以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るダイオードチップ1の切欠き斜視図である。図2は、図1に示すダイオードチップ1の平面図である。図3は、図2に示すIII-III線に沿う断面図である。図4は、図2に示すIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図2に示すV-V線に沿う断面図である。図6は、第1主面11の構造を示す平面図である。図7は、第1電極層91および第2電極層92の構造を示す平面図である。
図1~図7を参照して、ダイオードチップ1は、平面寸法に基づいて1005(1mm×0.5mm)チップ、0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称される小型のチップ部品(半導体装置)である。ダイオードチップ1は、この形態(this embodiment)では、ESD(Electro-Static Discharge)から電気回路を保護するESD保護チップからなる。
ダイオードチップ1は、直方体形状のチップ本体2を含む。チップ本体2は、パッケージを兼ねている。つまり、ダイオードチップ1(チップ本体2)は、チップサイズをパッケージサイズとして有するチップサイズパッケージからなる。チップ本体2は、一方側の第1チップ主面3、他方側の第2チップ主面4、ならびに、第1チップ主面3および第2チップ主面4を接続する4つのチップ側面5A、5B、5C、5Dを含む。
第1チップ主面3および第2チップ主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。第1チップ主面3は、実装基板等の接続対象に接続される際に当該接続対象に対向する接続面(実装面)である。第2チップ主面4は、接続面の反対側の非接続面(非実装面)である。第2チップ主面4は、研削痕を有する研削面または鏡面からなる。
チップ側面5A~5Dは、第1チップ側面5A、第2チップ側面5B、第3チップ側面5Cおよび第4チップ側面5Dを含む。第1チップ側面5Aおよび第2チップ側面5Bは、第1方向Xに延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第1チップ側面5A(第2チップ側面5B)は、チップ本体2の短辺を形成している。第3チップ側面5Cおよび第4チップ側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第3チップ側面5C(第4チップ側面5D)は、チップ本体2の長辺を形成している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。チップ側面5A~5Dは、法線方向Zに沿って延びる平坦面からなる。
チップ本体2の4つの角部は、この形態では、平面視においてチップ本体2の外方に向かう湾曲状に形成(R面取り)されている。チップ本体2の4つの角部は、C面取りされていてもよい。チップ本体2の4つの角部は、面取りされずに、角張っていてもよい。
前述の「0603」、「0402」、「03015」等は、チップ本体2の短辺の長さおよび長辺の長さによって定義される。チップ本体2の短辺の長さは、前記数値に限らず、0.05mm以上1mm以下であってもよい。チップ本体2の長辺の長さは、0.05mm以上0.1mm以下、0.1mm以上0.2mm以下、0.2mm以上0.3mm以下、0.3mm以上0.4mm以下、0.4mm以上0.5mm以下、0.5mm以上0.6mm以下、0.6mm以上0.7mm以下、0.7mm以上0.8mm以下、0.8mm以上0.9mm以下、または、0.9mm以上1mm以下であってもよい。
また、チップ本体2の長辺の長さは、前記数値に限らず、0.1mm以上2mm以下であってもよい。チップ本体2の長辺の長さは、0.1mm以上0.2mm以下、0.2mm以上0.4mm以下、0.4mm以上0.6mm以下、0.6mm以上0.8mm以下、0.8mm以上1mm以下、1mm以上1.2mm以下、1.2mm以上1.4mm以下、1.4mm以上1.6mm以下、1.6mm以上1.8mm以下、または、1.8mm以上2mm以下であってもよい。チップ本体2の短辺の長さに対するチップ本体2の長辺の長さの比は、1以上3以下であることが好ましい。
チップ本体2の厚さは、50μm以上1000μm以下であってもよい。チップ本体2の厚さは、50μm以上100μm以下、100μm以上200μm以下、200μm以上400μm以下、400μm以上600μm以下、600μm以上800μm以下、または、800μm以上1000μm以下であってもよい。チップ本体2の厚さは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。
ダイオードチップ1(チップ本体2)は、直方体形状に形成されたシリコン製の半導体チップ10を含む。半導体チップ10は、一方側の第1主面11、他方側の第2主面12、ならびに、第1主面11および第2主面12を接続する4つの側面13A、13B、13C、13Dを含む。第1主面11および第2主面12は、平面視において四角形状(この形態では長方形状)に形成されている。
第1主面11は、機能装置が形成された装置面である。第2主面12は、第2チップ主面4を形成している。側面13A~13Dは、第1側面13A、第2側面13B、第3側面13Cおよび第4側面13Dを含む。
図8は、半導体チップ10の濃度勾配を示すグラフである。図8において、縦軸は不純物濃度[cm-3]を示し、横軸は厚さ(深さ)[μm]を示している。半導体チップ10の濃度勾配は、シミュレーションによって求められている。
図8を参照して、半導体チップ10のp型不純物濃度は、1×1012cm-3以上1×1021cm-3以下である。半導体チップ10は、第1主面11側のp型不純物濃度が、第2主面12側のp型不純物濃度未満となるように形成されている。
半導体チップ10は、具体的には、第2主面12側から第1主面11側に向けてこの順に形成されたp++型の半導体基板20およびp型の半導体層21を含む積層構造を有している。半導体基板20は、半導体チップ10の第2主面12および側面13A~13Dの一部を形成している。半導体層21は、半導体基板20の厚さ未満の厚さを有し、半導体チップ10の第1主面11および側面13A~13Dの一部を形成している。
半導体基板20は、全域に亘ってほぼ一定のp型不純物濃度を有している。半導体層21は、第1主面11側のp型不純物濃度が、第2主面12側(半導体基板20側)のp型不純物濃度未満となる濃度勾配を有している。半導体層21は、具体的には、半導体基板20から第1主面11側に向けてこの順に積層されたp+型の濃度低下層22およびp型の濃度保持層23(concentration keeping layer)を含む。
半導体基板20は、厚さ方向の平均値が第1値Aとなるp型不純物濃度を有している。濃度低下層22は、厚さ方向の平均値が第1値A未満の第2値B(B<A)となるp型不純物濃度を有している。濃度保持層23は、厚さ方向の平均値が第2値B未満の第3値C(B<A<C)となるp型不純物濃度を有している。
第1値Aは、半導体チップ10の濃度勾配を関数f(x)で定義したとき、半導体基板20によって定まる区間における関数f(x)の平均値によって求められる。第2値Bは、濃度低下層22によって定まる区間における関数f(x)の平均値によって求められる。第3値Cは、濃度保持層23によって定まる区間における関数f(x)の平均値によって求められる。
半導体基板20のp型不純物濃度は、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。半導体基板20のp型不純物濃度は、この形態では、5×1019cm-3以上5×1020cm-3以下である。
半導体基板20の厚さは、10μm以上800μm以下であってもよい。半導体基板20の厚さは、10μm以上100μm以下、100μm以上200μm以下、200μm以上400μm以下、400μm以上600μm以下、または、600μm以上800μm以下であってもよい。半導体基板20の厚さは、30μm以上400μm以下であることが好ましい。
濃度低下層22は、半導体基板20の上に形成されたp+型のエピタキシャル層からなる。濃度低下層22は、半導体基板20から拡散したp型不純物を含み、半導体基板20のp型不純物濃度未満のp型不純物濃度を有する領域である。濃度低下層22は、半導体基板20から結晶成長方向に向けてp型不純物濃度が漸減する濃度勾配を有している。濃度低下層22のp型不純物濃度の減少率は、半導体基板20から結晶成長方向に向けて漸増している。
濃度低下層22は、p型不純物濃度の最小値が1×1015cm-3以上1×1017cm-3以下の範囲に位置するまで漸減している。濃度低下層22のp型不純物濃度の最小値は、この形態では、1×1016cm-3以上1×1017cm-3以下の範囲に位置している。
濃度低下層22の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。濃度低下層22の厚さは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。濃度低下層22の厚さは、この形態では、6μm以上8μm以下である。
濃度保持層23は、濃度低下層22(エピタキシャル層)の上に形成されたp型のエピタキシャル層からなる。濃度保持層23は、所定の厚さ範囲において所定のp型不純物濃度を保持し、濃度低下層22の濃度低下を抑制する。換言すると、濃度保持層23は、所定の厚さ範囲において濃度低下層22のp型不純物濃度の減少率を低減する。
濃度保持層23は、所定の厚さ範囲において5×1015cm-3以下5×1017cm-3以下のp型不純物濃度を保持することが好ましい。これにより、濃度保持層23は、半導体基板20の濃度勾配に急峻な下降領域が形成されることを抑制する。図8には、濃度保持層23が存在しない場合の濃度低下層22の濃度勾配が二点鎖線によって示されている。
濃度保持層23は、濃度遷移層24を介して濃度低下層22の上に形成されている。濃度遷移層24は、濃度勾配の傾斜が零またはほぼ零とみなせる濃度停留領域である。濃度保持層23は、この形態では、濃度低下層22のp型不純物濃度の最小値を超えるp型不純物濃度を有している。また、濃度保持層23は、濃度低下層22から結晶成長方向に向けてp型不純物濃度が漸増する濃度勾配を有している。
つまり、濃度遷移層24は、p型不純物濃度勾配が減少から増加に転じ、濃度低下層22のp型不純物濃度が濃度保持層23のp型不純物濃度に置き換わる領域である。濃度保持層23は、濃度低下層22から拡散したp型不純物、および、外部から導入されたp型不純物を含む。
このような濃度保持層23は、濃度低下層22の表層部にp型不純物を選択的に導入し、エピタキシャル層を濃度低下層22の上に形成した後、当該エピタキシャル層に濃度低下層22に導入されたp型不純物を拡散させることによって形成される。また、このような濃度保持層23は、p型不純物の導入を伴うエピタキシャル成長法によって比較的高濃度なエピタキシャル層を濃度低下層22の上に直接形成することによっても得られる。
濃度保持層23のp型不純物濃度は、濃度低下層22のp型不純物濃度の最小値を超えて5×1017cm-3以下の範囲に位置するまで漸増していてもよい。濃度保持層23のp型不純物濃度の最大値は、濃度低下層22のp型不純物濃度の最小値を超えて1×1017cm-3以下であることが好ましい。
濃度保持層23は、必ずしもp型不純物濃度が増加する濃度勾配を有している必要はない。濃度保持層23は、p型不純物濃度を所定の厚さだけ保持するのであれば、たとえば、図8に太い二点鎖線で示されたように、結晶成長方向に向けてp型不純物濃度が漸減する濃度勾配を有していてもよい。
濃度保持層23の厚さは、1μm以上10μm以下であってもよい。濃度保持層23の厚さは、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。濃度保持層23の厚さは、2μm以上5μm以下であることが好ましい。
図2~図7を参照して、ダイオードチップ1は、半導体チップ10に設定されたデバイス領域31、第1パッド領域32および第2パッド領域33を含む。デバイス領域31は、第1主面11の中央部に設定されている。デバイス領域31は、平面視において半導体チップ10の側面13A~13Dに平行な4辺を有する四角形状に設定されている。
第1パッド領域32は、デバイス領域31に対して第1主面11の一方側(第1側面13A側)の領域に設定されている。第1パッド領域32は、平面視において第1方向Xに沿って延びる帯状(長方形状)に設定されている。第2パッド領域33は、デバイス領域31に対して第1主面11の他方側(第2側面13B側)の領域に設定されている。第2パッド領域33は、平面視において第1方向Xに沿って延びる帯状(長方形状)に設定されている。
図2~図7を参照して、ダイオードチップ1は、第1主面11(半導体層21)の表層部に形成されたn+型の第1半導体領域41(第1領域)を含む。第1半導体領域41は、第1主面11のデバイス領域31に形成されている。第1半導体領域41は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23の表層部に形成されている。第1半導体領域41の底部は、濃度低下層22から第1主面11側に間隔を空けて濃度保持層23内に形成されている。
第1半導体領域41は、この形態では、第1主面11の第2方向Yに横切る中央ラインを設定したとき、当該中央ラインから外側(第3側面13C側)にずれて形成されている。第1半導体領域41は、平面視において第2方向Yに沿って延びる帯状に形成されている。第1半導体領域41の平面形状は任意である。第1半導体領域41は、多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。第1半導体領域41は、第1平面積を有している。
第1半導体領域41は、半導体層21の表層部のp型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第1半導体領域41のn型不純物濃度は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23のp型不純物濃度を超えている。第1半導体領域41のn型不純物濃度のピーク値は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい(図8も併せて参照)。第1半導体領域41のn型不純物濃度のピーク値は、5×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であることが好ましい。
第1半導体領域41の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第1半導体領域41の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第1半導体領域41の厚さは、この形態では、1μm以上3μm以下である。
第1半導体領域41は、第1内方部41Aおよび第1周縁部41Bを含む。第1内方部41Aは、第1半導体領域41の内方部を形成し、第1主面11に対して平行に延びるようにn型不純物が導入された領域である。第1周縁部41Bは、第1半導体領域41の周縁部を形成し、第1内方部41Aから外方に拡がる円弧状にn型不純物が導入された領域である。
このような第1周縁部41Bは、第1半導体領域41の周縁部を起点にn型不純物が円弧状(同心円状)に拡散することによって形成されている。第1周縁部41Bのn型不純物濃度のピーク値は、第1内方部41Aのn型不純物濃度のピーク値未満である。つまり、第1周縁部41Bは、第1内方部41Aと比較して空乏層の拡がりが不十分となる電気的性質を有している。
図2~図7を参照して、ダイオードチップ1は、第1半導体領域41外の第1主面11(半導体層21)の表層部に形成されたn+型の第2半導体領域42(第2領域)を含む。第2半導体領域42は、第1主面11のデバイス領域31に形成されている。第2半導体領域42は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23の表層部に形成されている。第2半導体領域42の底部は、濃度低下層22から第1主面11側に間隔を空けて濃度保持層23内に形成されている。
第2半導体領域42は、この形態では、第1主面11の第2方向Yに横切る中央ラインを設定したとき、当該中央ラインから外側(第4側面13D側)にずれて形成されている。第2半導体領域42は、この形態では、第1半導体領域41から第4側面13D側に間隔を空けて形成されている。第2半導体領域42は、第1方向Xに第1半導体領域41に対向している。
第2半導体領域42は、平面視において第2方向Yに沿って延びる帯状に形成されている。第2半導体領域42の平面形状は任意である。第1半導体領域41は、多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。第2半導体領域42は、第1半導体領域41の第1平面積と等しい第2平面積を有していることが好ましい。第2半導体領域42は、第1半導体領域41の平面形状と等しい平面形状を有していることが好ましい。第2半導体領域42は、第1主面11の中央部に対して第1半導体領域41と点対称となるレイアウトで形成されていることが好ましい。
第2半導体領域42は、半導体層21の表層部のp型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第2半導体領域42のn型不純物濃度は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23のp型不純物濃度を超えている。第1半導体領域41のn型不純物濃度のピーク値は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい(図8も併せて参照)。第1半導体領域41のn型不純物濃度のピーク値は、5×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であることが好ましい。
第2半導体領域42の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第2半導体領域42の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第2半導体領域42の厚さは、この形態では、1μm以上3μm以下である。第2半導体領域42の厚さは、第1半導体領域41の厚さと等しいことが好ましい。
第2半導体領域42は、第2内方部42Aおよび第2周縁部42Bを含む。第2内方部42Aは、第2半導体領域42の内方部を形成し、第1主面11に対して平行に延びるようにn型不純物が導入された領域である。第2周縁部42Bは、第2半導体領域42の周縁部を形成し、第2内方部42Aから外方に拡がる円弧状にn型不純物が導入された領域である。
