度が20度程度低い温度以下、より好ましくは30度程度低い温度以下となるように維持させることで、冷媒の分解が抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制されることが分かる。また、図5、図6によれば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa程度分だけ高くなる場合であっても、油溜め部37における冷凍機油の上限温度が20℃程度低い温度以下となるように維持させることで、冷媒の分解が抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制されることが分かる。
(5-2)他の実施形態B
また、空気調和装置1としては、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が2000Pa以下であり、冷凍機油が3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有しており、油溜め部37における冷凍機油の温度が100℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。
この場合においても、図5の試験結果から把握されるように、冷凍機油と共に存在している冷媒の分解が十分に抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制される。
(5-3)他の実施形態C
また、空気調和装置1としては、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が2000a以下であり、冷凍機油において酸捕捉剤が含有されていないか、または、3.0重量%未満の酸捕捉剤を含有しており、油溜め部37における冷凍機油の温度が80℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。この場合は、冷凍機油において酸捕捉剤が1.0重量%以上2.5重量%以下含有されていてもよい。
この場合においても、図5および図6の試験結果に基づいて把握されるように、冷凍機油と共に存在している冷媒の分解が十分に抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制される。具体的には、図5と図6の比較によれば、冷凍機油における酸補足剤の配合量1.0重量%程度低い場合には、油溜め部37における冷凍機油の上限温度が20度程度低い温度以下、より好ましくは30度程度低い温度以下となるように維持させることで、冷媒の分解が抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制されることが分かる。また、図5、図6によれば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa程度分だけ高くなる場合であっても、油溜め部37における冷凍機油の上限温度が20℃程度低い温度以下となるように維持させることで、冷媒の分解が抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制されることが分かる。これらにより、冷媒回路10の内部の空気の圧力が2000a以下である場合には、油溜め部37における冷凍機油の温度が80℃以下に維持される空気調和装置であればよいことが分かる。
(5-4)他の実施形態D
また、空気調和装置1としては、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が4000Pa以下であり、冷凍機油が3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有しており、油溜め部37における冷凍機油の温度が80℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。
この場合においても、図5の試験結果に基づいて把握されるように、冷凍機油と共に存在している冷媒の分解が十分に抑制され、分解物による冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制される。
(5-5)他の実施形態E
上記実施形態および他の実施形態では、油溜め部37に貯留された冷凍機油の温度が所定の上限値以下となるように制御される場合を例に挙げて説明した。
