以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る解析装置の構成例を示すブロック図である。なお、図1では、解析装置の一例として超音波診断装置1を説明する。図1に示されるように、超音波診断装置1は、装置本体10、超音波プローブ70、表示機器50、及び入力装置60を備える。装置本体10は、ネットワーク90を介して外部装置40と接続される。また、装置本体10は、表示機器50、及び入力装置60と接続される。
超音波プローブ70は、複数の圧電振動子、圧電振動子に設けられる整合層、及び圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ70は、装置本体10と着脱自在に接続される。複数の圧電振動子は、装置本体10が有する超音波送信回路11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ70には、後述するオフセット処理や、超音波画像のフリーズなどの際に押下されるボタンが配置されてもよい。
超音波プローブ70から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波(エコー)として超音波プローブ70が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波により発生する受信信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の受信信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して周波数偏移を受ける。超音波プローブ70は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号(受信信号)に変換する。これにより、受信信号が発生される。なお、受信信号は、反射波信号と換言してもよい。超音波プローブ70は、例えば、複数の圧電振動子が所定の方向に沿って配列された1Dアレイプローブ、複数の圧電振動子がマトリックス状に配列された2Dアレイプローブ、又は圧電振動子列をその配列方向と直交する方向に機械的に煽りながら超音波走査を実行可能なメカニカル4Dプローブ等である。
図1に示される装置本体10は、超音波プローブ70が受信した受信信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、処理回路15、内部記憶回路17、画像メモリ18、画像データベース19、入力インターフェース20、及び通信インターフェース21を含む。
超音波送信回路11は、超音波プローブ70に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、処理回路15の制御の下、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ70から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、処理回路15の制御の下、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ70に駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
超音波受信回路12は、超音波プローブ70が受信した受信信号に対して各種処理を施すプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ70が受信した受信信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された受信信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。この受信信号には、例えば、組織間の音響インピーダンスの差を反映した振幅情報と、生体組織の動き、例えば運動又は移動速度等を反映した位相情報とが含まれる。
処理回路15は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。処理回路15は、内部記憶回路17に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、処理回路15は、信号処理機能151、画像生成機能153、細線化処理機能155、分割機能157、選択機能159、データ処理機能161、レンダリング処理機能163、表示制御機能165、及びシステム制御機能167を有する。
信号処理機能151は、超音波受信回路12により生成された受信信号に対して各種の信号処理を行う機能である。
例えば、信号処理機能151の実行により処理回路15は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元又は3次元的に分布する超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
また、信号処理機能151の実行により処理回路15は、超音波受信回路12から受け取った受信信号を解析して、例えば、関心領域内の複数のサンプル点それぞれにおける移動体(血液又は組織)の移動速度を計算し、計算した移動速度に基づいてドプラデータを生成する。生成されたドプラデータは、2次元又は3次元的に分布する超音波走査線上のドプラRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
画像生成機能153は、信号処理機能151の実行により生成されたデータに基づき、各種超音波画像データを生成可能な機能である。画像生成機能153の実行により処理回路15は、例えば、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに基づいて、被検体P内の構造物の形態を表すBモード画像データを生成する。Bモード画像データは、音波の集束などの超音波プローブの特性や超音波ビーム(例えば、送受信ビーム)の音場特性などが反映された画素値(輝度値)を有する。例えば、Bモード画像データにおいて、超音波のフォーカス付近では、非フォーカス部分よりも相対的に高輝度となる。
また、画像生成機能153の実行により処理回路15は、RAWデータメモリに記憶されたドプラRAWデータに基づいて、移動体の情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
また、画像生成機能153の実行により処理回路15は、例えば、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータ、又は、ドプラRAWデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW-ボクセル変換を実行することで、所望の範囲のボクセルから構成されるボリュームデータを生成する。そして、処理回路15は、生成したボリュームデータに対し、二値化処理等を施すことによって、血管領域が抽出された3次元の血管データを生成する。生成された血管データは、例えば、画像データベース19に記憶される。また、血管データは、特許請求の範囲に記載の血管画像の一例である。なお、血管データは、2次元のBモード画像データ、又は2次元のドプラ画像データに基づく2次元データであってもよい。
細線化処理機能155は、複数に分岐する血管を表す血管データに基づいて、細線化された血管(芯線)を表す細線化血管データを生成する機能である。細線化処理機能155の実行により処理回路15は、例えば、画像生成機能153により生成された3次元の血管データに対して細線化処理を行い、細線化血管データを生成する。また、細線化血管データは、特許請求の範囲に記載の細線化画像の一例である。なお、細線化血管データは、2次元の血管データに基づいて生成される2次元データであってもよい。