このような第2周縁部42Bは、第2半導体領域42の周縁部を起点にn型不純物が円弧状(同心円状)に拡散することによって形成されている。第2周縁部42Bのn型不純物濃度のピーク値は、第2内方部42Aのn型不純物濃度のピーク値未満である。つまり、第2周縁部42Bは、第2内方部42Aと比較して空乏層の拡がりが不十分となる電気的性質を有している。
第2半導体領域42の第2周縁部42Bは、第1半導体領域41の第1周縁部41Bと一体的に形成されていてもよい。つまり、第2半導体領域42は、第1半導体領域41との間で1つのn+型の半導体領域を形成していてもよい。
図2~図7を参照して、ダイオードチップ1は、第1主面11に形成され、第1半導体領域41の第1内方部41Aを第1周縁部41Bから切り離す第1トレンチ構造50(第1溝構造)を含む。一部の図面では、便宜上、第1トレンチ構造50がクロスハッチングによって示されている。第1トレンチ構造50は、具体的には、第1トレンチ51(第1溝)、第1絶縁層52および第1ポリシリコン53を含む。
第1トレンチ51は、第1半導体領域41の第1周縁部41Bから内方に間隔を空けて形成され、第1内方部41Aを第1レイアウトおよび第1平面積S1で区画している。第1トレンチ51は、この形態では、平面視において第1周縁部41Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第1内方部41Aを帯状(長方形状)に区画している。第1トレンチ51の平面形状は任意である。第1トレンチ51は、多角環状(たとえば四角環状)や円環状(楕円環状を含む)に形成されていてもよい。
第1トレンチ51は、第1主面11を第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。第1トレンチ51は、第1半導体領域41を貫通し、半導体層21に至っている。第1トレンチ51は、この形態では、半導体層21をさらに貫通し、半導体基板20に至っている。
第1トレンチ51は、内周壁、外周壁および底壁を含む。第1トレンチ51の内周壁は、第1半導体領域41の第1内方部41A、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第1トレンチ51の外周壁は、第1半導体領域41の第1周縁部41B、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第1トレンチ51の底壁は、半導体基板20を露出させている。これにより、第1トレンチ51は、第1周縁部41Bを第1内方部41Aから電気的に切り離している。
第1トレンチ51の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して垂直に形成されていてもよい。第1トレンチ51の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して傾斜していてもよい。この場合、第1トレンチ51は、底面積が開口面積未満の先細り形状に形成されていてもよい。
第1トレンチ51は、アスペクト比が1を超えるディープトレンチによって形成されている。アスペクト比は、第1トレンチ51の幅に対する第1トレンチ51の深さによって定義される。アスペクト比は、5以上20以下であることが好ましい。
第1トレンチ51の幅は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第1トレンチ51の幅は、0.1μm以上0.5μm以上、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以上、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以上、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。第1トレンチ51の幅は、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
第1トレンチ51の深さは、1μm以上50μm以下であってもよい。第1トレンチ51の深さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上25μm以下、25μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。第1トレンチ51の深さは、15μm以上35μm以下であることが好ましい。
第1絶縁層52は、第1トレンチ51内に形成されている。第1絶縁層52は、具体的には、第1トレンチ51の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、第1絶縁層52は、第1トレンチ51内においてリセス空間を区画している。
第1絶縁層52は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第1絶縁層52は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。第1絶縁層52は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。第1絶縁層52は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
第1ポリシリコン53は、第1絶縁層52を挟んで第1トレンチ51に埋設されている。第1ポリシリコン53は、電気的に浮遊状態に形成されている。第1トレンチ構造50は、第1ポリシリコン53を有さず、第1トレンチ51に一体物として埋設された第1絶縁層52を含んでいてもよい。
このように、第1トレンチ構造50は、第1半導体領域41の第1内方部41Aにおいて第1周縁部41Bから切り離された第1pn接合部54を区画している。第1pn接合部54は、半導体層21(具体的には濃度保持層23)および第1半導体領域41の第1内方部41Aを含み、第1主面11に沿って面状に延びている。第1pn接合部54は、第1半導体領域41の第1内方部41Aをカソードとし、半導体層21(具体的には濃度保持層23)をアノードとして有する第1ツェナーダイオードD1を形成している。
図2~図7を参照して、ダイオードチップ1は、第1主面11に形成され、第2半導体領域42の第2内方部42Aを第2周縁部42Bから切り離す第2トレンチ構造60(第2溝構造)を含む。一部の図面では、便宜上、第2トレンチ構造60がクロスハッチングによって示されている。第2トレンチ構造60は、具体的には、第2トレンチ61(第2溝)、第2絶縁層62および第2ポリシリコン63を含む。
第2トレンチ61は、第2半導体領域42の第2周縁部42Bから内方に間隔を空けて形成され、第2内方部42Aを第2レイアウトおよび第2平面積S2で区画している。第2トレンチ61は、この形態では、平面視において第2周縁部42Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第2内方部42Aを帯状(長方形状)に区画している。第2トレンチ61の平面形状は任意である。第2トレンチ61は、多角環状(たとえば四角環状)や円環状(楕円環状を含む)に形成されていてもよい。
第2内方部42Aの第2レイアウトは、第1内方部41Aの第1レイアウトと等しいことが好ましい。また、第2内方部42Aの第2平面積S2は、第1内方部41Aの第1平面積S1と等しいことが好ましい。第2トレンチ61は、第1主面11の中央部に対して第1トレンチ51と点対称となるレイアウトで形成されていることが好ましい。
第2トレンチ61は、第1主面11を第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。第2トレンチ61は、第2半導体領域42を貫通し、半導体層21に至っている。第2トレンチ61は、この形態では、半導体層21をさらに貫通し、半導体基板20に至っている。
第2トレンチ61は、内周壁、外周壁および底壁を含む。第2トレンチ61の内周壁は、第2半導体領域42の第2内方部42A、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第2トレンチ61の外周壁は、第2半導体領域42の第2周縁部42B、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第2トレンチ61の底壁は、半導体基板20を露出させている。これにより、第2トレンチ61は、第2周縁部42Bを第2内方部42Aから電気的に切り離している。
第2トレンチ61の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して垂直に形成されていてもよい。第2トレンチ61の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して傾斜していてもよい。この場合、第2トレンチ61は、底面積が開口面積未満の先細り形状に形成されていてもよい。
第2トレンチ61は、アスペクト比が1を超えるディープトレンチによって形成されている。アスペクト比は、第2トレンチ61の幅に対する第2トレンチ61の深さによって定義される。アスペクト比は、5以上20以下であることが好ましい。
第2トレンチ61の幅は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第2トレンチ61の幅は、0.1μm以上0.5μm以上、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以上、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以上、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。第2トレンチ61の幅は、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。第2トレンチ61の幅は、第1トレンチ51の幅と等しいことが好ましい。
第2トレンチ61の深さは、1μm以上50μm以下であってもよい。第2トレンチ61の深さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上25μm以下、25μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。第2トレンチ61の深さは、15μm以上35μm以下であることが好ましい。第2トレンチ61の深さは、第1トレンチ51の深さと等しいことが好ましい。
第2絶縁層62は、第2トレンチ61内に形成されている。第2絶縁層62は、具体的には、第2トレンチ61の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、第2絶縁層62は、第2トレンチ61内においてリセス空間を区画している。
第2絶縁層62は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2絶縁層62は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。第2絶縁層62は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。第2絶縁層62は、第1絶縁層52と同一の絶縁材料からなることが好ましい。第2絶縁層62は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
第2ポリシリコン63は、第2絶縁層62を挟んで第2トレンチ61に埋設されている。第2ポリシリコン63は、電気的に浮遊状態に形成されている。第2トレンチ構造60は、第2ポリシリコン63を有さず、第2トレンチ61に一体物として埋設された第2絶縁層62を含んでいてもよい。
このように、第2トレンチ構造60は、第2半導体領域42の第2内方部42Aにおいて第2周縁部42Bから切り離された第2pn接合部64を区画している。第2pn接合部64は、半導体層21(具体的には濃度保持層23)および第2半導体領域42の第2内方部42Aを含み、第1主面11に沿って面状に延びている。第2pn接合部64は、第2半導体領域42の第2内方部42Aをカソードとし、半導体層21(具体的には濃度保持層23)をアノードとして有する第2ツェナーダイオードD2を形成している。
第2pn接合部64は、半導体層21(半導体基板20)を介して第1pn接合部54に逆バイアス接続されている。これにより、第2pn接合部64は、第1pn接合部54との間で1つのダイオード対65を形成している。
第2トレンチ構造60は、この形態では、第1トレンチ構造50から間隔を空けて形成されている。しかし、第1半導体領域41および第2半導体領域42が一体的に形成されている場合、第2トレンチ構造60は、第1半導体領域41および第2半導体領域42の領域において第1トレンチ構造50と一体的に形成されていてもよい。
図2~図7を参照して、ダイオードチップ1は、半導体チップ10の周縁部に形成されたシールド構造71を含む。一部の図面では、便宜上、シールド構造71がクロスハッチングによって示されている。シールド構造71は、側面13A~13Dから内方に間隔を空けて第1主面11に形成されている。シールド構造71は、平面視において側面13A~13Dに沿って帯状に延び、デバイス領域31、第1パッド領域32および第2パッド領域33を複数方向から区画している。シールド構造71は、具体的には、デバイス領域31、第1パッド領域32および第2パッド領域33を一括して取り囲む環状(この形態では四角環状)に形成されている。
これにより、シールド構造71は、半導体チップ10を内方領域、および、内方領域外の外側領域に区画している。内方領域は、デバイス領域31、第1パッド領域32および第2パッド領域33を含む。シールド構造71は、外側領域に加えられた外力や、外側領域に生じたクラック等から内方領域を保護する。
シールド構造71は、半導体チップ10とは異なる材料からなり、第1主面11から第2主面12に向けて壁状に延びている。シールド構造71は、具体的には、シールドトレンチ72、シールド絶縁層73およびシールドポリシリコン74を含むトレンチ絶縁構造を有している。
シールドトレンチ72は、第1主面11を第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。シールドトレンチ72は、法線方向Zに関して、第1半導体領域41および第2半導体領域42を横切る深さで形成されている。シールドトレンチ72は、この形態では、半導体層21を貫通し、半導体基板20に至っている。第2トレンチ61は、側壁および底壁を含む。第2トレンチ61の側壁は、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第2トレンチ61の底壁は、半導体基板20を露出させている。
第2トレンチ61の側壁は、第1主面11に対して垂直に形成されていてもよい。第2トレンチ61の側壁は、第1主面11に対して傾斜していてもよい。この場合、第2トレンチ61は、底面積が開口面積未満の先細り形状に形成されていてもよい。
シールドトレンチ72は、この形態では、アスペクト比が1を超えるディープトレンチによって形成されている。アスペクト比は、シールドトレンチ72の幅に対するシールドトレンチ72の深さによって定義される。アスペクト比は、5以上20以下であることが好ましい。
シールドトレンチ72の幅は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。シールドトレンチ72の幅は、0.1μm以上0.5μm以上、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以上、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以上、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。シールドトレンチ72の幅は、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。シールドトレンチ72の幅は、第1トレンチ51の幅と等しいことが好ましい。
シールドトレンチ72の深さは、1μm以上50μm以下であってもよい。シールドトレンチ72の深さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上25μm以下、25μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。シールドトレンチ72の深さは、15μm以上35μm以下であることが好ましい。シールドトレンチ72の深さは、第1トレンチ51の深さと等しいことが好ましい。
シールド絶縁層73は、シールドトレンチ72内に形成されている。シールド絶縁層73は、具体的には、シールドトレンチ72の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、シールド絶縁層73は、シールドトレンチ72内においてリセス空間を区画している。
シールド絶縁層73は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。シールド絶縁層73は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。シールド絶縁層73は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。シールド絶縁層73は、第1絶縁層52と同一の絶縁材料からなることが好ましい。シールド絶縁層73は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
シールドポリシリコン74は、シールド絶縁層73を挟んでシールドトレンチ72に埋設されている。シールドポリシリコン74は、電気的に浮遊状態に形成されている。シールド構造71は、シールドポリシリコン74を有さず、シールドトレンチ72に一体物として埋設されたシールド絶縁層73を含んでいてもよい。
図1~図7を参照して、ダイオードチップ1(チップ本体2)は、第1主面11を被覆する中間絶縁層81を含む。中間絶縁層81は、半導体チップ10の側面13A~13Dから露出する周縁部を有している。中間絶縁層81の周縁部は、側面13A~13Dに連なっている。中間絶縁層81の周縁部は、具体的には、側面13A~13Dに対して面一に形成されている。