これに対して、例えば、油溜め部37に貯留された冷凍機油の所定の上限温度を、冷媒回路10の内部の空気の圧力に基づいて定めるようにしてもよい。具体的には、以下の式に冷媒回路10の内部の空気の圧力の値を代入することで把握される冷凍機油の温度を、上限温度としてもちいてもよい。以下の式は、冷凍機油の温度と冷媒回路10の内部の空気の圧力に応じた冷媒の分解の様子を示す実験結果に基づいて得られたものである。
0.1=((8×10-5×133.322×空気の圧力(Pa))+0.0017)×(冷凍機油の温度(℃))+(-0.0032×133.322×空気の圧力(Pa)-0.15)
(5-6)他の実施形態F
また、空気調和装置1としては、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa以下であり、冷凍機油において酸捕捉剤が2.0重量%以上含有されており、油溜め部37における冷凍機油の温度が120℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。
(5-7)他の実施形態G
また、空気調和装置1としては、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が667Pa以下であり、冷凍機油において酸捕捉剤が0.3重量%以上含有されており、油溜め部37における冷凍機油の温度が100℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。
(5-8)他の実施形態H
また、空気調和装置1としては、例えば、冷媒回路10の内部の空気の圧力が1333Pa以下であり、冷凍機油において酸捕捉剤が0.3重量%以上含有されており、油溜め部37における冷凍機油の温度が80℃以下に維持される空気調和装置であってもよい。
(5-9)他の実施形態I
上記実施形態では、油温検知センサ79の検知する冷凍機油の温度に基づいて圧縮機11等の冷媒回路10の構成要素を制御する場合を例として挙げて説明した。
これに対して、例えば、圧縮機11の回転数と油溜め部37の冷凍機油の温度との相関関係をデータとしてメモリに保持しておき、当該データに基づいて油溜め部37の冷凍機油の温度が所定値以下に維持されるように回転数を制御するようにしてもよい。
また、例えば、圧縮機11から吐出される冷媒の温度である吐出温度と油溜め部37の冷凍機油の温度との相関関係をデータとしてメモリに保持しておき、当該データに基づいて油溜め部37の冷凍機油の温度が所定値以下に維持されるように吐出温度を制御するようにしてもよい。
さらに、例えば、圧縮機11から吐出される冷媒の圧力である吐出圧力と油溜め部37の冷凍機油の温度との相関関係をデータとしてメモリに保持しておき、当該データに基づいて油溜め部37の冷凍機油の温度が所定値以下に維持されるように吐出圧力を制御するようにしてもよい。
(5-10)他の実施形態J
上記実施形態では、圧縮機11として高圧ドーム型のものを用いた冷媒回路10を有する空気調和装置1を例として挙げて説明した。
これに対して、例えば、空気調和装置1においては、低圧ドーム型の圧縮機11aを用いた冷媒回路10を有するようにしてもよい。なお、用いる冷媒および冷凍機油については、上記実施形態と同様である。
他の実施形態Jに係る空気調和装置1としては、図7に示す冷媒回路10を有する。なお、上記実施形態と同様の箇所については、同じ参照符号を付しており、説明を省略する。
この冷媒回路10は、上記実施形態の膨張弁9の代わりに第1膨張弁9aおよび第2膨張弁9bを有し、インジェクション配管4fを備えている。第1膨張弁9aは、高圧レシーバ8と室外熱交換器13との間に設けられている。第2膨張弁9bは、高圧レシーバ8と液側閉鎖弁17との間に設けられている。インジェクション配管4fは、高圧レシーバ8と圧縮機11aとを接続している。以下、圧縮機11aの詳細を説明する。
圧縮機11aは、いわゆる低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。圧縮機11aは、図8に示されるように、主として、ケーシング54と、圧縮機構40と、フローティング部材47と、ハウジング52と、シール部材55と、モータ58と、クランクシャフト59と、下部軸受ハウジング62とを有する。
ケーシング54は、略円筒状の円筒部材54aと、円筒部材54aの上端に取り付けられる上蓋54bと、円筒部材54aの下端に取り付けられる下蓋54cとを有する。円筒部材54aと、上蓋54bおよび下蓋54cとは、気密を保つように溶接により固定される。ケーシング54には、圧縮機構40、フローティング部材47、ハウジング52、シール部材55、モータ58、クランクシャフト59および下部軸受ハウジング62を含む圧縮機11aの構成部品が収容される。