分割機能157は、細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する機能である。分割機能157の実行により処理回路15は、例えば、細線化された細線化血管が分岐する位置を基準に、細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する。
選択機能159は、分割機能157により分割された複数のセグメントの中から、少なくとも1つのセグメントを選択する機能である。選択機能159の実行により処理回路15は、複数のセグメントの中から、例えば入力インターフェース20介して操作者により選択された少なくとも1つのセグメントを選択する。
また、選択機能159の実行により処理回路15は、複数のセグメントの中から、例えば、腫瘍に栄養を送る目的血管に対応するセグメントを少なくとも1つ選択する。具体的には、処理回路15は、分割された複数のセグメントについて、例えば、時系列の血管データを用いて、腫瘍の有無や種類によって変化する血管に関する特徴量、例えば腫瘍と血管との距離、腫瘍に対する血管の向き、血流の速度、及び血流の方向等を算出する。そして、処理回路15は、算出した複数のセグメントそれぞれの血管に関する特徴量に基づいて、腫瘍に栄養を送る目的血管に対応するセグメントを少なくとも1つ選択する。
データ処理機能161は、分割機能157により分割された複数のセグメントのうち、選択機能159により選択された少なくとも1つのセグメントと、他のセグメントが区別されるように、細線化血管データ、又は、血管データを処理する機能である。また、データ処理機能161は、特許請求の範囲に記載の画像処理部の一例である。
データ処理機能161の実行により処理回路15は、例えば、分割された複数のセグメントについて、時系列の血管データを用いて、血管に関する特徴量、例えば、腫瘍、又は肝表と血管との距離、血流の速度、血流の方向、血管の長さ、血管の太さ、及び血管の位置等を算出する。処理回路15は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、例えば、分割された複数のセグメントのうち、選択された少なくとも1つのセグメントが、他のセグメントと比べて太い線で表示されるように、細線化血管データを処理する。
なお、処理回路15は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、例えば、分割機能157により分割された複数のセグメントのうち、少なくとも1つのセグメントと、他のセグメントとがお互いに異なる色で表示されるように、細線化血管データを処理してもよい。また、処理回路15は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、分割機能157により分割された複数のセグメントのうち、選択された少なくとも1つのセグメントのみが表示され、他のセグメントは非表示となるように、細線化血管データを処理してもよい。
また、データ処理機能161の実行により処理回路15は、血管の分岐点が識別可能な血管の分岐点に関する識別情報を生成する。例えば、処理回路15は、細線化処理機能155により生成された細線化血管データに基づいて、血管の分岐点と観察対象となる腫瘍との距離を算出する。処理回路15は、算出した距離に応じて、血管の分岐点に関する識別情報を生成する。
また、データ処理機能161の実行により処理回路15は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、分割機能157により分割された複数のセグメントのうち、選択機能159により選択された少なくとも1つのセグメントに対応する部分と、他のセグメントに対応する部分が区別されるように、細線化血管データに対する処理と同様に、血管データを処理する。
レンダリング処理機能163は、各種3次元画像をレンダリングする機能である。レンダリング処理機能163の実行により処理回路15は、3次元の血管データ、又はデータ処理機能161により所定のデータ処理が行われた3次元の血管データをレンダリングする。これにより、レンダリングされた血管画像であるレンダリング血管画像を表すレンダリング血管画像データが生成される。また、処理回路15は、3次元の細線化血管データ、又はデータ処理機能161により所定のデータ処理が行われた3次元の細線化血管データをレンダリングする。これにより、レンダリングされた細線化画像であるレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データが生成される。
表示制御機能165は、血管を表す各種画像を表示機器50に表示させる機能である。表示制御機能165の実行により処理回路15は、例えば、血管の分岐点に関する識別情報、レンダリング血管画像、及びレンダリング細線化画像等を表示機器50に表示させる。このとき、処理回路15は、例えば、表示機器50を制御し、表示するレンダリング細線化画像、及び/又は、レンダリング血管画像に、血管が分岐する位置、又は血管が分岐する位置の付近に血管の分岐点に関する識別情報を重畳表示する。
ここで、表示制御機能165の実行により処理回路15は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、処理回路15は、超音波プローブ70による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。
また、表示制御機能165の実行により処理回路15は、生成した各種超音波画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、γカーブ補正、及びRGB変換などの各種処理を実行してもよい。また、処理回路15は、生成した各種超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク等の付帯情報を付加してもよい。
なお、表示制御機能165の実行により処理回路15は、操作者(例えば、術者)が入力インターフェース20により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを表示機器50に表示させてもよい。表示機器50としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
システム制御機能167は、超音波診断装置1の入出力、及び超音波送受信等の基本動作を制御する機能である。システム制御機能167の実行により処理回路15は、例えば、各種撮像モードを開始する開始指示を受け付ける。各種撮像モードには、例えば、Bモード、及びドプラモード等が含まれる。また、処理回路15は、例えば、入力インターフェース20を介し、血管データに関する各種処理の選択を受け付ける。また、処理回路15は、例えば、通信インターフェース21を介し、外部装置40に記憶されている血管データを取得する。
信号処理機能151、画像生成機能153、細線化処理機能155、分割機能157、選択機能159、データ処理機能161、レンダリング処理機能163、表示制御機能165、及びシステム制御機能167は、制御プログラムとして組み込まれていてもよいし、処理回路15自体または装置本体10に処理回路15が参照可能な回路として、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