中間絶縁層81は、複数の絶縁層が積層された積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁層からなる単層構造を有していてもよい。中間絶縁層81は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。中間絶縁層81は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。中間絶縁層81は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。
中間絶縁層81は、第1主面11側からこの順に積層された第1酸化シリコン層、窒化シリコン層および第2酸化シリコン層を含むONO(Oxide-Nitride-Oxide)積層構造を有していてもよい。中間絶縁層81は、その全域においてONO積層構造を有している必要はない。中間絶縁層81は、たとえば、第1主面11の一方側の領域(第1パッド領域32)および他方側の領域(第2パッド領域33)を被覆する部分においてONO積層構造を有し、それら以外の領域を被覆する部分においてONO積層構造とは異なる絶縁層を有していてもよい。
第1酸化シリコン層は、複数の酸化シリコン層が積層された積層構造を有していてもよいし、単一の酸化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。第1酸化シリコン層は、酸化シリコン層の一例としてのUSG(Undoped Silica Glass)層、PSG(Phosphor Silicate Glass)層およびBPSG(Boron Phosphor Silicate Glass)層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1酸化シリコン層は、単一の酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
第2酸化シリコン層は、複数の酸化シリコン層が積層された積層構造を有していてもよいし、単一の酸化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。第2酸化シリコン層は、酸化シリコン層の一例としてのUSG層、PSG層およびBPSG層のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。第2酸化シリコン層は、窒化シリコン層側からこの順に積層されたUSG層およびBPSG層を含む積層構造を有していてもよい。
中間絶縁層81の厚さ(総厚さ)は、1μm以上10μm以下であってもよい。中間絶縁層81の厚さ(総厚さ)は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。中間絶縁層81の厚さ(総厚さ)は、4μm以上5μm以下であることが好ましい。
中間絶縁層81は、第1コンタクト開口82および第2コンタクト開口83を含む。第1コンタクト開口82は、第1半導体領域41を露出させている。第1コンタクト開口82は、平面視において第1半導体領域41の第1周縁部41Bから第1内方部41A側に間隔を空けて第1内方部41Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第1半導体領域41の第1周縁部41Bを被覆している。第1コンタクト開口82は、この形態では、第1トレンチ構造50から内方に間隔を空けて第1内方部41Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第1トレンチ構造50を被覆している。
第1コンタクト開口82は、この形態では、平面視において第1内方部41Aに沿って延びる帯状(長方形状)に形成されている。第1コンタクト開口82の平面形状は任意である。第1コンタクト開口82は、平面視において多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。
第2コンタクト開口83は、第2半導体領域42を露出させている。第2コンタクト開口83は、平面視において第2半導体領域42の第2周縁部42Bから第2内方部42A側に間隔を空けて第2内方部42Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第2半導体領域42の第2周縁部42Bを被覆している。第2コンタクト開口83は、この形態では、第2トレンチ構造60から内方に間隔を空けて第2内方部42Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第2トレンチ構造60を被覆している。
第2コンタクト開口83は、この形態では、平面視において第2内方部42Aに沿って延びる帯状(長方形状)に形成されている。第2コンタクト開口83の平面形状は任意である。第2コンタクト開口83は、平面視において多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。
図2~図7(特に図7)を参照して、ダイオードチップ1は、中間絶縁層81を貫通して第1半導体領域41に電気的に接続された第1電極層91(第1電極)を含む。第1電極層91は、中間絶縁層81の上に膜状に形成されている。第1電極層91は、第1パッド部91Aおよび第1配線部91Bを含む。
第1パッド部91Aは、平面視において第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成されている。第1パッド部91Aは、中間絶縁層81を挟んで第1パッド領域32に対向している。第1パッド部91Aは、平面視において第1方向Xに延びる長方形状に形成されている。第1パッド部91Aの平面形状は任意である。
第1配線部91Bは、第1パッド部91Aから第1半導体領域41に向けて帯状に引き出されている。第1配線部91Bの第1方向Xの幅は、第1パッド部91Aの第1方向Xの幅未満である。第1配線部91Bの第1方向Xの幅は任意である。第1配線部91Bの第1方向Xの幅を小さくすることによって、寄生容量を抑制できる。
第1配線部91Bは、中間絶縁層81の上から第1コンタクト開口82に入り込んでいる。第1配線部91Bは、第1コンタクト開口82内において第1半導体領域41に電気的に接続されている。第1配線部91Bは、第1半導体領域41との間でオーミック接触を形成している。
第1電極層91は、純Cu層(純度が99%以上のCu層)、純Al層(純度が99%以上のAl層)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
図2~図7(特に図7)を参照して、ダイオードチップ1は、中間絶縁層81を貫通して第2半導体領域42に電気的に接続された第2電極層92(第2電極)を含む。第2電極層92は、第1電極層91から離間して中間絶縁層81の上に膜状に形成されている。第2電極層92は、第2パッド部92Aおよび第2配線部92Bを含む。
第2パッド部92Aは、平面視において第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第2パッド領域33の上に形成されている。第2パッド部92Aは、中間絶縁層81を挟んで第2パッド領域33に対向している。第2パッド部92Aは、平面視において第1方向Xに延びる長方形状に形成されている。第2パッド部92Aの平面形状は任意である。第2パッド部92Aの平面形状は、第1パッド部91Aの平面形状と等しいことが好ましい。
第2配線部92Bは、第2パッド部92Aから第2半導体領域42に向けて帯状に引き出されている。第2配線部92Bは、第1配線部91Bに対して平行に延び、第1方向Xに第1配線部91Bと対向している。第2配線部92Bの第1方向Xの幅は、第2パッド部92Aの第1方向Xの幅未満である。第2配線部92Bの第1方向Xの幅は任意である。第2配線部92Bの第1方向Xの幅を小さくすることによって、寄生容量を抑制できる。第2配線部92Bの第1方向Xの幅は、第1配線部91Bの第1方向Xの幅と等しいことが好ましい。
第2配線部92Bは、中間絶縁層81の上から第2コンタクト開口83に入り込んでいる。第2配線部92Bは、第2コンタクト開口83内において第2半導体領域42に電気的に接続されている。第2配線部92Bは、第2半導体領域42との間でオーミック接触を形成している。
第2電極層92は、純Cu層(純度が99%以上のCu層)、純Al層(純度が99%以上のAl層)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第2電極層92は、第1電極層91の導電材料と同一の導電材料を含むことが好ましい。
図1~図5を参照して、ダイオードチップ1(チップ本体2)は、中間絶縁層81を被覆する最上絶縁層101を含む。最上絶縁層101は、中間絶縁層81の上において第1電極層91および第2電極層92を被覆している。最上絶縁層101は、半導体チップ10の側面13A~13Dから露出する周縁部を有している。最上絶縁層101の周縁部は、側面13A~13Dに連なっている。最上絶縁層101の周縁部は、具体的には、側面13A~13Dに対して面一に形成されている。最上絶縁層101は、チップ本体2のチップ側面5A~5Dの一部を形成している。
最上絶縁層101は、この形態では、パッシベーション層102および樹脂層103を含む積層構造を有している。パッシベーション層102は、酸化シリコン層または窒化シリコン層を含む単層構造を有していてもよい。パッシベーション層102は、任意の順で積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。パッシベーション層102は、中間絶縁層81の主面を形成する部分とは異なる絶縁材料からなることが好ましい。パッシベーション層102は、この形態では、窒化シリコン層からなる単層構造を有している。
樹脂層103は、感光性樹脂を含んでいてもよい。感光性樹脂は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプであってもよい。樹脂層103は、感光性樹脂の一例としてのポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。樹脂層103は、この形態では、ポリイミドを含む。
最上絶縁層101は、第1電極層91を露出させる第1パッド開口104、および、第2電極層92を露出させる第2パッド開口105を含む。
第1パッド開口104は、第1電極層91の第1パッド部91Aを露出させている。第1パッド開口104は、第1パッド部91Aの縁部を除く第1パッド部91Aの内方部を露出させている。第1パッド開口104は、平面視において第1パッド部91Aに整合する四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。第1パッド開口104の平面形状は任意である。
第2パッド開口105は、第2電極層92の第2パッド部92Aを露出させている。第2パッド開口105は、第2パッド部92Aの縁部を除く第2パッド部92Aの内方部を露出させている。第2パッド開口105は、平面視において第2パッド部92Aに整合する四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。第2パッド開口105の平面形状は任意である。
図1~図7を参照して、ダイオードチップ1(チップ本体2)は、第1電極層91に電気的に接続された第1端子電極111を含む。第1端子電極111は、最上絶縁層101を貫通して第1電極層91に接続されている。第1端子電極111は、具体的には、第1パッド開口104に埋設され、第1パッド開口104内において第1パッド部91Aに電気的に接続されている。
第1端子電極111は、平面視において第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成されている。第1端子電極111は、第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。第1端子電極111の平面形状は任意である。
第1端子電極111は、樹脂層103の主面(第1チップ主面3)から露出する第1電極面111Aを有している。第1電極面111Aは、樹脂層103の主面(第1チップ主面3)から離間するように突出している。第1電極面111Aは、樹脂層103の主面(第1チップ主面3)を被覆するオーバラップ部を有している。第1端子電極111は、第1電極層91側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有していてもよい。
図1~図7を参照して、ダイオードチップ1(チップ本体2)は、第2電極層92に電気的に接続された第2端子電極112を含む。第2端子電極112は、最上絶縁層101を貫通して第2電極層92に接続されている。第2端子電極112は、具体的には、第2パッド開口105に埋設され、第2パッド開口105内において第2パッド部92Aに電気的に接続されている。
第2端子電極112は、平面視において第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第2パッド領域33の上に形成されている。第2端子電極112は、第1方向Xに沿って延びる長方形状に形成されている。第2端子電極112の平面形状は任意である。
第2端子電極112は、樹脂層103の主面(第1チップ主面3)から露出する第2電極面112Aを有している。第2電極面112Aは、樹脂層103の主面(第1チップ主面3)から離間するように突出している。第2電極面112Aは、樹脂層103の主面(第1チップ主面3)を被覆するオーバラップ部を有している。第2端子電極112は、第2電極層92側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有していてもよい。
図1~図7を参照して、ダイオードチップ1(チップ本体2)は、半導体チップ10の側面13A~13Dを被覆する側面絶縁層121を含む。側面絶縁層121は、側面13A~13Dを一括して被覆している。側面絶縁層121は、チップ本体2のチップ側面5A~5Dを形成している。側面絶縁層121は、半導体チップ10の絶縁性を高めると同時に、半導体チップ10を保護する。
側面絶縁層121は、側面13A~13Dに沿って膜状に形成されている。側面絶縁層121は、平坦な外面を有している。側面絶縁層121の外面は、側面13A~13Dに対して平行に延びている。側面絶縁層121は、中間絶縁層81の一部を被覆していてもよい。側面絶縁層121は、さらに、中間絶縁層81を横切って最上絶縁層101の一部を被覆していてもよい。
側面絶縁層121は、半導体チップ10の第2主面12を露出させている。側面絶縁層121は、第2主面12に連なっている。側面絶縁層121は、具体的には、第2主面12に対して面一に形成されている。側面絶縁層121は、さらに具体的には、第2主面12との間で一つの研削面または鏡面を形成している。
側面絶縁層121は、酸化シリコン層または窒化シリコン層を含む単層構造を有していてもよい。側面絶縁層121は、任意の順で積層された酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。側面絶縁層121は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
図9は、図1のダイオードチップ1の電気回路図である。図9を参照して、ダイオードチップ1は、第1端子電極111、第2端子電極112およびダイオード対65を含む。ダイオード対65は、第1pn接合部54(第1ツェナーダイオードD1)および第2pn接合部64(第1ツェナーダイオードD1)が逆バイアス接続された直列回路からなり、第1端子電極111および第2端子電極112に電気的に接続されている。
ダイオードチップ1は、第1端子電極111および第2端子電極112の双方向に電流を流すことができる双方向デバイスである。すなわち、第1端子電極111および第2端子電極112の間に第1端子電極111を正とする所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、第1端子電極111からダイオード対65を介して第2端子電極112に電流が流れる。
一方、第1端子電極111および第2端子電極112の間に第2端子電極112を正とする所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、第2端子電極112からダイオード対65を介して第1端子電極111に電流が流れる。
第1半導体領域41等のレイアウトに対する第2半導体領域42等のレイアウトの対称性を高めることにより、双方向デバイスとしての電気的特性を向上できる。つまり、第1端子電極111から第2端子電極112に向けて電流が流れた場合の電気的特性が、第2端子電極112から第1端子電極111に向けて電流が流れた場合の電気的特性と等しくなる。
以上、ダイオードチップ1によれば、第1トレンチ51によって第1半導体領域41の第1内方部41Aに第1半導体領域41の第1周縁部41Bから切り離された第1pn接合部54が区画されている。また、第2トレンチ61によって第2半導体領域42の第2内方部42Aに第2半導体領域42の第2周縁部42Bから切り離された第2pn接合部64が区画されている。第2pn接合部64は、半導体層21(半導体基板20)を介して第1pn接合部54に逆バイアス接続されている。
第1周縁部41Bおよび第2周縁部42Bは、空乏層が拡がり難いため、ブレークダウンの起点になり易い電気的性質を有している。したがって、第1周縁部41Bから切り離して第1pn接合部54を形成することによって、ブレークダウンの発生個所を第1pn接合部54に制限できる。また、第2周縁部42Bから切り離して第2pn接合部64を形成することによって、ブレークダウンの発生個所を第2pn接合部64に制限できる。これにより、第1周縁部41Bに起因したブレークダウン、および、第2周縁部42Bに起因したブレークダウンを抑制できるから、耐圧を向上できるダイオードチップ1を提供できる。
また、ダイオードチップ1によれば、第1周縁部41Bから第1内方部41Aが切り離されることによって、第1主面11に対して面状に延びる第1pn接合部54が形成されている。これにより、ブレークダウンの発生個所を面状の第1pn接合部54に制限できる。よって、ブレークダウン時の電流能力の向上によって、耐圧を適切に向上できる。
半導体層21が濃度保持層23を有さない場合、第1半導体領域41の第1内方部41Aは、濃度低下層22との間でpn接合を形成する。この場合、第1pn接合部54におけるpn濃度変化が急峻になるため、当該第1pn接合部54を起点に実際の耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)が目標とする耐圧から変動する可能性がある。このような問題は、濃度低下層22の厚さのバラツキ(たとえば±5%程度)に起因して顕在化する。