ケーシング54の上部には、圧縮機構40が設置される。圧縮機構40の下方には、フローティング部材47およびハウジング52が設置される。ハウジング52の下方には、モータ58が設置される。モータ58の下方には、下部軸受ハウジング62が設置される。
ケーシング54の底部には、油溜め部37aが形成されている。油溜め部37aは、圧縮機構40等を潤滑するための冷凍機油が貯留される油溜まり空間Soを有している。油溜め部37aは、ケーシング54の一部であって、下部軸受ハウジング62より下方の部分に相当する。例えば、油溜め部37aは、図8に示されるように、下蓋54cと、円筒部材54aの下端部とから構成される。油溜め部37aの外側の表面には、油温検知センサ79が取り付けられている。油温検知センサ79は、油溜め部37aに貯留されている冷凍機油の温度を計測する。
ケーシング54の内部空間は、第1流路56によって、第1空間S1と第2空間S2とに仕切られている。第1空間S1は、第1流路56より下側の空間である。第2空間S2は、第1流路56より上側の空間である。第1流路56は、第1空間S1と第2空間S2との間で気密が保たれるように、圧縮機構40およびケーシング54に溶接により固定されている。
第1流路56は、平面視において環状に形成された板状の部材である。第1流路56の内周側は、全周にわたって、圧縮機構40の固定スクロール41の上部に固定されている。第1流路56の外周側は、全周にわたって、ケーシング54の内面に固定されている。
第1空間S1は、モータ58が設置される空間である。第1空間S1は、圧縮機11aを有する冷媒回路10から、圧縮機11aによって圧縮される前の冷媒が流入する空間である。第1空間S1は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒が流入する空間である。
第2空間S2は、圧縮機構40から吐出される冷媒(圧縮機構40により圧縮された冷媒)が流入する空間である。第2空間S2は、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒が流入する空間である。
ケーシング54には、吸入配管4e、吐出配管4dおよびインジェクション配管4fが、ケーシング54の内部と外部とを連通するように取り付けられている。
吸入配管4eは、ケーシング54の上下方向(鉛直方向)における中央付近に取り付けられている。具体的には、図8に示されるように、吸入配管4eは、ハウジング52とモータ58との間の高さ位置において、円筒部材54aに水平方向に取り付けられている。吸入配管4eは、ケーシング54の外部と、ケーシング54の内部の第1空間S1とを連通する。圧縮前の冷媒(冷凍サイクルにおける低圧の冷媒)は、吸入配管4eを通って、第1空間S1に流入する。
吐出配管4dは、ケーシング54の上部であって、第1流路56より上方の高さ位置に取り付けられている。具体的には、図8に示されるように、吸入配管4eは、上蓋54bに水平方向に取り付けられている。吐出配管4dは、ケーシング54の外部と、ケーシング54の内部の第2空間S2とを連通する。圧縮機構40により圧縮されて第2空間S2に流入した冷媒(冷凍サイクルにおける高圧の冷媒)は、吐出配管4dを通って、圧縮機11aの外部に流出する。
インジェクション配管4fは、ケーシング54の上部であって、第1流路56より下方の高さ位置に取り付けられている。具体的には、図8に示されるように、インジェクション配管4fは、圧縮機構40の高さ位置において、円筒部材54aに水平方向に取り付けられている。インジェクション配管4fのケーシング54内部側の端部は、図8に示されるように、圧縮機構40の固定スクロール41に接続されている。インジェクション配管4fは、固定スクロール41に形成された通路(図示せず)を介して、圧縮機構40内部の圧縮途中の圧縮室Scと連通している。圧縮機11aを有する冷媒回路10から、中間圧の冷媒(冷凍サイクルにおける低圧と高圧との中間の圧力の冷媒)が、インジェクション配管4fを通って、圧縮途中の圧縮室Scに供給される。
圧縮機構40は、主として、固定スクロール41と可動スクロール42とを有する。固定スクロール41および可動スクロール42は、互いに組み合わされて圧縮室Scを形成する。圧縮機構40は、圧縮室Scにおいて冷媒を圧縮して、圧縮された冷媒を吐出する。
固定スクロール41は、図8に示されるように、ハウジング52の上に戴置されている。固定スクロール41およびハウジング52は、ボルト等の固定手段により互いに固定されている。
