以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断装置の構成例を示すブロック図である。なお、図1では、医用画像診断装置の一例として超音波診断装置1を説明する。図1に示されるように、超音波診断装置1は、装置本体10、及び超音波プローブ20を備える。装置本体10は、ネットワーク100を介して外部装置30と接続される。また、装置本体10は、表示機器40及び入力装置50と接続される。
超音波プローブ20は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ20は、装置本体10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ20には、オフセット処理、及び超音波画像のフリーズ等の際に押下されるボタンが配置されてもよい。
超音波プローブ20から生体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、生体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ20が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流又は心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波プローブ20は、生体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
本実施形態においては、超音波プローブ20は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイプローブであるとする。しかしながら、当該例に拘泥されず、超音波プローブ20は、ボリュームデータを取得可能なものとして、二次元アレイプローブ(複数の超音波振動子が二次元マトリックス状に配列されたプローブ)、又はメカニカル4Dプローブ(超音波振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なプローブ)であってもよい。
なお、図1においては、撮影に用いられる超音波プローブ20と装置本体10との接続関係のみを例示している。しかしながら、装置本体10には、複数の超音波プローブを接続することが可能である。接続された複数の超音波プローブのうちいずれを撮影に使用するかは、切り替え操作によって任意に選択することができる。
図1に示される装置本体10は、超音波プローブ20により受信された反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示されるように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元データ発生回路15、画像処理回路16、表示処理回路17、内部記憶回路18、画像メモリ19(シネメモリ)、入力インタフェース111、通信インタフェース112、及び制御回路113を有する。
超音波送信回路11は、超音波プローブ20に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ20から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ20に設けられる複数の超音波振動子へ駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ20が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラ波形、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。生成されたドプラデータは、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、3次元画像データを生成するプロセッサである。3次元データ発生回路15は、例えば、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対してRAW-ピクセル変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元画像データを生成する。
また、3次元データ発生回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW-ボクセル変換を実行することで、所望の範囲のボクセルから構成される3次元の画像データ(以下、ボリュームデータと称する。)を生成する。
画像処理回路16は、2次元画像データ又はボリュームデータに対し、所定の画像処理を施すプロセッサである。所定の画像処理には、例えば、ボリュームレンダリング、サーフェスレンダリング、多断面変換処理(MPR:Multi Planar Reconstruction)、及び最大値投影処理(MIP:Maximum Intensity Projection)等が含まれる。また、画像処理回路16は、ノイズ低減や画像の繋がりを良くすることを目的として、画像処理の後に二次元的なフィルタを挿入し、空間的なスムージングを行う。
また、画像処理回路16は、観察対象となる領域を遮る、観察に不要な領域を除去したレンダリング処理を実施する。具体的には、例えば、画像処理回路16は、内部記憶回路18に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。画像処理回路16は、例えば、再構成領域設定機能161、視点・視線方向設定機能162、探索開始面設定機能163、探索軸設定機能164、描画開始面設定機能165、及び描画処理機能166を有する。
再構成領域設定機能161は、再構成領域を設定する機能であり、領域設定部の一例である。本実施形態において、例えば、再構成領域は、生成されたボリュームデータを3次元的又は4次元的に観察可能な2次元画像へ変換する際に処理の対象となる領域を表す。具体的には、例えば、再構成領域設定機能161において画像処理回路16は、表示機器40に表示される、2次元画像データに基づいて作成される断層画像に対するROI領域についての操作者からの指定を受け付ける。画像処理回路16は、指定されたROI領域に基づき、3次元領域としての再構成領域を設定する。
なお、画像処理回路16は、例えば、パターン認識等の既存の領域抽出アルゴリズムを用いて抽出した領域を含む3次元領域を、再構成領域として自動で設定してもよい。また、画像処理回路16は、ボリュームデータの一部ではなく、ボリュームデータ全体を再構成領域として設定しても構わない。
視点・視線方向設定機能162は、3次元画像又は4次元画像を観察する位置を表す視点、及び観察する方向を表す視線方向を設定する機能であり、視点・視線方向設定部の一例である。具体的には、例えば、視点・視線方向設定機能162において画像処理回路16は、3次元画像又は4次元画像を観察する際の視点及び視線方向の指定を受け付ける。画像処理回路16は、指定された視点及び視線方向を設定する。なお、本実施形態において、視線方向は、視点から遠ざかる方向を順方向とする。
視点及び視線方向は、例えば、ボリュームデータを3次元的又は4次元的に観察可能な2次元画像へ変換する際の既存の手順と同様の手順で設定されても構わない。