そこで、ダイオードチップ1では、濃度低下層22の上に濃度保持層23を形成し、第1pn接合部54におけるpn濃度変化を緩慢にしている。これにより、第1pn接合部54を起点とする耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)の変動を抑制できる。また、濃度低下層22の厚さにバラツキが生じたとしても、所定厚さの濃度保持層23が形成されているため、濃度低下層22の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。また、濃度保持層23の厚さにバラツキが生じたとしても、pn濃度変化が緩慢であるため、濃度保持層23の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。
また、ダイオードチップ1によれば、第1半導体領域41を貫通して半導体層21に至る第1トレンチ51が形成されている。これにより、第1半導体領域41から第1pn接合部54を適切に切り離すことができる。第1トレンチ51は、この形態では、半導体層21をさらに貫通し、半導体基板20に至っている。これにより、第1pn接合部54に起因するパンチスルーを抑制できるから、スナップバック現象の発生を適切に抑制できる。
半導体基板20および第1半導体領域41の底部の間の領域に底壁を有する第1トレンチ51が採用されてもよい。この場合、第1トレンチ51の深さを調節することによって、所望の電圧値において第1pn接合部54のパンチスルーに起因するスナップバック現象を敢えて導入することもできる。
つまり、第1トレンチ51の深さを調節することによって、スナップバック現象が抑制された構造のダイオードチップ1、または、スナップバック現象が許容された構造のダイオードチップ1の双方を提供できる。よって、スナップバック現象を敢えて利用したアプリケーションにもダイオードチップ1を組み込むことができる。
また、ダイオードチップ1によれば、第2周縁部42Bから第2内方部42Aが切り離されることによって、第1主面11に対して面状に延びる第2pn接合部64が形成されている。これにより、ブレークダウンの発生個所を面状の第2pn接合部64に制限できる。よって、ブレークダウン時の電流能力の向上によって、耐圧を適切に向上できる。
半導体層21が濃度保持層23を有さない場合、第2半導体領域42の第2内方部42Aは、濃度低下層22との間でpn接合を形成する。この場合、第2pn接合部64におけるpn濃度変化が急峻になるため、当該第2pn接合部64を起点に実際の耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)が目標とする耐圧から変動する可能性がある。このような問題は、濃度低下層22の厚さのバラツキ(たとえば±5%程度)に起因して顕在化する。
そこで、ダイオードチップ1では、濃度低下層22の上に濃度保持層23を形成し、第2pn接合部64におけるpn濃度変化を緩慢にしている。これにより、第2pn接合部64を起点とする耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)の変動を抑制できる。また、濃度低下層22の厚さにバラツキが生じたとしても、所定厚さの濃度保持層23が形成されているため、濃度低下層22の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。また、濃度保持層23の厚さにバラツキが生じたとしても、pn濃度変化が緩慢であるため、濃度保持層23の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。
また、ダイオードチップ1によれば、第1半導体領域41を貫通して半導体層21に至る第2トレンチ61が形成されている。これにより、第2半導体領域42から第2pn接合部64を適切に切り離すことができる。第2トレンチ61は、この形態では、半導体層21をさらに貫通し、半導体基板20に至っている。これにより、第2pn接合部64に起因するパンチスルーを抑制できるから、スナップバック減少の発生を抑制できる。
半導体基板20および第2半導体領域42の底部の間の領域に底壁を有する第2トレンチ61が採用されてもよい。この場合、第2トレンチ61の深さを調節することによって、所望の電圧値において第2pn接合部64のパンチスルーに起因するスナップバック現象を敢えて導入することもできる。
つまり、第2トレンチ61の深さを調節することによって、スナップバック現象が抑制された構造のダイオードチップ1、または、スナップバック現象が許容された構造のダイオードチップ1の双方を提供できる。よって、スナップバック現象を敢えて利用したアプリケーションにもダイオードチップ1を組み込むことができる。
また、ダイオードチップ1によれば、中間絶縁層81が、第1半導体領域41の第1周縁部41Bを被覆し、第1半導体領域41の第1内方部41Aを露出させる第1コンタクト開口82を有している。第1コンタクト開口82は、この形態では、第1トレンチ構造50から内方に間隔を空けて第1内方部41Aを露出させている。これにより、第1半導体領域41の第1周縁部41Bを適切に絶縁させることができるから、第1周縁部41Bに起因するブレークダウンを適切に抑制できる。
また、ダイオードチップ1によれば、中間絶縁層81が、第2半導体領域42の第2周縁部42Bを被覆し、第2半導体領域42の第2内方部42Aを露出させる第2コンタクト開口83を有している。第2コンタクト開口83は、この形態では、第2トレンチ構造60から内方に間隔を空けて第2内方部42Aを露出させている。これにより、第2半導体領域42の第2周縁部42Bを適切に絶縁させることができるから、第2周縁部42Bに起因するブレークダウンを適切に抑制できる。
図10は、図6の対応図であって、本発明の第2実施形態に係るダイオードチップ141の平面図である。図11は、図10に示すXI-XI線に沿う断面図である。図12は、図10に示すXII-XII線に沿う断面図である。以下、ダイオードチップ1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図10~図12を参照して、第1半導体領域41は、デバイス領域31から第1パッド領域32に引き出されている。これにより、第1半導体領域41の第1平面積が増加されている。同様に、第2半導体領域42は、デバイス領域31から第2パッド領域33に引き出されている。これにより、第2半導体領域42の第2平面積が増加されている。
第1トレンチ構造50(第1トレンチ51)は、第1実施形態の場合と同様に、平面視において第1半導体領域41の第1周縁部41Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第1内方部41Aを帯状(長方形状)に区画している。これにより、第1トレンチ構造50は、デバイス領域31および第1パッド領域32において第1内方部41Aに第1pn接合部54を区画している。
第2トレンチ構造60(第2トレンチ61)は、第1実施形態の場合と同様に、平面視において第2半導体領域42の第2周縁部42Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第2内方部42Aを帯状(長方形状)に区画している。これにより、第2トレンチ構造60は、デバイス領域31および第2パッド領域33において第2内方部42Aに第2pn接合部64を区画している。
中間絶縁層81の第1コンタクト開口82は、この形態では、デバイス領域31および第1パッド領域32において第1半導体領域41を露出させている。中間絶縁層81の第2コンタクト開口83は、この形態では、デバイス領域31および第2パッド領域33において第2半導体領域42を露出させている。
第1電極層91の第1パッド部91Aは、この形態では、第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成され、第1半導体領域41の一部を被覆している。第1パッド部91Aは、中間絶縁層81の上から第1コンタクト開口82に入り込んでいる。第1パッド部91Aは、第1コンタクト開口82内において第1半導体領域41に電気的に接続されている。第1パッド部91Aは、第1半導体領域41との間でオーミック接触を形成している。
第2電極層92の第2パッド部92Aは、この形態では、第1半導体領域41から離間して第2パッド領域33の上に形成され、第2半導体領域42の一部を被覆している。第2パッド部92Aは、中間絶縁層81の上から第2コンタクト開口83に入り込んでいる。第2パッド部92Aは、第2コンタクト開口83内において第2半導体領域42に電気的に接続されている。第2パッド部92Aは、第2半導体領域42との間でオーミック接触を形成している。
第1端子電極111は、第1パッド開口104内において第1電極層91の第1パッド部91Aを挟んで第1半導体領域41の一部に対向し、かつ、第1パッド部91Aを挟んで中間絶縁層81に対向している。
第2端子電極112は、第2パッド開口105内において第2電極層92の第2パッド部92Aを挟んで第2半導体領域42の一部に対向し、かつ、第2パッド部92Aを挟んで中間絶縁層81に対向している。
以上、ダイオードチップ141によっても、ダイオードチップ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、ダイオードチップ141によれば、第1pn接合部54の面積および第2pn接合部64の面積を増加させることができる。よって、電流経路を増加させることができるから、電気的特性をさらに向上できる。
図13は、図6の対応図であって、本発明の第3実施形態に係るダイオードチップ151の平面図である。図14は、図10に示すXIV-XIV線に沿う断面図である。図15は、図10に示すXV-XV線に沿う断面図である。以下、ダイオードチップ1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図13~図15を参照して、ダイオードチップ151は、第1主面11(半導体層21)の表層部に形成されたn+型の第3半導体領域152を含む。第3半導体領域152は、第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32に形成されている。第3半導体領域152は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23の表層部に形成されている。第3半導体領域152の底部は、濃度低下層22から第1主面11側に間隔を空けて濃度保持層23内に形成されている。
第3半導体領域152は、平面視において第1パッド領域32を第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。第3半導体領域152は、この形態では、第1主面11の中央部を第2方向Yに横切る中央ラインを設定したとき、当該中央ラインを第1方向Xに横切る帯状(長方形状)に形成されている。これにより、第3半導体領域152は、第2方向Yに沿って第1半導体領域41および第2半導体領域42に対向している。
第3半導体領域152の平面形状は任意である。第3半導体領域152は、第1半導体領域41および第2半導体領域42のいずれか一方だけに対向した平面形状を有していてもよい。また、第3半導体領域152は、多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。
第3半導体領域152は、第3平面積を有している。第3平面積は、この形態では、第1半導体領域41の第1平面積および第2半導体領域42の第2平面積を超えている。第3平面積は、第1平面積および第2平面積以下であってもよい。
第3半導体領域152は、半導体層21の表層部のp型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第3半導体領域152のn型不純物濃度は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23のp型不純物濃度を超えている。第3半導体領域152のn型不純物濃度のピーク値は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第3半導体領域152のn型不純物濃度のピーク値は、5×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であることが好ましい。第3半導体領域152のn型不純物濃度のピーク値は、第1半導体領域41のn型不純物濃度のピーク値と等しいことが好ましい。
第3半導体領域152の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第3半導体領域152の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第3半導体領域152の厚さは、この形態では、1μm以上3μm以下である。第3半導体領域152の厚さは、第1半導体領域41の厚さと等しいことが好ましい。
第3半導体領域152は、第3内方部152Aおよび第3周縁部152Bを含む。第3内方部152Aは、第3半導体領域152の内方部を形成し、第1主面11に対して平行に延びるようにn型不純物が導入された領域である。第3周縁部152Bは、第3半導体領域152の周縁部を形成し、第3内方部152Aから外方に拡がる円弧状にn型不純物が導入された領域である。
このような第3周縁部152Bは、第3半導体領域152の周縁部を起点にn型不純物が円弧状(同心円状)に拡散することによって形成されている。第3周縁部152Bのn型不純物濃度のピーク値は、第3内方部152Aのn型不純物濃度のピーク値未満である。つまり、第3周縁部152Bは、第3内方部152Aと比較して空乏層の拡がりが不十分となる電気的性質を有している。
第3半導体領域152の第3周縁部152Bは、第1半導体領域41の第1周縁部41Bおよび第2半導体領域42の第2周縁部42Bのいずれか一方または双方と一体的に形成されていてもよい。つまり、第2半導体領域42は、第1半導体領域41および第2半導体領域42のいずれか一方または双方との間で1つのn+型の半導体領域を形成していてもよい。
ダイオードチップ151は、第1主面11(半導体層21)の表層部に形成されたn+型の第4半導体領域153を含む。第4半導体領域153は、第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第2パッド領域33に形成されている。第4半導体領域153は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23の表層部に形成されている。第4半導体領域153の底部は、濃度低下層22から第1主面11側に間隔を空けて濃度保持層23内に形成されている。
第4半導体領域153は、平面視において第2パッド領域33を第1方向Xに沿って延びる帯状に形成されている。第4半導体領域153は、この形態では、第1主面11の中央部を第2方向Yに横切る中央ラインを設定したとき、当該中央ラインを第1方向Xに横切る帯状(長方形状)に形成されている。
これにより、第4半導体領域153は、第2方向Yに沿って第1半導体領域41および第2半導体領域42に対向している。また、第4半導体領域153は、第1半導体領域41および第2半導体領域42を挟んで第3半導体領域152に対向している。
第4半導体領域153の平面形状は任意である。第4半導体領域153は、第1半導体領域41および第2半導体領域42のいずれか一方だけに対向した平面形状を有していてもよい。また、第4半導体領域153は、多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。
第4半導体領域153は、第4平面積を有している。第4平面積は、この形態では、第1半導体領域41の第1平面積および第2半導体領域42の第2平面積を超えている。第4平面積は、第1平面積および第2平面積以下であってもよい。第4平面積は、第3半導体領域152の第3平面積と等しいことが好ましい。第4半導体領域153は、第1主面11の中央部に対して第3半導体領域152と点対称となるレイアウトで形成されていることが好ましい。
第4半導体領域153は、半導体層21の表層部のp型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。第4半導体領域153のn型不純物濃度は、具体的には、半導体層21の濃度保持層23のp型不純物濃度を超えている。第4半導体領域153のn型不純物濃度のピーク値は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第4半導体領域153のn型不純物濃度のピーク値は、5×1018cm-3以上1×1020cm-3以下であることが好ましい。第4半導体領域153のn型不純物濃度のピーク値は、第1半導体領域41のn型不純物濃度のピーク値と等しいことが好ましい。
第4半導体領域153の厚さは、0.1μm以上5μm以下であってもよい。第4半導体領域153の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。第4半導体領域153の厚さは、この形態では、1μm以上3μm以下である。第4半導体領域153の厚さは、第1半導体領域41の厚さと等しいことが好ましい。
第4半導体領域153は、第4内方部153Aおよび第4周縁部153Bを含む。第4内方部153Aは、第4半導体領域153の内方部を形成し、第1主面11に対して平行に延びるようにn型不純物が導入された領域である。第4周縁部153Bは、第4半導体領域153の周縁部を形成し、第4内方部153Aから外方に拡がる円弧状にn型不純物が導入された領域である。
このような第4周縁部153Bは、第4半導体領域153の周縁部を起点にn型不純物が円弧状(同心円状)に拡散することによって形成されている。第4周縁部153Bのn型不純物濃度のピーク値は、第4内方部153Aのn型不純物濃度のピーク値未満である。つまり、第4周縁部153Bは、第4内方部153Aと比較して空乏層の拡がりが不十分となる電気的性質を有している。
第4半導体領域153の第4周縁部153Bは、第1半導体領域41の第1周縁部41Bおよび第2半導体領域42の第2周縁部42Bのいずれか一方または双方と一体的に形成されていてもよい。つまり、第4半導体領域153は、第1半導体領域41および第2半導体領域42のいずれか一方または双方との間で1つのn+型の半導体領域を形成していてもよい。
ダイオードチップ151は、第1主面11に形成され、第3半導体領域152の第3内方部152Aを第3周縁部152Bから切り離す第3トレンチ構造160(第3溝構造)を含む。一部の図面では、便宜上、第3トレンチ構造160がクロスハッチングによって示されている。第3トレンチ構造160は、具体的には、第3トレンチ161(第3溝)、第3絶縁層162および第3ポリシリコン163を含む。