固定スクロール41は、円板状の固定側鏡板41aと、渦巻状の固定側ラップ41bと、周縁部41cとを有する。固定側ラップ41bおよび周縁部41cは、固定側鏡板41aの前面(下面)から可動スクロール42側(下方)に延びている。固定スクロール41を下から見ると、固定側ラップ41bは、固定側鏡板41aの中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。周縁部41cは、円筒形状を有する。周縁部41cは、固定側ラップ41bを取り囲むように、固定側鏡板41aの外周側に位置する。
圧縮機11aの運転時において、可動スクロール42が固定スクロール41に対して旋回することで、第1空間S1から周縁側の圧縮室Scに流入した冷媒(冷凍サイクルにおける低圧の冷媒)は、最内側(中央側)の圧縮室Scへ移動するにつれ圧縮される。固定側鏡板41aの中心付近には、圧縮室Scで圧縮された冷媒を吐出する吐出ポート41dが、固定側鏡板41aをその厚さ方向(上下方向)に貫通して形成されている。吐出ポート41dは、最内側の圧縮室Scと連通している。固定側鏡板41aの上方には、吐出ポート41dを開閉する吐出弁43が取り付けられている。吐出ポート41dと連通する最内側の圧縮室Scの圧力が、吐出弁43より上方の空間(第2空間S2)の圧力に比べて所定値以上大きくなった場合、吐出弁43が開き、吐出ポート41dから第2空間S2へ冷媒が流入する。
固定側鏡板41aの吐出ポート41dの外周側には、リリーフ穴41eが、固定側鏡板41aをその厚さ方向に貫通して形成されている。リリーフ穴41eは、吐出ポート41dと連通する最内側の圧縮室Scよりも外周側に形成される圧縮室Scと連通している。リリーフ穴41eは、圧縮機構40の圧縮途中の圧縮室Scと連通している。リリーフ穴41eは、固定側鏡板41aに複数形成されていてもよい。固定側鏡板41aの上方には、リリーフ穴41eを開閉するリリーフ弁44が取り付けられている。リリーフ穴41eと連通する圧縮室Scの圧力が、リリーフ弁44より上方の空間(第2空間S2)の圧力に比べて所定値以上大きくなった場合、安全弁であるリリーフ弁44が開き、リリーフ穴41eから第2空間S2へ冷媒が流入する。
可動スクロール42は、円板状の可動側鏡板42aと、渦巻状の可動側ラップ42bと、円筒状のボス部42cとを有する。可動側ラップ42bは、可動側鏡板42aの前面(上面)から固定スクロール41側(上方)に延びている。ボス部42cは、可動側鏡板42aの背面(下面)からモータ58側(下方)に延びている。可動スクロール42を上から見ると、可動側ラップ42bは、可動側鏡板42aの中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。
固定スクロール41の固定側ラップ41bと、可動スクロール42の可動側ラップ42bとは、互いに組み合わされて圧縮室Scを形成する。固定スクロール41および可動スクロール42は、固定側鏡板41aの前面(下面)と可動側鏡板42aの前面(上面)とが対向するように組み合わされる。これにより、固定側鏡板41a、固定側ラップ41b、可動側ラップ42bおよび可動側鏡板42aに囲まれた圧縮室Scが形成される。
圧縮機構40は、対称ラップ構造または非対称ラップ構造を有する。対称ラップ構造を有する圧縮機構40では、可動側ラップ42bの外周面と固定側ラップ41bの内周面とによって囲まれる第1の圧縮室と、可動側ラップ42bの内周面と固定側ラップ41bの外周面とによって囲まれる第2の圧縮室とが、鉛直方向に沿って見た場合に、点対称に形成されている。非対称ラップ構造を有する圧縮機構40では、第1の圧縮室と、第2の圧縮室とが、鉛直方向に沿って見た場合に、点対称に形成されていない。
可動側鏡板42aは、フローティング部材47の上方に配置されている。圧縮機11aの運転中には、フローティング部材47は、フローティング部材47の下方に形成される背圧空間Sbの圧力によって可動スクロール42に向かって押される。これにより、フローティング部材47の上部の押圧部50が、可動側鏡板42aの背面(下面)に接触すると、フローティング部材47は、可動スクロール42を固定スクロール41に向かって押し付ける。フローティング部材47が可動スクロール42を固定スクロール41に向かって押し付ける力により、可動スクロール42は固定スクロール41に密着する。これにより、固定側ラップ41bの歯先(先端面)と可動側鏡板42aの底面(歯先と接触する主表面)との間の隙間、および、可動側ラップ42bの歯先と固定側鏡板41aの底面との間の隙間からの冷媒の漏れが抑制される。