探索開始面設定機能163は、再構成領域についての探索を開始するボクセルの集合としての探索開始面を設定する機能であり、探索開始面設定部の一例である。探索開始面は、再構成領域内において物性が異なる領域間の境界を、視点に対して逆側から探索する際に用いられる。具体的には、例えば、探索開始面設定機能163において画像処理回路16は、設定された視点側から見て、除去したい領域より遠方の観察対象となる領域を通過する位置に探索開始面を設定する。
探索軸設定機能164は、探索開始面上のボクセルから再構成領域における境界を探索する際の探索方向を表す探索軸を設定する機能であり、探索軸設定部の一例である。具体的には、例えば、探索軸設定機能164において画像処理回路16は、視線方向、及び探索開始面等に基づいて探索軸を設定する。なお、本実施形態において、探索軸は、視点に近づく向きを順方向とする。
描画開始面設定機能165は、ボリュームデータにおいて、レンダリング処理を開始するボクセルの集合としての描画開始面を算出する機能であり、描画開始面設定部の一例である。具体的には、例えば、描画開始面設定機能165において画像処理回路16は、探索開始面からの探索により得られた結果に基づいて描画開始面を算出する。
描画処理機能166は、ボリュームデータを2次元画像に投影したレンダリング画像データを作成する機能であり、描画処理部の一例である。具体的には、例えば、描画処理機能166において画像処理回路16は、描画開始面から視線方向へ向けてボリュームデータのレンダリング処理を実施することで、表示画像データとして、レンダリング画像データを作成する。
図1に示される表示処理回路17は、画像処理回路16で生成・処理された各種画像データをビデオ信号へ変換するプロセッサである。具体的には、表示処理回路17は、画像処理回路16で生成・処理された各種画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換等の各種処理を実行することで、画像データをビデオ信号に変換する。表示処理回路17は、ビデオ信号を表示機器40に表示させる。なお、表示処理回路17は、操作者が入力インタフェース111により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを表示機器40に表示させてもよい。表示機器40としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
内部記憶回路18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路18は、超音波送受信を実現するためのプログラム、画像処理を行うためのプログラム、表示処理を行なうためのプログラム、及び超音波プローブ20の感度を管理するためのプログラム等を記憶している。また、内部記憶回路18は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送信条件、受信条件、信号処理条件、画像生成条件、画像処理条件、ボディマーク生成プログラム、表示条件、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル等のデータ群を記憶している。なお、上記プログラム、及びデータ群は、例えば、内部記憶回路18に予め記憶されていてもよい。また、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて内部記憶回路18にインストールされてもよい。
また、内部記憶回路18は、入力インタフェース111を介して入力される記憶操作に従い、3次元データ発生回路15で発生された2次元画像データ及びボリュームデータ、並びに、画像処理回路16で生成・処理された画像データを記憶する。内部記憶回路18は、記憶しているデータを、通信インタフェース112を介して外部装置30へ転送することも可能である。
また、内部記憶回路18は、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、及びフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。内部記憶回路18は、記憶しているデータを可搬性記憶媒体へ書き込み、可搬性記憶媒体を介してデータを外部装置30に記憶させることも可能である。
画像メモリ19は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ19は、入力インタフェース111を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ19に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
内部記憶回路18及び画像メモリ19は、必ずしもそれぞれが独立した記憶装置により実現される訳ではない。内部記憶回路18及び画像メモリ19は単一の記憶装置により実現されても構わない。また、内部記憶回路18及び画像メモリ19は、それぞれが複数の記憶装置により実現されても構わない。
入力インタフェース111は、入力装置50を介して、ユーザからの各種指示を受け付ける。入力装置50は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル、及びタッチコマンドスクリーン(TCS)である。入力インタフェース111は、例えばバスを介して制御回路113に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路113へ出力する。なお、本実施形態において入力インタフェース111は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路113へ出力する処理回路も入力インタフェース111の例に含まれる。
通信インタフェース112は、ネットワーク100等を介して外部装置30と接続され、外部装置30との間でデータ通信を行う。外部装置30は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステム等のデータベースである。また、外部装置30は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置であっても構わない。なお、外部装置30との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOM(digital imaging and communication in medicine)が挙げられる。
制御回路113は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路113は、内部記憶回路18に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。
次に、以上のように構成された超音波診断装置1が、観察対象を3次元的又は4次元的に観察できる2次元画像を作成する際の動作を説明する。なお、以下では、観察対象が胎児である場合を例に説明する。
例えば、操作者が、超音波プローブ20を用い、体内に胎児のいる妊婦の超音波検査を実施しているとする。超音波プローブ20から妊婦へ送信された超音波は、妊婦の体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ20で受信される。超音波受信回路12は、超音波プローブ20が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成する。