内部記憶回路17は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路17は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路17は、本実施形態に係る各種機能を実現するための制御プログラムを記憶している。また、内部記憶回路17は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位ごとに予め設定する変換テーブルなどのデータ群を記憶している。また、内部記憶回路17は、生体内の臓器の構造に関する解剖学図譜、例えば、アトラスを記憶してもよい。なお、上記プログラムは、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて内部記憶回路17にインストールされてもよい。
また、内部記憶回路17は、入力インターフェース20を介して入力される記憶操作に従い、画像生成機能153の実行により生成された各種超音波画像データを記憶する。なお、内部記憶回路17は、入力インターフェース20を介して入力される記憶操作に従い、画像生成機能153の実行により生成された各種超音波画像データを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。内部記憶回路17は、記憶しているデータを、通信インターフェース21を介して外部装置40へ転送することも可能である。
画像メモリ18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ18は、画像生成機能153の実行により生成された表示用の画像データを記憶する。画像メモリ18は、入力インターフェース20を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを記憶する。画像メモリ18に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。画像メモリ18に記憶されている画像データは、例えば、実際に表示機器50に表示される画像を表す画像データである。当該画像には、超音波スキャンにより取得された超音波画像データに基づく画像、並びに、CT画像データ、MR画像データ、X線画像データ、及びPET画像データ等の他のモダリティにより取得された医用画像データに基づく画像が含まれる場合がある。
また、画像メモリ18は、信号処理機能151の実行により生成されたデータを記憶することも可能である。画像メモリ18が記憶するBモードデータ、又はドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、処理回路15を経由して表示用の超音波画像データとなる。
画像データベース19は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、画像データベース19は、過去の診察において取得された同一患者に関する過去画像データを、外部装置40から取得して記憶する。過去画像データには、超音波画像データ、CT(Computed Tomography)画像データ、MR(Magnetic Resonance)画像データ、PET(Positron Emission Tomography)-CT画像データ、PET-MR画像データ及びX線画像データが含まれる。また、過去画像データは、例えばボリュームデータ、及びレンダリング画像データとして記憶されている。また、画像データベース19は、過去の診察において生成された血管データを記憶している。
なお、画像データベース19は、MO、CD-R、DVDなどの記録媒体(メディア)に記録された画像データを読み込むことで、所望の画像データを格納してもよい。
入力インターフェース20は、入力装置60を介して、操作者からの各種指示を受け付ける。入力装置60には、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、ダイヤルスイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル及びタッチコマンドスクリーン(TCS)等が含まれる。また、入力装置60には、超音波の送受信方式、及び受信信号の処理方式等を含む各種撮像モードを切り替えるためのスイッチ群が含まれる。スイッチ群は、ダイヤルスイッチ、及び/又はトラックボール等の機械的なデバイスのみならず、TCS上に表示される操作パネル画像、又は、外部装置40におけるセカンドコンソール上に表示される操作パネル画像等のいずれであってもよい。
入力インターフェース20は、例えばバスを介して処理回路15に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理回路15へ出力する。なお、本明細書において入力インターフェース20は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を無線信号として受け取り、この電気信号を処理回路15へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース20の例に含まれる。
通信インターフェース21は、ネットワーク90等を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置である。なお、外部装置40との通信の規格は、如何なる規格であっても良いが、例えば、DICOMが挙げられる。
次に、本実施形態に係る超音波診断装置1の動作について、図を参照して説明する。まず、図2を参照して本実施形態に係る超音波診断装置1が行う血管データの細線化処理の流れについて説明する。図2は、図1に示される処理回路15が細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する分割処理を施し、分割処理が施された細線化血管データをレンダリングして表示する際の動作を示すフローチャートである。以下の説明では、取得する血管データは3次元データであるものとする。
処理回路15は、例えば、入力インターフェース20を介して、ユーザにより指定された血管データを取得する指示が入力されると、指定された血管データを取得する(ステップSA1)。処理回路15は、例えば、指定された血管データを画像データベース19から取得する。
処理回路15は、ステップSA1において取得した血管データについて、細線化画像表示指示を受け付ける(ステップSA2)。なお、処理回路15は、画像生成機能153により生成された血管データについて、細線化画像表示指示を受け付けてもよい。
処理回路15は、細線化画像表示指示を受け付けると、細線化処理機能155を実行し、取得した血管データに対して細線化処理を施す(ステップSA3)。処理回路15は、種々の公知の手法を用いて取得した血管データに対して細線化処理を施す。細線化処理には種々の公知の手法が用いられてよいが、例えば、処理回路15は、取得した血管データに対して平滑化フィルタを適用する。処理回路15は、平滑化フィルタにより平滑化された血管データに対し、任意の閾値、又は、判別分析法などの計算式から算出された閾値を用いて二値化処理を行い、境界ボクセルを繰り返し除去することで芯線を抽出する。これにより、細線化血管データが生成される。
処理回路15は、分割機能157を実行し、血管データに含まれる血管が分岐する位置を表す位置情報に基づいて、細線化処理機能155により生成された細線化血管データに対し、当該細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する分割処理を施す(ステップSA4)。
処理回路15は、レンダリング処理機能163を実行し、ステップSA4において分割処理が施された細線化血管データをレンダリングする(ステップSA5)。これにより、レンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データが生成される。なお、処理回路15は、細線化血管データをレンダリングする際に、表示対象となるレンダリング細線化画像に含まれる血管の芯線の太さを任意で変更するようにしてもよい。また、処理回路15は、レンダリングした細線化血管データに対応する血管データをレンダリングする。これにより、レンダリング血管画像を表すレンダリング血管画像データが生成される。