背圧空間Sbは、フローティング部材47とハウジング52との間に形成される空間である。背圧空間Sbは、図9に示されるように、主として、フローティング部材47の背面側(下方側)に形成される。背圧空間Sbには、圧縮機構40の圧縮室Scの冷媒が導かれる。背圧空間Sbと、背圧空間Sbの周りの第1空間S1との間は、シールされている。圧縮機11aの運転中、背圧空間Sbの圧力は、第1空間S1内の圧力よりも高い。
可動スクロール42とフローティング部材47との間には、オルダム継手45が配置される。オルダム継手45は、可動スクロール42およびフローティング部材47の両方と摺動自在に係合する。オルダム継手45は、可動スクロール42の自転を抑制しつつ、可動スクロール42を固定スクロール41に対して旋回させる。
ボス部42cは、フローティング部材47の内面によって囲まれた偏心部空間51に配置されている。ボス部42cの内部には、第1軸受メタル46が配置されている。第1軸受メタル46は、例えば、ボス部42cの内部に圧入され固定されている。第1軸受メタル46には、クランクシャフト59の偏心部60が挿入されている。第1軸受メタル46に偏心部60が挿入されることで、可動スクロール42とクランクシャフト59とが連結される。
フローティング部材47は、可動スクロール42の背面側(固定スクロール41が配置される側とは反対側)に配置される。フローティング部材47は、背圧空間Sbの圧力によって可動スクロール42に向かって押されることで、可動スクロール42を固定スクロール41に向かって押し付ける。フローティング部材47の一部は、クランクシャフト59を支持する軸受としても機能する。
フローティング部材47は、主として、円筒状の本体部47aと、押圧部50と、上部軸受ハウジング48とを有する。
本体部47aは、本体部47aの内面により囲まれた偏心部空間51を形成する。偏心部空間51には、可動スクロール42のボス部42cが配置される。
押圧部50は、本体部47aの上端から可動スクロール42に向かって延びている円筒形状の部材である。図9に示されるように、押圧部50の上端のスラスト面50aは、可動スクロール42の可動側鏡板42aの背面と対向する。スラスト面50aは、平面視において環状に形成されている。フローティング部材47が、背圧空間Sbの圧力によって可動スクロール42に向かって押されると、スラスト面50aが可動側鏡板42aの背面と接触して、可動スクロール42を固定スクロール41に向かって押し付ける。
上部軸受ハウジング48は、本体部47aの下方(偏心部空間51の下方)に配置される円筒形状の部材である。上部軸受ハウジング48の内部には、第2軸受メタル49が配置されている。第2軸受メタル49は、例えば、上部軸受ハウジング48の内部に圧入され固定されている。第2軸受メタル49は、クランクシャフト59の主軸61を回転自在に支持する。
ハウジング52は、固定スクロール41およびフローティング部材47の下方に配置される略円筒形状の部材である。ハウジング52は、フローティング部材47を支持する。ハウジング52とフローティング部材47との間には背圧空間Sbが形成される。ハウジング52は、例えば、圧入によってケーシング54の内面に取り付けられている。
シール部材55は、フローティング部材47とハウジング52との間に背圧空間Sbを形成するための部材である。シール部材55は、例えば、Oリング等のガスケットである。図9に示されるように、シール部材55は、背圧空間Sbを、第1室B1と第2室B2とに区画する。第1室B1および第2室B2は、平面視において略円環状に形成されている空間である。第2室B2は、第1室B1の内側に配置される。平面視において、第1室B1の面積は、第2室B2の面積より大きい。
第1室B1は、圧縮途中の圧縮室Scと、第1流路56を介して連通している。第1流路56は、圧縮機構40における圧縮途中の冷媒(中間圧の冷媒)を第1室B1に導く流路である。第1流路56は、固定スクロール41およびハウジング52に形成されている。
第2室B2は、固定スクロール41の吐出ポート41dと、第2流路57を介して連通している。第2流路57は、圧縮機構40から吐出された冷媒(高圧の冷媒)を第2室B2に導く流路である。第2流路57は、固定スクロール41およびハウジング52に形成されている。
圧縮機11aの運転中、第2室B2の圧力は、第1室B1の圧力より高い。しかし、平面視において第1室B1の面積は第2室B2の面積より大きいので、背圧空間Sbの圧力による、可動スクロール42の固定スクロール41への押し付け力が過大になりにくい。第2室B2は第1室B1よりも内側に配置されているので、圧縮室Scの圧力により可動スクロール42が下方に押される力と、フローティング部材47により可動スクロール42が上方に押される力との間のバランスが確保されやすい。