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、2次元的な超音波走査線上のBモードRAWデータを生成する。3次元データ発生回路15は、Bモード処理回路13により生成された2次元的なBモードRAWデータに対してRAW-ピクセル変換を実行することで、2次元画像データを発生する。発生した2次元画像データは、画像処理回路16での画像処理、及び表示処理回路17での変換処理を経て、断層画像として表示機器40に表示される。
操作者は、例えば、胎児の顔を確認したい場合、胎児の顔が表示機器40に表示される断層画像に含まれるように超音波プローブ20を操作する。操作者は、所望の領域を含む断層画像が表示されると、入力インタフェース111を介し、胎児の腕、へその緒、及び胎盤等、観察に不要な領域を削除した4次元画像表示を実行する旨の指示を入力する。当該指示が入力されると、画像処理回路16は、観察対象となる領域を遮る、観察に不要な領域を除去したレンダリング処理を実施するための画像処理プログラムを内部記憶回路18から読み出し、読み出したプログラムを実行する。
図2は、図1に示される画像処理回路16が観察対象となる領域を遮る、観察に不要な領域を除去したレンダリング画像データを作成する際の動作の例を表すフローチャートである。
画像処理プログラムが実行されると、例えば、まず、再構成領域設定機能161が実現される。再構成領域設定機能161において画像処理回路16は、入力インタフェース111を介し、表示機器40に表示される断層画像に対するROI領域についての操作者からの指定を受け付ける。図3は、表示機器40に表示される断層画像に対して指定されるROI領域R1の例を表す図である。図3によれば、胎児の顔を含む領域に矩形状のROI領域R1が指定される。画像処理回路16は、指定されたROI領域R1に基づき、ボリュームデータにおける再構成領域を設定する(ステップS21)。なお、ROI領域は、断層画像上に操作者が手動で描画する任意の曲線により表されても構わない。
なお、画像処理回路16は、例えば、パターン認識等の既存の領域抽出アルゴリズムを用いて抽出した顔領域を含む3次元領域を、再構成領域として自動で設定してもよい。
再構成領域を設定すると、画像処理回路16は、視点・視線方向設定機能162を実行する。視点・視線方向設定機能162を実行すると画像処理回路16は、既存のレンダリング処理で実施される手順と同様の手順で、3次元画像又は4次元画像を観察する際の視点及び視線方向を設定する(ステップS22)。例えば、画像処理回路16は、入力インタフェース111を介して操作者から入力される、視点の座標、及び視線方向の指定に基づき、視点及び視線方向を設定する。このとき、画像処理回路16は、視点から遠ざかる方向を順方向として視線方向を設定する。なお、画像処理回路16は、超音波ビームが照射される方向と同じ方向に、視線方向を自動的に設定してもよい。
視点及び視線方向を設定すると、画像処理回路16は、探索開始面設定機能163を実行する。探索開始面設定機能163を実行すると画像処理回路16は、設定した視点側から見て、非表示としたい腕、へその緒、及び胎盤等の領域より遠い位置に探索開始面を設定する(ステップS23)。このとき、探索開始面は、表示対象としたい胎児領域の一部を通過してもよい。
具体的には、画像処理回路16は、例えば、再構成領域を構成する面の一部を探索開始面として設定する。図4は、再構成領域を構成する面の一部を利用して設定される探索開始面S1の例を表す図である。図4によれば、再構成領域と対応するROI領域R1の4辺のうち、視点から最も遠い1辺に対応する断面を探索開始面S1としている。なお、ROI領域R1が手動で入力される曲線により表される場合、画像処理回路16は、このROI領域R1により設定される再構成領域を構成する曲面の一部を利用して探索開始面S1を設定してもよい。
また、探索開始面は、再構成領域を構成する面の一部を利用するものに限定されない。画像処理回路16は、例えば、生体内の所定の構造に基づき、探索開始面を設定しても構わない。例えば、画像処理回路16は、断層画像に対してパターン認識等の既存の領域抽出アルゴリズムを実行し、生体内の構造として、胎児の頭部を表す領域を抽出する。そして、画像処理回路16は、抽出した頭部領域内の点を通る直線に対応する断面を探索開始面として設定してもよい。
より具体的には、画像処理回路16は、例えば、胎児の頭部内の点を通り、視線方向と直交する直線に対応する断面を探索開始面としてもよい。図5は、頭部内の点P1を通り、視線方向と直交する直線を利用して設定される探索開始面S1の例を表す図である。図5によれば、例えば、胎児の頭部全体を含むように指定されたROI領域R1において胎児の頭部領域が抽出され、抽出された頭部領域内の点P1を利用して探索開始面S1が設定されている。
また、画像処理回路16は、探索開始面を複数設定しても構わない。例えば、ボリュームデータを2次元画像に投影する際に視線方向が探索開始面を通過しない場合は、再構成領域を構成する面のうち視点から遠い面を探索開始面として追加してもよい。
また、画像処理回路16は、別の時相で設定した探索開始面を用いて、他の時相の探索開始面を設定してもよい。例えば、画像処理回路16は、一つ前の時相で設定された探索開始面上の各ボクセルを、この時相で算出される描画開始面上の各ボクセルに、探索軸方向に沿って近づけたボクセルの集合を、次の時相の探索開始面として設定してもよい。
探索開始面を設定すると、画像処理回路16は、探索軸設定機能164を実行する。探索軸設定機能164を実行すると画像処理回路16は、探索軸を設定する(ステップS24)。具体的には、画像処理回路16は、例えば、視線方向と平行な方向に設定され、視点に近づく向きを順方向とする探索軸を設定する。図6は、視線方向と平行な方向に設定され、視点に近づく向きを順方向とする探索軸A1の例を表す図である。
なお、探索軸は、視線方向と平行でなくても構わない。例えば、画像処理回路16は、探索開始面の法線方向に探索軸を設定しても構わない。
また、画像処理回路16は、観察対象から見た正面方向に探索軸を設定しても構わない。正面方向は、例えば、既存の顔認識アルゴリズム等で検出した顔の正面方向であってもよい。具体的には、画像処理回路16は、例えば、胎児の頭部内の点から鼻へ向かう方向を探索軸として自動的に設定する。図7は、胎児の頭部内の点P1から鼻へ向かう方向に設定され、視点に近づく向きを順方向とする探索軸A1の例を表す図である。
探索軸を設定すると、画像処理回路16は、描画開始面設定機能165を実行する。描画開始面設定機能165を実行すると画像処理回路16は、探索開始面からの探索軸に沿った探索により得られる胎児領域と羊水領域との境界に基づき描画開始面を算出する(ステップS25)。図8は、探索開始面S1からの探索軸A1に沿った探索により得られる境界面に基づいて算出される描画開始面S2の例を表す図である。