処理回路15は、表示制御機能165を実行し、例えば、ステップSA5において生成したレンダリング細線化画像データに基づくレンダリング細線化画像を表示機器50に表示する(ステップSA6)。表示されるレンダリング細線化画像は、例えば、セグメント間の境界を表す境界線が含まれている。また、レンダリング細線化画像は、例えば、選択機能159によるセグメントの選択のために用いられる。
図3は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像の例を表す図である。図3に示されるレンダリング細線化画像では、セグメント間において境界線が表示されている。
次に、例えば、図2に示されるステップSA6においてレンダリング細線化画像が表示された後に、超音波診断装置1が所定の表示指示を受け付け、受け付けた表示指示に応じて、所望の態様でレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像を表示する際の処理回路15の動作について説明する。以下、血管が色で区分されて表示される色情報表示動作、分岐点に関する識別情報が表示される識別情報表示動作、及び腫瘍等に栄養を送る血管が表示される目的血管表示動作についてそれぞれ説明する。各表示指示の受付方法については、例えば、表示機器50に細線化画像の表示に関する処理メニューが表示されており、操作者は、入力インターフェース20を介し、各表示指示に対応する処理メニューを選択することにより、当該表示指示が受け付けられるものとする。また、各表示指示は、入力インターフェース20が備えるTCS上で各表示機能に対応するアイコンが表示され、当該アイコンが操作者により選択されることにより受け付けられてもよい。
(色情報表示動作)
まず、血管が色で区分されて表示される色情報表示動作について説明する。図4は、図1に示される処理回路15が細線化血管データに基づく細線化血管に色を割り当てる処理を実行し、色が割り当てられた細線化血管データをレンダリングして表示する際の動作を示すフローチャートである。
処理回路15は、例えば、図2のステップSA6において表示したレンダリング細線化画像について、血管を色で区分して表示する旨の色情報表示指示を受け付ける(ステップSB1)。
処理回路15は、例えば、入力インターフェース20を介し、色情報表示指示を受け付けると、データ処理機能161を実行し、図2のステップSA6において表示したレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データについて、血管に関する特徴量を算出する(ステップSB2)。具体的には、処理回路15は、細線化血管データに基づく細線化血管の各セグメントについて、例えば、時系列の血管データを用いて、腫瘍からの距離、血流の速度、血流の方向、血管の長さ、血管の太さ、及び血管の位置等を算出する。
処理回路15は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、細線化血管データに基づく細線化血管の各セグメントに割り当てる色を決定する(ステップSB3)。処理回路15は、例えば、算出した血管セグメント毎の腫瘍からの距離、血流の速度、血流の方向、血管の長さ、血管の太さ、及び血管の位置等に基づいて、細線化血管データに基づく細線化血管の各セグメントに割り当てる色を決定する。具体的には、処理回路15は、細線化血管データにおいて、腫瘍や肝表からの距離が遠い、若しくは近い方から順に各セグメントに対応するボクセルに対して割り当てる所定のボクセル値(画素値)を決定する。ボクセル値は、例えば、RGB値で表される。処理回路15は、決定した色に関する情報を、細線化血管データに付加する。なお、処理回路15は、細線化血管データにおいて、起始部から分岐回数、分岐点から派生する芯線の数、血管の太さに基づいて、各セグメントに対応するボクセルに対して割り当てるボクセル値を決定してもよい。
また、細線化画像の各セグメントに割り当てる色は、無作為(ランダム)に決定されてもよい。また、細線化画像の各セグメントに割り当てる色は、操作者からの入力により、又は予め設定された設定ファイルの参照により、任意に決定されてもよい。
処理回路15は、レンダリング処理機能163を実行し、ステップSB3において色が割り当てられた細線化血管データをレンダリングする(ステップSB4)。これにより、色が割り当てられたレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データが生成される。
処理回路15は、ステップSB4において生成したレンダリング細線化画像データに基づく色が割り当てられたレンダリング細線化画像を表示する(ステップSB5)。図5は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像の例を表す図である。図5によれば、レンダリング細線化画像は、セグメント毎に異なる色で表示されている。これにより、操作者は、セグメント間の境界を容易に認識することができる。
なお、処理回路15は、血管データについて、細線化血管データに基づく細線化血管の各セグメントに対応する部分の血管に関する情報、例えば血管の太さに基づいて、表示するセグメント(芯線)の太さを変更してもよい。
また、図6は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像の他の例を表す図である。図6では、処理回路15は、1つの分岐点から派生する連続するセグメントの集合からなるセグメントグループ内のすべてのセグメントに同一の色を割り当て、表示している。具体的には、図6に示されるように、処理回路15は、5つのセグメントからなるグループG1内のすべてのセグメントに所定の単一の色を割り当てている。一方、処理回路15は、5つのセグメントからなるセグメントグループG2内のすべてのセグメントにセグメントグループG1とは異なる色を割り当てている。これにより、セグメントグループ間の違いを容易に把握することが可能となる。
なお、処理回路15は、色が割り当てられたレンダリング細線化画像と、図2に示されるステップSA5において生成したレンダリング血管画像データに基づくレンダリング血管画像とを重畳表示してもよい。図7は、図1に示される処理回路15が表示機器50に重畳表示する、色が割り当てられたレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の例を表す図である。図7では、セグメント毎に異なる色が割り当てられたレンダリング細線化画像が、レンダリング血管画像に重畳表示されている。これにより、操作者は、例えば、レンダリング細線化画像に含まれる血管の芯線、及び分岐点と、レンダリング血管画像に含まれる血管との位置関係を容易に把握することができる。
なお、処理回路15は、重畳表示されるレンダリング細線化画像を表す細線化血管データと、レンダリング血管画像を表す血管データをレンダリングする際に、当該重畳表示されるレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の透明度を任意で変更するようにしてもよい。また、処理回路15は、当該重畳表示したレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の透明度を、例えば入力インターフェース20を介した入力に従い、変更するようにしてもよい。