モータ58は、可動スクロール42を駆動する。モータ58は、ステータ58aとロータ58bとを有する。ステータ58aは、ケーシング54の内面に固定された環状の部材である。ロータ58bは、ステータ58aの内側に配置される円筒形状の部材である。ステータ58aの内周面と、ロータ58bの外周面との間には、僅かな隙間(エアギャップ)が形成されている。
ロータ58bは、その軸方向に沿ってクランクシャフト59が貫通している。ロータ58bは、クランクシャフト59を介して可動スクロール42と連結されている。モータ58は、ロータ58bが回転することで可動スクロール42を駆動し、可動スクロール42を固定スクロール41に対して旋回させる。
クランクシャフト59は、モータ58のロータ58bと、圧縮機構40の可動スクロール42とを連結する。クランクシャフト59は、上下方向に延びる。クランクシャフト59は、モータ58の駆動力を可動スクロール42に伝達する。
クランクシャフト59は、主として、偏心部60と主軸61とを有する。
偏心部60は、主軸61の上方に配置される。偏心部60の中心軸は、主軸61の中心軸に対して偏心している。偏心部60は、可動スクロール42のボス部42cの内部に配置された第1軸受メタル46に連結される。
主軸61は、フローティング部材47の上部軸受ハウジング48に配置された第2軸受メタル49、および、下部軸受ハウジング62に配置された第3軸受メタル63によって、回転自在に支持される。主軸61は、上部軸受ハウジング48と下部軸受ハウジング62との間で、モータ58のロータ58bに連結される。主軸61は、上下方向に延びる。
クランクシャフト59の内部には、油通路(図示せず)が形成されている。油通路は、主経路と分岐経路とを有する。主経路は、クランクシャフト59の下端から上端まで、クランクシャフト59の軸方向に延びる。分岐経路は、主経路から、クランクシャフト59の径方向に延びる。油溜め部37aの冷凍機油は、クランクシャフト59の下端に設けられたポンプ(図示せず)により汲み上げられ、油経路を通って、クランクシャフト59と、第1軸受メタル46、第2軸受メタル49および第3軸受メタル63のそれぞれとの摺動部、および、圧縮機構40の摺動部等に供給される。
下部軸受ハウジング62は、ケーシング54の内面に固定されている。下部軸受ハウジング62は、モータ58の下方に配置される。下部軸受ハウジング62の内部には、第3軸受メタル63が配置されている。第3軸受メタル63は、例えば、下部軸受ハウジング62の内部に圧入され固定されている。第3軸受メタル63には、クランクシャフト59の主軸61が通過している。第3軸受メタル63は、クランクシャフト59の主軸61の下部側を回転自在に支持する。
以下、通常状態における圧縮機11aの動作について説明する。通常状態とは、圧縮機構40の吐出ポート41dから吐出される冷媒の圧力が、圧縮途中の圧縮室Scの圧力よりも高い状態である。
モータ58が駆動すると、ロータ58bが回転し、ロータ58bと連結されたクランクシャフト59も回転する。クランクシャフト59が回転すると、オルダム継手45により、可動スクロール42は、自転することなく、固定スクロール41に対して旋回する。吸入配管4eから第1空間S1に流入した低圧の冷媒は、ハウジング52に形成された冷媒通路(図示せず)を通過して、圧縮機構40の周縁側の圧縮室Scに吸入される。可動スクロール42が旋回すると、第1空間S1と圧縮室Scとは連通しなくなり、圧縮室Scの容積が減少して、圧縮室Scの圧力が上昇する。圧縮途中の圧縮室Scには、インジェクション配管4fから中間圧の冷媒がインジェクションされる。冷媒の圧力は、周縁側(外側)の圧縮室Scから、中央側(内側)の圧縮室Scへ移動するにつれて上昇し、最終的に冷凍サイクルにおける高圧となる。圧縮機構40によって圧縮された冷媒は、固定側鏡板41aの吐出ポート41dから第2空間S2に吐出される。第2空間S2の高圧の冷媒は、吐出配管4dから吐出される。
以上の圧縮機11aでは、油溜め部37aに貯留されている冷凍機油は、圧縮機構40に対して低圧側に位置しており、低圧が作用する。このため、上記実施形態の高圧ドーム型の圧縮機11のように高圧冷媒が作用する場合と比較して、冷凍機油の温度の上昇を抑制させやすい。