画像処理回路16は、例えば、以下の処理により描画開始面を算出する。例えば、画像処理回路16は、胎児領域を表示領域とし、羊水領域を非表示領域とするオパシティカーブの透明度を反転させたオパシティカーブを記憶している。図9は、胎児領域を表示領域、すなわち不透明度を高くし、羊水領域を非表示領域、すなわち不透明度を低くしたオパシティカーブの例を表す図である。また、図9に示されるオパシティカーブは、ボクセルの輝度に対する胎児領域の発生度数を表すヒストグラムに基づき、胎児領域が発生し得る輝度値から所定のコントラストで不透明度を上げるように設定されている。一方、図10は、図9に示されるオパシティカーブを反転させたオパシティカーブの例を表す図である。すなわち、図10では、胎児領域では不透明度を低くし、羊水領域では不透明度を高くしている。画像処理回路16は、図10に示されるオパシティカーブを用い、探索開始面から探索軸に沿ってレイキャスティングした際にレイの透過率が0となるボクセルの集合を描画開始面として算出する。
なお、描画開始面の算出方法は、上記に限定されない。画像処理回路16は、任意の既存アルゴリズムを用いて胎児領域と羊水領域との境界又は境界近傍の領域を取得し、取得した境界又は境界近傍の領域に基づいて描画開始面を算出してもよい。具体的には、例えば、画像処理回路16は、観察対象を表示領域とし、非観察対象を非表示領域とする。画像処理回路16は、探索開始面から探索軸に沿って探索した際に最初に非表示領域に到達したボクセルの集合を描画開始面として算出する。
また、画像処理回路16は、胎児領域を示す輝度値(ボクセル値)から羊水領域を示す輝度値までの間の値を閾値として有し、探索開始面から探索軸に沿って探索した際に最初に閾値を超える、又は下回るボクセルの集合を描画開始面として算出してもよい。
また、探索軸に沿って両領域間の境界を探索する場合、胎児領域から羊水領域へと推移する領域ではボリュームデータにおけるボクセル値の変化量が大きくなるはずである。画像処理回路16は、ボクセル値の変化量が一定の閾値を超えるボクセルの集合を描画開始面として算出してもよい。
ステップS23において、探索開始面が複数設定されている場合、画像処理回路16は、設定されている視点により近い側の探索開始面上のボクセルから、境界領域の探索を開始する。図11は、探索開始面が複数設定されている場合に算出される描画開始面S2の例を表す図である。図11では、探索開始面S1-1,S1-2が設定され、視点が図11における右上に設定され、探索軸が視線方向と平行に設定されている場合を例に示している。このとき、探索開始面S1-1のうち、視点に近い太実線の領域上のボクセルから探索が開始され、探索開始面S1-2のうち、視点に近い太実線の領域上のボクセルから探索が開始される。また図11では、探索開始面S1-1、S1-2の他に、視線方向が探索開始面を通過しない領域に対して、再構成領域を構成する面のうち視点から遠い面を探索開始面としている。
画像処理回路16がサーフェスレンダリングを実施する場合、画像処理回路16は、探索開始面の各ボクセルから探索軸に沿って探索軸の順方向に探索した際に最も近いポリゴンを描画開始面としてもよい。
なお、描画開始面の算出において、用いられるボリュームデータは3次元データ発生回路15で生成されたものでもよいし、画像処理回路16により、スムージング、微分フィルタ(エッジ抽出)、及び膨張処理等の画像処理が実行されたものであってもよい。超音波画像によっては、羊水の超音波信号と胎児の脳組織の超音波信号とを分別しにくい場合がある。スムージング、微分フィルタ、及び膨張処理等の画像処理を実行したボリュームデータを用いることで、羊水と胎児の脳組織とを分別しやすくなる場合がある。
画像処理回路16は、必ずしも描画開始面を算出する必要はない。例えば、画像処理回路16は、前の時相で算出した描画開始面を本時相においても利用してもよい。描画開始面を算出する時相は、任意であってもよいし、所定の周期で再計算されても構わない。
なお、上記では描画開始面を算出する際、胎児領域と羊水領域との境界又は境界近傍の領域を取得する場合を例に説明した。しかしながら、必ずしも羊水を対象にする必要はない。例えば、画像処理回路16は、胎児領域を示すボクセル値の範囲を設定する。画像処理回路16は、この範囲を外れるボクセル値を有するボクセルを、探索開始面から探索軸に沿って探索する。そして、画像処理回路16は、ボクセル値がこの範囲外となる最初のボクセルの集合を描画開始面として算出してもよい。この場合、描画開始面として算出されたボクセルは、必ずしも胎児領域と羊水領域との境界とは限らず、胎児領域と胎児領域と異なる領域との境界となり得る。
また、描画開始面の算出において、上記ではボリュームデータを4次元画像表示するに当たり、リアルタイム性を損なわない処理を用いた手法について述べたが、操作者がリアルタイム性を重視しない、又は、既存の領域抽出アルゴリズムがリアルタイム性を損なわないのであれば、既存の領域抽出アルゴリズムで羊水領域を抽出した後、探索開始面から探索軸に沿って探索した際に最初に到達する点を描画開始面として算出してもよい。このとき、画像処理回路16は、既存の領域抽出アルゴリズムを用いて抽出した任意の連続領域を非表示領域としても構わない。
描画開始面を算出すると、画像処理回路16は、描画処理機能166を実行する。描画処理機能166を実行すると画像処理回路16は、描画開始面から視線方向に沿ってボリュームデータのレンダリング処理を実施することで、レンダリング画像データを作成する(ステップS26)。
具体的には、画像処理回路16は、胎児領域を表示領域とし、羊水領域を非表示領域とする、例えば、図9に示される一般的なオパシティカーブを用い、描画開始面から視線方向に沿ってボリュームデータをレンダリングすることで、観察対象となる胎児領域のレンダリング画像データを作成する。図12は、描画開始面から視線方向に沿って実施する、ボリュームデータのレンダリング処理の例を表す図である。この処理により、例えば、図13に示されるように、胎児の顔領域を表示領域とし、腕領域を非表示領域とするレンダリング画像データが作成される。
なお、このレンダリング処理において使用するオパシティカーブは、図9で示されるオパシティカーブと異なっていても構わない。例えば、描画開始面を算出する際に用いるオパシティカーブは、レンダリング処理で用いるオパシティカーブよりも低コントラストであってもよい。描画開始面の算出において、低コントラストのオパシティカーブを用いることで、描画開始面が胎児内部に設定されるのを抑制し、羊水領域内に設定しやすくなる。
画像処理回路16により作成されたレンダリング画像データは、表示処理回路17によりビデオ信号に変換され、表示機器40に表示される。これにより、例えば、図14に示されるように、腕等の不要な領域を除外しつつ、胎児の顔を、3次元的又は4次元的に観察可能な2次元画像として、表示機器40に表示させることが可能となる。
操作者は、表示機器40に表示される画像を確認した後、必要に応じてステップS23で設定された探索開始面の位置、及び設定方法を変更してもよい。例えば、表示機器40に表示される画像において、操作者が表示したい領域が、本実施形態に係る処理の適用により非表示になってしまった等の場合、操作者は、探索開始面の位置、及び設定方法を、手動で変更してもよい。
また、操作者は、表示機器40に表示される画像を確認した後、必要に応じてステップS24で設定された探索軸の設定方法を変更してもよい。例えば、表示機器40に表示される画像において、操作者が表示したい領域が、本実施形態に係る処理の適用により非表示になってしまった等の場合、操作者は、探索軸の設定方法を、手動で変更してもよい