第3トレンチ161は、第3半導体領域152の第3周縁部152Bから内方に間隔を空けて形成され、第3内方部152Aを第3レイアウトおよび第3平面積S3で区画している。第3レイアウトは、第1半導体領域41(第1内方部41A)の第1レイアウトおよび第2半導体領域42(第2内方部42A)の第2レイアウトと異なっていてもよい。第3平面積S3は、この形態では、第1半導体領域41の第1平面積S1および第2半導体領域42の第2平面積S2を超えている。第3平面積S3は、第1平面積S1および第2平面積S2以下であってもよい。
第3トレンチ161は、この形態では、平面視において第3周縁部152Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第3内方部152Aを帯状(長方形状)に区画している。第3トレンチ161の平面形状は任意である。第3トレンチ161は、多角環状(たとえば四角環状)や円環状(楕円環状を含む)に形成されていてもよい。
第3トレンチ161は、第1主面11を第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。第3トレンチ161は、第3半導体領域152を貫通し、半導体層21に至っている。第3トレンチ161は、この形態では、半導体層21をさらに貫通し、半導体基板20に至っている。
第3トレンチ161は、内周壁、外周壁および底壁を含む。第3トレンチ161の内周壁は、第3半導体領域152の第3内方部152A、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第3トレンチ161の外周壁は、第3半導体領域152の第3周縁部152B、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第3トレンチ161の底壁は、半導体基板20を露出させている。これにより、第3トレンチ161は、第3周縁部152Bを第3内方部152Aから電気的に切り離している。
第3トレンチ161の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して垂直に形成されていてもよい。第3トレンチ161の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して傾斜していてもよい。この場合、第3トレンチ161は、底面積が開口面積未満の先細り形状に形成されていてもよい。
第3トレンチ161は、アスペクト比が1を超えるディープトレンチによって形成されている。アスペクト比は、第3トレンチ161の幅に対する第3トレンチ161の深さによって定義される。アスペクト比は、5以上20以下であることが好ましい。
第3トレンチ161の幅は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第3トレンチ161の幅は、0.1μm以上0.5μm以上、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以上、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以上、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。第3トレンチ161の幅は、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。第3トレンチ161の幅は、第1トレンチ51の幅と等しいことが好ましい。
第3トレンチ161の深さは、1μm以上50μm以下であってもよい。第3トレンチ161の深さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上25μm以下、25μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。第3トレンチ161の深さは、15μm以上35μm以下であることが好ましい。第3トレンチ161の深さは、第1トレンチ51の深さと等しいことが好ましい。
第3絶縁層162は、第3トレンチ161内に形成されている。第3絶縁層162は、具体的には、第3トレンチ161の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、第3絶縁層162は、第3トレンチ161内においてリセス空間を区画している。
第3絶縁層162は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第3絶縁層162は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。第3絶縁層162は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。第3絶縁層162は、第1絶縁層52と同一の絶縁材料からなることが好ましい。第3絶縁層162は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
第3ポリシリコン163は、第3絶縁層162を挟んで第3トレンチ161に埋設されている。第3ポリシリコン163は、電気的に浮遊状態に形成されている。第3トレンチ構造160は、第3ポリシリコン163を有さず、第3トレンチ161に一体物として埋設された第3絶縁層162を含んでいてもよい。
このように、第3トレンチ構造160は、第3半導体領域152の第3内方部152Aにおいて第3周縁部152Bから切り離された第3pn接合部164を区画している。第3pn接合部164は、半導体層21(具体的には濃度保持層23)および第3半導体領域152の第3内方部152Aを含み、第1主面11に沿って面状に延びている。第3pn接合部164は、第3半導体領域152の第3内方部152Aをカソードとし、半導体層21(具体的には濃度保持層23)をアノードとして有する第3ツェナーダイオードD3を形成している。
第3pn接合部164は、第1pn接合部54と同一の極性方向で第1pn接合部54に並列接続され、かつ、第1pn接合部54との間で第1並列回路165を形成している。
第3トレンチ構造160は、この形態では、第1トレンチ構造50および第2トレンチ構造60から離間して形成されている。しかし、第1半導体領域41および第3半導体領域152が一体的に形成されている場合、第3トレンチ構造160は、第1半導体領域41および第3半導体領域152の領域において第1トレンチ構造50と一体的に形成されていてもよい。また、第2半導体領域42および第3半導体領域152が一体的に形成されている場合、第3トレンチ構造160は、第2半導体領域42および第3半導体領域152の領域において第2トレンチ構造60と一体的に形成されていてもよい。
ダイオードチップ151は、第1主面11に形成され、第4半導体領域153の第4内方部153Aを第4周縁部153Bから切り離す第4トレンチ構造170(第4溝構造)を含む。一部の図面では、便宜上、第4トレンチ構造170がクロスハッチングによって示されている。第4トレンチ構造170は、具体的には、第4トレンチ171(第4溝)、第4絶縁層172および第4ポリシリコン173を含む。
第4トレンチ171は、第4半導体領域153の第4周縁部153Bから内方に間隔を空けて形成され、第4内方部153Aを第4レイアウトおよび第4平面積S4で区画している。第4レイアウトは、第1半導体領域41(第1内方部41A)の第1レイアウトおよび第2半導体領域42(第2内方部42A)の第2レイアウトと異なっていてもよい。第4内方部153Aの第4レイアウトは、第3内方部152Aの第3レイアウトと等しいことが好ましい。
第4平面積S4は、この形態では、第1半導体領域41の第1平面積S1および第2半導体領域42の第2平面積S2を超えている。第4平面積S4は、第1平面積S1および第2平面積S2以下であってもよい。第4平面積S4は、第3内方部152Aの第3平面積S3と等しいことが好ましい。第4トレンチ171は、第1主面11の中央部に対して第3トレンチ161と点対称となるレイアウトで形成されていることが好ましい。
第4トレンチ171は、この形態では、平面視において第4周縁部153Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第4内方部153Aを帯状(長方形状)に区画している。第4トレンチ171の平面形状は任意である。第4トレンチ171は、多角環状(たとえば四角環状)や円環状(楕円環状を含む)に形成されていてもよい。
第4トレンチ171は、第1主面11を第2主面12側に向けて掘り下げることによって形成されている。第4トレンチ171は、第4半導体領域153を貫通し、半導体層21に至っている。第4トレンチ171は、この形態では、半導体層21をさらに貫通し、半導体基板20に至っている。
第4トレンチ171は、内周壁、外周壁および底壁を含む。第4トレンチ171の内周壁は、第4半導体領域153の第4内方部153A、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第4トレンチ171の外周壁は、第4半導体領域153の第4周縁部153B、半導体層21および半導体基板20を露出させている。第4トレンチ171の底壁は、半導体基板20を露出させている。これにより、第4トレンチ171は、第4周縁部153Bを第4内方部153Aから電気的に切り離している。
第4トレンチ171の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して垂直に形成されていてもよい。第4トレンチ171の内周壁および外周壁は、第1主面11に対して傾斜していてもよい。この場合、第4トレンチ171は、底面積が開口面積未満の先細り形状に形成されていてもよい。
第4トレンチ171は、アスペクト比が1を超えるディープトレンチによって形成されている。アスペクト比は、第4トレンチ171の幅に対する第4トレンチ171の深さによって定義される。アスペクト比は、5以上20以下であることが好ましい。
第4トレンチ171の幅は、0.1μm以上3μm以下であってもよい。第4トレンチ171の幅は、0.1μm以上0.5μm以上、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以上、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以上、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。第4トレンチ171の幅は、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。第4トレンチ171の幅は、第1トレンチ51の幅と等しいことが好ましい。
第4トレンチ171の深さは、1μm以上50μm以下であってもよい。第4トレンチ171の深さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上25μm以下、25μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。第4トレンチ171の深さは、15μm以上35μm以下であることが好ましい。第4トレンチ171の深さは、第1トレンチ51の深さと等しいことが好ましい。
第4絶縁層172は、第4トレンチ171内に形成されている。第4絶縁層172は、具体的には、第4トレンチ171の内壁に沿って膜状に形成されている。これにより、第4絶縁層172は、第4トレンチ171内においてリセス空間を区画している。
第4絶縁層172は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。第4絶縁層172は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順序で積層された積層構造を有していてもよい。第4絶縁層172は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。第4絶縁層172は、第3絶縁層162と同一の絶縁材料からなることが好ましい。第4絶縁層172は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
第4ポリシリコン173は、第4絶縁層172を挟んで第4トレンチ171に埋設されている。第4ポリシリコン173は、電気的に浮遊状態に形成されている。第4トレンチ構造170は、第4ポリシリコン173を有さず、第4トレンチ171に一体物として埋設された第4絶縁層172を含んでいてもよい。
このように、第4トレンチ構造170は、第4半導体領域153の第4内方部153Aにおいて第4周縁部153Bから切り離された第4pn接合部174を区画している。第4pn接合部174は、半導体層21(具体的には濃度保持層23)および第4半導体領域153の第4内方部153Aを含み、第1主面11に沿って面状に延びている。第4pn接合部174は、第4半導体領域153の第4内方部153Aをカソードとし、半導体層21(具体的には濃度保持層23)をアノードとして有する第4ツェナーダイオードD4を形成している。
第4pn接合部174は、第2pn接合部64と同一の極性方向で第2pn接合部64に並列接続され、かつ、第2pn接合部64との間で第2並列回路175を形成している。第2並列回路175は、半導体層21(半導体基板20)を介して第1並列回路165に逆バイアス接続されている。これにより第2並列回路175は、第1並列回路165との間で1つのダイオード対176を形成している。
第4トレンチ構造170は、この形態では、第1トレンチ構造50および第2トレンチ構造60から離間して形成されている。しかし、第1半導体領域41および第4半導体領域153が一体的に形成されている場合、第4トレンチ構造170は、第1半導体領域41および第4半導体領域153の領域において第1トレンチ構造50と一体的に形成されていてもよい。また、第2半導体領域42および第4半導体領域153が一体的に形成されている場合、第4トレンチ構造170は、第2半導体領域42および第4半導体領域153の領域において第2トレンチ構造60と一体的に形成されていてもよい。
中間絶縁層81は、第3コンタクト開口181および第4コンタクト開口182をさらに含む。第3コンタクト開口181は、第3半導体領域152を露出させている。第3コンタクト開口181は、平面視において第3半導体領域152の第3周縁部152Bから第3内方部152A側に間隔を空けて第3内方部152Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第3半導体領域152の第3周縁部152Bを被覆している。
第3コンタクト開口181は、この形態では、第3トレンチ構造160から内方に間隔を空けて第3内方部152Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第3トレンチ構造160を被覆している。
第3コンタクト開口181は、この形態では、平面視において第3内方部152Aに沿って延びる帯状(長方形状)に形成されている。第3コンタクト開口181の平面形状は任意である。第3コンタクト開口181は、平面視において多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。
第4コンタクト開口182は、第4半導体領域153を露出させている。第4コンタクト開口182は、平面視において第4半導体領域153の第4周縁部153Bから第4内方部153A側に間隔を空けて第4内方部153Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第4半導体領域153の第4周縁部153Bを被覆している。
第4コンタクト開口182は、この形態では、第4トレンチ構造170から内方に間隔を空けて第4内方部153Aを露出させている。これにより、中間絶縁層81は、第4トレンチ構造170を被覆している。
第4コンタクト開口182は、この形態では、平面視において第4内方部153Aに沿って延びる帯状(長方形状)に形成されている。第4コンタクト開口182の平面形状は任意である。第4コンタクト開口182は、平面視において多角形状(たとえば四角形状)や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。
第1電極層91は、この形態では、中間絶縁層81を貫通して第1半導体領域41および第3半導体領域152に電気的に接続されている。つまり、第1電極層91は、第1pn接合部54および第3pn接合部164を並列接続させている。
第1電極層91の第1パッド部91Aは、具体的には、平面視において第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成され、第3半導体領域152を被覆している。第1パッド部91Aは、中間絶縁層81の上から第3コンタクト開口181に入り込んでいる。第1パッド部91Aは、第3コンタクト開口181内において第3半導体領域152に電気的に接続されている。第1パッド部91Aは、第3半導体領域152との間でオーミック接触を形成している。
第2電極層92は、この形態では、中間絶縁層81を貫通して第2半導体領域42および第4半導体領域153に電気的に接続されている。つまり、第2電極層92は、第2pn接合部64および第4pn接合部174を並列接続させている。
第2電極層92の第2パッド部92Aは、具体的には、平面視において第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第2パッド領域33の上に形成され、第4半導体領域153を被覆している。第2パッド部92Aは、中間絶縁層81の上から第4コンタクト開口182に入り込んでいる。第2パッド部92Aは、第4コンタクト開口182内において第4半導体領域153に電気的に接続されている。第2パッド部92Aは、第4半導体領域153との間でオーミック接触を形成している。
第1端子電極111は、第1パッド開口104内において第1電極層91の第1パッド部91Aを挟んで第3半導体領域152に対向している。第2端子電極112は、第2パッド開口105内において第2電極層92の第2パッド部92Aを挟んで第2半導体領域42に対向している。
図16は、図13のダイオードチップ151の電気回路図である。図16を参照して、ダイオードチップ151は、第1端子電極111、第2端子電極112およびダイオード対176を含む。ダイオード対176は、第1並列回路165および第2並列回路175を含む。
第1並列回路165は、第1pn接合部54(第1ツェナーダイオードD1)および第3pn接合部164(第3ツェナーダイオードD3)が同一の極性方向で並列接続された並列回路からなる。第1pn接合部54のアノードおよび第3pn接合部164のアノードは、第1端子電極111に接続されている。