なお、図10に、他の実施形態Jの空気調和装置1が備える冷媒回路10を対象として、空気圧力を違えた場合における圧縮機11aから吐出される吐出ガス温度と酸価との関係を示す。ここでは、冷媒として1,2-ジフルオロエチレンとHFO-1234yfの混合冷媒(重量比が40質量部:60質量部)を用い、酸捕捉剤としてエポキシ系酸捕捉剤を3.0重量%配合させた冷凍機油(PVE)を用いて、定格運転を2000時間行った後の冷凍機油を対象として、JIS K 2211の規定に従って測定した。
図10に示すように、他の実施形態Jにおける低圧ドーム型の圧縮機11aが用いられた空気調和装置1では、上記実施形態における高圧ドーム型の圧縮機11が用いられた空気調和装置1と比較して、同じ吐出温度であっても、酸価が小さく抑えられていることが分かる。これは、低圧ドーム型の圧縮機11aの油溜め部37aが、圧縮機構40よりも低圧側に位置しており、低圧冷媒が作用することから、油溜め部37aに貯留されている冷凍機油の温度が低く抑えられていることによるものと考えられる。このため、低圧ドーム型の圧縮機11aを用いる場合には、特に、冷媒回路10の構成要素の腐食が抑制される。
例えば、低圧ドーム型の圧縮機11aを用いた空気調和装置1としては、冷媒回路10の内部の空気の圧力を667Pa以下とし、冷凍機油に3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を配合させつつ、油溜め部37aにおける冷凍機油の温度が140℃以下に維持されるものであってもよい。さらに、低圧ドーム型の圧縮機11aを用いた空気調和装置1としては、冷媒回路10の内部の空気の圧力を1333Pa以下とし、冷凍機油に3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を配合させつつ、油溜め部37aにおける冷凍機油の温度が140℃以下に維持されるものであってもよい。さらに、低圧ドーム型の圧縮機11aを用いた空気調和装置1としては、冷媒回路10の内部の空気の圧力を2000Pa以下とし、冷凍機油に3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を配合させつつ、油溜め部37aにおける冷凍機油の温度が135℃以下に維持されるものであってもよい。
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
1 空気調和装置(冷媒サイクル装置)
5 ガス冷媒連絡配管
6 液冷媒連絡配管
7 制御部
9 膨張弁
10 冷媒回路
11 圧縮機
11a 圧縮機
13 室外熱交換器
18 室内熱交換器
21 圧縮機構
37 油溜め部
37a 油溜め部
79 油温検知センサ(温度検知部)
93 弁体
93b ニードル(ニードル部)
特開2019-196312号公報

Claims (11)

  1. 圧縮機(11、11a)を有する冷媒回路(10)を備え、
    前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素(21)と、冷凍機油が貯留される油溜め部(37、37a)と、を有し、
    前記冷媒回路の内部の空気の圧力は667Pa以下であり、
    前記冷凍機油は、3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有し、
    前記油溜め部における前記冷凍機油の温度が120℃以下に維持される、
    冷凍サイクル装置(1)における、
    1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒との少なくともいずれかの冷媒としての使用。
  2. 圧縮機(11、11a)を有する冷媒回路(10)を備え、
    前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素(21)と、冷凍機油が貯留される油溜め部(37、37a)と、を有し、
    前記冷媒回路の内部の空気の圧力は1333Pa以下であり、
    前記冷凍機油は、酸捕捉剤を含有しないか、または、3.0重量%未満の酸捕捉剤を含有し、
    前記油溜め部における前記冷凍機油の温度が100℃以下に維持される、
    冷凍サイクル装置(1)における、
    1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒との少なくともいずれかの冷媒としての使用。
  3. 圧縮機(11、11a)を有する冷媒回路(10)を備え、
    前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素(21)と、冷凍機油が貯留される油溜め部(37、37a)と、を有し、