なお、描画処理機能166における画像処理回路16の処理は、以上に説明されたものに限定されない。例えば、画像処理回路16は、胎児の顔を3次元的又は4次元的に観察可能な2次元画像上に、ステップS23で作成した探索開始面に該当する領域を表示させてもよい。また、画像処理回路16は、この2次元画像上に、ステップS25で算出した描画開始面に該当する領域を表示させてもよい。
また、画像処理回路16は、例えば、胎児の顔を3次元的又は4次元的に観察可能な2次元画像に加え、レンダリングにより表示される領域を識別可能に表示した断層画像を表示させてよい。例えば、画像処理回路16は、4次元画像表示されている領域の表面を、表示されていない領域と識別可能に着色した、断層画像を表示してもよい。図15は、描画される領域の表面を、描画されない領域と識別可能に着色した断層画像の例を表す図である。図15では、断層画像上において、腕領域を除く胎児領域が4次元画像表示されている領域として、その表面が、例えば、赤色の太線で表されている。
また、画像処理回路16は、4次元画像表示されている領域の範囲を、表示されていない領域と識別可能に着色した、断層画像を表示してもよい。図16は、描画される領域の範囲を、描画されない領域と識別可能に着色した断層画像の例を表す図である。図16では、断層画像上において、腕領域を除く胎児領域が4次元画像表示されている領域として、その範囲が、例えば、赤色で表されている。
また、表示機器40に表示される画像は、本実施形態に係る処理により得られるレンダリング画像に限定されない。例えば、画像処理回路16は、本実施形態に係る処理により得られる第1レンダリング画像と、一般的なレンダリング処理により得られる第2レンダリング画像とに基づいて胎児を表示しても構わない。なお、本実施形態において一般的なレンダリング処理とは、例えば、ステップS22で設定された視点から、同じくステップS22で設定された視線方向へ向けて実施するレンダリング処理を表すものとする。具体的には、画像処理回路16は、第1レンダリング画像と、第2レンダリング画像との差分画像を取得する。画像処理回路16は、得られた差分画像の透明度、色、又はその両方等を変更した上で、第1レンダリング画像に合成表示してもよい。これにより、例えば、図17で示されるように、第1レンダリング画像上で、本実施形態で非表示となった腕等の領域が半透明で重畳表示されることになる。
また、描画処理機能166において画像処理回路16は、必ずしも、描画開始面から視線方向に沿ってボリュームデータのレンダリング処理を実施する必要はない。例えば、サーフェスレンダリングによるレンダリング画像を表示機器40に表示させる場合、画像処理回路16は、ステップS25で算出した描画開始面を示すポリゴンを、表示対象としてもよい。
以上のように、第1の実施形態では、画像処理回路16は、ボリュームデータ等の超音波画像データに対して視点、及び視線方向を設定する。画像処理回路16は、設定した視点から見て、超音波画像データにおける非表示領域よりも遠方の、所定の位置に探索開始面を設定する。画像処理回路16は、設定した探索開始面から視点へ近づく方向へ、所定の要件を満たす領域を探索し、探索結果に基づいて描画開始面を算出する。そして、画像処理回路16は、算出した描画開始面から視線方向へ向けて描画処理を実施することで、表示画像データを作成するようにしている。
これにより、観察対象である胎児の顔と、腕、へその緒、及び胎盤等の、観察に不要な物体との間に、レンダリング処理を開始させる面である描画開始面を効率的に設定することが可能となる。したがって、胎児の顔の前に邪魔な腕やへその緒等があっても、観察対象となる胎児の顔部分を高速に表示できる。本手法では、4次元画像表示下において領域抽出等の重い処理を実施する必要がないため、リアルタイム性に優れている。また、胎児表面近傍からレンダリングを開始するため、羊水中のごみやノイズ等の影響を軽減できる。また、CPU負荷を他の重い処理に回すことができるため、CPU処理の効率的な運用が期待できる。
なお、再構成領域の設定、探索開始面の設定、及び描画開始面の算出では、パターン認識等の領域抽出処理を利用するケースについて記述しているが、本手法適用開始時に一度だけ実行すればよいため、リアルタイム性は損なわない。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、断層画像に対してパターン認識等の既存の領域抽出アルゴリズムを実行し、生体内の所定の構造を表す領域を抽出するケースについて記述している。ここで、画像処理回路16は、抽出した領域内の点を通る線に対応する断面を探索開始面として設定するようにしている。これにより、探索開始面が自動的に設定されることになる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、超音波画像データにおいて再構成領域を設定し、再構成領域内で探索開始面を設定するようにしている。これにより、描画開始面の探索処理、及び描画開始面からのレンダリング処理での処理負担を軽減することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、視点から見て、超音波画像データにおける観察に不要な領域よりも遠方であり、設定された再構成領域内の、当該再構成領域の境界のうち視点から見て遠方の境界を越えない位置に探索開始面を設定するようにしている。これにより、探索開始面を設定可能な範囲を、観察に不要な領域の表面から観察対象となる領域の(視点から遠い方の)境界との間に、広範囲に取れるようになる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、探索開始面を複数設定してもよい。このとき、画像処理回路16は、設定されている視点に近い探索開始面から、所定の要件を満たす領域の探索を開始する。これにより、表示領域を任意に絞り込むことが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、異なる時相で設定された探索開始面を利用して本時相における探索開始面を設定してもよい。これにより、探索開始面を設定する処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、異なる時相で算出された描画開始面を、本時相における描画開始面として利用してもよい。これにより、描画開始面を設定する処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、所定のコントラストで、表示領域の不透明度を低く、非表示領域の不透明度を高く設定した第1オパシティカーブを利用して描画開始面を算出する。そして、画像処理回路16は、第1オパシティカーブよりも高コントラストで、表示領域の不透明度を高く、非表示領域の不透明度を低く設定した第2オパシティカーブを利用して描画処理を実施してもよい。これにより、描画開始面が、表示領域内部に設定されるのを抑制し、非表示領域内部に設定されやすくなる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、描画処理によって作成した表示画像データに、探索開始面に該当する領域を合成させるようにしてもよい。これにより、操作者は、4次元画像を確認する際に、4次元画像を作成する際に利用された探索開始面を確認することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、描画処理によって作成した表示画像データに、描画開始面に該当する領域を合成させるようにしてもよい。これにより、操作者は、4次元画像を確認する際に、4次元画像を作成する際に利用された描画開始面を確認することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、描画処理によって作成した表示画像データに、この表示画像データと、視点から視線方向へ向けて描画処理を実施することで作成される表示画像データとの差分画像を合成させるようにしてもよい。これにより、操作者は、4次元画像を確認する際に、本願実施形態に係る処理により除外された領域を確認することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、サーフェスレンダリング処理を実施する際には、描画開始面を示すポリゴンを表示対象とするようにしてもよい。これにより、描画処理にかかる時間を短縮することが可能となる。