また、処理回路15は、色が割り当てられたレンダリング細線化画像と、図2に示されるステップSA5において生成したレンダリング血管画像データに基づくレンダリング血管画像とを並列表示してもよい。図8は、図1に示される処理回路15が表示機器50に並列表示する、色が割り当てられたレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の例を表す図である。図8では、セグメント毎に異なる色が割り当てられたレンダリング細線化画像と、レンダリング血管画像とが並列表示されている。これにより、操作者は、レンダリング細線化画像に含まれる血管の芯線、及び分岐点と、レンダリング血管画像に含まれる血管との対応関係を容易に把握することができる。
そして、処理回路15は、例えば、図4に示されるステップSB5において、色が割り当てられたレンダリング細線化画像を表示した後、表示されたレンダリング細線化画像から選択された少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントが区別されるように、細線化血管データを処理する。図9は、図1に示される処理回路15が複数のセグメントに分割された細線化血管データに基づく細線化血管から少なくとも1つのセグメントを選択し、選択した少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントが区別されるように、細線化血管データを処理する際の動作を示すフローチャートである。
まず、処理回路15は、入力インターフェース20を介した入力に従い、例えば、図4に示されるステップSB3において色が割り当てられた細線化血管データから少なくとも1つのセグメントを選択する(ステップSC1)。セグメントの具体的な選択方法としては、例えば、入力インターフェース20を介して操作者が表示機器50に表示されるカーソル等を指定する方法が挙げられる。また、例えば、入力インターフェース20を介し、分割されたセグメントに対して番号又は/及び文字列等の固有の情報が入力されることにより、当該固有の情報に対応する血管が選択されてもよい。
処理回路15は、データ処理機能161を実行し、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントが区別されるように、細線化血管データを処理する(ステップSC2)。処理回路15は、細線化血管データにおいて、例えば、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントが表示され、選択されなかったその他のセグメントが非表示となるように、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントに対応する細線化血管データに含まれるボクセル、及びその他のセグメントに対応する細線化血管データに含まれるボクセルに、所定のボクセル値をそれぞれ割り当てる。このとき、処理回路15は、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントに対応するボクセルには、例えば、図4に示されるステップSB3において割り当てられた色に対応するボクセル値と同一のボクセル値を割り当てる。
また、処理回路15は、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントに対応する部分と、その他のセグメントに対応する部分が区別されるように、血管データを処理する。処理回路15は、血管データにおいて、例えば、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントに対応する部分が表示され、選択されなかったその他のセグメントに対応する部分が非表示となるように、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントに対応する血管データに含まれるボクセル、及びその他のセグメントに対応する血管データに含まれるボクセルに、所定のボクセル値をそれぞれ割り当てる。
処理回路15は、レンダリング処理機能163を実行し、ステップSC2においてデータ処理機能161により処理された細線化血管データをレンダリングする(ステップSC3)。具体的には、処理回路15は、ステップSC2において所定のボクセル値が割り当てられた細線化血管データをレンダリングする。これにより、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントが表示され、選択されなかった他のセグメントが非表示となるレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データが生成される。
また、処理回路15は、ステップSC2においてデータ処理機能161により処理された血管データをレンダリングする。具体的には、処理回路15は、ステップSC2において所定のボクセル値が割り当てられた血管データをレンダリングする。これにより、ステップSC1において選択した少なくとも1つのセグメントに対応する部分が表示され、選択されなかった他のセグメントに対応する部分が非表示となるレンダリング血管画像を表すレンダリング血管画像データが生成される。
処理回路15は、表示制御機能165を実行し、ステップSC3において生成したレンダリング細線化画像データに基づくレンダリング細線化画像、及び、レンダリング血管画像データに基づくレンダリング血管画像を、表示機器50に表示する(ステップSC4)。図10は、選択された一部のセグメントについて図1に示される処理回路15が表示機器50に並列表示するレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の例を表す図である。図10では、例えば、選択されたセグメントから派生する全てのセグメントについて、レンダリング細線化画像、及びレンダリング細線化画像に対応するレンダリング血管画像が並列表示されている。また、図10Aは、選択された一部のセグメントについて図1に示される処理回路15が表示機器50に重畳表示するレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の例を表す図である。図10Aでは、例えば、選択されたセグメントから派生する全てのセグメントについて、レンダリング細線化画像、及びレンダリング細線化画像に対応するレンダリング血管画像が重畳表示されている。
また、図11は、選択された一部のセグメントについて図1に示される処理回路15が表示機器50に並列表示するレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の他の例を表す図である。図11では、例えば、始点と終点とが定められ、それら2点間を通る経路上のセグメントのみについて、レンダリング細線化画像、及びレンダリング細線化画像に対応するレンダリング血管画像が並列表示されている。また、図11Aは、選択された一部のセグメントについて図1に示される処理回路15が表示機器50に重畳表示するレンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像の他の例を表す図である。図11Aでは、例えば、始点と終点とが定められ、それら2点間を通る経路上のセグメントのみについて、レンダリング細線化画像、及びレンダリング細線化画像に対応するレンダリング血管画像が重畳表示されている。
図10、図10A、図11、及び図11Aによれば、操作者は、所望のセグメントに限定して血管を観察することができ、腫瘍等に関する診断、及び治療の精度を向上させることが可能となる。