第2並列回路175は、第2pn接合部64(第2ツェナーダイオードD2)および第4pn接合部174(第4ツェナーダイオードD4)が同一の極性方向で並列接続された並列回路からなる。第2pn接合部64のアノードおよび第4pn接合部174のアノードは、第2端子電極112に接続されている。第2pn接合部64のカソードおよび第4pn接合部174のカソードは、第1pn接合部54のカソードおよび第3pn接合部164のカソードに接続されている。
第1端子電極111および第2端子電極112の間に第1端子電極111を正とする所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、第1端子電極111からダイオード対176を介して第2端子電極112に電流が流れる。
一方、第1端子電極111および第2端子電極112の間に第2端子電極112を正とする所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、第2端子電極112からダイオード対176を介して第1端子電極111に電流が流れる。
第1半導体領域41および第3半導体領域152等のレイアウトに対する第2半導体領域42および第4半導体領域153等のレイアウトの対称性を高めることにより、双方向デバイスとしての電気的特性を向上できる。つまり、第1端子電極111から第2端子電極112に向けて電流が流れた場合の電気的特性が、第2端子電極112から第1端子電極111に向けて電流が流れた場合の電気的特性と等しくなる。
以上、ダイオードチップ151によっても、ダイオードチップ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、ダイオードチップ151によれば、第3pn接合部164および第4pn接合部174が形成されている。これにより、第1pn接合部54を流れる電流を第3pn接合部164に分流させることができ、第2pn接合部64を流れる電流を第4pn接合部174に分流させることができる。よって、第1pn接合部54および第2pn接合部64に対する負荷を低減できると同時に、電流経路を増加させることができるから、電気的特性をさらに向上できる。
また、ダイオードチップ151によれば、第3トレンチ161によって第3半導体領域152の第3内方部152Aに第3半導体領域152の第3周縁部152Bから切り離された第3pn接合部164が区画されている。また、第4トレンチ171によって第4半導体領域153の第4内方部153Aに第4半導体領域153の第4周縁部153Bから切り離された第4pn接合部174が区画されている。第4pn接合部174は、半導体層21(半導体基板20)を介して第3pn接合部164に逆バイアス接続されている。
第3周縁部152Bおよび第4周縁部153Bは、空乏層が拡がり難いため、ブレークダウンの起点になり易い電気的性質を有している。したがって、第3周縁部152Bから切り離して第3pn接合部164を形成することによって、ブレークダウンの発生個所を第3pn接合部164に制限できる。また、第4周縁部153Bから切り離して第4pn接合部174を形成することによって、ブレークダウンの発生個所を第4pn接合部174に制限できる。これにより、第3周縁部152Bに起因したブレークダウン、および、第4周縁部153Bに起因したブレークダウンを抑制できるから、耐圧を向上できるダイオードチップ151を提供できる。
また、ダイオードチップ151によれば、第3周縁部152Bから第3内方部152Aが切り離されることによって、第1主面11に対して面状に延びる第3pn接合部164が形成されている。これにより、ブレークダウンの発生個所を面状の第3pn接合部164に制限できる。よって、ブレークダウン時の電流能力の向上によって、耐圧を適切に向上できる。
半導体層21が濃度保持層23を有さない場合、第3半導体領域152の第3内方部152Aは、濃度低下層22との間でpn接合を形成する。この場合、第3pn接合部164におけるpn濃度変化が急峻になるため、当該第3pn接合部164を起点に実際の耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)が目標とする耐圧から変動する可能性がある。このような問題は、濃度低下層22の厚さのバラツキ(たとえば±5%程度)に起因して顕在化する。
そこで、ダイオードチップ151では、濃度低下層22の上に濃度保持層23を形成し、第3pn接合部164におけるpn濃度変化を緩慢にしている。これにより、第3pn接合部164を起点とする耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)の変動を抑制できる。また、濃度低下層22の厚さにバラツキが生じたとしても、所定厚さの濃度保持層23が形成されているため、濃度低下層22の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。また、濃度保持層23の厚さにバラツキが生じたとしても、pn濃度変化が緩慢であるため、濃度保持層23の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。
また、ダイオードチップ151によれば、第3半導体領域152を貫通して半導体層21に至る第3トレンチ161が形成されている。これにより、第3半導体領域152から第3pn接合部164を適切に切り離すことができる。第3トレンチ161は、この形態では、半導体層21を貫通し、半導体基板20に至っている。これにより、第3pn接合部164に起因するパンチスルーを抑制できるから、スナップバック現象の発生を適切に抑制できる。
半導体基板20および第3半導体領域152の底部の間の領域に底壁を有する第3トレンチ161が採用されてもよい。この場合、第3トレンチ161の深さを調節することによって、所望の電圧値において第3pn接合部164のパンチスルーに起因するスナップバック現象を敢えて導入することもできる。
つまり、第3トレンチ161の深さを調節することによって、スナップバック現象が抑制された構造のダイオードチップ151、または、スナップバック現象が許容された構造のダイオードチップ151の双方を提供できる。よって、スナップバック現象を敢えて利用したアプリケーションにもダイオードチップ151を組み込むことができる。
また、ダイオードチップ151によれば、第4周縁部153Bから第4内方部153Aが切り離されることによって、第1主面11に対して面状に延びる第4pn接合部174が形成されている。これにより、ブレークダウンの発生個所を面状の第4pn接合部174に制限できる。よって、ブレークダウン時の電流能力の向上によって、耐圧を適切に向上できる。
半導体層21が濃度保持層23を有さない場合、第4半導体領域153の第4内方部153Aは、濃度低下層22との間でpn接合を形成する。この場合、第4pn接合部174におけるpn濃度変化が急峻になるため、当該第4pn接合部174を起点に実際の耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)が目標とする耐圧から変動する可能性がある。このような問題は、濃度低下層22の厚さのバラツキ(たとえば±5%程度)に起因して顕在化する。
そこで、ダイオードチップ151では、濃度低下層22の上に濃度保持層23を形成し、第4pn接合部174におけるpn濃度変化を緩慢にしている。これにより、第4pn接合部174を起点とする耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)の変動を抑制できる。また、濃度低下層22の厚さにバラツキが生じたとしても、所定厚さの濃度保持層23が形成されているため、濃度低下層22の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。また、濃度保持層23の厚さにバラツキが生じたとしても、pn濃度変化が緩慢であるため、濃度保持層23の厚さバラツキに起因する耐圧の変動を適切に抑制できる。
また、ダイオードチップ151によれば、第3半導体領域152を貫通して半導体層21に至る第4トレンチ171が形成されている。これにより、第4半導体領域153から第4pn接合部174を適切に切り離すことができる。第4トレンチ171は、この形態では、半導体層21を貫通し、半導体基板20に至っている。これにより、第4pn接合部174に起因するパンチスルーを抑制できるから、スナップバック減少の発生を抑制できる。
半導体基板20および第4半導体領域153の底部の間の領域に底壁を有する第4トレンチ171が採用されてもよい。この場合、第4トレンチ171の深さを調節することによって、所望の電圧値において第4pn接合部174のパンチスルーに起因するスナップバック現象を敢えて導入することもできる。
つまり、第4トレンチ171の深さを調節することによって、スナップバック現象が抑制された構造のダイオードチップ151、または、スナップバック現象が許容された構造のダイオードチップ151の双方を提供できる。よって、スナップバック現象を敢えて利用したアプリケーションにもダイオードチップ151を組み込むことができる。
また、ダイオードチップ151によれば、中間絶縁層81が、第3半導体領域152の第3周縁部152Bを被覆し、第3半導体領域152の第3内方部152Aを露出させる第3コンタクト開口181を有している。第3コンタクト開口181は、この形態では、第3トレンチ構造160から内方に間隔を空けて第3内方部152Aを露出させている。これにより、第3半導体領域152の第3周縁部152Bを適切に絶縁させることができるから、第3周縁部152Bに起因するブレークダウンを適切に抑制できる。
また、ダイオードチップ151によれば、中間絶縁層81が、第4半導体領域153の第4周縁部153Bを被覆し、第4半導体領域153の第4内方部153Aを露出させる第4コンタクト開口182を有している。第4コンタクト開口182は、この形態では、第4トレンチ構造170から内方に間隔を空けて第4内方部153Aを露出させている。これにより、第4半導体領域153の第4周縁部153Bを適切に絶縁させることができるから、第4周縁部153Bに起因するブレークダウンを適切に抑制できる。
図17は、図6の対応図であって、本発明の第4実施形態に係るダイオードチップ191の平面図である。以下、ダイオードチップ1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図17を参照して、ダイオードチップ191は、複数(この形態では3つ)の第1半導体領域41を含む。第1半導体領域41の個数は、2つ以上であればよく、4つ以上形成されていてもよい。複数の第1半導体領域41は、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。これにより、複数の第1半導体領域41は、全体として第2方向Yに沿って延びるストライプ状に形成されている。
複数の第1半導体領域41の平面形状は任意である。複数の第1半導体領域41は、平面視において多角形状や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。複数の第1半導体領域41は、電気的特性を一致させる観点から、互いに等しい平面形状で形成されていることが好ましい。
ダイオードチップ191は、複数(この形態では3つ)の第2半導体領域42を含む。第2半導体領域42の個数は、2つ以上であればよく、4つ以上形成されていてもよい。第2半導体領域42の個数は、第1半導体領域41の個数と等しいことが好ましい。
複数の第2半導体領域42は、第1方向Xに沿って間隔を空けて形成され、第2方向Yに沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の第2半導体領域42は、具体的には、1つの第1半導体領域41を挟み込む態様で、第1方向Xに沿って複数の第1半導体領域41と交互に形成されている。これにより、複数の第2半導体領域42は、全体として第2方向Yに沿って延びるストライプ状に形成されている。
複数の第2半導体領域42は、複数の第1半導体領域41を第1方向Xに横切るラインを設定したとき、当該ライン上に位置している。これにより、複数の第2半導体領域42は、第1方向Xに複数の第1半導体領域41に対向している。さらに、第1主面11の中央部を第1方向Xに横切る中央ラインを設定したとき、複数の第2半導体領域42は、当該中央ライン上において、第1方向Xに複数の第1半導体領域41に対向している。
複数の第2半導体領域42の平面形状は任意である。複数の第2半導体領域42は、平面視において多角形状や円形状(楕円形状を含む)に形成されていてもよい。複数の第2半導体領域42は、電気的特性を一致させる観点から、互いに等しい平面形状で形成されていることが好ましい。複数の第2半導体領域42は、電気的特性を一致させる観点から、複数の第1半導体領域41と互いに等しい平面形状で形成されていることがさらに好ましい。複数の第2半導体領域42は、第1主面11の中央部に対して複数の第1半導体領域41と点対称となるレイアウトで形成されていることが好ましい。
ダイオードチップ191は、複数の第1トレンチ構造50を含む。複数の第1トレンチ構造50は、複数の第1半導体領域41に対して1対1対応の関係で形成されている。各第1トレンチ構造50は、第1実施形態の場合と同様に、各第1半導体領域41の第1周縁部41Bから内方に間隔を空けて形成され、各第1半導体領域41の第1内方部41Aを第1レイアウトおよび第1平面積S1で区画している。
複数の第1トレンチ構造50は、対応する第1半導体領域41の第1内方部41Aにおいて第1周縁部41Bから切り離された第1pn接合部54をそれぞれ区画している。複数の第1pn接合部54は、互いに並列接続され、かつ、第1並列回路192を形成している。
各第1pn接合部54は、半導体層21(具体的には濃度保持層23)および第1半導体領域41の第1内方部41Aを含み、第1主面11に沿って面状に延びている。各第1pn接合部54は、第1半導体領域41の第1内方部41Aをカソードとし、半導体層21(具体的には濃度保持層23)をアノードとして有する第1ツェナーダイオードD1を形成している。
ダイオードチップ191は、複数の第2トレンチ構造60を含む。複数の第2トレンチ構造60は、複数の第2半導体領域42に対して1対1対応の関係で形成されている。各第2トレンチ構造60は、第1実施形態の場合と同様に、各第2半導体領域42の第2周縁部42Bから内方に間隔を空けて形成され、各第2半導体領域42の第2内方部42Aを第2レイアウトおよび第2平面積S2で区画している。
複数の第2トレンチ構造60は、対応する第2半導体領域42の第2内方部42Aにおいて第2周縁部42Bから切り離された第2pn接合部64をそれぞれ区画している。各第2pn接合部64は、半導体層21(具体的には濃度保持層23)および第2半導体領域42の第2内方部42Aを含み、第1主面11に沿って面状に延びている。各第2pn接合部64は、第2半導体領域42の第2内方部42Aをカソードとし、半導体層21(具体的には濃度保持層23)をアノードとして有する第2ツェナーダイオードD2を形成している。
複数の第2pn接合部64は、互いに並列接続され、かつ、第2並列回路193を形成している。第2並列回路193は、半導体層21(半導体基板20)を介して第1並列回路192に逆バイアス接続されている。これにより、第2並列回路193は、第1並列回路192との間で1つのダイオード対194を形成している。
複数の第1半導体領域41および複数の第2半導体領域42が一体的に形成されている場合、複数の第2トレンチ構造60は、複数の第1半導体領域41および複数の第2半導体領域42の領域において複数の第1トレンチ構造50と一体的に形成されていてもよい。
中間絶縁層81は、複数の第1コンタクト開口82および複数の第2コンタクト開口83を含む。複数の第1コンタクト開口82は、対応する第1半導体領域41を1対1対応の関係でそれぞれ露出させている。複数の第1コンタクト開口82は、平面視において対応する第1半導体領域41の第1周縁部41Bから第1内方部41A側に間隔を空けて対応する第1半導体領域41の第1内方部41Aをそれぞれ露出させている。これにより、中間絶縁層81は、複数の第1半導体領域41の第1周縁部41Bを被覆している。
複数の第1コンタクト開口82は、この形態では、対応する第1トレンチ構造50から内方に間隔を空けて対応する第1内方部41Aをそれぞれ露出させている。これにより、中間絶縁層81は、複数の第1トレンチ構造50を被覆している。
複数の第2コンタクト開口83は、対応する第2半導体領域42を1対1対応の関係でそれぞれ露出させている。複数の第2コンタクト開口83は、平面視において対応する第2半導体領域42の第2周縁部42Bから第2内方部42A側に間隔を空けて対応する第2半導体領域42の第2内方部42Aをそれぞれ露出させている。これにより、中間絶縁層81は、複数の第2半導体領域42の第2周縁部42Bを被覆している。
複数の第2コンタクト開口83は、この形態では、対応する第2トレンチ構造60から内方に間隔を空けて対応する第2内方部42Aをそれぞれ露出させている。これにより、中間絶縁層81は、複数の第2トレンチ構造60を被覆している。
第1電極層91は、中間絶縁層81を貫通して複数の第1半導体領域41に電気的に接続されている。これにより、第1電極層91は、複数の第1pn接合部54を並列接続させている。第1電極層91は、この形態では、第1パッド部91Aおよび複数の第1配線部91Bを含む。
第1パッド部91Aは、平面視において複数の第1半導体領域41および複数の第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成されている。複数の第1配線部91Bは、第1パッド部91Aから複数の第1半導体領域41に向けて帯状にそれぞれ引き出されている。複数の第1配線部91Bは、複数の第1半導体領域41に対して1対1対応の関係で引き出されている。これにより、複数の第1配線部91Bは、平面視において櫛歯状に形成されている。複数の第1配線部91Bの第1方向Xの幅は任意である。
複数の第1配線部91Bは、中間絶縁層81の上から対応する第1コンタクト開口82にそれぞれ入り込んでいる。複数の第1配線部91Bは、対応する第1コンタクト開口82内において対応する第1半導体領域41にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第1配線部91Bは、対応する第1半導体領域41との間でオーミック接触をそれぞれ形成している。