また、第1の実施形態では、画像処理回路16は、描画処理の実施により表示対象となった領域を、断層画像上で識別可能に表示してもよい。これにより、操作者は、4次元画像を確認する際に、表示されている4次元画像が断層画像上のいずれの領域から作成されているかを確認することが可能となる。
なお、第1の実施形態では、超音波診断装置1の画像処理回路16が、再構成領域設定機能161、視点・視線方向設定機能162、探索開始面設定機能163、探索軸設定機能164、描画開始面設定機能165、及び描画処理機能166を有する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。例えば、画像処理回路16は、内部記憶回路18に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、編集機能を有していても構わない。
編集機能は、例えば、本実施形態に係る処理であり、描画開始面を利用したレンダリング処理を適用させる範囲を編集する機能であり、編集部の一例である。具体的には、編集機能において画像処理回路16は、本実施形態に係る処理を適用する範囲と、適用しない範囲とを分けるための編集用ROIを設定する。例えば、本実施形態に係る処理の適用により、操作者が表示したい領域が非表示になってしまったとする。このとき、操作者は、入力インタフェース111を介し、例えば、本実施形態に係る処理を適用させない領域を表す編集用ROIを断層画像上で設定する。画像処理回路16は、編集用ROIが設定されると、編集用ROIが設定された領域については、一般的なレンダリング処理により得られる第2レンダリング画像を表示し、編集用ROIが設定されていない領域については、本実施形態に係る処理により得られる第1レンダリング画像を表示する。図18は、断層画像上で設定される編集用ROIの例を表す図である。
なお、編集用ROIは、本実施形態に係る処理を適用させる領域を表すようにしても構わない。このとき、画像処理回路16は、編集用ROIが設定されると、編集用ROIが設定された領域については、本実施形態に係る処理により得られる第1レンダリング画像を表示し、編集用ROIが設定されていない領域については、一般的なレンダリング処理により得られる第2レンダリング画像を表示する。
このように、編集機能により、本実施形態に係る処理を適用する範囲を断層画像上から編集可能とすることで、操作者は、4次元画像表示において除外表示されている領域を切り換えることが可能となる。
また、画像処理回路16は、内部記憶回路18に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、判定機能を有していても構わない。判定機能は、例えば、描画開始面又は表示領域が適正であるか否かを判定する機能であり、判定部の一例である。
具体的には、判定機能において画像処理回路16は、描画開始面及び表示領域の適正度を判定するための評価関数を定義している。画像処理回路16は、ステップS25で描画開始面を算出すると、算出した描画開始面、又はこの描画開始面に基づく表示領域の適性度を、評価関数により算出される評価値に基づいて判定する。例えば、顔領域の前に腕領域が存在した場合、算出された描画開始面及び表示領域は、顔領域と腕領域との境界で空間的に不連続となる。画像処理回路16は、空間的に連続する描画開始面及び表示領域中のボクセルの個数を評価値として、描画開始面及び表示領域の適正度を判定する。この場合、評価値が小さいほど、描画開始面及び表示領域が適正と判定できる。画像処理回路16は、例えば、描画開始面、又は表示領域が適正でない等、評価関数の評価値による適性度の判定結果に応じ、ステップS23で設定した探索開始面の位置、及び/又は設定方法を自動的に再設定する。
また、画像処理回路16は、評価関数の評価値による適性度の判定結果に応じ、ステップS24で設定した探索軸の設定方法を自動的に再設定する。
このように、判定機能により、描画開始面又は表示領域が適正であるか否かを判定し、適正でない場合、探索開始面及び探索軸の少なくとも一方を再設定することで、画像処理回路16は、確認に適した画像を作成するのに好適な探索開始面及び探索軸を自動的に設定することが可能となる。
また、第1の実施形態では、図2のステップS21~ステップS26において、画像処理回路16が、再構成領域設定機能161を実行し、視点・視線方向設定機能162を実行し、探索開始面設定機能163を実行し、探索軸設定機能164を実行し、描画開始面設定機能165を実行し、その後、描画処理機能166を実行する場合を例に説明した。しかしながら、画像処理回路16の処理手順は、これに限定されない。各機能は必ずしも番号順に実行される必要はなく、適宜実行順序を変更してもよい。例えば、探索軸の設定の後に探索開始面を設定してもよい。
また、第1の実施形態で記載の、画像処理回路16による描画開始面の探索では、胎児領域内に存在し得る脳組織等の領域が影響を及ぼすおそれがある。第1の実施形態に係る手法は、胎児領域内に脳組織等の領域が存在している場合、例えば、以下のように活用可能である。
図19は、図1に示される画像処理回路16が観察に不要な領域を除去したレンダリング画像データを作成する際の動作のその他の例を表すフローチャートである。
画像処理回路16は、観察に不要な領域を削除した4次元画像表示を実行する旨の指示が操作者から入力されると、画像処理プログラムを実行する。画像処理プログラムが実行されると、例えば、まず、再構成領域設定機能161が実現される。再構成領域設定機能161において画像処理回路16は、例えば、入力インタフェース111を介して指定されるROI領域に基づき、再構成領域を設定する(ステップS21)。
再構成領域を設定すると画像処理回路16は、領域抽出部の一例である領域抽出機能を実行する。領域抽出機能において画像処理回路16は、例えば、パターン認識等の既存の領域抽出アルゴリズムを用いて、胎児領域と羊水領域との境界を抽出する(ステップS191)。胎児領域と羊水領域との境界を抽出すると画像処理回路16は、例えば、ステップS22~ステップS24により、視点及び視線方向、探索開始面、並びに探索軸を設定する。ここで設定される探索開始面を、例えば、時相t=1における探索開始面S1(1)と称する。