また、図10、図10A、図11、及び図11Aでは、選択されたセグメントに関する血管を表示し、その他のセグメントに関する血管を非表示にしているが、表示態様はこれに限定されない。例えば、処理回路15は、選択されたセグメントと、その他のセグメントとの差異を、グレーアウトで表示する等の色を変えて表してもよい。また、処理回路15は、選択されたセグメントと、その他のセグメントとの差異を、透明度を変えて表してもよい。また、処理回路15は、選択されたセグメントと、その他のセグメントとの差異を、透明度、及び色を変えて表してもよい。
また、処理回路15は、選択された血管を強調して表示する手法として、選択されなかった血管芯線との太さの比を変える手法、色を変える手法、又はそれらを組み合わせた手法を用いて、レンダリング細線化画像、及びレンダリング細線化画像に対応するレンダリング血管画像を表示するようにしてもよい。
(識別情報表示動作)
まず、分岐点に関する識別情報が表示される識別情報表示動作について説明する。図12は、図1に示される処理回路15が血管の分岐点に関する識別情報を表示する際の動作を示すフローチャートである。
処理回路15は、例えば、図2のステップSA6において表示したレンダリング細線化画像について、分岐点に関する識別情報を表示する旨の識別情報表示指示を受け付ける(ステップSD1)。
処理回路15は、例えば、入力インターフェース20を介し、識別情報表示指示を受け付けると、データ処理機能161を実行し、図2のステップSA6において表示したレンダリング細線化画像について、血管に関する特徴量を算出する(ステップSD2)。処理回路15は、例えば、細線化血管データに基づく細線化血管の複数のセグメントが合流する各分岐点について、時系列の血管データを用いて、血管が分岐する位置と観察対象となる腫瘍との距離を算出する。
処理回路15は、血管情報に基づいて、表示する識別情報を生成する(ステップSD3)。血管情報とは、例えば算出した血管が分岐する位置と観察対象となる腫瘍との距離などである。このとき、識別情報は、例えば、血管の分岐点に対して腫瘍からの距離に応じて割り当てられる数字である。割り当てられる数字は、例えば、腫瘍、又は肝表からの距離が遠い順、又は近い順に決定される。なお、割り当てられる数字は、主要血管の起始部からの分岐回数、又は血管が分岐する位置、すなわち分岐点から派生する芯線の数に基づいて決定されてもよい。また、識別情報は、数字に限られず、アルファベット等の文字列であってもよい。また、識別情報は、数字や文字列を囲む図の形状及び色を含んでいてもよい。また、識別情報は、無作為(ランダム)に生成されてもよい。また、識別情報は、操作者からの入力により、又は予め設定された設定ファイルの参照により、任意に生成されてもよい。
処理回路15は、表示制御機能165を実行し、例えば、図2のステップSA5において生成したレンダリング細線化画像、及び識別情報を表示する(ステップSD4)。具体的には、処理回路15は、表示機器50を制御し、表示するレンダリング細線化画像の、例えば、血管が分岐する位置、又は血管が分岐する位置の付近に分岐点に関する識別情報を重畳表示する。図13は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像、及び血管の分岐点に関する識別情報の例を表す図である。図13では、例えば、腫瘍、又は肝表から遠い順に、各分岐点において数字が割り当てられている。
また、図14は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像、及び血管の分岐点に関する識別情報の他の例を表す図である。図14では、例えば、腫瘍、又は肝表から近い順に、各分岐点において数字が割り当てられている。また、図14では、腫瘍、又は肝表からの距離に応じて数字が重複して割り当てられている。また、図14では、表示される数字を囲む円の色が腫瘍、又は肝表からの距離に応じて割り当てられている。
図13、及び図14によれば、操作者は、表示されるレンダリング細線化画像、及び識別情報を視認することにより、血管の各分岐点と腫瘍、又は肝表との位置関係を容易に把握することができる。なお、識別情報は、各分岐点上ではなく、各分岐点の近傍に表示されるようにしてもよい。
そして、処理回路15は、例えば、図12に示されるステップSD4において、レンダリング細線化画像、及び識別情報を表示した後、表示されたレンダリング細線化画像から少なくとも1つのセグメントを選択し、選択した少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントが区別されるように、細線化血管データを処理してもよい。すなわち、処理回路15は、図9に示されるフローチャートに記載の動作を実行してもよい。
(目的血管表示動作)
最後に、腫瘍等に栄養を送る血管が表示される目的血管表示動作について説明する。図15は、図1に示される処理回路15が腫瘍に栄養を送る目的血管を選択し、当該目的血管を表示する際の処理回路の動作を示すフローチャートである。
処理回路15は、例えば、図2のステップSA6において表示したレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データについて、腫瘍等に栄養を送る目的血管を表示する旨の目的血管表示指示を受け付ける(ステップSE1)。
処理回路15は、例えば、入力インターフェース20を介し、目的血管表示指示を受け付けると、選択機能159を実行し、図2のステップSA6において表示したレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データについて、血管に関する特徴量を算出する(ステップSE2)。具体的には、処理回路15は、細線化血管データに基づく細線化血管の各セグメントについて、例えば、時系列の血管データを用いて、腫瘍の有無や種類によって変化する血管に関する特徴量、例えば腫瘍と血管との距離、腫瘍に対する血管の向き、血流の速度、及び血流の方向等を算出する。
処理回路15は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、目的血管を選択する(ステップSE3)。処理回路15は、例えば、算出した血管セグメント毎の腫瘍と血管との距離、腫瘍に対する血管の向き、血流速度、及び血流の方向等に基づいて、目的血管を選択する。
なお、処理回路15は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術を利用して目的血管を選択してもよい。具体的には、処理回路15は、腫瘍に栄養を送っている血管に関する教師データを用いて機械学習、例えば深層学習(ディープラーニング)が実施された結果生成される識別器を備えた血管選択プログラムを利用する。血管に関する教師データは、例えば、血管に関する特徴量に基づいて腫瘍に栄養を送っている血管が特定された医用画像データと、当該血管に関する特徴量とが対応付けられて蓄積された教師データである。
処理回路15は、データ処理機能161を実行し、ステップSE3において選択した目的血管に関する少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントが区別されるように、細線化血管データを処理する(ステップSE4)。処理回路15は、細線化血管データにおいて、例えば、ステップSE3において選択した目的血管に関する少なくとも1つのセグメントが太線で表示され、選択されなかったその他のセグメントが選択した少なくとも1つのセグメントより細い線で表示されるように、ステップSE3において選択した少なくとも1つのセグメントに対応する細線化血管データに含まれるボクセル、及びその他のセグメントに対応する細線化血管データに含まれるボクセルに、所定のボクセル値をそれぞれ割り当てる。