第2電極層92は、中間絶縁層81を貫通して複数の第2半導体領域42に電気的に接続されている。これにより、第2電極層92は、複数の第2pn接合部64を並列接続させている。第2電極層92は、この形態では、第2パッド部92Aおよび複数の第2配線部92Bを含む。
第2パッド部92Aは、平面視において複数の第1半導体領域41および複数の第2半導体領域42から離間して第2パッド領域33の上に形成されている。複数の第2配線部92Bは、第2パッド部92Aから複数の第2半導体領域42に向けて帯状にそれぞれ引き出されている。複数の第2配線部92Bは、複数の第2半導体領域42に対して1対1対応の関係で引き出されている。
複数の第2配線部92Bは、複数の第1配線部91Bに対して平行に延びている。複数の第2配線部92Bは、複数の第1配線部91Bから第1方向Xに間隔を空けて形成され、かつ、複数の第1配線部91Bと交互に形成されている。これにより、複数の第2配線部92Bは、平面視において複数の第1配線部91Bに噛み合う櫛歯状に形成されている。複数の第2配線部92Bの第1方向Xの幅は任意である。複数の第2配線部92Bの第1方向Xの幅は、複数の第1配線部91Bの第1方向Xの幅と等しいことが好ましい。
複数の第2配線部92Bは、中間絶縁層81の上から対応する第2コンタクト開口83にそれぞれ入り込んでいる。複数の第2配線部92Bは、対応する第2コンタクト開口83内において対応する第2半導体領域42にそれぞれ電気的に接続されている。複数の第2配線部92Bは、対応する第2半導体領域42との間でオーミック接触をそれぞれ形成している。
図18は、図17のダイオードチップ191の電気回路図である。図18を参照して、ダイオードチップ191は、第1端子電極111、第2端子電極112およびダイオード対194を含む。ダイオード対194は、第1並列回路192および第2並列回路193を含む。
第1並列回路192は、複数の第1pn接合部54(第1ツェナーダイオードD1)を含む。複数の第1pn接合部54のアノードは、第1端子電極111に接続されている。第2並列回路193は、複数の第2pn接合部64(第2ツェナーダイオードD2)を含む。複数の第2pn接合部64のアノードは、第2端子電極112に接続されている。複数の第2pn接合部64のカソードは、複数の第1pn接合部54のカソードに接続されている。
第1端子電極111および第2端子電極112の間に第1端子電極111を正とする所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、第1端子電極111からダイオード対194を介して第2端子電極112に電流が流れる。
一方、第1端子電極111および第2端子電極112の間に第2端子電極112を正とする所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、第2端子電極112からダイオード対194を介して第1端子電極111に電流が流れる。
複数の第1pn接合部54等のレイアウトに対する複数の第2pn接合部64等のレイアウトの対称性を高めることにより、双方向デバイスとしての電気的特性を向上できる。つまり、第1端子電極111から第2端子電極112に向けて電流が流れた場合の電気的特性が、第2端子電極112から第1端子電極111に向けて電流が流れた場合の電気的特性と等しくなる。
以上、ダイオードチップ191によっても、ダイオードチップ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、ダイオードチップ191によれば、複数の第1pn接合部54および複数の第2pn接合部64が形成されている。これにより、複数の第1pn接合部54に電流を分流させることができ、複数の第2pn接合部64に電流を分流させることができる。よって、1つの第1pn接合部54および1つの第2pn接合部64に対する負荷を低減できると同時に、電流経路を増加させることができるから、電気的特性をさらに向上できる。
図19は、図17の対応図であって、本発明の第5実施形態に係るダイオードチップ201の平面図である。ダイオードチップ201は、第2実施形態に係るダイオードチップ141(図10等参照)の構造を第4実施形態に係るダイオードチップ191(図17参照)の構造に組み込んだ形態を有している。以下、ダイオードチップ191等に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図19を参照して、複数の第1半導体領域41は、デバイス領域31から第1パッド領域32に引き出されている。これにより、複数の第1半導体領域41の第1平面積が増加されている。同様に、複数の第2半導体領域42は、デバイス領域31から第2パッド領域33に引き出されている。これにより、複数の第2半導体領域42の第2平面積が増加されている。
各第1トレンチ構造50(第1トレンチ51)は、第4実施形態の場合と同様に、平面視において各第1半導体領域41の第1周縁部41Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第1内方部41Aを帯状(長方形状)に区画している。これにより、各第1トレンチ構造50は、デバイス領域31および第1パッド領域32において第1内方部41Aに第1pn接合部54を区画している。
各第2トレンチ構造60(第2トレンチ61)は、第4実施形態の場合と同様に、平面視において各第2半導体領域42の第2周縁部42Bに沿って延びる環状(長方形環状)に形成され、第2内方部42Aを帯状(長方形状)に区画している。これにより、各第2トレンチ構造60は、デバイス領域31および第2パッド領域33において第2内方部42Aに第2pn接合部64を区画している。
中間絶縁層81の複数の第1コンタクト開口82は、デバイス領域31および第1パッド領域32において対応する第1半導体領域41を1対1対応の関係でそれぞれ露出させている。中間絶縁層81の複数の第2コンタクト開口83は、デバイス領域31および第2パッド領域33において複数の第2半導体領域42を1対1対応の関係でそれぞれ露出させている。
第1電極層91の第1パッド部91Aは、この形態では、複数の第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成され、複数の第1半導体領域41の一部を被覆している。第1パッド部91Aは、中間絶縁層81の上から複数の第1コンタクト開口82に入り込んでいる。第1パッド部91Aは、複数の第1コンタクト開口82内において複数の第1半導体領域41に電気的に接続されている。第1パッド部91Aは、複数の第1半導体領域41との間でオーミック接触を形成している。
第2電極層92の第2パッド部92Aは、この形態では、複数の第1半導体領域41から離間して第2パッド領域33の上に形成され、複数の第2半導体領域42の一部を被覆している。第2パッド部92Aは、中間絶縁層81の上から複数の第2コンタクト開口83に入り込んでいる。第2パッド部92Aは、複数の第2コンタクト開口83内において複数の第2半導体領域42に電気的に接続されている。第2パッド部92Aは、複数の第2半導体領域42との間でオーミック接触を形成している。
第1端子電極111は、第1パッド開口104内において第1電極層91の第1パッド部91Aを挟んで複数の第1半導体領域41の一部に対向し、かつ、第1パッド部91Aを挟んで中間絶縁層81に対向している。
第2端子電極112は、第2パッド開口105内において第2電極層92の第2パッド部92Aを挟んで複数の第2半導体領域42の一部に対向し、かつ、第2パッド部92Aを挟んで中間絶縁層81に対向している。
以上、ダイオードチップ201によれば、ダイオードチップ141やダイオードチップ191に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図20は、図17の対応図であって、本発明の第6実施形態に係るダイオードチップ211の平面図である。ダイオードチップ211は、第3実施形態に係るダイオードチップ151(図13等参照)の構造を第4実施形態に係るダイオードチップ191(図17参照)の構造に組み込んだ形態を有している。以下、ダイオードチップ151やダイオードチップ191等に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図20を参照して、ダイオードチップ211は、第3半導体領域152、第4半導体領域153、第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170を含む。また、中間絶縁層81は、第3コンタクト開口181および第4コンタクト開口182を含む。第3半導体領域152、第4半導体領域153、第3トレンチ構造160、第4トレンチ構造170、第3コンタクト開口181および第4コンタクト開口182の構造は、第3実施形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
第1電極層91は、この形態では、中間絶縁層81を貫通して複数の第1半導体領域41および第3半導体領域152に電気的に接続されている。つまり、第1電極層91は、複数の第1pn接合部54および第3pn接合部164を並列接続させている。
第1電極層91の第1パッド部91Aは、具体的には、平面視において複数の第1半導体領域41および複数の第2半導体領域42から離間して第1パッド領域32の上に形成され、第3半導体領域152を被覆している。第1パッド部91Aは、中間絶縁層81の上から第3コンタクト開口181に入り込んでいる。第1パッド部91Aは、第3コンタクト開口181内において第3半導体領域152に電気的に接続されている。第1パッド部91Aは、第3半導体領域152との間でオーミック接触を形成している。
第2電極層92は、この形態では、中間絶縁層81を貫通して複数の第2半導体領域42および第4半導体領域153に電気的に接続されている。つまり、第2電極層92は、複数の第2pn接合部64および第4pn接合部174を並列接続させている。
第2電極層92の第2パッド部92Aは、具体的には、平面視において複数の第1半導体領域41および第2半導体領域42から離間して第2パッド領域33の上に形成され、第4半導体領域153を被覆している。第2パッド部92Aは、中間絶縁層81の上から第4コンタクト開口182に入り込んでいる。第2パッド部92Aは、第4コンタクト開口182内において第4半導体領域153に電気的に接続されている。第2パッド部92Aは、第4半導体領域153との間でオーミック接触を形成している。
第1端子電極111は、第1パッド開口104内において第1電極層91の第1パッド部91Aを挟んで第3半導体領域152に対向している。第2端子電極112は、第2パッド開口105内において第2電極層92の第2パッド部92Aを挟んで第2半導体領域42に対向している。
以上、ダイオードチップ211によれば、ダイオードチップ151やダイオードチップ191等に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図21は、図3の対応図であって、本発明の第7実施形態に係るダイオードチップ221の断面図である。以下、ダイオードチップ1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
前述の第1実施形態では、第1半導体領域41および第2半導体領域42が一体的に形成されてもよいと説明した。これは、第1pn接合部54が第1トレンチ構造50によって区画され、第2pn接合部64が第2トレンチ構造60によって区画されるためである。
したがって、図21を参照して、第1半導体領域41および第2半導体領域42が一体となった半導体領域222が、第1主面11の表層部の全域に形成されてもよい。半導体領域222の周縁部は、半導体チップ10の側面13A~13Dから露出している。このような半導体領域222が形成される場合であっても、第1トレンチ構造50および第2トレンチ構造60を形成することによって、第1pn接合部54および第2pn接合部64を区画できる。
以上、ダイオードチップ221によっても、ダイオードチップ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。また、ダイオードチップ221によれば、第1主面11の表層部の全域に半導体領域222を形成すればよく、イオン注入マスクの形成工程を省略できるため、工数を削減できる。
ダイオードチップ221に係る半導体領域222は、第2~第6実施形態にも適用できる。前述の第3実施形態(第6実施形態)では、第3半導体領域152および第4半導体領域153のいずれか一方または双方が、第1半導体領域41および第2半導体領域42のいずれか一方または双方と一体的に形成されてもよいと説明した。これは、第3pn接合部164が第3トレンチ構造160によって区画され、第4pn接合部174が第4トレンチ構造170によって区画されるためである。
したがって、前述の第3実施形態(第6実施形態)において半導体領域222が形成される場合であっても、第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170を形成することによって、第3pn接合部164および第4pn接合部174を区画できる。
図22は、図5の対応図であって、本発明の第8実施形態に係るダイオードチップ231の断面図である。以下、ダイオードチップ1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図22を参照して、第1トレンチ51は、第1半導体領域41を貫通し、半導体層21に至っている。第1トレンチ51は、この形態では、半導体基板20から第1主面11側に間隔を空けて形成されている。第1トレンチ51の底壁は、この形態では、濃度低下層22内に位置している。第1トレンチ51の底壁は、濃度保持層23内に位置していてもよい。
また、第2トレンチ61は、第1半導体領域41を貫通し、半導体層21に至っている。第2トレンチ61は、この形態では、半導体基板20から第1主面11側に間隔を空けて形成されている。第2トレンチ61の底壁は、この形態では、濃度低下層22内に位置している。第2トレンチ61の底壁は、濃度保持層23内に位置していてもよい。第2トレンチ61の深さは、第1トレンチ51の深さと等しいことが好ましい。
また、シールドトレンチ72は、第1半導体領域41を貫通し、半導体層21に至っている。シールドトレンチ72は、この形態では、半導体基板20から第1主面11側に間隔を空けて形成されている。シールドトレンチ72の底壁は、この形態では、濃度低下層22内に位置している。シールドトレンチ72の底壁は、濃度保持層23内に位置していてもよい。シールドトレンチ72の深さは、第1トレンチ51の深さと等しいことが好ましい。
ダイオードチップ231は、半導体層21において第1トレンチ51の底壁に沿う領域に形成されたp+型の第1高濃度領域232を含む。第1高濃度領域232は、第1トレンチ51の形成後、第1トレンチ51の底壁に対してp型不純物を導入する工程を追加することによって形成される。第1高濃度領域232は、半導体基板20から第1トレンチ51の底壁に間隔を空けて形成されている。第1高濃度領域232の底部は、半導体基板20に接続されていてもよい。第1高濃度領域232は、第1トレンチ51の側壁を被覆していてもよい。
第1高濃度領域232は、濃度低下層22のp型不純物濃度を高めている。第1高濃度領域232のp型不純物濃度は、濃度保持層23のp型不純物濃度を超えていてもよい。第1高濃度領域232のp型不純物濃度のピーク値は、1×1017cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
ダイオードチップ231は、半導体層21において第2トレンチ61の底壁に沿う領域に形成されたp+型の第2高濃度領域233を含む。第2高濃度領域233は、第2トレンチ61の形成後、第2トレンチ61の底壁に対してp型不純物を導入する工程を追加することによって形成される。第2高濃度領域233は、半導体基板20から第2トレンチ61の底壁に間隔を空けて形成されている。第2高濃度領域233の底部は、半導体基板20に接続されていてもよい。第1高濃度領域232は、第2トレンチ61の側壁を被覆していてもよい。
第2高濃度領域233は、濃度低下層22のp型不純物濃度を高めている。第2高濃度領域233のp型不純物濃度は、濃度保持層23のp型不純物濃度を超えていてもよい。第2高濃度領域233のp型不純物濃度のピーク値は、1×1017cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第2高濃度領域233のp型不純物濃度は、第1高濃度領域232のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。
ダイオードチップ231は、半導体層21においてシールドトレンチ72の底壁に沿う領域に形成されたp+型の第3高濃度領域234を含む。第3高濃度領域234は、シールドトレンチ72の形成後、シールドトレンチ72の底壁に対してp型不純物を導入する工程を追加することによって形成される。第3高濃度領域234は、半導体基板20からシールドトレンチ72の底壁に間隔を空けて形成されている。第3高濃度領域234の底部は、半導体基板20に接続されていてもよい。第3高濃度領域234は、シールドトレンチ72の側壁を被覆していてもよい。
第3高濃度領域234は、濃度低下層22のp型不純物濃度を高めている。第3高濃度領域234のp型不純物濃度は、濃度保持層23のp型不純物濃度を超えていてもよい。第3高濃度領域234のp型不純物濃度のピーク値は、1×1017cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。第3高濃度領域234のp型不純物濃度は、第1高濃度領域232のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。
以上、ダイオードチップ231によっても、ダイオードチップ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
第1トレンチ51の深さが半導体基板20に達しない構造では、半導体層21において第1トレンチ51の側壁に沿う領域が、界面電荷に起因して反転する可能性がある。この場合、半導体層21において第1トレンチ51の側壁に沿う領域において局所的なスナップバック現象が発生する結果、電流能力や耐圧(たとえばESD耐量)が設計値未満となる問題がある。
そこで、ダイオードチップ231では、第1トレンチ51の深さが半導体基板20に達しない構造において、半導体層21において第1トレンチ51の底壁に沿う領域に第1高濃度領域232を形成している。これにより、第1トレンチ51の側壁に沿う領域における反転を抑制できるから、スナップバック現象を抑制できる。