視点及び視線方向、探索開始面、並びに探索軸を設定すると、画像処理回路16は、描画開始面設定機能165を実行する。描画開始面設定機能165を実行すると画像処理回路16は、探索開始面S1(1)からの探索軸に沿った探索により得られる胎児領域と羊水領域との境界領域に基づき描画開始面を算出する(ステップS192)。このとき、画像処理回路16は、ステップS191で抽出した胎児領域と羊水領域との境界領域を、探索開始面からの探索軸に沿った探索により取得する。領域抽出により得られた境界面に基づいて算出される描画開始面を、例えば、時相t=1における描画開始面S2(1)と称する。
図20は、探索開始面S1(1)からの探索軸A1に沿った探索により得られる境界面に基づいて算出される描画開始面S2(1)の例を表す図である。
描画開始面S2(1)を算出すると、画像処理回路16は、描画処理機能166により、描画開始面S2(1)から視線方向に沿ってボリュームデータのレンダリング処理を実施することで、レンダリング画像データを作成する(ステップS26)。
描画開始面S2(1)を算出してから、例えば、所定の期間が経過すると、画像処理回路16は、探索開始面設定機能163を実行する。探索開始面設定機能163を実行すると画像処理回路16は、描画開始面S2(1)を利用して探索開始面を設定する(ステップS193)。具体的には、画像処理回路16は、描画開始面S2(1)上の各ボクセルを探索軸方向に沿って探索開始面S1(1)方向へ所定距離だけ移動させたボクセルの集合を新たな探索開始面として設定する。これにより、胎児領域内に存在する脳組織等の領域を越えた、胎児の顔表面近傍の領域に探索開始面を設定することが可能となる。ここで設定される探索開始面を、例えば、時相t=2における探索開始面S1(2)と称する。図21は、描画開始面S2(1)に基づいて設定される探索開始面S1(2)の例を表す図である。
探索開始面S1(2)を設定すると、画像処理回路16は、描画開始面設定機能165を実行する。描画開始面設定機能165を実行すると画像処理回路16は、探索開始面S1(2)からの探索軸に沿った探索により得られる胎児領域と羊水領域との境界領域に基づき描画開始面を算出する(ステップS194)。ステップS194における描画開始面は、例えば、ステップS25と同様の処理により算出される。探索開始面S1(2)からの探索に基づいて算出される描画開始面を、例えば、時相t=2における描画開始面S2(2)と称する。図22は、探索開始面S1(2)からの探索に基づいて算出される描画開始面S2(2)の例を表す図である。
描画開始面S2(2)を算出すると、画像処理回路16は、描画処理機能166により、描画開始面S2(2)から視線方向に沿ってボリュームデータのレンダリング処理を実施することで、レンダリング画像データを作成する(ステップS195)。
なお、続く時相t=3,4,…において、画像処理回路16は、必ずしも描画開始面を算出する必要はない。例えば、画像処理回路16は、t=2で算出した描画開始面S2(2)を時相t=3,4,…においても利用してもよい。描画開始面を算出する時相は、任意であってもよい。また、描画開始面は、所定の周期で再計算されても構わない。
また、画像処理回路16は、探索開始面S1(2)を設定すると、胎児に大きな動きがない限り、探索開始面S1(2)を用いて描画開始面を算出する。一方、例えば、胎児が所定の大きさ以上動いた場合、画像処理回路16は、図19のステップS191からの処理を再度実行し、探索開始面を設定する。
このように、画像処理回路16は、胎児の顔表面近傍の領域に探索開始面を設定し、この探索開始面に基づいて描画開始面を算出する。これにより、胎児領域内に脳組織等が存在する場合であっても、観察対象である胎児の顔と、観察に不要な物体との間に、レンダリング処理を開始させる面である描画開始面を効率的に設定することが可能となる。したがって、胎児領域内に脳組織等が存在する場合であっても、胎児の顔の前に邪魔な腕やへその緒等があっても、観察対象となる胎児の顔部分を高速に表示できる。
なお、探索開始面の設定では、パターン認識等の領域抽出処理を利用するケースについて記述しているが、領域抽出処理は、例えば、本手法適用開始時に一度だけ実行すればよいため、リアルタイム性は損なわない。
また、第1の実施形態では、超音波診断装置1が4次元画像表示を実施する際に、本実施形態に係る処理を利用する場合を例に説明した。しかしながら、本実施形態に係る処理が利用されるのは、4次元画像表示を実施する際に限定されるものではない。例えば、2次元画像や3次元画像に対して本手法を適用してもよい。
また、第1の実施形態では、胎児の顔の表示の例を示したが、胎児の顔以外にも本手法は活用できる。例えば、胎児は足を畳んだ姿勢でいることが多いため、足の間が見えにくく性別が判断しにくいことがある。そこで、本手法を胎児の下半身部位に適用することで、性別判断の妨げになる足の一部を除去できるため、胎児の性別診断の効率化にも利用できる。
また、胎児以外にも本手法は活用できる。例えば、血管及び心臓等、内腔形状を持ち、内部に血液領域を含む循環器系臓器についても本手法は活用可能である。
また、第1の実施形態では、医用画像診断装置の一例として超音波診断装置1が、本実施形態に係る処理を利用する場合を説明した。しかしながら、本実施形態に係る処理を利用する医用画像診断装置は、超音波診断装置1に限定されない。本実施形態に係る処理は、任意の医用画像診断装置、例えば、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、PET装置とMRI装置とが一体化されたPET-MRI装置、又はこれらの装置群等で利用されても構わない。
以下に、例えば、本実施形態に係る処理がX線診断装置で利用される場合の実施例を説明する。
(X線診断装置の実施例)
超音波診断装置1についての実施例では、本実施形態に係る処理を利用し、羊水領域に囲まれた胎児領域を4次元画像表示する場合を例に説明した。以下の実施例では、本実施形態に係る処理を利用し、胃及び大腸等、内腔形状を持つ対象を表示する場合を説明する。このとき、上記実施例における羊水領域の代わりに、胃内部の空気領域、大腸内部のガス領域、又は、胃液及び消化物等の内容物領域を規定する。
X線診断装置に設けられる画像処理回路16は、内部記憶回路に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、例えば、再構成領域設定機能161、視点・視線方向設定機能162、探索開始面設定機能163、探索軸設定機能164、描画開始面設定機能165、及び描画処理機能166を実行する。
再構成領域設定機能161において画像処理回路16は、表示機器40に表示される、胃を含む医用画像に対し、操作者からのROI領域の指定を受け付ける。画像処理回路16は、指定されたROI領域に基づき、ボリュームデータにおける再構成領域を設定する。図23は、胃を含む医用画像に対して設定される再構成領域の例を表す図である。
視点・視線方向設定機能162において画像処理回路16は、例えば、3次元画像又は4次元画像を観察する際の視点及び視線方向の指定を受け付ける。画像処理回路16は、指定された視点及び視線方向を設定する。探索開始面設定機能163において画像処理回路16は、例えば、設定された視点側から見て、非表示領域である空気領域より遠い位置に探索開始面を設定する。