処理回路15は、レンダリング処理機能163を実行し、ステップSE4においてデータ処理機能161により処理された細線化血管データをレンダリングする(ステップSE5)。具体的には、処理回路15は、ステップSE4において所定のボクセル値が割り当てられた細線化血管データをレンダリングする。これにより、ステップSE3において選択した目的血管に関する少なくとも1つのセグメントが太線で表示され、選択されなかった他のセグメントが選択した少なくとも1つのセグメントより細い線で表示されるレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データが生成される。
処理回路15は、表示制御機能165を実行し、例えば、ステップSE5において生成したレンダリング細線化画像データに基づくレンダリング細線化画像を、ステップSE3において選択した目的血管が栄養を送っている腫瘍と共に、表示機器50に表示する(ステップSE6)。図16は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像の例を表す図である。図16によれば、処理回路15は、腫瘍に対して栄養を送っている目的血管に関するセグメントを太線で、その他のセグメントを目的血管に関するセグメントより細い線で表示している。これにより、操作者は、表示される画像を視認し、例えば切除すべき血管の位置、及び長さ等を容易に認識することが可能となる。
また、処理回路15は、例えば、処理回路15が備える腫瘍の位置を特定するための腫瘍特定機能により特定された腫瘍を、レンダリング細線化画像、及びレンダリング血管画像のうち、少なくともレンダリング血管画像と共に表示してもよい。図17は、図1に示される処理回路15が表示機器50に表示するレンダリング細線化画像、及び腫瘍の例を表す図である。図17によれば、処理回路15は、処理回路15が備える腫瘍特定機能により特定された腫瘍を、マークM1として表示している。また、処理回路15は、マークM1で示される腫瘍に対して、栄養を送っている目的血管に関するセグメントを太線で、その他のセグメントを目的血管に関するセグメントより細い線で表示している。これにより、操作者は、表示される画像を視認し、腫瘍と血管との対応関係をより詳細に把握することが可能となる。
なお、腫瘍特定機能による腫瘍の位置の特定は、例えば、臓器の硬さを測定する方法、及びX線CT装置、及びMRI装置等の、他の医用画像診断装置において腫瘍の位置が特定された医用画像を用いる方法により行うことが可能である。また、腫瘍特定機能による腫瘍の位置の特定は、例えば、医用画像と当該医用画像における腫瘍の位置とが対応付けられた教師データを用いて機械学習、例えば深層学習が実行された結果生成される識別器を備えたプログラムを用いて行うことが可能である。なお、腫瘍の位置の特定は、手動で行われてもよい。このとき、処理回路15は、例えば、表示機器50にカーソル等を表示し、入力インターフェース20を介して腫瘍の範囲を指定させてもよい。また、処理回路15は、入力インターフェース20を介して、座標位置の入力を受け付け、任意の形状の腫瘍、及び当該腫瘍近傍の血管を指定させてもよい。
本実施形態によれば、処理回路15は、細線化処理機能155を実行し、複数に分岐する血管を表す血管データに基づいて、細線化された血管を表す細線化血管データを生成する。複数に分岐する血管を表す血管データに基づいて、血管の細線化血管データを生成する。処理回路15は、分割機能157を実行し、細線化された細線化血管が分岐する位置を基準に、細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する。処理回路15は、選択機能159を実行し、複数のセグメントの中から、少なくとも1つのセグメントを選択する。処理回路15は、データ処理機能161を実行し、選択した少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントが区別されるように、細線化血管データを処理する。
これにより、操作者は、表示されるレンダリング細線化画像のうち、選択された少なくとも1つのセグメントと、その他のセグメントとを容易に見分けることができ、血管の走行状態を詳細に把握することができる。
したがって、血管の視認性を向上させることが可能となる。
上記実施形態では、解析装置の一例として超音波診断装置1を説明したがこれに限定されない。他の実施形態では、解析装置の一例としてワークステーション100を説明する。
図18は、他の実施形態に係るワークステーション100を含む医用情報システムの例を表す図である。図18に示される医用情報システムは、ワークステーション100、医用画像診断装置200、及び画像保管装置300を備える。ワークステーション100、医用画像診断装置200、及び画像保管装置300は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)により、直接的、又は間接的に相互に通信可能に接続されている。例えば、画像保管装置300がPACSを構成する場合、ワークステーション100、医用画像診断装置200、及び画像保管装置300は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、例えば、医用画像データを相互に送受信する。
医用画像診断装置200は、被検体を撮影することにより医用画像データを発生する装置である。医用画像診断装置200は、例えば、X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、PET装置とMRI装置とが一体化されたPET-MRI装置、又はこれらの装置群等である。また、医用画像診断装置200は、発生した医用画像データに対し、例えば、二値化処理等を施すことによって、血管領域が強調された血管データを生成する。
画像保管装置300は、医用画像データを保管するデータベースである。画像保管装置300は、例えば、医用画像診断装置200で発生された医用画像データ、及び、生成された血管データを、内部に設けられている記憶回路に記憶する。
ワークステーション100は、医用画像診断装置200で生成された血管データ、又は画像保管装置300から読み出された血管データに対して画像処理を施す装置である。具体的には、ワークステーション100は、例えば、読み出された血管データに対して各種処理を施し、血管の構造を見やすくする装置である。
図18に示されるワークステーション100は、メモリ101、出力インターフェース102、入力インターフェース103、通信インターフェース104、及び処理回路105を有する。
メモリ101は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、並びに、光ディスク等により実現される。メモリ101は、例えば、処理回路105がその機能を実現するためのプログラム等を記憶している。
出力インターフェース102は、処理回路105に接続され、処理回路105から供給される信号を出力する。出力インターフェース102は、例えば、ディスプレイにより実現される。ディスプレイは、例えば、医用画像データに基づく医用画像、及びユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI等を、処理回路105からの指示に基づいて表示する。
入力インターフェース103は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路105へ出力する。
通信インターフェース104は、例えば、病院内ネットワークと接続する。通信インターフェース104は、例えば、病院内ネットワークを介して医用画像診断装置200、及び画像保管装置300から、医用画像データ等を受信する。
処理回路105は、例えば、ワークステーション100の中枢として機能するプロセッサである。処理回路105は、メモリ101に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、処理回路105は、例えば、細線化処理機能1051、分割機能1052、選択機能1053、データ処理機能1054、レンダリング処理機能1055、表示制御機能1056、及びシステム制御機能1057を有する。