また、第2トレンチ61の深さが半導体基板20に達しない構造では、半導体層21において第2トレンチ61の側壁に沿う領域が、界面電荷に起因して反転する可能性がある。この場合、半導体層21において第2トレンチ61の側壁に沿う領域において局所的なスナップバック現象が発生する結果、電流能力や耐圧(たとえばESD耐量)が設計値未満となる問題がある。
そこで、ダイオードチップ231では、第2トレンチ61の深さが半導体基板20に達しない構造において、半導体層21において第2トレンチ61の底壁に沿う領域に第2高濃度領域233を形成している。これにより、第2トレンチ61の側壁に沿う領域における反転を抑制できるから、スナップバック現象を抑制できる。
ダイオードチップ231に係る第1~第3高濃度領域232~234は、第2~第6実施形態にも適用できる。また、ダイオードチップ151等のように第3トレンチ構造160を含む場合には、半導体層21において第3トレンチ161の底壁に沿う領域に第1高濃度領域232に対応した高濃度領域を形成してもよい。この場合、第3トレンチ構造160側におけるスナップバック現象を抑制できる。
また、ダイオードチップ151等のように第4トレンチ構造170を含む場合には、半導体層21において第4トレンチ171の底壁に沿う領域に第1高濃度領域232に対応した高濃度領域を形成してもよい。この場合、第4トレンチ構造170側におけるスナップバック現象を抑制できる。
図23A~図23Uは、第1~第8実施形態に係るダイオードチップ(符号省略)に適用される製造方法の一例を説明するための断面図である。以下では、第1実施形態に係るダイオードチップ1が製造される例について説明する。
まず、図23Aを参照して、半導体チップ10(具体的には半導体基板20)のベースとなるp++型のシリコン製の半導体ウエハ301が用意される。半導体ウエハ301のp型不純物は、ホウ素であってもよい。
次に、図23Bを参照して、エピタキシャル成長法によって、半導体ウエハ301の主面からシリコンが結晶成長される。この工程では、半導体ウエハ301から結晶成長途中のシリコンにp型不純物が拡散する。これにより、濃度低下層22のベースとなるp+型の第1エピタキシャル層302が、半導体ウエハ301の上に形成される。
次に、図23Cを参照して、p型不純物(たとえばホウ素)が第1エピタキシャル層302の表層部に導入される。p型不純物は、イオン注入法によって第1エピタキシャル層302の表層部に導入されてもよい。これにより、第1エピタキシャル層302の表層部のp型不純物濃度が高められる。
次に、図23Dを参照して、エピタキシャル成長法によって、第1エピタキシャル層302からシリコンが結晶成長される。これにより、濃度保持層23のベースとなる第2エピタキシャル層303が、第1エピタキシャル層302の上に形成される。第2エピタキシャル層303の導電型は、n型であってもよいし、p型であってもよい。
次に、第1エピタキシャル層302の表層部に導入されたp型不純物が、ドライブイン処理法によって拡散される。これにより、第1エピタキシャル層302の表層部に導入されたp型不純物が、第2エピタキシャル層303内に拡散し、濃度保持層23が形成される。
濃度保持層23は、イオン注入法および不純物拡散法に代えて、p型不純物の導入を伴うエピタキシャル成長法によって比較的高濃度な第2エピタキシャル層303を直接形成することによっても得られる。
図23A~図23Dの工程を経て、半導体ウエハ301、第1エピタキシャル層302および第2エピタキシャル層303を含む半導体ウエハ構造304が形成される。半導体ウエハ構造304は、一方側の第1ウエハ主面305および他方側の第2ウエハ主面306を有している。第1ウエハ主面305および第2ウエハ主面306は、半導体チップ10の第1主面11および第2主面12にそれぞれ対応している。
次に、図23Eを参照して、ダイオードチップ1にそれぞれ対応した複数のチップ領域307、および、複数のチップ領域307を区画する切断予定領域308が設定される。図23Eでは、1つのチップ領域307が図示されている(以下、同じ。)。複数のチップ領域307は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って間隔を空けて行列状に設定される。切断予定領域308は、第1方向Xおよび第2方向Yに沿って延びる格子状に設定され、複数のチップ領域307を区画する。
次に、所定パターンを有するハードマスク309が、第1ウエハ主面305の上に形成される。ハードマスク309は、各チップ領域307において複数のトレンチ310を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。複数のトレンチ310は、第1トレンチ51、第2トレンチ61、シールドトレンチ72等を含む。ダイオードチップ151等のように第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170を含む場合には、複数のトレンチ310は、第3トレンチ161および第4トレンチ171を含む。
ハードマスク309は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。ハードマスク309に対するパターニングは、エッチングマスクを介するエッチング法によって行われてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
次に、ハードマスク309を介するエッチング法によって、第1ウエハ主面305の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのRIE(Reactive Ion Etching)法であることが好ましい。これにより、複数のトレンチ310が第1ウエハ主面305に形成される。ハードマスク309は、その後、除去される。
ダイオードチップ231のように、第1高濃度領域232、第2高濃度領域233および第3高濃度領域234を含む場合には、複数のトレンチ310の形成工程後、複数のトレンチ310の底壁にp型不純物が導入される。p型不純物は、イオン注入マスクを介するイオン注入法によって複数のトレンチ310の底壁に導入されてもよい。
次に、図23Fを参照して、第1ベース絶縁層311が、第1ウエハ主面305の上に形成される。第1ベース絶縁層311は、第1絶縁層52、第2絶縁層62およびシールド絶縁層73のベースとなる。ダイオードチップ151等のように第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170を含む場合には、第1ベース絶縁層311は、第3絶縁層162および第4絶縁層172を含む。
第1ベース絶縁層311は、第1ウエハ主面305および複数のトレンチ310の内壁に沿って膜状に形成される。第1ベース絶縁層311は、CVD法または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。第1ベース絶縁層311は、この形態では、熱酸化処理法によって形成される。
次に、ポリシリコン層312が、第1ベース絶縁層311の上に形成される。ポリシリコン層312は、第1ポリシリコン53、第2ポリシリコン63、シールドポリシリコン74等のベースとなる。ダイオードチップ151等のように第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170を含む場合には、ポリシリコン層312は、第3ポリシリコン163および第4ポリシリコン173を含む。
ポリシリコン層312は、第1ベース絶縁層311を挟んで複数のトレンチ310を埋め、第1ウエハ主面305を被覆する。ポリシリコン層312は、CVD法によって形成されてもよい。図23Fでは、複数のトレンチ310内の構造がクロスハッチングによって示されている(以下、同じ)。
次に、図23Gを参照して、ポリシリコン層312の不要な部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。ポリシリコン層312は、第1ベース絶縁層311が露出するまで除去される。
次に、第1ベース絶縁層311の不要な部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。第1ベース絶縁層311は、第1ウエハ主面305が露出するまで除去される。第1ベース絶縁層311のうち第1ウエハ主面305を被覆する部分は、中間絶縁層81の一部として残存させてもよい。
これにより、第1トレンチ構造50、第2トレンチ構造60およびシールド構造71が、各チップ領域307に形成される。ダイオードチップ151等のように第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170を含む場合には、この工程によって、第3トレンチ構造160および第4トレンチ構造170が形成される。
次に、図23Hを参照して、所定パターンを有するイオン注入マスク313が、第1ウエハ主面305の上に形成される。イオン注入マスク313は、各チップ領域307において第1半導体領域41および第2半導体領域42を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。ダイオードチップ151等のように第3半導体領域152および第4半導体領域153を含む場合には、イオン注入マスク313は、各チップ領域307において第3半導体領域152および第4半導体領域153を形成すべき領域をさらに露出させている。
次に、n型不純物(たとえば燐)が、イオン注入マスク313を介して第1ウエハ主面305(第2エピタキシャル層303)の表層部に導入される。これにより、第1半導体領域41および第2半導体領域42が第1ウエハ主面305の表層部に形成される。ダイオードチップ151等のように第3半導体領域152および第4半導体領域153を含む場合には、この工程において、第3半導体領域152および第4半導体領域153が形成される。イオン注入マスク313は、その後、除去される。
次に、図23Iを参照して、中間絶縁層81のベースとなる第2ベース絶縁層314が、第1ウエハ主面305の上に形成される。第2ベース絶縁層314は、この形態では、第1ウエハ主面305側からこの順に積層された第1酸化シリコン層、窒化シリコン層および第2酸化シリコン層を含むONO積層構造を有している。第1酸化シリコン層は、CVD法または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。窒化シリコン層および第2酸化シリコン層は、CVD法によってそれぞれ形成されてもよい。
次に、図23Jを参照して、所定パターンを有するレジストマスク315が、第2ベース絶縁層314の上に形成される。レジストマスク315は、各チップ領域307の第2ベース絶縁層314において第1コンタクト開口82および第2コンタクト開口83を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。ダイオードチップ151等のように第3半導体領域152および第4半導体領域153を含む場合には、レジストマスク315は、各チップ領域307の第2ベース絶縁層314において第3コンタクト開口181および第4コンタクト開口182を形成すべき領域をさらに露出させている。
次に、レジストマスク315を介するエッチング法によって、第2ベース絶縁層314の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1コンタクト開口82および第2コンタクト開口83が各チップ領域307の第2ベース絶縁層314に形成される。また、ダイオードチップ151等のように第3半導体領域152および第4半導体領域153を含む場合には、この工程において、第3コンタクト開口181および第4コンタクト開口182が形成される。レジストマスク315は、その後、除去される。
次に、図23Kを参照して、第1電極層91および第2電極層92のベースとなるベース電極層316が、第2ベース絶縁層314の上に形成される。ベース電極層316は、純Cu層(純度が99%以上のCu層)、純Al層(純度が99%以上のAl層)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ベース電極層316は、スパッタ法および/または蒸着法によって形成されてもよい。
次に、図23Lを参照して、所定パターンを有するレジストマスク317が、ベース電極層316の上に形成される。レジストマスク317は、各チップ領域307のベース電極層316において第1電極層91および第2電極層92を形成すべき領域を被覆し、それら以外の領域を露出させている。
次に、レジストマスク317を介するエッチング法によって、ベース電極層316の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、各チップ領域307に第1電極層91および第2電極層92に形成される。レジストマスク317は、その後、除去される。
次に、図23Mを参照して、パッシベーション層102が、第2ベース絶縁層314の上に形成される。パッシベーション層102は、第2ベース絶縁層314の上において第1電極層91および第2電極層92を被覆する。パッシベーション層102は、この形態では、窒化シリコンを含む。パッシベーション層102は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、図23Nを参照して、樹脂層103が、パッシベーション層102の上に形成される。樹脂層103は、感光性樹脂(この形態ではポリイミド)をパッシベーション層102の上に塗布することによって形成される。これにより、パッシベーション層102および樹脂層103を含む最上絶縁層101が形成される。
次に、図23Oを参照して、樹脂層103が、第1パッド開口104、第2パッド開口105および切断予定領域308に対応したパターンで露光された後、現像される。これにより、第1パッド開口104、第2パッド開口105および切断予定領域308に対応したパターンを有する複数の開口318が、樹脂層103に形成される。
次に、図23Pを参照して、パッシベーション層102において樹脂層103の開口318から露出する部分が、樹脂層103をマスクとして利用したエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1パッド開口104、第2パッド開口105およびダイシングストリート319が、最上絶縁層101に形成される。ダイシングストリート319は、切断予定領域308に沿う格子状に形成される。
次に、図23Qを参照して、第2ベース絶縁層314においてダイシングストリート319から露出する部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第2ベース絶縁層314において各チップ領域307を被覆する部分が中間絶縁層81として分割される。
次に、第1ウエハ主面305においてダイシングストリート319から露出する部分が、エッチング法によってさらに除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であることが好ましい。エッチング法は、ボッシュプロセスであることがさらに好ましい。これにより、複数のチップ領域307を区画するダイシング溝320が、第1ウエハ主面305に形成される。
ダイシング溝320は、第2エピタキシャル層303および第1エピタキシャル層302を貫通して、半導体ウエハ301の厚さ方向途中部に至る。これにより、第1エピタキシャル層302が濃度低下層22となり、第2エピタキシャル層303が濃度保持層23となる。
次に、図23Rを参照して、側面絶縁層121のベースとなる第3ベース絶縁層321が、第1ウエハ主面305の上に形成される。第3ベース絶縁層321は、ダイシング溝320の内壁に沿って膜状に形成され、かつ、第1ウエハ主面305側の構造物を一括して被覆する。第3ベース絶縁層321は、この形態では、酸化シリコンを含む。第3ベース絶縁層321は、CVD法によって形成されてもよい。
次に、図23Sを参照して、第3ベース絶縁層321の不要な部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法の一例としてのRIE法であることが好ましい。これにより、第3ベース絶縁層321においてダイシング溝320の側面を被覆する部分以外の部分が除去される。
次に、図23Tを参照して、第1端子電極111および第2端子電極112が、各チップ領域307に形成される。第1端子電極111および第2端子電極112は、この形態では、第1ウエハ主面305側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有している。Ni層、Pd層およびAu層は、電解めっき法および/または無電解めっき法によってそれぞれ形成されてもよい。
次に、図23Uを参照して、第2ウエハ主面306が、ダイシング溝320に連通するまで研削される。これにより、半導体ウエハ構造304が半導体チップ10となり、複数のダイオードチップ1が1枚の半導体ウエハ構造304から切り出される。第2ウエハ主面306の研削工程は、第2ウエハ主面306がダイシング溝320に連通した後も継続されてもよい。つまり、第2ウエハ主面306の研削工程は、半導体チップ10(半導体基板20)の薄膜化工程を含んでいてもよい。以上を含む工程を経て、ダイオードチップ1が製造される。
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。
前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型に形成され、n型の部分がp型に形成されてもよい。
前述の各実施形態において、シールド構造71を有さない構造が採用されてもよい。また、前述の各実施形態において、側面絶縁層121を有さない構造が採用されてもよい。この場合、半導体チップ10の側面13A~側面13Dはチップ本体2のチップ側面5A~5Dの一部をそれぞれ形成する。
前述の各実施形態において、濃度保持層23を有さない半導体基板20(半導体チップ10)が形成され、濃度低下層22との間でpn接合を形成する第1半導体領域41、第2半導体領域42、第3半導体領域152および第4半導体領域153が形成されてもよい。ただし、この場合、実際の耐圧(具体的にはブレークダウン電圧)が目標の耐圧から変動する可能性がある点に留意する。
この明細書は、第1~第8実施形態に示された特徴の如何なる組み合わせ形態をも制限しない。第1~第8実施形態は、それらの間で任意の態様および任意の形態において組み合わせられることができる。つまり、第1~第8実施形態に示された特徴が任意の態様および任意の形態で組み合わされたダイオードチップが採用されてもよい。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。