探索軸設定機能164において画像処理回路16は、例えば、視線方向、及び探索開始面等に基づいて探索軸を設定する。描画開始面設定機能165において画像処理回路16は、例えば、探索開始面からの探索軸に沿った探索により得られた、胃壁領域と空気領域との境界領域に基づいて描画開始面を算出する。描画処理機能166において画像処理回路16は、例えば、描画開始面から視線方向へ沿ってボリュームデータのレンダリング処理を実施することで、胃の内壁領域を表すレンダリング画像データを作成する。
図24及び図25は、図23で設定した再構成領域内における表示領域を模式的に表す図である。図24は、胃の大彎部側に視点を設定し、大彎部側から小彎部側へ視線方向を設定した場合の表示領域を表している。図24では、再構成領域の幽門側の境界の断面を利用するように探索開始面が設定され、視線方向と平行かつ逆方向の探索軸が設定されている。そして、胃壁領域と空気領域との境界領域に基づいて描画開始面が算出され、描画開始面から視線方向へ沿ってボリュームデータのレンダリング処理が実施されることで、前庭部、小彎部、及び食道等の内壁領域を表すレンダリング画像データが作成されている。
図25は、胃の食道部側に視点を設定し、食道部側から前庭部側へ視線方向を設定した場合の表示領域を表している。図25では、再構成領域の前庭側の境界の断面を利用するように探索開始面が設定され、視線方向と平行かつ逆方向に探索軸が設定されている。そして、胃壁領域と空気領域との境界領域に基づいて描画開始面が算出され、描画開始面から視線方向へ沿ってボリュームデータのレンダリング処理が実施されることで、前庭部、及び胃体部の大彎部側の内壁領域を表すレンダリング画像データが作成されている。
なお、本実施例では、大腸及び胃等、内腔形状を持ち、内部に空気領域、ガス領域、又は内容物領域を含む消化器系臓器を対象に説明したが、本実施例は消化器系臓器のみに限定するものではない。例えば、内腔形状を持つ組織として血管及び心臓を対象にし、空気領域、ガス領域、又は内容物領域の代わりに血液領域を用いても本実施例は適用可能である。もちろん、既存の領域抽出アルゴリズムを用いて抽出した任意の領域を、空気領域、ガス領域、又は内容物領域の代わりに用いてもよい。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波診断装置1等の医用画像診断装置について説明した。第2の実施形態では、病院情報システムに設けられる医用画像処理装置2について説明する。
図26は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置2を含む医用情報システムの例を表す図である。図26に示される医用情報システムは、医用画像処理装置2、医用画像診断装置3、及び画像保管装置4を備える。医用画像処理装置2、医用画像診断装置3、及び画像保管装置4は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)により、直接的、又は間接的に相互に通信可能に接続されている。例えば、画像保管装置4がPACSを構成する場合、医用画像処理装置2、医用画像診断装置3、及び画像保管装置4は、DICOM規格に則って、例えば、医用画像データを相互に送受信する。
医用画像診断装置3は、被検体を撮影することで、医用画像データを発生する装置である。医用画像診断装置3は、生成した医用画像データを、医用画像処理装置2及び画像保管装置4へ送信する。
画像保管装置4は、医用画像データを保管するデータベースである。画像保管装置4は、例えば、医用画像診断装置3で発生された医用画像データを、内部に設けられている記憶回路に記憶する。
医用画像処理装置2は、医用画像診断装置3で発生された医用画像データ、又は画像保管装置4から読み出された医用画像データに対し、画像処理を施す装置である。図26に示される医用画像処理装置2は、メモリ21、出力インタフェース22、入力インタフェース23、通信インタフェース24、画像処理回路25、及び制御回路26を有する。
メモリ21は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、並びに、光ディスク等により実現される。メモリ21は、例えば、画像処理回路25、及び制御回路26がその機能を実現するためのプログラム等を記憶している。
出力インタフェース22は、制御回路26に接続され、制御回路26から供給される信号を出力する。出力インタフェース22は、例えば、ディスプレイにより実現される。ディスプレイは、例えば、医用画像データに基づく医用画像、及びユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI等を、制御回路26からの指示に基づいて表示する。
入力インタフェース23は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して制御回路26へ出力する。
通信インタフェース24は、例えば、病院内ネットワークと接続する。通信インタフェース24は、例えば、病院内ネットワークを介して医用画像診断装置3、及び画像保管装置4から、医用画像データ等を受信する。
画像処理回路25は、2次元画像データ又はボリュームデータ等の医用画像データに対し、所定の画像処理を施すプロセッサである。具体的には、例えば、画像処理回路25は、メモリ21に記憶されている画像処理プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。画像処理回路25は、例えば、再構成領域設定機能161、視点・視線方向設定機能162、探索開始面設定機能163、探索軸設定機能164、描画開始面設定機能165、及び描画処理機能166を有する。
これらの機能を有することにより、画像処理回路25は、ボリュームデータ等の超音波画像データに対して視点、及び視線方向を設定する。画像処理回路25は、設定した視点に対し、超音波画像データにおける観察対象の観察の妨げとなる観察に不要な領域よりも遠い位置に探索開始面を設定する。画像処理回路25は、設定した探索開始面から視点へ近づく方向へ探索軸を設定する。画像処理回路25は、設定した探索軸に沿って、所定の要件を満たす領域を探索開始面から探索し、探索結果に基づいて描画開始面を算出する。そして、画像処理回路25は、算出した描画開始面から視線方向へ向けて描画処理を実施することで、表示画像データを作成する。これにより、観察対象と、観察に不要な物体との間に、レンダリング処理を開始させる面である描画開始面を効率的に設定することが可能となる。したがって、観察の妨げとなる領域が観察したい対象の前に存在する場合でも、該当領域を除去した上で観察したい対象を表示することができる。
例えば、胃の内壁を観察したい場合、観察したい内壁の反対側に存在する壁が観察の妨げとなるが、本手法では、観察の妨げとなる内壁の一部を非表示にした上で、観察対象となる内壁を表示することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、医用画像診断装置、及び医用画像処理装置は、観察対象の手前に観察に不要な物体が存在する場合であっても、重い計算処理をせずに観察対象だけを4次元画像表示できる。
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み換えを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。