細線化処理機能1051は、複数に分岐する血管を表す血管データに基づいて、細線化された血管(芯線)を表す細線化血管データを生成する機能である。細線化処理機能1051の実行により処理回路105は、例えば、医用画像診断装置200で発生された医用画像データに基づく血管データ、又は画像保管装置300から読み出された血管データに対して細線化処理を行い、細線化血管データを生成する。
分割機能1052は、細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する機能である。分割機能1052の実行により処理回路105は、例えば、細線化された細線化血管が分岐する位置を基準に、細線化処理機能1051により生成された細線化血管データに基づく細線化血管を複数のセグメントに分割する。
選択機能1053は、分割機能1052により分割された複数のセグメントの中から、少なくとも1つのセグメントを選択する機能である。選択機能1053の実行により処理回路105は、複数のセグメントの中から、例えば入力インターフェース103を介して操作者により選択された少なくとも1つのセグメントを選択する。
選択機能1053の実行により処理回路105は、複数のセグメントの中から、例えば、腫瘍に栄養を送る目的血管に対応するセグメントを少なくとも1つ選択する。具体的には、処理回路105は、分割された複数のセグメントについて、例えば、時系列の血管データを用いて、腫瘍の有無や種類によって変化する血管に関する特徴量、例えば腫瘍と血管との距離、腫瘍に対する血管の向き、血流の速度、及び血流の方向等を算出する。そして、処理回路105は、算出した複数のセグメントそれぞれの血管に関する特徴量に基づいて、腫瘍に栄養を送る目的血管に対応するセグメントを少なくとも1つ選択する。
データ処理機能1054は、分割機能1052により分割された複数のセグメントのうち、選択機能1053により選択された少なくとも1つのセグメントと、他のセグメントが区別されるように、細線化血管データ、又は、血管データを処理する機能である。また、データ処理機能1054は、特許請求の範囲に記載の画像処理部の一例である。
データ処理機能1054の実行により処理回路105は、例えば、分割された複数のセグメントについて、時系列の血管データを用いて、血管に関する特徴量、例えば、腫瘍、又は肝表と血管との距離、血流の速度、血流の方向、血管の長さ、血管の太さ、及び血管の位置等を算出する。処理回路105は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、例えば、分割された複数のセグメントのうち、選択された少なくとも1つのセグメントが、他のセグメントと比べて太い線で表示されるように、細線化血管データを処理する。
なお、処理回路105は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、例えば、分割機能1052により分割された複数のセグメントのうち、少なくとも1つのセグメントと、他のセグメントとがお互いに異なる色で表示されるように、細線化血管データを処理してもよい。また、処理回路105は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、分割機能1052により分割された複数のセグメントのうち、選択された少なくとも1つのセグメントのみが表示され、他のセグメントは非表示となるように、細線化血管データを処理してもよい。
また、データ処理機能1054の実行により処理回路105は、血管の分岐点が識別可能な血管の分岐点に関する識別情報を生成する。例えば、処理回路105は、細線化処理機能1051により生成された細線化血管データに基づいて、血管の分岐点と観察対象となる腫瘍との距離を算出する。処理回路105は、算出した距離に応じて、血管の分岐点に関する識別情報を生成する。
また、データ処理機能1054の実行により処理回路105は、算出した血管に関する特徴量に基づいて、分割機能1052により分割された複数のセグメントのうち、選択機能1053により選択された少なくとも1つのセグメントに対応する部分と、他のセグメントに対応する部分が区別されるように、細線化血管データに対する処理と同様に、血管データを処理する。
レンダリング処理機能1055は、各種3次元画像をレンダリングする機能である。レンダリング処理機能1055の実行により処理回路105は、3次元の血管データ、又はデータ処理機能1054により処理が行われた3次元の血管データをレンダリングする。これにより、レンダリングされた血管画像であるレンダリング血管画像を表すレンダリング血管画像データが生成される。また、処理回路15は、3次元の細線化血管データ、又はデータ処理機能1054により処理が行われた3次元の細線化血管データをレンダリングする。これにより、レンダリングされた細線化画像であるレンダリング細線化画像を表すレンダリング細線化画像データが生成される。
表示制御機能1056は、血管を表す各種画像を出力インターフェース102に表示させる機能である。表示制御機能1056の実行により処理回路105は、例えば、血管の分岐点に関する識別情報、レンダリング血管画像、及びレンダリング細線化画像等を出力インターフェース102に表示させる。このとき、処理回路105は、出力インターフェース102において、例えば、表示するレンダリング画像において、血管が分岐する位置、又は血管が分岐する位置の付近に血管の分岐点に関する識別情報を重畳表示する。
システム制御機能1057は、ワークステーション100の入出力等を制御する機能である。システム制御機能1057の実行により処理回路105は、例えば、入力インターフェース103を介し、血管データに関する各種処理の選択を受け付ける。また、処理回路105は、例えば、通信インターフェース104を介し、医用画像診断装置200、又は画像保管装置300に記憶されている血管データを取得する。
以上のように、他の実施形態では、ワークステーション100が備える処理回路105は、例えば、医用画像診断装置200で発生された医用画像データに基づく血管データ、又は画像保管装置300から読み出された血管データに対して細線化処理を行い、細線化血管データを生成するようにしている。通常、ワークステーション100は、医用画像診断装置200と比して、様々な場所に設けることができる。よって、場所を選ばすに、血管画像の解析を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、超音波診断装置1が備える処理回路15は、例えば、図9に示されるフローチャートのステップSC3において、データ処理機能161による処理が行われた血管データ、及び、データ処理機能161による処理が行われた細線化血管データを、それぞれレンダリングし、レンダリングしたレンダリング血管画像、及び、レンダリング細線化画像を重畳表示、又は、並列表示していたがこれに限定されない。例えば、処理回路15は、データ処理機能161による処理が行われた血管データと、データ処理機能161による処理が行われた細線化血管データとを合成し、合成した合成データをレンダリングするようにしてもよい。このとき、処理回路15は、例えば、合成データをレンダリングした結果生成されるレンダリング合成画像データに基づくレンダリング合成画像を表示機器50に表示する。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、血管の視認性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。