    前記冷媒回路の内部の空気の圧力は2000Pa以下であり、
    前記冷凍機油は、3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有し、
    前記油溜め部における前記冷凍機油の温度が100℃以下に維持される、
    冷凍サイクル装置(1)における、
    1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒との少なくともいずれかの冷媒としての使用。
  4. 圧縮機(11、11a)を有する冷媒回路(10)を備え、
    前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素(21)と、冷凍機油が貯留される油溜め部(37、37a)と、を有し、
    前記冷媒回路の内部の空気の圧力は2000Pa以下であり、
    前記冷凍機油は、酸捕捉剤を含有しないか、または、3.0重量%未満の酸捕捉剤を含有し、
    前記油溜め部における前記冷凍機油の温度が80℃以下に維持される、
    冷凍サイクル装置(1)における、
    1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒との少なくともいずれかの冷媒としての使用。
  5. 圧縮機(11、11a)を有する冷媒回路(10)を備え、
    前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮要素(21)と、冷凍機油が貯留される油溜め部(37、37a)と、を有し、
    前記冷媒回路の内部の空気の圧力は4000Pa以下であり、
    前記冷凍機油は、3.0重量%以上5.0重量%以下の酸捕捉剤を含有し、
    前記油溜め部における前記冷凍機油の温度が80℃以下に維持される、
    冷凍サイクル装置(1)における、
    1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロカーボンを含む混合冷媒と、1,2-ジフルオロエチレンおよび1種類以上のハイドロフルオロオレフィンを含む混合冷媒との少なくともいずれかの冷媒としての使用。
  6. 前記油溜め部における前記冷凍機油の温度は、下記式に前記冷媒回路の内部の空気の圧力を代入して得られる値以下に維持される、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置における冷媒としての使用。
    0.1=((8×10-5×133.322×空気の圧力(Pa))+0.0017)×(冷凍機油の温度(℃))+(-0.0032×133.322×空気の圧力(Pa)-0.15)
  7. 前記冷凍機油には、ポリビニルエーテルとポリオールエステルの少なくともいずれかが含まれる、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置における冷媒としての使用。
  8. 前記冷媒回路の内部の水分量は、前記冷媒回路に封入される前記冷媒の量に対して300ppm以下である、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置における冷媒としての使用。
  9. 前記冷媒回路は、ニードル部(93b)を有する膨張弁(9)を有しており、
    前記ニードル部は、SUS製または真鍮製である、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置における冷媒としての使用。
  10. 前記冷媒は、1,2-ジフルオロエチレンとR32からなる冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR1234yfからなる冷媒、1,2-ジフルオロエチレンとR32とR1234yfからなる冷媒のいずれかである、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置における冷媒としての使用。
  11. 前記冷凍サイクル装置は、前記油溜め部における前記冷凍機油の温度を検知する温度検知部(79)を備えており、前記温度検知部の検知結果に基づいて前記圧縮機の回転数が制御される、
    請求項1から10のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置における冷媒としての使用。
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